タグ:Unbreakable ( 4 ) タグの人気記事

f0134963_21481563.jpg


(7)の続き・・・


マイケルの数少ない音楽について語ったものの中でも、もっとも語られていないヒップホップとの関わりや、影響について色々見てみたところで、最終回の今回は、Unbreakable のビギーのラップの元曲「You Can't Stop the Reign」について。


マイケルが、亡くなったビギーの5年も前のラップを使ったのはなぜなのか?その理由を知るために、まずは、この曲の和訳から始めたいと思ったのですが、


マイケルは、自分は知らなかったんだけど、たまたま、ロドニーが見つけてきて・・みたいなニュアンスで語っていましたが(→ ⑥)


シャックの歌詞を読んでみると、むしろ、Unbreakable は、この曲にインスパイアされたというか、アンサーソング的な意味合いで創られたのでは?と思える内容で、もともとシャックの第3ヴァースには、「俺は無敵で抜け目のない男(invincible, smooth individual)なんていう表現もあるのですが、マイケルのUnbreakable にも、「you can’t stop me、 you block me・・」という、シャックのラップと同じような表現が・・

ただ、1996年にリリースされたこの曲は、今のラップミュージックよりもずっと、ありがちなR&Bですし、Unbreakableとは印象がまったく違っています。


下記の英詞は、CD歌詞を転載したかったんですが、何度か聞いて確認したところ、日本版のCD歌詞には正しくない箇所が多くて・・聞き取りや、ネット上にある歌詞とも照らし合わせて修正しました。


とにかくスラングばかりなので、和訳にはずいぶん苦労しましたが、ニュアンスが伝わるような意訳に徹して、なんとかやってみたので、もっと正解に近い訳がわかるという方は教えてくださいませ。






You Can't Stop the Reign

オレの天下は止められない


[Verse 1: Shaquille O'Neal]

You can't stop it, block it, when I drop it

Anytime I go rhyme for rhyme on a topic

Ain't even fit to step into Shaq's arena

I looked inside your mind and I see your shook demeanor

In your eyes why are you surprised

No matter how you try not fly its' elliuqahs(*1)

The new edition this is the end of your last night(*2)

In the daytime you couldn't see me with a flashlight

I crash flights on sight of my enemies

I'm coming through and then

I bomb your whole facility (→vicinity?)

Why the act of faken jacks, you're not a friend of me

I peeped your card, you're not as hard as you pretend to be

Who wanna spark it, with the chocolate macadamian

Head clean to the cranium you know the name

Shaq aim to maintain

Money on the brain, can't stop the reign


オレが言葉を吐くとき、

おまえは止めることも、ブロックすることも出来ない

どんな話題も、オレが次々と韻を繰り出せば

おまえは「シャックのアリーナ」に立ち入ることさえ無理

おまえの心の中を覗いたら、ビビってる姿が見えたぜ

おまえの目は、なぜそんなに驚いてるんだ

おまえがどんなにやってみたところで、

「elliuqahs」みたいには飛べないし(*1)

ニュー・エディションが終わったように、今夜がおまえの最期さ(*2)

昼間は懐中電灯を使ったって、オレを見ることはできないけど

オレがちょっと通っただけで

おまえの周辺すべてを爆破してやる

イカサマするなんて、オレの友だちじゃない

おまえの手口はお見通しさ

思ったよりも、たいしたことないね

マカダミアンチョコみたいな女たちと盛り上がりたいだろ

頭の中をスッキリさせてさ

シャックはいつもいい状態

お金のことがきっちり頭に入ってるし、

オレの天下は止められない


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)

When it starts to fall

There's no one else to blame

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない


[Verse 2: Notorious B.I.G.]

I speak deep with killers about million dollar figures

Blessen niggas with acc's legend and vigors,

cream lizards, cream coochies,

I do my duty as long as they fly as me,

and high as me

Success of my circle, try to break it will hurt you

Ain't no getting out that


俺は100万ドル稼ぐようなやつらについて

殺し屋たちとじっくり話す

伝説みたいな力を身に付けたイケてる黒人たち

極上のチ☆コに、極上のマ☆コたちさ

彼らがオレを高く買ってくれるなら、オレもその期待に応えるけど

オレらの成功をジャマするやつは放っておかない

痛い目にあわせてやる


I doubt that we want the exotic erotic ladies

Not them toxic ladies that burn a lot

I learned a lot from junkies to ruffians,

from being tied up by colombians cause

8 grams was missin' listen, had to change

my position from wanting to be large

To head nigga in charge my garage

call it celo, 4,5,6 honies by the mixes(*3)

If it ain't broke don't fix it

Smoke out with Biggie Tarantino

Size like a sumo

Frank White numero uno(*4)


ヤク中で盛り上がってる女じゃなくて

エキゾティックでエロい女がいいなんて嘘だね

オレは、ジャンキーやゴロツキから多くを教わった

コロンビア人が8グラムのドラッグを失くして

酷い目にあったからね

オレはビッグになりたい

自分のガレージを仕切るトップのニガーに

いちかばちかの博打、4、5、6の目がそろえば勝ちさ(*3)

壊れてなけりゃ、直す必要はない

ビギー・タランティーノが煙に巻いてやる

スモウレスラー並みにデカいフランク・ホワイトがナンバー1さ(*4)


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign no)

When it starts to fall (When it starts to fall)

There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない


[Verse 3 - Shaquille O'Neal]

7'0" towerin inferno, invincible, smooth individual

Who wants to test it foreign or domestic

No matter where you're from I not the one

you want to mess with

Original willie style, living lavish

Private jets to let my shortie shop in Paris

I'm not the average, I'm far from the norm

It's daddy long, hitting you strong,

keepin' you on


おれは7フィート以上あるタワーリング・インフェルノ

無敵で、抜け目のない男

国内でも、海外でも勝負するつもり

どこから来ようと、オレには関係ない

オレ独自のスタイルで、贅沢三昧に暮らすのさ

プライヴェートジェットでパリまで行って

カノジョに買い物させてやる

オレは並の男じゃない、桁外れなんだ

あしながおじさんもするし、おまえをひっぱたくこともあるけど、

おまえを見捨てたりしない


[The Notorious B.I.G.]

A lime to a lemon with my DC women(*5)(*6)

Bringin’ in ten G minimums to condos with elevators in ’em

Vehicles with televisions in ’em

Watch they entourage turn yours to just mirages

Disappearing acts, strictly nines and MACS(*7)

Killers be serial, Copperfield material

My dreams is vivid

Work hard to live it

Any place I visit I got land there

How can players stand there and say I sound like them?

Hello! Push wigs back and push six coupes that’s yellow(*8)

Plus clips that expand from hand to elbow(*9)

Spray up your Day’s Inn, any hotel you in

Crack baggin’ sick of braggin’ how my mink be draggin’

Desert ease street sweeper inside the Beemer wagon

I rely on Bed-Stuy to shut it down if I die(*10)

Put that on my diamond bezel

You’re messin’ with the devil

What? what? what? what


レモンからライムまで、(*5)

俺が支配してるD.Cの女たちにたんまり稼いでもらう(*6)

エレベーター付きのコンドミニアムや、

テレビ付きの車に運ぶのさ

見てろよ、俺の仲間はおまえが持ってるものを幻に変える

殺し屋は次々と、消すのに使うのは、9's か、MAC(*7)

デヴィッド・カッパーフィールドが手品で消すようなものさ

俺の夢ははっきりしてるし、必死にやってる

どこへ行こうが、そこが俺のシマ

そこらにいる奴が、俺みたいに出来るだって?

よおし、頭数をそろえたら、6台の黄色のクーペに押し込んで、(*8)

肘から手まで伸びるやつを装着して(*9)

デイズインだろうが、どこのホテルだろうが、

ぶっ放してやるよ

ミンクのコートが引きずるほど長いだとか、

バカな自慢ばっかりしてるけど

乾ききった楽園の通りを、BMWワゴンの中から掃除してやる

俺が死ぬときは、ベッドスタイの連中にカタをつけてもらうぜ(*10)

俺のダイヤ付きの指輪に刻んでおこうか、

「お前は悪魔を相手にしてる」ってな。

どうよ?


