さて、いよいよ、アンブレイカブル の和訳です。
なんていっても、今頃?って思われそうだったり、一番の難問だったビギーのラップは、すでに「You Can't Stop the Reign」で訳し終えていて、
それ以外の部分は、特に迷うところもないので、和訳の前に、マイケルがすでに4年も前に亡くなっていたビギーの既発曲のラップを使ったのは、なぜなのか? について、「マイケルとヒップホップ」では書ききれなかったことを補足したいと思います。
* * (補足はここから)* *
ヒップホップのアーティストたちに、もっとも人気がある映画は『スカーフェイス(Scarface)』だと言われています。
アル・パチーノ主演のこの映画は、キューバの刑務所を出て、アメリカにやってきた主人公のトニー・モンタナが、コカインの密売でのしあがろうとする物語で、危険を冒しても成功を手に入れたいストリートのプレイヤーにとって「バイブル」とも言われ、
◎[参考記事]人生で成り上がりたいなら「スカーフェイス」を見ろ!!
1983年に、アル・パチーノがトニー・モンタナを演じた『スカーフェイス』は、元々、マイケルもお手本にしていた伝説的な大富豪ハワード・ヒューズが、アルカポネをモデルにした映画を作ろうと、ハワード・ホークスに監督を依頼して制作されたもの(原題は同じ、邦題は『暗黒街の顔役』)のリメイクで、
主人公を演じていた、ポール・ムニは、マイケルが尊敬し、親友でもあったマーロン・ブランドが最も尊敬する俳優であり、Billie Jeanや、You Rock My World のショートフィルムに引用された『ゴッドファーザー』も、この映画から大きな影響を受けていて、マイケルはまだ幼いブランケットにさえこの映画を見せていたほどです。
You Rock My World のショートフィルムには、Unbreakable で映像化しようとしたアイデアが少し形を変えて組み込まれているに違いないと、私は思っているのですが、『スカーフェイス』は、彼が “心を揺さぶられた(You Rock My World)” ものであり、マイケルが考える「不屈の精神(Unbreakable)」のために引用されているんですね。
「World Is Yours(世界は君のもの)」は、『スカーフェイス』に何度も登場する言葉なんですが、
シャックとビギーの「You Can't Stop the Reign」は、トニー・モンタナが悲劇的な結末を迎えるのとは異なり、成功はしたけど、彼のような失敗はぜずに、俺たちの世界を維持し続ける、という曲ですが、
マイケルの Unbreakable は、本当の成功や、強さとは、「決して負けないこと」である、という言葉だけでなく、時流に対して気が利いていて、韻を踏んだ「言葉」だけで勝負したがるラッパーたちに、もっと「音」そのもので勝負しろ!といわんばかりの、音の “奇襲攻撃” であり、
「スリラー」で、人種やジャンルを越えた地点から、より高い壁を突破しようという、マイケル自身の音とリズムによる「声明」でした。
そして、実は『スカーフェイス』へのこだわりは、彼自身の「顔」にも関係があって・・・
というのも、1992年、デイリーミラー紙は、マイケルの整形手術を揶揄するかのように、彼の顔のアップを一面にし、「Scarface(傷だらけの顔)」という見出しを付けていたからです。
マイケルはこれに抗議し、その写真の使用禁止と謝罪文の掲載を勝ち取りましたが、もともと整形手術を行った事実はオープンにしていますし、そうやって変えた顔に関して一度も後悔することなく、ここまで何度もひどい中傷にあっても負けなかった、という思いもあったでしょう。
You Rock My World のショートフィルムのルックスは、当時、多くのファンを失望させましたが、歌詞にもあったように、その後、彼は余裕で這い上がり(I’m steady laughin’ while surfacing)、昔のファンが戻っただけでなく、大勢の新たなファンを増やし、今もなお KING Of POP の座を明け渡してはいません。
エリオット・ネスのチーム「アンタッチャブル」は、アル・カポネを刑務所に送り込みましたが、トム・スネドンは、結局、マイケルに手出しは出来ず、アンタッチャブルだったのは、やっぱり、マイケルの方でした(you can’t touch me ‘cause I’m untouchable)。
(マーティン・バシールのドキュメンタリ番組などで、マイケルへの少年性的虐待疑惑は再度持ち上がるのは、ここから数年後のことですが、私はこのアルバム以降の彼の発言や動向が記録された海外本の翻訳などから、疑惑の再燃の半分ぐらいは、マイケルが「トム・スネドンをけしかけた」からだと思っています。)
そう、マイケルは「Unbreakable」のミュージックビデオは創れませんでしたが、その後の人生すべてを賭けて、「Unbreakable」を演じたんです。
「あなたの天下は終わらない!(You Can't Stop the Reign)」
「世界はあなたのもの!(World Is Yours)」
そんな風に、マイケルに言いたくなる気持ちが抑えきれなくなったところで、
「Unbreakable」をもう一度じっくり聴いてみてください。
"Unbreakable"
[1st VERSE]
Now I’m just wondering why you think
That you can get to me with anything
Seems like you’d know by now
When and how I get down
And with all that I’ve been through
I’m still around
僕は不思議でならないんだよね
君が僕をどうにかできると思っているなんて
もう分かってもいい頃だろう
どんなに落ち込むようなことも
僕はすべてを経験して
いまだに生き延びてるんだ
Don’t you ever make no mistake
Baby, I got what it takes(I've got )
And there’s no way you’ll ever get me(get to me)
Now why can’t you see(Why can't)
