『M Poetica』は、それまでの4冊と違って、マイケルと直接会ったことのない1ファンの研究者が書いたものですが、マイケルについて知りたいというだけでなく、その精神を学びたいと思う人にとっては、多くの気づきを与えてくれる本だと思います。それで日本語にするために、これまで以上に時間をかけているのですが、しばしば、その厚みにめげそうになったとき、読者希望メールは本当に励みになります。
そういったメールの多くに「最近ファンになった」と書かれているので、どんなきっかけだったのか知りたくて、真っ先に質問してしまうのですが、みなさんも興味あるんじゃないかと思うので、今日は最近いただいたメールをシェアします。
おいしみる(←まだ小さなお子さんがお味噌汁のことをこう言うそうです)さんのメールより
マイケルに繋がった経緯は、YouTubeでかてぃんさんというピアノでジブリの曲等を弾いている方がいらっしゃって時々覗いていたんです。
そしたらある日、Heal The Worldを投稿されているのを発見して、聴いてみるとなんと綺麗で染み込んでくる曲!!と思って調べてみるとマイケル・ジャクソンの曲だと知りました(We Are The Worldくらいしか知らなかった私です…)。
何度も何度もHeal The Worldを聴いて何度も何度も泣きました。
泣きながら私自身が浄化されましたし、世界に対しての向き合い方を深く考えました(子どもに聴かせたら気持ち良さそうに踊ってました)。
もう、そこからは他の曲も知りたいという流れになり、どれもこれもなにもかも素晴らしい作品なんだと知りました。
曲に触れていく過程で、何故こんなにマイケルに惹かれ続けるのか、マイケルの思考や精神性について興味を抱くようになり、その辺りの検索をしているタイミングでyomodaliteさんのブログに出会った次第です
yomodaliteさんのブログは凄いボリュームかつ知的レベルが高いので咀嚼に時間がかかる私は、まだ隅々まで拝見できてないのですが、訳詞1つとっても、その曲の背景まで説明してくださっている丁寧さやマイケル愛や労力がひしひしと伝わってきますし、ScreamのSF中のアートの記事なんかは疑問に思っていた事なのでほほーっと感心しきりでした!!
マイケルと神については私がまさに求めていた話でますますマイケルは尊い方だと再認識しました!!
(メールはここまで)
かてぃんさんの「Heal The World」787,552 回視聴なんてスゴい!!
不勉強で存じなかったのですが、イントロ部分の静けさが特にたまらなくて、他の曲もどんどん聴きたくなってしまいますね。(ちなみに「夜を駆けない」は2回続けて聞いちゃいました。オリジナルはYOASOBIが紅白で角川武蔵野ミュージアムの本棚をバックに歌ってた曲ですね)
かてぃんさん、なんと芸大じゃなく東大出身!
https://ja.wikipedia.org/wiki/角野隼斗
ちなみに私も『We Are The World』の頃は、そんなにマイケルのこと好きじゃなくて、ファンになってからもあまり好きではない曲の1つだったんですが・・ソロバージョンでヤられてしまいました。こちらはもうお聴きになってました?
https://www.youtube.com/watch?v=NMMFPegwSTs
それにしても、つい最近ファンになってくれた方が、Screamのアートや、マイケルと神についての記事に興味を持ってくれるなんてびっくり!私自身はリアルタイムではそんなこと考えなかったし、彼が旅立つという衝撃がなかったら、今どうなっていたことか・・。どれも悩んで書いたけど、特に「神について」は苦しんで、自分で一番読み返したくない記事でもあるので嬉しいです(読み返すと書き直したくなる無限ループに陥るので、やっぱり読み返せないけどw)。
いつか、おいしみるさんが求めていた、マイケルと神に関する話も伺いたいので、気が向いたときにコメントもお待ちしてます!
☆「Michael Jackson Library」について
https://mjswords.blogspot.com/
マイケルの写真はこちらからお借りしました
https://vickylovesmichael.tumblr.com/
『M Poetica』楽しんでるぅー?
