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大統領の政治(1)マイケルとドナルド・トランプ

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「Dancing With The Elephant」の記事の和訳です。

永年のマイケルファンである、英文学博士のウィラと、プロのフルート奏者として30年のキャリアをもち、演劇公演のプロデューサーでもあるリシャによる、マイケルと米国大統領をテーマにしたシリーズ記事で、初回は、大統領選が決着前の2016年9月末、一番最近のパート3は、トランプ勝利後の2016年12月で、このあともまだ続くようですが、


まずは初回から。


Presidential Politics, Part 1: Michael Jackson and Donald Trump

大統領の政治(1)マイケルとドナルド・トランプ


リシャ:さて、今年は米国の大統領選挙の年、それはいつもよりはるかに騒々しいものになっていて、本当に私の頭を傷つけるような何かが起こっている。 ウィラ、あなたはこの選挙に関連してマイケルジャクソンの名前が何回出てきたか気づいたことがありますか?

ウィラ:あるわ。


リシャたとえば先週、プロモーターのドンキングがトランプ氏を紹介したときのことがことが記事になったわね(→)。物議をかもした彼の発言はこんな感じ。




「俺はマイケルジャクソンに言ったんだ、おまえが貧しいなら、貧しい黒人(negro)だ。そのときは、あえて差別用語(N-word)を使ったんだが、おまえが富裕層なら、豊かな黒人だ。 知性があって、知的であれば、知的な黒人。踊ったり、滑るように歩いたり、腰を振っている黒ンボ(nigger)なら・・いや、黒人(negro)だったな(笑)。おまえは、踊ったり、滑るように歩いたり、腰を振る黒人だ。自分だけはちがうと思っちゃいけない。白人に同化するなんてできないんだから。わかってるよな、お前は死ぬまで、黒人なんだからな」

ウィラ:マイケル・ジャクソンが生きてたらこうするだろう、こうしないだろう、と推測するのはいつも躊躇するのだけど、ドン・キングのコメントにはやっぱり感謝しないだろうと、私は思う。これを聞いてすぐ思い出したのは、ビクトリー・ツアーの最後にドン・キングが言ったこと。


「マイケルがわかっておかなければいけないのは、彼が黒んぼ(nigger)だということだ。どんなにすばらしい歌やダンスができても関係ない。彼が陽気に誇らしげにふるまうのもかまわない。世界的メガスターのひとりなんだから。でも、あくまでも黒んぼのメガスターだ。彼はそれを受け入れなくちゃならない。それを理解して、受け入れ、黒んぼでいたいんだ、と示さなくちゃならない。なぜか?黒んぼもメガスターになれる、っていうことを証明するためだ」


リシャ:ああ、それはランディ・タラボレッリの本に書いてあったことよね? ドン・キングはまさにそういうことを言ってたのね!


ウィラ:ほぼ、同じことを言ってるわよね? そして、マイケルジャクソンは、ドン・キングの言葉について、訴えようと思うぐらい怒っていた。 マイケルは、弁護士のジョン・ブランカにこう言ったそうよ、「そいつは、初日以来ずっと僕の神経を逆撫でしている」


リシャ:不思議なんだけど、ドン・キングはマイケル・ジャクソンを本当に叱責したの? それとも、彼はアメリカ文化の人種的分離についての重要な点をついていた? タラボレッリは、他のビクトリーツアーのプロモートに、マイケルが同意しなかったことで、キングが腹を立てていた、と。 私はその意見には同意できないけど。最近のキングのコメントを考えるとね。


ウィラ:あるいはその両方かもね。 私は、ドン・キングは、アメリカの黒人と白人の間には橋渡しができない分野があるのだと言っているのだと思う。マイケル・ジャクソンが、その断裂を乗り越えることができると信じているなら、愚かだと。


Lisha:そうね。ドン・キングが言ったように、「自分だけはちがうと思っちゃいけない。白人に同化するなんてできないんだから」ってことね。ジャーメイン・ジャクソンの本『You Are Not Alone:Brother's Eyes』には、この話について別の説明があって、ジャーメインによる、ドン・キングの発言はまったく異なる文脈でなされたことを思い起こさせる。彼の記述は次のとおり。


ドン・キングは、機転や駆け引きによって評価されたのではなく、自分の巨大なエゴによって、プロモーターになった。彼はすごく効果的だった。「大口たたき」のドン・キングと「静かな男」マイケルとのやりとりを見て、人は「やっかいなおじさんを持った若者が、しょうがないなぁと思いながらおじさんを面白がってる」という風に思うかも知れない。僕たちがショーの方向性について話し合い、会議に出席していたときのことは忘れられない。マイケルは、ファンにどんなお返しすればいいかとか、彼らを元気にし続けたいと話していた。ドン・キングは、「マイケル!」と、そこに割って入り、まるでひとりごとを言うように、

「これを忘れるな。おまえが金持ちの黒ん坊(nigger)か、貧しい黒ん坊か、ふつうの黒ん坊であるかどうかは重要じゃない。おまえがどんなにビッグになっても、この業界はまだおまえを黒ん坊のように扱うということなんだ」

と言いました。言い換えれば、お前はいつまでも音楽業界の奴隷だと言うことです。部屋にいた誰もが固まりました。音楽業界の人は誰もが人を煙に巻くものだけど、ドン・キングは、直裁に厳しいことを言ってのける。でも、それに最初に笑ったのはマイケルで、その後も静かに聞いていた。彼はそれを面白いと感じたようで、怒ることはなかった。僕たちも怒らなかった。インディアナ州ゲイリーで育った人間にとって、黒人が黒人にそんな風に言うのは、別に珍しいことではなかったからね。(P243-244)


ウィラ:ああ、それは根本的に異なる解釈ね。 タラボレッリとジャーメインの異なる解釈を並べてみるのは注目に値する。 同じ話が聞く者によって、劇的に異なる方法で認識され、解釈されるかを如実に示している。


リシャ:そうね。 ジャーメインは、ドン・キングが音楽業界の人種差別主義について重要な点を指摘していると思っているようね。彼の兄弟もそれを理解していると感じるわ。


ウィラ:まあ、それは本当に重要な区別よね。状況に対して、非常に異なる視点を投げかけている。 でも、マイケル・ジャクソンの本当の気持ちを知るのは難しい。 彼は人種と人種差別について率直に話し合い、ジャーメインが言ったように、キングのコメントに感謝していることも示唆したけれど、Victoryツアー中、ドン・キングが自分に話しかけてくれることを望んでいなかったこともきちんと証明されている。 実際、彼は、「ドン・キングが、事前の許可なく、マイケルのために誰とでも話し合うことを禁じる」という書面による命令も出している。


