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いじわるな天使/穂村弘

あの人のことを忘れさせてくれるような物語が読みたいw、
それと、もう英語なんか見るのも嫌だw
サクサク楽しく読めて、
出来たら短編集がいいな。。
という希望どおりの本。

こちらは、歌集をのぞけば、著者のはじめての本。


いじわるな天使 (アスペクト文庫)

穂村弘/アスペクト

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穂村氏の本を読むのは久しぶりだったのですが、やっぱり “ホムホム” は、最初から “ホムホム” で、この本の最初のショートストーリーでの女の子のいじめ方にクラクラしてしまいました。

女の子のいじめ方のなかで、一等おもしろいのは、宇宙船の中でいじめるやり方だ。

四月のお天気の朝、ポニーテールが自慢の女の子といっしょに卵とシュリンプのサンドイッチを持って宇宙港を見学にいこう。宇宙港には、最新型の宇宙船が巨大なペンギンの家族みたいに並んでいるだろう。ぴかぴか光っているだろう。女の子を見学用の宇宙船に乗せてしまうまでは、ちやほやちやほやしよう。

「ポニーテールとかけてなんととく? 猫のトイレの砂ととく。そのこころはどちらも風にさらさらさら」
 
なんていいながら女の子のまわりをくるくる回ろう。女の子はうれしくなってにこにこするだろう。女の子はほめられるのが大好きだ。いいお天気が大好きだ。

見学用の切符を買ったら、空の色を映して真っ青なエアーチューブのなかを、ふたりでシューと滑って、コックピットに乗り込もう。ハッチを閉めたら、無重力ボタンを押してしまおう。なにもかもふわふわ宙に浮かぶだろう。女の子はあわててスカートの裾を押さえるだろう。ふわふわ宙に浮かんだら、さあ、もうこっちのものだ。それまでのにこにこ笑顔をひっこめて、大昔の花王石鹸のお月様マークみたいに意地悪な顔になって、
 
「よく見るそのリボン似合わないね」とか、「楽しそうに遊んでるけど宿題はもうすんだの?」とか、ものすごく意地悪なことを、いっぱい言おう。
 
女の子は悲しくなって、うつむくだろう。ふわふわ浮かんでうつむくだろう。女の子がうつむいたら、調子にのって、
 
「貧乏大臣おお大臣、貧乏大臣おお大臣貧乏。びんぼーだ。びんぼー。きみはびんぼーだ」と大騒ぎしよう。
 
ふわふわ浮かんだまま大騒ぎしよう。女の子はうつむいたまま肩をふるわせるだろう。そしたらその耳元で、
 
「白鯨モビーディックがエイハブ船長のあんよをぱくり」とか、「二十面相の水責めにあって小林少年と少年探偵団はあっぷあっぷ」とか、「インデアンのふんどし」とか、
 
思いつく限りのこわいことをいおう。あまりのこわさに女の子はこらえきれなくなって、涙をぽろりとこぼすだろう。そしたら….(「宇宙船で女の子をいじめる方法」より)

ホムホムの “いじめ” は、このあといっそう激しくなって、ついに・・・



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by yomodalite | 2014-06-30 08:24 | 文学 | Trackback | Comments(0)

さあ、気ちがいになりなさい (異色作家短編集)

フレドリック・ブラウン/早川書房

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さあ、気ちがいになりなさい 

♪~ (^_^)/ はぁーーーーーい

久しぶりに「あのひと」のことを忘れて小説を読むのだ。( ̄ε ̄;)

古典なんかじゃなく、とにかく面白いやつで、読み終わったあと英語原文でも確認してみようとか、そんなめんどくさいこと一切考えなくてもよくて、

ちょっぴり「んっ?」と思うようなタイトルだけど、コンパクトサイズのこじゃれた装幀だから、カバーなしで読んでいると、オシャレ系メガネ男子から「面白そうだね」なんて言われたりなんかしてw

これ一冊だけじゃなく「異色作家短編集」シリーズ第1作のロアルド・ダール、第3作のスタージョンなんかも一緒に本棚に並べてみると、カバーの色がグラデーションになっててキレイなので、いっそのこと全部コンプリートしたくなって、

中でもフレドリック・ブラウンは、

翻訳・星新一だし、

あーー面白かった。で、終われるようなフィクションで、

しかも、寝る前にサクッと読めるショートストーリー!

そんないいことしか思いつかない本書のタイトルにもなっている「さあ、気ちがいになりなさい」(Come and Go Mad)から、

目についた言葉を適当に引用。


なんのためにだ。

真実を知るためだ

おまえはだれだ

わたしはおまえの内部とも外部ともつかぬ所にいる。名前はもたない

では、おまえはどんな存在なんだ

『明るく輝けるもの』の使者だ

『明るく輝けるもの』とは、この地球そのもののことだ。この惑星の知性のことだ。太陽系の3つの知性のひとつ、宇宙の多くの知性のひとつだ。地球はそれなのだ。それが『明るく輝けるもの』と呼ばれている

わからない

いまにわかる。用意はできたか… 



(引用終了)


うーーーん、面白いっ!

でも、なんか、不思議と「あのひと」のことを思い出してしまうなぁ…ww

まっいいか(笑)

☆解説はブラウンが好き過ぎて全文暗記した作品もあるというマンガ家の坂田靖子氏!
◎[Amazon]さあ、気ちがいになりなさい

◎目 次
・みどりの星へ
・ぶっそうなやつら
・おそるべき坊や
・雷獣ヴァヴェリ
・ノック
・ユーディの原理
・シリウス・ゼロ
・町を求む
・帽子の手品
・沈黙と叫び
・さあ,気ちがいになりなさい


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by yomodalite | 2013-09-04 08:41 | 文学 | Trackback | Comments(4)
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これから初めてポーを読んでみよう。
もしくは、以前に有名な短編を読んでみたけどピンと来なかったという人に!

八木敏雄氏との共著もあり(未読)、現在日本ポー学会会長もされている、
巽孝之氏による一番新しい新潮文庫版は未読なんですが...

それ以外の、現在手に入る文庫本を比べて、ベスト文庫を2冊セレクト!

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短編ではなく「ショート・ストーリー」と言いたくなる、
ポーの現代性が、訳者のリズム感のいいスマートな訳でスムーズに味わえます!


◎訳者による解説(ほんのちょっぴりだけ紹介)

ポーは自分がどういう書き方をするのか、はっきり表明した人だった。自作への解説や、同時代のホーソンに対する書評などの中で、さかんに創作法を論じている。一口に言えば、理詰めの芸術派なのだ。目標ははっきりしている。ある効果に的を絞って、読者の心を強烈に打つ。

そうであれば作品として出来が良い。その効率が高いのは「恐怖」である。もし「美」を扱うなら、詩の方が韻律があるだけ有利だから、散文では「恐怖」の効果を期待する。また、読み出したら1回で読み切れる長さでなければ、効果は薄れる。(引用終了)

◎訳者あとがき「ポーとコーソン」(めちゃめちゃ大幅に省略してメモ)

19世紀のアメリカ小説をご存知の読者は、右の標題を見て「ポーとホーソン」の間違いではないかとお考えかもしれない。でも誤植ではない。「コーソン」である。ポーが作品を書いていたのは、日本式に言えば江戸時代の後期、ほぼ天保から弘化にかけての時代だった。(中略)

やや脱線した話として、じつはポーを訳しながら、話の運びが落語調だと思うこともあった。枕が長くて怪談物の得意な噺家とでも言おうか、まず一般論、抽象論として、世間の通例を話してから、ようやく本題に入っていく。この枕の部分が訳しにくい。(中略)

明治26年、篁村の向こうを張って、より原文を尊重した『黒猫』は出た。訳者は内田魯庵。この人も下谷の生まれだが、下訳は使っていない。1人で読んで訳したという意味では、これが一匹目の猫である。篁村では「私」だった語り手が、魯庵では「余」になって、まるで漢文を読み下したようなリズム感で書いている。

誤訳がないわけではないが、篁村訳よりは恐怖が内面化して感じられる。ほぼ独学だったという魯庵の英語は、相当のレベルにあったのだろう。いや、慶応が明治になる前に生まれたのだから、訳した当時は二十代半ばではないか。これはすごい。

この魯庵はもちろん、篁村の下訳者にしても、かなりの読解力があったことは間違いない。どんな辞書を使ったのだろう。ろくな資料もない時代に、よくぞここまで、と思っただけで、もう私には明治人の誤訳をあげつらう気持ちはなくなる。

この人たちの系譜に連なる仕事を自分でもしたのか、今度の猫は21世紀の一匹目ではないのか、と思うと泣きたくなるほどうれしい。にゃーお。(引用終了)

・黒猫
・本能VS.理性----黒い猫について
・アモンティリャードの樽
・告げ口心臓
・邪鬼
・ウィリアム・ウィルソン
・早すぎた埋葬
・モルグ街の殺人

◎[Amazon]黒猫/モルグ街の殺人[光文社古典新訳文庫]小川高義(翻訳)


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『アッシャー家の崩壊』『黄金虫』『リジーア』… などのベスト!

八木敏雄氏による滑らかな翻訳だけでなく、各作品の冒頭の解説も訳注も、
日本一のポー研究家ならでは!
扉絵には、当時のイラストも使用されています。

(上記の光文社古典新訳文庫と重複する作品は「アモンティラードの酒樽」のみ)

・メッツェンガーシュタイン
・ボン=ボン
・息の紛失
・『ブラックウッド』誌流の作品の書き方ある苦境
・リジーア
・アッシャー家の崩壊
・群集の人
・赤死病の仮面
・陥穽と振子
・黄金虫
・アモンティラードの酒樽

◎[Amazon]黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇 (岩波文庫)
____________

下記は、八木敏雄氏の著作の個人的メモ。

・破壊と創造 エドガー・アラン・ポオ論(南雲堂 1968)
・ポー グロテスクとアラベスク(冬樹社 1978)
・アメリカの文学 志村正雄共著(南雲堂 1983)
・アメリカン・ゴシックの水脈(研究社出版 1992)

(編著)
・アメリカ! 幻想と現実(編)(研究社 2001)
・エドガ-・アラン・ポーの世紀 ― 生誕200周年記念必携 巽孝之共編(研究社 2009)
・マニエリスムのアメリカ(南雲堂 2011)

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by yomodalite | 2013-08-09 09:28 | 文学 | Trackback | Comments(0)
こちらは、作家の手紙を紹介した本ではなくて「手紙」という形式でのアンソロジー。36人の作家による、個性全開の手紙文が楽しめます。

テーマは「別離」「恋」「断り」「ファンレター」など、実際に役立ちそうなものから、役立ちそうにないと思われて、意外に「使えそう」なものから、絶対に使えないけど、面白いものまで、さまざまで、ひとことで言えば、本書は「とても素敵な本」です。

最近、古典ばかり読んでいるせいか(古典の感想ってブログに書けないね)、参加されている作家の方には、私にとってなじみのない方も大勢いましたし、一般的にも知名度に差があるラインナップになっていると思うのですが、