Yes!と返ってくるのを期待して、そう言いたいところだけど・・多分、そうじゃないよね?
なかなか始められなかった理由のひとつが、この最初の取っ付きの悪さで、
少しでも読みやすい日本語にするために時間をかけているんだけど、なかなかウィラが言いたいことがストンをふに落ちないという人が多そう。
第1章は、おなじみの曲がタイトルになっていて、ファンなら何度も見ているショートフィルムについて書かれているのだけど、見ればわかることを、わざわざ文章にしているだけで、目新しい情報も、話のネタになる知識もない・・・
そんな風に感じた人も多いんじゃないかな。
今週末アップする「ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール」についても、「マイケルのショートフィルムのなかでも、特に興味深い作品のひとつだが、複雑でちゃんと理解されていない作品でもある」と書かれてはいても、最後まで読んで「ちゃんと理解できる」かと言えば、そうでもないような・・。
読んでる人が面白いと思わないものに、時間を割くのはツライと言う経験は、『MJ Tapes』の後半、シュムリーの1人Partを訳しているときもそうだったんだけど、
あちらは、音楽やパフォーマンスではなく、プライヴェートのマイケルを絶賛していたラビが、彼が死に至った原因を自分から離れて行ったことに見出して批判するという、ある意味わかりやすく、典型的なインテリの文章だったので、こちらも怒りと反論をエネルギーにしながら、訳し終えることができたのだけど、
ウィラが描こうとしていることは、それとはまったく違う。
多くのファンは、マイケルに起きた騒動について、この社会に存在する邪悪な目的を要因と感じ、それらへのマイケルの対応の悪さに悔しい思いをし、彼を助けられなかった周囲にも批判の目を向ける。
そして判断を間違ったマイケルのことは、そこもダメなところとして愛してしまう。まるで、子供を思う母親のように。
でも、ウィラは違う。
彼女は、マイケルがしたことのすべてを肯定し、その素晴らしさについて、誰も指摘しなかった点を掘り下げようとしている。
第7章まである膨大とも言える量の文章の中には、性的幼児虐待疑惑や、整形など、マイケルを描くときに欠かせない事柄に対して、事実をもとにした鋭い論考もある。
でも、私が思うこの本の一番の魅力は、「言葉にできない」ことを描こうとした点だと思う。
私たちは、何かしらマイケルからメッセージを受け取ったと感じている。
そこには、環境問題や人種問題など、依然として解決がつかず、常に話題になるような事柄も多い。でも「メッセージ」ってなんだろう?
問題というのは、気づくことで「発見」されるものなので、「目覚めた」だけで自分が優れているかのように感じ、ひたすら人々の目を覚まそうと啓蒙活動に邁進する人も多いのだけど、私たちは、マイケルに啓蒙されたのではないと思う。
私たちは、マイケルに「感動」したのだ。
彼を賞賛する言葉はたくさんあって、私たちはそれを裏付ける記録や情報を知りたいと思う。
でも、マイケルから感じたことは、なかなか「言葉にできない」なぜだろう?
私が知る限り、ウィラはそのことを最も意識した「書き手」だと思う。
彼女は、文学博士として、難しいことを言いたいのではなく、マイケル自身が「愛」とは「言葉にできないもの(speechless)」だと感じた境地を見据えているのだと思う。
だから今、ふに落ちなかったり、共感できなくても、彼女のマイケルへの愛だけは信じてあげて!
そして、ついでに、この長い長い詩論を完訳しようと苦労している私たちのことも!
というわけで、
とりあえず、こちらは、どこが複雑で、理解されてないのかさっぱりわからない「The Way You Make Me Feel」の和訳です!
M Poetica を含む5冊の未邦訳の海外本を読みたい方は、
オープニングの文字と、壁のモニターに映し出されるグラフィックと、そこから変化して現れる、“gravity(重力)” “habitation(住居)” “gallery(ギャラリー)” “media(メディア)” “meditation(瞑想)” “observation(観察)” “recreation(レクレーション)” という文字。“gravity”という文字が映し出されると、無重力状態のマイケルが現れるなど、ここで描かれている映像の見出しのような役目になっていて、デザインしたのは、ソニーやナイキのCMや、映画『ファイトクラブ』のオープニングシーンなど、マルチメディアデザイナーとして有名だったP. Scott Makela。
“habitation(住居)”
ふたりが暮らしている無重力の住まいのインテリア、壁にかかったスーツ・・
“gallery(ギャラリー)”
マイケルとジャネットはそれぞれ壁を隔てたラウンジにいる。
同じイスに座ったジャネットが操作するリモコンは、二次元画像ではなく、彼女の意思から具現化したホログラムのようで、
これは、キクラデス文明時代の女性像の頭部
元になっているのはヴァチカン美術館にある「ジュスティニアーニのアテナ」のようですが、
“media(メディア)”
たくさんの座席の前方で、ビデオゲームをするふたりは、メディアとの対決を表現しているよう。
“meditation(瞑想)”
ストレスを解消しようとしてか、マイケルは円形の石庭の中心に造られた小さな茶の湯の座敷で座禅を組んでいる。
“observation(監視・観察結果・意見)”
「プレッシャーをかけるな」という声が響く。ジャネットはトイレの中まで覗かれ、その耐えがたい状況に中指を立て、最大限の怒りの表情。大スクリーンにニュース映像が映し出されると、ジャネットの声で「信じられない・・」そして、瞑想中のマイケルも我慢ができなくなり叫びだすと、天井のガラスが割れ、その破片が座禅中に彼に降りかかる。怒りのマイケルが大スクリーンに映ると、その前ではジャネットが踊っていて、ジャネットがスクリーンに映し出されたときは、マイケルが踊っている。宇宙船の中の重力はコントロール不能に陥り、ギターや家具の一部が空中を飛んでいる。
“recreation(レクレーション)”
観客席の前のスカッシュルームのような部屋では、お気に入りの7番がついたスポーツウエアに着替えたマイケルが美術品のように陳列されている黒い壺をめがけてラケットを振り、壺は次々に割れていくが、怒りが収まらず、何度も叫び声をあげるふたり(スクリーンのアニメも常に叫んでいる)。オープニングと同じ「Scream」の文字が現れ、それが破裂すると、ヘッドフォンからのノイズの苦痛に激しく首を振るジャネット、ジャネットの肩を優しく抱き支え合うふたり、しかし、同じヘッドフォンをつけたマイケルは、ジャネットよりもさらに激しく首を振り、もはや分裂する寸前・・。
それなのに、どんなストレスもカッコイイ曲にしてしまうことがよくわかる
「Scream」の和訳はこちらです!
そして、マイケルが、アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロック、ルネ・マグリットといったアーティストから、表現したかったものについては、こちらに続きます。
今日はアンディ・ウォーホルによる、マイケルのインタビューを紹介します。これは『マイケル・ジャクソン全記録』にも記録がないものなので、初めて見るという人も多いかもしれません。
マイケルが、モータウンからCBS/エピックに移籍したのは1976年の3月。その年の10月に「Enjoy Yourself」がリリースされ、ポップチャートで最高6位を記録。移籍後初のアルバム『Jacksons』も同じ年にリリースされ、モータウン最後のアルバムより遥かにヒット。そして、翌年の1977年に「Show You the Way to Go」がイギリスで1位になり、初めての映画出演となる『The Wiz』のリハーサルのため、7月に姉のラトーヤとともにニューヨークに引越し、8月には、ラトーヤ、ジャネットと一緒に初めて「スタジオ54」に行き、10月には、そこで『ウィズ』のパーティーも行われたんですが、このインタヴューはそんな1977年の年頭1月に行われたもの。
マイケルとウォーホルが「Studio 54」にいる写真をご覧になった方は多いと思いますが(一番上の写真もStudio 54での写真)、このインタヴューは、世界一高価な通りとして知られるマンハッタン五番街で、セレブ御用達ディスコとして知られていた「REGINE」で録音されたもの。Studio 54のオープンは、1977年の後半なので、ふたりが初めて出会ったのは、このときだったのでしょう。
以前、ウォーホル主催の雑誌(「Interview」)で1988年に行われたインタヴューを紹介しましたが、
今回のものは、ウォーホルと、彼の取り巻きのキャサリン・ギネス(MJにあまり興味がない様子の彼女は、ギネスビールで有名な一族の出身で、20世紀前半のイギリス上流階級として有名なミットフォード姉妹の三女ダイアナ・ミットフォードの娘)によるもの。
メイプルソープが1976年に撮影したキャサリン・ギネス
「Interview」誌のアーカイブをすべて調べたわけではありませんが、この書き起こしは、音声テープからのもので、最終的に紙面にはなっておらず、存在するのは「音声テープ」のみなのかもしれません。ウォーホルは日常をよく録音していた人なんですよね。
これは、別の件で、ウォーホルとマイケルについて調べていたときに、偶然、下記のサイトで発見したんですが、ここ以外では見つからない?(音声テープから書き起こすということをするのは、英語圏のサイトではないからかもしれませんね)
http://www.mjtranslate.com/en/interviews/1647
https://www.mjhideout.com/forum/threads/andy-warhol-entrevista-a-mj-1977.127204/
1977年のインタヴューといえば、オーストラリアの番組で行われたものや、
スタジオ54のオーナーによるものが知られていますが、
このときのマイケルは、初めて会うウォーホルに「絵を描くのが好きなんですか?」とか、「アートはお好きですか?」とか、信じられないような、ボケをかましてますww
ただ、この「天然」ぶりは、ちょっぴり注意が必要です。
このときマイケルと同席したスーザン・ブロンドは、元々ウォーホルの雑誌「Interview」の広報で、そのあとエピックに移ったんですね。ですから、このインタビューはブロンドのツテによる可能性が高く、実際にウォーホルのことをよく知っている彼女は、事前に色々とマイケルに話したはずなんですよね(彼女は「スリラー」までMJの広報でした)
1983年のMJとスーザン・ブロンド
相当のアート通だったマイケルもこのときはまだ、という可能性もなくはないですが、ウォーホルのエルヴィスの肖像画は1963年で、エリザベス・テイラーは1964年、マリリン・モンローの肖像画は1967年で、コカコーラやキャンベルスープはもっと前の1962年。この中で、マイケルが見たと言っているヒッチコックとの写真も1974年のものですから!
マイケルはモータウンを離れるときの話合いにも、ジョーとふたりで参加し、裏ではゴーディとやりあうなんてこともしていて、当時から有能なビジネスマンの顔ももっていました(ゴーディ談)自らのアイコン化を、懸命に考えていたマイケルが、1977年にウォーホルのことを、ここまで知らないなんて・・・やっぱ、ありえない!
と、私は思ったので、あちこち大笑いしてしまいました!
もう、マイケルってホント「人たらしの天才」なんだからぁ。
では、前置きが長くなりましたが、商業インタビューとは一味ちがう「生の会話」をお楽しみください。
☆ ☆ ☆
1977年1月31日月曜、ニューヨーク午後10時、アンディ・ウォーホルによるマイケルへのインタビューは、五番街にあるセレブ御用達の超高級ディスコ「REGINE」にて行われた。
ウォーホルとキャサリン・ギネス、マイケルと彼のレコードレーベルであるEPICの広報担当スーザン・ブロンドが同席し、インタビューの後半では、それまで彼らとは離れた場所にいた、ダンサーで『THE WIZ』のスター、ステファニー・ミルズも登場する。その他、MJの側近で個人的なマネージャー、ボディガードもいた。
(Tape #1, Side A introductions)
バックグラウンドでは、ディスコミュージックが絶え間なく流れている(スティービー・ワンダーの「ISN’T SHE LOVELY?」、Double Exposureの「MY LOVE IS FREE」、Thelma Houstonの「DON’T LEAVE ME THIS WAY」)など…
ウォーホル:ちょっとうるさくない?
