仏教・神道・儒教集中講座

井沢 元彦/徳間書店




下町に越してしばらく経ちますが、近所の鉄砲州神社も、月島の住吉神社も、深川の富岡八幡宮も、いずれも住人に厚く信仰されていて、祭りの賑わいも驚くほどです。

江戸の長屋では、トイレや井戸など共同施設が多いのですが、それでも4畳半一間のような狭い部屋でも神棚は必ずあったようで、台所と居間にそれぞれ神棚がまつってあるのが通常。一体これほどまでに信仰されていた「神道」とはいかなるものかと思い、最初に読んでみたのは、鎌田東二氏の『神道とは何か』だったのですが、鎌田氏はその中で、神道とは宗教としてはよくわからないということを、親切に潔く説明してくれ、神と仏の違いに関しては、下記のような記述がありました。

1. 神は在るもの、仏は成るもの。
2. 神は来るもの、仏は往くもの。
3. 神は立つもの、仏は座るもの。

その後、仏教に関して納得のいく解答を与えてくれた本は、小室直樹氏の『日本人のための宗教原論』 でした。(仏教だけではなく、キリスト教、イスラム教、日本人がいかに宗教音痴であることなど、一冊で日本人の「宗教」への興味や疑問に答えてくれるとてつもない名著)また昨年は副島隆彦氏の『時代を見通す力』に、仏教と神道の関係、神道の原型は中国伝来の道教であるなど、目からウロコの内容に感動しました。

でも「神道」に関して、最初に驚くような回答に出会ったのは、本書の著者による『逆説の日本史』でした。

仏教と神道と儒教が厚さ1センチほどの厚みの文庫本1冊にまとめられていて、めちゃめちゃお買徳じゃん!と思われた方もそうでない方にも。同著者による『ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座』 もぜひ読んでみたい。
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[出版社/著者からの内容紹介]世界の宗教では、神に帰依するのが当たり前にもかかわらず、日本は日本人に都合が良いように神を作り変えてきた。宗教比較により、そんな日本人の特殊性の原因、日本が中国・韓国に嫌われる理由を明らかにする、大人気宗教講座の第二弾! 徳間書店 (2007/03 単行本2005/6/30)

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by yomodalite | 2009-05-17 22:30 | 宗教・哲学・思想 | Trackback | Comments(0)

私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)

内田 樹/文藝春秋




私家版とした理由を、内田氏は、

・・・私のユダヤ人問題に対する立場は中立的なものではない(私の学問上の師はユダヤ人であり、私はその師から「ものを考える仕方」を教わった)。ユダヤ人問題についても十分に深い知識を有しているわけではない(私以上にこの問題に詳しい人は日本にもいくらもいる)。

けれども、人間の邪悪さ、愚鈍さはどのような様態をとるかについてなら私はたいへんに詳しい。私自身がその無尽蔵なデータベースだからである。本書を『私家版』と名付けたのはそのためである。


と「はじめに」で説明されている。しかし、本書には非ユダヤ人がユダヤ人問題を語ることがいかにむずかしいか、という理由が様々な角度から論じられていて、著者があとがきで書いている、

私のユダヤ文化論の基本的立場は「ユダヤ人問題について正しく語れるような言語を非ユダヤ人は持っていない」というものである」

という結論に読者を導いていく。学習濃度の高い本です。

非ユダヤ人の中でも、聖書や「神」をまったく理解しない日本人が、ユダヤを語ることや「知性」を身につけることが、いかに困難かということも。「ユダヤ人」のことだけではなく、日本人が「他者」を理解するための必読書。
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【BOOKデータベース】ノーベル賞受賞者を多数輩出するように、ユダヤ人はどうして知性的なのか。そして「なぜ、ユダヤ人は迫害されるのか」。サルトル、レヴィナスらの思想を検討しながら人類史上の難問に挑む。 文藝春秋 (2006/07)



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by yomodalite | 2009-03-13 12:09 | 宗教・哲学・思想 | Trackback | Comments(0)

日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)

