2016年 01月 08日
HIStoryと黙示録:『レッド・オクトーバーを追え!』 |
by yomodalite
| 2016-01-08 21:00
| ☆MJアカデミア
|
Comments(8)
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矢野
at 2016-02-20 23:30
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HIStoryと黙示録『地獄の黙示録』に続いて拝読しております。MJがハンガリーのブダペストに強い思いを抱いていたというのは初耳でした。自分の中では世界的ポップスターであっても歴史、文化の洞察者というイメージは皆無でした。
アメリカが第二次大戦後のヘジェモニックステイトになり得たのは核とIT技術で世界をリードしていたからですが、これらに超人的貢献を為したのがハンガリー、ブダペスト出身のノイマン、テラーらだったことも確かによく知られています。他、アインシュタインに、ルーズベルト大統領に原爆開発を奨めるよう唆したり、核抑止論を説いて、核絶対悪論が支配する日本では評判よろしくないレオ シラードや、ゲイツ、ジョブズに比べて地味ですがシリコンバレーの歴史で間違いなく最重要人物の一人、インテルをマイクロプロセッサで半導体業界のヘジェモニックカンパニーに押し上げたアンドリュー グローブスも加えてよいと思います。彼らは、数学的能力に畏敬の念を持たれつつ、放浪癖(致し方なかったんですが) から「宇宙人だ」というジョークまで生まれました。何故ハンガリーのブダペスト出身者にかくなる人材が集中したのか?文化では、歴史的伝統はあるが、20世紀では地理的に「中央」たる英、独、仏から周縁に位置するためハンガリーでは中世的伝統が残っていたから、などと想像します。
アメリカが第二次大戦後のヘジェモニックステイトになり得たのは核とIT技術で世界をリードしていたからですが、これらに超人的貢献を為したのがハンガリー、ブダペスト出身のノイマン、テラーらだったことも確かによく知られています。他、アインシュタインに、ルーズベルト大統領に原爆開発を奨めるよう唆したり、核抑止論を説いて、核絶対悪論が支配する日本では評判よろしくないレオ シラードや、ゲイツ、ジョブズに比べて地味ですがシリコンバレーの歴史で間違いなく最重要人物の一人、インテルをマイクロプロセッサで半導体業界のヘジェモニックカンパニーに押し上げたアンドリュー グローブスも加えてよいと思います。彼らは、数学的能力に畏敬の念を持たれつつ、放浪癖(致し方なかったんですが) から「宇宙人だ」というジョークまで生まれました。何故ハンガリーのブダペスト出身者にかくなる人材が集中したのか?文化では、歴史的伝統はあるが、20世紀では地理的に「中央」たる英、独、仏から周縁に位置するためハンガリーでは中世的伝統が残っていたから、などと想像します。
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矢野
at 2016-02-20 23:55
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中世のヨーロッパで学者が学問を極めようとすると、終の棲家を諦め、生涯を旅すると覚悟を決める必要がありました。ショーン コネリーが主演した映画「薔薇の名前」は中世のアーカイブの様子を忠実に映像化しているとの評判がありますが、要するに、そういう古文書や図書を保有する修道院や大学を巡って勉強していた。そういう学者はリベラルアーツを既に修めていましたから、語学、天文、音楽の他数学も、各地の有力者に乞われてこれらを講じながら旅を続けていたのでしょう。今、日本で掃除機のCMに出演しているハンガリー出身のピーター フランクル氏もこういう中世のヨーロッパの学者の気風を継いだ人なのかもしれません。そういえば、件の「薔薇の名前」の原作者ウンベルト エーコ氏が亡くなりましたね。
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矢野
at 2016-02-21 16:46
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ヨーロッパの高等教育機関は、ナポレオンの登場と彼の肝煎りで技術将校養成の士官学校となったエコールポリテクニクで様変わりします。エンジニアという知的専門職を高等教育機関が組織的に養成することになった。このフランスのモデルをいち早く採り入れたのが工学部を最初から備えた日本の帝国大学でした。フランスからみると周縁というよりanother planetだった日本は、かえって「型落ち」のモデルを掴まされず、帝大卒業者達は迅速な近代化の貢献していく。デカルトは数学の座標軸を軍隊にいたとき思い付いたそうですが、近代の特徴たる科学ー技術ー軍事の組織的連携はまずフランスで実践された。アメリカは大学はリベラルアーツ教育第一という空気が強くMITなども「格下」と見られがちでした。ロシアは革命後、国家建設に最重要とエンジニア育成の教育機関設立に力を入れていく。
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矢野
at 2016-02-21 17:34
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ソ連の国家建設は必ずしも順調とは言えなかったが独ソ戦を戦い抜き、第二次大戦後はスプートニクショックを起こすほどの科学技術力を備えることはできた。このショックが如何に大きかったか、西側では初等教育から高等教育まで数学・物理の教育内容を大幅に見直しました。初等教育では集合論を教えることになり、高等教育ではソ連のテキストを急遽取り寄せました。今でもプロの研究者の間でノーベル賞受賞者レフ ランダウの著した物理のテキストが世界最高水準と評価されてたりしてます。科学技術の教育水準は西側を凌いでいた。結局ソ連の社会主義は、スターリンというカリスマ的指導者の下革命の荒廃と戦争を克服する力はあったが、彼の死後冷戦は戦い抜けなかった体制でした。
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yomodalite at 2016-02-22 12:54
(矢野さんのコメント)この映画が公開されたとき、少なくともベルリンの壁は崩れていたと記憶してます。私自身は大学を卒業して働き始めてましたが、勤務先の会社は年一回全社員を集め、社長がこう訓示します、「企業経営の要締とはgoing concern,心せよ」と。going concernとは企業会計では有期営業はあり得ないという会計学の原則のことですが、それがいかに経営者にとって苦しい厳しいことなのかを説くのです。個人経営の店なら「ここらで店を畳んで田舎で余生を」なんてできますが、信用取引をしているある程度の規模の会社はそうはいかない。確かに企業にとって経営の環境は常に激変、経営の革新を意識し続けなければならない。こういう苦しい厳しい「我慢くらべ」みたいなこと、人は普通強いられたくない、そういう「我慢くらべ」の強制に耐えさせた(エートスを確立させた)ものがプロテスタンティズムの倫理だったというのがMウェーバーの主張です。
Mウェーバーの説によれば、ソ連の崩壊は社会主義経済における企業経営の苦しさ厳しさに耐えうるエートスの構築が為されず、企業が経営革新を続けてきた資本主義経済との競争に敗れた結果ということになる。科学の教育水準はソ連は優れていたのですから。
現代の社会を管理運営していくのは斯くも大変で、できるだけ責任を免じてくれというのが人の本質なのだから、それを乗り越えて責任を引き受ける気にさせる物語が欲しい、さもないと人の賢しさではいずれ神の法(科学法則)による裁きは免れ得ない。yomodalite様は、MJは安易に出来あいの「物語」を配ってまわる気ではなかった、とお考えだと推察します。MJがChristであることの神学的証明は可能か、今後も拝読します。
Mウェーバーの説によれば、ソ連の崩壊は社会主義経済における企業経営の苦しさ厳しさに耐えうるエートスの構築が為されず、企業が経営革新を続けてきた資本主義経済との競争に敗れた結果ということになる。科学の教育水準はソ連は優れていたのですから。
現代の社会を管理運営していくのは斯くも大変で、できるだけ責任を免じてくれというのが人の本質なのだから、それを乗り越えて責任を引き受ける気にさせる物語が欲しい、さもないと人の賢しさではいずれ神の法(科学法則)による裁きは免れ得ない。yomodalite様は、MJは安易に出来あいの「物語」を配ってまわる気ではなかった、とお考えだと推察します。MJがChristであることの神学的証明は可能か、今後も拝読します。
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yomodalite at 2016-02-22 12:57
矢野さん、素敵な長文コメントをありがとうございます。
最初に、3番目のコメントのみ「非公開」設定がされていて、内容から「意図的」だとは思えなかったので、最後の二通をまとめて、私の転載という形でアップさせていただきましたことをご了承くださいませ。
>MJがハンガリーのブダペストに・・・歴史、文化の洞察者というイメージは皆無でした。
ハンガリーだけでなく、そして歴史や文化を深く洞察しただけでなく、そこから彼は自ら歴史を創ったんです。そして、それはポップミュージック界に黒人として初めて・・などということだけではなく・・・についてはここでは書ききれませんが(笑)、何ヶ国語も話し、数学者で、大道芸人というフランクル氏は「ユダヤ人は聖書の民であると同時にストリップの創案者で、金権支配と共産主義双方の先駆者で、選ばれた民というコンセプトをもちながら、コスモポリタン・・・」という、リリアンソールがいうユダヤ人のあり方をひとりで現しているような人ですね。
最初に、3番目のコメントのみ「非公開」設定がされていて、内容から「意図的」だとは思えなかったので、最後の二通をまとめて、私の転載という形でアップさせていただきましたことをご了承くださいませ。
>MJがハンガリーのブダペストに・・・歴史、文化の洞察者というイメージは皆無でした。
ハンガリーだけでなく、そして歴史や文化を深く洞察しただけでなく、そこから彼は自ら歴史を創ったんです。そして、それはポップミュージック界に黒人として初めて・・などということだけではなく・・・についてはここでは書ききれませんが(笑)、何ヶ国語も話し、数学者で、大道芸人というフランクル氏は「ユダヤ人は聖書の民であると同時にストリップの創案者で、金権支配と共産主義双方の先駆者で、選ばれた民というコンセプトをもちながら、コスモポリタン・・・」という、リリアンソールがいうユダヤ人のあり方をひとりで現しているような人ですね。
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yomodalite at 2016-02-22 12:57
>IT技術で世界をリード・・
インターネットは人類が発明した最終兵器かもしれませんね。グローブのことは知りませんでしたが、自伝も面白そうで読んでみたくなりました!。
ショーン・コネリーは、レッドオクトーバーでは、セクシーなモーセであり、薔薇の名前では、聖フランチェスコという次世代イエスの弟子でもあり、謎を解くホームズ役でもあったわけですが、マイケルはイエスに見習い、ホームズを生み出すきっかけになったポーの熱心な研究者なんですよね。彼の『Smooth Criminal』という有名な曲は、MJの師匠でもあるアステアに捧げられた曲として有名ですが、ポーにも捧げられていると私は思います。(http://nikkidoku.exblog.jp/20073516/)
>ヨーロッパの高等教育・・・工学部を最初から備えた日本の帝国大学でした。
東工大がいち早くリベラルアーツを復活させたのは、そういった歴史もあったからなんでしょうか。帝国大学も、旧制高校も、そこに学んだ人たちの本を読んでいると素晴らしい教育がなされていたことがよくわかります。そして、それゆえに敗戦後は解体されたんでしょうね。
>第二次大戦後はスプートニクショック・・・
IT技術もそうですが、日本に、湯川・朝永という天才がいた時代、物理学でも、米国ではユダヤ人以外の天才を生むことはできなかった理由にプロテスタンティズムの影響はなかったのでしょうか。
>Mウェーバーの説によれば・・・
ウェーバーの説には、良い部分はすべて自分たちが行ったことで、悪い部分はユダヤが・・というWASPの性懲りのないところも感じますが、天職についてのこととか、ものづくりの精神であるとか、マイケルのビジネス感覚には、プロテスタンティズムから生まれたビジネス書(自己啓発本)の基本精神があり、彼もそういったビジネス界の英雄を尊敬もしていました。
インターネットは人類が発明した最終兵器かもしれませんね。グローブのことは知りませんでしたが、自伝も面白そうで読んでみたくなりました!。
ショーン・コネリーは、レッドオクトーバーでは、セクシーなモーセであり、薔薇の名前では、聖フランチェスコという次世代イエスの弟子でもあり、謎を解くホームズ役でもあったわけですが、マイケルはイエスに見習い、ホームズを生み出すきっかけになったポーの熱心な研究者なんですよね。彼の『Smooth Criminal』という有名な曲は、MJの師匠でもあるアステアに捧げられた曲として有名ですが、ポーにも捧げられていると私は思います。(http://nikkidoku.exblog.jp/20073516/)
>ヨーロッパの高等教育・・・工学部を最初から備えた日本の帝国大学でした。
東工大がいち早くリベラルアーツを復活させたのは、そういった歴史もあったからなんでしょうか。帝国大学も、旧制高校も、そこに学んだ人たちの本を読んでいると素晴らしい教育がなされていたことがよくわかります。そして、それゆえに敗戦後は解体されたんでしょうね。
>第二次大戦後はスプートニクショック・・・
IT技術もそうですが、日本に、湯川・朝永という天才がいた時代、物理学でも、米国ではユダヤ人以外の天才を生むことはできなかった理由にプロテスタンティズムの影響はなかったのでしょうか。
>Mウェーバーの説によれば・・・
ウェーバーの説には、良い部分はすべて自分たちが行ったことで、悪い部分はユダヤが・・というWASPの性懲りのないところも感じますが、天職についてのこととか、ものづくりの精神であるとか、マイケルのビジネス感覚には、プロテスタンティズムから生まれたビジネス書(自己啓発本)の基本精神があり、彼もそういったビジネス界の英雄を尊敬もしていました。
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yomodalite at 2016-02-22 12:57
>MJがChristであることの神学的証明は可能か・・・
矢野さんが知るHIStoryが書かれているコメントの帰結がこれになるとは想像できませんでした(笑)でも、私には、神学的証明なんて出来ません。私が神学に全く詳しくないから、というだけでなく、「Christ」が現れたと大勢の人が感じたことを利用して作られるのが「神学」ではないですか? 唯一神がいる世界では、大勢のひとが神の証明を試みていますが、「Christ」なら、そのサークルから一歩踏み出す必要があるのではないでしょうか?
マイケルは人々がイエスに抱いてきたイメージをいくつも、自分に取り込んだうえで、貧しさを「善」とせず、ビジネスにも長けていました。
芸術と永遠回帰によって生を肯定し、権力に反感を抱くより可能性への意志と感じ、自己のうちに価値の基準を確立したひと・・・私はニーチェの超人にもっとも近い姿をマイケルに見て、それで、私の「Christ」だと感じているんです。
ティーザーに関する翻訳記事の最初(http://nikkidoku.exblog.jp/24488441/)で、「HIStoryは、ゆがんで偏見に満ちた彼についてのストーリーを、彼自身の側から語ったもの」と言うだけでなく、大胆な挑戦状であり、新しいイデオロギーを体現していた。それは「神の内在性」・・・とエレノアが言っていることについて、多少なりとも説明できないか、、との思いから、聖書関連のあれこれに四苦八苦していますが、読んでいただけることと励みに、続きを書こうと思います。
矢野さんが知るHIStoryが書かれているコメントの帰結がこれになるとは想像できませんでした(笑)でも、私には、神学的証明なんて出来ません。私が神学に全く詳しくないから、というだけでなく、「Christ」が現れたと大勢の人が感じたことを利用して作られるのが「神学」ではないですか? 唯一神がいる世界では、大勢のひとが神の証明を試みていますが、「Christ」なら、そのサークルから一歩踏み出す必要があるのではないでしょうか?
マイケルは人々がイエスに抱いてきたイメージをいくつも、自分に取り込んだうえで、貧しさを「善」とせず、ビジネスにも長けていました。
芸術と永遠回帰によって生を肯定し、権力に反感を抱くより可能性への意志と感じ、自己のうちに価値の基準を確立したひと・・・私はニーチェの超人にもっとも近い姿をマイケルに見て、それで、私の「Christ」だと感じているんです。
ティーザーに関する翻訳記事の最初(http://nikkidoku.exblog.jp/24488441/)で、「HIStoryは、ゆがんで偏見に満ちた彼についてのストーリーを、彼自身の側から語ったもの」と言うだけでなく、大胆な挑戦状であり、新しいイデオロギーを体現していた。それは「神の内在性」・・・とエレノアが言っていることについて、多少なりとも説明できないか、、との思いから、聖書関連のあれこれに四苦八苦していますが、読んでいただけることと励みに、続きを書こうと思います。