スーザン・ブロンド:少し静かにする必要があると言ったので、彼らは、私たちをここに座らせたんですが、あなたが言うように、それでも、まだかなりうるさいですね。あなたがマイケルと話が出来ればいいんですけど。
キャサリン・ギネス:レコーディングをするためにニューヨークに来たの?
いえ、インタビューです。 あなたはどちらから?
ギネス:ロンドンよ。あなたは?
僕は、ゲイリー
ギネス:それって、どこ?
インディアナ州。
ギネス:というとどのへん?
中西部です。
ギネス:はいはい、いいところよね。
あなたは、絵を描くのが好きですか?
ウォーホル:僕が絵を描くのが好きか、だって?
アートはお好きなんですか?
ウォーホル:うーん・・本当に好きなのは映画作りなんだけど、難しいからね。
僕はずっとあなたが詩を書いていらっしゃる方だと思ってました。
ウォーホル:詩人?!詩人はたいてい素晴らしい音楽を作り出すものだが、私には歌うのは無理だね。
(料理を注文)
ウォーホル:ここのサラダは本当に美味しいんだ。 トリュフに、フォアグラ…
ギネス:あなたは歌って踊れるファミリーの中で一番年上なの?
僕はソロで歌ってます。
ギネス:あなたは兄弟で歌っているとばかり思っていたわ。
それもやってますけど。
ギネス:あなたは最年長?最年少?、それとも真ん中ぐらい?
僕は2番目です。
ギネス:2番目っていうと?
下から2番目です。
ギネス:ふぅん。全員男の子なの?
僕らは9人兄弟で、女の子が3人、男の子が6人。
ブロンド:彼女たちも今、TVショーで活躍してるんですよ。
ギネス:ご両親はどうなの?彼らも歌ったり踊ったりできた?
ブロンド:父親がマネージャーなんです。
ギネス:それはいいわね。
ブロンド:それ、トリュフスープ?
トリュフって何?
僕は、肉とじゃがいもが好きです。
ギネス:練習は毎日するの?
ほぼ毎日ですね。
ギネス:あなたの姉妹は、まだ学校に通っているのよね?
ええ。彼女たちはテレビには出てるけど、僕らとツアーに出かけることはないので。
ギネス:なるほど。じゃあ、彼女たちはタップダンスなんかもできるの?
1人はできます。
ギネス:流石ね。私もそう出来たらいいのに。
ウォーホル:ニューヨークでは何をして過ごしてるの?
インタヴューですね。
ウォーホル:もうすぐ君はトイレに行かなきゃいけなくなるね。
そうですね。僕はたくさん水を飲むから。
ブロンド:マイケルたちは、今度、フレッド・アステアと一緒に番組をやろうと思っているんですが(1976年から始まったジャクソンズのバラエティ番組「The Jacksons」でのこと?)、今回のクールでは無理みたいで、次のクールになると思います。
ウォーホル:というと?
ブロンド:彼らはもっと若いひとにウケるような人を求めているんです。
そうすると、視聴率が取れるから。
ギネス:でも、午後の8時半からじゃ、若者向けとは言えなくない?
???(聞こえなかった?)
ギネス:夜の8時半だと、年寄りしか見ないんじゃない?って言ったの。
若者にも、老人にも見てほしいんです。若い子がメインにはしたいけど。今は若者がチャンネル権を持ってて、視聴率も持ってるから。
(テープチェンジ)
これについてもっと話したいんだけど・・
ウォーホル:OK。もっと話してくれ
ギネス:大体のことは話しちゃったんじゃない?
ウォーホル:大体のことって?
ギネス:お互いの秘密を打ち明けたし。
ウォーホル:何を言っているんだ、君は。どこに秘密があった?そんなことないだろ?もう少し話さなきゃ。そうだろう?