That you’ll never ever hurt me
‘Cause I won’t let it be
See, I’m too much for you, baby
君は間違ってばかりだよね
ベイビィ、君とは持ってるモノがちがうんだよ
僕にたどり着こうなんて、君には無理さ
君に僕を傷つけることなんかできない
どうしてわからないのかな
僕はそんな手には乗らない
ね、僕は君の手には負えないんだよ
[CHORUS]
You can’t believe it
You can’t conceive it
And you can’t touch me
‘Cause I’m untouchable
And I know you hate it
And you can’t take it
You’ll never break me
‘Cause I’m unbreakable
君は信じられないし、
納得できないだろうけど
僕には手出しはできないよ
僕は君には手の届かない相手だからね
君が僕を嫌っているのは知ってるけど
君にはなにもできない
僕を壊すことなんか絶対に
だって、僕は不死身だから
[2nd VERSE]
Now you can’t stop me even though you think
That if you block me, you’ve done your thing
And when you bury me underneath all your pain
I’m steady laughin’ while surfacing
君がなにをしたところで僕は止められないよ
君があれこれと僕を妨害したり
あらゆる苦痛を与えて、僕を沈めようとしても
僕は余裕で笑いながら、這い上がる
Don’t you ever make no mistake
Baby, I’ve got what it takes
And there’s no way you’ll ever get me
(You can’t do it, baby)
Why can’t you see that you’ll never ever hurt me
‘Cause I won’t let it be
See I’m too much for you, baby
(I’m too much for ya, baby)
君は間違ってばかりだよね
僕からなにかを取ろうとしても
君は僕にたどり着くことはできない
(君にはどうすることもできないよ、ベイビー)
君に僕を傷つけることなんかできないよ
どうしてわからないのかな
僕はそんな手には乗らない
君には手に負えない相手なのさ
(手に負えないのさ、ベイビー)
[CHORUS]
You can’t believe it
You can’t conceive it
And you can’t touch me
‘Cause I’m untouchable
And I know you hate it
And you can’t take it
You’ll never break me
(you can’t break me)
‘Cause I’m unbreakable
君は信じられないし、
納得できないだろうけど
僕に手出しはできないよ
僕は君には手の届かない相手だからね
君が僕を嫌っているのは知ってるけど
君にはなにもできない
僕を壊すことなんか絶対に
(君には僕を壊せない)
だって、僕は不屈だから
You can’t believe it
(I’m unbreakable)
You can’t conceive it
And you can’t touch me
(you can’t touch me)
‘Cause I’m untouchable
(just watch me, baby)
And I know you hate it
(come on now)
And you can’t take it
You’ll never break me
You can’t stand it, babe, ’cause I’m unbreakable
君は信じられないし
(僕が不死身だってこと)
納得できないだろうけど
僕に手出しはできないよ
(君に手出しはできない)
僕は君には手の届かない相手だからね
だって、僕は不屈だから
(ただ見てればいいのさ、ベイビー)
君が僕を嫌っているのは知ってるけど
(come on now)
君にはなにもできない
僕を壊すことなんか絶対にできないし
君には耐えられないよ
だって、僕は不屈だから
[BRIDGE]
You can try to stop me
But it won’t do a thing
No matter what you do
I’m still gonna be here
Through all your lies and silly games
I still remain the same(I'm a still remain the same)
I’m unbreakable
僕を止めようとしたって、上手くいかないよ
君が何をしたところで、僕はまだここにいる
君が嘘をつき、愚かなゲームを続けても
僕は変わらない
僕は不屈だから
RAP(Notorious Big)
A lime to a lemon with my DC women(*5)(*6)
Bringin’ in ten G minimums to condos with elevators in ’em
Vehicles with televisions in ’em
Watch they entourage turn yours to just mirages
Disappearing acts, strictly nines and MACS(*7)
Killers be serial, Copperfield material
My dreams is vivid
Work hard to live it
Any place I visit I got land there
How can players stand there and say I sound like them?
