2015年 07月 28日
世界陰謀全史/海野弘 |
タイトルは陰謀全史ですが、世界におこった陰謀の歴史ではなく、陰謀論の主役になった集団を年代別に紹介してある。といった内容。
著者は、「陰謀論がなくならないのは、現代世界に霧がかかり、はっきり見えなくなっているからではないだろうか、私たちはそれをはっきり見たいと思い、そのための眼鏡を必要とする。その眼鏡のひとつが陰謀論なのである」とし、
「世界は謎である。世界は秘密と陰謀に満ちている。そのような世界を解読したい、はっきり見たいと思う時、陰謀論という〈アプリ〉が必要となる」と。
マーク・ブース(『世界の秘密史ー秘密結社に操られる』)は、小説はエゴイストに関するものだといっている。つまり個人としての視点から世界を眺めるのである。個人が世界を彼自身の視点から眺め、解釈すること、逆に言えば、世界を解釈しようとする個人がたくさん、すなわち大衆としてあらわれたことと、陰謀論の一般化とは関連している。一般の人が個人として、世界に対してそれぞれ意見を申し立てることができるようになったことが陰謀論の流行とつながっている。すなわち、権力、体制側の解釈としての「大説」に対する個人の抵抗としての「小説」なのである。
世界は複雑化し、部分化していくが、細部へのこだわりは全体を失わせ、世界はバラバラに見えてくる。そのばらばらの部分をつないだ統一的な理論が求められ、陰謀論は呼び出される。
陰謀論者は、さまざまな陰謀説を自在に呼び出すことができ、自在に組み合わせて自説をつくりだすことができる。第一の法則は、陰謀説は、あくまで、今、ここ、にかかわっていることを示し、その説が起源が何万年前のものであろうと、その血脈は受け継がれ、今、ここに生き続け、今なお有効であると考えられるのである。
どんなに古いものでも、すべてを今のこととして考える。今をどう説明するかが重要なのである。それが、「すべてのものは、今につながっている」という法則になる。
というのが、プロローグの要約で、
ここから、隠謀全史の本編となるのですが、それらはウィキペディアの文章にも似て、陰謀論がもつ「解読」の魅力には乏しく、またそれらの真実を覆そうという意図もなく、
21世紀の『秘密結社の手帳(澁澤龍彦)』のような、
夏の読書にふさわしい暑苦しさのない「陰謀論本」だと思いました。
個人的には、第2章の「W・B・イエイツのケルト薄明」、第3章の「ユング・カルト」に興味があったのですが、本書は、まずは妄想全史を俯瞰的にながめてみる。ための「アプリ」のようです。
《第一章》陰謀マトリックスの三つの軸
――フリーメイソン、テンプル騎士団、薔薇十字団
●陰謀論の三つの神話
●フリーメイソン――秘密結社の原型
●テンプル騎士団――秘密の戦士たち
●薔薇十字団――魔術と革命
《第二章》十九世紀末――オカルト・ルネサンス
●現代陰謀論の開幕――フリーメイソンとフランス革命
●十九世紀の心霊主義――フォックス姉妹、ブラヴァツキー夫人の神智学
●フランスの魔術ルネサンス
●黄金の夜明け団
●W・B・イエイツのケルト薄明
●アレイスター・クロウリー 大いなる野獣
《第三章》アーリア神話 大陰謀
――1900年から第二次世界大戦まで
●オカルティズムと戦争――世界征服の陰謀<ナチズム>
●ユング・カルト――陰謀史のユング
・フロイトとの訣別とユングフラウ
・大戦とユング
・ロックフェラーと<心理学クラブ>
・オットー・グロス
・古代異教カルト、そしてアメリカへ
《第四章》アメリカ大陰謀時代――第二次世界大戦以降
●コンスピラシー・アメリカン
●カリフォルニア・コネクション
●アシッド・ドリーム
●カルト戦争
エピローグ
・二十一世紀の陰謀論
by yomodalite
| 2015-07-28 14:00
| 歴史・文化:美術
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