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差別をしよう!(14歳の世渡り術)

ホーキング青山/河出書房新社

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“史上初の身障者お笑い芸人”ホーキング青山氏による差別論。

大銀座落語祭で初めてライブを観て以来、青山氏には注目していて、月1のトークライブにも何度か行っていますが、著書を読むのは今回がはじめてです。

本書は河出書房の“14歳の世渡り術”というシリーズのもので、他にも雨宮処凛の『右翼と左翼はどうちがう?』、あさのあつこの『復讐プランナー』、豊崎由美の『勝てる読書』、伊勢崎賢治の『さよなら紛争〜武装解除人が見た世界の現実』など、興味深いラインナップの中、青山氏は、中学生に「差別」をどう語ったのでしょうか。

第1章『障害者ですが、障害者が嫌いです』では、
氏がお笑い芸人になるまでの紹介に加え、芸人として15年やってこれたことを「障害者のくせに障害者が嫌いだったから」と理由づけている

第2章『「障害者」は商売道具なんでしょうか』では、
“お年寄りや障害者ともっと真正面から向き合わないと”という風潮から、これまでの障害者のイメージを払拭しそうな存在として重宝された自身のこれまでの成功と失敗。自分に関わってきた様々な人々は“障害者”をどう見ているか。

第3章『自分だって「障害者」を利用してきた』では、
まだまだもの珍しさで飯食う日々への苛立ち、周囲から消えない“面倒を見てやっている”という意識への苦しみ、デビュー当時に支援してくれた人々を失ってから気付いたこと。

第4章『オレが「差別しよう!」と訴えるワケ』では、
人間は皆差別したりされたりして生きている。自分が障害者が嫌いな理由のひとつは、“自分たちはなにもしてないのに差別されている”と本気で思っている点。人が人として生きていくための一番必要なものは「自信」。イジメにもニートにも、それは当てはまる。自信をもつためには差別してもイイ。

第5章『過剰平等社会って、本当に苦しいんです』では、
「お笑い」は、そもそも差別である。障害者を見て自信をもつのはアリ。人は皆他人と比べることによって、自信を培っていく。自分が介護施設を作るハメになった理由。

第6章『だから、差別をしよう』では、
モテないのを障害のせいにするな。差別をすることが自信に繋がる。コンプレックスは必要。「平等」は「個性」を奪う。「差別」をなくすために「差別」をしよう!

さて、章ごとの内容の簡略メモは以上ですが、「差別」を中学生にどう語るか?という点での評価は、アラフォーも卒業準備に入った、元中学生にはよくわかりません。

ただ芸人青山ファンとしては、本書は複雑です。

青山氏には、大銀座落語祭で出会ったせいか、落語家としてのイメージがあります。高座で座っておられますし。。(笑)。そのせいでしょうか、自分にとっては、青山氏は、落語をやるうえでは、何の障害もないどころか、乙武氏を交えた、氏にしかできない鉄板ネタをもっているうえに、座っておられるお姿は“テディベア”ぽい♡

第一級の障害者でありながら、それを“個性”に昇華させている青山氏には、今からでももっと「落語」にもっと接近して欲しい。古典落語でなくても、型がある芸の方が、青山氏の芸に合っているし、落語家としての方が、メジャー化計画は容易いのでは?と考えていました。

ところが、トークライブに行ってわかったのですが、青山氏は、障害者タレントだけのライブを開催したり、本書にもあるように、介護施設を作ったり、最初の出会いから、若干感づいてはいましたが、その誇り高い性格から、何かとリーダー的な仕事を次々と受けてしまわれるようです。

芸人ホーキング青山しか見ていなかったので、想像していなかったというか、彼の芸を堪能するうえで、障害者だから、大変そうという見方は失礼だと思っていた、日常での苦労話や、スタッフとの軋轢話は、特に複雑な心境で読みました。

まだ、ホーキング青山を知らない中学生には、氏が言うように「障害者を見て優越感に浸って、大いに『自信』を持つ」ことにより、成長することが出来るのかもしれませんが、15年芸人として、観客を楽しませてきたことの重みがわかる大人には、第3章の世間の「壁」の話は、やっぱり“ 言わぬが華 ”だったのでは?とも感じました。

また、第2章のスタッフとのトラブルの話は中学生にはわかりにくく、大人にはもっと具体的な内容の方がよかったように思うのですが、いずれにしろ、障害者は商売道具か?という問いに、キャリアを積んだ芸人である、青山氏自身がまだ悩んでいる、ことが感じられて、その点で結論との違和感を覚えました。

とにもかくにも、色々やきもきさせられてしまうホーキング青山氏には、今後も目が離せないのですが、本書は、芸人“青山”を好きな人よりも、教育者の方にオススメかな。


◎ホーキング青山ブログ
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【内容紹介】友達に嫌われないための平等なんておかしい。だったら、差別して差別されて、そこから個性を探せばイイ。身体障害者芸人が、自ら浴びてきた視線を跳ね返す差別のススメ。ビートたけし推薦!

【著者について】94年に“史上初の身体障害者のお笑い芸人” としてデビュー。お笑い活動と平行して、09年4月に「訪問介護事業所ENJOY」を開設。主な著書に『お笑い! バリアフリー・セックス』などがある。河出書房新社 (2009/9/19)



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by yomodalite | 2009-10-13 14:09 | 精神・教育・自己啓発 | Trackback | Comments(4)
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「大銀座落語祭2007」入場無料イベントのホーキング青山ライブに行きました。

青山氏に関しては、相当以前のTVドキュメントで見て以来。ライブはもちろん初めて。他のチケット入手にことごとく失敗した後に、やっと当選できた公演でしたが、当選ハガキが、2通も届いたうえに(重複応募ではない)、その後時間訂正のハガキが届くなど、運営側のやる気のなさ&不人気が感じられ、まったく期待していませんでしたが、ライブは驚くほど面白かった。

会場には、青山氏と同世代や、もっと若い世代の人は少なく、車イスの人が4〜5人、年齢は45〜60歳ぐらいの人が多く、お笑いライブに来たというよりも、政治家の後援会(行ったことはないですが)に来たような客層に、期待値は下がる一方でしたが、

青山氏が登場すると、

「ホーキング青山って知ってました? わけわかんないで、なんか連れて来られたんでしょ?無料だしね、感謝するものなんかね〜〜デヴューしてから13年なんですよ〜」

談志、たけしとの出会い、素人時代の週刊SPAでの特集、TVドキュメント出演を経て、障害者初のお笑い芸人へと嵌められていく。物珍しさもあり、当初なかなかの人気を博すものの、後発の障害者である「乙武」に、ことごとく「してやられる」という、ファンにはお馴染みらしい「乙武」ネタのようですが、ついに乙武本人からMixi経由で、「M1」出場の際は、ぜひ相方にして欲しいという、告白を得、最強のツータッグ誕生の夢が語られると、会場は「夢の競演」に大いに盛り上がる。

自らのTV出演に対しては、細木数子に、「あんた地獄に落ちるわよ」と言われるほど、TVのバリアフリー化は出来ていないと嘆き、年金問題、北朝鮮、コムスンなどの時事ネタを、障害者ならではの切り口で語られるや、会場は、ドッカンドッカン、爆笑のテンポは益々早くなる。

お笑い反射神経の鈍そうな観客を前に、1時間余りの時間内で、くすっ、にやりではなく、これだけの爆笑回数が多いライブはあまりないです。そして最後は、高田のテーマ?による怒濤のエンディング。

今回のライブで、ホーキング青山が、談志、たけし等と同様の「毒」を持ちつつも、彼らが努力しても到底及ばない「かわいらしさ」をもつ「一流芸人」だということがわかりました。お笑いライブを観たのは、師弟競演「談志 志の輔 夢一夜」以来ですが、青山さんのライブを観て、思い出したのは、高座中に、志ん生が寝てしまっても、観客が起こさないエピソード。彼の魅力は志ん生の「かわいらしさ」に通じています。晩年まで確実に観たい芸人さんです。

【ネタバレしない程度の個人的メモ】
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by yomodalite | 2007-07-17 13:18 | お笑い・落語 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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