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映画『手紙は憶えている」監督:アトム・エゴヤン

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もう日本の映画しか観ないかも・・と思ったのも束の間、先週3本目の作品は、カナダ&ドイツ映画の『手紙は憶えている』(原題:Remember)。

90歳の老人ゼヴは、目覚めるとすぐに妻のルースを呼ぶが、彼女はすでに亡くなっている。認知症のゼブは、もうそんなことさえ憶えていることができない。

妻の葬儀のあと、同じ施設で暮らす友人から手紙を託され、ゼブは家族にも内緒で施設を出る。ふたりは共にアウシュヴィッツ収容所の生存者で、家族を殺したナチスへの復讐を誓い、車椅子の友人は、ゼブが忘れても大丈夫なように全ての計画を手紙に書いていた。身分を偽り、今も生きているという兵士の名は、“ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。

驚愕のラスト5分、あなたは見抜けるか?

というキャッチフレーズから、どうしてもその真実を想像しながら見てしまうことになるのですが、『シックス・センス』の魅力が、8歳の少年を演じたハーレイ・ジョエル・オスメントだったように、この映画では、90歳の認知症の老人を演じている、87歳のクリストファー・プラマーから目が離せなくなる。

ゼブは子供を可愛がり、子供からも優しくされるようなキャラクターで、それがこの物語を見る私たちの視点を混乱させ、『シックス・センス』のような巧妙な叙述トリックはないものの、エンディングの哀しさには繋がっている。

音響的に抑制されたこの映画の中で静かに心に響くシーンが、ゼブがピアノを弾く二度の場面。

最初はメンデルスゾーン、そしてラストはワーグナー。

サスペンスというよりは、認知症でありながら、このふたりの美しい音楽を奏でるゼブという老人の映画だと思いました。タイトルは、『手紙は・・』ではなく、原題どおり『リメンバー』の方がより深く余韻を楽しめたかな。

下記は、ヒトラーがワグネリアンだということは知っていたけど、メンデルスゾーンがユダヤ人だったことは意識していなかった。という人への参考記事。




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by yomodalite | 2016-10-31 10:27 | 映画・マンガ・TV | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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