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それでも、日本人は「戦争」を選んだ/加藤陽子

それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)

加藤 陽子/新潮社



本書は、東京大学大学院教授である著者が、2007年末に、栄光学園・歴史研究部の中高生17人を前に行なった5日間の講義をまとめたもの。序章では、9.11テロや南北戦争など、他国の例を用いながら、古代から順に日本史を学ぶことで、暗記ばかりに重点がおかれている日本の歴史教育から、近現代史を中心に、過去と未来を見ることの重要性を説き、その後、日清〜日露〜第一次大戦〜日中戦争〜太平洋戦争と続いた日本の戦争を、それぞれ世界の歴史と合わせて、くわしく語られています。

世界の戦争の歴史の中で、日本の決断は、どうなされたのか。

自虐でも、陰謀でもなく、隣国とアメリカだけに目を向けた狭窄史観でもない、日本人すべてにオススメの戦争歴史教本。

中高生相手とバカにするのは大いに間違っていて、生徒の歴史知識はかなりのものなので、菊川怜のクイズ解答のようにがっかりすることは一切ありません。

日本の戦争論の著者のほとんどにみられる、軍や国への恨みつらみや、天皇への幼児的愛着心から、解き放たれている、めったにない良書。

また、戦争のような極限的状況でなくても、日本人が陥りやすい特性というか、性質が見えてくるあたりもとても興味深く、その点は著者が女性であることが優位に働いている。

本書では、戦争がいかに経済と密接に繋がっているかが、よく理解できるのですが、今後の日本経済の悪化を、戦争なしで、どう耐えるかは深刻です。

序章 日本近現代史を考える
1章  日清戦争 - 「侵略・被侵略」では見えてこないもの
2章  日露戦争 - 朝鮮か満州か、それが問題
3章  第一次世界大戦 - 日本が抱いた主観的な挫折
4章  満州事変と日中戦争 - 日本切腹、中国介錯論
5章  太平洋戦争 - 戦死者の死に場所を教えられなかった国
___________

【内容紹介】かつて、普通のよき日本人が「もう戦争しかない」と思った。世界最高の頭脳たちが「やむなし」と決断した。世界を絶望の淵に追いやりながら、戦争はきまじめともいうべき相貌をたたえて起こり続けた。その論理を直視できなければ、かたちを変えて戦争は起こり続ける。

だからいま、高校生と考える戦争史講座。日清戦争から太平洋戦争まで。講義のなかで、戦争を生きる。生徒さんには、自分が作戦計画の立案者であったなら、自分が満州移民として送り出される立場であったならなどと授業のなかで考えてもらいました。講義の間だけ戦争を生きてもらいました。そうするためには、時々の戦争の根源的な特徴、時々の戦争が地域秩序や国家や社会に与えた影響や変化を簡潔に明解にまとめる必要が生じます。その成果がこの本です。……本書「はじめに」より

日本だけでなく、世界の人々がなにを考え、どのような道を選択したのか、 かつての人々が残した言葉をたどりながら、詳しく鮮やかに紐解いてゆきます。縦横無尽に「戦争」を考え抜く。歴史の面白さ・迫力に圧倒される5日間の講義録◆ 朝日出版社 (2009/7/29)



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by yomodalite | 2009-11-08 19:26 | 戦争・軍隊 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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