人間臨終考/森達也

人間臨終考

森 達也/小学館



山田風太郎の「人間臨終図鑑」や、荒俣宏の『知識人99人の死に方』、臨終考とは少し異なるけど、嵐山光三郎の『追悼の達人』とか、著名人の死を描いた本には、「当たり」が多い。

それで、このタイトルを見て、すぐに読みたくなったのだけど、この本はいわゆる臨終考ではなくて、、死亡年齢や、最後の言葉といった事実や、知られざる真実のエピソードもいっぱいあるのですが、内容のかなりの部分を森氏が創作していて、でも、そこが面白い。

その人物が活躍した時代をずらしてあったり、いるはずのない場所に現れたり・・フィクションなんだけど、どこか実際にそうであっても不思議ではないように思わされて、楽しめます。(そんなわけで迷いつつも本書を「ノンフィクション」に分類)

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歴史上の超有名人が並ぶリストの中には、知らない名前もあって、

例えば「クォン・デ」

初めて、クォン・デの名前を知ったのは、テレビ・ディレクター時代だった・・・ベトナムからの留学生と雑談していたとき、「森さんは、クォン・デという名前をご存知ですか」と質問された。・・・「僕らの王子は日本に殺されたようなものなのに、どうして日本人は誰も、このことを知らないのですか?」・・・そうしてクォン・デについてのリサーチが始まった。・・・


そして、森氏の創作が冴えわたる「チェ・ゲバラ」

・・チェ:「私は何をしている」

「あなたは、先日行われた国政選挙で当選したのです」・・テレビでは、「チェ・ゲバラ議員に密着一週間。意外なその素顔!」とのタイトルで特番が放送されたばかり・・AKB48と一緒にグラビアを撮らせてもらえないかという依頼でした。・・ソフトバンクから白戸家の一員として出演してもらえないかと・・

チェ:「君に聞きたいことがある・・選挙前、『自公が圧倒的に優勢』と書いていた。・・これほどにメディアが一方的な勝利を予想するならば、普通はその逆に動くと思うのだが・・

『判官贔屓』ですね。・・でも、ここ数年はまったく事情が変わりました。むしろ反転しています。優勢と伝えた党や候補者に、さらにより多くの票があつまるようになってきたんです。これをバンドワゴン効果といいます」・・「多数派につきたいとの心情でしょうね。つまり集団化。・・東日本大震災から、さらに加速しています。・・

チェ:「なぜ、日本人は多数派につきたいのだろう」・・・


親鸞と、チェ・ゲバラに挟まれている「アンドレ・ザ・ジャイアント」も、他の人選とは異色の存在ですが、多かれ少なかれ異形のプロレスラーの中にあっても、アンドレはそこからさらにはみ出している、本当に破格の存在。社交的ではなく、なかなか心を開かない、彼の孤独と成功、アンドレは46歳でパリのホテルで急死した。森氏の本に何度か登場する「小人プロレス」の話はここでも繰り返される。


最後に登場する「飯島和夫(戦闘員)」は、67歳の現役ショッカー(仮面ライダー)の話。彼の最後は、大井銀座から少し離れたファミレスで、そこには、ゾル大佐と総統もいた・・・。


☆歴史人物の死に際に見る日本現代論2015年10月出版)



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by yomodalite | 2015-12-11 09:30 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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