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猫鳴り

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沼田まほかる氏の作品を読むのは『彼女がその名を知らない鳥たち』以来。




50歳を過ぎてから作家デビューした沼田氏が、今どんな作品を書いているんだろうと、ふと思い、この不思議なタイトルに導かれた。

オムニバス形式による三部作すべてのストーリーに登場するのは「モン」と名づけられた一匹の猫。

40歳と信枝と52歳の藤治、ふたりはようやく授かった子供を流産してしまったあと、「モン」に出会う。でも、それでふたりの心が癒されていく・・・なんて話とは全く異なる第一部。

妻に逃げられても小説家になる夢をあきらめない父親、そんな父と暮らす行雄は不登校になり、あるとき『皇帝ペンギンの一生』という映画を見たことがきっかけで、父に毎日のようにペンギンをねだっている。でも、ペンギンを飼いたいのではなく、ペンギンのヒナへの殺意を抑えられなくなっているだけ。そんな行雄に父は拾ってきた猫を「ペンギン」と名づけ渡すが、ペンギンはあっという間に亡くなってしまい、遺体を埋めるために公園に行くと、同級生の有山アヤメの飼い猫(モン)と出会う・・・という第二部。

そして、第三部は藤治の20年後が描かれる。信枝は亡くなっていて、藤治はモンと暮らしているが、年老いたモンはもう食事を摂ることもなく・・・

* * *

解説で、ケモノバカ一代を自称する書評家の豊崎由美氏が述べているように、猫好きな人には途中で読むのをやめたくなるような記述があるのは確かで、そういった人が評価を低くしたくなる気持ちもわからなくもないのだけど、最後まで読めば、沼田氏の猫へのリスペクトや、すぐにでも再読したくなる傑作だということもわかるのでは。



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by yomodalite | 2018-11-28 14:46 | 文学 | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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