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福田君を殺して何になる

増田 美智子/インシデンツ



◎[2012.2.21追加]元少年に死刑判決 - 死刑の是非の前に問いたい是非

初めての育児に一生懸命だった若い妻と、幼い子供の両方を奪われた夫、本村洋氏の怒りは、裁判の経過中、死刑判決を望む旨を強く表明し続け、一審での無期懲役の判決には「司法に絶望した、加害者を社会に早く出してもらいたい、そうすれば私が殺す」など、激しいものでしたが、守れなかった家族への責任感の強さから発せられる、本村さんの言葉には、これまでの刑罰論に一石を投じるような論理があり、今まで顧みられなかった被害者遺族の人権にも注目を集め、多くの人を感動させました。

私も、このときの本村さんに、たいへん感動した1人です。

でも、本書のタイトルや、そして著者がまだ20代の女性であることを知って「もしかしたら。。。」という期待と共に読了し、それは、ほぼ期待どおり、満足のいく内容でした。

「殺して何になる」という問いに、

・被害者遺族が満足する。
・殺人に対して、死刑という刑罰がくだされるのは当然。
・なぜ凶悪犯罪者の命を救おうとするのかわからない。

上記のような考えの方は、是非一読されることをオススメします。

本書の帯には、3人の文章の抜粋があります。

ひとりは、本事件の弁護士を途中解任され、『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』を出版された、今枝仁弁護士。

被告である福田君。

そして、もう1人は、被害者遺族である本村洋さん。

本村さんの文章は、本書への直接の推薦文ではありませんが、彼の今の心境がよく著わされています。死刑執行でスッキリした気持ちになれるのは、被害者遺族ではなく、まったく関係のない私たちのような野次馬だけだということが。。。。

本村氏の真摯な“聖戦”に対して、警察発表の忠実な犬にして、常に事件後の傍若無人な加害者であるマスコミ報道を鵜呑みにした世論により、「死刑」が執行されることは、本当にも相応しいことなんでしょうか。

著者の取材方法、取材者への態度や気配りなどに、批判的な人も多いですが、私は、それ以上に、批判を承知したうえでの著者の行動力と、真に重要な問題提起に感動しました。

というか、信頼していた著述家の中にも、この取材方法への批判を真っ先に挙げる人がいたことにはショックを通り越して絶望すら感じました。彼女の取材に気配りがされていないなら、マスコミはどうなんですか?

死刑に興味をもって、見聞きした数少ない経験を通してわかったのは、死刑の廃止と存続には、それぞれの既得権益者による、不毛な議論しかないということです。

本書が明らかにした主内容は、

・少年の悪印象を決定づけた“不謹慎な手紙”の真相
・少年の実像
・少年が死刑になった“真の理由”

上記3点なのですが、中でも、死刑判決が下されることになった最大の責任は、弁護団にあることを明らかにした点です。(批判されている弁護団は、世論を味方にすることが困難な裁判を何度も戦ってきて、司法の判断を知り尽くしていることが、逆に戦略ミスを招いたという側面もあるような気もするのですが....)

少年への匿名報道は、将来の社会復帰を考えてこそのはずですが、少年法を逸脱した死刑を課せられようとしている“少年”の匿名には、一体どんな意味があるのでしょうか?

事件の報道や本書への評判も、1度リセットして、本書を読んでみれば、匿名での死刑判決という、明らかな人権侵害を問題にせず、少年の実名明記のみを問題にして、本書が語られる“本当の理由”が、朧げながら見えてくるはずです。

本書の発売にあたっては、光市母子殺人事件の被告の名前を明らかにしたことで、実名報道の是非をめぐって賛否両論が大きく報じられ、また、弁護側は本書に対し、出版禁止の仮処分を広島地裁に申し立てた。

被告の死刑に異議を唱えた内容にも関わらず、なぜ被告弁護人から出版禁止を申し立てられたのでしょうか? その真相を知りたいひとへ。

☆今のところ、本書の意義を伝えている唯一の書評。
「404 Blog Not Found」

☆追加
鬼蜘蛛おばさんの疑問箱
___________

【内容説明】現在、光市母子殺害事件の被告人は、どのような心境で毎日を過ごしているのか。被告人と同じ年の著者が、マスコミ情報に頼らず、自分の足で取材し、事件関係者らの「生の言葉」から、この事件の意味を問い直す。



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by yomodalite | 2009-11-27 15:44 | 裁判・法律・犯罪 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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