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)

When it starts to fall (When it starts to fall)

There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない・・(繰り返し)


(訳:yomodalite)


(*1)elliuqahs / Shaquilleの逆読み・・・シャキールは自分のことを二面性のある人間だと言う。「企業人で、ハンサムで話し方もさわやか、スーツを着て人当たりも良いシャキールと、2回タイトルをとったスーパーアスリートのシャックがいる」と。「二人は同じ人間だけど、クラークケントとスーパーマンのように、昼間はシャキールで、夜はシャック」また、ネメシスのような存在の邪悪な双子がいるのだとも言う。彼が Elliuqahs Laeno(Shaquille O’Neal の逆読み)と呼ぶ人物だ。「立場上おれがそいつのようにふるまうことは許されない。やつは普通の金持ちの男がやるだろうことをやる。パーティして、ぶらぶらして、悪い言葉を使ってね。徹夜しては翌日練習、ちっとも集中してない。そういうやつだよ。でもね、彼はもういない。おれはやつを消したんだ」。(ニューヨーカー誌より)

(*2)The new edition / ニューエディションは、ジャクソン5の後、最も成功した超人気黒人アイドルグループ。ソロでも大成功したボビー・ブラウンが脱退後も、メンバーの入れ替えをしながら活動を続けていますが、80年代~90年代前半のアイドルグループというイメージが強い。

(*3)celo / サイコロ三つを振るシンプルな博打で、4,5,6の目が出るのが最強らしい。ただ、honies の意味は曖昧になってます。

(*4)Frank White / フランク・ホワイトは、映画「King of New York」でクリストファー・ウォーケンが演じた役で、奪ったものをニューヨークの貧困層に再分配する義賊。ビギーは、自分のことをKing of New York や、Black Frank Whiteと称していた。

(*5)シャックの[Verse 1]冒頭の「I go rhyme for rhyme」とリズムを揃えている。レモンのスラングは数多くありますが、全体の内容から、lime も lemonもドラッグを指しているような感じ。

(*6)my D.C. women / CeCe womenという表記も多いのですが、CD歌詞では「my D.C. women」で、実際の発音でも「DC.」だと思います。ブルックリンのディーラーにとって、ワシントンD.C.はドラッグが高く売れる「シマ」なんですね。

(*7)9's はこんな感じで、

f0134963_21570327.jpg



MACは、こんな感じの銃だと思います。

f0134963_21574016.jpg

(*8)wigs はカツラではないと思います。複数でない wig でも「頭」というような意味で、そこから派生した「エロい意味」もあったり、wig pushed back! なら、ボッコボコにするという意味もあるのですが、ここでは「頭数」という訳にしました。


(*9)Plus clips that expand from hand to elbow

タクシードライバーにも出てきた、袖から伸びて出てくるやつのこと??

https://www.youtube.com/watch?v=GdCkpgj8BLU

f0134963_22002047.jpg


* *(注釈終了) * *



シャックには、2Badのラッパーに起用される前、マイケルが買おうとしてた家を、先に買ってしまった。なんてエピソードもありましたよね!


◎シャキール・オニール、MJとの出会いを語る



次回はようやくUnbreakable」の和訳ですw


[PR]
by yomodalite | 2017-07-24 00:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
f0134963_2144196.jpg



わたしは、MJが1ミリ間違っているように見えるときは、こっちは1メートルぐらい間違ってる可能性の方が高いんじゃないかと、よく思うんです。。。

(7)まで戻って見てくださっている方が多くて、申し訳なく思ったり、ここまで書いたことも、反省点ばかりが気になってきましたが、(21)から、わたしが最も言いたいのは、この時期のSONYとの確執も、彼自身の不可解さも、決して残念なことではなかったということなので、

夜露死苦っ!!! (by : 夜喪堕璃手)


下記は(21)〜(24)をまとめて、少し表現を代えて、加筆したようなものです。

Invincible期のMJの活動には、ソニーウォーズに絡んだ説明をされることが多く、2010年に発売になった、DVD『VISION』完全生産限定盤の“You Rock My World”の項で、解説の西寺郷太氏は、

この時の確執は彼の音楽人生において損失だった。と僕は思う。

と、記されていて、西寺氏のことは、MJのことを、膨大な知識としてでなく、血肉として理解されていて、とてもとても尊敬していますし、

アルバムに収録されなかった、素晴らしい曲をいっぱい知っている1ファンとしても、ここからアルバムが創られなかったことは、ずっと残念だったと思ってきたんですが、

Invincible期から『THIS IS IT』までのMJを、特に「顔」を中心に見ていくうちに、この時期から、彼はアルバムを創れなかったり、パフォーマンスが出来なかったのではなく、それをしなかったことに意味があったんじゃないかと思うようになりました。

この時期のMJが不可解に見えるのは『Invincible』の音楽の圧倒的な完成度に比べると、彼のヴィジョンの方には、少しだけ混乱があって、

その混乱を「You Rock My World のあの顔」ではなく、

ソニーウォーズの原因にもなったと言われる、"Unbreakable" のSFが創れなかったという情報から考え直しました。

一部の情報では、SF"Unbreakable"は、第3段シングルとして、その時点まで、SF化計画があったように感じられますが、

わたしは、“You Rock My World”のSF決定の段階で、それは破棄されていたと思っています。(今後の展開で、さらに説明する予定)

◎業界全体で、音楽アルバムの商品価値の下落が、一層進んだこと。
◎シングル発売〜SFでアルバムを売るというビジネスモデルが崩壊したこと。

この2つは『Invincible』制作中に、MJも感じていたことだと思いますし『Invincible』を完成後は、今後、アルバムを継続して創って行くことより、もっと違うことの方に、興味があったと思います。


Do you feel like your most creative period is yet to come?
Q : あなたの創作のピークはもう過ぎたと感じますか?


I think the best work is coming, but I'd like to go into other areas, not keep doing album after pop album.
MJ:最高の仕事は出来たと思う。アルバムを作り続けるより、もっと他の領域に足を踏み入れたい。(TV GUIDE Interview 1999より)


そのひとつは、幼いころからの「影像」への深い興味で、『Invincible』の完成度に、相応しい影像を創ることは、アーティストとして、確実に挑戦したいことだったと思うのですが、それは『Invincible』の音楽ほど、完璧には出来なかった。

なぜなら、

MJが映像化したかったのは、"Unbreakable" の音楽PVではなくて、「アンブレイカブルな男」そのものだからです。



f0134963_21464359.jpg


MJは、ずっと「映像化」を考えてきていますが、

ダンサーとしてだけでなく、様々な、エンターティナーやミュージシャン、SONYの盛田会長などのビジネスマン、キング牧師や、ネルソン・マンデラ....ミケランジェロのような歴史に遺る芸術家や、イエスすらも、目標として、人生を歩んできたMJにとって、

“Invincible”(無敵)で、“Unbreakable”(不死身)と言える「ストーリー」を、構築するのは、彼がどんなに天才であっても、というか、天才であるからこそ「不可能」というジレンマに陥るようなものだったのではないでしょうか。

西寺郷太氏の『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』の第6章《摩擦 ソニー、モトーラとの諍い》には、

創業者の盛田昭夫会長を尊敬していたMJにとって、「これは、自分が愛したソニーではない」という気持ちが強かったのかもしれません。

という記述がありますが、

MJが、これまでの天才アーティストと違うのは、多くのアーティストや、そのファンも信じてきた「一番売れるものが、一番良いわけがない」ということを覆したところです。

この時代までの、SONYとMJは、レコード会社とCDを売るだけのアーティストではなく、一番良いものが一番売れるという「思想」を共有していましたが、

これは、SONYという個別の会社や、モトーラ個人に起こったことではなく、あの頃、世界中で、モノを作って売る時代が終わり、

ビジネスの最前線にいた、モトーラのような人物はもとより、アメリカでも、日本でも、雪崩を打つように時代は変わりました。

マライアへの友人としての正義感も、様々な圧力も不満も、間違いなくあったと思いますが、この頃のMJは、その程度の幼い正義感や、我がままで、SONYに抗議したのではないと思います。

90年代のMJは、メディアだけでなく、そういった時代からこぼれ落ちた人たちからのMJ批判も始まっていて、お金持ちMJの戦いは一般の共感を得られるものではありませんでしたし、社会的な行動として評価されることもありませんでしたが。。。

MJは、一貫して政治的な発言には慎重でしたが、その理由には、幼い頃から尊敬していたミケランジェロが政治活動から身を引いて、偉大な芸術家となったことをよく学んでいたことによるもので、音楽業界の最前線で長くトップであり続けた彼に、政治的センスがなかったと言うことは、ありえないと思っています。

振り返って見ると、MJはどの時代も、本当に厳しい道を歩んできたと思いますが、あの頃、彼が、本当にここまで「タフな男」だったことに、MJ以外は、誰も気がついていなかったし、彼自身も、そのことを「映画化」することはできなかった。

完璧なアルバムを何枚も創った後に『Invincible』では、そこから、更なる円熟と、未来をも見据えるという理想を、音造りでは形にすることが出来て、本当に、自分が「無敵」だということに確信がもてたけど、

MJの、MJによる、“Invincible”(無敵)で、“Unbreakable”(不死身)な男の映画化は難しいということに、彼は『Invincible』制作中、何度も考えて、気づいたんだと思います。

数多くの撮影や、SFでも様々な顔を見せてきたにも関わらず、作品(アルバム)の顔(ジャケット)には、あまりこだわっていないのも、

ミケランジェロが自画像を1枚も遺さなかったことと同じように、MJも「自画像」には、慎重だったからではないでしょうか



f0134963_2158736.jpg


今までのマイケルのショートフィルムを少しずつ混ぜたようなストーリーや台詞、踊り、イメージが展開されてゆくこの作品を初めて見た時、謎だらけだったので、勝手に『インヴィンシブル』から今後シングルカットされるショートフィルムで、どんどんここで暗示させた物語が進行していくのかな?」と予想していたのだが・・・。(DVD『VISION』完全生産限定盤“You Rock My World”の解説より)

連作というのは、流石、西寺さん!!! このSFで、最初に疑問だったのは、曲の内容と、SFの内容があっていないことだったんですが、連作なら、ありえるかもしれません。

元々、彼は、音楽PV以上の映像作品を創りたかったのですから、そういったアイデアは、構想としてあったように思います。

でも、

完成した“You Rock My World”の構成からは、ここから連作というのは、考えにくくて、納得できるようなSFを創るための予算も時間も「1作」だと悟ったMJが、ギリギリ妥協して創った「集大成」だから、曲のテーマに合っていなくて、2作目のシングルが、“Cry”に決定したときよりずっと前に、そのアイデアは終わっている可能性の方が高いように思えるんですね。

“Cry”のあと、リリースはされなかったものの、ラジオオンエアに選ばれた“Butterflies”など、MJは、このアルバムに関して、インタヴューで語っていた、気に入っている曲と、シングルカットされた曲が、悉く違っていますが、

"Unbreakable", "Speechless", "Lost Children"

それは、彼のヒット感覚が狂っていたのではなく、逆に、市場感覚も、レコード会社の思惑も、はっきりとわかっているからなんだと思うんです。(実際売れる曲を創っているわけですから)

深読みするならば、この曲でマイケルは、これまで自分が歩んできた歴史を振り返ってゆくが、争っている間にアクシデントからそのすべてに火が放たれてしまう。彼は親友と愛する女性だけを連れて、また別のステージへと進んでゆく・・・。(DVD『VISION』完全生産限定盤“You Rock My World”の解説より)

MJは、もう「一番良いものが、一番売れる」という偉業は、何度も達成していて、モノ造りの精神を忘れてしまったレコード会社に、これ以上所属する意味もなく、冒頭に3曲、挑戦的な曲を配し、SONYにも抗議することで「次のステージ」を考えていて、

『Invincible』制作中に、今後のアルバム発売や、芸能活動への支障も、経済的不安も、確実に計算して、「別のステージ」に移ったのではないかと、

『Invincible』を、何度も聴いていると、そう思えてなりません。

『Invincible』というタイトルも、“Unbreakable”のショートフィルムを創りたいと、何度も語ったことも、彼の「メッセージ」で、

それは、その言葉の意味と、その音楽が、これまでにない曲だという、2つの意味の「メッセージ」だったんじゃないかと思うのですが、、、

☆マイケル・ジャクソンの顔について(26)につづく

[PR]
by yomodalite | 2011-05-30 22:24 | マイケルの顔について | Trackback | Comments(0)
f0134963_14442684.jpg

マイケル・ジャクソンの顔について(23)のつづき


マイケル・ジャクソンの顔について、特に謎の多い、“You Rock My World”のことを、ずっと考え続けているのですが、今回から、ようやく、ほんの少しだけ、その謎に迫るつもりです。

でも、これは、わたしが、ただただ一生懸命考えて、自分にとって、できるだけ矛盾の少ない結論に導いているものなので、「真実」を求める方は、充分ご注意のうえお読みくださいませ。