それ以前も、マイケル・ジャクソンは、ドン・キングが、Victoryツアーのプロモーターとして雇われたことを望まないことを明らかにしている。 しかし、彼の父親と兄弟は、大きな報酬を約束したことで、ドン・キングを支えた。 それによって、マイケルの意見は却下され、ドン・キングが雇われることになったんだけど、最終的にマイケルがが正しかったことも証明された。ドン・キングには、Victoryツアーを運営するような経験はなかったのよね。 ただ、こういった歴史をとおして、ジャーメインがどのように物事を描写するか、ある程度は想像できるわね。 彼は表面的な緊張状態にもかかわらず、実は、マイケルはドン・キングを気に入っていたと言っているようで、それは真実かもしれない。


リシャ:同感。 それでも、私はドン・キングが言っていることが確かだとは思わない! 想像だけど、ボクシングと、コンサートのプロモーションとは、かなり遠いので、ドン・キングが、Victoryツアーに取り組んだとき、彼の読みは外れていたと思う。 でも、アメリカ文化と、ビジネスが交差する方法についての発言には、役立つこともあったと思う。そして、それは、ドナルド・トランプのために彼のフィールドで、キングがしていることなんだと思うわ。 彼は声明で、トランプに対する自分の支持は、女性と、黒人に対する不平等に基づいた制度のため、アメリカの政治システム全体が破壊され、再建される必要があるという信念に基づいていると強調している。


ウィラ:差別用語に関する論争にまぎれてしまったけど、それこそが彼の言いたかったことよね。N-wordはマイケル自身も「This Time Around」で使っているしね。二人ともその言葉を、人種とそれに対する認識、という問題に目を向けさせるために使っている。この場合の、差別用語自体は問題ではない。ドン・キングが示した人種差別主義について強い声明の中には、残念ながら、真実がたくさん含まれていることに私は同意します。


でも、マイケルジャクソンが何をやっても、音楽業界の人々も、そして、一般的にはもっと、常に、人種差別のレンズを通して、彼を有色人種の人間として見るといった人種差別はあいかわらずで、 マイケルはそれに強く反対すると思います。彼は人種差別について、特に、年を重ねてからは、より強く発言していましたが、それは、彼の芸術と、独自の文化的地位が、人々の信念や見方を変えるかもしれないという確信のもとになされていた。彼は、芸術を変革の強い力と見ていました。私は、彼が根強い意見や、偏見に挑戦することで、人々の心と精神に永続的な違いをもたらすと熱く信じていたと思います。


リシャ:すべて同感。 マイケル・ジャクソンは、大きな反発に直面したとしても、文化的規範を受け入れることを断固として拒否し、アメリカ社会に強力な影響を与えました。 多分、私たちが理解しているよりもはるかに多く。ドン・キングは、マイケル・ジャクソンを落胆させるより、むしろ、彼が交渉するように依頼されていた、まさに、その限界に逆らうことを励ましていたのかな。


ウィラ:それは面白い問いかけね。「踊って滑るように歩く黒人」以上のものではないということを受け入れろ、というドン・キングのアドバイスは、彼が間違っていることを証明する野望を、マイケルに与えただろうと想像することもできるわね。


リシャ:まさにね。 私はそれ以外のことを想像することができないわ。でも、この選挙でマイケル・ジャクソンを使ったのは、ドン・キングだけじゃない! トランプ自身も、マイケルとの友情について、人々に知らせようとしているし、マイケル・ジャクソンが、実際に、文化をどんな風に推進しているかについては、以前私たちも話したわよね。 たとえば、ロイターの、ジョナサン・エルンストによる写真は、ドナルド・トランプ氏が共和党予備選で勝利したこと関する記事とともに掲載されている。


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トランプのサポーターの1人が、この写真にサインを求めたみたいね。 でも、それにサインして返す代わりに、トランプは振り向いて誇らしげにそれを報道機関に見せた。 これには、打ちのめされたわ。 ちょっと、どのぐらい自分にすごいパワーがあるか見てみますか?マイケルジャクソンと付き合っていた証拠だよ!っていう感じよね


ウィラ:それを解釈するのは興味深いわよね、私はあなたが何か気づいているんだと思う。 結局のところ、彼は翌日、アンダーソン・クーパー(CNNのキャスター)に「マイケル・ジャクソンは実際に私の友人だった」と語っている。






リシャ:つまりね、トランプ氏は、自分は大統領候補者として真面目に取り上げられるべき人間だ、という宣伝の一環として、マイケルジャクソンとの友好関係についてわざわざ話したのよ。


ウィラ:ええ、私もその意味を理解しようとしてた。そのインタビューで、トランプ氏は、マイケル・ジャクソンが事実、自分の世界に興味を持っていたことを強調している(*1)。彼がマイケル・ジャクソンについて言うことの多くは、私と一致しないし、トランプ氏が、マイケルについて語っていること(彼が語ったのは、ふたつとも別の時代)を聞いていると、マイケルをそれほどよく知っているわけではないこともわかる。でも、彼が、親密な友好関係を熱く主張していることに、私は心を打たれた。

あなたが言うように、おそらくそれは選挙のためであり、彼がビジネスマンというだけでなく、ポップカルチャーに触れ合っていることを示す方法かもしれない。結局のところ、トランプはポップカルチャーの力を大いに尊敬している。このひとは、14年間「アプレンティス」という番組に出演していたし、ラトーヤ・ジャクソンを紹介したショーは、カジノ、航空会社といった彼の全帝国が崩壊した後、それを償還するために使用された。現在の彼は、不動産界の大物ではなく、有名人であり、彼の財産は、その資産よりも、名前の方にある。そういった人間は、マイケル・ジャクソンのような有名人の力を大切にするでしょうが、私は、彼が、人やアーティストとして、マイケルを理解したとは言えないと思う。


リシャ:素晴らしいわ。 トランプ自身の言葉は、マイケル・ジャクソンをよく知らないということも同感。 兄のジャーメインもそれについて話していたわね(→)


ウィラ:そうね、ジャーメインはインタビューの後、ツイッターで「マイケルの名前を利用するあなたを良いとは思わない。あなたは選挙に勝てないでしょう。特に偽りの事実を使用するなら」と。


リシャ:ジャーメインは、マイケル・ジャクソンがトランプを支持しなかったということにも躊躇しなかった。(→動画) ただ、マイケル・ジャクソンの興味深い点のひとつは、彼が、政治的に多くの異なる範囲の人々に、好感をもたれたことです。


ウィラ:それは確かね!マイケルが永年トランプ氏を知っていたことも本当のことだしね。 たとえば、彼は1990年のタジ・マハル(トランプ氏所有のカジノ)のオープニングパーティーの間も、彼のそばにいました。






リシャ:ドナルド・トランプについてのさまざまなレポートの中で、私はこの動画を何度見たかわかりません。 彼が成功のひとつの尺度として、マイケル・ジャクソンの関心をどのように引きつけたかについては注目に値します。 タージ・マハルのイベントについて、最近、アレックス・コノック(イギリスの放送局の重役)が、「The Spectator(英国の政治雑誌)」に魅力的な記事を書きました。 (→)彼はトランプのカジノ開店時における熱狂的なマイケル・ジャクソンを描いています。


「クレオパトラが甦ったり、アメックスのゴールドカードを使ってチェックインしても、マイケル・ジャクソンが到着したときの歓迎の様子は、レセプションでの興奮以上のものだった」


失礼ではあるけど、私はこの説明が、そのシーンを完全に捉えていると思う!コノックは、マイケル・ジャクソンが掲載された「National Enquirer(セレブを扱うタブロイド誌)」で、トランプがマイケルとプライヴェートジェットで移動したとき、彼らと一緒に乗っていたことも書いています!



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ウィラ:それって面白くない? 「National Enquirer」を読みながら、マイケル・ジャクソンとドナルド・トランプがふたりで座っているなんて想像できますか? それはあまりにも面白いわ! トランプについての記事の中で、彼らはそれを読んで話していたと書かれているわね。 コノックが写真を撮っていてくれたら良かったのに ...


リシャ:ええ、彼もそうだったでしょうね! でも、彼はカメラで写真を撮るにはあまりにも恐れ多かったと。 あなたは「Enquirer」を読んでいるトランプとマイケル・ジャクソンの写真がどれだけ価値があったか、想像できる?


ウィラ:最近、私たちは、そういうものをたくさんのことを見ているわよね!マイケル・ジャクソンが、何年もトランプタワーにアパートを持っていたという話も聞きました。 あなたはそれについて何か知ってる? それが本当なら、彼らは時々会うこともあったでしょうね。


リシャ:私は最近までそんなに多くは見ていなかったけど、(マイケルがもっていたとされる)そのアパートが売りに出されていて、すてきな写真がいくつか掲載されているのは見たわ。富と有名人の文化的なアイコンでもある、2人の男が一緒にぶらぶらしていたという考えは、間違いなく何らかの興味を生み出している。


ウィラ:そうね。マイケル・ジャクソンがトランプと一緒に過ごす時間を楽しんでいたのは、ある程度は理解できる。 彼は間違いなくカラフルな人間だもの。P.Tバーナムのようなものよね。マイケルジャクソンも間違いなく多彩なキャラクターに描かれていた(→)


リシャ:すべての宣伝が、良い宣伝であるというトランプの主張を聞くたびに、もしかしたら、マイケル・ジャクソンが、トランプ氏に、P.T.バーナムのような方法を教えたんじゃないかって思うんだけど!


ウィラ:私もそう思うわ!( yomodalite:私もーーww)


リシャ:トランプはいろいろな面でショーマンです。近頃は、大統領選のためにそれが便利なようです。 あなたは共和党全国大会でトランプの劇的な登場シーンを面白くしたジミーファロン(米国のコメディショーの司会者)のパロディを見た?






ウィラ:見たわよ! 「Smooth Criminal」のセグメントは素晴らしかった!


リシャ:私は、もうすべてをぶち壊されたって感じ!


ウィラ:でもね、ここは大事だと思うんだけど、何年かの間ドナルド・トランプと付き合いながらも、数年前に、MJアカデミア・プロジェクトが指摘したように、マイケルは『Money』という曲で、彼を微妙に批判しています。『Money』では、無慈悲で、非倫理的な大物のリストがあげられていて、彼はそのリストにトランプの名前を入れている。曲は全体的にお金に対する愛への厳しい批判であり、それはこのように始まる。


金,金

お金のために嘘をつき

お金のためにスパイをして

殺すことも

殺されることもある


それは「信用」だって、君は言うだろうけど

僕に言わせれば

それはただの悪魔との駆け引きで

物欲と肉欲があるだけ


彼らはなにも気にせず

お金のために僕を利用する


教会に行って

聖書にの尊い言葉を読んでいても

それは処世術に従っているだけ

バカげた話さ


彼らはなんとも思ってない

お金のためなら人を殺すことだってするし

お金のスリルを楽しむのさ


君は国旗に忠誠を誓い

国も君を信用し

君は勲章を身につけ

エリートと呼ばれ

君は戦うことになる

兵士の義務のようにね

僕は、君を裏切ったり

友達をだましたりなんてしない。でも・・


もし、君がお金を見せてくれるのなら

僕は受け取る

泣けと言われれば、泣くふりをするし

握手を求められれば、喜んで応じる

人は金のためならなんでもするんだ


(訳:yomodalite。全訳はこちら→「和訳 Money」)


厳しい告発よね。 そして、3:18 からのバックグラウンド・サウンドを慎重に聞くと、


「もし、金が欲しいのなら、尊厳をもって稼げ」そして、そうしなかった強盗集団のリストとして、ヴァンダービルト、モルガン、トランプ、ロックフェラー、ヒンデ(*2)、ゲッティ、ゲッティ、ゲッティ、... "


リシャ:このセグメントは、国家の歴史のなかで、最も無慈悲で非倫理的なビジネスマンの名前の羅列です。 あなたが言ったように、彼らはしばしば泥棒伯爵と呼ばれ、その言葉はお世辞ではありません。 それは最初、罪人と貴族の両方としてコーネリアス・ヴァンダービルトを批判するために使われました。 悪徳資本家は、彼らの略奪するようなビジネスのやりかたで軽蔑されましたが、彼らの力と富のため、多くの名声も持っていました。例えば、ロックフェラーの名前は、特権と富と同義でもありますが、当時、ジョン・D・ロックフェラーは、アメリカで最も嫌われていて、彼は、ネガティブな宣伝に対抗するために、初めて、広報担当者を採用しました。


ウィラ:それは本当に面白いわ、リシャ。 私は今までそれを知らなかったけど、マイケルが "Money" で、彼を呼び出すのは不思議じゃない!私は、 "Money" の名前のリストが、 "Getty、Getty、Getty、..."の繰り返しで終わっていることにも気づかされた。J. Paul Getty は、石油でお金を稼いで、かつて、アメリカで最も裕福な人だった。 数十年後、彼の孫のマーク・ゲッティは、ゲッティ・イメージズを創設するためにその遺産の一部を使用しました。ゲッティ・イメージズには、マイケルの多くの象徴的な写真と、スキャンダラスなものの両方が含まれている。


リシャ:そのとおり!ゲッティは繰り返されています。 ゲッティ・イメージズが、マイケル・ジャクソンの多くの写真の権利を所有していることを考えれば、偶然ではないわよね。


ウィラ:偶然には見えないわね。 トランプ氏の名前がリストに載っていることも重要だと思う。 私はマイケル・ジャクソンが本当に彼を尊敬したり、彼に大きな愛情を持っていたなら、彼をリストに含めたとは思わない。


リシャ:面白いわね、そうなんじゃない? つまり、影響力という上では、リストに載っている他の企業家や金融業者に比べ、トランプは小者だと思う。 だから、彼らの影響力や社会的卓越性よりもむしろ、これらの人々が富を達成するのに悪徳的なやり方に関するものなんじゃない?ドナルド・トランプの妻、メラニアは、アメリカの超富裕層1%に対応する雑誌「DuJour」とのインタビューで、マイケル・ジャクソンの言葉を引用しました。ローリングストーン誌もまた、マイケルジャクソンと、彼女の魅力的で親密なディナーパーティーについて説明することで、インタビューにコメントしました。 彼女は本当に特権的でパワフルな生活様式に慣れているという印象です。


ウィラ:面白い話だったわよね。 彼女の記憶が正しければ、マイケル・ジャクソンは、彼女と気楽につきあっているように思える。彼女は、「私たちは、意気投合し、楽しい時間を過ごしていた」って。(*3)


リシャ:それはとてもチャーミングなストーリーよね! そして印象的です。 誰もがマイケル・ジャクソンに対して、そのようなアクセスを持っているわけではありません。


ウィラ:それが本当のことなら、彼女が、マイケル・ジャクソンに会った頃は、誰もが彼に会いたがっていなかった。正確なタイミングは分かりませんが、そのエピソードは、2005年1月にドナルド・トランプと結婚した後だったことを意味しています。おそらく、2005年の裁判の後や直前は、マイケル・ジャクソンの公的イメージは最底辺にあり、多くの人が、彼が有毒であるかのように扱っていたと思う。トランプに対して、私は、マイケルジャクソンの人生の中で、最もひどい時代に、彼らの家に招いていたのだと言わざるを得ません。


ここには、ドナルドとメラニア・トランプが、マイケル・ジャクソンのことを語っただけでなく、マイケルの名前を使った動機、そして、亡くなった後のマイケル・ジャクソンのイメージの回復といったすべての状況が含まれている。トランプは、大衆の意見に密接に同調しようとする傾向があります。たとえば、彼は、イラク戦争が大衆に支持されていたときは、それを肯定し、支持が少なくなると、それに反対しました。そして、現在、彼はそうした記録が残っているにも関わらず、ずっとそれに反対していたと主張しています。


トランプが2008年の大統領選に出馬していたら、彼は「非常によい友人である」マイケル・ジャクソンのことをそれほど自慢しなかったでしょうね。今、彼がそうしているという事実は、マイケル・ジャクソンのイメージが、2009年以来、ずいぶんと変化していることを示す強力な指標になっているわね。


リシャ:重要なポイントね。


ウィラ:でも、マイケル・ジャクソンに対する今の一般的な認識はどうなっているのかな。トランプは彼をどう見ているのか。そして、彼と自分を一緒にすることによって、何を得ることを望んでいるのか? そういったことが、私が疑問に思っていたこと...。



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あなたと、スーザン・ウッドワードによる、少し前の洞察的な会話を思わずにはいられない。あなたたちは、マイケル・ジャクソンがあれほどのネガティブ・キャンペーンにさらされるなかで、影響力の本当の意義をどのように伝えようとしたかについて話していたわね。トランプはいま、あそこで話されていた「影響力」や、マスコミは時に不公平で誤解を招きがちだという「語り」を自分のものにしているみたい。トランプはフォックス・ニュースにこう語っている。


マイケル・ジャクソンが亡くなった時を思い出す。私はマイケルと友達で彼のことをよく知っていた。あのとき、みんなが彼についてコメントしていたけど、私は思ったね。えー、この人たちマイケルのこと知らないじゃないかって。でも、そんなもんだよ。政治の世界はすごく奇妙なところだけど、みんなそこに入って、いろんなことを言いたがる。政治家は、自分が何をしゃべっているのかよくわかってない。私はそれを見逃さない。そしてよく聴いてるんだ。


ウィラ:そうね。 メディアは、ドナルド・トランプとマイケル・ジャクソンの長い間の会話の話題に偏っているわよね。例をあげれば、前に触れた1990年に「National Enquirer」を一緒に読んでいたときのようなこと。

リシャ:私はその会話を聞いて、思い出したことがあります。 マイケルのネバーランド・ランチの大半を所有しているトム・バラックは、トランプのトップ経済アドバイザーの1人に選ばれています。 実際、共和党全国大会でトランプと娘を紹介したのはバラックだった。


ウィラ:本当? 私はそのつながりについては知らなかった。 それは私にはショッキングね。それについては説明することができないから。


Lisha:MJエステートがネバーランド・ランチの売却計画に「悲しんでいる」という声明を出したことを考えれば、それは私にとって心地のいい話ではないわ。 マイケルの子供たちが、ネバーランド・ランチを家族に残したがっていることは知っていますが、それは起こりそうにないようです。


ウィラ:ブラッド・サンドバーグとの2つの記事で語ったように、ネバーランドは単なる財産ではない。それはマイケル・ジャクソンの思いが詰まった作品のひとつであり、彼の思い出に満ちたものだけど現在は解体されている。それは非常に多くのレベルで、ただ悲劇という他ないわ。


リシャ:確かに。


ウィラ:まあ、マイケル・ジャクソンは、確かにドナルド・トランプや、クリントンとも長く複雑な歴史を持っていた。 結局、マイケルは、ビル・クリントンの就任式で歌い、そして、長いキャリアの間に、他の多くの大統領との交流があった。 私たちは次回の記事でそれを見ていきます。


リシャ:掘り下げずにはいられないわね!


source : https://dancingwiththeelephant.wordpress.com/


訳者註_________


(*1)2000年11月30日、作曲家のデニス・リッチが創設したガン研究の団体が主催する慈善パーティーで、ラビ・シュムリーに、「ドナルド・トランプがやって来たのは見た?」と聞かれたマイケルは、「彼は面白い人物だね (Now he is an interesting man.)」と答えています。(『MJTapes』恋心と初恋より)


(*2)原文では、 “Vanderbilt, Morgan, Trump, Rockefeller, Hinde, Getty, Getty, Getty, …” なんですが、Hinde(ヒンデ)の素性がわかりません。他サイトでは、Hinde の部分は、Carnegie になっているものが多いようです。

ヴァンダービルト、モルガン、トランプ、ロックフェラー、カーネギー、ゲッティ、ゲッティ、ゲッティ、... "


(*3)トランプと結婚した後、メラニアは多くのセレブと会うようになったが、その中には"キング・オブ・ポップ"も含まれていた。彼らは意気投合し、楽しい時間を過ごしたようだ。「マイケル・ジャクソンに会ったわ」と彼女は説明する。「ここ、ニューヨークのピエール・ホテルだった。彼が招いてくれたので、私たちは出かけてディナーをご一緒したの。食事の後、ソファでみんなでおしゃべりをしていたら、誰かが主人に美術品を見せたいと言って、主人は別の部屋に行ったの。するとマイケルがこう言ったわ。"ねぇ、トランプ氏が戻ってきたらキスしようよ。彼が妬くようにさ"」。結局、キスはしなかった。「しない、しない」と彼女は言う。「でも、抱腹絶倒だったわ」。http://rollingstonejapan.com/articles/detail/26077/1/1/1

(上記の内容とは関係ありませんが、ワシントンDCの国立アフリカ系米国歴史文化博物館が最近オープンし、C-Spanは、Lonnie Bunch監督による、博物館に収蔵されたマイケル・ジャクソンの衣装についての素晴らしいYデオを投稿しました)




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by yomodalite | 2017-01-24 07:00 | ☆MJアカデミア | Trackback | Comments(4)

「HIStory」に込められた歴史

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会話の中に登場した、「ヒストリー」に込められた歴史についての記事を要約して紹介します。


source : Important Dates in HIStory(2014.5.22の記事)





「HIStory」という曲で、オーケストラの演奏が終わった後、歌の中で話される最初の言葉は、


Monday March 26th, 1827’(1827年3月26日月曜日)

November 28th, 1929'(1929年11月28日)


これは、前者がベートーヴェンが亡くなった日で、後者がベリー・ゴーディの誕生日。


ベートーヴェンは、古典主義からロマンチシズムへの移行を成し遂げた作曲家であり、ベリー・ゴーディは、「黒い」音楽を「白い」音楽に融和させた。マイケル・ジャクソンが、このことを取り上げたのは、音楽におけるパラダイム変換を強調し、ポピュラー音楽とアメリカの音楽の業績の意味について考えようと私たちを誘っているから。


「HIStory」には、多くのクラシックが使われていて、CDブックレットには、この部分が、子供向けの映画『Beethoven Lives Upstairs』からサンプル使用されていることが明記されている。 使用されているのは、「ゴーン、ゴーン、ゴーン」という教会の鐘の音で、また、「HIStory」には、多くの日付が流れる。その中で「月曜日」という曜日まで入っているのは、このベートーベンだけだが、それは、この映画のナレーションから生じたものではないかと思われる・・・


という内容の大半は、こちらのブログの方が記事にしています(和訳ではありません)ので、


http://mjnight.seesaa.net/article/440651221.html


そちらに取り上げられていない部分を中心に要約すると、


モーツァルトの時代、作曲家は教会や宮廷に雇われ、彼らの音楽は、雇い主の必要を満たし、彼らの意見や理想を表現するために創られていた。自分の作る音楽をそういった縛りから解放したのはベートーベンだが、それでも音楽学の中には、クラシックを「高級な音楽」とする規範はあった。


そもそも西洋の音楽の歴史は、ベートーベン・パラダイムと言われるように、オーストリア・ドイツの音楽の天才たちが中心で、 バッハ、モーツァルト、ベートーベン、ブラームスといった音楽が歴史教科書に載っている。しかし、学者の中ではこれに疑問を呈している者が多くなっている。 音楽の天才が特定の時代、オーストリアとドイツだけに存在しただろうか?  クラシックが上で、ポップミュージックは下なのだろうか? 


現代のアーティストたちのマルチな試みは、そういった構造を打ち破るもので、ベリー・ゴーディーは、そこに大きな役割を果たした。


ベートーベンと、ベリー・ゴーディーのアプローチで大きく違っているのは、ベートーベンは、孤独で強迫観念的に作品に取り組む孤高のアーティスト、一方のゴーディは孤独なアーティストではなく、音楽制作を、自動車産業の組立てラインに見立て、多くの才能が関わる音楽会社としての「モータウン」をイメージした。


マイケルのアプローチはどちらかに限定されるものではなく、歌の着想については、天から、自分に降ってくるものだと言っていたが、作品に仕上げる上では、共同制作を重視し、ベリー・ゴーディー・モデルを採用した。また、ポップミュージックでは、ソングライターは、プロデューサーとパフォーマーのニーズを満たすものであって、パフォーマーの方に重要度がおかれる。ただマイケルの場合、作曲家であり、作詞家であり、歌手、ダンサー、製作者、アレンジャー、振付師、映画監督、舞台監督、照明やコスチューム・デザイナー、また、ビジネスマンとして、マーケティング感覚も兼ね備えていることから、共同制作のすべての面を統括できる立場にあった。


ベリー・ゴーディー・モデルが可能になったのは、録音技術の進歩や、レコードプレーヤーの発達によるもので、かつては作曲家の書いた楽譜を、演奏家が再現するという形だったが、録音技術は音楽の制作や記録の形を変え、多くの人が作品の制作に関われるようになり、また作品の鑑賞も、レコードプレーヤーによって時と場所を特定せずにできるようになり、作曲家に印税という報酬をも生み出した。


マイケルが、エジソンについて、HIStoryという曲の中でも取り上げ(6:11~ "1 am the Edison phonograph~" と「エジソン式蓄音機」に吹き込む声)、Dangerousのジャケットにも載せているのは(*)彼が発明した録音技術と撮影技術が、音楽の歴史を変えただけでなく、過去に起こったことを今のことのように見たり聞いたりできるという点で、人々と歴史一般との関わり方を変えたからではないか。


さらに言えば、「HIStory」という楽曲のサウンド自体が、先に述べたような音楽のパラダイムの移り変わりを表現している。『展覧会の絵」のような、作曲家の書いた楽譜を楽器で表現する音楽から始まって、電子音を含む強いビートへ、そして次第にニュース音声や演説を取り入れた多重録音へ、というふうに。


そして、歌詞の中にマイケル個人の歴史、人間全体の歴史、黒人の歴史を多重的に取り込んでいると同時に、サウンドでも、技術進歩の歴史、音楽の歴史表現した、あらゆる「歴史」を詰め込んだ楽曲と言える。


「HIStory」であげられる日付には、マイケル・ジャクソンというアーティストを成立させた「歴史」において、重要な人たちが関わっている。その中にマイケルは、「古典交響音楽」から「新しい音楽学」への歴史を踏まえただけでなく、黒人の先駆者の歴史を、従来のような「ブラック・ヒストリー」枠ではなく、一般の歴史と同列に、もしくは中心的事項としてして扱っている・・・(要約終了)


みたいな感じです。


ナレーションに登場する「歴史」については、先に挙げたブログを含め、何人かの人が書いておられますが、怒涛の年号部分においては、リンク記事のLishaのものが、もっとも詳細に思えるので、


最後にその部分を。


1847年2月11日 Thomas Edison is born(トーマス・エジソン誕生)

1865年12月30日 Rudyard Kipling is born(ラドヤード・キップリング誕生)

1903年12月7日 The Wright Brothers first flight(ライト兄弟初飛行 )

1929年1月15日 Martin Luther King is born(マーティン・ルーサー・キング誕生)

1947年10月14日 Chuck Yeager breaks the sound barrier(チャック・イェーガーによる人類初の音速飛行) 

1964年2月9日 The Beatles perform on the Ed Sullivan show(ビートルズが「エド・サリヴァン・ショー」で演奏)

1989年11月10日 The Berlin Wall comes down(ベルリンの壁崩壊)


(5:42~ ヘッドホンの左チャンネル)


1858年1月18日 Daniel Hale Williams is born(ダニエル・ヘイル・ウィリアムス誕生。黒人として初めて医科大学を卒業し、米国で初めて心臓の切開手術を成功させた外科医)

1866年8月8日 Matthew Henson is born(マシュー・ヘンソン誕生。初めて北極点を踏んだ米国の黒人探検家)

1917年5月29日 John F. Kennedy is born(ジョン・F・ケネディ誕生) 

1928年9月 The discovery of penicillin(ペニシリンの発見)

1942年1月17日 Muhammad Ali is born as Cassius Clay(モハメド・アリがカシアス・クレイとして誕生) 

1961年4月12日 Yuri Gagarin’s first space flight(ユーリ・ガガーリン初の宇宙飛行)

1981年4月12日、The first Shuttle flight(初のスペースシャトル飛行)


(5:43~ ヘッドホンの右チャンネル)


1863年11月19日 Lincoln delivers the Gettysburg address(リンカーンによるゲティスバーグ演説) 

1901年12月5日 Walt Disney is born(ウォルト・ディズニー誕生)

1920年11月2日 The first commercial radio station opens(民放ラジオ局開局) 

(1940年10月9日 John Lennon is born(ジョン・レノン誕生)

1955年7月17日 Disneyland opens(ディズニーランド開園)

1969年7月20日 Astronauts first land on the moon(宇宙飛行士が初めて月面に着陸)


(5:44~ 音場の上部に耳を傾けて、中心よりもちょっと左寄り)


1865年4月9日 The Civil War ends(内戦終結。いわゆる南北戦争のこと)

1886年10月28日 The Statue of Liberty is dedicated(米国独立運動を支援したフランス系フリーメーソンから贈呈された自由の女神像が完成)

1919年1月31日 Jackie Robinson is born(ジャッキー・ロビンソン誕生。黒人初の近代メジャーリーガー)

1929年11月28日 Berry Gordy is born(ベリー・ゴーディ誕生)

1955年12月1日 Rosa Parks refuses to give her bus seat to a white passenger(黒人女性ローザ・パークスが、白人乗客にバスの座席を譲ることを拒否した) 


長い翻訳記事をお読みいただきありがとうございました。でも、ものすごい量の情報を一本のショートフィルムのなかに詰め込んだ「HIStoryティーザー」を探る旅は、まだまだ終えられそうにありません。


次は、ここまでの内容を踏まえた、私の考察記事「HIStoryと黙示録」に続きます。


註)__________


(*)ジャケットの男性については、ベートーベンとP.T.バーナム説と両方あって、私は、頭の上の小人から、P.T.バーナムで間違いないと思いましたが、マイケルのことですから、エジソンにも見えるという点も重要なのかもしれません。いずれにしても、エジソン1人に特定することはできないと思います。


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(アルバム『デンジャラス』の絵の一部)


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(P.T.バーナム)



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(エジソン)

◎[関連記事]ひとりごと(2012.7.26)P.T.バーナム


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by yomodalite | 2015-12-29 06:00 | ☆MJアカデミア | Trackback | Comments(2)

マイケルとハワード・ヒューズ[1]ジョン・キーツ著『ハワード・ヒューズ』

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マイケル・ジャクソンの死後、父であるジョー・ジャクソンは、CNN「ピアース・モーガン・トゥナイト」のインタヴューで、息子はハワード・ヒューズのように扱われてきた。と語ったそうです。






また、MJの死後、彼との対話を出版したユダヤ教のラビは、彼の死は単なる個人の悲劇でなく、アメリカの悲劇である。と言い、その対話本の中でマイケルは、

ハワード・ヒューズは自分の所有するホテルの最上階にいるって、みんなが言ってた。そのフロアにずっといて下りてこない。暗がりの中、部屋の隅っこのベッドにいて、爪や髪をこんなに長く伸ばして、点滴に繫がれてるってね。

そんな感じで、脳はおかしな考えを色々かき集めて、とんでもない話しを作り上げる。僕はそういうのが大好きだから、ハワード・ヒューズのことも大好きなんだ。彼は大きな仕掛けをしたからね。僕にとって、彼はある意味、先生なのかもしれない。こんなことを話すのは、初めてなんだけど、ハワードのことが大好きなんだ。彼は天才だよ。人を操る術っていうか、彼はみんなが興味を持ってしまう方法を知っていて、P. T. バーナムもそういったことが得意だった。

と、語っていました。

多くの日本人にとっても、ヒューズのアメリカでの絶大な存在感については想像しにくいとは思いますが、父の事業を10代で引き継いで実業家として大きく拡大させ、「地球の富の半分をもつ男」「資本主義の権化」と評されるほど、20世紀を代表する億万長者となった人物。


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長身のハンサムで、何人ものスター女優と浮き名を流しただけでなく、自分の映画の主演女優をも発掘し、ハリウッド黎明期の名作に監督・プロデューサーとしても名を残した。また、世界一の飛行機を創る会社を経営しただけでなく、自らも飛行機乗りとして世界記録をつくった。そんなヒューズのことを、MJのような「超人志向」の男が目標としたのは、不思議ではないかもしれません。


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彼がヒューズのような偉大な男になりたいと思っていたのは、少年時代より幾分落ちついた人気と評価の中にいて、新生マイケル・ジャクソンとして、自分の今後の戦略を練り上げていた、ジャクソンズを解散する前ぐらいのことなんでしょうか。

しかし、それを語った2000年前後、彼はすでに億万長者になっただけでなく、ヒューズが経験した以上の有名税を払ってきたはずです。それなのに、父が名声による悲劇的人物として名を挙げたヒューズを、当時もMJは「大好き」「先生」だと言い、ヒューズと同じような天才として、P.T.バーナムをあげていた。。。

この人物も日本では知名度が低く、調べにくい人物ではありますが、史上最大のサーカスを主催し、広告・宣伝の達人で、「バーナム効果」という心理現象にも名前を残したバーナムと、

秘密主義者で、マスコミ嫌いという印象のヒューズを、ともに「人心を操った偉大な人物」と考えている、MJ自身の「人心術」への興味から、米国で1967年に出版された本書を読んでみました。

下記は、2005年に書かれた「訳者あとがき」から、省略して引用。

1976年、非常な死亡記事によってハワード・ヒューズの名がニュースとして報じられたとき、多くのアメリカ人は、民間伝説の最後の英雄の死という受けとめ方をしたにちがいない。ヒューズを現代の悲劇の英雄に仕立て上げたものは、失われた個人主義への果てしないアメリカ人の郷愁である。

1968年のニューズウィークの表紙になったあと、それまでの14年間、人前に一度も姿を見せず、1枚の写真も撮られていなかった隠遁者が、まさに時の人のあつかいを受けた。それは、1967年末からヒューズが手がけた、有名な「ラスベガス乗っ取り」計画が明るみに出たあとのことだった。しかし、話題の人物ということであれば、半世紀前にアメリカの実業界にデヴューして以来、ヒューズはたえず、知名度ナンバーワンの生きた伝説上のアメリカ人だった。

ラスベガス乗っ取りも、『ヒューズ正伝』の贋作をめぐる一大ペテン劇も、とつぜんの死にまつわる数多くの逸話も、無数のヒューズ伝説に新たなエピソードをひとつふたつ添えたに過ぎない。本書の筆者、ジョン・キーツは1966年に付した「まえがき」のなかで本書をたんなる中間報告とよんでいるが、ヒューズの死後あわただしく刊行された数作の “ヒューズ伝” もふくめて、本書『ハワード・ヒューズ』が最もオーソドックスな風格を備えたすぐれたノンフィクションであることは、類書と読みくらべてみればおのずと明白だろう。

数々のエピソードのなかには、本書に納めきれなかったものもあるだろうし、その後も、数多くのエピソードが生産されてきた。まず、本書刊行後の最大の事件といえば、あれほど執着を示していたTWAの持株を、ヒューズが1966年に売却し、5億ドル以上の巨額の金を手中におさめたことだろう。筆者ジョン・キーツは、ヒューズが最大の夢を託していたTWAの実権を失ったことをさして “夢の終わり” といっている。そしてその予言どおり、ヒューズはTWAを去った。ヒューズが70歳の生涯を終えた後になって考えてみれば、キーツの言葉はたんなる中間報告ではなく、正しく的を射抜いた予言の言葉であったといえる。

本書はヒューズ陣営との激しいトラブルのあとに刊行された曰く付きの書である。自分自身のことに触れたあらゆる報道を極端に嫌ったヒューズは、本書の刊行以前にも何度となく出版物に関する問題をおこしていた。彼の死後はじめて、生前身近にいた人物たちによる評伝が刊行された事実だけをみても、その絶大な影響力が測り知れるだろう。絶対に出版しないという条件で、終生前払金をもらいつづけながら暮らす “幻のヒューズ伝” 作家さえいたということである。

あやるゆ妨害や起訴を覚悟の上で本書の刊行を決意したランダムハウス社の会長ベネット・サーフは、ヒューズ陣営との話し合いを拒絶し、筆者のジョン・キーツをはげましつづけた。ヒューズ陣営は事前の検閲を申し出たり、協力すればランダムハウス社を援助するといった話までもちかけたが、ベネット・サーフは「金儲けのためだけに出版事業をやっているのではない」とはねつけたという。

(引用終了)

この本のあと、様々な類書を読みましたが、「オーソドックスな風格を備えたノンフィクション」という評価に賛同します。本書で取り上げられたエピソードは「客観的事実」として認定されているもので、著者は感情を抑え、慎重に筆を進めていると思いました。

ただ、多くの評伝がそうであるように、枠を越えたような人物でも、枠におさめないと、物語としては完成しない。という「つまらなさ」も感じました。

ヒューズが出版を妨害した理由など、もちろん、私にわかるわけはないのですが、俗世間から姿を隠しつつ、巨大帝国を支配し、“ラスベガス乗っ取り” を開始した1967年の前年に出版されるというタイミングも影響したのでしょう。

残念ながら、本書からは、マイケルが言った「ヒューズがした大きな仕掛け」はあまり感じられませんでしたが、ただ、ヒューズが書かれることを強く拒否していた気持ちは、MJにはよく理解できたのではないでしょうか。

おそらく、それは、プライヴァシーの侵害という以上に、常にまだこれからだ。と思い続ける人間にとって、客観化という作業は、凡人が納得するための物語でしかなく、

世界一という高みからの風景を一度も見ることなく、俯瞰しているつもりになっている文章家の貧弱な空想力の中で主人公にさせられることが耐えられないからではないでしょうか。

並外れた読書家だったマイケルは、歴史の本をよく読むけど、自分が描かれて来た経験から、歴史の本は信用できないとも語っていました。

歴史は繰り返すという、その歴史は、

歴史を変えようとはせず、偉人を「変人」や「病気」としてしか納得することのできない、多くの凡人によって書かれているからだ。ということは、私がマイケルへの熱狂から学んだことのひとつです。

ハワード・ヒューズに関しては、1966年に出版された本書が、2005年に再販されるきっかけとなった、映画『アビエイター』に続きます。





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by yomodalite | 2014-04-08 10:24 | MJ考察系 | Trackback | Comments(2)

ひとりごと(2012.7.26)P.T.バーナム

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Ringling Bros and Barnum & Bailey


ジョセフ・ヴォーゲル氏の『Man in the Music』に「Streetwalker」が何度も登場してちょっと驚いた。 「Dangerous」の盗作裁判のときのこととか、MJが「Another Part of Me」よりも、この曲を気に入ってたというのは、『BAD』のスペシャルエディション版でクインシー・ジョーンズが語っていた話なんだけど、ファンの間では未収録曲の中で一番人気って・・ホント?(p186、207、221)

私は、好きな曲10曲選べって言われても、絶対無理だけど、MJの曲の中で「聞くだけで笑える曲」なら、ぶっちぎりで「Streetwalker」だと思う。(他にはそんな曲ないし、、)

◎Michael Jackson - Streetwalker

なんだか「合いの手」(2:40~、4:00~)みたいなのが、餅つき大会みたいで、歌詞もエロいというより、ナンパな感じで、何度聴いても可笑しくて笑ってしまう。

こちらの「とてもとても素敵なブログ」に「Q」のインタヴューと歌詞の和訳があります。

もしかして「Another Part of Me」のPVで、ディレオと握手してたのは(0:40~)、ディレオの「フリフリダンス」等、この曲の収録への健闘に対してだったのかな。

◎Michael Jackson - Another Part Of Me


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P.T.バーナム & 親指トム将軍("General Tom Thumb")
MJとエマニュエル君を思い出してしまう


笑えると言えば、

坂口恭平 ‏@zhtsss
この前、ばったり会った人に「総理!本当に鼻くそ食べてるんですね♡ さすが有言実行!男の中の漢!」と言われ、恥ずかしかった。やっぱり山手線の中で鼻糞食べるのはやめよう。と、思ったけど、いま、山手線で品川に向かっていて、やっぱり鼻糞食べている総理です。総理の主食は鼻糞と接吻です。0円

坂口恭平 ‏@zhtsss
新政府は0円ベンツまで獲得しちゃいました。所有権はいらないので、使用権だけを。しかも、GELANDE WAGENの初号機!しかも2万キロ!やばいね。市長に立候補際はさらに軍用車であるベンツのUNIMOGも使っていいと師匠に言っていただき、なんだかやばいね。狂ってきたね。最高だね。

坂口恭平 ‏@zhtsss
な、なんと0円病院をやりたいというお医者さんが名乗り出てくれている。。これはなんとも大きな希望だ。準備を進めたい。日本全国に0円病院を。もちろんその人たちには、多額の新政府新通貨、態度に払われる「平」が贈られます!

坂口恭平 ‏@zhtsss
しかし、TBSで秋から始まることになった「新政府TV」って、どんなジャンルにしようかな。。。「国家転覆シミュレーションバラエティー番組」かな笑。僕の思考にお金を出そうとしてくれたスポンサーがいるのだから、面白い。元々、元手0円の0円野郎なので、怖いものなし。早く無一文になりたいな

坂口恭平 ‏@zhtsss
嫁さんとセックスしているとき、うわー楽しいことってのは、本当に0円なんだねーーって興奮してる。16世紀のフランスの貴族の姫と、路上の乞食の密会とか、シミュレーションするのってお金がかからんもんね。しかも、それを普通のパジャマで演じているときに、おーーレイヤーが!とか俺興奮してるし


ベンツはもらったことないし、無一文になる覚悟もまだないし、家のダーリンは、嫁というのは、俺の金でネイルサロンに行ったりするものだと思っていると思うけど、、

そんな私でも「0円」てスゴくいいものだと思っていて、

このブログでも、ほんの少しでも小銭が入ってこないようにするとか、小額募金の手伝いをするとか、細心の注意を払って、避けているの。

1円でも誰かの役に立ったとか、1円でも得したっていう感覚が「罠」なんだよね。

なんの「罠」かは、省略するけどさw


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バーナムが、外国から買ってきて大好評だった「大きな象」は亡くなった後、骨(剥製)にして展示し、それも好評だったとか。MJの「エレファントマンの骨を買った」の元ネタかな。


ヴォーゲル氏の『Man in the Music』にも、マイケルが夢中になった伝説的興行師として何度も登場している、P・T・バーナム(p247、p311)。スティルウォーター氏の『M Poetica』にも登場しているし、以前からずっと気になっているんですけど、和訳をしてくださった方の素敵な文章(リンクはこちら)によれば、

(3つの記事から要約して引用しています)

マイケルは、P.T.Barnumの戦略と基本原理を学んでいた。マイケルは彼について書かれた本をフランク・ディレオや、ジョン・ブランカに渡し、「これは僕のバイブルになるから、持っていて欲しい。僕は自分のキャリア全部を地球上もっとも偉大なショーにしたい」と言っていた(1984年)。

スティルウォーター氏は、バーナム本を熱心に読んでいるうちに、バーナム本人と、ジャクソンに反映されているバーナムの性質を、深く理解するようになり、

人間の善良な部分を尊ぶのはたやすいけれど、MJやバーナムは、仲間の人間たちのささいな欠点を前にして、ちょっと困って、でも面白がって見つめる姿勢をどういうわけか保つことができて、彼らはともに、人の弱点に対するリアリスティックな楽観的な見方と、少し変わったユーモアのセンスと、悪ふざけ好きな部分と、熱心な理想主義者を、すべて並立させていた。という。

(引用終了)


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「Dangerous」カバーに描かれているP.T.バーナム(ベートーベンだという説もありますが)。MJ流「史上最大のショー」であるデンジャラスツアーを米国では一度も行わず、白班も後期まで公表しなかった。

それで、そんなバーナム氏のことをもっと詳しく知りたいと、ずっと思っているのだけど、残念ながら、日本語で読めるバーナム本は全然なくて、つまんない。

◎バーナムー観客を発明した男(1986)

上記の映画は、バート・ランカスター主演、ハンナ・シグラ共演という、しっかりした造りの映画で、当時の街並や、建物などもよく再現されていて雰囲気もあり、安っぽくはないのだけど、

バーナムのWikipediaに掲載されている以上の内容はないかも。。タイトルの「観客を発明した男」というのは、たぶん、自伝で、本人が言った言葉なんだと思う。彼は新しいショービジネスを創ったのではなく、ショーを観たいと思う人を発見し、アメリカのショービジネスそのものを創った人のようです。(詐欺師とか、大嘘つきという面でも有名ですが...)

それにしても、

何度言っても、言い足らないような気がするんだけど、やっぱり、MJぐらい、面白いひとはいないなぁ。。


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「HIStory」までの派手な宣伝計画は、この頃から青写真があったのかも。そして、HISツアーを米国ではやらないということも...


◎P・T・バーナム(Wikipedia)
◎P.T. Barnum (1999)

☆バーナム自身による著作。彼は本を売ったり、講演することにも才能があったみたい。

◎The Adventures of an Adventurer (1841年 偽自伝小説らしい)
◎Life of P. T. Barnum, Written By Himself(1855年)
◎Ancient and Modern Humbugs of the World(1864 - 1865年)
◎Struggles and Triumphs (1869年)
◎The Art Of Money Getting (1880年 この本が一番有名なのかな)
◎The Wild Beasts, Birds and Reptiles of the World(1888年)
◎Why I Am A Universalist(1890年)
◎Barnum's Own Story(1962年)
◎The Colossal P.T. Barnum Reader (2005年。バーナムがこれまでに書いた本の内容を編集し直した本らしい)

☆MJがブランカやディレオに渡した本が、本人が書いたものなら、この本で、他の人が書いたものなら、これ!という特定がしたかったんだけど、めちゃくちゃいっぱいあって、全然見当がつきませんでした。


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by yomodalite | 2012-07-26 09:20 | MJ系ひとりごと | Trackback | Comments(6)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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