あんぽん 孫正義伝/佐野眞一

あんぽん 孫正義伝

佐野 眞一/小学館



今年(2012年)の始めに出版され、大評判になった本。

図書館にも予約が一杯で、最近ようやくこの本を借りられたダーリンは、毎日すごく楽しそうに本著を読み、私にも「絶対読め」と何度も奨めてきたんですが、私はすでに両手両足どころか、猫の手まで借りても読み切れないほど、たくさん本を抱えていたので「面白そうなのはわかるけど、それどころじゃない」って思ってたんです。でも、読了後、彼が「ああ、読み終わっちゃった。。」と残念そうだったり、私と違って通常、本代にはケチな彼が「これ、買おうかなぁ」とまで言い出したので、、自分の本代には甘いものの、彼の本代にはドケチで、物が増えるのも嫌いな私は、その魂胆を阻止すべく、もうホント「しぶしぶ」って感じで読み出したのですが、、

結果から言えば、大勢の人と同じく、すごく面白かったです。

その面白さについては、素敵な書評がいっぱいあるので、、

◎[参考書評]ダイノジ大谷の「不良芸人日記」
◎[参考書評]渡辺正裕公式ブログ「逝く前のジョブズのごとく」
◎[参考書評]琥珀色の戯言
◎[参考書評]黒夜行
◎[参考書評]圭一朗日記


ものすごく個人的で、極私的な感想だけを「小声」で言いますが、
私は、これを読んでいる間、何度も、MJのことを思い出しました。(呆)

「あのスティーブ・ジョブズの人生にも負けないくらいドラマチック」

という宣伝文句も嘘ではなく、ジョブズの伝記よりも、また、ジョブズ本人よりも「似ている」と思ったりもして、、(ただ、具体的にどこがと言われるとすっごく困る…w)

孫正義や、ソフトバンクに興味がなくても、

石原慎太郎が大嫌いな人(前から嫌いだったけど、最近は殴ってやりたいとすら思う)

なら、今からでも遅くないと思います。

下記は、本書から、孫氏が12歳のときに書いた「詩」をメモしておきます。


(引用開始)


三上は(孫正義を)担任中、孫が韓国籍だとはまったく知らなかったという。

「彼自身、そんなことはひと言も言いませんでした。ただし、彼が “差別” というものについて敏感だったことは間違いありません」三上はそう言って、1冊のノートをテーブルの上に広げた。表紙には筆記体で「Masayoshi = Yasumoto」と書かれ、その下に通信ノートと記されている。日付は1970(昭和45)2月4日とあるから、孫が12歳のときである。そこに「涙」という孫の自作の詩が書き込まれていた。


君は、涙をながしたことがあるかい。

「あなたは。」「おまえは。」

涙とは、どんなに、たいせつなものかわかるかい。
それは、人間としての感情を、あらわすたいせつなものだ。

「涙。」 涙なんて、流したらはずかしいかい。

でも、みんなは、涙をながしたくてながしてはいないよ。

「じゅん白の、しんじゅ。」

それは、人間として、とうといものなのだ。

「とうとい物なんだよ」

それでも、君は、はずかしいのかい。

「苦しい時」「かなしい時」そして、「くやしい時」

君の涙は、自然と、あふれ出るものだろ。
それでも、君は、はづかしいのかい。
中には、とてもざんこくな、涙もあるのだよ。

それは、

「原ばくにひげきの苦しみを、あびせられた時の涙」
「黒人差別の、いかりの涙」
「ソンミ村の、大ぎゃくさつ」

世界中の、人々は、今も、そして、未来も泣きつづけるだろう。
こんなひげきをうったえるためにも、涙はぜったいに欠かせないものだ。
それでも君は、はづかしいのかい。

「涙とは、とうといものだぞ。」



小学6年生とは思えない大人びた詩である。この詩にもある「ソンミ村の大ぎゃくさつ」とは、ベトナム戦争中、アメリカ軍兵士が非武装のベトナム民間人を大量虐殺した事件のことである。「孫くんの当時の感性がよくわかる詩だと思います。原爆の悲劇、黒人差別、ソンミ村の虐殺まで、小学生ならではの憤りが記されています。1970年という時代の影響かもしれませんが、小学生でここまで考えられる子はそうはいなかったはずです」

三上は、孫は間違いなくクラスのリーダーだったという。「学級委員という肩書きだけでなく、ちゃんとリーダーとしての資質をもっていた。子どもの社会ではリーダーというのはたいがい敵をつくるものなんですが、孫くんには敵がいなかった。というより、孫くん自身が決して敵をつくらなかった。分け隔てなく、誰とでも付き合う子だったんです。

ちょっと勉強ができない子がいれば、彼はちゃんと寄り添って面倒を見る。決して見下すようなことはしなかった。といって、堅苦しいだけの子どもではなかった。野球をやらせれば名サードとして活躍したし、みなで遊びに行けば、誰よりもはしゃいでいた。だから、彼は「安さん、安さん」と呼ばれて頼りにされ、誰からも好かれていたんです。文字通りよく学び、よく遊ぶという子どもでした」(p73)

(引用終了)

◎[Amazon]あんぽん 孫正義伝
_______________

[内容紹介]ここに孫正義も知らない孫正義がいる。今から一世紀前。韓国・大邱で食い詰め、命からがら難破船で対馬海峡を渡った一族は、豚の糞尿と密造酒の臭いが充満する佐賀・鳥栖駅前の朝鮮部落に、一人の異端児を産み落とした。ノンフィクション界の巨人・佐野眞一が、全4回の本人取材や、ルーツである朝鮮半島の現地取材によって、うさんくさく、いかがわしく、ずるがしこく……時代をひっかけ回し続ける男の正体に迫る。

“在日三世”として生をうけ、泥水をすするような「貧しさ」を体験した孫正義氏はいかにして身を起こしたのか。そして事あるごとに民族差別を受けてきたにも関わらず、なぜ国を愛するようになったのか。なぜ、東日本大震災以降、「脱原発」に固執するのか――。全ての「解」が本書で明らかになる。

[BOOKデータベース]
今から一世紀前。韓国・大邱で食い詰め、命からがら難破船で対馬海峡を渡った一族は、筑豊炭田の“地の底”から始まる日本のエネルギー産業盛衰の激流に呑みこまれ、豚の糞尿と密造酒の臭いが充満する佐賀・鳥栖駅前の朝鮮部落に、一人の異端児を産み落とした。孫家三代海峡物語、ここに完結。  小学館 (2012/1/10)





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by yomodalite | 2012-09-18 10:44 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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