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嘘つきにさよならを(ネバーランドは永遠です)

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『Leaving Neverland(邦題:ネバーランドにさよならを)』に関する和訳記事第5弾!
前回の記事( → )の最後で、マイケルの元ボディガードがマイケルの真実を証言するというニュースを紹介したのですが、そのあと、これがどれほどねじ曲げられて報道されたか、についても記録しておこうと思います。

まずは、現在世界規模のジムを運営するマイケルの元ボディガード、フィデスの証言から。

◎3月20日 Mirror の記事
マイケル・ジャクソンのボディガード、『ネバーランドにさよならを』は重要な詳細を除外したと主張
https://www.mirror.co.uk/3am/celebrity-news/michael-jacksons-bodyguard-claims-leaving-14161159

(以下要約)

元ボディ・ガードで、今は世界規模のトレーニングジムビジネスのオーナーとして大金持ちになっているマット・フィデスは、3月19日にBBC Wiltshire radio に出演した際、『ネバーランドにさよならを』をナンセンスだと非難している。

今年は彼が逝ってから10年、彼のダンスや音楽を讃える年になると思っていたのに、いまや『Leaving Neverland(ネバーランドにさよならを)』の話ばかり。エステートはこの映画を放送したHBOに対して訴訟をおこし、この映画に登場する告発者2人は、エステート相手に多額の賠償金を求めて裁判を起こしている。映画の監督やプロデューサーはこれらの重要な事実を無視していて、マイケルをよく知る人たちは怒りを抑えられない。

フィデスは死の二日前にもマイケルと話をしていて、彼のことなら正々堂々と話せると述べた。自分が彼のもとで仕事を始めたときから、この種のことは多々あって、それはまだ続いている。ファミリーはこういうことには慣れていて、しっかり対処するだろうし、エステートも対処するだろう。自分も、適切な時が来たら、言うべきことを言いたいと思う。

◎4月24日 Mirror の記事
マイケル・ジャクソンのボディガードが語るネバーランドで本当に起こったこと

(以下ほぼ全訳)

マイケル・ジャクソンのもとで10年間仕事をしていたフィデスは、インスタグラムで、「僕の家族にもスタッフにも優しかった友人を弁護するときが来た」と述べる。

「こういう騒ぎには慣れっこになっていたから、今まで静観してきたんだ。みんな、彼がかつても、今も世界中で最も有名な人間の一人であることを忘れているんじゃないかな。つまり世界で最もターゲットになりやすいってこと。マイケルは自分の人生を『謎めいたもの』にしておきたかったんだ。彼はそうすることのメディアに対する価値がわかっていた。でもそのことが彼の死によってこんな形のしっぺ返しになるなんて」

フィデスはビル・ウィットフィールドたちとも連絡を取り合っていて、しかるべき時が来たら、ともに真実を明らかにするつもりである、と述べた。

「これまでインタビューの申し込みが殺到してもすべて断っていたんだ。でも、最後の何年かを彼と共にしたボディガードともよく話しあった結果、我々はもう我慢できないということになった。マイケルのプライベートの真の姿を明かすよ。一緒にやるつもりだ。ボディガードだった我々は真実を見ている。我々は、彼の人生、その私的な部分を守っていた。誰が出入りしていたか知っているんだから。マイケルは小さいころからボディガードに囲まれて生きてきた。彼に近づきたい人間は、みんな我々のところを通らねばならなかった。我々はマイケルのプライベートを秘密にしてきた。彼が自分の人生を『地上最大のショーにしたい!』と望んでいたからね。でも、彼がこの場にいて自分を弁護できないことで、物事は間違った方向に向かっている。マイク、生きているときのあなたを警護した我々は、亡くなった後のあなたのレガシーとあなたの家族、とりわけ子供たちのことを守るつもりです。我々には独自の友人ネットワークがある。我々はあなたの神秘や神話を壊すこともあるかもしれないけど、あなたのレガシーは守りますから。みんな、見ててほしい。聞きたくない話もあるかもしれないけど、二人の男(フィデスとビル・ウィットフィールド)がそれぞれの立場で、それぞれにマイケルと過ごした時についてのストーリーは、それぞれ違っても真実なんだ。事実は嘘をつかないが、人間は嘘をつく」

◎5月2日の Mirror の記事
マイケル・ジャクソンのボディガードが語る「不可能」な告発者が虐待された理由

(以下ほぼ全訳)

マット・フィデスは、かつての彼のボスがあの告発者たちに性的虐待することがなぜ「ありえない」ことなのか説明した。10年間マイケルの下で仕事をしたが、虐待が行われたとするネバーランドには、全部で100人の警護担当者、150人のスタッフがいて、ジャクソンと少年たちが、彼らだけになることなどできなかったはずだ、と。性的虐待の告発に反論するドキュメンタリー(今後公開)にも出演している彼はインスタグラムにこう書いた。

「スタッフやボディガードたちをスルーして誰かに近づくことなど不可能。ファンたちも我々をスルーしてマイケルに会うために極端な行動に出ることはできない。そして、マイケルが友人や家族や乳母たち、そして多くの取り巻きを引き連れて動いているときに、彼が一人になることもなかった。ウェイド・ロブソンとジェイムズ・セイフチャックは、寝室やクローゼットでジャクソンに性的虐待を受けた、3人の子供の父親である彼が誰かが近づくと警告音が鳴る装置を寝室の外につけていた、と主張しているが、フィデスによると、この「秘密の部屋」というのは、ジャクソンが1987年にネバーランドを買う前に作った「パニックルーム」のことで、「いろんな人が、何とか彼らのアイドルであるマイケルに会えないかとパラシュートでネバーランドに降り立ったりしたとき、マイケルはそのパニックルームに駆け込んだ。プライベートスペースに誰かが近づけば、通路のアラームが鳴るようにするのは、スーパースターならだれでもやること!!旅行中も、寝室のドアにカメラがあり、それでボディガードが監視している。カメラによる警護は夜中も同じ。彼は夜中に電話で安全を確認されることさえあった!

2009年3月、最後にマイケルに会ったとき、フィデスは床に座ってフィッシュアンドチップスを食べながらミュージカル映画『オリバー!』を見たと話した。

フィデスは今度のドキュメンタリー(まだ公開されていないMJ擁護側による作品)を「彼と一緒の時を過ごした人間たちが、偏見のない見解を、正確な時系列で述べ、法的な事柄についても専門家に意見を聞いたものだ」としている。

「彼は寛容な人間で、人々を助け、慈善事業のために何百万ドルも使った。だが、世界中でも有数のスターというのは、同時に一番狙われやすい立場でもあるってこと。MJについてひどいこと言ってる人間たちっていうのは、宣伝したい映画があったり、エステートに借りがあったり、何百万ドルもの金を求めてエステートを訴えている人たちだってことを、みんなによく考えてもらいたい」

(フィデスの発言終了)

◎5月6日の Mirror の記事
マイケルジャクソンの写真家、『ネバーランドにさよならを』の被害者は「嘘つきの加害者」だ!

(以下要約)

1980年代から2000年代半ばまで、マイケルの専属カメラマンだったハリソン・ファンクが、『ネバーランドにさよならを』のダン・リード監督に対して、「オレの言葉を、自分の都合のいいように曲解するな!と怒っている。

ファンク氏は、今年の1月に MJCast に出演した際、鉄道駅が出来たときネバーランドに行って、駅のそばにある動物の像を撮影したと話し、その時ネバーランドを留守にしていたマイケルから電話で、駅の撮影はしないで、と言われたことに触れた。



(2:18:00 あたり)


このとき「マイケルが写真を撮らせなかったのは、郡からの許可が出る前に建設をして、そのことで郡ともめてたからかな」というような発言があるのですが、ダン・リードはそれを、「ほら専属のカメラマンだって認めてる。郡からの許可の前に鉄道駅は完成してた。(だからセイフチャックの証言は正しい)」とツイート。

ファンク氏はこれに怒り、「ダン・リードと彼の一味は犯罪的な嘘をついている」とした上で、「MJCastのインタビューでは、それがいつだったか言ってない。自分の都合のいいように勝手に決めつけるな。私が動物の像を撮影したのは1994年の6月だ」と反論した。

(ファンク氏の発言終了)

リード監督にとって都合がいいのは、1992年かそれより何年も前の時点で、許可なしに駅が完成していることでしょうが(彼の映画では1992年は性的虐待が終わった年ということになっている)、1993年の9月に郡から許可が下りる1年以上前に駅が完成してるとは考えにくく、実際1993年の8月の時点で駅がないことは、Getty Imagesの写真でも明らかになっています。

さて、
ここからは、上記の擁護側の意見を、主要メディアがどう捻じ曲げたかの例です。

◎4月9日のNME(ニュー・ミュージカル・エクスプレス)誌の記事
マイケル・ジャクソンのボディーガードの証拠は、『ネバーランドにさようなら』の被害者による駅での性的暴行の申し立てを裏付けている。

(以下要約)

マイケル・ジャクソンの疑惑をめぐって、先日、かつてマイケル・ジャクソンのボディガードを務めていた2人の人物による、告発者のジェームズ・セイフチャックの証言を裏付けるような過去の発言が新たに見つかった。ジェームズ・セイフチャックは番組の中で、14歳になるまでの1988年から1992年の間、マイケル・ジャクソンから虐待を受けていたと主張し、そのいくつかはマイケル・ジャクソンのカリフォルニアの敷地に造られた列車の駅で行われたとしているが、

彼の元ボディーガードであるビル・ホウィットフィールドとジェイヴォン・ビアードが、2014年に発表した共著『Remember the Time:Protecting MJ in His Final Days』(ブログ主:この本に興味がある方は記事の最後をご覧ください)には、「1990年、マイケル・ジャクソンはネバーランド・バレー牧場を初めて一般の人に公開した。」と記されている。(ブログ主:パート1の3章冒頭。P.30)

「ネバーランドを訪れるとまず鉄道の駅があり、訪問者はそこから蒸気機関車に乗ってメインハウスに行く。」

また、作家でジャーナリストのランドール・サリバンが2012年に発表した書籍『Untouchable: The Strange Life and Tragic Death of Michael Jackson』にもジェームズ・セイフチャックの証言を裏付けるような言及がある。

「1990年、公にネバーランドが開放された際に招待されたリポーターたちの多くは、彼の邸宅の車道にまみえ、そびえ立つマーキュリー(古代ローマの利益や貿易、商業の神)の銅像を視察することから始まった」「そのあと再び丘を登り、ウォルト・ディズニーがディズニー・ランドのためにデザインしたものよりも遥かに豪華な花時計のある、ディズニー・ランドのメイン・ストリート駅をほとんどそのままレプリカにしたような駅へと進んで行った」と彼は述べている。

(NMEの要約終了)

記述に間違いが多いことで知られているランドール・サリバンの本は未読ですが、マイケルの最後の日々に同行し、ノーギャラで素晴らしい本も出版し、フィデスが元ボディガード同志で、協力関係にあることを表明し、当初からリード監督のドキュメントが嘘だとツイッターで積極的に発言していた、ビル・ホウィットフィールドがリード監督の肩をもつなんて全くありえない話で・・・

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◎4月9日 ビル・ホウィットフィールドのツイッター
「私が彼の下で働くようになったのは2006年。だから駅の建設時期については知るわけない。公的書類があるなら、それが示している通りなんじゃないか。」
https://twitter.com/MJBODYGUARDS/status/1115854500160516096

◎4月10日 ビル・ホウィットフィールドのツイッター
どうして私の書いたことを自分たちの記事のために曲解するんだ。1990年にネバーランドが一般に開放されたというのは、私の本の記述だけど、1990年、私はMJの下で働いてない。『ネバーランドにさよならを』と同じく、あんたたちのやってることは事実でないことを、捻じ曲げて伝えてる。恥ずべきことだ。事実は嘘をつかないが、The Sunは嘘をつく」            
https://twitter.com/mjbodyguards/status/1115876629329395712

(ビルのツイート終了)

ビルが怒りを表明しているThe Sun の記事は、NMEとほぼ同じ内容で、どちらも4月9日のものなので、どちらが先かはわかりませんが、

◎4月9日 The Sun の記事
https://www.thesun.co.uk/news/8821432/michael-jackson-leaving-neverland-evidence-james-safechuck/

ただ、NMEは、音楽メディアとして世界的な影響力があり、そういった主要メディアと呼ばれるものには、日本版もあるんですよね。

◎4月25日 NME JAPANの記事
マイケル・ジャクソンの元ボディーガード、彼のプライベートな生活の真実を明らかにすると表明
https://nme-jp.com/news/72196/

上記のリンク先を読んでいただきたいのですが、本家のNMEの記事にはなかったフィデスが語った詳細が冒頭にあって、タイトルも真逆なものになっています。

西寺郷太氏の尽力などもあり、2009年以降の日本では、マイケル報道が少し真っ当になっている影響が日本版のライターにも及んでいるからなのか、とにかく理由はわかりませんが、本国版よりもマイケルを擁護したい気持ちが若干感じられるような気もするんですが、

しかし、結局はフィデスの主張のあと、本国版と同じように、別のボディガードがセイフチャック側の主張を裏付けた、と書かれていて、なんともはやなわけです。

マイケルに詳しくない方には、ご理解いただけないかと思いますが、マイケルの記事にある「両論併記」のようなスタイルは、ほぼこういったパターンです。

それで、人間は誰しも完璧ではなく、エンターテイメントの天才でとても人道的だと思われていた人物が、実は狂った性癖をもっていて・・・などと、常識的で、知的レベルも高いあなたのような人がうっかり騙されてしまうんですね。

ちなみに、NME がネタ元にした?いわゆるタブロイド誌といわれるThe Sun は、ボディガードらの抗議をうけたあとの4月10日に、前日の記事を否定するような記事を載せています。

◎4月25日 The Sun の記事
https://www.thesun.co.uk/news/8831624/michael-jackson-documentary-neverland-train-station-james-safechuck/

要約すると、1993年のネバーランドの写真に鉄道駅がない、したがってセイフチャックの証言はオカシイ。と。

The Sun は、マイケルが地上にいた頃もそうでしたが、とんでもない内容を書きながら、一応謝罪や訂正らしきことをすることもあるんですね。

では、ドキュメント放送直後から、マイケルを完全に罪人扱いしたことで、世界中にMJ Mute を拡大させたニューヨーク・タイムスはこれらの事実をどう報じたのでしょう?

ピューリッツァー賞を受賞した記事も多く、重要な議論が行われた際は一字一句もらすことなく全て掲載するとか、質の高い記事が掲載されていると信じている人も多い高級誌が、鉄道駅の矛盾が発覚した4月初旬以降に掲載した記事については、次回紹介します。

☆NME の記事内の『Remember the Time:Protecting MJ in His Final Days』(最後の日々に同行したボディガードから見た、素顔のマイケルの姿が描写されている)をはじめ、当ブログでは、日本で出版されていない、良質なマイケル本を翻訳して(現在4冊)読者限定で公開しています。読者希望の方は(※有料です)、この記事のコメント欄に、鍵コメ(非公開)で、お名前(HN可)とメルアドをお知らせください。追って詳細を返信いたします。yomodalite。



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by yomodalite | 2019-06-05 14:11 | マイケルジャクソン資料 | Comments(4)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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