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幸田文台所帖/幸田文(著)青木玉(編)

幸田文 台所帖

幸田 文/平凡社




平凡社から出ている幸田文の衣食住3部作。他に『幸田文しつけ帖』『幸田文きもの帖』があって、こちらは「食」をテーマにした第2冊目。幸田文全集から娘の青木玉氏がテーマごとに編集している。

第1章「台所育ち」は、14歳から始まり、62歳になった著者の48年間の台所生活で学んだこと。

第2章「台所の四季」は、文字通り、台所で感じる四季の移り変わり、旬のとらえ方。「私のメニュウ」には、文氏の実際の朝晩のメニューが紹介されています。

第3章は、小説『台所のおと』。

主婦生活を送るものにとって、本書はためになり、ぐんぐん読んでしまえるという本ではありません。正直、そのあまりにも繊細な四季の感じ方、日々の料理の準備など、参考にしたいと思うだけで疲れてしまうぐらい緻密で、辛くなってしまう点もあります。

今現在、昔とは比較にならないほど便利になった世の中でも、日本女性の家庭料理は世界で類を見ないほどバラエティに富み、豊かなものですが、数十年前の最高レベルとなると、本当に世界の一流シェフが読んでも驚愕レベルじゃないでしょうか。

参考にするには、かなりしんどいと書きましたが、毎日の主婦生活に疲れたときに、何気にページを開くなら、また明日からの台所生活に新鮮な活力が湧く。日本女性の食文化への貴重な資料として。
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[内容紹介]台所が、教室だった。ささやかな煮炊きのくり返しが、私の心をみがいてくれた。大切な心を取り戻すために。幸田文の衣食住三部作の第2冊。

ごく普通のサンドイッチなのだが、祖母[幸田文]のサンドイッチはふたつの点で特別だった。ひとつは、祖母の家には私の大好きな甘酸っぱいピクルス入りマヨネーズがあったこと。そしてもうひとつは、祖母が刻んでくれたきゅうりは口の中でいつもとは違っていた。切り口がすぱっと、角が立っている。幼いなりに、舌にあたる感覚や歯ざわりも味覚の一部と知って嬉しかった。あとでその話を母にすると、「お祖母ちゃんの包丁はよく切れるからね」と言って笑っていた。祖母の包丁のあざやかさは、曾祖父・露伴の教えを受けたものである。 (青木奈緒「あとがき」より)
平凡社 (2009/3/5)

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by yomodalite | 2009-07-10 12:43 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)/早坂 隆

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

早坂 隆/中央公論新社

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3年前に出版されて、アマゾンレヴュー122件ものコメントがあるヒット作。続編も出てます。著者には『ルーマニア・マンホール生活者たちの記録』『世界の紛争地ジョーク』などが、あり、本書でもルーマニアやイスラム地域の話が多い。

第1章 ハイテク国家像ークルマからアイボまで

ものづくり大国、最先端技術の国というイメージは、ずいぶんと浸透しているようで、時速300キロの列車が、コソボでは信じられないらしい。その中では、ジュースを飲んだり、ポップコーンを食べたりできるのか?後に飛ばないのか?という質問をする大学生に会った。

第2章 お金持ちの国ーバブルそして崩壊へ

日本人はお金持ち、物価が高いというイメージが強いらしい。

●レストランにて
ドイツ人と日本人とイタリア人が一緒に食事に行った。食後、3人はそれぞれこう考えていた。
ドイツ人は、割り勘にするといくらか考えていた。
日本人は3人分払うといくらか考えていた。
イタリア人は、おごってくれた人になんとお礼を言うか考えていた。

第3章 勤勉な人びとー会社人間・カロウシ

勤勉で会社人間、過労死(カロウシ)も有名。

●イソップ寓話のアリとキリギリス。

アメリカの場合ーヴァイオリンばかり弾いていたキリギリスだが、その腕前がプロデューサーの目に止まり、一躍スターに。

旧ソ連の場合ーアリは玄関先で倒れていたキリギリスを助け、食べ物を分け合う。しかし、結局は食料が足りなくなり、アリもキリギリスも死んでしまう。

日本の場合ーアリもキリギリスもカロウシする。

第4章 日本人的アイデンティティー集団行動・笑わないなど

●早く飛び込め!
ある豪華客船が航海中に沈みだした。船長はそれぞれの外国人乗客にこう言った。

アメリカ人には、「飛びこめばあなたは英雄ですよ」
イギリス人には、「飛び込めばあなたは紳士です」
ドイツ人には、「飛び込むのがこの船の規則になっています」
イタリア人には、「飛び込むと女性にモテますよ」
フランス人には、「飛び込まないでください」
日本人には、「みんな飛び込んでますよ」

その他、日本人の言語感覚や恥の文化、時間に正確、英語が下手なこともよく知られている。

第5章 神秘の国ー風習・宗教・衣食住など

ルーマニアには、「日本女性の薔薇」という花や「日本女性たち」というパンもある。概して日本女性のイメージは高い。その他、遠い神秘的な文化の国というイメージが強い。

第6章 歴史・政治・外交ーアメリカ&中国との関係

●軍隊比較
世界最強の軍隊とは?
アメリカ人の将軍
ドイツ人の参謀
日本人の兵

では世界最弱の軍隊とは?
中国人の将軍
日本人の参謀
イタリア人の兵

第7章 世界で活躍する日本人アスリートたちースモウからイチローまで

ルーマニアでは、マンホールに暮らす子ども達までが「ナカタ」を知っていた。2002年の日韓ワールドカップでは、「ナカタ、イナモト、ニシザワ!」などと叫びながら子ども達が近寄ってきた。控えのFWのニシザワまで名前が挙るのがサッカーの凄さ。 
世界では、日本人だとわかると「トウキョウから?」と聞かれることが多いが、ベオグラードでは、頻繁に「ナゴヤ?」と聞かれた。ストイコビッチとグランパスが有名だからだ。また、ナカタ、ナカムラ以外にモータースポーツの人気が高いヨーロッパでは、ライダー加藤大治郎が有名。イタリアには彼の名前を冠したストリートもある。

第8章 新たなるニッポン像

近年の世界的な日本のマンガ・アニメブームにより、ジョークのオチも変わりつつある。

それぞれの国で最も読まれている書物とは?

アメリカー新約聖書
イスラエルー旧約聖書
イスラム諸国ーコーラン
日本ーマンガ
中国ー毛沢東語録

《結論》 世界で読まれているのはファンタジーばかりである。

また、ヨーロッパでは、地方の小さな書店でも三島由紀夫や吉川英治などの日本作家の作品が棚においてあることが多い。吉本ばなな、金原ひとみの『蛇にピアス』はイタリアで大きな話題になった。中国では村上春樹が特に人気があり、音楽では、浜崎あゆみやGLAYが熱烈に支持されている。。。

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【出版社 / 著者からの内容紹介】世界から憧憬の眼差しが注がれる経済大国? それとも、物真似上手のエコノミック・アニマル? 地球各地で収集したジョークの数々を紹介しながら、適材適所に付された解説により、異国から見た真の日本人像を描き出していきます。『世界の紛争地ジョーク集』『世界反米ジョーク集』に続く、同著者入魂の第三弾は、読者からも問い合わせの多かった「日本人をネタにしたもの」を満載しました。笑って知って、また笑う。一冊で二度おいしい本の誕生です。知的なスパイスの効いた爆笑ネタを、ぜひご賞味あれ! 中央公論新社 (2006/01)

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by yomodalite | 2009-07-05 22:05 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

名古屋と金シャチ/井上章一

こんな本を読んでしまうのもわたしが名古屋育ちだから。。。
陽の光が金シャチの光とともに届けられる、名城公園まで徒歩数分というような地域に住んでいて、城にも金シャチにもうんざりだった住人時代ですが、名古屋三大ブス説を覆した井上章一氏なら今までにない名古屋文化論が期待できるかもしれません。


第一章 世界のなかの名古屋のシャチ
「イタリアにも、シャチホコはいる。」 ヴェネチアングラスの工芸品、ローマのバルベリー二広場のトリトンの泉。。。空想のイルカはシャチとそっくりだという発見から、シャチの由来を探る。

第二章 シャチの都を取材して
名古屋取材。市役所のバッジ、交通局のマスコット、サッカーチーム「グランパスエイト」(グランパスとはシャチのこと)、市職員機関誌「シャチ」、遊覧船「金鯱号」、陸上自衛隊第十師団のマーク、名古屋牛乳のシャチ印、「シャチボン」(シャチの形のシュークリーム)、名古屋に溢れるシャチと、そのキャラクターの変遷。

第三章 シャチの背後に歴史を読む
金シャチは、尾張徳川家の威光を人民に見せつけていた。黄金の輝きを日常的に見せつけられていた人民の欲望は1782年に上演されていた芝居『けいせい黄金の鯱』にも表れていた。。。

第四章 金シャチ美人
かつて一世風靡した「名古屋美人」は、なぜ「日本三大ブス」の産地へと変遷したのか、ミス名古屋からその謎を解く。

著者は、執拗に名古屋城の金のシャチホコが持つ名古屋での意味と価値について、歴史を遡り、周縁を探っていく。第4章の「名古屋芸者」の話は、『日本の女が好きである。』でも書かれていた話の更に詳細な記述で、著者の本により初めて聞く話でしたが、全体を通して、名古屋人気質や名古屋文化論ついて語られている部分が少なく、浅薄な名古屋文化論を覆すような視点がないのが、すこし残念。

金シャチに興味がある奇特な方へ
★★★☆

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【MARCデータベース】名古屋は街中、シャチだらけ。シャチを愛好する市民感情は、どのようにしてはぐくまれたのか。その都市論的な背景をさぐり、名古屋という街の文化史をうきぼりにする。ファンシー革命、美人説…鯱都の謎を解き明かす。 NTT出版 (2005/02)





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by yomodalite | 2009-06-30 22:47 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

橋本治という考え方ーWhat kind of fool am I/橋本治

橋本治という考え方 What kind of fool am I

橋本 治/朝日新聞出版

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2005年出版の『橋本治という行き方ーWHAT A WAY TO GO!』 と、似ていますが、こちらは同じ出版社からの2009年本。

『橋本治という行き方』は、9・11やイラク戦争、社会批評など、考えるテーマが、一般人にもヒントになりうるテーマを扱っていたのですが、本書は全編通して、橋本治以外は考えないテーマのオンパレード!

30代頃から、少年や青年、女性にすらその悩みを解き明かし、導いてきた橋本氏ですが、今の橋本氏はそこから遥か彼方の「小説」をめざして、しかしその小説を求めている人の少なさを諦めつつも、書かずにはいられない、そんなジレンマにも孤独にも耐えることにすっかり慣れた様子です。

橋本治という考え方をする橋本治氏への正統な評価は、現代日本では無理なのかもしれません。氏以上の論者をあとどれぐらい待てばいいのか、日本一孤高の人という称号は橋本氏の死後100年は軽く守られそうな気さえします。

今まで先生だと思っていた人が徐々につまらなくなってきたり、才能が尽きてしまったと感じることは、こちらの年齢が上がるとともに訪れることですけど、橋本治氏に限っては、生涯そんな時期が訪れないでしょう。

これから小説や文学論を書こうと思っている人に(書けなくなる恐れはありますが。。)

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【内容紹介】橋本治による小説の書き方、考え方をめぐる本格エッセイ集。「風景」「世界観」「読書」から「近代文学」まで、橋本治にとって小説とは何か? 行き詰まりつつある現代小説において、小説を考えるための新たな土台を、自らの来歴や実感から指し示す小論集。

【BOOKデータベース】
小説のあり方を少し考えた。ドラマは「風景」の中にある。アンゲロプロス、小津安二郎の映画に「風景」のドラマを見出し、二葉亭四迷、田山花袋、樋口一葉、谷崎潤一郎から小説家の内奥に潜むドラマを発見する。本をめぐる環境から、橋本流の創作術、近代文学成立の謎まで—小説をめぐる状況をラディカルに編みかえる本格的な文学エッセイ。朝日新聞出版 (2009/4/7)


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by yomodalite | 2009-06-24 12:24 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

日本の女が好きである。/井上章一

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17年前に『美人論』が評判になった著者ですが、私は本書がお初。本書は2008年出版。本家を見ていないのですが、多分こちらの方がずっと軽い読みもののようです。

←女性の後ろ姿写真は、幅広帯です

平均的な文庫本の厚さの単行本なので、あっという間に読めてしまいますが、本格的考察のラフというか、いろいろ興味深いテーマが散りばめられています。下記の【内容紹介】以外で、興味深かった点を、順に挙げていくと、

「性格美人」は日本にしかいない。
姦通罪は不美人に集中していた
7歳までには美醜の判断は出来上がる
教育を受けられたのは不美人だけだった
高群逸枝は男女平等になれば美人の勢力は拡大すると予言していた
名古屋こそが群を抜く美人の都だった
明治期の新橋は名古屋女の天下だった
昔の絵画はみな下ぶくれだが骨格はそうではない
浮世絵から当時の美人の姿を想像するのは間違い
日本の英雄は「女」を武器にする
遣唐使は「容姿」と「器量」で選ばれていた
男っぽい女装者がふえてきた理由
  。。。などなど。

高群逸枝は意外と美人だったようですが、確かに予言は当たっていて、もうどんなドラマや映画の端役でも美人ばかり。これでもか!という美人が、キレイになるための本を出版して、その努力すら公開する時代。東大生には不細工な男はいますが、ブスな女はいないというのは、駒場、本郷に棲息していた私の経験ですが、スポーツ選手から、AV女優、弁護士にいたるまで、とにかく美人ばかりの世の中になってしまいましたから、アニメに群がる男が増えるのも仕方がないでしょう。

著者には本書のような軽い読み物から、桂離宮や伊勢神宮、霊柩車に関しても何冊か出版されており、学術書から風俗本まで、色々興味深い本があるようなので、また別の本も近日中に読んでみたいと思います。

★★★☆
情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1010.html

続たそがれ日記
http://plaza.rakuten.co.jp/junko23/diary/200803120000/fbb92/
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【目次】
1「美人」という言葉に、まどわされ
2 誰がいちばんきれいなの
3 かしこい女、それともきれいな女
4「美人」東西物語
5「美人」今昔物語
6 男もはたして顔なのか
終章 ブスをブスと言って何が悪い!

【内容紹介】
賛否の両論を巻き起こした問題の書『美人論』から17年。再び挑む、美しい人とそうでない人の研究。なぜ日本人は、女性のうなじや脚首に魅力を感じるのか? 小野小町はほんとうに「美人」だったのか? 不美人ほど不倫をすると言われた理由は? 「秋田美人」「新潟美人」が生まれた深い事情とは? ミス・ユニバースとK-1の共通点とは?……フェミニストとの心理戦の裏話や、美人の研究を始めるきっかけとなった自らのコンプレックスなど、美人研究にまつわるさまざまな豆知識やこぼれ話を紹介する1冊。楊貴妃からかぐや姫、ミス・ユニバースに女子大生、さらにはアニメの美少女キャラまで、古今東西の資料に基づき、「美人」「美女」ついでに「美男」について、マジメに深く深く考察します。人はほんとうに「見た目」がすべてなのか? PHP研究所 (2008/1/17)





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by yomodalite | 2009-06-18 19:17 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論/小林よしのり

ゴーマニズム宣言SPECIAL 天皇論 (小学館文庫)

小林 よしのり/小学館




最近では『おぼっちゃまくん』をパチンコに売ったことで話題のよしりんですが、果たしてそれは、80歳でも、持病があっても入れる“外資系保険”のCMに出演するタレントと比べて、それほど批判されることなのか、どうなのか、私には判断がつきかねますが、本書で、繰り返し登場している原武史氏の『昭和天皇』への言及には溜飲が下がりました。

『滝山コミューン1974』で、小学生時の記憶と現在の視点との混在を明瞭化できなかった原氏は「事実」に対して、学者(?)が持つべき重要な資質に欠けているように思います。原氏は新聞記者出身ですが、その職業の人によく見られる傲慢さで、ジャーナリストとしてなら時代の隙間ユーズに答えられる方とは思いますけど、歴史学者として、天皇を語れるような器の方とは思いませんでした。

ところが、その後、原氏が『大正天皇』『昭和天皇』など次々に出版し、毎日出版文化賞や司馬遼太郎賞など悉く受賞していることを知って大変驚きました。

大学でと天皇を研究している人に頭がイイ人はいない。というのは、天皇に関して、数十冊ほど読んできた感想ですが(カテゴリ「天皇・皇室」に20冊ほど収納)、天皇擁護派には、小室直樹、山本七平といった碩学がおられますが、天皇批判派は、揃いも揃って戦争時代の恨みつらみを親にあたるような幼児性に、いつまで経っても気付かない情念の人ばかり。昭和天皇以上に、理系脳の人は1人もいません。

それでも戦中に生まれた世代なら、そのアノミーも致し方ないかと同情もできますが、原氏は1962年生まれにも関わらず、天皇の実像へのイメージ支配が強すぎて、事実に、勝手な感想を付け加えることに疑問を抱かないのは『滝山コミューン』と同様で、個人史の範疇なら、許せても、一国の歴史にそのような態度でいいのかと思っていました。

しかし、現在日本の学者社会は、これで権威と給金がもらえるのですから、小林氏のように、出版だけで何人ものスタッフに給料を支払って、尚かつ、その権威と闘うだけの大衆性を獲得するような内容で、出版部数をも兼ね備えなくてはならない。そんな厳しい闘いに、正義のためなら餓死せよ!というような批判をできる大人がいることが不思議です。

本書は、個人主義者であった著者が、天皇への敬意を獲得していった個人史から始まっています。現在の日本の教育では、学校で天皇について教えられることは少ないので、一家に一冊あっても良いのでは?

原氏への不自然な報償を考えると、それぐらい売れてから批判したい本です。

◎参考書籍

『滝山コミューン1974』/原武史
『昭和天皇』/原武史

小室直樹の天皇本
・『「天皇」の原理』
・『天皇恐るべし—誰も考えなかった日本の不思議』
・『昭和天皇の悲劇—日本人は何を失ったか』

山本七平の天皇本
・裕仁天皇の昭和史—平成への遺訓-そのとき、なぜそう動いたのか
・昭和天皇の研究—その実像を探る
・昭和天皇全記録
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【内容紹介】戦後日本人が初めて天皇を知るときが来た!「天皇は神なのか」「宮中祭祀とは何か」「戦争責任はあったのか」誤解と偏見だらけの天皇観を正し、雅子妃や皇位継承をめぐる現代皇室の問題点にも鋭く切りこむ、最高の「天皇入門書」登場。
今上天皇、美智子妃、昭和天皇をはじめ皇室の知られざる秘話の数々に、驚きと感動が止まらない。大反響のSAPIO掲載分に描き下ろし200ページ超を加え、天皇陛下ご即位20年、天皇皇后両陛下ご成婚50年の年に放つ、著者渾身のシリーズ最高傑作。小学館 (2009/6/4)

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by yomodalite | 2009-06-17 14:43 | 天皇・皇室 | Trackback | Comments(4)

図説 着物柄にみる戦争/乾 淑子


図説 着物柄にみる戦争

乾 淑子/インパクト出版会




実際に着物として着付けたものを期待していたのですが、ハギレによる柄図鑑がほとんどで、当時の着こなしがわかる写真や、コーディネート写真が1枚もないのは至極残念。

国威発揚というよりも、現代のアニメのヒーローなどと同じように、航空機や戦艦や兵隊が描かれていて、いわゆる吉祥柄として流行していた模様。戦争柄は男児のきものと男性の襦袢が主ですが、女性用の襦袢も多くあり、これは花柳界の女性が主に着用していたということで納得。

これらの着物が流行っていたのは日清、日露戦争を経験した明治から昭和20年代まで。近代日本史に興味のある方へ。

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【BOOKデータベース】兵器や兵隊などを図柄に、日清日露・十五年戦争下で生まれた「戦争柄」165点を体系化し、カラー図版とともに解説。 インパクト出版会 (2007/07)



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by yomodalite | 2009-05-22 14:02 | 戦争・軍隊 | Trackback | Comments(0)

