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ズタボロ/ゲッツ板谷

ズタボロ (幻冬舎文庫)

ゲッツ 板谷/幻冬舎



『ワルボロ』『メタボロ』に続く、待望の板谷家サーガ第3弾『ズタボロ』

大切な人を守らなくてはならない!そう思えば思うほど、大切な人への思いに忠実すぎる少年は、そのデッカい愛に翻弄され、終わりのない暴力の世界に、どこまでもどこまでも進んでいく。。

(下記の「青字」はAmazonレヴューから)

発売後10日余にして、既に、Amazonレヴュー9件。私と同じく、続編を待っていた人が多かったのでしょう。暴力的なものは苦手で… という女子のレヴューだけでなく、ここまでのレヴューすべてに共感し、みんな「ゲッツ」のこと愛しているんだなぁと思って、その「愛」にも、もちろん共感してしまう。確かに『ズタボロ』は、

小説は読んだ事ないとか
しばらく活字から遠ざかっていた …


という人にも読めるし、楽しめるかもしれない。でも、

『ワルボロ』『メタボロ』を読んでいない方でもすぐに入っていけると思います。
「ズタボロ」からいきなり読んでも凄く楽しめる作品だと自分は思いました。


に関しては、これまで、そこそこ小説を読んできた人だったら、
絶対に最初から、この自伝的小説を読んで欲しい。

下記は本書の「プロローグ」から(大幅に省略して引用しています)

このシリーズの2冊目『メタボロ』を書いてる時にオレは突然、脳出血を患った。ある日の昼、原稿を書きはじめたら、ちょっと前まで7時間も眠っていたというのに、またメタメタ眠くなってきたのである。で、しょうがないので再びベッドで横になって目を覚ましたら、あろうことか、2ヶ月も経っていたのだ。

そう、その間にオレは脳の血管が切れ、意識を無くして病院にズッーーと入院していたのである。

人間は頭の血管の肝心なところが切れると、まず顔が曲がってしまう。そう、目や鼻や口が定位置にあるのは、実はいつもその位置を脳が管理しているからなのだ。が、その機能が壊れてしまったオレの脳は、その仕事を放棄してしまった。すると途端に口が右に曲がり、それにつられるようにして鼻やアゴまでも右に大きく曲がっていた。目も左右2つの高さが微妙に違い、しかも焦点が全く定まっていなかった。

ウチの家族は病院の先生に「コーイチさんは、文章を書く仕事に戻るのは難しいと思いますね」と言われていたらしい。

が、ある日、突然オレの意識と記憶が戻ったのである。オレの目、鼻、口の場所は元に戻し始め、日常会話も大分まともになってきたが、日本にある県を全部書けという問題には秋田、山形、熊本の3県しか書けなかった。

それでも2カ月後には、オレは短いエッセイを書き、週刊の連載を始め、途中だった『メタボロ』も書き始めた。オレは、自分が完全復活したと思った。これからまたゲラゲラ笑えて、時には少しシリアスな文章もガンガン書いていけるという自信も戻ってきた。

が、それは甘かった…。自分には高次脳機能障害という、その中でも主に記憶障害が残っていて、いくら文章を書いても次々と思い出せない人や物の名前が出てくるのである。途中で何度も(あれ… あの名前何だったっけ?)とつかえていると、早い話が全然話に乗っていけなくなるのである。

そう、オレは文章をリズムで書く方なので、ポンポンと色々なフレーズが飛び出してきて、それを文章に組み立てているうちにドンドン筆が止まらなくなり、また、自分でも笑ってしまうようなギャグが所々でボコン、ボコン!っと出てくる。が、こうも色々な名前が思い出せないと、そのターボが全然かからないのだ。

そう、オレの脳は85%ぐらいは回復しているのだが、文章を書く作業というのは、その残りの15%を主に使うのである。また、友だちと話していても前のようにギャグが出なくなり、だから電話で話す機会も随分減った。

そして、脳出血を患ってから4年が経った時、オレはネットで自分と同じく脳卒中系の病気で倒れたが、見事に復活している人を調べた。が、本格的に倒れた後、以前と変わらなく再び羽ばたけているのはミスチルの桜井くんぐらいで、自分と同じく脳の血管が切れ、しかも、丸2ヶ月も意識と記憶を失ったという物書きは、遂には見つからなかった。

が、オレは、このシリーズで “ある事” をアピールするために最後まで文章を書かなくてはいけない義務がある。

いや、もっとわかり易く言えば、これがプロとして文章を書く最後の仕事になっても構わないから、オレは “ある事” を一本背負いしなければならないのだ。


果たして、今のオレにソレができるのか…。

ま、本来なら4年前に、脳出血で1度終わった才能である。納得のいく内容が書けなくても、それは仕方のないことだ。

でも、オレは書く。とにかく、書いていくっ。だから、まず最初に叫ばせてくれ。

うををををををををををををを〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!

(引用終了)


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徐々に笑いよりも、涙、そして暴力をも加速してきた「ボロ」シリーズですが、本作は今までよりもさらに笑いが少なく、ゲッツ氏独特のリズム感もあまり感じられません。

でも、物語が終わりに近づくにつれて、やっぱりドンドンと惹き込まれていって、最後には泣かずにはいられなかったし、今、プロローグを書き写しているときも、何度も、涙が込み上げてきました。

そしてこの「ズタボロ」は恐怖のプロフェッショナルも現れて暴力描写もキツイのに作者のはにかみと品、周囲の人との愛の力で、いがらっぽい読後感を持つ事などまるで無い。若い人にも読んでもらいたい。「崖から転がり落ちそうになった子を捕まえるライ麦畑の捕まえ役」ホールデンと同じ慈しみのある人が記した青春の書だと思うから。

激しく同意。。まだ、コーちゃんに出逢っていないひとは、
今すぐ『ワルボロ』から是非!!


☆著者によせられた「コメント」も熱いっ!!!
◎[ゲッツ板谷の波風日記]新刊「ズタボロ」、文庫版「メタボロ」発売!!

◎関連記事『ワルボロ』
◎関連記事『メタボロ』

◎Amazon『ズタボロ』

☆真紫のスーツに10センチのシークレットブーツを履き、韓国のカジノで2億円負けた日の翌日、その2億円をやはりギャンブルで取り返すというドラマチックかつ超絶下品な「竹脇」が車の中でいつも聴いているオペラ『道化師』の “衣装をつけろ” のアリア。

Pagliacci - 道化師(Daisuke Takahashi)





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by yomodalite | 2012-10-24 12:31 | 文学 | Trackback | Comments(0)

昭和史の深層ー15の争点から読み解く(平凡社新書)/保阪正康

今年5月に出版された新書。
アマゾンに書評が一件もなくて驚いたのだけど、これは「良書」だと思います。

タイトルにある15の争点は以下。

1章 満州事変前後の国家改造運動
2章 2.26事件と新統制派
3章 日中戦争と現地解決.不拡大
4章 南京事件
5章 太平洋戦争とその歴史的本質
6章 独ガス、原爆、大量殺戮平気を許した論理
7章 北方四島、北海道占領を巡るドラマ
8章 敗戦と向き合うということ
9章 東京裁判が真に問うこと
10章 占領期に見る宰相の資質
11章 占領は開放化抑圧か
12章 強制連行の実態を考える
13章 沖縄戦の本質を見つめる
14章 慰安婦問題にみる戦場と性
15章 昭和天皇の歴史的役割
おわりに 日本人の意識はどう変わったか

いずれの争点も、それぞれ、熱のこもった本が何冊も出版されている内容ですが、昭和史研究で菊池寛章も受賞している著者だけに、各争点の議論すべてによく通じていて、新書のボリュームにふさわしい争点の簡潔なまとめ方がされている。

また各論併記による、争点の書き出しではなく、冒頭で、著者の考えが明確に示されている点や、大学関係の研究者にありがちな、文章の内容をできるだけ複雑にすることが、頭がイイことだと思っているような頭の悪そうな文章でなく、著者が日頃行っている、講演や、市民講座、カルチャーセンターなど、お客を前にしての講座が生きている、わかりやすい文章も希少。

