夕焼けを見ていた男—評伝 梶原一騎/斎藤貴男

梶原一騎の正統派評伝。一騎の父「高森龍夫」はウィキペディアでは「星一徹」のモデルとされていますが、クリスチャンで英語教師から文芸編集者となった経歴など都会的でスマートな人物であったようで、一徹のイメージとはかなり隔たりを感じる。

また母も「おかあさん」で描かれた母親像とは異なっていて、後の梶原の奔放な女性遍歴への影響が感じられる。ハイカラな夫婦であった両親から、少年時代を教護院で過ごし、その後も暴力とは切っても切れなかった梶原が育ったというのは意外だった。

格闘技ファンには、大山倍達との長年の関係が気になるところですが、夫人による7回忌の「偲ぶ会」には、名作を生んだコンビである一流漫画家も、親交もあり、作品のモデルでもあった猪木、馬場、金田正一なども欠席だったが、大山倍達だけは出席しているらしい。

遺作である『男の星座』のことを大山は、「これは私に対するラブコールだよ」と親しい人間に話し、また梶原の入院時には、匿名で励ましのハガキを出していたが、梶原は、それに気づいていたというエピソードが感動的だった。

【目 次】
第1章 スポ根伝説〜栄光の時代
第2章 生い立ち
第3章 青春
第4章 『あしたのジョー』
第5章 栄光の頂点
第6章 狂気の時代
第7章 大山倍達と梶原一騎
第8章 どいつもこいつも
第9章 逮捕とスキャンダルと『男の星座』
第10章 梶原家の父と子
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【Amazon.co.jp】わけても昭和30~40年代に青春を過ごした人たちの脳裏に、梶原一騎という名前は永遠に刻印されているに違いない。『巨人の星』『あしたのジョー』『タイガーマスク』『夕やけ番長』『愛と誠』と聞けば、胸熱くした日々がありありとよみがえるだろう。本書は、日本中に「スポ根」ブームを巻き起こした漫画原作者梶原一騎こと高森朝樹の実像に肉迫した評伝の文庫化である。

親の手に余り、教護院送りとなった少年は、激情家でありながら、同時に純文学作家を目指すロマンチストでもあった。やがて弱冠17歳にしてフリーライターとなると、その後川崎のぼる、ちばてつや、辻なおきら漫画家たちと才能をぶつけ合う。あるいは極真空手の大山倍達、プロレスラー力道山らとも広く交流した。すでに伝説と化している梶原の生い立ちやその仕事ぶりについて、著者は多くの証言を得るべく東奔西走しつつも、丁寧かつ冷静にその足跡をたどっている。

そして、梶原を語るには避けて通れない、数々の事件やスキャンダルについても、著者は終始その姿勢を崩さない。暴力団とのかかわり、編集者へのたび重なる暴行、天井知らずの浪費、女性問題。作者は努めてニュートラルな視点でそれらの真相を追いかけている。

その目的は、事件を暴くことでも、物事の是非を明らかにすることでもない。その時々の梶原のこころの動きを察し、その震えを感じ取ることである。なぜなら、梶原一騎という存在自体が、すでに事件そのものだったからである。新潮社 (1995/01)





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by yomodalite | 2007-12-18 22:55 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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