本書での内容の面白さは、知名度に比例しないというか、むしろ、そういった知らない作家さんの個性を、本書で知ることが出来ることも、楽しみのひとつだと思いました。

きっと読みたくなる36人の「作家の手紙」は、以下。



「別離の手紙」
◎去って行った恋人に贈る手紙/小池真理子
◎人間でないことがばれて出て行く女の置き手紙/峰飼 耳

「恋の手紙」

◎ある女子より。牛乳配達のお兄さんへ。/中村 航
◎タイプだと思った相手に交際を申し込む手紙/中村うさぎ
◎霧の流れる何処かの都市(きみ)へ/菊池秀行

「断りの手紙」
◎一方的に自作小説を送りつけてきたファンへの手紙/奥田英朗
◎相手の妻が読むことを想定して、
同窓会で再開した初恋の男からの誘いを断る手紙/新津きよみ
◎読者からの交際を申し込まれたが、事情があり、それを断る手紙/盛田隆二
◎申し込まれた借金を断る手紙/楡 周平

「ファンレター」
◎永遠なるエヴァ・バルトークさま/逢坂 剛
◎エイリアンさまへの手紙/五條 瑛
◎真偽は定かではないが、巨人軍監督就任を打診されているという
噂の原辰徳氏への手紙/日向 蓬

「苦情の手紙」
◎隣家の庭から張り出した小枝の苦情をいう手紙/森 絵都
◎中元に近江牛の味噌漬けを届けてくれる、亡父の友人に、
それが毎年腐っているのだと思いきって教える手紙/姫野カオルコ

◎マンションの管理人が住民に騒音を注意する手紙/酒井順子

「催促の手紙」

◎友人に貸した一万円を返してもらうための手紙/有栖川有栖

「お詫びの手紙」

◎隣の人にピアノの音がうるさいと言われた時のお詫びの手紙/近藤史恵


「頼みごとの手紙」
◎親しくしていただいている(と自分が思っている)編集者に宛てた、
借金申し込みの手紙/角田光代
◎現住所もわからない漫画家の元妻へ、
「子供に会わせてほしい」と伝える手紙/枡野浩一

「励ましの手紙」
◎デビュー前夜の自分へ送る手紙/伊藤たかみ
◎リストラされた友人を励ます手紙/大島真寿美

「案内の手紙」
性転換手術を受けたいあなたへ/モモコ(訳:池上永一)

「古い知人への手紙」
◎友人に離婚を知らせる手紙/佐藤正午
◎三十数年前、コーヒー屋を開くと言った先輩への手紙/又吉栄喜
◎本屋でオレの本を見つけて、「もしかして?」というメールを送ってきた、
二十三年前の高校の部活の後輩への返事/素樹文生
◎旅立つ前に久しぶりにばったり会った昔の彼女への手紙/西田俊也
◎植物転換手術を受けることを決めた元彼女へ、
思いとどまるように説得する手紙/星野智幸

「哀悼の手紙」
◎亡き友への手紙/北方健三
◎亡き兄を送る手紙/歌野晶午
◎遠い日に逝った祖父へ/野中 柊
◎天国の兄貴へ/江上 剛
◎若かりし日は男前だったじいちゃんへの手紙/古処誠二
◎亡き父への手紙/小林紀晴

「大きなあなたへの手紙」
◎Hydrodamalis gigas とPinguinus imapennis
巨大人魚と太っちょバードへ/川端裕人

「未来への手紙」
◎卒園する息子へ/松久淳
◎十三歳になった未来の孫へ、日記とともに託す手紙/豊島ミホ

◎読書メーター
◎『作家の手紙』角川文庫(アマゾン)
________________

[BOOKデータベース]催促、苦情、お願いごと。とかく手紙は、書きにくい。言いにくいことをうまく伝える方法は?後腐れないような言い回しは?目上の人に失礼のない書き方は?誘いや借金のお願いをやんわりと断ったり、落ち込んだ友人を励ましたり、亡くなった人を思い起こしたり。思いの丈を文字にのせて、伝えよう。36人の作家がオリジナリティ溢れる短い手紙文を執筆。文章と創作のプロに学ぶ、手紙の見本帳。
角川書店 単行本 (2007/2/28) 文庫(2010/11/25)





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by yomodalite | 2011-09-28 10:20 | 文学 | Trackback | Comments(0)

廃墟建築士/三崎亜記

廃墟建築士 (集英社文庫)

三崎 亜記/集英社

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タイトルに惹かれて、はじめて三崎亜記氏の作品を読みました。

建物をテーマにした4つの短編集は、どれもシュールにして、純文学の香りがするものばかりですが、一番後に書かれている『蔵守』が、もっとも完成度が高いと感じました。

ちょっと毛色が変わった小説を読みたいと思っている方に。

『七階闘争』 生後まもない赤ん坊を残して主婦が惨殺、いじめを苦にした中学生の飛び降り自殺、火遊びが発端になった火事で幼い兄弟が犠牲になり、独居老人は腐乱死体となって発見される。。それらの事件に一つだけ共通していたのは、それが全てビルの七階で起こったという点。市は七階を撤去しようという決議をし、七階に住む僕は、同僚の並川さんに誘われて反対運動に参加することになったが…七階撤去反対住民たちは言う。「世界最初の七階は、地面の上に直接造られていたそうですよ」

『廃墟建築士』 私が廃墟に魅せられたのは、一つの廃墟との運命的な出会いがあったからだ。建築を総指揮したワイクマール卿の「廃墟を感じるには、時間軸と平面軸の尺度を自らの内に持つことである」という理念は、氏が故人となった現在でも二百年以上経った今日でも、厳然と守られている。
「廃墟とは、人の不完全さを許容し、欠落を充たしてくれる、精神的な面で都市機能を補完する建築物です。都市の成熟とともに、人の心が無意識かつ必然的に求めることになった「魂の安らぎ」の空間なのです。

『図書館』 私が駅から程遠い片田舎のこの図書館に来たのは、夜間開館の準備をするためだった。本が“野性”に戻った姿を皆に見せるためには、図書館“調教”が必要なのだ。

『蔵守』 私は、自分の機能のほとんどを「守る」ことに限定して、ここに存在し続けています。意識を「私」として認識される「建物」の形に同質化させ、隅々まで守る意志を張り巡らせています。
_____________

【BOOKデータベース】ありえないことなど、ありえない。不思議なことも不思議じゃなくなる、この日常世界へようこそ。七階を撤去する。廃墟を新築する。図書館に野性がある。蔵に意識がある。ちょっと不思議な建物をめぐる奇妙な事件たち。現実と非現実が同居する4編収録の最新作。集英社 (2009/1/26)



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by yomodalite | 2009-10-15 22:08 | 文学 | Trackback | Comments(0)

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

清水 義範/講談社



清水義範氏の作品を読むのは久しぶりです。なんだか急にお名前を思い出して読みたくなり、最初に選んだのが本書。確かずっと前に読んだはずなんですが、初読のときと同様に楽しめました。タイトル作を著者は、小説集のあとがきで「虚構」だと述べ、翌年に発表したエッセイ「我が『必勝法』と共通一次試験国語問題」(講談社刊『パスティーシュと透明人間』所収)において、「出鱈目必勝法」だと書いていますが、1988年度大学共通一次試験の「現代文」の問題において、「長短除外の法則」を検証したところ、11問中8問がこの法則に当てはまったそうです。

実際の入試にも多大な影響をあたえたタイトル作以外も、いずれも名作揃いの短編集。

【内容】

『猿蟹合戦とは何か』
太宰治の『お伽草子』には、なぜ「猿蟹合戦」が書かれていないのか?という謎を探る。。。

『国語入試問題必勝法』
国語入試問題の本当の解き方とは? 

『時代食堂の特別料理』
うらぶれた小さな商店街の裏道にひっそりと開店する「時代食堂」。そこでは、客は皆“特別料理”を注文する。。。

『靄の中の終章』
腹が減って目が回りそうである。起きてからかなりの時間がたつというのに、まだ朝食を食べていないのだ。加津子さんは私に食事をさせない気らしい・・・

『ブガロンチョのルノワール風マルケロ酒煮』
まず、ブガロンチョのもも肉を1枚用意する。ブガロンチョというのは和名をかかし鳥という鶏の倍くらいのサイズの鳥で、原産地は・・・

『人間の風景』
老人会の役員で、元新聞記者の新実は、仲間を誘ってリレー小説を書いた。小説家の佐伯はそれを見てほしいと依頼されるが・・・
_____________

【出版社/著者からの内容紹介】ピントが外れている文章こそ正解!問題を読まないでも答はわかる!?国語が苦手な受験生に家庭教師が伝授する解答術は意表を突く秘技。国語教育と受験技術に対する鋭い諷刺を優しい心で包み、知的な爆笑を引き起こすアイデアにあふれたとてつもない小説集。吉川英治文学新人賞受賞作。解説・丸谷才一 講談社 (1990/10 初版1987/10)



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by yomodalite | 2009-10-14 18:05 | 文学 | Trackback | Comments(0)

実験小説 ぬ (光文社文庫)

浅暮 三文/光文社




実験的な異色短編が27編も収録された魅力的な短編集。

浅暮氏の作品を、初めて読むという体験には、もしかしたら間違いだったかもしれない選択ですが、名刺替わりに頂くには、充分過ぎるほど個性的な作品を揃えた珍味ばかりのフルコース。

しばらくは立ち寄れないと思いますが、確実にある「分野」で強烈にマーキングされた、という感じ。

手練の小説読みの方へ
____________

【BOOKデータベース】交通標識で見慣れたあの男の秘められた、そして恐ろしい私生活とは?(「帽子の男」)。東京の荻窪にラーメンを食べに出かけた哲人プラトンを待っていた悲劇(「箴言」)。本の世界に迷い込み、生け贄となったあなたを襲う恐怖(「カヴス・カヴス」)。奇想天外、空前絶後の企みに満ちた作品の数々。読む者を目も眩む異世界へと引きずり込む、魔術的傑作27編。光文社 (2005/7/12)
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by yomodalite | 2009-07-10 14:38 | 文学 | Trackback | Comments(0)

バレンタイン/柴田元幸

短篇集 バレンタイン

柴田 元幸/新書館




ポール・オースターや ジョン・アーヴィングなどアメリカ文学の翻訳者として人気の著者による初めての小説集。長めの休日に読むのにぴったりの本書は、いわゆる「奇妙な味わい」の短編集なのですけど、それらとちょっぴり異なる点は、著者の「いい人」感でしょうか。不思議な妄想がスパークする14編の短編集は装幀も素敵でたったの千円。

短編集好きの人なら買いでしょう。

◎エキサイトブックススペシャル
柴田元幸インタヴュー


【目 次】
バレンタイン
映画館
期限切れ景品点数券再生センター
卵を逃れて
妻を直す

ケンブリッジ・サーカス
雨中のゲートボール
午前三時の形而下学
夜明け
書店で
ウェイクフィールドの微笑
夢じゃないかしら
ホワイトデー
____________

[MARCデータベース]路地へ入っていくと、小学生の男の子が目の前を歩いているのが見えて、参ったな、と君は思う。参ったな、あれは僕じゃないか、と君は思う…。ふっと開く異次元の扉。日本の小説にはちょいと例がなさそうな短篇集。 新書館 (2006/6/1)

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by yomodalite | 2009-05-05 23:26 | 文学 | Trackback | Comments(0)

辰巳八景 (新潮文庫)

山本 一力/新潮社




山本一力さんを読むのは今回がお初。大分前なんですが、書店の時代小説フェアと称する売り場で見た、一力さんの顔写真(文庫の著者近影と同じもの)がすごく印象に残っていました。というのも、私、お顔を拝見すると同時に「星座」を考え、大雑把にどんな人かという分類分けをするのが癖になっているのですが、一力さん、星座はわからないものの、お顔は「番頭さん」以外の分類を許さないまでの「番頭」顔ではないですか!

時代小説はあまり読んでいないのですけど、吉川英治、岡本綺堂、山本周五郎、柴田錬三郎、池波正太郎、藤沢周平、、、みなさん、商売向いてなさそうな方ばかりなのに、山本一力さんだけは前世でも「商人」という感じがするのは、私だけでしょうか?

結構大店の、お金のことはすべて任されています、という感じの上にも下にも信頼の厚い番頭さんのように「そろばん」の似合う、このお方は一体どんな小説を書かれているのか、興味を持ちつつも、ここは慎重に(?)、ざっくりと近所と言えなくもない「辰巳」を舞台にした短編集から、読んでみることに。

「永代橋帰帆」ではろうそく屋、「永代寺晩鐘」はせんべい屋と米屋、「仲町の夜雨」では不妊に悩む鳶のおかみが主人公ながら、当時の店賃や両替事情を詳しく語り、「木場の落雁」では米相場や商家と役人とのつきあいを、「佃町の晴嵐」では飛騨春慶塗の老舗横田屋、薬種問屋、船大工、材木商が登場し、弔慰金や架橋代、両替商の年利や運用益など、「洲崎の秋月」は三味線屋、「やぐら下の夕照」では飛脚の隆盛と不景気による危機への対処、「石場の暮雪」では、金・銀貨から通過への移行(天保通宝)、絵草紙作家と版元など、江戸を彩る商いの利益のツボを明らかにしていて、著者の「商売好き」な特徴が良く出ています。

それぞれの主人公である、せんべい屋の娘おじゅん、鳶頭の妻おこん、大店に行儀見習に上がった大工の娘さくら、仲町の医者、辰巳芸者、女履物職人などの心情を、ここまで金銭を絡めて著わした小説はめずらしいように思います。

人情ドラマを期待する向きには、多少物足りないかもしれませんが、人情以外の部分の筆の乗りに著者の長所が良く出ているなかなか面白い短編揃いです。

★★★☆

ただ一点疑問を呈せば、「洲崎の秋月」で、木場の材木商のお座敷に呼んだ辰巳芸者が全員黒羽二重の羽織を着ているというのは、どうなのかな〜。長唄の師匠に対する礼儀かとも思うけど、筆頭芸者以下すべてが「羽織」というのは、辰巳芸者=羽織芸者という著者の通念からきているのではないでしょうか。浜町や柳橋芸者が、辰巳芸者を「たかが羽織芸者」と見下しているあたりも、かなり疑問です。深川町人である著者ゆえの誤解ではないかな〜(?)

それと、本著は唐仁原教久氏のイラストによる文庫の装幀の方が格段にイイですね。
____________

【BOOKデータベース】八幡様に朝日がのぼり、大川端に夕陽が沈む。元禄、天明、文化、天保、時代は移るもそれは変わらず、お天道様が見守る下で、様々な人生が織り成されていく。ろうそく問屋のあるじ、茂助の悔い。煎餅屋の娘、おじゅんのかなわぬ恋。辰巳芸者、厳助の意地…。江戸は深川、辰巳に花咲く、八つの人情物語—一力節全開の名短編集。 (単行本当時)

手をつないだわけでもない。好き合っていたのかもわからない。それでも祝言を挙げると知ったあの時、涙がどうしても止まらなかった…。遠い日の思い人と再会する女性の迷いと喜びを描く「やぐら下の夕照」。売れない戯作者がボロ雪駄の縁で一世一代の恋をする「石場の暮雪」。江戸深川の素朴な泣き笑いを、温かで懐かしい筆が八つの物語に写し取る。著者の独壇場、人情の時代短編集。 新潮社 (2007/9/28、単行本初版2005/4/21)



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by yomodalite | 2009-03-04 13:19 | 文学 | Trackback | Comments(0)

やむにやまれず 中年シングル生活 (講談社文庫)

関川夏央/講談社

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中央区の図書館が、今年は24日で終了ということで、年末、お正月の活字ギレに不安を感じ、終了間際に慌てて飛び込んだ。本著は、蛍の光が流れる中、内容も見ずにとにかく手に取った中の一冊。

いしいひさいち氏のイラストによる表紙から、ちょっぴりユーモアの効いたエッセイ集かなと思っていたのだけど、『任侠映画講義』『「統一」と「結婚」』『山田先生』『講演「“おフランス”について』の以外の14話は創作短編集。

1編ごとに、いしいひさいち氏による関川氏の大学生活をパロディにした4コマ漫画が扉についているというブレイクタイムは、意外なほど(?)洒落たショートストーリーにも拘らずオシャレにまとめさせないぞ。という編集サイドの考えか、著者がシャイなのか、いすれにしても著者の日頃の人徳のおかげでしょう。

関川氏の単行本は、今年は『家族の昭和』に続いて2冊目。若い頃に数々のサブカルチャー系の雑誌で名前を拝見していたものの、単行本の著者として出会ったのはつい最近。本著も気軽に手に取ったのに想像以上の作品でした。関川氏は自身が団塊の世代であることを何度も卑下しているのだけど、関川氏と同世代である、いしいひさいち氏も、南伸坊氏も、本当にしぶとくイイ仕事を続けていて、かつて新人類と言われた我が同世代は本当ダメだなあと思う。

本著の装幀は決して女性好みとは言えないように思うのだけど、現在アラフォー突入間近の女子がこれからの人生を考えるとき、読んでみるといい本だと思います。疲れとどうつきあっていくか?が、やっぱ今後の重要な課題ですから。。恋愛とか元気とか勇気では40代は生きられないからなぁ。

第1話/通俗だけど泣けちゃう
第2話/ネコにだって過去はある
第3話/「赤いニシン」の物語
第4話/をみなごに花びらながれ
第5話/任侠映画講義
第6話/ミラボー橋
第7話/時代の刻印
第8話/夏のにおい
第9話/「統一」と「結婚」
第10話/ネコの命日
第11話/秋
第12話/夜のカフェテラス
第13話/ホテル・レイクビュー
第14話/エイジング
第15話/山田先生
第16話/講演「“おフランス”について」
第17話/三月十五日の出来事
第18話/やむにやまれず嘘をつく
__________

【出版社/著者からの内容紹介】まことに残念なことではあるが、ネコにだって過去はある。人間にだって記憶はある。人生の秋?をつぶやく18の物語

「中年シングル生活」その後の好エッセイ!
40歳にして惑わずどころか50歳にして日々はますます混乱する。大人のせつなさを虚実ないまぜに描いた司馬遼太郎賞作家の最新エッセイ。マンガ/いしいひさいち

ひとりものには自分の客観的評価ができない。心で戒めてはいるのだが、どこかまだ青年のつもりでいる。誠意あふれた忠告、というやつを受取る機会がないからだ。
見かけは若いわねえ、あなた、といってくれた。私は少し寂しく思った。若く見えるのが寂しいのか、そういわれて気をよくしてしまう自分が寂しいのか。——(本文より)講談社 (2001/09)

【文庫本裏表紙より】時は、過ぎてゆく。何かを成し遂げても何ひとつなさなくても。青春を遠く離れ、その間に何かを得、多くを失った。そんな記憶の断片からなる18の物語は、いまだ胸に残る希望のかけらと諦観の間で揺れている。豊かなユーモアやペーソス、やせ我慢と自嘲、感情と論考、それらに昭和の匂いが織り込まれた上質の短編集。


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by yomodalite | 2008-12-26 21:38 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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