マイケル・ジャクソンの顔について(23)では、当時のMJには、“Unbreakable”のSFを制作する気はなかったかのような「結論」に導いてしまいましたが、

今回は、やっぱり、どうしても創りたいと思っていた“Unbreakable” のSFとは、どんなものだったのかについて、ちょっぴり考えたいと思います。


f0134963_20494378.jpg

◎Legend of MoonWalker

上記の「REPORT-2」〜アルバム「INVINCIBLE」〜「Unbreakable」から、当時の記事を、下記に抜粋。

【2001年】
10月26日に行なわれたチャットの中で、マイケルは自分自身に最も近い曲を訊かれ、「"Unbreakable"。 だって、僕はずっとそうだったんだ。 誰も僕を止められやしない。 僕たちは、皆が驚くするようなシングルを出すよ」また、ニューアルバムの中で気に入っている曲の1つとして "Unbreakable" を挙げた。

アメリカ版 『TV Guide』 誌('01年11月5日号)のインタビューでも、"Unbreakable" に込めたメッセージを訊かれたマイケルはこう答えた。「何に対しても屈服しやしない。 僕は、あらゆる全てを乗り越えてきたんだ。 何をもってしても僕を傷つけたり倒したりなど出来やしない。 また立ち上がるのだから。」


サードシングル "Unbreakable" のショートフィルムは既に8月から撮影を開始している。2002年初頭に公開予定。

マイケルは、このフィルムで世界中にショックを与えたいと考えているそう。ジョージ・ルーカスの 『インダストリアル・ライト&マジック・スタジオ』が撮影場所に使われている。

3月19日時点で、 "Unbreakable" のショートフィルム撮影は4月に開始されると見込まれる。デヴィッド・メイヤーズ監督によるそれまでの概念をマイケルが破棄。新たに『ラッシュアワー』 のブレット・ラトナー監督を迎え、クリス・タッカーを含めた新しいプロジェクトは、マイケルによって構築されていく予定。


3月23日 Lounch.comが、 "Unbreakable" のショートフィルム撮影は4月下旬に開始されると報じる。


3月26日 今週マイケルは、クリス・タッカーとメル・ギブソンを迎える "Unbreakable" ショートフィルム撮影のための準備を開始。 撮影はまもなくスタートの予定。

3月いっぱいでソニーミュージックは、唐突に 『INVINCIBLE』 に係るプロモーションの一切を中止。

のちに伝わった話によると、マイケルはこの "Unbreakable" を、20分間のショートフィルムとともに1stシングルに据えたい意向だったとのこと。



f0134963_14462859.jpg


これを読むと、“You Rock My World”のSFが披露されてから、大分経った後にも、 "Unbreakable" のSF計画が続いていたようなのですが、わたしは、その部分は、事実として少し疑問を感じているので、下記は、これらの情報を、軽視した考察になっています。

当時の音楽市場は「スリラー」の頃とは違い、シングルはすでに「商品」ではなく、オンエア用のプロモにしかなっていない時代です。長期間の制作期間で使った費用に加え、ここでも莫大な予算が“You Rock My World”のSFに投入されていますが、当時の評価は、その作品の完成度にも、予算にも見合うものでなく、2作目のSF、“Cry”には、MJ出演もなく、あまり手をかけた様子もありません。

1作目の成果から考えて、3作目のSF制作が、相当困難であることは、1作目に“You Rock My World”が選ばれた時点で、想像できたことですし、

『INVINCIBLE』で、彼が納得できるような予算によるSFは“You Rock My World”しか創れないということも、これを1作目に選んだ時点で、やはり想像できたことのように思えるんですね。



f0134963_20513666.jpg


『INVINCIBLE』は、業界的にも、MJの復活が注目されていましたし、彼にとって、"Unbreakable" こそ、もっとも強く主張したい「テーマ」だったでしょう。

MJの全SF中、まさにショートフィルムと言える、ストーリー性が感じられる作品として、下記が挙げられると思います。(洩れてる作品が会ったら、ご指摘くださいね♡)