日米同盟の正体ー迷走する安全保障/孫崎享

f0134963_12162425.jpg著者は外交官として、ソ連、アメリカ、イラク、カナダ勤務の後、ウズベキスタン大使、国際情報局長、イラン大使を歴任し、2002年防衛大学教授という経歴。

本著は、日米安保体制(日米同盟)が、国民の知らない間に、完全に米国の戦争協力の道具に変えられてしまっていることを白日の下にさらし、これからの日米同盟とは、米国の「テロ」との戦いに日本がどうやって協力させられていくかという事でしかない、という内容。

★続きを読む!!
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by yomodalite | 2009-05-22 12:21 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

仏教・神道・儒教集中講座(徳間文庫)/井沢元彦

仏教・神道・儒教集中講座

井沢 元彦/徳間書店




下町に越してしばらく経ちますが、近所の鉄砲州神社も、月島の住吉神社も、深川の富岡八幡宮も、いずれも住人に厚く信仰されていて、祭りの賑わいも驚くほどです。

江戸の長屋では、トイレや井戸など共同施設が多いのですが、それでも4畳半一間のような狭い部屋でも神棚は必ずあったようで、台所と居間にそれぞれ神棚がまつってあるのが通常。一体これほどまでに信仰されていた「神道」とはいかなるものかと思い、最初に読んでみたのは、鎌田東二氏の『神道とは何か』だったのですが、鎌田氏はその中で、神道とは宗教としてはよくわからないということを、親切に潔く説明してくれ、神と仏の違いに関しては、下記のような記述がありました。

1. 神は在るもの、仏は成るもの。
2. 神は来るもの、仏は往くもの。
3. 神は立つもの、仏は座るもの。

その後、仏教に関して納得のいく解答を与えてくれた本は、小室直樹氏の『日本人のための宗教原論』 でした。(仏教だけではなく、キリスト教、イスラム教、日本人がいかに宗教音痴であることなど、一冊で日本人の「宗教」への興味や疑問に答えてくれるとてつもない名著)また昨年は副島隆彦氏の『時代を見通す力』に、仏教と神道の関係、神道の原型は中国伝来の道教であるなど、目からウロコの内容に感動しました。

でも「神道」に関して、最初に驚くような回答に出会ったのは、本書の著者による『逆説の日本史』でした。

仏教と神道と儒教が厚さ1センチほどの厚みの文庫本1冊にまとめられていて、めちゃめちゃお買徳じゃん!と思われた方もそうでない方にも。同著者による『ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座』 もぜひ読んでみたい。
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[出版社/著者からの内容紹介]世界の宗教では、神に帰依するのが当たり前にもかかわらず、日本は日本人に都合が良いように神を作り変えてきた。宗教比較により、そんな日本人の特殊性の原因、日本が中国・韓国に嫌われる理由を明らかにする、大人気宗教講座の第二弾! 徳間書店 (2007/03 単行本2005/6/30)

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by yomodalite | 2009-05-17 22:30 | 宗教・哲学・思想 | Trackback | Comments(0)

テロリズムの罠 左巻ー新自由主義社会の行方/佐藤優

テロリズムの罠 左巻 新自由主義社会の行方 (角川oneテーマ21)

佐藤 優/角川学芸出版



本書は、角川学芸出版のウェブマガジン『WEB国家』に連載されていた「国家への提言」に加筆修正したもの。左巻、右巻と2冊同時出版されていて、それぞれ、左派・右派向けかと思いきや、そうではなくて、左巻は新自由主義、右巻はファシズムをテーマにしている。

左巻きは嫌いだから、右巻だけ読もうと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、両巻読んだ感想で言えば、左巻から読んだ方がわかりやすい内容になっていて、リーマンブラザーズの破綻を契機に起きた世界不況が、新自由主義に基づくグローバル資本主義の終焉を招くであろうという予測から、新自由主義の見直しの必要性を説いた内容になっている。

佐藤氏は、新自由主義は、国家と社会がもつ暴力性を加速する傾向にある。という。

新自由主義は、生活における貨幣の比重を高めてしまう。貨幣は本性として暴力的であることを認識し、新自由主義が市場による競争で合理的で公正な配分ができるというのは嘘で、市場において、豊かな者と貧しい者では、初期段階でもっている道具や情報に格段に差があることを指摘。宇野弘蔵のマルクス経済学に沿って、新自由主義の行方について語られている。

『テロリズムの罠』というタイトルは、わかりにくいのだけど、

秋葉原無差別殺傷事件は、国家を直接の標的にしていないが、「社会」を標的にしたテロである。テロは社会を弱体化し、国家が収奪する対象である社会が弱体化し基礎体力が衰えると、国家は弱体化する。秋葉原無差別殺傷事件が他のポトスに向けられたときの危険を認識したため、政府は迅速に対応し、派遣労働者に対する法整備を急速に進めた。テロにおびえ、あわてて対症療法するのは弱い国家であり、日本国家の弱体化は、国民の目に明らかになった。格差から生じる不満を政治はどのように理解するべきかを、元官僚であった佐藤氏が考察すると、『国家の罠』を逆さにしたタイトルになった、ということか。

各章により、インテリジェンス、旧ソ連、ロシアについての内容は興味深い点が多いものの、これを『テロリズムの罠』というひとつのパッケージの納め方には、居心地が悪かったり、風呂敷を広げ過ぎた感もあるような。。。

第2章の『蟹工船』異論では、小林多喜二がプロレタリアートの実態を知らずに書いた部分を、雨宮処凛氏との対談などを通して指摘し、第5章の内閣崩壊では、安倍〜福田の内閣の性格とその崩壊を解いている。

あとがきでは、テロとクーデターを避けるためには、日本を愛する人々が、暴力によって「世直し」を試みると、その結果、国家が暴力性を高める。この認識を共有することがテロやクーデターの歯止めになる。そのために思想がもつ力をいまここで発揮しなくてはならない。としているのだけど、どこからも援助されることのない、純粋に「日本を愛する人々」による暴力的な世直し、というものが想像できないし、国家の暴力性には様々な形体(軍隊・警察権力の強化〜税金の収奪、格差の定着)があるが、愛国者の抵抗(テロ・クーデター)は、幅がせまくなる一方であるなら、歯止めが「国家」の弱体化に繋がるかどうか。。。

『国家』本が飽和状態であると出版社側は判断したのだと思うけど、やっぱり本書は『国家への提言』のほうが、すっきりした内容になったと思う。
★★★☆

【目 次】
序章ーなぜいま国家について語らなくてはならないのか
・国民の災厄に備える
・国家権力の本質
・「不可能の可能性」に挑む

第1部ー滞留する殺意 暴力化する国家と社会の論理
 
第1章 国家と社会の殺人
・「社会」へのテロリズム
・「物神」と殺人

第2章 『蟹工船』異論
・「蟹工船」という問題
・葉山嘉樹『海に生くる人々』を読む

第3章 控訴棄却
・鈴木宗男疑惑の本質
・「欲望」する検察

第4章 農本主義の思想
・思想としての「土」
・「農本主義」を再考せよ

第2部ー沈みゆく国家 新自由主義と保守主義の相克

第5章 内閣自壊
・安倍内閣「自壊」の内在的論理
・新自由主義による日本国家・日本国民の簒奪
・ファッショの危機

第6章 情報漏洩
・国家とインテリジェンス
・インテリジェンス戦争

第7章 支持率2パーセントでも政権は維持できる
・求心力なき国家
・信任なき政権、崩壊せず

第8章 北方領土と竹島
・メドベージェフの“シグナル”
・領土問題の交渉術

あとがき テロとクーデターを避けるために
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【BOOKデータベース】秋原原無差別殺傷事件、うち続く政権崩壊…。二〇〇七年から「最悪の年」二〇〇八年にかけて起きた国内の数々の事件・出来事、そして一大ブームとなった『蟹工船』の犀利な読解・分析を通じ、日本国家を弱体化すると共に暴力化し、日本社会の中に絶対的貧困とテロリズムへの期待を生み出した新自由主義の内在論理を徹底的に解読する。 角川学芸出版 (2009/2/10)



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by yomodalite | 2009-04-27 15:45 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite