和訳 LOOK AGAIN, baby SEAL『Dancing the Dream』[45]

f0134963_19034148.jpg


マイケル・ジャクソンが1992年に出版した『Dancing the Dream』から

LOOK AGAIN, baby SEAL」の和訳です。


毎回、以前出版されていた和訳本の訳を確認してから、翻訳しているにも関わらず、訳している途中で、いつも急展開を感じてしまうというか、マイケルの言葉には、どこかで必ず予想を裏切るところがあるように思います(もしかしたら、その感覚は自分で何度も訳してみた人にしか感じられないものかもしれませんが・・)。それで、そこが、MJが考える「innocent」と、「純粋まっすぐ君」とか、「天然少女」や、「正義の人」との違いではないかと思ってみたり・・・


どこかで読んだ海外記事の分類によれば、Dancing The Dream の内容は、Philosophiesと、Poemと、Parablesの3つに分類することが可能で、今回紹介する「Look Again, Baby Seal」は、その分類の中でもっとも数が多いParables(たとえ話)に分類されているものです。


それと、毎回一番悩むのはタイトルで、結局、日本語のタイトルをつけられないままにしてあるものが、ほとんどなのですが、こちらは、和訳本では「また会おう、アザラシくん」になっています(私の訳ではオットセイですが、その違いはさておき)。いろいろ考えてみると、「なるほど・・」と思うんですけど、やっぱり、今回も、私には日本語タイトルは無理でした。


そんなことも含めて、


ご意見や、ご感想、気になる点や間違いなど、

いつでも遠慮なくお知らせくださいませ。



LOOK AGAIN, baby SEAL


One of the most touching nature photographs is of a baby fur seal lying on the ice alone(*). I'm sure you have seen it - the picture seems to be all eyes, the trusting dark eyes of a small animal gazing up at the camera and into your heart. When I first looked at them, the eyes asked, "Are you going to hurt me?" I knew the answer was yes, because thousands of baby seals were being killed every year.


自然をテーマにした写真のなかで、僕がもっとも感動したのは、ひとりぼっちで氷の上に寝そべっているオットセイの赤ちゃんの写真。君も見たことがあるだろう。写真のすべてから目が感じられるぐらい、小さな動物の人を疑わない黒い瞳はカメラをじっと見つめ、見る者の心の中を見返している。はじめてそれを見たとき、僕はその眼が、「きみは、ぼくを傷つけるの?」と聞いているのかと思った。何千頭ものオットセイの赤ちゃんが、毎年殺されていることを知っていたから。


 Many people were touched by one baby seal's helplessness. They gave money to save the seals, and public awareness started to shift. As I returned to the picture, those two wide eyes began to say something different. Now they asked, "Do you know me?" This time I didn't feel so much heartache as when I felt the violence man inflicts upon animals. But I realized that there was still a big gap. How much did I really know about life on earth? What responsibility did I feel for creatures outside my little space? How could I lead my life so that every cell of living matter was also benefited?


大勢の人々が、赤ちゃんオットセイの無力を知り、彼らを保護するためのお金を与え、一般の人も動き始めた。それで、僕が再び写真を見たとき、そのふたつの丸い眼は、また別のことを訴えてきた。今度は、「きみは、ぼくのことを知っているの?」と聞かれたのだ。このときは、人が動物に暴力を加えている、というような心の痛みはあまり感じなかった。でも、それから間もなく、僕はオットセイとの間にある大きな溝に気づいた。地球上の生命について、僕は本当にどれぐらいわかっていただろう? 僕の小さな生活圏の外で生きるものたちのために、どれほど責任があるんだろう? この世に生を受けたあらゆるものに、惠みを与えられるように、僕になにができるのか?


 Everyone who began to wonder about these things found, I think, that their feelings were shifting away from fear toward more closeness with life as a whole. The beauty and wonder of life began to seem very personal; the possibility of making the planet a garden for all of us to grow in began to dawn. I looked into the eyes of the baby seal, and for the first time they smiled. "Thank you," they said. "You have given me hope.”


こういったことに疑問をもち始めた誰もが、心の中から、次第に恐怖が薄れ、生命全体に対する親近感が芽生えてくるのを感じるだろう。生命の美しさや神秘が、とても身近に感じられるようになり、地球を僕たち全員が育つ庭にするという希望はそこから始まる。赤ちゃんオットセイの目を見ると、初めて、僕に微笑んでくれて、「ありがとう」と言ってくれた。「君は希望をくれたね」と。


Is that enough? Hope is such a beautiful word, but it often seems very fragile. Life is still being needlessly hurt and destroyed. The image of one baby seal alone on the ice or one baby girl orphaned in war is still frightening in its helplessness.


I realized that nothing would finally save life on earth but trust in life itself, in its power to heal, in its ability to survive our mistakes and welcome us back when we learn to correct those mistakes.


それでもういいのだろうか? 希望というのは美しい言葉だけれど、それはとても脆いものでもある。 生命はまだ不必要に傷つけられ、奪われてもいる。ひとりぼっちで氷の上にいるオットセイの赤ちゃんや、戦争で両親を亡くした少女といったイメージには、恐怖を感じるような絶望感がある。でも、僕はわかったのだ。最終的に地球を救うのは、信頼だけで、そこには、傷を回復させる力があり、僕たちが誤りを認めて学ぶなら、快く迎えてくれるということに。


 With these thoughts in my heart, I looked at the picture again. The seal's eyes seemed much deeper now, and I saw something in them that I had missed before: unconquerable strength. "You have not hurt me," they said. "I am not one baby alone. I am life, and life can never be killed. It is the power that brought me forth from the emptiness of space; it cared for me and nourished my existence against all dangers. I am safe because I am that power. And so are you. Be with me, and let us feel the power of life together, as one creature here on earth.”


そんなことを思いながら、僕はまた写真を見た。オットセイの眼は前より深く、僕は、これまで見落としていたものが、絶対にくじけない強さだったことに気づいた。「きみは、ぼくを傷つけなかったね」と彼らは言った。「ぼくはひとりぼっちじゃない。ぼくは生命のそのもので、生命そのものが殺されることは絶対にない。それは、空っぽの宇宙から押し出して、ぼくを生み出した力であり、ぼくを気にかけて、危険から守り、育ててくれた。ぼくは、その力そのものだから、だいじょうぶなんだ。きみもそうだよ。この地球の生きものとして、生命の力を、ぼくと一緒に感じよう」


 Baby seal, forgive us. Look at us again and again to see how we are doing. Those men who raise their clubs over you are also fathers and brothers and sons. They have loved and cared for others. One day they will extend that love to you. Be sure of it and trust.


オットセイの赤ちゃんは、僕たちを許してくれた。これから僕たちがどうするかを見届けるために、いつまでも見守ってくれ。君たちの頭に、こん棒を振り上げた人間たちもまた、父であり、兄弟であり、息子であり、彼らも、誰かを愛し慈しんでいた。いつの日か、彼らはその愛を君に示すだろう。それは、それは疑いなく信じていて。


(訳:yomodalite)



f0134963_19072615.jpg


(*)アザラシ,アシカ,オットセイともに「seal」で、baby sealsの訳には「子アザラシ」と書かれている辞書もありますが、「fur seal」は、オットセイのことです。また、アザラシ,アシカ,オットセイの区別は難しいですが、オットセイとアシカは「アシカ科」で、アザラシは「アザラシ科」なので、この二つの区別は見た目にもわかりやすいようです。


◎baby sealsのpinterest

https://www.pinterest.com/jnmph02/baby-seals/






[PR]
トラックバックURL : https://nikkidoku.exblog.jp/tb/24723285
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by yomodalite | 2015-12-01 06:00 | ☆Dancing the Dream | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite