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和訳 Blood on the Dance Floor

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初めて Blood on the Dance Floor のショートフィルムを見たときの恐怖は今でも忘れられません。当時マイケルより、デヴィッド・リンチの大ファンだった私は、デイル・クーパーの中に邪悪な存在が宿った瞬間を、ドラマではなく、実際にこの眼で見たような戦慄を覚えました。


一定の限度を超えたスターは、誰もがその成功の代償を支払うかのように、破滅へと向かってしまう。でもマイケルを襲った成功の反動は、それらとは比べものにならないほど激しく、その無垢な心が壊れてしまうことを心配しながらも、彼が正気で居続けるなんて誰も信じられなかった時代、


ある意味、彼は、期待を裏切らなかったわけです。


このときのマイケルの怖さは、THIS IS IT後のファンにはなかなかわからないと思うけど、別に生前ファンの優位を語りたいわけじゃなく、


多くのファンは、性的虐待疑惑への無罪を信じるあまり、マイケルが一般的な39歳よりも遥かに成熟したエンターテイメント界の熟達であることを忘れ、彼の被害者像しか見えなくなっていたし、


日頃からマイケルに辛口になることが多い評論家は、数々のスキャンダルに見舞われながら、それを全てバネにしたかのような楽曲を、いつものしたり顏でむしろこれまで以上に高く評価してみたり、


とにかく、誰もが、マイケル自身のことば「But they say the sky’s the limit and to me that’s really true and my friends you have seen nothin’ Just wait ’til I get through」( →和訳Bad )を信じず、ただ、自分勝手に彼を必要としていて、私もそのひとりだったんですね。


さて、曲の内容ですが、この曲には、ビリージーンや、ダーティ・ダイアナ、デンジャラス・・これまでもマイケルの多くの曲にみられる「怖い女」が登場して、マイケルは、いっけんこの女に破滅させられようとしているエリート男性を演じているように見えて、すこし違います。


マイケルは、歌詞の中の“語り手”で、「僕」と「彼女」の両方に、自身の別の意味を重ね合わせながら、男と女のダンスを両方の側から見ることができる存在。


SFの冒頭、イバラが巻きついた心臓は、カトリック系の教会に飾られることが多い受難を示すもので、このハートに、SUSIE + ME とあるように、最初の受難は、スージー(と、マイケル)の方。



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(ここにナイフが刺さって曲が始まる)


つまり、この曲の「彼女は・・」という部分は、すべて先に男がしたことで、「僕」が最初に彼女の電話番号をゲットし、彼女を押し倒して7インチのモノを突き刺した。それで、彼女はおなかにベイビーを授かった。(だから、彼女がゲットしたのは番号ではなく、get someone's number 本心を知る、正体を見抜く等の方だと思います

「僕」の破滅の要因が、彼女のおなかの中の子供だという、何万年も続いてきた愛と欲望のすれ違い・・そこにはシンプルな原理があるだけなのに、キリスト教社会は愛と性を分離し、神の愛を禁欲の熱狂へと導き、「聖女」という存在を生み出してしまう。


ダンスフロアは熱く燃えるように赤く、「僕」はそこに自分のパワー(Blood on my side)を感じたけれど、マイケルは、そこが冷たく滴るような紅で濡れていることも知っている。


そして「怖い女」とは、男の無知と自分勝手が作り出した存在だということも。


そんなわけで、


さまざまなメタファーが散りばめられ、言葉と音がバシバシとキマリまくり、時代を超えた魔力に満ち溢れ、私が最もマイケルらしい、と感じてならない究極のダンスナンバーの和訳です!






Blood on the Dance Floor

Michael Jackson


[Verse 1]

She got your number, ah

She know your game, ah

She put you under, ah

It's so insane, ah

Since you seduced her, ah(*1)

How does it feel? Ah

To know that woman, ah

Is out to kill


彼女は君の正体をつかんだよ

君のやり口をわかっていて

君を支配してるのさ

まじヤバイよね

ねぇ口説いた女に

破滅させられることがわかるって

どんな気分?


[Refrain]

Every night stance is like taking a chance

It's not about love and romance

And now you're going to get it

Ah, every hot man is out taking a chance

It's not about love and romance

And now you do regret it


愛や恋とは関係なく

毎晩チャンスをねらうのが君のスタイル

で、今もそれを欲しがってる

愛や恋とは関係なく

デキる男はみんな試したがる

で、今になって後悔してるってわけ


[Pre-Chorus]

To escape the world, I've got to enjoy that simple dance

And it seemed that everything was on my side

(Blood on my side)

She seemed sincere like it was love and true romance

And now she's out to get me

But I just can't take it (*2)

Just can't break it


この現実から逃れようと

僕はただあの例のダンスを楽しむしかなかった

そうすれば、世界が僕のものだと信じられたんだ

(熱い血潮が僕の中に)

彼女は心の底から僕を愛してると思ってたのに

今、彼女は僕の息の根を止めようとしている

そんなことはさせない

でも、どうすることもできない


[Chorus]

Susie got your number and Susie ain’t your friend

Look who took you under with seven inches in

Blood is on the dance floor, blood is on the knife

Susie's got your number and Susie says it's right


スージーは君の本心を見抜いているし

友達なんかじゃない

君を押し倒して7インチも刺したやつだぜ

熱い血がたぎるダンスフロアに

紅い血に染まったナイフ

スージーは君の運命を手に入れた

スージーに言わせれば当然の権利ってわけ


[Verse 2]

She got your number, ah

How does it feel? Ah

To know this stranger, ah

Is about to kill, ah

She got yo' baby, ah

It happened fast, ah

If you could only, ah

Erase the past (Ah)


彼女は君の運命を手にしたよ

ねぇどんな気分?

たいして知りもしないやつに

息の根を止められるのは

彼女は君の子供も身ごもった

あっという間の出来事さ

君はただ過去を消せたらいいのにって

思うだけ


[Refrain]

Every night stance is like taking a chances (Ah)

It's not about love and romance

And now you're going to get it

Ah, every hot man is out taking a chance

It's not about love and romance

And now you do regret it


愛や恋とは関係なく

毎晩チャンスをねらうのが君のスタイル

で、今もそれを欲しがってる

愛や恋とは関係なく

デキる男はみんな試したがる

で、今になって後悔してるってわけ


[Pre-Chorus]

To escape the world, I got to enjoy this simple dance

And it seemed that everything was on my side

(Blood on my side)

It seemed to me like it was love

And true romance

And now she's out to get me

And I just can't take it


この現実から逃れようと

僕はただあの例のダンスを楽しむしかなかった

そうすれば、世界が僕のものだと信じられたんだ

(熱い血潮が僕の中に)

それは愛とか恋のようにも見えたけど

今、彼女は僕の息の根を止めようとしていて

どうすることもできない


[Chorus]

Susie got your number and Susie ain’t your friend

Look who took you under with seven inches in

Blood is on the dance floor, blood is on the knife

Susie got your number, you know Susie says it's right (Hoo-hoo)


スージーは君の本心を見抜いているし

友達なんかじゃない

君を押し倒して7インチも刺したやつだぜ

熱い血がたぎるダンスフロアに

红い血に染まったナイフ

スージーは君の運命を手に入れた

スージーに言わせれば当然の権利ってわけ


[Chorus]

Susie's got your number

Susie ain’t your friend (Ah, it's goin' down, baby)

Look who took you under, she put seven inches in

Blood is on the dance floor, blood is on the knife (It's goin' down, baby)

Susie's got your number (Ah)

Susie says it's right


スージーは君の本心を見抜いているし

友達なんかじゃない

君を押し倒して7インチも刺したやつだぜ

熱い血がたぎるダンスフロアに

紅い血に染まったナイフ

スージーは君の運命を手に入れた

スージーに言わせれば当然の権利ってわけ


[Outro]

It was blood on the dance floor

(Blood on the dance floor)

It was blood on the dance floor

(Blood on the dance floor)

It was blood on the dance floor

(Blood on the dance floor)

It was blood on the dance floor

(Blood on the dance floor)

And I just can't take it

The girl won't break it

Hoo!


ダンスフロアは血気盛んな

血みどろの世界

僕にはもう耐えられないけど

女もそれを抑えることはできない

ああ・・・


(訳:yomodalite)


(*1)CD歌詞では、Since she 

(*2)CD歌詞では、And I just can't take it


Commented by moro at 2019-05-29 16:16 x
ありがとうございます。もう、狂うぐらい好きな曲です。
この曲はいけません・・・
この不穏さ、背徳感、血の色のスーツとマイケルの表情、ダンスを見ていると理性が
どこかへいってしまいます。
夜中に自室でヘッドホンしてショートフィルム見ながらついついもごもご歌っていたら、
いつの間にか旦那が後ろに立っていた、という恐怖体験がありましたw。

>SFの冒頭、イバラが巻きついた心臓は、カトリック系の教会に飾られることが多い受難を示すもの

そうだったんですね!
本当にマイケルのショートフィルムは一つのカットが重要な意味を持つものなのですね。

>キリスト教社会は愛と性を分離し、神の愛を禁欲の熱狂へと導き、「聖女」という存在を生み出してしまう。

そうなんですよね。映画でも物語でもなぜか「聖女」と「男を滅ぼす女」という極端な存在が描かれることが多い。
そこからやたら女を崇拝か、憎しみの対象にしてしまう。「魔女」を生んだのも宗教ですよね。
あなたの目の前の普通の女性を普通に理解し愛することはできないのか。

>だから、彼女がゲットしたのは番号ではなく、get someone's number 本心を知る、正体を見抜く等の方だと思います

なるほど!
「 got your number」は繰り返し出てくるフレーズなので、ここ大事ですよね。
電話番号だと違和感あったので、腑に落ちます。

熱く血を通わせていたと思っていた相手からナイフを突き立てられるとは。
女、信じていた友達、音楽業界、メディア・・・色々な比喩として考えられるのかもしれません。
でもそんな不穏な感情をこんなしびれるエンタメに仕上げるなんて凄い。

大好きなこの曲のことを深く知ることができて感激です。
次回からも少し理性をもって聴きたいと思います。(でも無理だと思う・・・)
Commented by yomodalite at 2019-05-30 20:09
moroさん、私もどうしても1番好きな曲を決めなきゃならないっていうなら、ブラダンしかない!と思うぐらいホント狂いそうになるほど大好きーー!!!でもって、ブラダン中の背後ダーリンヤバすぎぃー

>そんな不穏な感情をこんなしびれるエンタメに仕上げるなんて凄い。

ホントにマイケルはすべてを表現し返しかえしてますよね。ホントに何もかも!!そんなことが出来るアーティストは、後にも先にもマイケルだけーーー!!
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by yomodalite | 2019-05-27 00:00 | ☆マイケルの言葉 | Comments(2)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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