あなたといつも一緒にいるって僕が思ってた人がいるんですけど。なぜか、あなたの写真を見るたびに、あなたはヒッチコックと一緒にいて、僕は、兄弟なんじゃないかって思ってました。
ブロンド:どの写真のこと?「ローリングストーン」誌か何か?
ウォーホル:いや、「ピープル」誌だろう。
ヒッチコックにもインタヴューしたんですか?彼は話し方が面白いですよね。
ギネス:彼はイギリス人だったわよね?
ウォーホル:彼は女性みたいな話し方で、面白いよね。
ギネス:私には訛りはないけど、あなたの発音には訛りがあるわよね
ウォーホル:スーザンの声はどう?彼女を君のテレビ番組に出演させられない?
いいですよ、彼女を出演させられますよ。彼女は演技できる?上手ですか?
ウォーホル:すごく上手だよ。そうだ、君たちのアニメ番組。いつも見ているよ。土曜の朝のお気に入りなんだけど(邦題「それゆけ!ジャクソン5」のこと)。まだやってたかな?
今、再放送してます。その番組は海外でも放送されてるんですよ。
ウォーホル:君はどれぐらい前から仕事しているの? 2歳ぐらいから?
4歳からです。
ウォーホル:そうすると、もう何年になる?
僕は今18歳です。
もう14年も働いているのか。それは長すぎるキャリアだね。
でも、それが楽しく感じられて、気に入ったなら、いいことだと思ってます。
ギネス:このトリュフとフォワグラ最高!
これは、キャビア?
ギネス:そうよ、一緒にスクランブルエッグもどう?
いえ、僕はそれほど好きじゃないので。
ウォーホル:どうして?君も食べてみたら?試してみなよ。
ほんの少しで大丈夫です。
ウォーホル:すごく美味しいよ。君も食べればいいのに。
ブロンド:そういうことが多いんですよ。彼は少しづつ食べるのが好きで。彼に一口食べさせてやってくださいよ。
(マイケル、キャビアを食べてみる)
あなたは本当にこれが好きなんですか?
ギネス:そうね。でも不思議なことにその理由はよくわからないのよね。たぶん食感かな。
わかんないな。どうしてこんなものが食べられるのか?
ウォーホル:君がガールフレンドを食事に連れ出し始めたら、きっとこういうものを食べることになるよ。
まさか!
ウォーホル:いや、そうなるって。
好きじゃないから、食べないですよ。
ウォーホル:すごくたくさんの人が気に入ってるんだから、絶対に美味しいって。
ギネス:でも、たくさんは食べられない。だからいいのかもね。
ウォーホル:いや、私がイランにいたときは、1日中これを食べてたよ。
あなたは、ディズニーランドに行ったことはありますか?そういう場所はお好きですか?
ウォーホル:あるよ。あそこは素晴らしいよ
あなたが着ているボウリングシャツ素敵ですね。それはどこでお買いになったものですか?
ギネス:ケンジントンマーケットよ。でもこれ、これアメリカ製なのよね。
ウォーホル:私は古い服は箱に入れて保管しておくんだけど、君は素晴らしい衣装を着ているよね。そういうのは使ったあと、どうしているの?
僕たちはそれを保管しています。衣装がいっぱいに詰まった部屋を3つもっています。
ギネス:いいわねぇ。あなたの衣装は誰がデザインしているの?ボブ・マッキーとか?
彼にもいくつか作ってもらいました。
ウォーホル:いいね。スパンコールが付いてるようなやつ?
いえ、シャツだけです。僕たちはすべての衣装を保管してます。エド・サリバンショーで着たものも。
ウォーホル:それは、君が最初に出演した番組?
うーーんと、今週の金曜日にやるディック・クラークの番組(「アメリカン・バンドスタンド」)の25周年記念でそのときの映像が映ると思います。
ブロンド:それと、グラミー賞の授賞式にも出るんじゃなかった?
うん。僕たちは「ENJOY YOURSELF」でゴールドレコードを受賞することになっています。
ウォーホル:え、なんて?
「エンジョイ・ユアセルフ」!
ウォーホル:ああ、はいはい。
ブロンド:彼はきっとそれがどんな曲か知らないわよ。ねぇ、ちょっとハミングしてみてよ・・
じゃあ、「エンジョイ・ユアセルフ」をハミングします。
(マイケル「ENJOY YOURSELF」をハミングする)
ブロンド:ねえ、こういったお金持ち連中が踊っているの、面白くない?
いえ、アンディは踊らないんですか?
ギネス:彼は一度も踊ったことはないわ。私はすごく酔っぱらってるときだけ。
それでは踊れないよ
ウォーホル:ハリウッドでデートしたことはある?
いいえ。
ウォーホル:なんで、君すごくかわいいのに。
番組以外では1度もしたことがないです。それは仕事としてですから。
ウォーホル:へぇそうなの。
こういった場所はお好きですか?
ウォーホル:「Regine」のこと?気に入ってるよ。
いえ、僕が言っているのは・・
(テープチェンジ)
ラスベガスとか・・(華やかな都会という意味?)
ブロンド:数週間前までレコードのプロモーションでサンフランシスコにいたんですが、そこで大変な騒動が起きて。
店の窓の外にファンがいてね。
ブロンド:大勢がもみくちゃになったせいで、窓が割れて倒れたんです。そのときのことなら、マイケルは何時間でも話すことができますよ。
ああ、本当に最悪だった。女の子が喉を切っちゃって、そこらじゅう血だらけになっちゃって。窓の向こうに何千人も若い子が押し寄せたんだ。
ウォーホル:それは恐ろしい。
あなたは『ウィズ』を観たことがありますか?
ウォーホル:ああ。オープニングの夜に観たよ。とても素晴らしかったけど、中でもステファニーは本当に素晴らしかった。今では毎晩のように、テレビCMで彼女を見るけど、ホントにマジで素晴らしいね。君が彼女と初デートするときも、こんな風に付添人を連れてするの?
ブロンド:付添人なしなんてありえないですよ?彼はいつも6人は連れてますよ!
舞台の初日ですか?それとも僕の初デートのこと?(うるさくて聞き取れなかった?)
ウォーホル:いや、私が言ったのは、スターと一緒のデートは初めてかってこと?
いえ、僕はステファニーのショーに行きましたし、そのあと、彼女は大きなパーティーも開きました。モータウンのスター全員が来るような、本当に盛大なパーティーで、すごく素晴らしかった。彼女はそこで3回もスタンディングオベーションを受けたんだ。ダイアナ・ロスや、スティービー・ワンダーとか、みんながいるような場所で。
ウォーホル:素晴らしいね。
あなたに子供はいますか?
ウォーホル:私に?私は結婚は信じてないな。
そうなんですか?どうして?
ウォーホル:愛が信じられないんだ。
本当?どうして?デートはするのに?
ウォーホル:うん、デートするのは好きだよ。
1人暮らしなんですか?
ウォーホル:犬と一緒にね。君は家族と住んでるの?9人の兄妹全員で?
兄妹のうち5人は家を出ました。
ウォーホル:彼らはもう結婚しているの?
4人は結婚してます。
ウォーホル:みんな、子沢山になるんじゃない?
そうかもしれません。あなたは子供が好きですか?
ウォーホル:うーーん、自分の子供でなければね。
ブロンド:いつか、アンディの初期の映画を見るべきよ。彼は4時間もある映画だけでなく、8時間のもの、24時間もある映画も作ったんだから(『エンパイア』のこと。8時間5分の間スローモーション、定点長回しでエンパイアステートビルを撮し続けた作品)。
それは、どんなストーリーですか?
ウォーホル:観客は眠らなかった人たちだけ。君は夜は8時間寝る?
そうしようとは思っているんですが、あなたは?
ウォーホル:私には無理だね。夜に寝るのは1時間ぐらい。今はね。
ブロンド:今いくつかの脚本をかかえているんですか?それとも、だいぶ先の話で?
いつも考えてるんだけど、僕が自分自身のためにやりたいアイデアがひとつあるんです。それはタップダンサーになりたがっている少年についてで、ショービジネスの世界で、彼が戦っていく話です。
ブロンド:あなたは何百万というレコードを売ってきたのよね?8千万枚ぐらい?
6千万枚ですね。
ブロンド:私たちがエピックで、ジャクソンズとして契約したとき、マイケルのソロアルバムを出すこともその契約の中に盛り込んだんです。
ウォーホル:素晴らしい。ところで君は犬を飼っているの?
3匹飼っています。ドーベルマン1匹とジャーマン・シェパード2匹。
ウォーホル:3匹とも怖そうな犬だね。なぜ君は3匹も怖い犬を飼っているの?
ぼくらの家を守るためです。
ブロンド:マイケル、あなたのオウムについて、彼に話してあげて。
ウォーホル:そのオウムしゃべるの? どんなこと言う?
彼はクレージーなんです。笑うし、泣くし、ハローもグッバイも言いますし、オペラも歌う・・
ウォーホル:ホント?オペラまで?
クレージーなんですよ。バリー・ホワイトがクリスマスに僕にプレゼントしてくれたんです。
ブロンド:今日、このインタヴューの前、マイケルはこのあたりの動物園にも出かけたんですよ。
僕は以前、たくさんの鳥を飼っていたんだけど、それらを手放さないといけなくなったんだ。孔雀やダチョウも飼っていたんだけど。
ブロンド:あなたの家・・
うん、昔ね、でも、僕らは引っ越すことになったんだ、家が近すぎたので。家の中にスタジオを建てたんだ、16トラックとか、そういうので、リハーサルをすると、近所の人たちから苦情が来るんだ、それで引っ越した。
ウォーホル:どこの映画スターが文句を言ってきたの? 全員?
文句を言われたのは1人だけだよ。フランク・シナトラが僕たちの家の上の方に住んでたんだ。
ウォーホル:彼が文句を言ってきたんだ?
ううん、彼は言ってないけど、彼のバルコニーは、僕たちの家のすぐ上だったから。
ウォーホル:そうだったの?彼には会ったことあるの?
うん、彼には何度も会ったことがあるよ。
ウォーホル:それなのに、バルコニーで文句を言われたの?
バルコニーではないです。
ウォーホル:ふうん。
あなたが写っている写真があったら送っていただけないですか?
ウォーホル:私が送ったら、君も君が写っている写真を送ってくれる?
ブロンド:もう、かわいいんだから
スティービー・ワンダーのことは知ってますか?
ウォーホル:彼がマジソンスクエアガーデンで演奏したときに1度会ったことがある。彼は本当に素晴らしいよね。私は彼にカメラをプレゼントしたんだ。彼が写真を撮っていたからね。実際に彼が撮れるのかどうかはわからないけど。
(ここで、ステファニー・ミルズが合流)
ステファニー・ミルズ:カモーーン!マイケル踊りましょうよ
僕は見てるよ。
ミルズ:えーーー、マイケル、踊りましょうよ、お願い。
僕は見ている方がいいから。
ミルズ:えっーーマイケル、お願い、お願いだから・・・
僕、ダンスするのに慣れてないから・・・
ブロンド:マイケル、ダンスフロアのお金払ってないかも。
ミルズ:マイケル!マイケル!
僕は見てるってば。そういう場所に置かれるのは好きじゃないんだ。
ギネス:若い女性にダンスを頼まれて断るなんてダメよ。
ミルズ:マイケル、お願い!マイケル、マイケル、マイケルぅーー
(マイケルは、立ち上がって踊ることにした)
インタビュー終了!
ウォーホルのマイケルの肖像画は、このインタビューから7年後。「スリラー」でグラミー賞8部門を受賞した1984年に描かれています。
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