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☆「ジョン・レノン Part 5」の続き

中断していた「マイケルと神について」を再開したいと思います。

Part 1~ Part 5と、ジョンの訳詞、Instant Karma、Mind Games、All you need is love、Watching The Wheels、Woman に書いたことも含めて、ジョン・レノンという人が、ビートルズ解散後、何を考え、何をしてきたのか?ということを、できるだけ、ジョン自身の言葉で綴りたいと思ったのですが、私が感じた部分すべて抜き書きするわけにもいかず、今、読み返してみると、説明の仕方に反省しきりなんですけど、

昨日の日経新聞(新聞にはできるだけ近寄らないようにしてるんだけど、ダーリンがそのページだけ読めって言ってきたのね)「プラス1」の特集「覚えておきたい現代の名言」

ベストを尽くして失敗したら、ベストを尽くしたってことさ(スティーブ・ジョブズ)

ゴールは遠いなぁと、がっかりするのも道のりです(糸井重里)

に、力を得たので、めげずに続けたいと思います。

さて、

Part 1で、ジョンの「God」と、もしMJが… という比較をしましたが、

ジョンの「God」は、当時、心理療法にあたったヤノフ医師の影響を受け、一旦、自分自身をリセットするためのもので、最終的に、彼は、イエスもブッダも正しく、イエスがこういったと、他の人が決めつけていること(=教義)は信じないけど、

その他にも、神様とされたような人たちの言葉に、みんなが関心を持てば、みんなが神とともに生きることができる。と言っていますし、最後までジョンの言葉を追っていると、結局、ジョンも、MJと同じような場所に帰結しているように思いました。

少年時代からの悩みと、自分のことを神と考えるような人と接する有名人としての苦悩…

ジョンが、神に救いを求め、様々な宗教や、心理療法を試したことも、差別や平和の問題や、政治についてよく考えていたことも、その時代の若者に大きな影響を与えました。

彼は自分を求める人々に対し、間違っているかどうかは歴史が決めればいい。

自分が有名人として、できることは、とにかく試してみて、その経験をも露わにすることだと信じ、有名人として社会に何ができるのかをとことん考え、アーティストの社会への影響を拡大させ、ただのジョンと、人々が求める「ジョン・レノン」の重みに苦しみながらも、ジョンは、結局、最後の瞬間まで「ジョン・レノン」であり続けた。


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ジョンのインタヴューは、各メディアのエースが担当し、スピリチュアルなことも、政治や社会問題についても、知的な内容が多く、インタヴュアー自身も、ジョンへの尊敬心があるというか、いつもお決まりの質問ばかりのMJインタヴューとは、かなり異なった印象でした。

MJへのインタヴューにもこういったものが一度でもあったら・・とも思いましたが、彼は、政治や社会問題について、同時代のアーティストよりずっと慎重な姿勢をとり続けました。


Q:次の大統領選挙について、ヒラリー・クリントンか、バラック・オバマ、どちらの支持?

正直に言うと、それについてはフォローしてない。僕らは、人間が世界の問題が解決するということを当てにしないように育てられた。人々にはそれが出来ないというのは、僕の見方でもある。それは僕たちを超えたものだよ。ほら、僕たちは大地をコントロールすることができないだろう、それは揺れるし、僕たちは海をコントロールすることもできなくて、津波が起こるし、空もコントロールできないから、嵐が起こる。すべては神の手の中にあるんだ。人はそのことを考慮するべきだと思う。僕はただ、彼らに、もっと 赤ちゃんや、子供たちのために助けになるようなことをして欲しいと願うだけだね。そうなったら素晴らしいと思わない?(2007年EBONYインタヴューより)



僕たちが育てられた考えかたというのは、エホバの証人の教えのことで、選挙権を行使しないのが原則のようです。とはいえ、MJはすでに何年も前にそこを脱会していますし、教会がそう言ったからというのではなく、自分の考えでその教えに賛成しているのだと思います。

わたしは、ずっと前にこれを読んだときよりも、人間が世界の問題を解決することを期待していないということも、津波を起こす海をコントロールできないということも、深い考えだとあらためて思いました。彼が言っていた「環境問題」というのも、政策の問題ではなく、政治家は赤ちゃんや子どもたちのためにというのも。。。大抵の大人は、政治や国に頼らなくても、自分で生きていけばいいですからね。

他にも、MJは、ジョンよりも音楽とダンスの歴史に純粋に連なろうとしていたということも、政治への関心が薄かった要因だと思っていましたが、やはり、

社会を変えるより自分を変えるんだ

という信念に忠実だったからではないかと思います。無知で愚かなまま、みんなが主義主張を言い合い、権利闘争をしても、人々の気持ちは分離するばかり… 政治や、社会に大きく関わったという印象のジョンも、1980年のインタヴューで、今まで一度も投票したことがない。と言っていますし、(『ジョン・レノン愛の遺言』P181)

MJの真理への追求は、革命の季節後の80年代以降、時代を饒舌に語りたいだけの評論家や、有名雑誌のライターとは噛み合うものでもなかったでしょう。

また、ジョンが、マハリシに導師を求めたり、アーサー・ヤノフの療法に身を委ねるなど、精神世界や心理療法の体験を通して、魂の探求を深め、また、それを紹介することにも熱心だったのに比べ、MJは、神を信じているとは何度もいっていたものの、それがどんな神だということも、その探求についてもほとんど語りませんでした。

MJが、ジョンを含め、スピリチュアルを求める人と大きく異なるのは、彼には、自己の魂の救いとして神を求めたようなところがほとんど感じられないことと、

チョプラとの交流後も、東洋の導師に惹かれることもなく、宗教指導者で、学者でもあるラビ・シュムリーとの対話においても、彼はすでに確固とした自分の考えをもっていて、相手の意見に惹き込まれることもなく、ここでは紹介していないシュムリーとの対談本第二作においても、むしろ、彼の方がMJに影響を受けていて、シュムリーは、MJは謙虚な態度でユダヤ教を学んでいたとは言っていますが、それは、キングとして君臨した音楽業界の人にも同様の態度であって、彼は一度もスピリチュアル関係者を、自分の導師として求めておらず、

少年時に影響を受けた「エホバの証人」を脱会後は、すべて独学で学んでいるようです。

以前、カルマや神の審判を否定してしまうと、ほとんどの「宗教」を否定することなってしまうと書きましたが、MJは脱会した宗教の教えのいいところは最後まで否定せず自分の信条にもしています。非常にめずらしいことだと思いますが、これも、すべて自分自身で精査し、考えたから出来ることで、大抵の人は「信念」を貫くことに疲れたり、教えの矛盾が見えたとき、すべての教えも、その集団をも強く否定します。

でも、それは感情的なもので、MJのような態度は、教えを鵜呑みにせず、常に自分で考えてきた人でなければできない態度だと思います。

彼は、神のその存在自体を疑うことは一度もなかったように思いますが、最後の日まで、本を読み、考え続けていたのではないでしょうか。

そういえば、彼は旅立つ数日前にも本屋に出かけていたようですが、どんな本を買ったのでしょう。これから行なうツアーに関係した本だったのかなぁとぼんやり思っていただけで、調べていませんでしたが、とても知りたくなってきました。ご存知の方がおられましたらぜひ教えてください。


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わたしは、MJの、カルマ・セオリーはゴミだという発言を読んで、そのストレートな物言いに、彼が、多くの神を信じるタイプの人とは、まったく違うメンタリティの人だということがわかって、とても驚いたのですが、

今思うと、彼はよく人生は一回きりだというような表現を、何度もしているわけですから、不思議ではないのですけど、でも、ジョンだけでなく、スピリチュアルなことに興味を抱いてきた人にとって、カルマは頻繁に使用する言葉で、それなしでは、魂のことは語れないぐらいのセオリーだと思うんですよね。

魂を測るものさしが「審判」であり「正義」ですから。

通常、神を信じている、なんらかの宗教の信者はそのセオリーを守ることに「信念」を見出し、それが「信仰」だとされています。

自己の魂の救済や「悟り」を求める人も、今まであまりスピリチュアルなものを求めてこなかった人も、いずれも

ジョンや、MJが、なぜ「審判」を否定しているか理解しにくいと思います。

それは、私も含めて、ほとんどの人が「魂の癒し」や「教え」を求めているからで、

ジョンや、MJが、その誤りに気づけたのは、彼らは「教え」ではなく「真理」を求め、

自己の「魂の救済」でなく「利他」を突き詰めたからだと思います。

真理は、一元的なものなので、本気で真理を求めていくと「教え」の矛盾が見えてきますが、それを自分の信条にまで高めて生きるというのは、とても厳しく、孤独なことです。

一方で、何かの教えにより、最初に「救われた」とか「わかった」と思う経験をしてしまうと、ほとんどの人にとっては、その感覚の方が「真実」であり、喜びをともなった「実感」であり、同じ真実を共有する仲間もできる。

ジョンは「次の目標はカルマ」と語っていたけど「Instant Karma」でも、「Watcing The Wheels」でも、解脱とか、魂のレベルアップよりも、多くの人が現実社会で陥りやすい部分に目を向けている。

それらからは、ジョンが「カルマ・セオリー」を現実に生かす方法を模索していたようにも思えます。でも、そこから、さらに、MJが一歩踏み出したのは、彼がジョンよりも、さらに「他者」である「世界中のこどもたち」のことを深く考えたからでしょう。

ジョンは、黒人コメディアンのディック・グレゴリーの言葉「次にやるべきことは子供の解放だ」を、MJに繋ぎ、彼が、どんなにこどものために尽くしたかは、みなさんよくご存知ですよね。



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MJの「カルマ」と「審判」の否定を、もう少し具体的に、尚かつ大雑把に言えば、キリスト教の「神の審判」と、仏教やヒンドゥー教の「輪廻」を否定しているということです。

神の審判とは、天国の審判のことで、死後の人間を、天国と煉獄と地獄に振り分けることで、その世界は永遠に続きます。

また、輪廻は生前の行為(カルマ)によって様々に生まれ変わるということで、仏教でもヒンドゥー教でもない、現代日本人は、現世があまり苦しくないせいなのか、生まれ変わることを良しとしている人も多いようですが、二度と再生しない「解脱」を最高の理想とするものです。

信者の方には無理かもしれませんが、そうでない方は、この2つを冷静に比較してみれば「教義」としての人への影響は「天国の審判」も「カルマ」も、結局おなじものだということがわかるのではないでしょうか。

カルマ・セオリー(輪廻)と、ジャッジメント(天国の審判)は教えとしては同じことなんです。

まだ信教をもっていない人、そして、今すぐに救われなくても大丈夫な人は、

もう一度、カルマと審判について考えてみませんか。

私はより良き社会を夢みた、大勢の真面目な若者が「オウム真理教」に入信し、結果的に多くの人を不幸にし、自分にも、取り返しのつかない過ちを犯してしまったのは、なぜなのか?ということに、ずっと興味を抱いてきたのですが、MJのカルマはゴミ発言で「ハッと」して、初めて気づいたことがたくさんありました。



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解脱を目指す教理にも、魂のあり方を解いた本にも、カルマについて色々とむつかしい理屈が書いてありますね。

そういった理屈を味わうことで、確かに、いままで使っていなかった脳の一部が活発化されるということもありますし、時間がある人は、MJの「人生は一回きり!」を信じる前に、それらを検証しておくのもいいんじゃないでしょうか。

私は、もちろん、それらすべてを理解したわけではないけど、生命の樹も、カバラーも、曼荼羅も、ミケランジェロのシスティナ礼拝堂の天井画を理解するうえでも、カルマはまったく必要ないと思えたので、やっぱりMJは正しいっ!と、ますます、MJ信者になってしまいました(笑)。

でも、どんなに立派な人が言っていたとしても、自分自身でわからないと「信念」というレベルで信じることはできないし、理屈には、つくづく屁理屈も多いけど、言葉や論理でわかることには、再現性も、持続性もあって、伝達力もあると思う。

人は「わかった」と思ったことでも、何度でも間違うので、何度でも同じことを学ぶことが重要で、だからこそ、音楽やダンスといった、身体や感覚で、神を感じることができるMJでさえ、読書は重要だと、最後の日まで考えていたのではないでしょうか。


さて、


マイケルは「Man In The Mirror」を書いたサイーダ・ギャレットに「Imagine」が大好きだと言っていました。

◎サイーダ・ギャレット、「Man In The Mirror」の曲作りについて

自伝『ムーンウォーク』でも、もし、ジョンが生きていたら「Man In The Mirror」に自分を重ね合わせることができたはず(P279)。だと語っています。

ジョンとMJの比較の最後に「Imagine」と、MJがバリー・ギブと共作した「All In your Name」を比較したいと思います。

☆「All In Your Name」の和訳へ


☆下記は「人生は一回きり」という感じのMJの言葉がいっぱい紹介されている、とてもとても素敵な記事

◎[参考記事]JAMとマイケルの信念
◎[参考記事]The Giving Tree ー 最上級に自分を高め与える事を喜びとした人

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by yomodalite | 2013-01-13 12:26 | マイケルと神について | Trackback | Comments(10)
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「Woman」について、ジョンが亡くなる直前のインタヴューが納められた
『ジョン・レノン愛の遺言』から。

ーーヨーコさん、あなたははじめて『ダブル・ファンタジー』の中の「Woman」を聴いたとき、泣けてきましたか?

ヨーコ:イエス、イエス。

ーーちょっと私に言わせてください。私はワイフに聴かせてみたんです。

ヨーコ:彼女も泣いたでしょう(笑)

ーー「Woman」は、30歳代、40歳代の人たち向けですね。本当に受けている。

ジョン:そう、僕が今、40歳だからね。僕の年代に向けて語りたい。若い人たちが好きになってくれても幸福だし、もっと年上の人たちが好きになってくれても幸福です。でも、僕は僕たちと一緒に生きてきた男性と女性、生き延びてきた60年代グループの人たちに向かって語りかけているのです。

戦争、麻薬、政治、街頭暴力などを生き延び、混乱全体の中を生き延びてきた。「Woman」はヨーコに向けた歌ですが、すべての女性にも捧げる歌です。僕はすべての男性のために、女性に向かって表現しようとしているのです。女性に対する気持ちから、あるときハッと気がつきました。

ふたりがいなければ何もない。ふたりが一緒にいて、はじめて子供をつくり、社会をつくる。だから、女性はこうあるべきとか、男性はこうあるべきとかという考えはなんとくだらないことでしょうか。僕たちはすべて人間。僕はこのことをヨーコに向かって言おうとしていているのです。すべての男性を代表してね。

(引用終了)



下記は「Woman」の和訳です。
お気づきの点は、遠慮なくご指摘くださいませ。


Woman
Written By John Lennon

(For the other half of the sky)

(空のもう半分のために)

Woman I can hardly express
My mixed emotions at my thoughtlessness
After all I'm forever in your debt
And woman I will try to express
My inner feelings and thankfulness
For showing me the meaning of success

ぼくに、女というものを表現するのはむずかしい
ぼくは浅はかだし、どう言っていいのかわからないところもあるけど
女性に対して、永遠に返せない借りがあることはわかってる
でも、なんとか説明してみるよ
ぼくが心の中で感じている感謝の気持ちや
ぼくに、成功の意味について教えてくれたこととか

Ooh, well, well
Doo, doo, doo, doo, doo
Ooh, well, well
Doo, doo, doo, doo, doo

ふぅー、さて、さて
じゃあ、やってみるよ

Woman I know you understand
The little child inside of the man
Please remember my life is in your hands
And woman hold me close to your heart
However distant don't keep us apart
After all it is written in the stars

女性は、男の中に、小さな子供がいることを
知っているだろう
ぼくの人生は、君(女性)の手の中にあるということを、どうか忘れないで
そして、その胸にぼくを抱き寄せて
どんなに離れていても、男と女を引き離すことはできない
それは、すでに運命に書かれていることなんだ

Ooh, well, well
Doo, doo, doo, doo, doo
Ooh, well, well
Doo, doo, doo, doo, doo
Well

ふぅー、(もう少し続けるよ)…

Woman please let me explain
I never meant to cause you sorrow or pain
So let me tell you again and again and again
I love you, yeah, yeah
Now and forever
I love you, yeah, yeah
Now and forever
I love you, yeah, yeah
Now and forever
I love you, yeah, yeah

すべての女性へ。どうかぼくの話を聞いてくれ
ぼくはいつだって君(女性)を悲しまそうだなんて思っていなかった
そう、何度でも何度でもくり返して言うよ
愛してる
今も、これからもずっと
愛してる...



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However distant don't keep us apart は、

どんなに離れていても「ぼくたち」を引き離すことはできない

にするのが、普通だと思いますが、この頃のジョンとヨーコのインタヴューを目一杯読んでいると、彼らは、新しい男女関係のリーダーであり、ヨーコも、フェミニズム運動をリードしてきたという側面もあるのですが、女性の権利向上による、男女関係の混乱に、憂いも感じていて(異性と愛を育むことを困難と考える人が増えたり… )

ジョンは「女にとっても、男にとっても、お互いが必要だ」ということを、主張ではなく「愛を通して」伝えたいと思っていて、まずは「男性から」というメッセージを、女性だけでなく「男性に」送っているのだと思います。

After all it is written in the stars 

運命(星)に、書かれているというのは、運命の相手という意味も、もちろんそうなんですけど… 。


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「Woman」について『ジョン・レノン・ラスト・インタヴュー』から、
省略して引用します。


ーー「ウーマン」というのが、私は本当に好きなんですが。

そう、ありがとう。ぼくもあれは好きだが、あれの話はちょっときまりが悪いような… 

ーーなぜ、きまりが悪いんです?

なぜなら、まだぼくの中には、自分を男性的に見せたい、皮ジャンパーのタフなレノン、行儀の悪い言葉づかい… といった気持ちが少し残っていて、、、ぼくだってほかの奴と同じようにロマンティックだし、昔からずっとそうだったのさ。あれは、そう80年代向けの「ガールズ」ってとこなんだな、ぼくには。だけどぼくにはあれが、、突然わかったのさ、女のことが。ぼくは、そのとき女というものが、ぼくたちにとってなんであるかが、いきなりわかった、セックスの対象でも母親でもなくて、彼女たちのしてくれることがね。

だから、はじめのところで、ぼくは空の半分の側に向かってつぶやいているけど、あれは毛主席の有名な声明なんだ。

つまりもう半分の方さ。みんなが知っている男と女、男と女っていうのはジョークさ。お互いがなければ、なんにもないんだ。だから、これはなんて言うか、、ほら、ぼくが女に感じていた別の視点でね。それはあの歌の中で言ったような形でしか、ぼくには表現できないのさ。あれは、ヨーコと同時に、すべての女たちに捧げたのさ。

(引用終了)

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曲の冒頭で、ジョンがつぶやいている "For The Other Half Of The Sky" (空のもう半分のために)は、毛沢東の「空の半分を支えているのは女性である」という言葉からだったようです(どういう場面で、毛沢東氏が語ったのかはわかりませんでした)。

上記で引用した『ジョン・レノン・ラスト・インタヴュー』(初版タイトル『ジョン・レノン ALL THAT JOHN LENNON』)は、1980年12月6日、BBCの取材により、アンディ・ピープルズがインタヴューしたもので、ジョンが亡くなる2日前に行なわれ、3時間15分にも及んだもの。インタヴュアーが、イギリス人のため、ジョンはリバプール訛りをむしろ強調するように、語っているようです。

また、冒頭で紹介した『ジョン・レノン愛の遺言』は、1980年12月8日午後2時から5時まで(NY時間、日本時間では9日午前4時~7時まで)ジョン・レノンの住居(ダコタ・ホテルのアパート)で録音されたもので、こちらは、亡くなる数時間前のインタヴュー。

ですから、本当の最後の言葉は『ジョン・レノン・ラスト・インタヴュー』ではなく『ジョン・レノン愛の遺言』の方なのですが、こちらは再販はされてないようです(多分)。

どちらのインタヴューも、ニューアルバムのことと、これまでの作品について語っているのですが、ジョンの旺盛なサービス精神のせいか、印象が違っていて、訳者が違うせいもありますが、でも、両方ともすごく興味深い内容で、わたしは2冊とも読んでよかったと思いました。


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by yomodalite | 2012-11-20 10:23 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(0)
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「Watching The Wheels」について、ジョンが銃弾に撃たれた当日のインタヴューが納められた『ジョン・レノン愛の遺言』から。

(省略・抜粋して引用)

ーージョンがはじめて「スターティング・オーヴァー」を歌って聴かせたとき、あなたはどんな感じがしましたか?

ヨーコ:「Starting Over」「Woman」「Watching The Wheels」この3つの歌、特に「Watching The Wheels」は何百回も聴いています。この曲は、本当に私を息詰らせます。なぜだと思います?

この曲は、ジョンが過去5年間にしてきたことを要約したものです。私もジョンと一緒に過ごしてきましたが、ジョンにとってこの5年間は辛い時期でした。

「あなたは、今、何をしていますか?」と言う質問に、ジョンは「何もしていません」と答えていました。「次のアルバムはいつ出るのですか」などという質問もあり、誰もがとてもジョンに懐疑の念を抱いていました。

今ではジョンは「ハウス・ハズバンド(主夫)である」と宣言しています。主夫業をするのは、とても勇気がいることだと思います。さて、「なんだこのアルバムはラブソングだらけじゃないか」と人はいうでしょう。男臭い歌を書くのは簡単よ。つまり、ロックン・ロールのスターらしく女をムチでぶったり、部屋から放り出すか、酔っぱらってしまうとか(笑)

男の世界ではそういうイメージが普通でしょう。特にロックの世界では、そういうイメージを保つことは簡単なことです。しかし、その男らしいはずの人が、僕は主夫で、息子があり、そして妻を愛しているなどと言うと普通の人は変な気がするでしょう(笑)

「Watching The Wheels」を聴くと、私は泣けてきます。ジョンにとっては、この5年間はとても淋しい旅の期間でしたから。今でも、まだ彼にとっては淋しい旅だと思います。「他の主夫たちはどこにいるんだろう。彼らと話をしたい」とよく言いますもの(笑)しかし、この世の中では、女性が女性であることが難しいのと同じように、男性が男性であることも難しいのです。

ーージョンは、自分の生命を救ってくれたのはヨーコだと公言していますが。。

ヨーコ:それは彼の言い分です。だけど、本当のところは彼に尋ねてみなくちゃ。彼と一緒になる前、私は女らしい女ではなく、わが道を行く方でした。だから、もし私が他の人と一緒になっていたら、彼が抱えている問題に直面しなかったでしょう。ジョン以外の人には「私をひとりにしておいて。私には自分の問題があるのだから」と言ったでしょう。

私が、彼と一緒になったとき、彼は、気が強い男性でしたから、私も彼のもつ問題に直面せざるを得なかった。そして、この世の中の男性もそれぞれの問題を抱えているんだな、と私は悟ったわけです。

ーーあなた方の関係と結婚生活において、責任の分担を入れかえたことによって、物の見方に、どのような変化がありましたか?

