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性欲の文化史[2]/井上章一(編)

性欲の文化史 2 (講談社選書メチエ)

梅川 純代,申 昌浩,劉 建輝,原田 信男,平松 隆円,田中 貴子,松田 さおり/講談社




性欲の文化史[1]に続いて読んでみました。

[1]には納められていなかった、編者である井上章一氏の「桂離宮にエロスを読む」が収録されています。

2巻を通読して、全体の感想としては、分冊化しないで出来のいいものに限ってまとめた方が良かっただろうと思う。編集者も熱意がなく、来た原稿そのままノータッチで本にした、という感じ。

第1章は、学者にはめずらしく読者を意識した文章が書ける井上氏による、『桂離宮にエロスを読む』はとても興味深かったものの、第3章『韓国整形美人事情』(申 昌浩)や、第6章の『「ギャル男」のいる光景』(平松隆円)、第8章の『ホステスたちは、何を売る?』 (松田さおり)は、題材が、風俗としてよく知られたものにも関わらず、研究の到達点が低く、ごく普通レベルの学生論文としか読めなかった。

第7章『男から生まれた女』(田中貴子)は、現在、批判者がまったく見当たらない白洲正子氏への反論を試みた論考で、『両性具有の美』について主に論じているのですが、興味深い指摘が多く、新書などであらためて読んでみたいと思った。

編者の井上氏の、若い研究者にチャンスを与えたいという気持ちがこもった2冊だと思うのですけど、その気持ちに答えられていない研究者が目立ち、読者としてはツライ部分もある一冊。

【目次】
まえがき 性のなかに文化を読む(井上章一)
1.桂離宮にエロスを読む(井上章一)
2.神仙の証―中国古代房中術にみるセックスと飛翔(梅川純代)
3.韓国整形美人事情(申 昌浩)
4.摩登(モダン)上海にうかぶ女体の群れ(劉 建輝)
5.映画のなかの性―戦後映画史における性表現と性意識の変遷(原田信男)
6.「ギャル男」のいる光景(平松隆円)
7.男から生まれた女(田中貴子)
8.ホステスたちは、何を売る? (松田さおり)
あとがき(井上章一)
__________

【BOOKデータベース】パンチラに感謝するフランス人と、平気で見すごす中国人—何に性感を覚えるかは、時代により民族により異なる。人間の性欲とは、きわめて文化的な心の持ちようなのだ。桂離宮から渋谷センター街まで、射精抑圧から女体観察まで、感じて、そそられて、満たされる、秀逸の論究集。 講談社 (2008/11/11)

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by yomodalite | 2009-07-20 19:28 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

性欲の文化史[1]/井上章一(編)

性欲の文化史 1 (講談社選書メチエ)

永井 良和,澁谷 知美,原 武史,唐権,三橋 順子,川井 ゆう,西村 大志,露木 玲/講談社




女性がパンツ(下着)を履くきっかけとなったのは、1930年代、白木屋百貨店の火災の際、火を避けて下に降りようとしたが、裾が風でまくれると下にいる野次馬にのぞかれてしまう。そのとまどいにより何人もの店員が命を失うことになった。パンツが普及したのは、その教訓からだった。という白木屋伝説を知っている人は多いと思う。わたしも、そう信じていました。

ところが、本書の編者、井上氏によればそれは事実ではないという。実はその伝説はまったくのつくり話で、井上氏は、以前『パンツが見える。』(2002年)で、それを実証しているらしい。では、パンツを最初にはきだしたのは、誰だったのか?

それは、カフェーの女給たちだった。彼女たちはパンツを性的な武器に仕立てていた。つまり最初から、パンツは見せることを前提にしていたのだ。

確かに、この件に限らず、歴史には性的なことを隠しやすい性質がある。

「歴史の影に性あり」という、編者の「まえがき」に惹かれ、本書を読んでみました。

下記の目次から章タイトルの中身を短くまとめると、

第1章は、近代日本の遊郭と、欧米との違い
第2章は、1910〜40年代の男子への禁欲とは何だったか。
第3章は、出口王仁三郎『霊界物語』から恋愛・男女観を探る
第4章は、中国の日本風俗史にみられる特徴
第5章は、女装の男娼の実態
第6章は、孕み女(模型)の見せ物史
第7章は、人形、ロボットの愛と性
第8章は、兄妹性交は古今東西、すべての社会で禁じられているわけではない。

こんな感じでしょうか。最後まで読んでも「性欲」と関係ある?と思ってしまう内容も多く、執筆者は、ほぼ全員が大学関係者で、内容はかなり固め。興味を惹かれた内容とは、かなり異なった読後感ではありましたが、バラエティに富んだ内容なので、続けて『性欲の文化史2』も読んでみます。

性欲の文化史【2】/井上章一(編)に続く

【目次】
まえがき−文化のなかに性を読む(井上章一)
1.遊廓の形成と日本文化−「囲い込み」と取り締り−(永井良和)
2.性教育はなぜ男子学生に禁欲を説いたか−1910〜40年代の花柳病言説−(澁谷知美)
3.出口王仁三郎の恋愛観・男女観−『霊界物語』を中心として−(原 武史)
4.日本女性は不淫不妬?−中華文人の日本風俗観察史−(唐 権)
5.女装男娼のテクニックとセクシュアリティ(三橋順子)
6.「胎内十月」の見世物を追って(川井ゆう)
7.「人体模倣」における生と死と性(西村大志)
8.兄妹性交の回避と禁止(露木玲・青木健一)
あとがき(井上章一)

【BOOKデータベース】
洋装下着を流行らせたのは、ほんとうに勤労女性だったのか?なぜ戦前の男子学生は「したくてもじっと我慢」でいなければならなかったのか?歴史の陰に、性あり。人間の本質を見ずして、ほんとうの歴史は語れないのだ!大本教から球体関節人形まで、「魏志倭人伝」の日本女性論から女装男娼まで、時代も地域も縦横無尽に論じ尽くす、珠玉の論考集。講談社 (2008/10/10)