Hello! Push wigs back and push six coupes that’s yellow(*8)
Plus clips that expand from hand to elbow(*9)
Spray up your Day’s Inn, any hotel you in
Crack baggin’ sick of braggin’ how my mink be draggin’
Desert ease street sweeper inside the Beemer wagon
I rely on Bed-Stuy to shut it down if I die(*10)
Put that on my diamond bezel
You’re messin’ with the devil
What? what? what? what
レモンからライムまで、(*5)
俺が支配してるD.Cの女たちにたんまり稼いでもらう(*6)
エレベーター付きのコンドミニアムや、
テレビ付きの車に運ぶのさ
見てろよ、俺の仲間はおまえが持ってるものを幻に変える
殺し屋は次々と、消すのに使うのは、9's か、MAC(*7)
デヴィッド・カッパーフィールドが手品で消すようなものさ
俺の夢ははっきりしてるし、必死にやってる
どこへ行こうが、そこが俺のシマ
そこらにいる奴が、俺みたいに出来るだって?
よぉし、頭数をそろえたら、6台の黄色のクーペに押し込んで、(*8)
肘から手まで伸びるやつを装着して(*9)
デイズインだろうが、どこのホテルだろうが、
ぶっ放してやるよ
ミンクのコートが引きずるほど長いだとか、
バカな自慢ばっかりしてるけど
乾ききった楽園の通りを、BMWワゴンの中から掃除してやる
俺が死ぬときは、ベッドスタイの連中にカタをつけてもらうぜ(*10)
俺のダイヤ付きの指輪に刻んでおこうか、
「お前は悪魔を相手にしてる」ってな。
どうよ?
[CHORUS]
You can’t believe it
You can’t conceive it
And you can’t touch me
‘Cause I’m untouchable
And I know you hate it
And you can’t take it
You’ll never break me
‘Cause I’m unbreakable
君は信じられないし、
納得できないだろうけど
僕に手出しはできないよ
僕は君には手の届かない相手だからね
君が僕を嫌っているのは知ってるけど
君には何もできない
僕を壊すなんて絶対に無理
だって、僕は不屈だから
You can’t believe it
You can’t conceive it
And you can’t touch me
‘Cause I’m untouchable
And I know you hate it
(why’d you do it?)
And you can’t take it
(just why’d you do it?)
You’ll never break me
You can’t fix me
You can’t stand of me
You can’t stand it, babe, ’cause I’m unbreakable
君は信じられないし、
納得できないだろうけど
僕に手出しはできないよ
僕は君には手の届かない相手だからね
君が僕を嫌っているのは知ってるけど
(そんなことしてどうするの?)
君には何もできない
(まったく、なぜそんなことがしたいのか?)
君は僕を壊せないし、
僕を矯正することも
僕と同じ立場に立つこともできないし
君には耐えられないよ
だって、僕は不死身だから
(訳:yomodalite)
☆訳註は(ビギーのラップ部分のみ)こちらをご覧ください。
http://nikkidoku.exblog.jp/27982381/
ところで、、
マイケルとヒップホップの中では扱いきれなかったのですが、
実は、「Unbreakable」は、ビギーのラップが使われているだけでなく、ビギーの最後のアルバム「ready to die」に収録された「Unbeliable」によく似ているんですよね(ビギーの曲の方が何年も前にリリースされている)。
マイケルの数少ない音楽について語ったものの中でも、もっとも語られていないヒップホップとの関わりや、影響について色々見てみたところで、最終回の今回は、Unbreakable のビギーのラップの元曲「You Can't Stop the Reign」について。
マイケルが、亡くなったビギーの5年も前のラップを使ったのはなぜなのか?その理由を知るために、まずは、この曲の和訳から始めたいと思ったのですが、
マイケルは、自分は知らなかったんだけど、たまたま、ロドニーが見つけてきて・・みたいなニュアンスで語っていましたが(→ ⑥)、
シャックの歌詞を読んでみると、むしろ、Unbreakable は、この曲にインスパイアされたというか、アンサーソング的な意味合いで創られたのでは?と思える内容で、もともとシャックの第3ヴァースには、「俺は無敵で抜け目のない男(invincible, smooth individual)なんていう表現もあるのですが、マイケルのUnbreakable にも、「you can’t stop me、 you block me・・」という、シャックのラップと同じような表現が・・
ただ、1996年にリリースされたこの曲は、今のラップミュージックよりもずっと、ありがちなR&Bですし、Unbreakableとは印象がまったく違っています。
下記の英詞は、CD歌詞を転載したかったんですが、何度か聞いて確認したところ、日本版のCD歌詞には正しくない箇所が多くて・・聞き取りや、ネット上にある歌詞とも照らし合わせて修正しました。
とにかくスラングばかりなので、和訳にはずいぶん苦労しましたが、ニュアンスが伝わるような意訳に徹して、なんとかやってみたので、もっと正解に近い訳がわかるという方は教えてくださいませ。
You Can't Stop the Reign
オレの天下は止められない
[Verse 1: Shaquille O'Neal]
You can't stop it, block it, when I drop it
Anytime I go rhyme for rhyme on a topic
Ain't even fit to step into Shaq's arena
I looked inside your mind and I see your shook demeanor
In your eyes why are you surprised
No matter how you try not fly its' elliuqahs(*1)
The new edition this is the end of your last night(*2)
In the daytime you couldn't see me with a flashlight
I crash flights on sight of my enemies
I'm coming through and then
I bomb your whole facility (→vicinity?)
Why the act of faken jacks, you're not a friend of me
I peeped your card, you're not as hard as you pretend to be
Who wanna spark it, with the chocolate macadamian
Head clean to the cranium you know the name
Shaq aim to maintain
Money on the brain, can't stop the reign
オレが言葉を吐くとき、
おまえは止めることも、ブロックすることも出来ない
どんな話題も、オレが次々と韻を繰り出せば
おまえは「シャックのアリーナ」に立ち入ることさえ無理
おまえの心の中を覗いたら、ビビってる姿が見えたぜ
おまえの目は、なぜそんなに驚いてるんだ
おまえがどんなにやってみたところで、
「elliuqahs」みたいには飛べないし(*1)
ニュー・エディションが終わったように、今夜がおまえの最期さ(*2)
昼間は懐中電灯を使ったって、オレを見ることはできないけど
オレがちょっと通っただけで
おまえの周辺すべてを爆破してやる
イカサマするなんて、オレの友だちじゃない
おまえの手口はお見通しさ
思ったよりも、たいしたことないね
マカダミアンチョコみたいな女たちと盛り上がりたいだろ
頭の中をスッキリさせてさ
シャックはいつもいい状態
お金のことがきっちり頭に入ってるし、
オレの天下は止められない
[Chorus]
You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)
When it starts to fall
There's no one else to blame
You can't unlock that door
おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理
落ち始めたって
誰も責められないし
ここから出て行くこともできない
[Verse 2: Notorious B.I.G.]
I speak deep with killers about million dollar figures
Blessen niggas with acc's legend and vigors,
cream lizards, cream coochies,
I do my duty as long as they fly as me,
and high as me
Success of my circle, try to break it will hurt you
Ain't no getting out that
俺は100万ドル稼ぐようなやつらについて
殺し屋たちとじっくり話す
伝説みたいな力を身に付けたイケてる黒人たち
極上のチ☆コに、極上のマ☆コたちさ
彼らがオレを高く買ってくれるなら、オレもその期待に応えるけど
オレらの成功をジャマするやつは放っておかない
痛い目にあわせてやる
I doubt that we want the exotic erotic ladies
Not them toxic ladies that burn a lot
I learned a lot from junkies to ruffians,
from being tied up by colombians cause
8 grams was missin' listen, had to change
my position from wanting to be large
To head nigga in charge my garage
call it celo, 4,5,6 honies by the mixes(*3)
If it ain't broke don't fix it
Smoke out with Biggie Tarantino
Size like a sumo
Frank White numero uno(*4)
ヤク中で盛り上がってる女じゃなくて
エキゾティックでエロい女がいいなんて嘘だね
オレは、ジャンキーやゴロツキから多くを教わった
コロンビア人が8グラムのドラッグを失くして
酷い目にあったからね
オレはビッグになりたい
自分のガレージを仕切るトップのニガーに
いちかばちかの博打、4、5、6の目がそろえば勝ちさ(*3)
壊れてなけりゃ、直す必要はない
ビギー・タランティーノが煙に巻いてやる
スモウレスラー並みにデカいフランク・ホワイトがナンバー1さ(*4)
[Chorus]
You can't stop the reign (You can't stop the reign no)
When it starts to fall (When it starts to fall)
There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)
You can't unlock that door
おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理
落ち始めたって
誰も責められないし
ここから出て行くこともできない
[Verse 3 - Shaquille O'Neal]
7'0" towerin inferno, invincible, smooth individual
Who wants to test it foreign or domestic
No matter where you're from I not the one
you want to mess with
Original willie style, living lavish
Private jets to let my shortie shop in Paris
I'm not the average, I'm far from the norm
It's daddy long, hitting you strong,
keepin' you on
おれは7フィート以上あるタワーリング・インフェルノ
無敵で、抜け目のない男
国内でも、海外でも勝負するつもり
どこから来ようと、オレには関係ない
オレ独自のスタイルで、贅沢三昧に暮らすのさ
プライヴェートジェットでパリまで行って
カノジョに買い物させてやる
オレは並の男じゃない、桁外れなんだ
あしながおじさんもするし、おまえをひっぱたくこともあるけど、
おまえを見捨てたりしない
[The Notorious B.I.G.]
A lime to a lemon with my DC women(*5)(*6)
Bringin’ in ten G minimums to condos with elevators in ’em
Vehicles with televisions in ’em
Watch they entourage turn yours to just mirages
Disappearing acts, strictly nines and MACS(*7)
Killers be serial, Copperfield material
My dreams is vivid
Work hard to live it
Any place I visit I got land there
How can players stand there and say I sound like them?
Hello! Push wigs back and push six coupes that’s yellow(*8)
Plus clips that expand from hand to elbow(*9)
Spray up your Day’s Inn, any hotel you in
Crack baggin’ sick of braggin’ how my mink be draggin’
Desert ease street sweeper inside the Beemer wagon
I rely on Bed-Stuy to shut it down if I die(*10)
Put that on my diamond bezel
You’re messin’ with the devil
What? what? what? what
レモンからライムまで、(*5)
俺が支配してるD.Cの女たちにたんまり稼いでもらう(*6)
エレベーター付きのコンドミニアムや、
テレビ付きの車に運ぶのさ
見てろよ、俺の仲間はおまえが持ってるものを幻に変える
殺し屋は次々と、消すのに使うのは、9's か、MAC(*7)
デヴィッド・カッパーフィールドが手品で消すようなものさ
俺の夢ははっきりしてるし、必死にやってる
どこへ行こうが、そこが俺のシマ
そこらにいる奴が、俺みたいに出来るだって?
よおし、頭数をそろえたら、6台の黄色のクーペに押し込んで、(*8)
肘から手まで伸びるやつを装着して(*9)
デイズインだろうが、どこのホテルだろうが、
ぶっ放してやるよ
ミンクのコートが引きずるほど長いだとか、
バカな自慢ばっかりしてるけど
乾ききった楽園の通りを、BMWワゴンの中から掃除してやる
俺が死ぬときは、ベッドスタイの連中にカタをつけてもらうぜ(*10)
俺のダイヤ付きの指輪に刻んでおこうか、
「お前は悪魔を相手にしてる」ってな。
どうよ?
[Chorus]
You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)
When it starts to fall (When it starts to fall)
There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)
You can't unlock that door
おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理
落ち始めたって
誰も責められないし
ここから出て行くこともできない・・(繰り返し)
(訳:yomodalite)
(*1)elliuqahs / Shaquilleの逆読み・・・シャキールは自分のことを二面性のある人間だと言う。「企業人で、ハンサムで話し方もさわやか、スーツを着て人当たりも良いシャキールと、2回タイトルをとったスーパーアスリートのシャックがいる」と。「二人は同じ人間だけど、クラークケントとスーパーマンのように、昼間はシャキールで、夜はシャック」また、ネメシスのような存在の邪悪な双子がいるのだとも言う。彼が Elliuqahs Laeno(Shaquille O’Neal の逆読み)と呼ぶ人物だ。「立場上おれがそいつのようにふるまうことは許されない。やつは普通の金持ちの男がやるだろうことをやる。パーティして、ぶらぶらして、悪い言葉を使ってね。徹夜しては翌日練習、ちっとも集中してない。そういうやつだよ。でもね、彼はもういない。おれはやつを消したんだ」。(ニューヨーカー誌より)
(*2)The new edition / ニューエディションは、ジャクソン5の後、最も成功した超人気黒人アイドルグループ。ソロでも大成功したボビー・ブラウンが脱退後も、メンバーの入れ替えをしながら活動を続けていますが、80年代~90年代前半のアイドルグループというイメージが強い。
(*3)celo / サイコロ三つを振るシンプルな博打で、4,5,6の目が出るのが最強らしい。ただ、honies の意味は曖昧になってます。
(*4)Frank White / フランク・ホワイトは、映画「King of New York」でクリストファー・ウォーケンが演じた役で、奪ったものをニューヨークの貧困層に再分配する義賊。ビギーは、自分のことをKing of New York や、Black Frank Whiteと称していた。
(*5)シャックの[Verse 1]冒頭の「I go rhyme for rhyme」とリズムを揃えている。レモンのスラングは数多くありますが、全体の内容から、lime も lemonもドラッグを指している模様。
(*6)my D.C. women / CeCe womenという表記も多いのですが、CD歌詞では「my D.C. women」で、実際の発音でも「DC.」だと思います。ブルックリンのディーラーにとって、ワシントンD.C.はドラッグが高く売れる「シマ」なんですね。
(*7)9's はこんな感じで、
MACは、こんな感じの銃だと思います。
(*8)wigs はカツラではないと思います。複数でない wig でも「頭」というような意味で、そこから派生した「エロい意味」もあったり、wig pushed back! なら、ボッコボコにするという意味もあるのですが、ここでは「頭数」という訳にしました。
(*9)Plus clips that expand from hand to elbow
タクシードライバーにも出てきた、袖から伸びて出てくるやつのこと??
https://www.youtube.com/watch?v=GdCkpgj8BLU
シャックには、2Badのラッパーに起用される前、マイケルが買おうとしてた家を、先に買ってしまった。なんてエピソードもありましたよね!
プリンスが書く歌詞は、彼が尊敬するジョニ・ミッチェルなどと同じく、英米詩人の系譜に連なるものですが、マイケルは大変な読書家でありながら、文学的に評価されるような様々なテクニックをほとんど使っていません。
それは、プリンスが「One Song」で言っていたように「知恵の樹を選ぶ必要はない」ことをプリンス以上に理解し、知恵の樹の実(禁断の果実)を選ぶ前の人間の状態、すなわち「無垢な状態」を学ぶことの方に一生懸命だったからこそ、なんです!(鼻息w)
私は、マイケルの言葉に取り憑かれている人間のひとりですが、彼の言葉の意味を見出すための、メタファーや裏読みといったレトリック分解はまったく意味を成さない、と思っています。KING OF POPの世界は、そのような小さな世界とは無縁だと。
ジョセフ・ボーゲルは『Heven Can Wait』について、
これは、死から逃れたいという欲求についての歌だ。ついに愛と喜びを見つけた男は、それを奪われることを恐れるようになる。・・・曲の最後でマイケルは歌う。「僕たちをそっとしておいて」(しかし、興味深いことに最後の最後にはあえぐように「僕をそっとしておいて」と歌っている)。曲の後半で歌われる痛ましい感情は、真に迫っている。彼が本当に恐れているのは、死ではなく、別れ、孤独に戻ること。『Heven Can Wait』は、時間を請い求める歌ーー何の妨げもなく愛し愛される時間を求める歌なのだ。(『コンプリート・ワークス』より)
と書いていますが、私は、マイケルが別れや孤独に戻ることを、死よりも恐れていたとは思いません。彼にとって別れは、新たな出会いのためであり、また孤独について彼は、
彼女たちは、僕の孤独を分かち合いたがっているように見える。でも、僕は誰にもそんなことは望んでいない。僕は、自分が世界で一番孤独な人間のひとりだと信じている。(『ムーンウォーク』)
と答えていました。
この曲はテディ・ライリーのデモから創られているのですが、「僕たちをそっとしておいて」の最後が、BAD時代のヒット曲「Leave Me Alone」と同じく「僕をそっとしておいて」になっているのは、特にMJらしい部分だと思います。マイケルが歌うと、「ふたりきり」も、「ひとりきり」も、私も、あなたも、生きることも、死ぬことも、溶け合っていくんですよね・・。
自分の愛は惜しみなく与えた、もう神への使命を果たせたのではないかという思いと、まだ永遠の命には足らないのではないか、という不安。そして、あらたに加わった父親として、子供を育てるという役目・・私には、そんなことが交錯して感じられる曲です。
Heaven Can Wait
CHORUS
Tell the angels no, I don't wanna leave my baby alone
I don't want nobody else to hold you
that's the chance I'll take
Baby I'll stay, Heaven can wait
No, if the angels took me from this earth
I would tell them bring me back to her
it's the chance I'll take, maybe I'll stay
Heaven can wait
天使に言うよ、僕のベイビィをひとりにしたくないって
君がほかの誰かに抱かれるなんて嫌なんだ
運に賭けるしかないけど、
僕はここにとどまる、天国は待ってくれる
行けないよ、天使たちが僕をここから連れ去ったとしても
僕は、彼女の元に戻してほしいって言う
運に賭けるしかないけど、きっとここに居られるよ
天国は待ってくれる
You're beautiful, wonderful, incredible, I love you so
you're beautiful, each moment spent with you is simply wonderful
This love I have for you girl it's incredible
And I don't know what I'd do,
if I can't be with you
The world could not go on so every night I pray
If the Lord should come for me before I wake
I wouldn't wanna go if I can't see your
face, can't hold you close
What good would Heaven be
If the angels came for me I'd tell them no
君はきれいで、素晴しくて、信じられないほど、愛してる
美しい君、君と過ごした一瞬一瞬がただもう素晴しくて
僕の君への愛は桁外れだから
もし君と一緒にいられなくなったら
僕はどうしたらいいのかわからない
世界が続くのかさえも・・だから毎晩祈るんだ
もし目覚める前に、主が迎えに来たとしても
行きたくないよ
君の顔を見られず、抱きしめることもできないのなら
天国なんてどこがいいんだろう
もし、天使が来たって、僕は行かないって言うよ
CHORUS
Unthinkable
Me sitting up in the clouds and you're all alone
The time might come around
when you'd be moving on (moving on)
I'd turn it all around and try to get
back down to my baby girl
can't stand to see nobody kissing, touching her
couldn't take nobody loving you the way we were
What good would Heaven be
If the angels come for me I'd tell them no
考えられないよ
僕が雲の上にいて、君がひとりぼっちだなんて
そんなときが来るかもしれない
君が次の愛へと進んでいくなら
僕はなんとしてでも君の元へ戻ろうとするだろう
君が誰かとキスしたり、触れられているだなんて耐えられないんだ
僕らのように愛しあうなんて、誰にもできない
天国のどこがいいんだろう
天使が迎えに来たって、僕は行かないって言うよ
CHORUS
Oh no, can't be without my baby
Wont go, without her I'd go crazy
Oh no, guess Heaven will be waiting
Ooh
Oh no, can't be without my baby
Wont go, without her I'd go crazy
Oh no, guess Heaven will be waiting
Ooh
もう、君なしじゃいられない
行きたくない、君がいなかったら僕はおかしくなってしまう
いやだ、天国に行くのは、もっと後でいいから・・・
CHORUS
Just leave us alone,
Leave us alone, leave us alone
Please leave us alone
Leave me alone
Please leave me alone
I said leave me alone
僕たちにかまわないで
ふたりっきりにしておいて
僕たちだけでいたいんだ
僕にかまわないで
お願いだから、放っておいて
僕にかまわないで、って言っただろう
(訳:yomodalite)
この男性(マイケル?)は、普段から、天使と会話していて、最初、「天使に言うよ、僕のベイビィを・・」と言っているのも、彼女に直接言っているというよりは、ひとりでいるときの感情かもしれませんね。
一番最後の、I said ・・は、天使に言っているようなので、天使のお迎えというシチュエーションと通して、現世の素晴らしさを表現しているというか・・
和訳の気になる点は、いつでも遠慮なくおしらせくださいませ。
Hold my hand, feel the touch of your body cling to mine
You and me, makin' love all the way through another night
I remember you and I walking though the park at night
Kiss and touch, nothing much, let it blow just touch and go
僕の手を握って、君と僕の体が重なっていることを感じて
君と僕、ふたりでまた一晩中、愛しあってしまったね
君と公園を歩いたあの夜のことを思い出すよ
キスして触れていくうちに、抑えきれなくなって・・
Love me more, never leave me alone by house of love
People talk, people say what we have is just a game
Oh, I'll never let you go, come here girl
Just got to make sweet love 'til the break of dawn
もっと愛してほしい、この愛の巣で、僕ひとり置き去りにしないで
人々は皆、僕たちの愛をただの遊びだと言うけど
僕は、絶対に君を離さない、さあ、ここにおいで
ふたりで愛しあおう、甘く優しく、夜が明けるまでずっと
[CHORUS]
I don't want the sun to shine I wanna make love
Just this magic in your eyes and in my heart
I don't know what I'm gonna do I can't stop lovin' you
I won't stop 'til break of dawn makin' love
陽が昇らなくたっていい、ずっと愛し合っていたいから
君の瞳と僕の心にかかった魔法を
どうしたらいいのかわからないけど
君を愛さずにはいられないんだ
夜が明けるまでずっと、愛しあっていたい
Hold my hand, feel the sweat, yes you've got me nervous yet
Let me groove, let me soothe, let me take you on a cruise
There's imagination I bet you've never been there before
Have you ever wanted to dream about those places you've never known
この手を握って、汗を感じて、ねえ、君がこんなに高ぶらせているんだよ
激しくしたり、鎮めたりして、君を別世界に連れて行くから
一度も想像したこともない世界へ
そんな未知の世界を夢見たことがあるだろう?
Break of dawn, there's no sun up in the sky
Break of dawn, I can see it in your eyes
Break of dawn, girl you got to understand
It's the way that I love you, let me show you I'm your man
Break of dawn
夜が明ける、ここでは陽が昇ることはない
夜が明ける、僕に見えるのは、君の瞳の中の太陽だけ
夜が明ける、君にもわかるよね
これが、僕の愛し方、僕が君の男だってことを
夜が明けるまで
[CHORUS x 2]
Let’s not wait, the sun is out, let's get up and let's get out
It's the day, a brand new day, let's both go outside and play
Let us walk down the park, makin' love ‘til it's dark
Let me move, let me soothe, 'til the break of dawn and you know it's true, oh
陽が昇ったら、待ってないで、起き上がって出かけよう
この新しい1日を、外でも楽しまなきゃ
僕たちは公園を歩き、暗くなるまで愛しあうんだ
僕について来て、君を鎮めてあげる、夜が明けるまでずっと
そうしたら、君にも真実がわかるよ、きっと
[CHORUS x 3]
Written by Michael Jackson
『Invincible』の和訳、6曲目は “You Are My Life”。
マイケルは、911テロのあとに行われた2001年のOnline Audio Chatインタヴューで、今後の人生で1曲しかパフォーマンス出来ないとしたらどの曲にしますか?という質問に、
1曲には絞れないけど、Heal The World、Speechless、それからかなり迷った末に、You Are My Life を選び、
その理由として、
うん、すごくメロディックという点が大事なんだ。こういった曲から重要なメッセージを受け取るとしたら、それは、時や場所を超えて、永遠だってことでしょう。
この曲をライブで聴くことが出来なかったのは本当に残念ですが、続けてインタビュアーが、
もうひとつ質問、実はぜひ聞いてみたかったんですが、あなたも知っているように、ニューヨークや、ワシントンDCで恐ろしいテロ攻撃があって、こんなときに自分の役割をどう感じていますか?あなたはワシントンでチャリティコンサートを行いましたが、そういった場所で、音楽を通して、アーティストとして、この難しい状況の中で人々に何をするのがいいと思いますか?
と尋ねると、
自分自身ができること、自分が持っている才能や技術・・天から授かったものを与えればいいんだ。そういったときにみんなが必要としている現実逃避の感覚をもたらすために、僕たちはここにいるんだから。
君が画家なら絵を描き、彫刻家なら彫刻を作り、作家なら書くべきで、作曲家なら曲を作り、ダンサーなら踊りを捧げ、いくらかの愛と喜びとひとときの夢を与えて、あなたが心から気にかけていること、彼らのためにそこにいることを示すこと。
遠くからじゃなくて、実際に長い時間をかけてそばまで行ってそうする。僕がやってきたのはそういうことで、他の大勢の人もそんな風に気にかけて助けてきたんだ。そういうことが重要なんだよね。
と答えていました。
マイケルの愛は、欲しがるものでなく、ギブアンドテイクでもなく、ただ与えるもの。自分のことをわかってくれる特別な「君」が、いつかは現れるのではなく、与えられるものがあると気づいて、自分が愛することをしていたら、自分も愛されていたと気づくようなもの。ではないでしょうか。
アルバムでは、前回紹介した “Privacy” はこの曲のあと。こういった穏やかさと、怒りが交互に織り込まれているのも、マイケルのアルバムの特徴ですね。
“You Are My Life”
Once all alone
I was lost in a world of strangers
No one to trust
On my own, I was lonely
You suddenly appeared
It was cloudy before but now it's clear
You took away the fear
And you brought me back to the light
僕は昔ひとりぼっちだった
見知らぬ人々の世界で、自分を見失い
信じられる人など誰もいなかった
そこでは自分しかなくて、孤独だったんだ
そんな僕の前に君が突然現れて
曇っていた心が今は晴れ渡っている
君は僕の恐れを取り払って
光のもとへ連れ戻してくれたんだ
[Chorus:]
You are the sun
You make me shine
Or more like the stars
That twinkle at night
You are the moon
That glows in my heart
You're my daytime my nighttime
My world
You're my life
君は僕の太陽
君の光で僕は輝いてる
君は星のように
夜空に輝いていて
君は月のように
僕の心を照らしてくれる
君は昼も夜も
僕のすべて
君こそが僕の人生なんだ
Now I wake up everyday
With this smile upon my face
No more tears, no more pain
'cause you love me
You help me understand
That love is the answer to all that I am
And I'm a better man
Since you taught me by sharing your life
今の僕は毎朝
微笑みとともに目覚める
泣くこともなく、痛みもない
君が僕を愛してくれるから
君が気づかせてくれたんだ
愛こそが僕が求めていたすべてだってことを
僕は前よりずっと良くなれたよ
君が僕と人生を分かち合ってくれたから
[Chorus]
You gave me strength
When I wasn't strong
You gave me hope when all hope is lost
You opened my eyes when I couldn't see
Love was always here waiting for me
僕がくじけそうなとき
君は勇気を与えてくれた
僕が絶望しているときも
君は希望の光を与えてくれた
僕が光を見失っているとき
君は僕の目を見開いて教えてくれたんだ
愛が僕のそばにずっとあったことを
(訳:yomodalite )
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