犬を殺すのは誰か − ペット流通の闇/太田匡彦

犬を殺すのは誰か ペット流通の闇 (朝日文庫)

太田匡彦/朝日新聞出版



マジメな本が続きますが、、、

先日、ある方から「動物愛護管理法」の改正に向けてのメールをいただきました。今年の9月末までに、改正案のための署名を集めたいとのことでした。

一部のペットショップやブリーダー、また、無責任な飼主により、大勢のペット達が「処分」されていることをご存知の方も多いと思います。

わたしは子供のころから、とにかく「殺傷」がキライで、「血」を見ることにも、めちゃめちゃ臆病だったので、どうしても踏んでしまっているかもしれない蟻を除けば、ホントに小さな虫だって、殺さないように気をつけてきたつもりです。(メールをくださった方は、お会いしたことはない方なので、そんな私を見込んでくださったわけではないのですが。。。)

また、以前、視覚障害者の音楽家の方と仕事をして、盲導犬と一緒に5時間ほど一緒に過ごしたときも、「彼」の自動改札に苦心する姿や、雑居ビルの外側に取り付けられた、鉄製の螺旋階段の昇降を手助けするところ(エレベーターに乗ることを遠慮されたんだと思います)、

2時間以上を過ごした中華レストランで、円卓の下に大きな体を小さくして、息づかいすら聴こえないほど静かにしていて、そのあまりの存在感の無さに私の方が「彼」を忘れてしまって、席を立つときに、うっかり、尖ったブーツの先で蹴ってしまったときも微動だにしなかった「彼」の姿は、

わたしの「思い出すとすぐ泣けるエピソード」のひとつです。

ですから、動物を愛する気持ちも、彼らの心と通じ合えるという思いも、人並みにある方だと思うのですが「法律」の問題となると、すぐに賛成していいのかどうか、判断できませんでした。

というのも、動物愛護の精神は、突き詰めていけば、人間とぶつかるものです。「人権」も保証されていない世の中で「アニマルライツ」を強く主張して行くことは、愚かな人間を、動物よりも「下」に置きかねない部分があるからです。

また、わたしには「法律」で定めることは、できるだけ「拡大」しない方がいいという考えもあり「罰則」の増大や「法律遵守の厳罰化」、子供が事故にあったときなども、親の責任を糾弾するような「自己責任」が過重な世の中にも、息苦しさを感じています。

親の責任を過重にし、他人を子供に寄せ付けてはいけないという世の中の「空気」は、子供に真の愛情をもって接しようとした、マイケル・ジャクソンのような人に「性的幼児虐待」という疑惑を植え付けることにも繋がりましたし、

犯罪防止のための、新法案や、改正は「取り締まる仕事」を増やすことと、監視するシステムの構築に繋がっていることも確かです。

わたしは、そんなことも考えつつ、今回の「動物愛護管理法」の改正に求められていることや、現状の問題点を知りたくなり、この本を読んでみることにしました。

本書は、雑誌「AERA」で、2009年から連載されていた記事の構成を大幅に変え、多くの書き下ろし部分を追加したもので、2010年の9月に出版されたものです。

著者は「アエラ」の編集員で、わたしが日頃から大キライ!と言っている元新聞記者の方ですが、本書は著者のきもちが込められた綿密な取材と、各自治体等のデータも豊富にあり、この問題を考えるうえで、必要なデータがよくまとめられている「良書」だと思いました。

ペットの殺処分も、連載時の反響から、自治体にも変化が起こったり、消費者が知識を得たことで、減少傾向にも繋がったようです。

罪のない、ペットたちの命のために、法律改正が必要かどうかだけでなく、

無責任に捨ててしまう一般の飼主もそうですが、特に、ブリーダー、ペットショップの意識改革も「ビジネスの問題」なので、

消費者が賢くなることによって変えられることはたくさんあると思います。

深夜にペットを販売しているペットショップや、
生まれたての子犬の可愛さに、つい目がいってしまうことにどんな問題が潜んでいるか
ペットと暮らしたいと思うとき、考えておくべき様々な条件など、、

わたしたちが、ペットに対して、間違いを犯さなくても済むような予備知識も教えてくれます。図書館にも置いてある本だと思いますので、是非ご一読をお勧めします。



☆「動物愛護管理法を変えるデモ」は、今年の2月に行われたようです。

ペットの殺処分は減少傾向にあるようですが、法律改正の方は、業者の反対票が多く、厳しい状況だと聞いています。

先頭に立たれた、女優の浅田美代子さんのメッセージと動画のリンクを貼っておきます。

わたしは、明石家さんまさんと、永年仕事をしている浅田さんを素敵な人だと思っていますし、女優だけでなく、タレントとして「人々を楽しませるお仕事」をされてきた方は「人間にも優しい方」ではないかと思っています。

「運動」には、業界主導のものが多く、それらの広告塔になるタレントは、ギャラも貰えるうえに、イメージアップにも繋がり、美味しいことばかりですが、この活動は、業界と反発する運動なので、

浅田さんは、業界からの嫌がらせなど、芸能活動にとってマイナスになることはあってもプラスになることはないという覚悟で立上がられているのでしょう。

私は「法律改正」について賛同する者ではありませんが。。。

◎浅田美代子さんの動画(2010年3月19日首相官邸訪問)
◎殺処分寸前だったイヌが心を開く瞬間

「浅田美代子さんからの御願い」
2011年2月26日「動物愛護管理法を変えるデモ」の際のメッセージ


ペット・ショップは、とても楽しい所です。愛らしい愛玩動物達は、私達の友であり、心を和ませてくれるパートナーです。そして、運良く、親切な飼い主に巡り会う事が出来た彼らは幸運です。しかし、運が悪く、誰にも引き取られ事のなかった彼らの運命を御存知ですか?

動物を家族に迎え入れると言う行為は、大変素晴らしい事ですが、それと同時に命と言う重大な責任と思慮深い選択が求められる事を理解していますか?

日本だけで年間 30 万(300,000)頭、毎日 1000 近くの愛されるべき動物の命が処分されているのが現状です。動物を本当に欲しがる人達にとっては、動物が御金では手にする事の出来ない掛け替えのない友と成り得る事もありますが、生体販売業界にとっては、ただの金儲けの道具に過ぎません。そして「補充>成長>売れない>処分>補充>成長>売れない>処分>・・・」と言う状況が続く限り「補充>成長>売れない>処分>補充>成長>売れない>処分>・・・」と言う悪夢の様な連鎖が途絶える事はありません。

☆飼い主の要望によって殺処分される理由
・病気を患って、治療費が高額だから
・新しい犬(猫)を買ったから
・大声で鳴いて、近所から苦情が来た
・発情期になってしまい、うるさい
・妻が妊娠した
・(親など)と同居するする事が決まった
・引っ越す事になった
・子供を産んだから、親犬は、もう要らない
・言う事を聞かない
・いつまで経っても糞便の場所を覚えない
・年を取ってしまい、飼うのが面倒になった
・犬(猫)が子供を沢山生んでしまい、こんなに飼えない

私は、保健所から一頭の子犬を引き取る事を決意しました。御座り、御手、待て、おしっこの場所も分かる、こんな子達が、日本だけで年間 30 万頭、毎日毎日 1000 頭も殺されていると思うと現実が本当に辛い。動物を一頭買えば、その数十〜数百倍の動物が犠牲に成ると言う事を全ての人に知って置いて貰い、動物を飼う事に責任と義務を持って頂きたい。今回のデモは 5 年に 1 回見直されるか見直されないかの動物愛護管理法を変えるチャンスです。この先 5 年間で再び 150 万頭の動物が犠牲になる事のない様に皆様の御協力を御願い致します。—女優 浅田美代子
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[内容紹介]
年間約8万匹の捨て犬が殺処分されている。その背景には、オークションを中心とする日本独特のペット流通がある。「売り時」を逃した犬を処分する業者と、ゴミのように回収する行政。アエラ記者が「命の衝動買い」のツケを告発する。朝日新聞出版 (2010/9/17)


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by yomodalite | 2011-03-10 08:59 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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