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by yomodalite | 2009-07-13 21:51 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

時代を見通す力/副島隆彦

時代を見通す力

副島 隆彦/PHP研究所



久しぶりに歴史関係で興奮を覚える本。

神道などの日本精神を学ぼうとしてもわからなかった人、日本を愛するきもちから特定アジア諸国への反感に駆り立てられている人、その他さまざまな陰謀に利用されないためにも真実の歴史を見通す力は必要ですよね。

《第1章のポイント》
南宋の文官トップであった文天祥の「正気の歌」(1281年?)が、1660年代の日本の知識人層にものすごく大きな影響を与えた。そこから山崎闇斎(やまざきあんさい)の崎門学(きもんのがく)が生まれ、その後、浅見絅斎(あさみけいさい)の『靖献遺言(せいけんいげん)』の中で文天祥の「正気の歌」が激しく礼讃され、当時の優れた武士たちに強い影響を与え、栗山潜峰(くりやませんぽう)らとともに後の日本の右翼思想の源流ともいえる愛国主義、民族主義が生まれた。

この思想は幕末・明治維新の尊王攘夷の思想につながり、昭和の軍人たちにまでつながった。“昭和維新”の二・二六事件の青年将校たちも、全てこの「正気の歌(せいきのうた)」である。

更にこのあと大日本帝国の思想となって海外膨張主義即ちアジア侵略の思想、東アジア自己防衛戦争、大東亜共栄圏(八紘一宇)の戦略思想にまでなった。

幕末の日本で爆発的に読まれた、平田篤胤(ひらたあつたね)の『出定笑語(しゅつじょうしょうご)』、頼山陽(らいさんよう)の『日本外史』と会沢正志斎(あいざわせいしせい)の『時務策(じむさく)』。この三人の言論人の原型も、すべて文天祥。

日本人の思想の正統性の根拠が、中国の儒学者たちからもらってきた思想であるという複雑な心理と悲しみに、日本という国の知識階級のねじれというか、哀しみがずっと横たわっている。→「日本こそが世界の中心である」(山崎闇斎、山鹿素行、藤田東湖ら)日本中朝論。

《第2章のポイント》
足利・戦国時代から江戸初期まで、禅僧(仏教徒)たちが朱子学を学び講義もしていた。なぜ仏僧たちが、中国の儒教の書物を読み続けたのか?→禅僧たちは、中国との密貿易の文書作成係で、それが彼らの隠された最大の仕事(重要な国家的任務)だった。貿易だけが巨万の富をもたらす。幕末に薩長土肥の4藩が豊かな軍資金をもっていた背景と同様。

頼山陽と平田篤胤が熱狂的に武士階級の人たちから読まれたことが、幕末維新の思想的原動力となる。→儒学の正統である朱子学は当時非常に嫌われていた。昌平坂学問所の教授、古賀精里、尾藤二州、柴野栗山らは、朱子学を講義しながらも内心バカにし(中公文庫「日本の歴史」参考)、国学や、陽明学を学んでいた(→反徳川)。徳川家の一門の中でも、天皇を中心にした政治体制論に傾き始める。

幕末は、僧侶たちに対する激しい憎しみが国内に満ち溢れていた。(→戸籍にあたる宗旨人別帳と豪奢な寺の維持費の負担、墓参りの度に頭を下げなくてはならない「墓質」)

仏教は先祖崇拝とは何の関係もない。お釈迦様は「人間の死に関わるな。葬式に関わるな」とはっきり言っている。仏教と僧侶に対する憎悪が「お伊勢参り」の大流行につながった。「神社」が民衆の信仰を集めた。

神道の中身は何もなく、あるのは「日本民族の真心」だけである。

明治元年と2年の2年間に、全国に廃仏毀釈という運動が吹き荒れる。毀損されていない寺は陰陽寺に変化してしまっていている寺院が全国各地にあり、その典型は浅草寺、目黒不動尊、北野天満宮、四天王寺など。明治以降は、神道の時代になって、神官たちが威張り始めた(→『現人神の創作者たち』山本七平)

仏教界の激しいイデオロギー対立は大乱闘を繰り返し歴代天皇も苦慮した。知識人集団である僧侶たちの危険から、朝廷は侍という武装集団をガードマンとして雇うようになった。(→武士の興り)僧侶たちの集団乱闘の激しさは、学生運動を思い出せばわかる。

浄土宗の原型はキリスト教。特に聖母マリアへの信仰。マリア像が観世音菩薩に変じた。

富永仲基「誠の道」は、松下幸之助に受け継がれた優れた生き方である。
※論文『出場後語』(しゅつじょうこうご)、『翁の文』(おきなのふみ)『出場後語』が百年後に平田篤胤により改変されて『出場笑語』(しゅつじょうしょうご)となる。

尊王攘夷、勤王の思想は好ましいが、冷酷な政治理論としては、どうしても神懸かりであり、偏狭な日本主義を唱えているという世界からの攻撃を免れることはできない。神仏習合・神仏混淆を放置することも同様。

武士が能を好んだ理由....従軍して負傷者を看取り、戦没者を弔う陣僧としての役割を担い、軍旅を慰める興を催す活動から「阿弥衆」として芸能文化の想像に関わることに成った→その後、観阿弥・世阿弥が大成。狂言はそのお笑い版。

(第3章以降後日更新予定)


第1章 「義」の思想を日本が受容した
・文天祥「正気の歌」 
・思想の大義に従って生きること 
・「正気の歌」が中世・近世・近現代の日本史を動かした
・戦後世代の言論の弱点 
・中国人の根底にあるのは孔子ではなく関羽
・富永仲基が暴いたこと 
・平田篤胤の政治パンフレットが革命の発火点 
・裏のない横井小楠たち開明派 
・特攻隊へとつづく忠義の思想
・副島隆彦は現代の文天祥である 
・近代五百年の大きさを知れ 
・「志士」は「侍」ではない 
・戦後日本に蔓延したのは神でも仏でもなく「岩波共産主義」 
・「義」とは何か――政治の中心にある「巨大な悪」 

第2章 現在につながる仏教と神道の対立
・禅僧は密貿易の文書作成係だった 
・朱子学者(徳川体制)が国学(天皇中心)を学んでいた江戸後期 
・名簿を管理していた僧侶たちへの憎しみが明治維新の発火点 
・江戸時代にお伊勢参りが流行したわけ 
・寺の坊主が神社の神官よりも格上だった江戸時代 
・明治、大正、昭和の敗戦までは神官たちが威張っていた
・時代の空気を読んで神官に転向した興福寺の坊主たち
・仏教内部の六百年にわたるイデオロギー闘争
・浄土宗の原型はキリスト教 
・現代の大学教授は役に立たない坊主と同じ
・富永仲基「誠の道」――真面目に働く商人の思想 
・大塩平八郎の檄文も文天祥と同じ思想だ
・吉田松陰『講孟箚記』――日本の正統な支配者は天皇である
・本物の尊王攘夷――土佐「勤王同盟」 水戸「天狗党」
・一橋慶喜に見捨てられた天狗党
・裏切られた公武合体、暗殺された天皇と将軍
・尊王攘夷思想の正しさと偏狭さ 
・清河八郎「回天一番」 
・従軍坊主「戦陣僧」――武士が能を好んだ理由

第3章 江戸中期の思想家、富永仲基を評価する
・日本の神道は中国伝来の道教が原型 
・星占い=近未来予測は、中国の歴代皇帝の重要儀式 
・日本に本物の仏教はない 
・幕末に広く読まれた平田篤胤の『出定笑語』 
・トマス・ペインの『コモン・センス』がアメリカ独立革命の発火点
・富永仲基「加上」の原則――すべての仏典は・の積み重ねだ 
・お釈迦様が本当に説いたことと後世の仏教の違い
・内藤湖南が評価した富永仲基の意義 
・富永仲基の思想を裏切った平田篤胤
・大坂で生まれた町人、商人の思想
・中世の坊主は知識人階級
・天皇の原理とは何か
・神国イデオロギーの危うさ

第4章 黒船来航とロックフェラー石油財閥の始まり
・黒船来航と捕鯨
・石油が燃料になることの発見は世界史的大転換
・鯨油から石油へ、ロックフェラー財閥の勃興
・院政(=GOM)を敷くロックフェラー家 

第5章 明治維新はイギリスの世界戦略の中に組み込まれていた
・映画『カーツーム』でイスラム原理主義を解読する
・明治維新はイギリスの世界戦略の中に組み込まれていた 
・大英帝国内部の政治闘争が属国の運命を決める
・大英帝国内部の自由党VS保守党の政争
・帝国の戦略が、属国の政治を左右する
・覇権国の軍事戦略に世界規模の歴史が見える 
・アフガニスタンでも反乱に苦しんだ大英帝国 
・今も昔も占領地で泥沼に陥る世界覇権国

第6章 昭和史の背後に戦争を仕組んだものたちが潜む
・昭和戦前史から未来が見える 
・泥沼の日中戦争から突然の日米戦争へ 
・浜口・井上「金解禁」=小泉・竹中「郵政民営化」 
・金融恐慌の背後に世界覇権の移行が見える
・“アメリカ帝国”は一九一四年に世界覇権を握った
・民政党=米ロックフェラー=三菱VS政友会=欧ロスチャイルド=三井
・金解禁の背景に米ロックフェラーの世界戦略があった
・日米開戦を仕組んだのは米内光政と山本五十六長官である 
・南京大虐殺はあった 
・“アジア人同士戦わず”アメリカの戦略に騙されるな 
・リットン調査団の本音「満州までは日本にまかせる」 
・米内光政(よないみつまさ)はアメリカのスパイ
・石原莞爾の警告「間違ってもアメリカとは戦争をするな」
・アメリカの常套手段に陥った真珠湾攻撃
・二つの戦争(日中・日米)を同時に勝てるはずがない
・なぜか東京裁判で一人も刑死しなかった海軍軍人A級戦犯 
・「戦争は公共事業」というロックフェラー家の恐るべき思想 
___________

[出版社による紹介]最近は、金融に関する予測本での活躍が目立つ著者であるが、もともとは、日本とアメリカの政治思想を専門とする、右に出る者のない碩学である。著者は、常々「本当は、日本人はどのような思想のもとに生きてゆくべきなのか」を考えてきた。そのヒントは、これまで日本という国、日本人という人種が歩んできた「歴史」のなかにこそ存在する。そこで、著者の知力を総動員して描かれたのが、本書である。 
     
この本は、美しい人間絵巻である司馬遼太郎が描いたような歴史観には基づかない。過去の人々が、なるべく一般庶民のまえに出すまいとしてきたであろう事実を表に出し、本当に起きていたことは何なのかを抉り出すことに全力を注いでいる。読者は、戸惑いと驚きの中で、今まで誰も教えてくれなかった、真の歴史考察と直面するであろう。日本人必読の一冊である。


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by yomodalite | 2008-08-04 16:08 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

テロルの真犯人/加藤紘一

テロルの真犯人

加藤 紘一/講談社




政治家の発言というのは難しいのだと思う。責任をもった政治家ほど、真実が言えなくなるのでしょう。政治家は学者と違って、常に「勝負」の世界。「実」を取らなければ、何の意味もない。加藤氏は、政治家を志したときから、いずれは総理を目指すまでの経験と学習を積んできた人だと思う。

アジアばかりに媚びていると言われるが、政治とヤクザの世界は似ていて、アメリカも、EUも、中国も大事だなどと言う政治家は、結局、そのいずれとも関係を保つことは出来ない。しかし日本という国にとっては、いずれの国とも良好な関係を築くことこそ国益であるはず。それゆえ親中派の政治家を「媚中派」などと言って貶めるのは、愛国者のすべきことではない。

現在、媚中派というレッテルを一身に浴びている加藤氏だが、親中であればすべて批判されるようなネット世論には、かつて中国との国交を結んだことにより、アメリカから失脚させられた田中角栄氏と同じく、親米派の策略を見るべきだと思う。マスコミや、ネットでの論調に左右されずに、真実の加藤氏を少しでも知りたいと考え、本著を読んでみた。

加藤宅の放火事件の真の原因、正体とは何なのか。という思いが『テロルの真犯人』というタイトルになっている。老テロリストを突き動かした加藤氏の靖国発言から、自らの発言の歴史をふりかえる第1章、第2章。

内務官僚として生まれた生い立ちを語った第3章。アメリカ留学、台湾赴任を経て、中国をライフワークとし、出馬を決心した第4章。政治家の発言と責任。「加藤の乱」への反省、小沢、宮澤、大平、渡辺美智雄などの発言をふりかえる第5章。

第6章は、小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』に見られる靖国史観、小泉外交への批判。ナショナリズムの危険な側面に注意すべきという第7章。「真犯人」と題されたエピローグでは、テロルの真犯人は、小林よしのり氏の作品により戦争がフィクション化され、再生したことによる浮世離れした現代人の心の隙間に潜んでいる。と結論づけている。

で、本著を読んだ感想を、一言でいうなら、「やっぱり、この人はダメである」。
必死に肩を持とうと読んだにも関わらず。。。。

第6章で、小林氏の『戦争論』を、手にするにはずいぶんためらいがあり、つい最近読んだというのは、エリートである加藤氏の正直な発言だろうが、この後に続くのが、読んでみたら素晴らしいマンガだったというなら、これでも良いが、本著発売の8年前に出版され、未だに売れている政治本として異例のベストセラー本に対して反論なら、あまりにも危機感が無さ過ぎる。日本への不満に対して中国に見せる細やかな気遣いを、どうして自国民にできないのだろうか? 

加藤氏が言う、日本会議や松平宮司の背景にいる旧軍人グループ、昭和天皇の松平宮司への不信感といった問題は重要であるが、その重要さを国民に伝えようとする努力が、小林よしのり氏の1000分の一もない。安易なナショナリズムを危険視し、今後のアメリカとの付き合いを考えなくてはいけないと思うなら、保守の名を借りた親米派を「ポチ保守」と名付けた小林氏に対してもう少し別の態度もあったのでは。

どんなに、中国の肩をもったところで、自国民に信頼のない政治家は中国も信頼しない。
加藤氏がどんなにアジア外交が重要だと言っても、アメリカも別に危険視しないだろう。
田中角栄、真紀子、鈴木宗男、小林よしのりのような影響力がないから。

この人を見ていると、アジアで戦争が起こった後に「平和主義者」として、生き残ってそうな気がしてならない。小沢氏に対して、自己像を正確に描いていたら、と言っているが、加藤氏の自己像と、国民から見える像のズレは、広がっていく一方です。

老テロリストへ、冷静な態度で、真犯人を「時代の空気」との位置づけたが、
「時代の空気」に反していることへの危機感が全くなく、まるで回答を用意しての「自作自演」だったのか、という疑いすら抱かせる。
なぜか、この人の場合、軸がぶれない態度に政治家としての大きさよりも、無風の山形から出た官僚出身2世議員の傲慢さのようなものが鼻を突いてならない。

愛国者団体というよりは、アメリカの鉄砲玉の右翼が、反靖国発言で本当に脅すかな〜〜。

「加藤紘一オフィシャルサイト」
http://www.katokoichi.org/

上記サイトにある、「拉致被害者を返して、国交正常化」という案は本当に実行力があったものなのかが、未だにわからない。実行力がなかったと思われる理由は、

○なぜ北朝鮮による拉致は、これほど長い間放置され公表されなかったのか。
○拉致犯罪を公表するタイミングはアメリカの指示だったのではないのか。
○なぜ小泉しか行けなかったのか。
○国交正常化重視派の元には、拉致被害者の情報が正確に伝わっていたのか。
○情報があったのなら、国交正常化重視派は、小泉が行く前に、拉致被害者が第三国で見つかったという事態をなぜ作れなかったのか。
○国交正常化重視派の元に情報があれば、亡くなった人に対して、亡くなった理由や、
遺骨、北朝鮮での家族に語らせるなど、全面解決を演出するには、相当の準備が必要と思われるが、返すための根回しを事前に一切やらないで、遺族や国民をどう説得するつもりだったのか。
○加藤氏は、安倍さえいなければと言うが、親中派はなんの成果もあげていない。

以上の疑問から、北朝鮮の拉致を顕現させたのは、アメリカの後押しがあったのではないかという疑惑が拭えない。国交正常化重視派は、拉致被害者の情報があったのなら、その後の工作を何もしていないのは、無能としか言いようがないし、被害者を返すということの、国民説明の工夫もまったくしておらず、返したら「こんなにいいことがあった」と夢想しているとしか考えられない。拉致被害が、大きく取り上げられる前なら可能だった案だと思うが、あれほどの被害者がいて、国民が納得する具体性が何もない。

親米派の小泉だったから、金正日に会えたのではないのか。
だとしたら、日本と北朝鮮の国交正常化をアメリカが許しただろうか。

「北朝鮮が拉致を認めて謝罪したあの時、北朝鮮はアメリカの攻撃を恐れていた。だからこそ、一気呵成に交渉を進めて、拉致問題の全面解決を図るべきだった。」

加藤氏の考えは、

お互いアメリカに虐められて大変だったね。でも日本は北朝鮮のきもちはわかるからこれ以上は責めないよ。だって大変な時期だったんだから、拉致だってしょうがないよ。お互い協力して、アメリカに少しでも対抗していこうよ。ねえ困っていることない?

ということかな。
「国交正常化」にどんなイイことがあるか、それが何十人、何百人もいると言われている拉致被害者を犠牲にしても、なお重要なら、国民を納得する説明のしかたを、もっと真剣に考えるべきなんだけど。。。

時代の空気に流されないのは、大事なことだけど、時代の空気への対応に鈍感すぎるというか、国民は賢い自分に従っていればいいのだ、という姿勢が今また、国民への説明不足により批判されている。本当に国益や、戦争回避のためなら、拉致被害者家族に会って、泣きながらでも話しあいをすべきだ。自国民を説得できないで、どうして北朝鮮と交渉できるのだろう・・・

真に優秀な親中派の政治家が早く現れてほしいです(はあと)
______________

【出版社/著者からの内容紹介】なぜ、狙われたのか。
老テロリストを決起させたのは、尖鋭化していく「時代の空気」だった。政治家の一言が、人を動かし、時代の歯車を回す。政治家にとって、言葉とはなにか。覚悟とはなにか。それでも私は、発言を続ける。講談社 (2006/12/19)

【本書の主な内容】
●絵に描いたような全焼
●同世代の犯人
●「それが私の心だ」
●私はなにを発言してきたか
●安倍首相の訪中
●日中のわだかまりはなぜ消えないか
●内務官僚の子
●復員した兵士たちの体験談
●朝鮮人差別
●「靖国の妻」たち
●私の中国体験
●畏友の自死
●吉田茂の訓辞
●キッシンジャーに騙された
●「加藤の乱」から小泉劇場へ
●日本会議と『ゴーマニズム宣言』
●オリンピック、ワールドカップの愛国心
●自由電子化する国民

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by yomodalite | 2008-07-11 17:31 | 政治・外交 | Trackback | Comments(1)

天皇がわかれば日本がわかる/斎川真

天皇がわかれば日本がわかる (ちくま新書)

斎川眞/筑摩書房



名著。

以下内容メモ 。

中国の皇帝と日本の天皇は同格と日本人は思っているが、中国人は外国に皇帝が任命した王がいるが、天皇が任命した王はいない。

天皇とは、北極星を意味する言葉である。

日本を理解するキーワードは「律令国家」。もともと部族制国家であった「倭国」が、唐から輸入アレンジした「律令」によって律令国家を目指し、中華帝国の冊封体制を脱して「日本」となり、明治維新後「イギリス・プロシア型政体」がミックスして、「大日本帝国」となった。

さらに戦後「アメリカ型政体」までも加わって、現在の「日本国」となった。

「日本はサブカルチャーの国である」

【目 次】
●第1部 天皇という称号(「天皇」とは、そもそも法律用語である。
「天皇」とは、「北極星」のことである
君主の称号とは、臣下が献上するものである
日本の天皇号は、臣下が献上した
天皇は、「倭の五王」の子孫である
天皇の統治は、高天原の神の委任である
天皇の「姓」は、宮号である)
●第2部 中国と日本(「冊封体制」とは何か
冊封体制とは、中華帝国の世界秩序のことである
天命思想とは、王朝交替の思想である
日本は、中華帝国に朝貢して、世界史に登場した
遣隋使・遣唐使は、中華帝国の官職・爵号はいらないと伝えた
日本という国名は、律令体制に伴ってあらわれる)
第3部 日本律令国家(日本は、中華帝国のような国家になりたかった
日本は、律令を作るために、中国から律令の写本を運んできた
日本の血統原理の正当性は王朝交替思想を排除して成立した
律令国家は、行政指導・官僚統制型の国家である
結論 そして、国家の枠だけが残った)

___________

【本の内容】天皇の称号はいつ成立したのか。
天皇はなぜ続いてきたのか。
この疑問にただちに答えられる人は多くはないだろう。
天皇を長とする古代律令国家は、経済変動のために崩壊し、公家政治から武家政治へと時代は移ったが、それにもかかわらず、天皇と律令システムの正統性は失われなかった。
明治の日本は律令国家の直系の子孫であり、じつは今の日本もれっきとしたその跡継ぎなのだ。ウルトラ混合政体にいたる日本国家の本質とその由来の謎をはじめてわかりやすく解き明かす新・日本学入門。筑摩書房 (1999/10)

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by yomodalite | 2007-07-22 10:55 | 天皇・皇室 | Trackback | Comments(0)

大地の咆哮/杉本信行

大地の咆哮 元上海総領事が見た中国

杉本 信行/PHP研究所

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日本を背負って働き、命を縮められた著者には哀悼の意を表したい。

巻末の付録「日中を隔てる五つの誤解と対処法」、中国人との歴史対話という、現場における最も重いテーマについて、具体的な対処マニュアルを提示している。

全体的に読みにくい印象あり。また上海駐在員の自殺の真相については物足りなさが残る。
__________

【出版社/著者からの内容紹介】2004年5月、在上海日本総領事館の館員が、中国側公安当局者による恫喝と脅迫に苦しめられ、自殺の道を選んだ事件は、日本人に大きな衝撃を与えた。そのときの総領事が著者である。
同年秋、一時帰国した著者は、自らの体に病巣があることを知る。医師から告げられた最終診断は末期がんであった。抗がん剤による激しい副作用と闘いながら、日本と中国の未来を見据えて書いたのが本書である。

「解説文」を執筆した岡本行夫氏(国際問題アドバイザー)はこう語る。「この本は現在の中国を分析するものとして世界中で書かれた多くの著作のうちでも屈指のものだと思う」「現役の外交官が、病気と闘う中で、自分の経験と考えを、脚色や誤魔化しなしに、そのまま我々に伝える決心をした」
著者はいう。「中国認識で大切なことは、机上の理論を排した現実に即して中国を理解することだ」と。その言葉どおり、日本人が知らない中国の実態を明らかにした大著。

[MARCデータベース]中国は日本にとって時としてやっかいな隣国であるが、だからといって引っ越すわけにもいかない。約30年間、中国外交の第一線で活躍した元上海総領事が、知られざる大国の実態と問題点を、その歴史と現状から分析する。





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by yomodalite | 2007-04-19 18:38 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

満漢全席/南條竹則

満漢全席―中華料理小説 (集英社文庫)

南條 竹則/集英社

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英国文学翻訳者という経歴が禍いしてか、文章のシズル感に乏しいのですけど「満漢全席」の資料としては貴重。

下記は、そのメニューの内容

◎『○宋宮廷御宴/満漢全席・菜単』
綉花高装四果塁・僊乾果子叉袋児・雕花蜜煎一行・雕切果蔬造形・一品焼?奉献・悦目精美賞点(祭壇に並べられていた、スイカの種、落花生、カシューナッツ、杏仁、味付けされた杏子や棗、オリーブ、やまもも、らしい)

◎「迎賓四抓果」
・砂糖黍、梨、バナナ、林檎、金橘、ライチ、龍眼〜釈迦頭(松毬か仏様の頭のような鱗状のまる丸い果実で、中にドロッとした甘い濃厚な味の果肉。燕の窩入りシロップをかけてもらえる。蟹や海老の入った小ロンポウ。各種蒸餃子
◎「猫耳朶」(薄味のスープに米粒ほどのニョッキに似たもの)
◎「桂花鮮栗羹」(金木犀の香りをつけた栗の汁粉)
◎「珍珠火鍋」(しゃぶしゃぶ)

(薄青い南宋風の砕磁器に盛られた大皿料理)
◎「望海相邀 ぼうかいそうよう」(フカヒレ、海鼠、鮑、海老、貝柱、魚の浮袋などの他に厚さ2センチ程の雑煮の餅のようなもの<沙魚という魚の皮>
◎「蟹醸橙」(オレンジをくりぬいて蟹の卵と肉を詰め、酒と黒酢の上に置いて蒸し上げたもの)
◎「魚脳羹」(淡水魚の脳みそのあつもの)
◎「鮮蝦駝蹄膾」(駱駝の足の煮込みに、大ぶりの川海老のむき身が添えてある。動物園の檻の前に立ったときの臭気で、皆一口以上食べられない)
◎「炙小骨頭」(スペアリブ)
◎「東坡鹿肉」(鹿の胸肉を甘辛く煮込んだ)「東坡鳩膾」(同じく鳩を使用)
◎「武林○鴨」(家鴨の煮物)
◎「決明兜子」(すきとおった片栗の衣の中に、海老と魚片、金華火腿、香菜などが包まれている)
◎「牛尾狸」(蟹の卵入りあつものと、しょうゆで煮込んだ骨付き肉と包子)
(ここで午後2時半〜5時まで休憩)

卓上には、はみうり、オレンジ、スターフルーツ、文旦などの水菓子が並べられている。

◎「雪花蛤士蟆」(くず湯のような点心)
◎鶴と松を象った冷盆(卵の白身、家鴨の肉とキュウリ、小海老、トマト、ブロッコリー、薫製魚、白菜の酢漬け、豆いも、卵巻き、家鴨の舌などの8種のおつまみ

晩の部の献立/2コース
<豪門八大菜>
◎踏雪探梅(熊の手。豚足のよりも歯ごたえがあり、野獣の匂いがする)
◎曲院風荷(フカヒレの姿煮)
◎阮○環碧(駱駝のこぶとスッポンの脚)
◎白玉蔵珍(三角形の薄片状の豆腐。表面に香菜、蟹の卵がのせてある)
◎鹿鳴幽谷(鹿の尾と家鴨の舌の醤油煮込みを水墨画のように盛りつけてある)
◎玉龍行空(桂魚のクリームソース和え)
◎亀鶴同春(十年生きた泥亀と山鳥のスープ。薬膳風)

中休み(点心・江南春色/粉でこしらえた餅で白鳥が創られている)

<後半のコース>
◎「海底潜龍」(もずくのような髪菜)
◎「明月相照」(燕の窩のスープ)
◎「麒麟送子」(四不像の鼻の周囲に白い魚団子が並んでいる)
◎「青竹水暖」(竹の蒸したのを青竹の形に並べて竹の節にあたる部分に金華火腿がはさんである)
◎「春江水暖」(皿に薄紫の寒天を敷き、その上に水辺の葦のごとくならべてあるのは、へちまをくりぬいて筒状にし、飛龍鳥の肉を詰めて蒸したもの)
◎2点の点心「彩蝶恋花」「菊黄蟹肥」(蟹肉をつかった点心。極旨らしい)
◎「芙蓉出水」(白身魚のスープ)
◎「○人指路」(鹿のペニスに当帰、霊芝、人参などが入っている薬膳スープ)

宴は、夜の11時頃終了した模様。
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[BOOKデータベース]変調社主催の文学賞賞金500万円をあてに、究極の中華料理ツアーを企画する南蝶氏だがム豪華絢爛、抱腹絶倒の世界が織り成す「東瀛の客」、麺なしでは生きられないメンクイの丘君が、美女にゆかりの麺の霊に取り憑かれる「麺妖」、豚足の食べっぷりを白髯の老人に見込まれたなんでふ氏が遭遇する奇妙な世界「猪脚精」、他に「華夏第一楼」「老酒の瓶」「餃子地獄」「画中餅」など、いずれも現実と幻想の世界があやしく交錯する、食通と呑んべえ必読の中華料理小説。
※第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作家が描く傑作中華料理小説。全7編

[著者紹介]
南條竹則/東大大学院修士課程を修了。電気通信大学、学習院大学で教鞭と執るかたわら、英国幻想小説を中心に精力的な翻訳活動を続けている。平成5年日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。賞金で「酒仙」ツアーを催し、杭州で幻の宮廷料理「満漢全席」の大宴を開き、本書を執筆する。
主な翻訳書/アーサー・マッケン「輝く金字塔」、共訳書にマリオ・ブラーツ「肉体と死と悪魔」「イギリス幻想小説傑作集」など。

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by yomodalite | 2007-03-28 16:26 | 文学 | Trackback | Comments(0)

福沢諭吉の真実/平山洋

福沢諭吉の真実 (文春新書)

平山 洋/文藝春秋

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『福沢諭吉全集』の中に諭吉以外の人物が書いた文章が入っている、という重大な主張が本書の趣旨。福沢は「脱亜入欧」を主張していない?!体裁は地味だが内容は大変刺激的な著書。これをを徹底的に批判している安川寿之助『福沢諭吉の戦争論と天皇制論』が上梓されたらしい。

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【BOOKデータベースより】日本の文明開化を先導した偉大な思想家福沢諭吉は、アジアを蔑視し中国大陸への侵略を肯定する文章をたくさん残している。それを理由に福沢を全否定しようとする動きも絶えない。確かに現在も刊行されている福沢の全集にはその種の文章が多数収録されている。しかし、それを書いたのは本当に福沢本人なのか。もし、誰かが福沢の作品ではないものを福沢の真筆と偽って全集にもぐりこませていたとしたら…。この巧妙な思想犯罪の犯人は一体誰なのか。

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by yomodalite | 2007-03-26 22:18 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

共産中国はアメリカがつくった/ジョセフ・マッカーシー(著)副島隆彦(監修)

共産中国はアメリカがつくった-G・マーシャルの背信外交

ジョゼフ・マッカーシー,副島 隆彦,本原 俊裕/成甲書房




非常に重要な本。安易な特定アジア批判に熱中することが、いかに間違った外交意識を生み出すか、現在の日本が陥っている状態への警告をうながす書。翻訳本のタイトルはそれを明確に伝えている。もっともっと話題にすべき。

★★★★☆

世相のウラを読む(132) 拉致問題のウラに隠された真実

(引用開始)

六カ国協議は一向に進展しない。しかも、わが国の悲願である拉致問題解決はこのところ協議されないし、議題にさえのぼらない。これは事実である。後で日本を除く関係者がどのように言い繕おうとも以前の協議合意後の声明文の中にも盛り込まれなかったのだから、今後も取り上げられない事は明らかだ。その原因はどこにあるか。新聞・テレビの分析はいずれも的外れだ。
 
この原因は、アメリカ政府が本気で拉致問題を解決しようする意思がないからだ。それはなぜか。アメリカ国民は拉致被害者に対して大変好意的ではなかったか。そのアメリカ政府がなぜ本気にならないのか。その事を理解するためには、ある事実を知る必要がある。それは、北朝鮮という国はアメリカ政府が間接的に作った国だからだ。
 
へえ、そんなバカな、と思う人がほとんどだろう。だが、これは真実なのである。まず第一に知らなければならない事は、「共産中国はアメリカが作った」(ジョゼフ・マッカーシー米上院議員の著作)という書物が存在することだ。また、これを裏付ける資料が最近出てきた。それは「ヴェノナ文書」というものだ。これは、アメリカと旧ソ連の間で交わされた暗号電報を、1930年代から1940年代にかけて傍受し、暗号を解読したアメリカ国家安全保障局(NSA)の記録文書である。コラム子は原書でこれを入手した。いつか機会が出来れば誰かに翻訳して貰いたいと思っている。
 
長らくこの文書は極秘扱いされ、噂になったことはあるが真相が明らかになるには至らなかった。それが、ついに1995年7月11日公開された。ロシアと米国の資料がつき合わされ、かつての米国地下共産党の活動が明らかになり始めた。米国地下共産党は民主党を隠れ蓑にして議会に入り込んでいたほか、政府中枢部に浸透し、政策決定にまで深く関わっていた。アメリカにソ連スパイ網が作られていたのである。この文書の存在と公開は米国一般市民に強い衝撃を与えた。
 
まずその影響が出たのは、悪名高かった「赤狩りマッカーシズム」が再評価され、正当なものとして認められ始めた事。昔の話で済まなくなったのである。つまりだ、先に挙げたマッカーシー議員の著作は全く正しかった。共産国中国はアメリカがてこ入れし、ルーズヴェルトがクレムリンの共産主義者に売った結果なのだ。どうしてこんな事が起ったのかはこの本の中に詳しく書かれている。

彼ら(ルーズヴェルト及びマーシャル、そして米国地下共産党とクレムリン)の最終目的は極東の共産化という途方もない策謀であった。それが防止されたのはダグラス・マッカーサー将軍並びに日本国民の強い決意のたまものである。マッカーサー将軍という人はこの意味で日本の大恩人なのである。彼は順当であればアメリカ大統領になるはずであった。アイゼンハワーという軍人は、マッカーサーからすればまるで能なしであり、指揮官の器ではない、とその能力を認めていなかった。
 
結果として共産化した中国は、北朝鮮をそそのかして38度線を越境し南朝鮮に攻め込んだ。日本駐留の米軍が迎え撃ったが、本来あるべきはずの米本国からの軍事物資の補給は全くなく、当初は苦戦を強いられたが、次善の策として日本からの補給に切り替え、北朝鮮軍を38度線まで押し戻し、背後にいる中国赤軍をも脅かす情勢となった。これはマッカーサー将軍の優れた戦略能力と、奇跡的に回復していた日本の工業力が背景にある。
 
これを聞いたトルーマン大統領は仰天した。なぜなら北朝鮮の38度線越境はマーシャルを始めとするアメリカ民主党左派リベラルが仕組んだ中国及びソ連との密約の結果であり、朝鮮半島の共産化は既定の事実であったからだ。恐らく爾後日本の共産化は時間の問題であるとふんでいたのだろう。それが阻まれたのだから、トルーマンは慌てた。直ちにマッカーサーを軍司令官から解任し、本国に呼び戻した。しかし本国では北朝鮮軍を破り中国を慌てさせた手腕に対し、国民の喝采は大変なものであったという。
 
想像するに、以後のマッカーサーに対しての誹謗・中傷や、嫌がらせ、大統領にさせまいとする民主党内の隠れ共産党員の策略は想像を絶するものがあったであろう。もし、彼が大統領になっていれば、ヴェトナム戦争やそれに続く血なまぐさい陰謀、東西冷戦などは起り得なかった。
 
今、アメリカ国民の戦中・戦後の歴史観は大きく変わろうとしている。コラム子がかねてより指摘してきた通り、価値観が180度ひっくり返る日もそれほど遠い事ではない。それに引き換え日本はどうか。北朝鮮の拉致問題一つを取ってみても、真実をつかんで交渉しているとは言い難い。北朝鮮が拉致して連れ帰った日本人は、日本共産化の尖兵にしようと企んだ結果なのだ。アメリカがその事を知らなかったはずがない。そしてそれはアメリカが仕組んだ、中国及びそれに続く北朝鮮の共産化が原因なのだ。そんなアメリカに拉致問題を解決しようとする意思がないのは当たり前である。
 
ではどうすればいいのか。答えは簡単である。アメリカ追随政策を直ちに改め、日本の独自外交を展開すればいいだけである。真に日本の利害をはっきり表明し、言うべき事を言う外交姿勢に改めなければならない。アメリカに脅されて腰を引くような臆病な外交官は直ちにクビにせよ。アメリカナイズされた政治家や学者は売国奴として追放せよ。
 
田中角栄はただ一人独自外交を始めようとしてアメリカ(キッシンジャー)に睨まれ失脚させられた。その片棒を担いだのは自民党内の親アメリカ派と、アメリカにマインドコントロールされたマスコミである。
 
最後に、長くなるが真珠湾奇襲攻撃はルーズヴェルトによって仕組まれた罠であった、と暴露したジョン・コールマン博士の文書から引用する。
「朝鮮戦争が起きると、日本に対するマッカーサーの政策は実質的な成果を上げ、両国に益をもたらした。とりわけ、ワシントンの強い反対を押し切って、幣原喜重郎(しではら きじゅうろう)を超党派内閣の首相として残したその政策は、日米両国民の友好的関係の修復という点で、大きな分岐点(ターニングポイント)となった。1946年4月10日(第一回総選挙の日)には、共産党の立候補者はほとんど落選し、中道政党による新たな政府が復活した。
 
だが、こうした屈辱を甘受するような『中国専門家=チャイナ・ギャング』ではなかった。彼らはマッカーサー将軍の強い反対にもめげず、——連合国の後押しを得て、日本でも『知識人、ビジネスマンも含む、攻撃的国粋主義活動分子』に対して、レーニンのやりかたを思わせるような『粛清=パージ』を展開した。これはトルーマン大統領によって仕向けられた方策だった。

同大統領はマッカーサー将軍による日本とアメリカの関係修復策にことごとく反対した。そして何と言っても、この大統領の名は1945年8月6日の、広島への原爆投下を決定した大統領として、(三日後には長崎への投下も決定している)記憶にとどめられるに違いない。どちらの都市への原爆投下も日本政府が降伏文書に調印することを同意したあとのことだった。
 
計算され尽くしたこの残虐行為で、三十万名(95%が一般市民だった)の日本人が死亡した。『アメリカ人の生命を救う』ため、というその釈明は——就任後、トルーマンも無条件降伏の政策をとり続けた事実と照らし合わせると——まったく筋が通らず、説得力も希薄である。本当に『アメリカ人の生命を救う』ことを望んでいたとすれば、『無条件降伏』つまり、前大統領によって植えつけられた復讐心と憎しみに立脚した政策を撤回すれば、それで事足りたはずである」
 
日本人もここらで、本当の歴史認識と真実に目覚めなければならない。

(引用終了)

【目 次】
第1章 なぜ私はマーシャルを糾弾するのか
第2章 マーシャルと第二戦線
第3章 ベルリンを落とさなかったアメリカ軍
第4章 ヤルタ会談での背信行為
第5章 裏切られた蒋介石
第6章 共産中国はアメリカがつくった
第7章 マーシャルの任務とは何だったのか
第8章 マーシャル=プランの虚妄を暴く
第9章 マーシャル‐アチソンによる謀略戦略

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[内容紹介]共産主義と資本主義の対立による米ソ冷戦は、すべて捏造されたものだった! アメリカを第二次世界大戦の勝利国に導いた英雄、ジョージ・マーシャル国防長官を糾弾。その不可解な政策決定の数々を詳細に解き明かしていく。 ジョージ・マーシャルは、戦後復興計画の「マーシャル・プラン」によりノーベル平和賞を受賞した。マッカーシズム、赤狩り・・・・これらの意図を覆す刺激的な著作。1951年に刊行されたものを、副島氏の監修により復活。

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by yomodalite | 2007-03-23 22:44 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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