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和訳 “Invincible”

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今回は、アルバム「Invincible」のタイトルソングを和訳します。


本当はシングルだけでなく、アルバムタイトルも「Unbreakable」にしたかったという話もあったりなかったり・・・という件については、「Unbreakable」を和訳するときに持ち越すとして、


この曲も、例のごとく誰が誰に言っているのか、混乱するところがある歌詞ですよね。


アルバムタイトルでもあるので、「Invincible」は、マイケル自身のことかと思って歌詞を読むと、インヴィンシブルなのは彼女ということになっていて(she's invincible)、では、自分を無視するツンデレ女に惹かれてしまう心情を歌にしているのかと言うと、そんな恋心を歌っているようには聴こえない。


やはり、これも恋愛がらみの曲ではないのだと思います。


何をどうやっても、自分を理解せず、受け入れようとしない「彼女」は、マイケルの恋愛対象ではなく、音楽評論家とか、ジャーナリスト、TVレポーターなどの存在を思い浮かべるとイメージがつかみやすいと思います。(ラップ部分では、芸術の女神という側面もありそう)


そして、そのインヴィンシブルな「彼女」以上に、なぜかw言及されている「彼」は、マイケルと比較されるような存在・・・私は、ここに「プリンス」を当てはめてみると、しっくり来るのではないかと思います。


マイケルの何世代にもわたるアーティスト生活を支えたのは、彼の並外れた歌やダンスの才能とそれにすべてを賭ける情熱、そして世界中の人々への愛・・・だけでなく、彼が世界一負けず嫌いだったからではないでしょうか。


自分ならこれまで誰も到達できなかったような世界一のエンターティナーになれる!


そう信じた彼は、実際にそれを成し遂げたあとも、未来永劫その座に君臨することを望んだという点でも、スゴいとしか言いようがないんですが、同時代的にはもっとも力強くそれを阻もうとしたのが、プリンスだということは説明するまでもないと思います。


青字のRap部分は、マイケルが言わないような言葉遣いですが、ラッパーは、MJに言っているのではなく、MJが子分wに言わせているようで、


he's buying diamonds and pearls,・・これは、プリンスのアルバムタイトルで、シングルヒットもした「Diamonds and Pearls」を思い出します。he's taking you all across the world, では、やはり、プリンスのアルバム「Around the World in a Day」のタイトルソングが浮かびます。これは、君を1日で世界一周の旅に連れて行く・・みたいな歌詞で(笑)、So many trips の「旅」は「ライブツアー」を思い浮かべてくださいませ。


実際に、二人とも最後までお互いを意識していたことは間違いなく、プリンスにも、しばしば、マイケルを意識していると思われる曲があるんですが、マイケルも、こっそりプリンスをディスっていた(笑)と思うと、このトリッキーな曲がますます味わい深くなるのでは?







“Invincible”


[Verse 1]

well… well…

If I could tear down these walls that keep you and I apart

I know I could claim your heart and our perfect love will start

But girl you just won't approve of the things that I do

When all I do is for you but still you say it ain't cool

If there's somebody else, he can't love you like me

And he says he'll treat you well, he can't treat you like me

And he's buying diamonds and pearls, he can't do it like me

And he's taking you all across the world, he can't trick you like me


さて、さて、

君と僕を隔てるいくつもの壁を壊すことができたら、

僕は君の心を取り戻し、僕らの完全な愛が始まるだろう

でも、ガール、君は僕のすることをまったく認めようとはしない

僕のすることは全部君のためなのに、君はそんなのダメだって言う

他の誰だろうが、僕のように君を愛することはできない

彼が君にごちそうすると言ったって、僕のようにはできない

彼はダイヤモンドや真珠を買ってくれるかもしれないけど

僕のようなやり方はできない

彼は世界のどこにでも君を連れて行ってくれるかもしれないけど

僕のような芸当は出来やしないさ


[Chorus]

So why ain't you feelin' me, she's invincible

But I can do anything, she's invincible

Even when I beg and plead, she's invincible

Girl won't give in to me, she's invincible


それなのに、なぜ僕を感じない?彼女は頑固だね

僕にはどうにも出来ない 彼女は攻略できない

僕が許しを請うようにお願いしても、彼女には通じない

僕を受け入れようとはしない、彼女は鉄の女なのさ


[Verse 2]

Now many times I've told you of all the things I would do

But I can't seem to get through no matter how I try to

So tell me how does it seem that you ain't checking for me

When I know that I could be more than you could ever dream

If there's somebody else, he can't love you like me

And he says he'll treat you well, he can't treat you like me

And he's buying diamonds and pearls, he can't do it like me

And he's taking you all across the world, he can't trick you like me


君には、僕がしたいことはすべて話しただろう

でも、どうやったところで君には通じないし

君は僕が言ってることを調べてみようともしない

僕を知れば、僕が君が今まで思い描いた以上だってわかるのに

他の誰にも僕のように愛することなんてできない

彼が君にごちそうするって言ったって、僕のようにはできない

彼がダイヤモンドや真珠を買ってくれたって、僕みたいにはできない

彼が世界のどこにでも君を連れて行ったところで、僕のような芸当はできない


[Chorus]

So why ain't you feelin' me, she's invincible

But I can do anything, she's invincible

Even when I beg and plead, she's invincible

Girl won't give in to me, she's invincible


それなのに、なぜ僕を感じない?彼女は頑固だね

僕にはどうにも出来ない 彼女は攻略できない

僕が許しを請うようにお願いしても、彼女には通じない

僕を受け入れようとはしない、彼女は鉄の女なのさ


Now some way I'll have to prove all that I said I would do

Giving you everything, fulfilling your fantasy

Then maybe you'll change your mind and finally give in in time

Then I'll be showing you what other men are supposed

To do for you my baby


僕は、自分がこれからやることをなんとか証明してみせるよ

君が夢だと思っているようなことをすべて満たしてあげる

そしたら、君はようやく心変わりして負けを認めてくれるだろう

僕は、他の男がしそうなことはすべて君にみせてあげられるよ


[Rap]

Yo, mami, stop the fronting, I'm real with mine

All the things that I promised, I'll fulfill in time

Chains and the bracelet, got the realest shine

So many trips, ya'll have jetlag and still be fine

You can trip, but this money ain't long enough

He can spit, but his game ain't strong enough

Now the way you resisting, this ain't cool

It's like nothing seems to work, she's invincible


よぉ、上辺だけなんてのはナシだぜ、俺のはマジだから

約束したことはすべてやってやるよ、近いうちにね

ネックレスもブレスレットも、超輝いてるやつを手に入れたぜ

お前は、たくさん旅し過ぎて、時差ぼけしてるけど、まだ元気だろう

ただ、旅は出来ても、金は長続きしそうにないね

悪態つくことはできても、勝負強さが足らねえんだよ

おめえの反抗の仕方は、クールじゃねえな

てめえがやったことなんて無いのと同じ、彼女には通じない


[Chorus][X3]

So why ain't you feelin' me, she's invincible

But I can do anything, she's invincible

Even when I beg and plead, she's invincible

Girl won't give in to me, she's invincible


それなのに、なぜ僕を感じない?彼女は頑固だね

僕にはどうにも出来ない 彼女は攻略できない

僕が許しを請うようにお願いしても、彼女には通じない

僕を受け入れようとはしない、彼女は鉄の女なのさ


(訳:yomodalite)




☆こちらは補足記事です。

和訳 “Invincible” の補足と「Cream」と「This Is It」の類似



Prince - Diamonds and Pearls






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by yomodalite | 2016-07-19 09:23 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(2)

和訳 “Whatever Happens”

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プリンスと並行して、マイケルの訳詞をしていると、ふたりを比較して、思うことが色々とあります。

例えば、エロい内容が多い割には、アメリカ国内で、詩人としても評価されたプリンスに比べ、マイケルに対してそういった評価はあまり聞かないことについてとか・・

確かに、マイケルの詩はあまり文学的ではないというか、『Dancing The Dream』でも、わかりやすく伝えたいという以外の理由では、レトリックが使われていないし、詩の世界だけでなく、テレビに出演したときも、プリンスの方が圧倒的に気が利いたことを言っている。というか、どうして私たちのKINGはあれほどの読書家でありながら、あんなに言葉足らずなの?

と思ったことがあるのは、私だけではないですよね?(笑)

プリンスは、マイケルが憧れたジェームズ・ブラウンのようなダンスもすごく上手くて、大勢の人を躍らせることも出来た。マイケルに憧れたアッシャーや、ジャスティン・ティンバーレイクや、クリス・ブラウンも、ダンスの上手さという点では、マイケルに勝っていたかもしれない。

でも、彼らのダンスは饒舌過ぎて、だから、マイケルのダンスのような「詩」が感じられないのだと思う。

マイケルは、世界で一番多く「I Love You」と言っていたような気がするけど、彼の曲には、いわゆる「ラブソング」と言えるものが少なくて、新生マイケル・ジャクソンを決定づけた「ビリー・ジーン」からずっと、彼は愛を歌っているというよりは、むしろ、愛の消失や、本当の愛ではない、偽物の愛について歌っていることが多いんですよね。

『Whatever Happens』もそういった曲だと思います。

彼の曲の多くがそうであるように、この曲の主語もマイケルではなく、普遍的な男女関係をテーマにしていると思います。

「なにがあっても、この手を離さないで」というのは、本当は「愛の言葉」ではない。それは、ただ相手を縛っているだけ・・・


『Dancing The Dream』に納められた「love」から、私はそんな風に想像をして、ギターの音色だけで「切ない言葉」を紡いできたサンタナと、男ふたりが互いに歩んできた「荒野」から、この曲が創られたのではないかと思いました。最後のふたりの「あいさつ」は、役者がカーテンコールで出てきたような感じでしょうか。

曲の中の「男」は、マイケル自身ではないので、曲調から「僕」ではなく、「俺」にしてみました。

それでは、説明が長くなりましたが「Whatever Happens」の和訳です。



(Fan Made Video)




"Whatever Happens"

He gives another smile, tries to understand her side
To show that he cares
She can't stay in the room
She's consumed with everything that's been goin' on
She says

男は、彼女の気持ちを理解しようと、もう一度微笑みかける
大切に思っているのだと伝えるために
彼女は居たたまれず
何もかもに疲れきって、こう言う

Whatever happens, don't let go of my hand

なにがあっても、この手を離さないで

Everything will be alright, he assures her
But she doesn't hear a word that he say
Preoccupied, she's afraid
Afraid what they've been doing's not right
He doesn't know what to say, so he prays
Whatever, whatever, whatever

すべて上手くいくさ、男はそう保証するが
女は、もう男の言葉に耳を貸せない
夢中になっていたことに不安を感じ
一緒にいたことが間違っていたと悩む
男は、そんな彼女にかける言葉を失い、祈るしかない
何でも、どんなことだって(・・するよ)

Whatever happens, don't let go of my hand
Whatever happens, don't let go of my hand
Whatever happens, don't you let go of my hand

どんなことがあっても、この手を離さないで
なにがあっても、君だけは俺の手を離さないでくれ

Don't let go of my hand
Don't let go of my hand

この手を離さないで

He's working day and night, thinks he'll make her happy
Forgetting all the dreams that he had
He doesn't realize it's not the end of the world
It doesn't have to be that bad
She tried to explain, "It's you that makes me happy,"
Whatever, whatever, whatever

男は、女を幸せにしようと昼も夜も働いている
抱いていた夢もすべて忘れて
この世の終わりというわけでもないのに
男はそうしないわけにはいかない
女は男に言い聞かせる「あなたがいてくれるだけで幸せなのよ」
何でも、どんなことだって(・・するわ)

Whatever happens, don't let go of my hand
See, whatever happens, don't let go of my hand
Whatever happens, don't let go of my hand
See, whatever happens, don't let go of my hand
See, whatever happens, don't you let go of my hand

どんなことがあっても、この手を離さないで
そう、どんなことがあっても、この手を離さないで
どんなことがあっても・・・

See, don't you do it baby
I said yeah
Don't you let go baby
See, you
Don't you do it

そんなことしないだろう、ベイビィ、
そう、
俺から離れるんじゃない、ベイビィ
なぁ、
置いて行かないでくれよ

Whatever happens, just don't let go of, my hand.