ここで挙げられた争点に関しては、論者の幼児性ばかりが目につく不毛な論争に読めば読むほど、疲れがたまるものが多かったのですが、本書の、ここから始めれば...というような著者の姿勢には、意見に同意するしないに関わらず、議論のたたき台としても、また、多くの取材とデータ収集に裏打ちされた説得力にも、健全な精神が感じられました。
______________

「BOOK」データベース/昭和三十年代の「昭和史論争」を初め、これまで、昭和史をめぐっては様々な論争が繰り広げられてきた。今日でも、国を超えた歴史共同研究が進む一方、個別のテーマに関して、依然として対立点が存在する。これまでの論争は果たして本質的なものであっただろうか?15のテーマに関して、史実を整理し、より本質的な問題点を提示する。平凡社 (2010/5/15)





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by yomodalite | 2010-07-31 23:25 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(2)

メタボロ/ゲッツ板谷

メタボロ (幻冬舎文庫)

ゲッツ 板谷/幻冬舎



本書は、前作『ワルボロ』の続編。コーちゃん、ヤッコ、メギちゃん、小田嶋、ドッチン、キャーム、錦組中学生6人は、高校生になった。どんなに大きな敵でも怖くないと思えた中学生活から一転、「立川極道」による、厳しいヤキ入れは、それぞれの心を蝕んで行った。ヤッコに憧れ、意地と友情と男気で、ぶっとい筋を通そうと足掻くコーちゃんは、ヤッコの敵を討つ為に“やくざ”になろうとする。

たぶん、ほとんどの読者は、奇跡の爆笑本『板谷バカ三代』により、ゲッツ板谷ワールドに引き込まれていると思われますが、本書『メタボロ』により、あれは板谷家サーガの、ほんの序章でしかなかったことに気づくはず(ホントか?)

◎『ワルボロ』エピソード1
◎『メタボロ』エピソード2
◎『ズタボロ』エピソード3 ☆次回作
........................................
◎『板谷バカ三代』エピソード?
◎『やっぱし板谷バカ三代』エピソード?

頭が良くて、美少年だった、少年ゲッツが、ヤッコに会ったことから不良へ、そして、愛する母親が、自らの生い立ちもあり、とことん嫌っていた“やくざ”への道へと歩もうとする。

命懸けで通そうとしている“筋”とは?母への想いと、その母の壮絶な物語....板谷家サーガの中で、本書は今までの中では、一番暗く、爽快感はないけど、挫折と閉塞感はリアルに描かれている。そして、強くなるために、毎日筋トレをしていた、コーちゃんが、どうして体脂肪率40%となったのか、物語は、まだ始まったばかりなのかも。。。

「まさに不良少年の部屋って感じだな..... 」(中略)

植木にビビっていると思われるのも癪だったので、思い切って奴の家を訪ねることにしたのだ。「で、立川獄門では、何か愉快な事件とかは起こってねえのかよ?」
ラジカセからマイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』のダークなイントロが流れてきたと同時に、そんなことを訊いてくる植木。愉快なことなんて何一つなかった.....。(後略)

2時間後、オレたちは新宿歌舞伎町を歩いていた。(中略)コマ劇場の道を道を挟んだ真向かいにあるビルの入口へと進み、エレベーターに乗り込むと真横に『ギリシャ館』という小さなシールが貼ってある7階のボタンをゆっくりと押した(中略)

ダン・ハートマンの『リライト・マイ・ファイヤー』と入れ替わるようにして、今度はマイケル・ジャクソンの『今夜はドント・ストップ』のトリッキーなイントロがDJブース脇にある巨大なスピーカーから響きだした途端、客席でくつろいでいた3分の1以上の不良たちがダンスフロアーに向かってドドッと走り出した。


当時の不良に大人気のMJ(笑)。これがSUZUKI「LOVE」に繋がったんですね。きっと(笑)。軽く調べたところによると、このディスコは「カンタベリーハウスギリシャ館」とか「ビバ館」とか、もしくは「GBラビッツ」のようです。板谷氏は、大体同世代なんですけど、わたしは、新宿のディスコは「ツバキハウス」以外知らないので、当時、MJで踊った記憶はないです(笑)。


☆MJ関連の関係記事(SUZUKI「LOVE」CMなど)
◎“スリラー”は、なぜ高く評価されているのか?
_____________

[内容「BOOK」データベースより]完全無欠の親友同士だった「錦組」も中学を卒業した。男を磨くため、地元の暴走族に入ったが、先輩のしごきはあまりに理不尽で厳しく、やがて錦組も壊滅状態となる。あれだけ強かったヤッコもとうとう耐えきれず千葉の私立校に転校。あせるオレ、コーちゃんは、叔父のヤクザの舎弟として修業を積み、そこで力をつけて先輩を倒し、再び錦組の友情を復活させるんだと意気込む。だが、やることはテキ屋の屋台でイカを焼くぐらいで、こんなんでいいのかと日々は過ぎていく。やがて彼女もできて初体験も完了。また高校でバカ強い友だちもできる。しかし、これでもかこれでもかと悲惨な出来事が押し寄せてくるのだった…。「ワルボロ」たちに地獄の季節が巡ってきた。幻冬舎 (2010/04)



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by yomodalite | 2010-07-07 18:03 | 文学 | Trackback | Comments(19)

不逞老人/鶴見俊輔、黒川創

不逞老人

鶴見 俊輔,黒川 創/河出書房新社

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上坂冬子氏との対談本である『対論・異色昭和史』があまりにも面白かったので、また鶴見俊輔氏の本が読みたくなりました。

本書は2008年9月〜12月までに行われた4回のインタヴューから、NHK「ETV特集・鶴見俊輔ー戦後日本 人民の記録」では削られた部分を追加し編集されています。

これまで鶴見氏の本をあまり読んでいないので知らなかったのですが、対談者である黒川氏は幼少時からの知合いで、これまでにも何度か鶴見氏との対談をしているらしく、息のあった様子が伺えます。

ただ、結果から言えば、本書は最後まで読み通すことが出来ませんでした。現在87歳にして、親への恨みを語る鶴見氏の少年っぷりは芸の領域なので、同じ話の繰り返しも、山本夏彦氏曰く「よせては返す波の音」。つまらないとは言えないのですが、きっと私の軽い体調不良のためでしょう。他の本へ目移りしてしまって読み通すことが出来ませんでした。再度挑戦する機会もあるかと思いますが、『対論・異色昭和史』の再読の方が可能性高いかな。

_________

【目次】
序章 ぼんやりしたまま、消えるだろう
・自分の中に永遠がある
・人生の目的地
・他人を偉大と感じる快楽
・まだ、子どもとして生きている

1:敗戦からの未来へ
・敗戦のラジオと向き合って
・原爆を知りはじめたとき
・「もてあそばれた」場所からのまなざし
・「科学」が人間を通り越した時代に
・「くに」は日本か;取り違えられた客観性
・丸山眞男の被爆という経験
・経験と語りのあいだに

2:不良少年として立ちたかった
・悪人として生きてきた
・正義から逃げる
・父には勝てなかった
・時には、裏切ることも必要
・エロスに捕らえられて
・姉、和子と私;学問の後背地

3:民話をつらねる
・共同研究という方法
・アナキズムの国家論
・人民の記憶
・ハンセン病に向き合って
・敵に敬意をもてるか
・活動を続けさせたもの
・家族から外へと根をはるもの

おわりに:黒川創
鶴見俊輔・略年譜
人名索引

【内容紹介】
鶴見俊輔自らが、不良少年時代の生活、ハンセン病患者との関係、社会活動を支えた人々についてなど、ほとんど語ってこなかった足跡を今ふりかえる。NHK好評特集「鶴見俊輔~戦後日本人民の記憶~」を再構成。 河出書房新社 (2009/7/17)



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by yomodalite | 2009-10-04 12:43 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

歌舞伎町・ヤバさの真相(文春新書)/溝口敦

歌舞伎町・ヤバさの真相 (文春新書)

溝口 敦/文藝春秋



なんだかB級親父週刊誌っぽいタイトルですが、

そういえば、歌舞伎町ってどうして、そんな名前なの?
新宿の花はなぜ「ツツジ」?
ツツジと、歌舞伎町の暴力とのつながりとは?・・・

歌舞伎町や新宿の歴史に興味がある人には興味深い内容。著者は、食肉の帝王、魔女の履歴書(細木数子)、サラ金の帝王などで裏社会やタブーを扱うことに手慣れた溝口氏ですが、すでに歌舞伎町の本は無数にあり、テーマを絞り込むことに迷った末に「歌舞伎町の怖さの起源」というテーマに辿り着いた。

テーマへの逡巡のためか、溝口氏のタブーへ斬り込んだ、今までの著作とは少し趣きが異なってはいますが、歌舞伎町の表と裏の両面史がざっくりと理解できます。

ヤクザ、華僑・韓僑系企業、東声会や外国人の動向、特に、中国系マフィアに関しては、昨今いろいろ話題になりましたが、華人(台湾人)マフィアに関しては、本書で初めて詳しく知ることができました。

因みに、歌舞伎町では最盛期の半数に減ったとはいえ、08年の調査で百ヵ所程度の暴力団事務所が600メートル四方の狭い町内に存在しているそうです。
____________

【BOOKデータベース】欲望・エロス・犯罪の都は、いかに生まれ、どこに向かうのか。恐怖の根源をたどり、歓楽の核心・我われの心性に迫る。六百メートル四方の「世界一ヤバい街」の正体とは―。 文藝春秋 (2009/06)



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by yomodalite | 2009-09-16 16:13 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

オーラな人々/椎根和(しいねやまと)

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著者は平凡パンチ、anan、popeyeで編集者として、日刊ゲンダイ、Olive、Hanako、relaxでは創刊編集長を勤めるなど、時代を創ってきた数々の雑誌にかかわってきた人物。

☆続きを読む!!!
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by yomodalite | 2009-09-14 09:32 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

映画『20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗』/監督:堤幸彦

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コミック全巻読了後に始まった映画化。第一章、第二章は観ていませんが、最終章は観に行きました。マンガ版は、他の浦沢作品にも言えることですが、途中の面白さに比べると、なんだかもの足らなさを感じてしまうという最終回でしたが、映画版は、浦沢自身が脚本に参加していますし、苦しんで終了した連載作品を再度見直し、より一層の作品に仕上がっているという期待がありました。


☆続きを読む!!(ネタバレなし)
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by yomodalite | 2009-09-03 00:04 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

ワルボロ(幻冬者文庫)/ゲッツ板谷

ワルボロ (幻冬舎文庫)

ゲッツ板谷/幻冬舎




ヤンキー文化が薄い地域に育ち、今まで微かなヤンキー臭も敏感に拒絶していた私なのに、どういうわけか、すっかりゲッツ中毒に。

本書は、著者初めての小説。元THE HIGH-LOWSで現在クロマニヨンズの真島昌利が、2005年最も面白かった小説と絶賛した作品。

『ドロップ』が清涼飲料水に例えると三矢サイダーだったのに比べると、本書はドクターペッパーでしょうか。淀みのある濃い赤紫色のイメージ、そして後味もしつこい。のどごしさわやかな『ドロップ』が、読後すぐ忘れてしまえるのに比べて、『ワルボロ』は、登場人物のその後が気になってしょうがなく、続編がすぐ読みたくなるほど中毒性が強い。

煙草があたりまえなのはもちろん、中学生のくせに、車まで運転し、本物の拳銃まで登場する自伝的青春小説。おなじみのメンバーは『やっぱし板谷バカ三代』に登場するキャームのみ。

