2015年 02月 04日
アメリカの反知性主義/リチャード・ホーフスタッター |
反知性主義が、現代日本を象徴する言葉として、取り上げられるようになり、元外務省職員で作家の佐藤優氏は、それを「実証性や客観性を軽んじ、自分が理解したいように世界を理解する態度」と語りました。
建国時には、社会の各分野をしめていたジェントルマンが凋落し、知識人を敵だと考えるようになっていった背景には、キリスト教を母体とした信仰復興運動があり、キリスト教を滅亡させようとする陰謀の告発や、王制を復活させ、英国の傘下に置こうとしているという策謀があると考える人々の歴史が順を追って描かれています。彼らが、どれほど教育を嫌い、知性を敵視してきたか。反知性が、多くの面で反ユダヤと重なっている理由にも、思い当たる点があるでしょう。そして、こういった知的な著書を読むとき、これも、常に感じてしまうことですが、著者は、やはりユダヤ系らしい。
反知性主義が、日本を覆うようになったのは、バブル世代が、土台のない知性しか持たなかったからかもしれません。80年代以降に生まれた人たちは、まともな知性に出会うことはなかった、かわいそうな世代だと思いますが、今のアメリカのような社会に住みたくないのなら、古典を読んで、土台のしっかりした知性を身につけるしかないと思う。
二段組みで厚み3センチほどありますが、この手の本にはめずらしいほど読みやすい翻訳!今のアメリカがどうやって創られていったのかに関心がある人にとっては必読本。プロテスタントの宗派に興味がある人にも。
by yomodalite
| 2015-02-04 01:16
| 宗教・哲学・思想
|
Comments(0)