◎Billie Jean
◎Beat It
◎Thriller(Long)
◎Bad(Long)
◎The Way You Make Me Feel(Long)
◎Smooth Criminal(Long)
◎Remember the Time
◎Black Or White(Long)
◎Who Is It
◎Scream
◎You Are Not Alone
◎Ghosts(Long)
◎You Rock My World(Long)
◎Say Say Say


☆MJショートフィルム全動画



f0134963_2111721.jpg


Billie Jean ー 絶対に女に騙されることなく道を貫くこと
Beat It ー 強さとは腕力だけではないこと
Thriller ー モンスター級の存在感
Bad ー ダンサーが軟弱ではなく、本当は強い男であること
The Way You Make Me Feel ー ダンサーが軟弱ではなく、モテる男であること
Smooth Criminal ー 賢い男がセクシーであること
Black Or White ー どんな枠組みにも納まらず、何も怖れることなどないという宣言
Ghosts ー 自分に嫉妬を抱く男たちへの更なる挑戦....

その中でも、ダンスに力を入れたSFは、すべて「一番強い男とは何か」がテーマになっていないでしょうか。

f0134963_1452129.jpg


MJは、SFだけでなく、ステージや、ダンスでも、作品によって、本当に様々な面を見せてくれていますが「役柄」としてみると、

「Thriller」「Ghosts」の、モンスター役、「Smooth Criminal」「You Rock My World」のギャング役は、それぞれ2回挑戦していて、

SFではありませんが、“Dagerous”のダンス・パフォーマンスも「ギャング」を思わせるものですし「THIS IS IT」のショーでは、新たに創られた「Smooth Criminal」のSF、「Thriller」にも「Ghosts」のイメージを付け加えたような演出がなされ「モンスター」と「ギャング」は、彼の最後まで重要な「テーマ」だったと思われます。

“Unbreakable” のSFについては情報が少ないのですが、歌詞の内容からも、やっぱり「ギャング」がテーマだった可能性が高いんじゃないでしょうか。

☆マイケル・ジャクソンの顔について(25)につづく


[PR]
by yomodalite | 2011-05-28 15:05 | マイケルの顔について | Trackback | Comments(6)
f0134963_2231731.jpg


☆(21)のつづき

『Invincible』発売当時、わたしは、このアルバムがそんなに好きではありませんでしたし、大勢のひとがこのアルバムに抱いた第一印象も、今までより少し「取っつきにくい」というものではなかったでしょうか。

・Unbreakable

この冒頭の変態リズム3連発といい、シングル曲がようやく6曲目に登場するという、MJのこれまでのアルバムでも、他のヒット・セオリーからも逸脱したような構成がその主な原因だったと思えるのですが、

その理由は、これらの歌のメッセージにあるのではないでしょうか。


f0134963_22345287.jpg


君は信じられないし、

納得できないだろうけど

僕に手出しはできないよ

僕は君には手の届かない相手だからね

君が僕を嫌っているのは知ってるけど

君にはなにもできない

僕を壊すことなんか絶対に

だって、僕は不死身だから

(「Unbreakable」より)

アルバムのタイトルが「Invincible」(無敵)で、1曲目でさらに“Unbreakable”(不死身)とか、今までだって「BAD」(ワル!)とか、「Dangerous」(ヤバい!)とか、意外と「ヤンキー」との親和性が高かったマイケルですがw、でも、ヤンキーが「唯我独尊」を勘違いしているのとは逆に、マイケルはもっと高次元なレベルで、そう言っているんですよね。

彼女の策に嵌められるなんて思いもしなかった
今でも彼女は僕が気づいたことを知らないだろう
彼女は、僕が別れを切り出すまでこのゲームを楽しむつもり
それでも、最後に彼女が気づくことを祈るよ
僕も、彼女と同じゲームをしていたことをね
(「Heartbreaker」より)

「Heartbreaker」は、手に負えない彼女のことを歌っていますが、結局は...というパターンですね。

君には、僕がしたいことはすべて話しただろう
でも、どうやったところで君には通じないし
君は僕が言ってることを調べてみようともしない
僕を知れば、僕が君が今まで思い描いた以上だってわかるのに
他の誰にも僕のように愛することなんてできない
彼が君にごちそうするって言ったって
僕のようにはできない
彼がダイヤモンドや真珠を買ってくれたって
僕みたいにはできない
彼が世界のどこにでも君を連れて行ったところで
僕のような芸当はできない

(「Invincible」より)


この曲も、なかなか自分になびかない女をテーマにしながらも、そういう女の魅力を語っているわけではなくて、自らの強さの方に力点があると思います。

これらの歌詞の世界は、彼の代表的なパフォーマンスである「Billie Jean」と「Dangerous」でも同様なんですが「危険な女」を歌っているようで、その女に絶対に騙されない、本当に「ヤバい男」を表現しているようです。

これまでも、何度も繰り返してきた、これらのテーマを『Invincible』では、今までのような「ヒット曲」とは異なり、なにか「得体の知れない」感じを残して、3曲連続で、冒頭に叩き込んだのは、彼の中で「ワル!」や「ヤバい男」以上に、このテーマへの思いが強くなっているからだと思うんです。


f0134963_2241322.jpg


MJは、特に聴いて欲しい曲として、何度も「Unbreakable」を挙げていて、この曲をシングルにしたかったことが伝わっていましたが、率直に言って、「Unbreakable」が、「You Rock My Would」より、売れるとは思えませんし、この曲はラジオ局でヘビロテされるタイプの曲ではないと思うんですよね。

MJは、終世No.1セールスにこだわったアーティストだと思うんですが、どうして、それほど売れそうにない「Unbreakable」を、シングルカットしたかったんでしょうか?

ストーリーを話して聞かせることができる人間になりたいと、僕はずっと思ってきました.....そうしたことのできる人間になりたいと、ずっと思っていたんです。ーー自著『ムーンウォーク』冒頭より

彼が、今までの「天才」とは比較にならないほど、多くの才能に恵まれていることは、大勢の人に理解されていることですが、そうであるにもかかわらず、彼の世間的なイメージは、これまでの天才のイメージに沿った、必ずしも「オリジナル」なものではなかったと思います。

チャイルドスター、父親の虐待、家族との確執、子供時代への固着と幼児性愛や同性愛、特異な趣味による膨大なコレクション、奇矯な行動.....

それらは、これまでの天才にもありがちな「イメージ」であって、何人もの天才を世に送り出したモータウン創始者ベリー・ゴーディーにして、1時代に1人に現われる程度のスターではなく、この世に1人しか存在し得ない唯一のアーティストと言わしめた、マイケル・ジャクソンという天才固有の「ストーリー」ではありませんでした。

わたしは、彼が旅立ってから、彼の人生のすべてを知りたくなって、毎日探求の日々を送り、ようやく、生前彼が纏っていたイメージとは異なる、本当に独自な「マイケル・ジャクソン・ストーリー」が見えて来たんですが、

彼は、自分の「ストーリー」を、ずっと、慎重に考えて続けてきたと思うんですね。

『ムーン・ウォーカー』のように、子供たちの優しいお兄さんでありながら、妖しげな酒場に行き、犯罪に巻き込まれ、子供を助けて、ロボットに変身(!)しつつも、なぜか、その後セクシーなロックスターになってしまうような、文学的深みに乏しく、荒唐無稽な「超人」ストーリーの、どこが「慎重」なの?と思うかもしれませんが、、、

彼が、『ムーン・ウォーカー』のあと、結局「映画」を創れなかったのは、そのときの興行的失敗や、その後の逆風ではなく、やっぱり「マイケル・ジャクソン・ストーリー」に慎重だったからだと、わたしは、考えるようになっているんですが、

『Invincible』で、ついに、その「ストーリー」を、彼は、発見したんだと思います。

自分の「ストーリー」として相応しいのは、“Unbreakable”で、“Invincible”だと、確信したんじゃないかと。。。

“Unbreakable”には、ショートフィルム制作も予定されていたと言われています。

では、結局、創られることのなかった“Unbreakable”の、ショートフィルムとは、どんなものだったんでしょうか?

わたしは、“Unbreakable” のSFが、どんなものであったのかについて、監督として名前が挙がっていたデヴィッド・メイヤーズや、ブレット・ラトナーが語っているのを聞いたことがないのですが、(ご存知の方は、ぜひ教えてくださいませ♡)

このSFが創られなかったことと、このアルバムのプロモをSONYが充分に行わなかったことが、MJのSONYへの抗議の始まりだったと言われていますが、その件については次回。

☆(23)につづく

[PR]
by yomodalite | 2011-05-24 23:01 | マイケルの顔について | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite