2016年 03月 02日
映画『虹蛇と眠る女』 |
すっかりインディペンデント映画の常連のようになってきたニコール・キッドマンと、なぜか、MJファンの間でちょっぴり話題のジョセフ・ファインズが共演する映画。
キャサリン(ニコール・キッドマン)と、マシュー(ジョセフ・ファインズ)は、ふたりの子供とともに、オーストラリアの砂漠地帯に越してきていたが、彼らが都会からこの見知らぬ土地にやってきたのは、15歳の娘リリーと、関係をもった教師との仲を裂くためだった。
ところが、ある晩、眠れない夜にいつものように歩きまわる弟トムの後を追い、ふたりの子供は忽然と姿を消してしまう・・・
原題は、Strangerland(見知らぬ土地)。邦題は、映画の舞台であるオーストラリアに住むアボリジニに伝わる伝説からとられているのだけど、オーストラリアでは有名な伝説だからか、虹蛇についてくわしい説明もなく、この物語の結末にあっけにとられてしまう人も多そう・・
トグロを巻く虹の蛇は、アボリジニたちの信仰では大きな存在で、蛇は「悪」ではなく、「善」でもなく、始まりや終わりもなく、なにものをも飲み込む魂であり、生命であり、時の流れでもあるようなもの・・
忽然と消えてしまう少女という点では『ピクニック・アット・ハンギングロック』にも少し似ていて、「私を見つけて、私に触れて・・」というリリーの声が砂漠に響くと、『ツインピークス』の山の風景を思い出したりもするけど、オーストラリアの女性監督が描く、健康で美しい少女がSEXに感じる純粋さは、アメリカ映画とは少し違うものになっていて、邦題の「虹蛇と眠る女」はキッドマンが演じている女ではないけど、「Strangerland」を誰よりも感じているのは、彼女が演じている母親という名の「女」なのだ。
そして「Strangerland」とは、このオーストラリアの砂漠地帯のことではないのだと、女性監督キム・ファラントとキッドマンはその感覚を共有しあったのではないか、と思った。
by yomodalite
| 2016-03-02 17:02
| 映画・マンガ・TV
|
Comments(0)