ケンちゃんも、セージも登場しませんが、魅力的な登場人物が多数登場し、彼らとの壮絶なケンカと友情が描かれます。本書原作のマンガや、映画もあるようですが、こちらの「小説」が、きっと一番ずっしり重たく響くでしょう。

「これからオレの話をしようと思う。
オレの青春、それはアグネス・ラムのボインがでんぐり返り、目ん玉の裏側で核実験をやられているような痛みから始まったのだ……。」


続編の『メタボロ』も読まなきゃ!
______________

【単行本・内容紹介】立川に住むワルくてボロい中学生たちの日常。殴り、殴られ泣き笑う、土石流青春小説。『星星峡』(平成15年9月から平成17年4月)に連載されたものに加筆修正。幻冬舎 (2005/09)

【文庫版・内容紹介】70年代末、東京・立川。コーちゃん、ヤッコ、メギちゃん、小田嶋、ドッチン、キャーム、錦組中学生6人が、隣町・羽衣組との勢力争いを皮切りに、ケンカの強い連中と闘っていく。ついに卒業式、最強の軍団と多摩川での決戦を迎えるが…。みんなワルくてボロかった。でもそれがオレたちの“永遠”だった。殴り殴られ泣き笑う、青春小説の傑作誕生。 幻冬舎 (2007/07)

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by yomodalite | 2009-07-20 23:42 | 文学 | Trackback | Comments(2)

『千羽鶴』主演:木暮実千代(監督:吉村公三郎)

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木暮実千代さん第二弾!

以前こちらで書いたのですけど、実千代さまの魅力的なお姿をなかなか捕らえきれられず不満だったので、再度の挑戦。

木暮実千代さんのことが気になって仕方ないのは、彼女が全盛期に、その魅力を本当に理解していた創作者が居なかったんじゃないかと思うからです。女優として大成功されているのですが、それでも「早過ぎた個性」だったんじゃないかと。。。



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ウィキペディアの出演映画作品中、1948年の黒澤明『酔いどれ天使』、1949年今井正『青い山脈』、1950年溝口健二『雪夫人絵図』、1951年吉村公三郎『源氏物語』、1952年小津安二郎『お茶漬けの味』を観ましたが、ヴァンプ役、芸者、十二単のコスチュームプレイも、ちゃぶ台も、やっぱり「木暮実千代」を捉えきれていないように思います。

木暮実千代は、当時はほとんどいない大学出身の女優で、女子学生といえばセーラー服の娘しかイメージできない時代にあって、娘にしては大人っぽく、顔の雰囲気は上流婦人なんだけど、それにしては、普段の態度がサバサバしていて男っぽい。進んでいる感じなんだけど、妖婦には上品過ぎる。キモノが似合うんだけど、江戸と繋がっているところがなくて、芸者でもない。。。

当時あっさりと、たった1人で、現代女性だった実千代さまは、男に頼ってもいないけど、特に1人で生きようとも思っていない。。。

プロフェッショナルな方なので、それぞれ評判のいい演技をされているのですが、作品と本人が一体となるような、女優「木暮実千代」のイメージを決定づける「形」にはなっていないように思います。それは、本人のキャラが時代が認知している役柄にないからだと思うんです。



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着物への興味から1940〜60年代の映画を観るようになったのですが、この頃の映画をものすごく大ざっぱに言うと、

これでもかというぐらい首元をつめた着物に、ヒステリックともいえる貞操観念の若い女と、帝大出身の男を中心に、脇役は男の場合は職人、女の場合は芸者や女将といった男社会で働く女で構成されています。着物の衿を抜いて着ているような女は、ネクタイを締めた男とは結婚できないというファッションのルールがものすごくハッキリしています。



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成功した男の妻になる女、妾になる女、馴染みの店を仕切る女や、家の中を仕切る女中から実母まで、1人の男に必要な女の数は、かなり多くて、1人の女の中に色々な顔が
あるとは考えないんですね。


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共演している杉村春子は元妾の役なんですが、杉村春子は、この時代、本当に様々な監督から必要とされていますが、どの監督からも同じような役を求められている。

それは一言で言うと、仕事をもった女の役で、そういう女は、きっと男の仕事を理解してくれるはず。という期待があるようです。

それがどのように反映されるかというと、

昔観て驚いた映画のひとつに、小津安二郎の『浮草』(1960)という作品があるのですが、そこでは、旅芸人の中村鴈治郎の妾が杉村春子で、本妻が京マチ子!



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杉村春子は確か小間物屋をやっていて、その息子は大学生(もしくは予備軍)になっている。京マチ子はキレイで一座の看板女優ですから、華もある美女なのに、徹底的に地味で、所帯染みた杉村春子の妾に嫉妬するという、今ならそれって、フェミニズム?と勘違いしてしまいそうですけど、そうではなくて、おそらくこれは当時の男の夢なんですね。



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逆に言うと、結婚すべきような女には、男の仕事を理解するなんてことは、あってはいけないというか、それは美人にはして欲しくない。現代からは想像つきませんが、杉村春子が男の夢の女であったのは、たぶん、そういうことだと思います。



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で、木暮実千代さんはと言えば、美人女優に違いないのですけど、着物は着物で、それが一番キレイに見える着方で着ていますし、洋装姿はもっと美しく、ファッションだけでなく、表情や、媚態も今見ても古びてないというか、時代的なところがなくて、むしろ今風。

よくある女優のプライドのようなところからも自由で、その後のテレビやCM出演(女優のCM第一号)など、映画全盛期以降の方が、生き生きと見えるのは、そのせいなのかもしれません。



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大女優には、名監督とのコンビというのがつきもので、田中絹代と溝口健二、原節子と小津安二郎、高峰秀子には松山善三、木下恵介、成瀬巳喜男、乙羽信子と新藤兼人、若尾文子と増村保造など、職場恋愛、結婚が多いのですけど、木暮実千代さんには、監督や共演者とも男女の仲になった気配が感じられないんですよね。

実際に彼女は女優になってから、従兄弟と結婚していて(コメント欄参照)、そんな所も女優としてはめずらしいのですが、有名になる前も後も変わっていないからなんじゃないでしょうか。



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とにかく型にはまっていないので、ウィキペディアにある「ヴァンプ女優として有名」いうのも、たまたま記述者が観た作品のイメージでしかなくて、木暮さんを撮った監督たちの様々な要求をこなし、美人女優としては、かなり幅の広い役柄を演じられています。



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この映画では、太田夫人と呼ばれる木暮実千代が、第一妾で、杉村春子が第二妾というか、、木暮実千代によって、杉村春子は永く努めた旦那から捨てられたという過去があり、木暮実千代の美しさと、杉村春子の怖さが爆発していて、この時代の映画としては、めずらしく退屈しないストーリー。



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純粋に愛に生きる太田夫人(木暮実千代)は、旦那の死を受け入れられず、その息子に面影を発見し、息子(森雅之)への愛に燃え上がる。それを放っておけないのは、かつて、太田夫人に男を取られ、現在は茶道の師範として生きる栗本ちか子(杉村春子)。捨てられた後も、現在はその息子が住む家に頻繁に出入りし、息子のお見合いをも画策する栗本には、太田夫人の息子への想いだけは絶対に許せないーー。

実千代さまの役柄は、古い女のタイプですけど当時の美しさがよく撮れています。木暮実千代さんに関しては、まだまだ追いかけたいと思います。


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『千羽鶴』goo映画
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD23567/

制作/1953年
監督/吉村公三郎
原作/川端康成
脚本/新藤兼人

《キャスト》
太田夫人:木暮実千代
太田文子:乙羽信子
栗本ちか子:杉村春子
三谷菊治:森雅之
三谷浩造:清水将夫
稲村ゆき子:木村三津子
婆やとよ:英百合子

【あらすじ】★ネタバレあり★(goo映画より)

三谷菊治は亡き父浩造の愛人、お茶の師匠ちか子の茶会で稲村ゆき子と見合いをしたが、席上、これも父の愛人の太田夫人とその娘文子に会った。童女のような心情の持主太田夫人は、忘れ得ぬ浩造の面かげを菊治に見出して、彼に傾く心をどうする事もできない。菊治を軽井沢の別荘に招いた一夜、ついにその胸へ身をなげた。太田夫人を憎むちか子はゆき子と菊治の仲を急速に進めることで、彼女を苦しめようとするが、若い二人の節度は崩れない。一方、ともすれば菊治の許へ走ろうとする母を押さえているのは、これも節度を知るけなげな娘文子だった。菊治は稲村家を訪問し、いよいよ縁談も定まりかけた矢先、ちか子の術策から惑乱に陥った太田夫人は、三谷家茶室での菊治との出会を最後に、毒をあおってしまった。一人残された文子に同情したゆき子は、菊治に彼女との結婚を勧め、自分は身を退いたが、その文子もまた、菊治への抑えに抑えた思慕を断って、さびしく去ってゆくのだった。

※1969年に増村×若尾コンビ20作目としてリメイク。脚本:新藤兼人 
出演:平幹二朗/若尾文子/京マチ子/船越英二/北林谷栄



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by yomodalite | 2009-06-22 19:37 | 美男・美女 | Trackback | Comments(8)

白蝶花(はくちょうばな)/宮木あや子

白蝶花(はくちょうばな)

宮木 あや子/新潮社




白蝶花について、本書の扉にはこうあります。

白蝶花(はくちょうばな)【アカバナ科・ヤマモモソウ属】

よく撓る花茎に白や薄紅の、親指くらいの小さい花をたくさん付けます。
風に吹かれると、あえかな白い蝶々が舞っているように見えます。
花はすぐに枝から落ちてしまいますが、次の日には新しい花が咲きます。
花茎が倒れても、枯れずに次々と花を咲かせつづけます。


2008年の作品で花の名前がついた短編が4作。『天人菊』『凌霄花』(のうぜんかずら)『乙女椿』『雪割草』。それぞれ独立した作品でありながら『花宵道中』と同じく4編とも見事に繋がっています。

今回は、戦前から戦後にかけての昭和を舞台にしていて、吉原を舞台にした『花宵道中』での濃密な性描写は大分押さえられていますが、にもかかわらずストーリーの濃度はまったく薄まっていません。30代前半の作家にも関わらず近代の描き方の確かさには脱帽。現代作家としては話題にはなりにくい作風ですが、熟年世代には少し懐かしく、若い世代なら他にはいない、小説好きなら男女問わず奨めたくなる作家ですね〜

今のTV関係者に連続ドラマをどう創るべきかを、是非本書から学んで欲しいものです。

★★★★(恋愛は娯楽の王様!)

『花宵道中』/宮木あや子
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【出版社 / 著者からの内容紹介】抱いて。ずっと忘れないように—— 戦中の日本で恋に命をかけた女たちを描く純愛ロマン。

昭和十九年、福岡県知事の屋敷に奉公にきた少女・千恵子。書生の政吉と恋に落ち初めて結ばれた途端、政吉は徴兵されてしまい……千恵子の波乱に満ちた人生を中心に、戦前・戦中・戦後の激動の日本で、それぞれの愛を貫き通した5人の女たちが織りなす恋物語。デビュー作『花宵道中』で圧倒的支持を得た著者による注目の最新作!

【BOOKデータベース】昭和十九年、福岡県知事の屋敷に奉公にきた千恵子。華やかな博多の街、美しい令嬢・和江との友情、そして初めての恋。しかし戦争の足音は、千恵子のすぐ背後に迫っていた…千恵子の波乱に満ちた人生を縦糸として、激動の時代にそれぞれの愛を貫き通した五人の女たちが織りなす恋模様。戦前・戦中・戦後の日本で、恋に命をかけた女たちを描く純愛官能ロマン。第五回R‐18文学賞大賞受賞『花宵道中』の宮木あや子最新作。 新潮社 (2008/02)



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by yomodalite | 2009-06-13 20:30 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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