島田 裕巳/幻冬舎




著者による同じような内容の著書を読んだ気はしたものの、機会があったので、さらりと通読。宗教のもつ本質的な狂気を感じさせないことで、初心者にも優しく、また、色々知っている上級者にとっても、参考になるカタログだと思いました。


とりあげられている宗教の要約を下記にメモ。


天理教/金光教、黒住教と同じく幕末維新期に誕生。教祖=中山みき。

大本/金光教に影響を受けた出口ナオが開祖。その後義理の息子である出口王仁三郎を得て活況を呈した。丑の金神=国常立命(くにとこたちのみこと)。国常立命は、天理教など神道系宗教に共通した「神」。戦前は「皇道大本」、戦後の一時期は「愛善苑」を名乗る。高橋和己『邪宗門』のモデル。他にカルト的人気小説で王仁三郎の孫である出口和明(やすあき)が書いた『大地の母』は、古武術家甲本善紀も絶賛の壮大な内容。

生長の家/創立者谷口雅春は元大本の信者。天皇信仰。宗教活動は雑誌の出版を主体とする。海外(特にブラジル)の信者数の多さが特徴。

天照皇大神宮教/教祖=北村サヨによるナニワ節を思わせる歌による説法。サヨは戦前は生長の家の信者。「踊る宗教」として話題になる。山口県田布施が本部(上之郷利昭『教祖誕生』で岸信介とのかかわりが描かれている)。天照皇大神宮=天照大神(伊勢神宮の内宮は皇大神宮と呼ばれている)。『邪宗門』にも好意的に扱われている。

璽宇(じう)/長岡良子(ながこ)=璽光尊。北村サヨが「第二の璽光尊」と呼ばれた時期もある。有力信者に囲碁の名人 呉清源(ごせいげん)、双葉山、平凡社創業者など。国粋主義傾向。マッカーサー訪問が話題となり復員軍人らに支持されるが、取り締まりが厳しくなり、各地を転々とする。大本系と、真言密教系霊能者の長岡良子の2つのグループがある。天照皇大神宮教と同様に、神道と仏教の混交した宗教。

立正佼成会/東京都杉並区和田が本拠地。霊友会から分派。霊友会、創価学会と同様、日蓮・法華系の教団。創立者=庭野日敬(にわのにっきょう)、長沼妙佼(ながぬまみょうこう)。妙佼は以前は天理教信者。

霊友会/久保角太郎とその兄嫁である小谷喜美により発足。男女ペアである点は立正佼成会と同様。元を作ったのは西田無学。「総戒名」「霊鑑」「青教巻」などは、立正佼成会や、霊友会の分派にまで受け継がれている。1949〜53まで次々と分派が生まれた。1971年に喜美が亡くなると久保の息子の久保継成が会長に就任。東大印度哲学科博士課程修了の継成は、「インナートリップ路線」を掲げ若年層に支持を拡大した。

創価学会/創立者=牧口常三郎は小学校の校長を歴任した教育者。創立当初は「創価教育学会」。日蓮正宗を信仰し現世利益を特徴とする。二代目=戸田城聖は、小学校の代用教員から「時修学館」という学習塾で成功を治め、受験参考書もベストセラーになっている。出版、食品など実業家としての才能に加えひとの心をつかむ能力に長けていた。名称を「創価学会」に改め、信者は飛躍的に拡大した。三台目=池田大作は、敗戦直後に入信し、戸田の作った出版社や、小口金融で頭角をあらわし、戸田が亡くなった後、32歳で会長に就任。「仏法は勝負」など勝ち負けを強調する。会長をはじめ会員は、『三国志』『水滸伝』を好む。

世界救世教/開祖=岡田茂吉は元大本の信者。浅草の露天商の生まれ。「手かざし」は大本に遡るものだが、世界救世教が、手法をシステム化し分派にまで広がっている。箱根美術館やMOA美術館などの美術への関心は王仁三郎の影響がみられる。自然農法・有機農法の運動の先駆。ヤマギシ会も一部で世界救世教から土地を借りていた。1955年に岡田が亡くなると、数々の分派ができる。

神慈秀明会/「あなたの健康と幸せを祈らせてください」の3分間の手かざしが有名。
創立者=小山美秀子は、東京自由学園で学び、やがて岡田茂吉の直接の弟子となる。二代目=小山荘吉は、美秀子の長男で海外での信者獲得にも貢献した。三代目=小山弘子は荘吉の妹で、街頭の手かざしなどさらに教団の勢力拡大したが、若者の学業や、仕事放棄などにより社会的批判を受けた。

真光系教団/世界真光文明教団や崇教真光。創立者=岡田光玉は元世界救世教の有力信者で布教師。陸軍少将の7人姉弟のただ一人の男子として東京に生まれる。陸軍士官学校に入学、陸軍中佐時代に胸椎カリエスと腎臓結石を患い予備役に編入。その後実業界に転じるが空襲により事業は灰塵に帰した。生長の家、大本、世界救世教と関わりをもった。1953年に多田建設に取締役顧問ちして入社。実業家としての活動を続けながら宗教活動を展開する。1963年に世界真光文明教団に名称を改める。浄霊を「真光の業」と呼ぶ。1974年に光玉が73歳で亡くなると内紛が起こり、光玉の養女であった岡田恵珠が「崇教真光」を名乗るようになった。今日のスピリチャルブームの先駆けとなったともいえるが、簡単に関われ、抜けるのも簡単であるため、組織の永続性を保つのが難しい。

PL教団/正式名称パーフェクト・リバティー教団。毎年8月1日に行われる花火が有名。打ち上げられる花火の数は、隅田川花火の6倍。ラストは8千発を一挙に連続して打ち上げられる。PLの花火を経験するとほかの花火での感動が難しくなるほど。創立は戦前に遡る。開祖=御木徳一は松山の商人の家の生まれだったが、父親が商売に失敗し、寺の養子となり修行のため諸国を遍歴した後、安城寺の住職となるが貧乏のため、僧籍を離れ大阪で商売をするようになるう。徳光教の信者となり、1931年扶桑教ひとのみち教団を立ち上げる。ひとのみち教団は大きく発展し中国や韓国にも進出し各地に拠点が作られた。しかし百万人を超える信者を獲得するようになると、国家はその動向を危険視するようになり教団は解散させられた。当初よりひとのみち教団は大成に順応する姿勢を示していたので弾圧は言いがかりにちかいものだった。徳一は厳しい取調べ後の保釈中に死亡し息子の徳近が懲役4年の有罪、敗戦によって不敬罪が消滅するまで、囚われの身となっていたが、1945年に徳近が出所すると、パーマネント・リバティー教団に改称され、その後すぐにパーフェクト・リバティー教団に改められた。

真如苑/1980年代半ばに、沢口靖子、高橋恵子、鈴木蘭々、松本伊代、大場久美子などが入信していると伝えられ話題となる。「接心」と呼ばれる修行は霊的な開発を目的としたもので、教団独自の秘技として注目された。創価学会、立正佼成会に次ぐ第三位の規模を誇る教団とみられる。真言密教系で現世利益の実現を求める。京都の真言宗醍醐寺派の総本山、醍醐寺と密接な関係を持つ。「接心」はシャーマニズムというよりカウンセリングに近いもので、受付の雰囲気など日常的な感覚で、創価学会のような積極性はみられない。
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【内容説明】新宗教とはいかなる存在なのか。創価学会に次ぐ教団とは? 新宗教は高校野球をどう利用してきたか等の疑問に答えつつ、代表的教団の誕生と分裂、社会問題化した事件などをひもとき、日本人の精神と宗教観を浮かび上がらせる。
幻冬舎 (2007/11)

【目 次】
はじめに
1.天理教
2.大本
3.生長の家
4.天照皇大神宮教と璽宇
5.立正佼成会と霊友会
6.創価学会、
7.世界救世教、神慈秀明会と真光系教団
8.PL教団
9.真如苑
10.GLA(ジー・エル・エー総合本部)
おわりに〜言及できなかった新宗教:金光教、善隣教、阿含宗


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by yomodalite | 2008-08-25 20:04 | 宗教・哲学・思想 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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