何があっても、俺の手だけは離さないでくれ

[Carlos Santana:] Thank you, man!
[Michael Jackson:] Thank you, Carlos!

カルロス・サンタナ「ありがとな!」
マイケル・ジャクソン「ありがとう、カルロス!」

(訳:yomodalite)

気になる点はどんなことでも遠慮なくお知らせくださいね。



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by yomodalite | 2016-07-13 09:02 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(0)

和訳 “You Rock My World”

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☆この曲の解説はこちら・・・


前の記事でも書きましたが、この曲の「You」は、最愛の女性でも、完璧な愛を与えてくれる女性でもないと思いますが、マイケルが歌の中で呼びかけているような「Girl」は、それぞれ自分のことだと考えて良いと思います。


最後が切れていますが、

曲の前に会話が付いてるのがこれしかなくて・・



"You Rock My World"


Oh man! Look at that girl, right there!

Goodness gracious! That girl fine, man!

Look at it, she just too fine! She know she fine too!

She is banging!

She's off the hook!

She looks good, you're right

Hey, I bet you, can't nobody get that girl

Chris, I can get her

You can't get that girl, Mike

I guarantee you can't get that girl!

Watch me get that girl

I bet you never-Neverland, you can't

I can get her

All right! Shomon, then. Shomon!

Watch


(I don't think they're ready for this one

Darkchild… I like that)


クリス:よぉ、見ろよ、あそこにいるあの娘!

優しそうだし、上品な雰囲気、超いいじゃん!

よく見ると、ますますいいね!

自分の魅力をわかってるって感じ!

マイケル:ドンピシャだね!

クリス:サイコー!

マイケル:確かにね、まちがいないよ

クリス:賭けてもいいぜ。誰もあの娘を手にいれられないよ

マイケル:クリス、僕なら彼女を手に入れられるよ

クリス:君には無理だよ、マイク

君があの娘を手にいれられないことは俺が保証する

マイケル:見ててよ、僕があの娘をゲットするのを

クリス:賭けてもいいよ、君には、絶対、ぜぇっーたい無理だって

マイケル:僕は彼女を手に入れるよ

クリス:わかったよ、じゃあ、やってみろよ

マイケル:見てて


(みんなをびっくりさせてやる・・・

ダークチャイルド・・いいんじゃない)(*)


[Verse 1]

My life will never be the same

Because girl, you came and changed

The way I walk

The way I talk


僕の人生は、もう前と同じにはならない

君が現れて、僕の歩き方も

話し方も変えてしまったから


I cannot explain the things I feel for you

But girl, you know it's true

Stay with me, fulfill my dreams

And I'll be all you'll need


君から感じたことを

説明することなんて出来ないよ

ガール、君もそれが本当だってわかるだろう

だからずっとそばにいて、僕の夢をかなえて欲しいんだ

僕もすべて君が望むようにするから


Oh, oh, oh, oh, ooh, it feels so right (Girl)

I've searched for the perfect love all my life (All my Life)

Oh, oh, oh, oh, ooh, it feels like I (Like I)

Have finally found her perfect love is mine

(See, I Finally found, come on, girl)


ああ、まさにこれだよ(ガール)

僕が人生のすべてを賭けて探していた完璧な愛を

見つけられた気がする

とうとう僕のための完璧な愛がね

(そう、ついに見つけたんだ)


[Chorus] 

You rocked my world, you know you did

And everything I own I give (You rocked my world)

The rarest love who'd think I'd find

Someone like you to call mine (You rocked my world)


君は僕を変えてしまった、君もそれをわかっているだろう

僕は君にすべてを捧げなくてはいられない

これほど稀少な愛を、見つけられるだなんて

君のような人を僕のものだと言えるなんて

誰が思っただろう(君は僕を変えてしまった)


In time I knew that love would bring

This happiness to me

I tried to keep my sanity

I waited patiently


いつかは、こんな愛が

僕に幸せを与えてくれるんだってわかってた

ずっと辛抱強く待ち続けたんだ


Girl, you know it seems

My life is so complete

A love that's true because of you

Keep doing what you do


ガール、君もそう思ってくれたら

僕の人生は完璧さ

君への愛こそが真実

ずっとこのままでいて


Oh, oh, oh, oh, who'd think that I (Oh)

Have finally found the perfect love I searched for all

My life (Searched for all my life)

Oh, oh, oh, oh, who'd think I'd find

(Whoa oh oh)

Such a perfect love that's so right

(Whoa, girl)


人生のすべてをかけて求めた完全な愛を

僕が見つけられるだなんて

誰が思っただろう

こんなにも完璧に、素晴らしい愛を


[Chorus]x 3

You rocked my world, you know you did

(Come on, come on, come on, come on)

And everything I own I give

The rarest love who'd think I'd find (Girl)

Someone like you to call mine (You rocked my world)


君は僕の世界を変えた 君もそれをわかっているだろう

僕は君にすべてを捧げなくてはいられない

これほど稀少な愛を、見つけられるだなんて

君のような人を僕のものだと言えるなんて

誰が思っただろう


[Verse]

Girl, I know that this is love

I felt the magic all in the air

And girl, I'll never get enough

That's why I always have to have you here, hoo


ガール、僕は知ってるんだ

これが愛なんだって

すべての空気に魔法が宿っていることを感じる

でもね、ガール、これからもずっと一緒にいてくれなきゃ

僕は永遠に満たされないからね


[Chorus]繰り返し


(訳:yomodalite)

__________________


(*)Darkchild は、ロドニー・ジャーキンスがプロデュースした曲に「お約束」として入っている、彼のシグネチャーなんですが、マイケルは、これをトンデモなくセクシーに言っていますね。


気になる点はいつでも遠慮なくお知らせくださいませ。


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by yomodalite | 2016-07-02 09:00 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(2)
今頃?って言われそうですが、「You Rock My World」の和訳です。


主語や代名詞がわかりにくいことが多いマイケルの詩の中では、すごくわかりやすい詞で、歌詞を読んでいると、すごく甘いラブソングのように感じるのですが、曲を聴いていると、完璧な愛を見つけたとか、最愛の女性が見つかった、という感じはあまりしないのではないでしょうか。


歌の前のセリフ部分のコメディタッチも、曲の印象とミスマッチな印象で、ふたりの会話はショートフィルムと同様、仲の良いおとこ同士が街でみかけた女性をナンパしようとする内容ですが、マイケルは照れているというか、イマイチその役に入り込めていないという感じでしゃべっていますよね。このシャイな感じにはグッとくるんですが、


「偉大な俳優と言われた人たちの誰よりもさらに上を行く」(→21歳のマニフェスト)


というほど厳しい研鑽を積んだ結果がこれ?と疑問を抱いた人も少なくないはず(笑)


イマイチなのは、台詞回しだけでなく、ショートフィルムの演技もオカシイですよね? あれは、どう考えてもナンパしに行こうという「顔」じゃないし(笑)。この当時の体調の悪さ、SONYとの対立、カシオ本の記述など・・・あらゆる原因についてずいぶんと長く考えたつもりですが、これまで、語られた物語の中に私が納得できるものはありませんでした。


なぜなら、マイケルがあらゆる意味で万全だったとしても、「ナンパ」や、クリスのコメディタッチも、「完璧な愛を見つけた」という内容も、この曲の雰囲気と合っているとは思えませんし、ショートフィルムだけならいざ知らず、アルバムに納めるときでさえ、曲の前に「ナンパ」というシチュエーションが必要な理由がわかりません。(この「ナンパ」は、フレッド・アステアの有名な「ガールハント・バレエ」に関連しているのかも・・)


初めに、男たちの会話があって、素敵なガールをナンパするというのは、『The Way You Make Me Feel』のヴィデオと似ていて、このときも、マイケルはダンスによって彼女の心をゲットするのですが、マイケルが『Invincible』で到達していた世界は、素敵な女の子をゲットするのとは別の世界で・・・このときのマイケルのチグハグさは、彼が演技が下手とか、キャラ設定が間違ってるというのではなく・・・


演じられるようなモデルが存在しないような「人間」を表現しようとしているからだと思います。


つまり、それは彼が、「マイケル・ジャクソン」の完成形として創造している人物のことなのですが、マイケルが「偉大な俳優と言われた人たちの誰よりもさらに上を行く」ほど演技を学ぼうとした理由は、優れた俳優になりたいと思う人々とは、かなり違ったものでした。

僕は演技を、演じなければならないものだとは思わない。演技というものが、演じているということなら、リアリズムを模倣していることだけど、リアリズムの方を創造すべきなんだよ。それは、演じるではなくて(acting)信じる(believing)と呼ばれるべきなんだ。あのね、僕は演技について考えているとき、いつもそれに反対だった。僕は演じている人(actor)なんか見たくない。僕は信じる人(believer)が見たいんだ。あたりまえのこと(truth)を模倣するような人なんか見たくない。それは、その時点で本当のこと(real)じゃない。1984年「EBONY」インタビュー)

"You Rock My World”のショートフィルムを見た当時、多勢の人が「人間離れした」と感じたのは、彼が自分の演技を「リアリズムの模倣」ではないことを突き詰めたから・・・


なぜなら、完璧な愛が見つかることは、現実に生きる人間には起こりえない。

そして、この曲が、クリスとのコメディタッチの会話から始まるのは、

僕を変えてしまった君(You rocked my world)や、完璧な愛や、稀少な愛(perfect love、rarest love)と歌われている「愛」や「君」が、最愛の女性のことではなく、


ショートフィルムで表現されているように、バディもの、ボーイ・ミーツ・ガール、波止場、ギャング、戦う男・・・といった映画によくある舞台設定、そして最も大きな影響をうけたスターであるフレッド・アステアが引用され、マーロン・ブランドが実際に登場し、物語は「Happy End」を迎えても、エンターテイナーとしての日々や、ショーは常に「To be continued」であるという、


マイケルが人生を捧げた「エンターテイメントの世界」を指しているからでしょう。


甘い言葉が並べられていても、この曲に通底しているリズムが切ないのは、そこまでの彼のストイックな歩みが、そう感じさせるからだと思います。


和訳の前にずいぶんと長く書いていますが、


時間がかかったのは、和訳ではなくて、この「まえがき」の方でw、


これをどんな風に書こうか、とか、いつ書くべきかとか、どんな感じにして、どの程度の長さにしようか、・・とか、そんなことがいつまで経ってもよくわからなかったうえに、


会話の最後とDarkchild… I like that までをどうするかも、なかなか決心がつかなかったんですよね(まだ悩んでますけどw)。


それでは長くなったので、和訳は次回。


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by yomodalite | 2016-07-01 11:30 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(6)

和訳 “Threatened”

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さて、、「Threatened」の和訳です。


Threatened は、MJの最後のオリジナルアルバムとなった『インヴィンシブル』の最終曲で、Thriller、Gohsts、Is It Scaryなどと同じく、ホラーをテーマにした作品。


Thriller の『THIS IS IT』のヴァージョンでは、Threatenedとのミックスがなされ、ゾンビたちが十字架となり、空から天使のように降りてくる映像は『TII』の中でも突出して美しいイメージとなっていました。



Thriller ”This is it version”

(ゾンビ降誕シーンは4:20~)





MJは当時のインタヴューで、


'Invincible' is just as good or better than 'Thriller', in my true, humble opinion. It has more to offer. Music is what lives and lasts. 'Invincible' has been a great success. When The Nutcracker Suite was first introduced to the world, it totally bombed. What's important is how the story ends.


『インヴィンシブル』は『スリラー』と同じか、それ以上にいいアルバムだよ。控えめに言っても、それが僕の正直な意見だよ。この先もより多くのものが得られるだろう。音楽は生き続けるからね。『インヴィンシブル』は大成功だ。チャイコフスキーの『くるみ割り人形』が最初に世に出たときだって、評判は散々だった。重要なのは、物語がどう終わるかってことなんだ。(2001年「USAToday」)


と、エンディングの重要性についても語っていましたが、『ヒストリー』の最終曲に「スマイル」を選んだMJは、最後のアルバムと考えていた『インヴィンシブル』のエンディングに「スレテンド」を選んだ。。







"Threatened"

written by Michael Jackson, Rodney Jerkins…


[ROD SERLING INTRO]


Tonight’s story is somewhat unique and calls for a different kind of introduction

A monster had arrived in the village

The major ingredient of any recipe for fear is the unknown

And this person or thing is soon to be met

He knows every thought, he can feel every emotion

Oh yes, I did forget something didn’t I? I forgot to introduce you to the monster.


《ロッド・サーリングのナレーション》(*)


「今夜の話は、いささか風変わりなので、いつもとは違う感じで始めましょう。

怪物が村にやってきました。その恐怖は未知数ですが、その人物はまもなくやってきます。彼はあらゆる考えを理解し、どんな感情をも感じとることができるのです。


ああ、大事なことを忘れていましたね。みなさんに怪物を紹介しなくては」


You’re fearing me, ‘cause you know I’m a beast

Watching you when you sleep, when you’re in bed

I’m underneath

You’re trapped in halls, and my face is the walls

I’m the floor when you fall, and when you scream it’s ‘cause of me

I’m the living dead, the dark thoughts in your head

I heard just what you said

That’s why you’ve got to be threatened by me


僕が獣だと知って、君は僕を恐れている

君が寝ているとき、僕は君を見ていて

君がベッドに入るとき、僕はその真下にいる

君が廊下で行き止まれば、その壁には僕の顔が浮かび

君が倒れれば、床には僕がいて、君は僕をみて叫び声をあげる

僕は生きる屍であり、君の頭の中の闇

君が僕に脅えるのは、

僕が君が言ったことをちゃんと聞いていたからさ


[CHORUS]

You should be watching me, you should feel threatened

Why you sleep, why you creep, you should be threatened

Every time your lady speaks she speaks of me, threatened

Half of me you’ll never be, so you should feel threatened by me


[CHORUS]

君は僕に気をつけた方がいい

君は脅えるべきなんだ

どうして寝ていられる? 

コソコソして何になる?

君は恐れるべきだよ

君の女が話しているのはいつも僕のことなんだよ、恐ろしいよね

君は僕の半分にだってなれはしない

だから、君は僕に畏れを感じるべきなんだ


You think you’re by yourself, but it’s my touch you felt

I’m not a ghost from Hell, but I’ve got a spell on you

Your worst nightmare, it's me, I'm everywhere

In one blink I’ll disappear, and then I’ll come back to haunt you

I’m telling you, when you lie under a tomb

I’m the one watching you

That’s why you got to be threatened by me


君はひとりでいると思っていて、僕に触れていることをわかっていない

僕は地獄から来た幽霊じゃないけど、君に呪文をかけたんだ

君の悪夢は、この僕さ 僕はどこにでも現れる

瞬きひとつで姿を消し、また現れては君を悩ませるだろう

君に言っておくけど、君が墓の下に眠るとき

僕はそれを上から見下ろすだろう

だから、君は僕に脅えなければならないのさ


[CHORUS]


[ROD SERLING VERSE]

The unknown monster is about to embark

From a far corner, out of the dark

A nightmare, that’s the case

Never Neverland, that’s the place

This particular monster can read minds

Be in two places at the same time

This is judgement night, execution, slaughter

The devil, ghosts, this monster is torture

You can be sure of one thing, that’s fate

A human presence that you feel is strange

A monster that you can see disappear

A monster, the worst thing to fear.


[ナレーション]

未知なる怪物が暗い物陰から抜け出ようとしています

これはまさしく悪夢です

ネバー、ネバーランドという

永遠に子供の国から来たその怪物は、人の心を読み

ふたつの場所に同時に姿を現すこともできる

処刑か、虐殺か、今夜、審判が行われる

悪魔? 亡霊? この怪物はあなたの心を縛っているもの

ひとつ確実に言えるのは、それも運命であり

人が奇妙だと感じるとき

この怪物は現れ、また消えていく

この怪物こそがもっとも恐ろしいのです


[CHORUS×3]


[ROD SERLING OUTRO]

What you have just witnessed could be the end of a particularly terrifying nightmare.

It isn’t. It’s the beginning.


[ナレーション]

あなたが今目撃したものは、恐ろしい悪夢の終わりだったのでしょうか。

いいえ、それは始まりに過ぎないのです。


(訳:yomodalite)

______________________


(*)ロッド・サーリングのナレーション/アメリカで放映されたSFテレビドラマシリーズ『トライライト・ゾーン』の脚本家。番組の進行役もつとめ、劇中劇の出演者でもあった。



こちらは『トワイライト・ゾーン』の映像を使用した

ちょっぴり興味深い動画

Michael Jackson-Story behind THREATENED






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by yomodalite | 2015-09-01 21:00 | マイケルの言葉 | Trackback | Comments(0)

聖誕祭2015「Invincible 期」

こちらにあった内容は
下記に移動しました。


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by yomodalite | 2015-08-27 06:00 | MJ Birthday | Trackback | Comments(0)

和訳 "We've had enough"

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この曲は、CD4枚とライブDVDで構成された限定ボックスセット「アルティメットコレクション」(2004年)に納められた、9曲の未発表曲の中の1曲で、Disk 4の最終曲です。


歌詞サイトなどにはない、一番最後の部分も「関連記事による引用」をもとに、聞き取れる範囲で付け加えました。



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by yomodalite | 2015-04-05 21:17 | マイケルの言葉 | Trackback | Comments(0)

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☆もうたくさん!「We've had enough」(5)の続き


ウィラ:同感だわ、エレノア。そして彼はその考え方を、『Dancing the Dream』という彼の詩集にある「Heaven is Here」という詩に美しく表現している。


You and I were never separate

It’s just an illusion

Wrought by the magical lens of

Perception


きみとぼくは別のものではない

別々だと思うのは、魔法のレンズが創り出した

物の見え方のせいで

それこそが、まさに幻想なんだ


There is only one Wholeness

Only one Mind

We are like ripples

In the vast Ocean of Consciousness


ここにあるすべてのものが、

ひとつであり

ひとつの精神からできていて

ぼくたちの意識は

広大な海の

さざ波のようなもの


Come, let us dance

The Dance of Creation

Let us celebrate

The Joy of Life …


さあ、一緒に踊ろう

創造のダンスを

生きている喜びを

一緒に祝おう


◎[詩の全文和訳]http://nikkidoku.exblog.jp/20103916/


エレノア:この美しい詩は、彼の作品にくりかえし登場するもう一つのテーマを表している。我々は別々の存在ではない。「君は僕の分身なんだ」ってこと。


ウィラ:まさしく。


エレノア:「We've Had Enough」の子供たちのように、マイケル・ジャクソンは、人を結びつける内なる力を保ち、それが彼のビジョンのもととなって、「We've Had Enough」に描かれるような行為の残酷さや、野蛮性、あまりに愚かで何ももたらすことのない「狂気」をはっきりを見極め、認めるという能力と賢さをもっていた。


子供が、大事なものを失い、不正によって、心に傷を負うとき、彼もまた傷を負う。本当は、私たち全員が傷を負うべきなのよ。でも、歌詞の次の部分でマイケルが言っているとおり、私たちはそうしない。その代わり、、


We’re innocently standing by

Watching people lose their lives

It’s as if we have no voice


私たちはただ呆然と立っていて

人が死んでいくのを見てるだけ

まるで声を失ったかのように


もし人が死んでいくのを見たら、どうして「呆然と立って」いることができるの?彼は皮肉としてそう言っているのかもしれない。でなければ、私たちを、宗教的あるいは文化的な洗脳に犯された、「罪なき犠牲者」だと思っているのかも。私の推測では、私たちは「罪なき傍観者」でもあり、「罪を犯した人間」でもある、その両方だけど。


そして、歌の冒頭で湧き上がった憤りは、最初は警察や兵士に向けられたものだけど、いまや、私たちを洗脳するシステムに向いているし、洗脳を許してしまう私たち自身にも向いている。だって、私たちは声を出せるのよ。なのに、それを使わないことを選んでる。こういう行為をやめさせる責任は私たちにあるのに、それを怠っている。エドモンド・バーク(18世紀のイギリスの思想家。アイルランド生まれ)の有名な言葉にあるように、「悪の勝利のために必要なのは、善人が何もしないこと」なのよ。


ウィラ:マイケルはまた、私たちが「他の人が死んでいくのを見ても」何もせず傍観しているなら、私たちの力も弱まってしまう、と言っているのでは。それは、私たちを黙らせてしまう。「まるで声を失ったかのように」


エレノア:人が亡くなっているときに、私たちが、自分を罪なき傍観者だと信じて何もしないでいるなら、それは明らかに間違っている。「Earth Song」の歌詞で言えば、「我々はどこにいるのかさえわからなくなっている。でも、遠くまで漂い続けたことだけはわかってる…」言い換えれば、私たちは道徳の羅針盤を失ってしまったということ。


一方で、私たちに出来たことが何もなかったわけじゃない。マイケルは、私たちにすでに何かをしてなきゃいけなかったと言う。


It’s time for us to make a choice

Only God could decide

Who will live and who will die,

There’s nothing that can’t be done

If we raise our voice as one


決心するときなんだ

誰が生きるか、誰が死ぬか

判断できるのは、神だけなんだ

みんなが声をひとつにすれば

できないことなんて何ひとつない


They’ve gotta hear it from me

They’ve gotta hear it from you

They’ve gotta hear it from us


彼らは僕の話を聞くべきだ

彼らはあなたの話を聞くべきだ

彼らは私たちの話を聞くべきなんだ


We can’t take it

We’ve already had enough

Deep in my soul, baby

Deep in your soul and let God decide


これ以上だなんて

もうたくさんだよ

私たちの魂の奥でも

あなたの魂の奥でも

決めるのは神なんだ


私たちこそ、「神の」意思を表現する媒体なんだと認識しなければ、と彼は言っているように思う。だから、彼は私たちに、切羽詰まった、絶望に満ちた声で、「魂の奥」の力に心を開き、「判断をするのは神」だとわからせようとする。


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ウィラ:そうね。それは重要な指摘だわ。バラク・オバマが何度も引用している、エイブラハム・リンカーンの言葉を思い出す。「私が知りたいのは、神が我々の側にいるかどうかではない。大事なのは我々が神の側にいるかどうかだ」つまり、マイケルは、自分をよく見つめ、正しいことを為すために、神への理解を使うべきだと言っている。自分の利益のための行動を正当化するために神を利用するのではなくね。


エレノア:もし私たちが自分の魂の奥を見つめて、「内なる神と、小さな力で、公益を求める運動」に携わって考えれば、国とか、ひとつの人種とかではなく、私たちを含めた地球全体にとっての善は、あるグループのために、他のグループが犠牲になることはない。そして神の判断は、私たちの道徳の羅針盤を正常に戻し、我々が抱える矛盾によって閉じ込められていたパワーを、解き放つ役割を果たしてくれる。マイケル・ジャクソンは、このエネルギーが存在することを、真摯に信じていた。このエネルギーに導いてもらえば、私たちは何でも成し遂げられると。


そして、この詩のタイトルは、私たちが頭をはっきりさせ、心と知性の結びつきを取り戻すことが出来れば、自分の身に起こっているこれらの不正を感じられるはずだ、ということを明らかにしている。なぜなら、不正が行われ、私たちは皆、その結果に苦しんでいるのだから。そして彼は、私たち全員が「もうたくさんだ」ということを、いつわかって、何をするのか、と疑問に思っている。


ウィラ:そうね。だから、歌の終盤に彼は以下のようなアドリブを入れたのよね。4 :10くらいからだけど、、


They’ve gotta hear it from me

They’ve gotta hear it from you

They’ve gotta hear it from us

We’ve already had enough

(He’s my brother)

We’ve already had enough

(Dear God, take it from me

It’s too much for me

That’s my brother

It’s too much for me

That’s my brother, baby

That’s my lover)

We’ve already had enough


彼らは僕の話を聞くべきだ

彼らはあなたの話を聞くべきだ

彼らは私たちの話を聞くべきだ

もうたくさんだ

(彼は僕の兄弟なんだ)

もうたくさんだ

(親愛なる神よ、私の言葉を信じてください

私にはもう手に負えないのです

あれは、僕の兄弟で

あれは、僕の愛する人)

もうたくさんなんだ


武器を持たない1人の父親が、通りで警察に殺されるとき、遠い国に住む1人の母親が、自分の家にいながら爆撃で殺されるとき、マイケル・ジャクソンは、私たちに、自分には関係ない、遠い出来事だと思ってほしくないのよ。自分のことだととらえ、もし「私の兄弟」なら、「私の愛する人」なら、と考えてほしい。それは、私たちみんなの身に起こっていることなんだと。


エレノア:何もしないことによって、自分自身を破滅に追い込んでいってる、ってことね。


ウィラ:まさしく。


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エレノア:「We've Had Enough」がいつ作られたか知らないけれど、発表は2004年のアルティメットコレクションで、彼が裁判を控えている時期だった。その裁判で、彼は収監され、子供たちに会えなくなる可能性もあった。10年前に始まった、ものすごくつらい時期。だからこの歌は、怒りと絶望が、深い悲しみや同情やフラストレーションと混ざった感情を表している。彼の後期の作品の多くがそうであるように。


そして、彼の声に込められた必死な叫びを聞くと、彼が、ここに出てくる子供たちや、同じような境遇の幾千の子供たちの痛みを感じているだけでなく、彼自身、そして私たちみんなも、同じ邪悪な構造の罠にはめられている、と感じているのがわかる。その構造は、あの手この手で私たちから力を奪う。だけど、彼はその構造だって打ち壊すことができるし、打ち壊さなければと信じている。


でも、悲しくて、恐ろしいことだけど、「もうたくさん」とはなっていない。この歌がレコーディングされて何年も経つのに、警察や軍との衝突で、罪なき人が死に続けている。警察部隊が次第に軍隊みたいになり、軍事活動が、若い兵士が制御盤に向かって、まるでテレビゲームでもやるように人の命を奪うという、人の顔の見えないものになってからは特にそう。


でも、おそらく、その構造に勝てる確率はすごく低い。はっきりとものを言えば代償は高くつく。彼がこの歌の最後でほのめかしているように。「僕はまだ生きていて、それは、自分次第なんだ」と。でも、悲しいことに、彼はもう生きてはいない。この歌の子供たちのように、彼は善と悪の違いを知っていた。信じられないほどの強さと勇気で、公権力に立ち向かった。心を開き、生命の力を自分の中に呼び込み、自分の生き方や作品を通じて、不正に対して声を上げようと私たちを鼓舞した。彼はあきらめなかったし、決してそこから降りなかった。そして、彼は最も大きな代償を払った。


ウィラ:そうね。それが、今回最初に取り上げた、D.B.アンダーソンの記事が言ってることでもある。


マイケル・ジャクソンは、自分が目にした真実のためなら、矢面に立つことを決して恐れなかった。ジャクソンは、いつだって、世界規模のリーダーとして頼れる人だった。私たちが感じていることすべてを表現してくれた。大人になってからの彼の人生は、社会運動実践のカタログのようなもの。


飢餓、エイズ、ギャング問題、人種問題、環境問題。戦争で荒れたサラエボでコンサートを行ったのも、ジャクソンだった。911のあと、みんなに呼びかけてチャリティソングを作り、コンサートを開いたのも、ジャクソンだった。世界的な名声のすべてを使って世の中を変えようとしたのも、ジャクソンだった。彼はいつも矢面に立っていた。


彼の政治的姿勢ゆえに起こったことは、売り上げを落とすこと以上に悪い事態だった。権力に対して真実を言ったために、ジャクソンはターゲットにされた。そして、D.B.アンダーソンの言うとおり。彼は自らターゲットになり、ものすごい代償を払ったのよ。


エレノア:でも彼は、行動しなければそのツケはあまりに大きいという、強烈な真実を私たちに示した。そして、行動を起こそうという必死な呼びかけを残した。


They’ve gotta hear it from me

They’ve gotta hear it from you

They’ve gotta hear it from us


彼らは僕の話を聞くべきだ

彼らはあなたの話を聞くべきだ

彼らは私たちの話を聞くべきだ


We can’t take it

We’ve already had enough


もうこれ以上はいやだ

もうたくさんなんだ


(ウィラとエレノアの記事終了)


☆和訳「We've had enough」に続く




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by yomodalite | 2015-04-03 08:58 | MJアカデミア | Trackback | Comments(0)
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☆もうたくさん!「We've had enough』(4)の続き


エレノア:そして、人種のことを忘れちゃいけない。白人至上主義者とキリスト教ファンダメンタリズム(原理主義)は、しばしば密接に関係し合っている。



ウィラ:残念だけど、それは事実ね。ただ、あなたは、国家あるいは、宗教や人種や民族や性的指向などをベースにして成り立っている集団が、自分たちの行為を、その行為が暴力的だったり弾圧的だったりする場合は特にだけど、正当化するために、神の概念や神の意志を都合よく利用する傾向があるという、重要なことを指摘してると思う。


それは、ジョイエと私が去年の3月の記事でとりあげた「All in Your Name」でも、マイケル・ジャクソンが取り組んだ問題だと思う。


ガーディアン紙の記事には、「ジャクソンは、未完の曲を持って、バリー・ギブのもとを訪れた・・・アメリカ合衆国がイラクに侵攻する約3ヶ月前に」とある。その歌で、彼は迫りつつある戦争だけではなく、「あなたの名のもとで」行われるすべてのことについて、疑問を呈している。


彼は、神の名の下に行われている残虐な行為に心底怒り、苦しんでいて、神の存在自体に疑問を投げかける。でも、神への強い信仰なしに生きていくこともまた、マイケルにとっては非常な苦しみ。それを彼はバリー・ギブと声を合わせて歌っているのよね。


So what is my life

If I don’t believe

There is someone to watch me?

Follow my dreams

Take all my chances

Like those who dare?

And where is the peace

We’re searching for

Under the shadows of war?

Can we hold out

And stand up

And say no?


誰かが見守ってくれていて

私の夢を気にかけてくれて

チャンスや、勇気を信じられなかったとしたら

人生にどんな意味があるのだろう

そして、私たちが求めている平和は

どこにあるのだろう?

戦争の影の下で

私たちはできるだろうか

踏みとどまり

立ち上がり、Noと言うことが


Only God knows

It’s all in your name

Follow me to the gates of paradise

They’re the same

It’s all in your name


神だけがご存知なんだ

すべてはあなたの名前でしたこと

どんな天国の門であっても

それらはすべて同じこと

すべてはあなたの名において



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神は慈悲深いと信じることは、マイケルの人生の土台のひとつといえる。教会で育ち、その宗教的な信条に導かれ、あらゆる狂乱を経験してもなお、正常な精神を保ってくれた。神への信仰なしに生きることなど、彼には想像がつかなかった。だから、彼は繰り返し歌ってる。「(誰かを=神)信じることができなければ、人生にどんな意味がある?」


でも、一方では、恐ろしい行為が、神の名のもとに行われ続けている。「私たちが求めた平和はどこにあるのか?この戦争の影の下で・・・すべてはあなたの名において」


そして、私たちは、宗教的な不寛容と聖戦を中東や、それ以外の戦闘地域にも広がっていくのをずっと目にしている。そのことも、マイケルにとって耐えがたいことだった。


エレノア:とても深いわね。ウィラ・・・「平和はどこにあるのか?」という歌詞は、数年早く書かれた「Earth Song」に似た響きがある。「平和はどうなったんだ。あなたの一人息子に誓ったはずでは?」マイケルはこの問題を本当に長い間考え、格闘してきた。


ウィラ:私もそう思う。そして、彼は分岐点で立ち止まり、何を信じるべきか、何をするべきかを、必死にわかろうとする。そして、「All in Your Name」で彼は、慈悲深い神への信仰を保ちながらも、立ち上がって、宗教戦争や、宗教による不寛容に反対する立場をとろうと決意し、葛藤を克服する。そして彼とバリー・ギブは歌う。


Can we hold out

And stand up

And say no?


私たちはできるだろうか

踏みとどまり

立ち上がり

NOと言うことが


Only God knows


神だけが知っている


◎『All In Your Name』全訳


エレノア:この歌は、マイケルが直面した深刻なジレンマを完璧に表現している、とあなたたちが議論したのをよく覚えてるわ、ウィラ。 彼がよく、L.O. V. E.と表現した力に対して、深い共感と結びつきを感じていたことを考えると、なおさらね。この歌は、彼が9月11日にどれほど苦悩し、絶望的な気持ちになったかを表している。そう、彼は、あの日ニューヨークにいて、恐怖の光景を目撃していた。


この歌、そして、ここで描かれた物語もまた、「神についての疑問」と悪(evil)の問題が、彼の頭を離れなかったことを示している。そして、彼のジレンマは、「We've Had Enough」の子供たちが直面したジレンマと同一なのよね。子供たちは心の奥で、自分や親たちを襲う悪(evil)は、愛であり善なる力である彼らの神のせいではないこと、全能であるはずの神が、こんなひどいことが起こるのを許すはずはないことを知っている。それでも、ひどいことは起きる。ならば、子供たちにどう答えれば良いのか?


マイケル・ジャクソンは、ジレンマへの解決法を、「We've Had Enough」に出てくるような、曇り無き眼を持つ子供の、無垢な知恵に見つけたんだと思う。国家の行為を裏で支え、「撃て」と命令し、どの命が重要かそうでないかを決めるような、国家に属した神ではなく、ある人たちが「内なる神」と呼ぶ、すべての人にとっての善を実現する力が存在することを、子供たちの中に見いだした。もしも、その力に気づき、私たちがその力を使えるなら、できないことはないんだと。でも、その「もしも」はとてつもなく大きい。なぜなら、私たち大人は、それを無視することもできて、ほとんどの場合、そうする方を選ぶ。


そういった私たちのような、自分の中の無垢な知恵に触れることができなくなっている大人とは違い、MJはいつもそこへ続く道を広く開け、五感を研ぎ澄まし、神経を隅々まで活発に働かせ、深い感情とパワーを作品に注ぎ込んでいた。そしてそのパワーを使い、私たちの魂の奥深くへと入りこみ、私たちの中の無垢な部分に触れることができた。


それは、人と人を結びつける、愛と共感のこと。人々を別々に分けるような恐怖や怒りではない。そして、彼は、私たちの中に無垢な力が存在することを信じ続けた。どれほど、それを否定する証拠が数多くあったにもかかわらずね。


☆(6)に続く





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by yomodalite | 2015-04-02 06:00 | MJアカデミア | Trackback | Comments(0)

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☆もうたくさん!「We've had enough」(3)の続き


エレノア:子供たちの問いは、神の問題へと通じ、神と国家との関係という問題を提起している。この女の子からすれば、国家は神の許しなく振る舞っているいうことになるのでしょう。彼女はとても難しい問題を私たちに突きつけている。



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by yomodalite | 2015-03-31 06:00 | MJアカデミア | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite