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ヒタメン 三島由紀夫が女に逢う時…

岩下尚史/雄山閣



〈ヒタメン〉とは〈直面〉と書き、能楽の舞台で、面を着けずに舞うことを指すそうですが、〈ひたむきな男=ヒタメン〉という多くの人が思いつくイメージともズレてはおらず「三島の恋」に相応しいタイトル。

岩下尚史氏のことは『芸者論』で衝撃を受けて以来、『名妓の資格』『見出された恋』も、すべて読んでいて、もし、2009年6月25日さえなかったら、私は『芸者論」について、まだ、あれこれ考えているはずだったのにと、よく思うぐらい刺激を受けている方。

『名妓の資格』も『見出された恋』も、ブログにも書いておきたかったのだけど、あれこれ思うことが多すぎたり、どう書いていいのかわからないこともいっぱいあったりで、つい先延ばしにしてました。

本書は『見出された恋』では、実名を伏せられていた三島の恋人「満佐子」を、6世中村歌右衛門をお兄様と呼び、その楽屋に自由に出入りしていた、赤坂の大料亭「若林」の娘(旧姓)豊田貞子さんと記し、三島との恋愛話も、当時の東京のことも、詳細に語られているとても貴重な本。

三島の恋人「豊田貞子さん」は、猪瀬直樹氏の『ペルソナ』では、X嬢として登場した方なのですが、本書は、猪瀬氏のようなジャーナリスティックな目線とは真逆の趣で、通人の世界をインサイダーとして描いています。しかし、奥底に「ギラリ」と光る視点が見え隠れするところが、逆に、、、という感じは、岩下氏の本を読むといつも思うこと。

TV出演時の個性的なキャラもまた、三島由紀夫や、かつての橋本治と通じておられるような気がして、そのミステリアスな魅力から目が離せません。

◎[参考サイト]「何か決定的なもの」をめぐって。井嶋ナギ
◎[参考サイト]指田文夫の「さすらい日乗」
◎[参考サイト]岩下尚史『ヒタメン』――半玄人の告白(阿部重夫)

◎[関連記事]『芸者論』について(桜庭一樹「読書日記」)

内容紹介/若き日の三島由紀夫の愛を一身に受けた女性と、そのふたりの恋を暖かく見守った女性。 ふたりの女性の証言から浮かび上がる三島由紀夫の素顔とは・・・。 これまで幾多の伝説に塗り固められた来た三島由紀夫に対する先入観は揺らぎ、驚きとともに新鮮な感動に包まれる。〈ヒタメン〉とは〈直面〉と書き、能楽の舞台で、面を着けずに舞うことを指す。ふたりの女性が語る、誰も知らない三島由紀夫の、もうひとつの顔を御覧ください。雄山閣 (2011/12/9)



彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)

沼田 まほかる/幻冬舎



著者は、僧侶や建設会社経営を経て、50代で作家デビューしたという経歴の方なのですが、本書は、その経歴すべてに深く納得したくなるような作品。

恋愛小説であり、ミステリでもあり、純文学でもあり、絶望的に暗く、激しく切ない。

著者の作品は、本書が初めてなので、帯コピー “限りなく不愉快、でもまぎれもない最高傑作” の「最高」かどうかはわかりませんが「傑作」だと思いました。

読了後、このタイトルについて考えてみたんですが、、

もし、これを書いたのが才能ある30代の作家なら「彼女がその名を知らない鳥」にしたんじゃないかと、、でも、そこをきっちり「鳥たち」と「複数形」にしちゃうところが、スゴいというか、『嵐が丘』なんじゃないかと思ったのですけど、、どうなんでしょう?

☆安定した精神状態のときに!

◎[参考サイト」なんか気になる
◎[参考サイト」村雲式

[内容]八年前に別れた黒崎を忘れられない十和子は、淋しさから十五歳上の男・陣治と暮らし始める。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治。彼を激しく嫌悪しながらも離れられない十和子。そんな二人の暮らしを刑事の訪問が脅かす。「黒崎が行方不明だ」と知らされた十和子は、陣治が黒崎を殺したのではないかと疑い始めるが…。衝撃の長編ミステリ。幻冬舎(2006/10) 文庫版(2009/10)

[沼田まほかる]1948年大阪府生まれ。主婦、僧侶、会社経営などを経て、初めて書いた小説「九月が永遠に続けば」で、第五回ホラーサスペンス大賞を受賞。


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by yomodalite | 2012-05-09 10:33 | 読書メモ | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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