2008年 06月 25日
8月の果て/柳美里 |
「国民保導連盟事件」や従軍慰安婦、朝鮮分断。。。著者の血のルーツの闇を描いた本作は、見た目の厚み以上にずっしりと重く、数多く挿入された韓国語に日本語ルビも、盆百の読書家には歯応えを感じる文章で、最後まで読み通すのは決して楽ではありませんが、極稀にしか出会えないレベルの文学を堪能できます。
◎「21st Novel 読書感想記録」
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[MARCデータベース]祖父はなぜ、競技も国も家族も捨てて、独り日本へ逃れたか。幻の五輪マラソンランナーだった祖父の生涯を追いながら、戦前から現代に至る朝鮮半島と日本の葛藤をえぐりだす。『朝日新聞』夕刊および『新潮』連載を単行本化。新潮社 (2004/8/10)
文学に、少しでも心を寄せる者は、この作品にたいして、目も口も閉ざせないはずです。――福田和也氏(週刊新潮「闘う時評」)
42.195キロの彼方から私を呼ぶ声。
日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへ押し上げる。(文庫版上巻用)
感想か。そんな言葉、この小説にふさわしくないな。ものすごく感動したんだ。ほんとに。――高橋源一郎氏(朝日新聞書評)
読書人がこぞって絶賛! 小説家・柳美里が、もてる全てを注いだ代表作。
1940年、東京オリンピックは幻と消えた。失意の日々、肌の温みを求める女たちを捨て、雨哲は故郷を去り、一方、娘たちを夢中にする美しい容貌と、兄譲りの健脚に恵まれた弟・雨根は、いつしか左翼活動に深く傾倒した……小説家柳美里が、国・言葉・肉親、すべてを奪われた無名の人々の声に耳をすまし、自身の生につらなる日本と朝鮮半島の百年の歴史を、実存の全てを注ぎ描きあげた傑作。(文庫版下巻用)
by yomodalite
| 2008-06-25 22:54
| 文学
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