ヨーコ:一緒になって、お互いが夢中だった頃は良かったのですが、彼の男っぽさが現れ始めて「一体どうなっているのか」と思い始めました。

その頃は、全世界が私を受け入れなかったのに、全世界は彼を支持していたわけで、とても憂鬱な気持ちでした。1973年頃には、私はジョンに「私を放っておいてロサンジェルスに行って楽しんでいらっしゃい」と言ったくらいでした。ひとりで考えたかったのです(1973~1975年ふたりは別居)

だから、ふたりの生活に戻ってから、彼は私たちの関係を修復するために、本当に努力したと思います。そして、それ以来、彼がやってくれたことに対して私は感謝し、大変尊敬するようになりました。

(引用終了)




下記は「Watching The Wheels」の和訳です。
お気づきの点は、遠慮なくご指摘くださいませ。


Watching the Wheels
Written By John Lennon


People say I'm crazy doing what I'm doing
Well they give me all kinds of warnings to save me from ruin
When I say that I'm o.k. well they look at me kind of strange
Surely you're not happy now you no longer play the game

ぼくがやっていることは、正気じゃないと、人は言う
それで、彼らは、ぼくを破滅から救おうといろいろな警告をしてくれる
ぼくが「だいじょうぶだから」と言うと、
彼らは奇妙なものを見るような目でぼくを見て
「長い間ゲームから降りていて、幸せなわけがないじゃないか」という

People say I'm lazy dreaming my life away
Well they give me all kinds of advice designed to enlighten me
When I tell them that I'm doing fine watching shadows on the wall
Don't you miss the big time boy you're no longer on the ball

ぼくが夢ばかり見ている怠け者だと、人は言う
それで、彼らは、ぼくにありとあらゆるアドバイスをしてくれる
僕が、壁に映る影を眺めながら「うまくやっているよ」と言うと
「表舞台に立ち、絶好調だった時代が恋しくないのか」と言う

I'm just sitting here watching the wheels go round and round
I really love to watch them roll
No longer riding on the merry-go-round
I just had to let it go

ぼくは、ここに座って「歯車」が回っているのをただ眺めてる
ぼくは、それを見ているのが好きだけど
もうメリーゴーランドには乗らない
ぼくは、そう、ようやく吹っ切れたんだ

Ah, people asking questions lost in confusion
Well I tell them there's no problem, only solutions
Well they shake their heads and they look at me as if I've lost my mind
I tell them there's no hurry
I'm just sitting here doing time

人々は皆、僕が自分を見失っているんじゃないかと、尋ねてくる
それで、ぼくは「問題なんかない。ないのは “答え” だけだ」と言うと
彼らは、それは違うという仕草で、ぼくを狂っているというような目で見るけど
ぼくは、急ぐ必要なんてないし、ただ座って時を過ごしたいだけなんだ

I'm just sitting here watching the wheels go round and round
I really love to watch them roll
No longer riding on the merry-go-round
I just had to let it go
I just had to let it go
I just had to let it go

ぼくは、ここに座って「歯車」が回っているのをただ眺めてる
ぼくは、それを楽しく見ているけど
もうメリーゴーランドには乗らない
ぼくは、ようやく吹っ切れたんだ
ようやくね…

(訳:yomodalite)


ウォッチング・ザ・ホイールズの「Wikipedia」では、I just had to let it go には「後は勝手に回ってくれ」とあきれる。いう解説が載っているのですが、

No longer riding on the merry-go-round は、

夢をみているわけではない ー メリーゴーランド(=遊園地)
もう、芸能界的な成功には興味がない ー メリーゴーランド(=芸能界)

という2つの意味に加え、

I'm just sitting here watching the wheels go round and round には、

これまでの精神的な探求に対してと、天才であるがゆえに巻き込まれてしまった「運命の歯車」(=運命の車輪、運命の輪 Wheel of Fortune)に対しての思いが込められていると思いました。

運命の輪といえば、タロットカードを思い浮かべる人も多いと思いますが「The Wheel of Fotune(運命の輪)」のカードには、女神と車輪、もしくは、TORAと書かれた輪とスフィンクスのデザインのものが一番多く見られるデザインだと思いますが、

人生と歯車という組合せで、メリーゴーランドを思い浮かべる人は多いので「運命の輪」のカードにメリーゴーランドが描かれていることもめずらしくありません。

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ここまでジョンのインタヴュー本を何冊も読んできて感じたのですが、ジョンの会話には「カルマ」という言葉がよく登場していて、1969年のインタヴューでも「次の目標はカルマだ」と言っていますが、この歌詞の「wheels」も、1973年の『Mind Games』の歌詞にもある「karmic wheel」と同様の意味があると思います。

ジョンは幼い頃から親しんでいるキリスト教的な考えだけでなく、仏教や、ヒンズー教なども踏まえて、神をとらえていて、この曲がリリースされた頃のインタヴューでも、

「キリストもブッダも同じことを言っているけど、キリストがこう言っているとか、みんなが決めつけていること(=後の者がつくった宗教的ルール)は信じない」

と言っています。

『Mind Games』の訳詞で「karmic wheel」を「運命の車輪」と訳しましたが、カルマの輪も、運命の車輪も、やっぱり同じなんですよね。

カルマの輪に多くの意味があるだけでなく、運命の車輪をテーマにした作品もすごくたくさんありますが、マイケル・ジャクソンの神について考えている者として、まず思いつくのは「BRACE YOURSELF」のバックに流れていたカール・オルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」、

そして、なんといっても、MJが事あるごとに、その名前を出してきたミケランジェロなんですけど、、その件に関しては、いずれまた。。


◎ジョン・レノン「ロスト・レノン・インタヴュー(1)」より
「Watcing The Wheels」の箇所を引用

回る輪を見てるようなものじゃないだろうか?
この宇宙全体がひとつの輪だろう?輪はぐるぐる回り続ける。
まず見つめるのは自分自身の輪だ。
でも自分を見つめるってことは、ほかのみんなを見つめているのと同じなんだよ。
それに僕は自分の子どもをとおして、自分を見つめることもできる。
それに、現実って言葉をよく考えてみると、
ある意味で、現実のものなんてひとつもないんだ。
ヒンズー教や仏教で言うように、すべては幻想なんだよ。
あらゆるものは漂うかけらなのさ、そうだろ?
みんなそれはわかってる。
でもみんなが認めた共同幻想のなかに僕らは住んでるんだ。
いちばん難しいのは、自分自身に立ち向かうことだよ。
自分を見つめて、自分の心のなかにあるなにが本物で、
なにが偽物なのか見つけ出そうとするよりも、
人の目をあざむいて「革命」とか「人民に力を」とか叫ぶ方が楽なのさ。
いちばん大変なのは、自分を知ることだよ。


◎[関連記事]John Lennon “Woman”


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by yomodalite | 2012-11-19 09:00 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(7)
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☆「ジョン・レノン Part 4」の続き

ジョンのことばかり書いている記事に「マイケルと神について」とタイトルをつけて、とうとう「Part 5」にまでなっていることに、自分でもあきれてしまいますが、さらにしつこく、ジョンの言葉を紹介します。

またこの後、いくつか「訳詞」もしなくちゃ。とも思っているので、さらに周り回った道をいくことになりそうなんですが、目的地のことは、忘れていないつもりなので、気長におつきあい頂けたらなぁと思ってます。

天才のことを考えていると、よく思うんですが、

神についても、愛についても、真摯に考えている人に共通しているのは、「利他」を突き詰めているということ。

絶対にひと言では語れないような「超天才」に対して、あえて「ひと言」でいうと、

ジョンにとってのそれは「女」であり、MJにとっては「こども」だったのだと思います。


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下記は「Part 4」で紹介した『ロスト・レノン・インタヴュー』から、1971年以降のジョンの言葉です。

◎1971年7月ロンドン PRESS CONFERENCE

Q:ニューアルバム(『ジョンの魂』)や、最近の発言を聴くと、あなたの考え方はますますラディカルで政治的になっているようですね。

僕は前から政治に興味があったし、今の状況には反対だった。僕みたいな育ち方をすれば、極めて当然だろう。僕は警察を生まれながらの敵として恐れながら憎んで、軍隊とはみんな連れ去って、どこかでむざむざ殺してしまうものだと軽蔑してた。つまり、それはワーキングクラスの原則だよ。

1965年か66年頃は、どっちかというと宗教のほうに熱心だったけど。あの宗教ざんまいは、スーパースターとかいうくだらないことが招いた直接の結果だったんだ。宗教が僕の抑圧された心のはけぐちだったのさ。

僕はある意味で、常に政治的な人間だった。僕が書いた二冊の本は、ジェームズ・ジョイス的なわけのわからない言葉を並べてはいるけど、宗教批判がたくさん入っているし、労働者と資本家についての話もあるんだ。僕は子供のころから体制を風刺してた。

Q:いったん革命状態になれば、たいてい新たな保守官僚が生まれるでしょう。そういう危険もありますよね。

新しい権力が出てくれば、とにかく工場や列車を動かしておくだけのために「新しい」既成の状況を作らなきゃならない。僕らの誰にでもブルジョア志向は備わってるんだ。手に入れたものを実際に手に入れてしまったら、そのあとどうやって革命の熱気を保って行けばいいのか。中国の毛沢東は革命をどんどん進めていったけど、毛沢東がいなくなったらどうなる?彼は個人崇拝を利用してる。たぶん必要なことなんだろう。

誰もが父親像を必要としているんだから。僕はここんとこ『フルシチョフ・メンバーズ(フルシチョフ回顧録)』を読んでいるんだけどね、彼は個人を宗教にするのはよくないって思ってたらしい。そういのは共産主義の基本的な理想にあてはまらないってさ。それでも人はやっぱり人だから、そこが難しいんだ。


このあとジョンは、1971年9月にアルバム『イマジン』(Imagine)を発表し、1972年には、最も政治色が強く、極左的とも批判された『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』(Some Time in New York City)をリリース。

ジョンはベトナム戦争の反戦活動家のジョン・シンクレアを支援し、また「人々に力を、民衆に権力を」という左翼的なフレーズを立ててアメリカ国内でデモ行進を行うなど、その積極的な政治行動から、CIAや、FBIから監視の対象となり、大麻不法所持による逮捕歴を理由としたアメリカへの再入国禁止など、ジョンへの「アメリカ追放」の動きは加速していく。


◎[Wikipedia]ジョン・シンクレア
◎[参考サイト]映画『PEACE BED アメリカVSジョン・レノン』DOWNTOWN DIARY
◎[参考サイト]ヒストリー「ジョン・レノン」SoundTown


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下記は、1975年のロックンロールのスタンダード曲によるアルバム『ロックン・ロール』(ROCK'N'ROLL)から5年のブランクを経て発表され、生前最後のアルバムとなった『ダブル・ファンタジー』(DOUBLE FANTASY)リリース後の「ジョンの言葉」です。

◎1980年

1972年の『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』に収録された「女は世界の奴隷か!」(Woman Is The Nigger Of The World)について

ヨーコが言ってることは事実だ。女性は今でも奴隷なんだ。いまやこの世に残ってる唯一の奴隷だよ。黒人について話しあうことはできる、ユダヤ人について話しあうことも、第三世界について話しあうこともできる、どんなことでも話しあうことはできるんだ。でもそういったものの下に隠れているのが女性で、さらにその下には子供たちがいる。ディック・グレゴリーが1969年にデンマークで言っていたよ、「次にやるべきことは子供の解放だ」って。

子供には何の権利もないんだ、まったく、なにひとつ与えられていない。女性はある程度権利を得たけど、子供はまだこれからなんだ。

「子供の力」を勝ち取らなくては。でもきっと女性が子供を自由にしてやれるだろう。

◎[参考サイト]ディック・グレゴリー(Dick Gregory)
◎マイケルジャクソンを支援したコメディアン、ディック・グレゴリーの断食抗議


◎1980年9月

キリストは正しかったし、ブッダも正しかった。そういった人たち全員が正しかったと思う。みんな同じことを言ってるんだ。その本質を僕は信じてる。キリストが実際に言ったこと、キリストが愛や寛容について示した基本的は教えは信じてる。キリストがこう言ったとみんなが消めつけていることについては信じない。

キリストが今より人気者になれば、僕らはいっそうキリストに支配されることになるんじゃないか。だとしたら、僕はそんなの嫌だね。それならみんなを僕らに従わせるほうがましじゃないか、それが一生歌って踊ってることにすぎないとしてもだ。キリストの言葉、あるいは神様とされたそのほかの人たちの言葉にもっとみんなが関心を持てば、みんな神とともに生きることができるだろう。

昔のプロテスタント神学者ポール・ティリヒ(パウル・ティリッヒ)が言ってるように、宗教的であるということが「社会問題に関心を持つ」ことだとすれば、うん、それなら僕は宗教的だよ。僕は関心を持ってるさ、人々のことに無関心ではいられないよ。

僕は他人が期待するような僕にはなれない。だってそんなのは幻想なんだから。それでもみんな現実の僕以上の僕を望むんだ。実際より大きいボブ・ディラン、実際より大きいミック・ジャガー…あのころ(1960年代)どんな風が吹いていたとしても、
とにかくその風がビートルズを動かしたんだよ。

確かに船のてっぺんにひるがえる旗は僕らだったかもしれないけど、動いていたのは船全体なんだ。ビートルズがマストの上で「陸が見えるぞ!」って叫んでたとしても、みんながその同じ船に乗ってたんだよ。

僕はどうしたらいい?すべてを人にやってしまって、ただ通りをふらふらしてればいいのか?ブッダは言ってる、「心をとらえるものすべてを捨てよ」と。持ってる金をすべて手放したって、ブッダの言葉どおりになんてできっこないよ。

◎[Wikipedia]ポール・ティリヒ

☆下記は、ポール・ティリヒの名言

He who risks and fails can be forgiven.
He who never risks and never fails is a failure in his whole being.

危険を冒して行動し、失敗する人は、許される。
危険を冒すこともなく、失敗もしない人は、存在そのものが怠慢だ。

Astonishment is the root of philosophy.

驚きは哲学の根源である

Loneliness expresses the pain of being alone
and solitude expresses the glory of being alone.

孤独という言葉は1人でいることの痛みを表す。
一方、独居は、1人でいることの輝きを表す。


Cruelty towards others is always also cruelty towards ourselves.

他人を虐待することは、また、常に自分自身への虐待でもある。


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◎1980年12月5日

昔の僕は、世の中が自分に不当なことをしてる、自分は世間に貸しがあるって思ってた。保守派か社会主義者かファシストか共産党か、キリスト教徒か、ユダヤ人か、とにかく誰かが、僕になにかしようとたくらんでるって思ってた。十代の頃って誰でもそんな風に思うもんさ。

でも僕はもう40になった。もうそんなことは考えてない。そんなこと考えても何の役にも立たないってわかったからね!どっちにしろ、なるようにしかならないし、ママが悪い、パパが悪い、社会がこんな目にあわせた、そんなこと叫んでても、結局は自慰行為でしかない。

いつかそういう時期を抜け出さなきゃならないんだよ。多くの愚かな人たちは、現実の状況をそのまま受け入れてなんとかやっていく。でも、ひとつかみの人たちは、なにがどうなっているのかって問いただしてみるんだ。それで僕はわかったんだ …

世界全体を考えたんじゃなくて個人の次元でね。自分に責任があるんだなって。彼らだけのせいじゃないってことさ。僕も一部なんだ。どこかで線が引かれてるわけじゃない、みんなひとつなんだよ。そういう考え方ですべてを見ると、

「ああ、そうだな、もう一度そういう方向で自分のことを考えなきゃならない。どれが現実なんだ?どんな幻想のなかに僕は生きているのか?」って思うんだ。

毎日そういう調子でかたづけていかなくちゃならない。タマネギの皮をむくのと同じだよ。そういうものなんだ。

☆「ジョン・レノン Part 6」の前に、下記の「訳詞」も、ぜひお読みくださいませ。

◎[訳詞]John Lennon “Instant Karma”
◎[訳詞]John Lennon “Mind Games”
◎[訳詞]Beatles “All you need is love”
◎[訳詞]John Lennon “Watching The Wheels”
◎[訳詞]John Lennon “Woman”

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by yomodalite | 2012-11-15 13:40 | マイケルと神について | Trackback | Comments(0)
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MJは自伝『ムーンウォーク』の第6章「All you need is love」(愛こそはすべて)で、

世界の人たちを愛と音楽でひとつにするというのが、なんとなく子供の頃からの僕の夢だったんです。僕は今でもビートルズの「愛こそはすべて」を聴くと、感動で鳥肌が立ってしまいます。僕はいつだって、あの歌が全世界の祝歌となるのを願ってきたのです。

と言っています。この曲は1967年にリリースされ、アルバム「Magical Mystery Tour」に収録(「イエローサブマリン」でも使用)。他のビートルズの曲と同じくクレジットは「LENNON / MCCARTNEY」なのですが、実質的にはジョンが作詞作曲した曲ですから、MJとジョンを考えるうえでは、やっぱり訳しておかないと、、と思い、今回初めて歌詞を見てみました。

シンプルなメロディー、とにかく「愛が重要だよね」ということも、歌詞を読まなくてもわかる感じがして、今まで詩が気になったことはなかったんですが、意外にも、訳詞を検索してみたら、私の訳とは大分違っているだけでなく、すべての訳詞が異なる印象でした。

そんなわけで、いつものように、

日本語部分は充分ご注意のうえ、お気づきの点は、遠慮なくご指摘くださいませ。





All you need is love
written by John Lennon (credited to Lennon – McCartney)

Love, love, love.
Love, love, love.
Love, love, love.

愛、愛、愛…

There's nothing you can do that can't be done.
Nothing you can sing that can't be sung.
Nothing you can say but you can learn how to play the game.
It's easy.

この世には、君がやれることで、成し遂げられるようなことは、何もない
君が歌ったところで、歌えたとはいえないし
君が言えることなんて何もない。
でも、なんとかやっていけるやり方を学ぶことはできる
簡単さ

Nothing you can make that can't be made.
No one you can save that can't be saved.
Nothing you can do but you can learn how to be you in time.
It's easy.

君が出来ることで、出来たといえるようなことなんて、何もない
君が助けてあげられそうな人で、救われる人なんて誰もいない
君が出来ることなんて何ひとつない。
でも、どうしたら君らしく生きられるようになるかを学ぶことはできる
余裕でね

All you need is love.
All you need is love.
All you need is love, love.
Love is all you need.

必要なのは、愛なんだよ。愛がすべてなんだ
君が求めるのは愛だけでいい
必要なのは、愛。愛だけだ
愛がすべて。必要なのは愛だけなんだよ


Nothing you can know that isn't known.
Nothing you can see that isn't shown.
Nowhere you can be that isn't where you're meant to be.
It's easy.

君が知ることが出来ることで、わかることなんて何もない
君に見えるもので、見えたといえることなんて何もない
君がいられるところで、君がいる意味があるところなんてどこにもない
(でも)心配するな

All you need is love.
All you need is love.
All you need is love, love.
Love is all you need.

必要なのは、愛だ。愛がすべてなんだ
君が求めるのは愛だけでいい
必要なのは、愛。愛だけだ
愛がすべて。必要なのは愛だけなんだよ

All you need is love (all together, now!)
All you need is love. (everybody!)
All you need is love, love.
Love is all you need (love is all you need).

必要なのは、愛だ。愛がすべてなんだ(さあ、みんな一緒に!)
必要なのは、愛だ。愛がすべてなんだ(はい、みんなで!)
必要なのは、愛。愛だけだ
愛がすべて。必要なのは愛だけさ (君に必要なのは、愛だけだ)

Yee-hai!
Oh yeah!
She loves you, yeah yeah yeah.
She loves you, yeah yeah yeah.

♪ 彼女が君を愛してる...
彼女が君を愛してる... ♬



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by yomodalite | 2012-11-01 09:38 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(0)
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これまで、なんとなくって感じで、ジョンのこと好きだったんですけど、MJのことを考えながら、ジョンのことを考えているうちに、すっかりジョンにハマってます!

ビートルズは1963年のデヴューアルバム『Please Please Me』から、1970年のラストアルバム『Let It Be』までの7年間に、オリジナルアルバムだけで、13枚もリリースしていて、ソロとしても、ジョンは、1968年から1980年に亡くなるまでの12年間に、11枚ものアルバムをリリース!

そんなことに驚いてしまうのも、MJが本格的ソロデヴューの後、1979年の『Off The Wall』から、2001年『Invincible』までの22年間で、たったの7枚しかオリジナルアルバムをリリースしていないという「めずらしい例」に慣れているからで、同じ時期のスティービー・ワンダーと比較してみても、当時のトップアーティストとしては、ジョンの方が普通なんですよね。

ジョンも、ポールも、ソロアルバムの方がよく聴いているので、そう思うのかもしれませんが、ビートルズ脱退後のジョンのアルバムの方が「天才」の凄みを感じるというか、MJの完成度に異常にこだわったアルバムに慣れているせいか、最初はジョンの剥き出しで荒々しいようなところに、ちょっぴり抵抗感があったんですけど、少し慣れてくると、むしろその繊細さに、心が震えずにはいられなくなってしまって、、

ジョンの曲から「インスタント・カーマ」以外も、何曲か訳してみたくなりました。

まずは、1973年のアルバム「Mind Games」から。タイトルの「Mind Games」は、何種類かのことばを当てはめましたが、「mind guerrilla」を、意識革命にしたのは、この歌が生まれた時代、多くの若者が政治革命に夢を感じていて、キューバ革命の戦士、チェ・ゲバラが亡くなったのは1967年ですが、彼は死後も、英雄的ゲリラとして、カリスマになるものの、一方で、革命にともなう「暴力」は、非難の原因にもなり、それは革命的精神をも破壊してしまう。。

私は、ジョンも世界を変えるんじゃなくて、自分を変えるんだ、と言っていると思いました。

ジョンは、Part4のインタヴューで「次の目標はカルマだ」と言っていましたが、この曲にも「karmic wheel」という表現がありますし、「mind」の訳語や、その他、色々悩んでいる箇所が多いので、今後もあちこち修正していきたいと思います。お気づきの点など遠慮なくご指摘くださいませ。





Mind Games
Written By John Lennon


We're playing those mind games together
Pushing the barriers planting seeds
Playing the mind guerrilla
Chanting the Mantra peace on earth

僕たちはみんな精神の試行錯誤を繰り返している
固い壁を突破したり、そこに新たな種を植えたりしながら
意識革命をしているんだよ。
地球に平和を!というマントラを唱えながら

We all been playing those mind games forever
Some kinda druid dudes lifting the veil(☆1)
Doing the mind guerrilla
Some call it magic the search for the grail

僕たちは、これからも思考実験をくり返すだろう、みんな永遠にね
ドルイド教の司祭のような男もベールを剥げば、
自分の精神と格闘している
魔術とか、聖杯探しなんて意味がないとか言われながら

Love is the answer and you know that for sure
Love is a flower you got to let it,
you got to let it grow

愛こそが「答え」だって、君にはよくわかってる
愛は、君が育てて、君が咲かせる「花」なんだって

So keep on playing those mind games together
Faith in the future, out of the now
You just can't beat on those mind guerrillas
Absolute elsewhere in the stones of your mind

だから、一緒に思考することを続けていこう
これから生み出される未来を信じて
自分自身の精神を革命しようとする人々を、攻撃するなんてできないよ
意志の力は、何よりも強いんだから

Yeah we're playing those mind games forever
Projecting our images in space and in time

そうさ、僕たちは思考実験を永遠にくり返して
僕たちが思い描いたことを、今、この場所に映し出していこう

Yes is the answer and you know that for sure
Yes is surrender, you got to let it,
you got to let it go

答えは「Yes」だって、君にはわかっている
まずは肯定することから、それは始まるんだ

So keep on playing those mind games together
Doing the ritual dance in the sun
Millions of mind guerrillas
Putting their soul power to the karmic wheel(☆2)

さあ、一緒に思考することを続けていこう
太陽の下で、神に捧げるダンスを踊ったりしながら
何万人もの意識の革命者たちの魂の力で
この世界の運命の車輪を廻していく

Keep on playing those mind games forever
Raising the spirit of peace and love

ずっと思考することを続けていこう、永遠に
愛と平和の精神を掲げてね

Love...
(I want you to make love, not war
I know you've heard it before)

愛だよ…
(愛を育てて行くんだ。戦うんじゃなくてさ。
君も聞いたことがあるだろう)

訳:yomodalite


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☆1「druid」ケルトの古代信仰 
◎[Wikipedia]ドルイド

☆2「karmic wheel」
これは、日本のスピリチュアル用語では「カルマの輪」と訳されていると思います。曼荼羅も、生命の樹も、太極図も「karmic wheel」の一種ですが、思想によって、その解釈はそれぞれ少しづつ違っていて、ジョンも「カルマ」のことは色々と悩んでいますし、ここでは「運命の車輪」としておきます。


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by yomodalite | 2012-10-31 09:56 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(2)
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☆「ジョン・レノン Part 3」の続き

Part 2、Part 3では『ジョンの魂』の発売後に行なわれたインタヴューを紹介しましたが、今回は、1996年に出版された『ロスト・レノン・インタヴュー』から、

『ジョンの魂』発売直前の、1969年から1970年のまでのインタヴューを紹介します。

『ロスト・レノン・インタヴュー』は『ロスト・ビートルズ・インタビュー』の著書もある、ジェフリー・ジュリアーノが編集し、監修者のあとがきによれば、原書は1冊ですが日本版は2巻で出版され、第1集はジョン自身の発言とビートルズのメンバーの発言で構成され、特にこれまでほとんど知られていなかった1969年の「ラブ・アンド・ピース活動」の記者会見での発言も収録されている本で、原書は、MJの蔵書としても確認されている『The Lost Lennon Interviews, by Giuliano』。

日本版では、テーマ別時代順に並べ替え、ジョン自身の発言で綴る生涯と作品論はどんな著名人が書いた本よりも読み応えがあるとも言われていて、私もこの本でジョンのこともヨーコのことも、ますます夢中になりました。

ここで紹介する発言の多くは、大勢の取材陣が集まっている「記者会見」のもので、ジョンとヨーコは様々なインタヴュアーに答えています。これらがきちんと伝わらなかったのは、取材者が自社の都合に合わせ、それぞれ細切れで、料理し、会見も恣意的に放送されたからでしょうか。

下記は、ジョンの平和活動や神と宗教について語っている部分を中心に省略して抜粋しています(註記はすべて私による)


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◎1969年アムステルダム「ベッドイン」PRESS CONFERENCE

Q:仕事から帰って、テレビを観て、また翌日も厳しい社会で生きている人たちに対して特になにかメッセージはありますか?

どんなワーキングクラスの人だって、僕らのやってること(「ベッドイン」のこと)はできるだろう。

ヨーコ:現代のワーキングクラスの人なら、少なくとも二週間は休暇がとれるでしょう。OLでもね。街でデモをやってる学生も、ベッドに入っていることはできます。どんな形にせよ暴力に頼れば、さらに暴力をよぶことになるんですから。これは単なる事実です。

行動を起こせば、その反動が来る。そういうことをすれば、返ってくるのも暴力だわ。私たちは革命がいいとは思いません。人は進化すると信じていますいつか変わるときがくるはずです。でも若い人の多くは我慢できずにいるの。「進化なんて待っていられない。革命を起こさなくては」とね。とても焦っているんです。現代の10年は19世紀の百年にも匹敵します…。時間の流れがとても早いんです。


あらゆる年代の人から電報が来るんだ。神父とかホテルの支配人とか、ありとあらゆる種類の人からね。自分たちで行動を起こさないにしても、僕らがうまくいくように祈ってくれてる。精神的な面で僕らを守ってくれている人たちが、ある程度はいると思うんだよ。

僕はそういった波動の効果も信じてる。あちこちの国の大勢の人が「そうなんだ、僕もそう思うんだ」って言ってくれる。彼らが「うん、信じるよ」というだけでも、効果があるんだよ。

ヨーコがこの間言ったとおり「咳をすればこの部屋に影響し、世界に影響する」。なにかしゃべれば、その言葉はそこで終わりにはならない。科学者なら証明出来ると思うな、波動は拡がって行くものだって。だからあらゆる行為は無限に拡がっていって、効果をおよぼしていくんだよ。自分がどんな効果を生み出して行くか、慎重に考えて計画すれば、僕ら全員にチャンスがめぐってくる。

自分の行動すべてを考えるのは大変だ。でも自分の人生に対する姿勢が他のみんなにも影響を与えるんだよ。それによって世界にも影響するんだ。

ヨーコ:これまでにも多くの平和主義者がいました。ガンジーとか、山奥で瞑想するグルたちとか、彼らが発する波動にも大きな意味があると思います。マーティン・ルーサー・キングは説教をして、ジョン・ケネディは政治を動かしました。彼らの波動にもとても意味があります。でもそういう人たちと私たちとの違いは、私たちにはユーモアがあるということです。

私たちは岩の上で瞑想するのではなく、ベッドの中にいます。これはものすごく人間的なことでしょう。私たちは概念としてのセックスを波動として世界に送っているんです!だから、山の中で水と空気だけで過ごしながら瞑想するのとは違います。大きな違いがあるんです。私たちのやっていることはとても人間的で、とても現代的です。

若者が世界を変える方法は、説教や政治ではない、グルになることでもありません。誰もがグルなのです。ベッドの中でも瞑想はできます。私たちの宗教の根本は、キリスト教、ヒンズー教主義、仏教主義、共産主義、これまでに生み出されてきたあらゆる「主義(イズム)」の基本原理なのです。そういうものはほとんど、善良な意図を持った人によって作られています。

私たちが反対しているのは事実の歪曲です。私たちはキリスト教徒であり、仏教徒であり、共産党員でもあるのです。メッセージは世界中どこでも同じだと信じています。

Q:そういう考え方をする以前は、カトリック信者だったのでしょう?

僕はイギリス国教会(☆)の教徒として育った。つまりイギリスに住んで、地元の教会に通っていたんだ。

(☆)現在、イギリス国教会という訳語は不正確?(Wikipedia)

ヨーコ:私は色々な段階を経てきました。ジョンもそうだと思いますけれど。これは、この時代の特徴だと思います。誰もが資本主義やら仏教の禅やらを経験しているでしょう。現在は、誰もがあらゆる知恵に実際にふれることができる時代なんです。

Q:「宗教」という言葉は使わないのですか?

僕らはあるひとつの袋、ひとつの「主義(イズム)」に入りたくない。すべての「主義(イズム)」を、その基本理念において僕らは受け入れる。全部同じなんだ、どれも同じことを言ってるんだよ。

ヨーコ:言葉を変えれば、共存ということです。なにか意見を言えば、そのとたんに危険になるのですから、主張とは危険なものです。それが即座にほかの意見を殺してしまうのだから。ジョンのキリスト発言のようにね。キリストを妄信すれば、仏教でも何でも殺してしまうことになります。

なぜすべての「主義(イズム)」を共存させて、そこから未来を築こうとしないのでしょう。私たちは「私たちはあなたの味方です」って言ってるだけ。それを『ベッド主義』とか『ヘア主義』とか呼んでもかまいません、あるいは『現代主義』とか。もしみなさんがレッテルを欲しがるのであれば。

Q:東洋での体験からなにを学びましたか?

ヒンズー教や、禅のことをちょっと。マハリシにいろいろ聞いたよ。彼はいい先生で、哲学に詳しかった。僕はそういうことをまるで知らなかったんだ。で、「主義(イズム)」についていろいろ学んだわけだ。そのうち、僕がなじんできたキリスト教と、本でよく読んでいた共産主義とか、いろいろなものの間に共通点があるって気がついた。だから、あそこではずいぶん教わったよ。瞑想も習った、実際にはそれがそもそもの目的だったんだけどね。

Q:ではなぜやめたんですか?

あの「主義(イズム)」をやめたんだ。瞑想は今でもやってるよ。マハリシ主義の原理は今でも信じているけど、あのグループには属したくないんだ。



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◎1969年3月31日

Q:今、マハリシのことをどう思っていますか?

彼は僕に瞑想を教えてくれた。僕は今でも瞑想をやってるよ。それにもうひとつ彼が教えてくれたこ … 遠回しにだけど… それは、僕らはみんな自分自身のグルだということだ。

Q:彼を悪者だという人たちについてはどう思いますか?

僕個人としては、彼を悪者だとは思わない。彼がほんとに金目当ての詐欺師だとしたら、マスコミは、どこで彼が金を手に入れたか見つけ出せるはずだ。彼がほんとに悪人だったら、君らでつかまえればいいだろう。

Q:カトリック教会をどう思いますか?

確立した宗教はみんな同じで、真理からかけ離れていると思う。キリスト教も仏教もヒンズー教も、それに共産主義も、基本的な真理はすごく似てる。でもそのメッセージは失われてしまった。

◎1969年ロンドン PRESS CONFERENCE

Q:「アイ・アム・ザ・ウォルラス」はヒンズー教のマントラと言われてきました。

音楽はすべてマントラだよ。曲を作るのと同じで、マントラも反復も音波みたいなものだ。ポップミュージックはみんなのマントラのようなものさ。

◎[Wikipedia]「アイ・アム・ザ・ウォルラス」
◎[動画]The Beatles - I Am The Walrus
◎[訳詞]「I Am The Walrus」(やさしいThe Beatles入門)

Q:「僕は彼、彼は君 … 」というのはどういう意味ですか?

あれは、単に「僕らはみんなひとつ」ということを言ってるだけ。



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◎1969年モントリオール「ベッドイン」PRESS CONFERENCE

Q:ノーザンソングスは、現在ATVが権利を持っているわけですが、この会社とビートルズとの関係は、これからどうなるのでしょうか。

僕らはこれまでも権利を持っていなかった。ほかの誰かに支配されないようにしてきただけだ。僕らはノーザンソングスを管理できるだけの株をもってなかったんだ、ずっとね。だれか新しい人間が入ってくると、僕らは彼らに完全な支配権を握られないようにした。で、実際そうならないようにしたんだ。ATVの持ち分は4分の3しかないからね。

Q:レノンさん、1941年にヒトラーが権力を握っていたころ、アメリカがイギリスの援護にやってきました。もしそのころ生きていたら、あなたは自分の哲学をアメリカ人に話したでしょうか。

ヒトラーに話しただろうね。

ヨーコ:もし私がヒトラーの恋人だったら、状況はずいぶん変わっていたでしょう。戦争や独裁制あ存在するのは、みんなが十分に対話しないから、みんなが十分愛を与えないからです。だれもがヒトラーを愛していたら …

「愛」というのはほんとうの意味で対話することですけれど、それにいって彼の心を開かせ、彼に違う刺激を与えていたら、彼はあんなところまで行かなかったでしょう。彼があんな風になったのは、独裁者になる典型的な状況に置かれたからよ。つまり孤独です。それはみんなの責任だわ。

Q:ヒトラーは子供が好きだったそうですよ。甥や姪をとてもかわいがっていたということです。

彼にもキリストの部分が残っていたんだろう。

Q:「ビートルズってものを通り抜けて」というと、もう過去のことなんですか?

そうさ。ビートルズは言っていれば成長するための「まゆ」だったんだ。今の僕は僕自身でいられる。次の目標はカルマだ、僕はそれを、さいころを降るようなものだと考えているんだよ。

Q:リーダーになりたいと思いますか?

いや。「僕は彼、君は彼、君は僕、僕らみんないっしょなのさ」ってね。僕らはみんなひとつなんだよ。それを一曲ごとに言い続けるわけにはいかないけど。

Q:みんなひそかに言ってますよ。あなたが「日1日とキリストに似てくる」って。

それはジョークだろ。キリストに似てるやつならたくさんいるよ。たしかにキリストは最高にいかしてると思うけどね。でも、新しいキリストが出てくるべきでしょう?しかも現代においてはメディアから出てくるべきです。期待できる場所はそこしかありません。

キリストは「自分がなになにである」とは一度も言ってないよ。神の子とか人の子としか言ってない。それって僕らみんなと同じじゃないか。だからさ、キリストにビートルズのイメージをかぶせたのは他のみんなだろう。

ヨーコ:私たちが出した結論は、実際に知る必要がないということです。私たちは私たち自身でいればいい。評価はあとで誰かが決めてくれるでしょう。あるいは永遠に定まらないままかもしれないですけど。

Q:ハンター・ディヴィス(1968年に出版された公認伝記『ザ・ビートルズ』の著者)が取材した頃、あなたはあまりエゴを出さずに他のメンバーに頼って、あまり幸せそうに思えませんでした。でも、今日のあなたを見ると、すっかり本来のあなたに戻っているようですね。変化の原因は何だったのでしょう。

ヨーコだよ。初めてドラッグとか、宗教とか知った頃は、僕らのエゴがビートルズとしての関係に悪影響を与えていた。(中略)エゴについてのティモシー・リアリーのパンフとかを読んで、僕らみんなエゴというのは悪いものだと思うようになったんだ。僕はものすごく強いエゴの持ち主だからこそ、あそこまで行けたわけなんだけど、2年間そのエゴを完全に殺そうとしていた。もとに戻るのにまた2年かかったよ。

Q:エゴがないと、どういう感じになるんですか?

恐ろしいもんだよ。僕はもともと神経質でパラノイアに陥りやすい人間だから、エゴを消してしまうと何の役にも立たない。ひたすらポールとか、他のメンバーに頼ってた。みんなは僕ほど自分を壊していなかったんでね。



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◎1969年ロンドン INTERVIEW

Q:「宗教」という言葉を聞いて、なにが頭に浮かびますか?

確立した財産と建物。その言葉がなにを意味するのか、どうしても思い出せないね。僕にとってはたいした意味のないものだ。

ヨーコ:規則を教えているかぎりは、宗教に問題はありません。みんなが求めているのは父親像なんです。ブッダや、キリストや、モハメッド、そういったものにあてはめて物事を考える。父親に頼りたいのです。非常に厳格な規則を学ぶだけでなく、崇拝している。ヒトラー崇拝と変わりありません。すごく危険なゲームです。

◎1969年12月トロント平和のための記者会見 PRESS CONFERENCE

Q:この前モントリオールに来たときには、どんぐり(☆)の話を…。

(☆)世界各国の元首に箱に入れた2つのどんぐりを送り、平和について考えを促そうというイベント

フセイン国王(☆)が植えてくれたよ、彼だけだよ!

(☆)ヨルダンのフセイン・イブン・タラール国王のこと)



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Q:あなたが平和を追求しても、その服装や髪型が人を遠ざけているかもしれませんよね。

要するに、それは政治家のやってることだろ。政治家の小綺麗な写真を見て騙される人が、今どのくらいいるっていうんだい。日曜日の教会をバックに、家族と犬と、ついでに娼婦も一緒に写っているようなやつをさ。若者はもうそんなことは信じないさ。

ぼくは「門を一カ所開けておく」ことが大切だって直感的にわかってるんだ。「城は内側から崩れる」っていう中国の古いことわざがあってね。

たとえばアメリカは、共産主義者に侵略されやしないさ。内側からダメになっていくんだ。常に扉は一カ所開けっ放しにしておくことだ。城の扉を全部閉めていたら、敵はあらゆる方向から攻めてくるだろう。それで負けるかもしれない。

でも扉を一カ所だけ開けておけば、敵はそこをめがけてくる。僕らの扉は長い髪であり、MBE返還の理由に『コールド・ターキー』(註1)を挙げることだ。

どうでもいいようなことで目をそらしておけば、僕ら自身が攻撃の的になることはない。だから、僕らは努めて自然なままでいようとしているんだよ。

ラビ・フェイバーグ(1969年の短期間、ジョンとヨーコと活動を共にしていたユダヤ教の宗教的指導者):ジョン、今のあなたが若者に与える影響力というのは、司教とラビと神父をすべて合わせたよりも大きいんだ。ほんとうだよ。自分の持つ力が恐ろしく思えるときはない?

抽象的な力だからね。その力をつぎ込む具体的な対象があったら … つまり平和ではなく、なにか形のある商品を売り込みたくて、知ってるマスコミの人間をつかまえて理科してもらおうとしても、たぶんうまくいかないだろう。だから、僕の持ってる力というのは、実際に使える力じゃないんだよ。

Q:体制側の人間に経済的な支援を頼もうと考えたことはありますか。たとえばヘンリー・フォード2世みたいな人に。

ああ、もうちょっと組織がしっかりしてきたらね。僕たちはリーダーになるのは嫌だったんだ。ウィルヘルム・ライヒ(フロイトから直接指導を受けた精神分析家。1960年代に再評価された)は「リーダーになるな」って言ったけど、それはほんとだと思うよ。僕は自分たちも仲間のひとりでいたいんだ。(中略)そういうのは、独裁政治なんだ。僕らはみんなに手伝ってほしい。

Q:神を信じますか?

うん。神というのは発電所みたいなものだと思う。電気の供給所みたいなものなんだ。神は最高の力を持ってるんだよ。でも、神は善でも悪でもない、右翼でも左翼でも、黒でも白でもない。神は神なんだ。僕らはその力の源を探って、そこからなにかを生み出す。電気と同じだよ。椅子をとおして人を殺すこともできるし、部屋を明るくすることもできる。神は存在すると思う。

Q:キリストの間違いは、ひとりの人間として全世界を救おうとしたことだと言われます。あなたもそう思いますか? そう思うからリーダーになろうとしないのですか?

それについてはわからない。ただ僕は、リーダーや父親像とかいうのは僕らの前の世代みんなの間違いだと思うよ。どうしてもニクソンとかキリストとかに頼りがちだけど、僕らはもう頼れないんだよ。他の誰かにやってもらおうと思うのは責任逃れだろ。「彼がきっと助けてくれる。助けてくれなかったら彼を殺してやろう、落選させてやろう」ってことじゃないか。それは間違いだと思うよ、父親像に頼るってことはね。僕らは活動を続けるかぎり、絶対にリーダーにならないよ。

ヨーコ:それにリーダーはあなたがたなんです。ここにいる誰もが、次の世界を率いて行かなくては

Q:この平和運動を始めるきっかけとなったのには、なにか特別なきっかけがあるんでしょうか。

何年もの間にだんだんとこういう方向に向いてきたんだけど、直接のきっかけと言うと、ピーター・ワトキンスという人から手紙をもらったことかな。『ザ・ウォー・ゲーム』(1965年)という映画を作った監督だよ。

◎[関連記事]孤高の「偽」ドキュメンタリー作家、ピーター・ワトキンス
◎[動画]"The War Game" - directed by Peter Watkins - Excerpt 1 of 2

すごく長い手紙で、今どういうことが起きているかが書かれていた。メディアがいかに統制を受けているか、どんな風に動かされているか、みんなに知らされる情報すべてが、いかに操作されているか。

彼はそれをはっきりと、何時間もかけて膨大な枚数に書いてきた。そして最後に「あなたならこういう状況をどうしますか」って。

彼が言うには「あなたのような立場、我々のような立場にいる人間には特に」、つまり彼が映画監督だからね…、「メディアを世界平和のために利用する責任があるはずだ」。

僕らはこの手紙を前にして3週間ずっと考えてた。そのあとで僕らは「ベッドイン」を思いついた。召集令状が来て、3週間どうしたらいいか考えて、ベッドインをやったんだ。



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◎1970年7月ロンドン PRESS CONFERENCE


Q:アンダーグラウンドは唯一の文化的革命でしたが、それでも世間に広まってみると、ウォール街の連中よりもさらにひどい人間たちの集まりでしたね。

フラワー・パワーとそっくりだよ。メッセージは正しかった。「戦争はやめて愛しあおう」…。でもそれがインチキに取り込まれてしまったんだ。でもメッセージは復活するんだよ。ある思想を広めた人間が、なにかまた新しいことを思いつくんだ。

半年のあいだ平和を流行させることができれば、継続していくだけのエネルギーが出てくるんだ。最初のフラワーパワー世代が今でも同じことを言ってるみたいにさ。。。問題は解決していないんだ。そういうメッセージを全部また呼び戻さなきゃいけない。なにひとつ、たいして変わっちゃいないんだ。

Q:ニュースの対象になることが、あなたが使える手段としてもっとも優れたものだと思いますか? つまり、アルバムを作ることや映画を作ることよりも。

僕らはその全部をやってるよ。ニュースになるような平和運動をやっていこうと思うし、それに曲や映画を作る元気がなくなってきたわけでもない。だから、すべてをやってるのさ。(中略)僕らのためにドアを開けてくれる人たちに会って、意見を交換して、何年もの経験や、味わったハイな状態を語り合い、エネルギーを高め合い、自分たちを見せあう。そして新しい知識を得て、さらに進んでいくんだ。

Q:そして、くぐり抜けたあとのドアを開けておくのも … 。

それが歴史の法則なんだろう。前に進むときには、必ずなにか後ろに残しておくこと。「人になにかを成せ」ってやつだ。なにかを見つけたら、それを次の子孫に渡して、自分は先に進まなきゃいけない。

(1969年から1970年までのインタヴュー終了)

(註1)

女王陛下殿、私は、英国のナイジェリア・ビアフラ問題への介入、ベトナムにおけるアメリカ支持、そして『コールド・ターキー』がチャートから滑り落ちたことに抗議し、MBE勲章を返還します。
愛を込めて、ジョン・レノン
1969年11月25日 

Your Majesty, I am returning my MBE in protest against Britain's involvement in the Nigeria-Biafra thing, against our support of America in Vietnam and against Cold Turkey slipping down in the charts.  
With love, John Lennon
November 25, 1969

◎大英帝国勲章(Wikipedia)

☆「ジョン・レノン Part 5」 に続く

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by yomodalite | 2012-10-25 09:41 | マイケルと神について | Trackback | Comments(8)
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☆「ジョン・レノン Part 2」 の続き

私が実際に読んだのは「Part 2」で紹介した『レノン・リメンバーズ』ではなく、その前版の『回想するジョン・レノン』で、また、ここではテーマに沿った部分のみ大幅に省略して紹介していますが、すべてが貴重な内容で、翻訳者の文体には不満が大きいものの、ジョン・レノンを語るうえでは、欠かせない本だと思いました。

ジョンは相手を選び、そのときそのときの自分の気持ちを率直すぎるほど、率直に語ろうとしているようで、毎回判で押したようなMJインタヴューとは異なり、彼は、自分の気持ちに正直であるだけでなく、説明の仕方や、伝え方も色々と試しているせいか、インタヴューによって受ける印象が変わるような気がします。

私には、ジョンが語っている中には、MJは絶対に言わなかったけど、、という部分が多く感じられ、ジョンがビートルズを創ったと言われた男たちと決別しようとしたときの話では、MJがフランク・ディレオや、ジョン・ブランカを解雇した頃のことを思い出し、

ブライアン・エプスタインが亡くなった後、ジョンが「ビジネスマン」とそれほど変わらない才覚でビジネスをこなしていたことなども意外でしたが、

ジョンがそうであったなら、この経験を「学んでいた」MJは、もっと「したたか」であっただろうと思いました。

会社の乗っ取りや出版権の売買の話は、所々、少しづつ語っているという感じなので、当時の報道を知らない、後世代の私たちには全体像を理解しにくいのですが、

ATVとの出版権をめぐる攻防では、ジョンがスカウトしてきた、アレン・クラインと、ポールの妻の父親(弁護士)との対立があり、それは、ジョンもポールも、お互いに自身の家族の方を選んだというような決断につながり、また当時、ジョンもポールの妻も、ビートルズを解散させた要因と言われ、メディアやファンからも激しいバッシングに合いましたが、特に、ヨーコの嫌われ方は凄まじいものだったようです。

また、1960年から70年代、精神世界の話題は、今の時代からは想像できないぐらい「パワフル」だったようで、ジョンの会話には、イエスとブッダの名前が頻繁に登場するだけでなく、

彼の『God』という曲に登場する、名詞すべてが、時代の「救世主」であり、救世主があふれている時代の最大のアイコンが、ジョン・レノンだったように思えます。

このインタヴューの後に、また別のインタヴューを紹介する予定ですが、

下記は、1970年12月の「ローリングストーン」誌によるインタヴューの続きです。

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Q:自分がエルヴィス以上だと気づいたのは、いつでしたか?

わかりません。実際にエルヴィス以上になってみるのと、ただ考えているときとでは、ちがうのです。

Q:夢は終わったとあなたはおっしゃいますが、その夢の一部分はビートルズは神であったということで、ビートルズは神のメッセンジャーであり、ビートルズあるいは、あなた自身が神だったという…

ええ、つまり、神というものがあるならば、私たちみんなが神なのです。

Q:自分たちのレコードを聴いてくれる人たちからのリアクションを最初に感じ始めたのはいつですか? 精神的なリアクションみたいなものですが。

イギリスにウィリアム・マンという男がいて『ロンドン・タイムス』に書いているのですが、ビートルズにとって最初の知的な批評家でした。この男をきっかけに、人々は私たちのことを知的に語るようになったのです。

ええ。この男は、イオリアン・カデンスとか、そういった音楽の術語をたくさん使って、くだらないことを言う人なのですが、いわゆる知的な人々に対して私たちを信頼するに足る存在にしてくれたのです。ウィリアム・マンは、今でもくだらないことを書いていますが、私たちにとっては利点がたくさんありました。中産階級とかインテリの人たちが、ウィリアム・マンを通して、私たちに感心するようになりましたから。

Q:ジョン・レノンは神だ、ということが、あなたに対してはじめて提示されたのはいつでしたか?

どうしていいのかわからなかったですね。「どうか、お告げをくださいませ」とでも言われているみたいで … 『ラバー・ソウル』のころでしょうか … 記憶にありません。つまり、私たちはメッセージを発しはじめたのです。メッセージを出し始めると、人々はそのメッセージはどういう意味なのですか、と聞きはじめるのです。

Q:いまは、どんなアーティストが優れていると思いますか?芸術のどんな分野でもいいのですが …

ヨーコは、私にとっては、ポールとディランをいっしょにしたほどに重要な存在です。彼女は死ぬまでは評価されないと思います。現在の痴呆的な世代に対して、彼女の作品がどのような意味を持つのかが少しでもわかっている人たちは、片手で数えられるほどでしょう。私としては ーー ヨーコのやっていることには敬服しています。

アートスクールで私が学んだことといえば、ヴァン・ゴッホについてだけであって、マルセル・デュシャンについても教えてくれず、彼について教えてくれなかったという点で、私は自分が通ったアートスクールを軽蔑しています。

Q:ヨーコを理解することに関して、一般的な妨げとなっているものはどういうことなのでしょうか?

ハワード・スミスが、FM局でヨーコの音楽をかけると予告したところ、馬鹿な人たちが電話をかけて「彼女の音楽をかけるなんて、とんでもない。かけるものならかけてみろ。ビートルズを解散させてしまった女じゃないか」と電話で言ってきたのです。彼女はビートルズの解散の原因ではありませんし、たとえそうだったとしても、FM局が彼女の音楽をかけることに、なんの関係があるのですか。

彼女は女性で日本人です。彼女に対しては人種的な偏見がありますし、女性だからという偏見もあるのです。彼女の作品は、ちょっと考えられないほどすばらしく『サージェントペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド』と同じほどに重要です。本当にヒップな人たちは、すでに気づいています。彼女はあまりにも優れていて、進みすぎていて、、彼女の苦痛はとてつもなく大きく、彼女が自分を表現するときに、その表現を受け止める方の人たちにまで、苦痛が伝わって行くのです。とても受け止めることはできません。ゴッホが自分の時代に受け入れられなかったのと、同じです。

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Q:ベッド・ピースは、どういうことだったのですか? あなたが再び一般に姿を見せ始めた最初でしたけれど。

私たち夫婦が、ベッドの中で平和について語ったことが世界の新聞の見出しになったということを考えれば、素晴らしいイベントだったと思います。

◎ベッド・イン(Bed In)Wikipedia
◎『PEACE BED アメリカVSジョン・レノン』(The U.S. vs. John Lennon)

Q:「愛」という言葉は使わずに「平和」にしたわけですね。意味は同じでしょうけど。「平和」という言葉のどこが好きなのですか。

愛とか平和に関して、私とヨーコとは共通していたのです。ヨーコは、平和のためでないことは、何もやりたくなかったのです。

Q:政治のリーダーたちからは、なにかリアクションがありましたか。

ベッド・インについてはなにも。どんぐりを送ったことに対しては反応がありました。いろんな国の元首たちが、実際にそのどんぐりを土に植えたのです。送ってもらったどんぐりに対する返事は、たくさん来ました。

Q:カナダのトルドー首相に会ったときはどうでしたか。あなたに対する反応はどうだったのですか?

私たちがなにか若者の層を代表しているのではないだろうかと考えていて、私たちに興味を示していました。彼は大変神経質になっていたと思います。時間は40分ほどで、いろんな国の元首たちに会う時間よりも5分長く、35分でもトルドーに会うこちが出来れば、当時は非常に光栄なことだとされていました。

◎ピエール・トルドー 1968〜1984年まで首相を務め、現在の多文化国家カナダの原型を作り、対米依存主義脱却を目指した。

Q:ハンラッティのために、あなたは袋の中に入ったりしましたよね

◎ハンラッティ事件(Wikipedia)

ええ。ハンラッティのために「バッグイベント」(☆)のようなことをやりましたけど、ヨーコと一緒に行なった「バッグ・イベント」で一番良かったのはウィーンで行なった記者会見でした。オーストリアのテレビで、ヨーコの映画『強姦』が訪英されたときです。その映画の製作を私たちが頼まれ、できあがったものを観にウィーンに行ったのです。

(☆)バギズムとも言われるジョンとヨーコによる平和運動のひとつ(Wikipedia)

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Q:「戦争は終わった」のポスターに対してはどのような反応がありましたか。

大きな反応がありました。そのイベントが、メッセージそのものから離れても立派なものだということを理解してくれて、世界中の若者から、ありがとうという感謝の言葉を受け取ったのです。私がいま、町を歩けば、人に話しかけられるときの話題は、平和のことだと思います。

Q:あなたに大変な人気があるのは、なにが理由になっていると思いますか?

私はやるべきことをやったからです。ビートルズをやめてしまったからです。芸術家として、たとえば、ディラン・トーマスみたいな人たちのことを聞いたことはありませんか。なにも書いたりせずに酒ばかり飲んでいて、、、みんな酒で死んでしまっています… なにかをやった人と言うのはたいていはこんな風なのです。

ビートルズの頃の私は、パーティーのまっただ中に身を置いているようなものでした。そのパーティーの中で私が皇帝になっていて、何百万という女性を従え、薬物も、酒も、権力もあり、あなたはなんて偉大でしょう、とみんなが私に言っていたのです。そのような状況から抜け出すことはできませんし、降りることもできず、ものを創り出すこともできなかったのです。少しは創りました。創ろうと思わなくても出てきてしまうものは、少しはあるのです。

Q:ボブ・ディランを偉大な存在だと考えますか?

いいえ、詩人のひとりとか、競争相手のひとりとして、考えています。ディランの歌を聴いたり、ディランの歌を読んだり、ディランでなくても誰でもいいのですが、そういうことをする以前に私が書いた本を読めば、わかります。誰を聞こうが聞くまいが、私は同じなのです。私は、エルヴィスやディランのあとに出てきたのではなく、それ以前からいたのです。

しかし、偉大なアーティストに接したり実際に会ったりすれば、私は、その相手が好きになります。短い間ですけど、相手に対して狂信的になり、そして冷めていくのです。

Q:あなたはこれからロンドンに帰るのですね。この先3ヶ月ぐらい、なにをやるのか、大体の見通しはどうなのですか?

ちょっと、ただ消えてみたいですね。ニューヨークには疲れさせられました。ニューヨークは好きですが、とんでもない怪物に惹かれていくみたいな感じです。映画をつくるのは、色んな人たちに会う手段としては、とても良かったと思います。私たちは、もう充分に発言し行動したので、これから数ヶ月は、なにもしなくていいと思います。特にこのインタヴューでは充分に発言しました。

Q:これから数年間についての、おおよその計画は、どうなのですか?

これから数年間のことなど、まったく思いもおよびません。あと何年あるかなどと考えると、底なしの感じがします。まだ、何百万年とあるのですから。私は、週単位でくらいでやっていきます。一週間より先のことは、あまり考えません。

Q:もう訊くことがなくなってしまいました。

それはまた、驚きですね。

Q:なにか付け加えたいことはありますか?

いいえ。『ローリングストーン』の読者をつかむような、肯定的で心あたたまるものは何もありません。

Q:「自分が64歳になったら」どうなっているか、想像できますか?

とてもできません。アイルランドの海の近くとか、そういったところに住んでいる、素敵な老人夫婦になっていたいと思うのですーー狂気のスクラップ・ブックを眺めて暮らすというような。

(インタヴュー終了)


「僕が64歳になっても」
ポール作曲『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』収録曲





1970年の暮れに行なわれたローリングストーン紙のインタヴューの紹介は以上です。

わたしは、自分自身が神のように扱われることの苦悩と、ヨーコへの凄まじい批判に対して「ジョン・レノン」という名声を捨てても…という心情を強く感じました。

Part 4で、このインタヴューとほぼ同時期の、また別のインタヴューを紹介します。

☆「ジョン・レノン Part 4」に続く


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by yomodalite | 2012-10-19 14:52 | マイケルと神について | Trackback | Comments(0)
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☆「ジョン・レノン Part 1」の続き

Part 1で紹介した「God」は、1970年に発売された『ジョンの魂』(原題:John Lennon / Plastic One Band)に収録された曲。

心理学者アーサー・ヤノフが書いた『Primal Scream』という本に影響を受けたジョンは、ヨーコとともに「プライマル・セラピー」と呼ばれる精神療法を体験。パラノイアックなまでに、自分の過去を否定したアルバムとも称された『ジョンの魂』は、その治療の影響を強く受けたものでした。

◎ジョンの魂(Wikipedia)
◎プライマル・セラピー(原初療法)

下記は『ジョンの魂』発売後、1970年12月に行なわれた「ローリングストーン」の編集長ヤーン・ウェナーによるインタヴューをまとめた『レノン・リメンバーズ』(『回想するジョン・レノン』『ビートルズ革命』改題)から、

ビートルズの音楽出版権売買へのジョンの関与や、ビートルズ解散問題に疲れ、それをヨーコの責任とするメディアやファンにも怒りを募らせている当時の心情を率直に吐露したインタヴュー部分を、省略・要約して抜粋しています。

◎[Amazon]『レノン・リメンバーズ』
☆尚、著作ではなく、雑誌掲載のインタヴュー原文はこちらで読めます。


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Q:これまでの自分をみんな取り消してしまいたいという気はありますか?

自分が漁夫かなにかになれるのであれば、取り消しますね。アーティストであることは、少しも楽しくないですからね。わかるでしょう、たとえば、ものを書くにしても、楽しいことではなくて、責め苦ですよ。

ほかの人たちが、私たちを死ぬまで吸い尽くしてしまうのです。私たちにできることといえば、せいぜいが、サーカスの動物みたいにやっていくことくらいのものなのです。わたしは自分がアーティストであることに憤慨していますし、そういう意味では、なにも知らない馬鹿な人たちのためにパフォームすることに憤りを覚えます。

Q:公演旅行に出るということは、どういうことなのですか?体の不自由な人たちがやってきて、というような話を読みましたけど。

たとえばイギリスでは、私たちがどこへ公演にいっても、体の不自由な人たちとか車椅子に乗っている人たちのために、どこでも、いつも席がいくつかあけてあるのです。私たちは、有名であるがために … そういう人たちに対して私たちはなんというか愛想よくしなければならないのだ、と思われていたのです。

ひとりでいたいですし、それに、何を喋っていいかわからないのです。そういう人は、たいていは「わたしはあなたのレコードをもっていますよ」と言ったことしか喋らないか、あるいは、なにも喋れなくて、ただ手を触れてみたいだけなのですね。

それに、いつも、その人たちのお母さんとか看護婦さんとかが、そういう人たちを私たちに押し付けてくるわけなのです。私たちがキリストかなにかのように。。私たちには、普通の人とはちがったなにか特別なものがあり、手で触れてくることによってその特別なものが自分にも乗り移るみたいな感じで... そうでなければならないと決めてかかっているみたいでしたね。そのようなことに対して、私たちは、なんと言えばいいのか、冷淡な態度でいたのです。

Q:あなたが、そのような人に対して持っていると考えられていた能力のことを自分で思ってみても、その時点では、あなたは仰天したりしなかったのですね?

私たちが、体の不自由な人たちを直す力を持っているというのが、仲間うちのジョークのようになっていました。私たちが言いそうな、、残酷な言葉ですからね。私たちも、そのような人々に対して気の毒には思うのですが、ずっと取り囲まれていると気まりが悪いみたいなこともあります。

私たちが有名になればなるほど、私たちが接するアンリアリティは大きくなっていき、たとえば、市長の奥さんと握手をしないと彼女は怒鳴りはじめ、セッションの後、眠っていると、市長の奥さんがやってきて「起こさなければ、新聞記者たちに喋ってしまうわよ」と脅し、自分たちの馬鹿な娘に私たちが会わないなら、不利な情報を流すと、、

このアルバム(『ジョンの魂』)で、私が言っているのは、、私は二度と再びおまえたちにひっかかりはしない、ということなのです。

Q:アーサー・ヤノフについてちょっと話をしましょう。あなたがサンフランシスコに出てきたとき「プライマルこそ…!」と、あなたは言いたがっていましたね。
When you came out to San Francisco, you wanted to take an advertisement to say, “This Is It!”(註1)


そういう願望は、プライマル療法の初期におこってくることなのだと思います。というのは、プライマル療法によると、自分自身について発見するわけですが、その発見が自分にとって、あまりにも驚愕すべきことなので、こういう療法はまだ誰も知らないだろう。これはたしかにかなりのものだ、と思うようになるのです。

私がアーサー・ヤノフを宣伝したいと言った裏には、どこに行くにしても、私は行くための理由が欲しいのです。ヤノフの宣伝を行なうのだ。という理由で、ひとつの目標ができます。でも、マハリシのときのように、大げさで派手なことにはしたくありません。この療法について宣伝みたいに喋ることはやめなさいと、あなたは言いましたけど、それは正しかったわけで、私があそこでなにを体験したか知りたい人がいれば、その人には、自分で調べて知って欲しい。こういうふうに言っておかないと、また、マハリシのときみたいなことになってしまいますからね。

Q:パラノイドとしての状態は、やわらいでいますか?

いいえ。しかし、自分自身の恐怖を私は感じることができるようになったのです。自分自身の苦痛が感じ取れますから、以前よりもその苦痛にうまく対処できるという、それだけのことですね。私はおなじ私ですけど、ひとつチャンネルが余計に出来て、それによって、私の苦痛が私のなかにとどまってはいずに、動き回れるようになったのです。以前よりも楽になりました。

誰もが、私たちをひどい目にあわせました。特にヨーコに対してひどかったですね。(中略)あまりにも苦痛をあたえつづけられるので、なんとかする必要があったのです。それで、ヘロインになったのです。ビートルズとその同類たちが私たちふたりにひどいことをしたからですよ(中略)意図的に私たちに対してひどいことを行なったわけではないのですが、、とにかく、私は忘れません。

◎[参考サイト]P.S. I Hate You : The Angry John Lennon Letters

Q:『セクシー・セディ』(☆)は、マハリシのことですか?

マハリシよ。おまえはなにをしてくれたのだ。みんなをいっぱいかついだな」とは書けなかったのですが、いまならはっきりそう言えます。

Q:マハリシにかつがれているのだ。と気づいたのは、いつですか?

わかりません。なんとなく見抜けたのです。(中略)マハリシがミア・ファーローを強姦しようとしたり、ミア・ファローだけでなく他にも … というようなことに関して大きな騒ぎがあったのです。徹夜して「それはほんとうだろうか嘘だろうか」と話し合い、それから私たちはマハリシのところへ行ったのです。(中略)「私たちは帰ります」と私は言いました。「なぜですか」マハリシは聞き返していました。そこで私は「あなたが自分でおっしゃるように広大無辺な存在であるなら、私たちがなぜ帰るのか、その理由もわかるでしょう」と答えました。マハリシ自身、それに、彼の右腕的な存在の男たちがみんないつも、マハリシは奇跡がおこせるのだ、とほのめかしていましたからね。

だから、私は「理由は、おわかりになっているはずです」と言ったのですが、彼は「私にはわかりません。教えてください」と私は言い続け、彼は「この野郎、殺してやるぞ」というような顔をしました。彼がそんな顔で私を見たときに、私にはマハリシの正体が見えたのです。

私註:後に、他のメンバーはマハリシへの誤解をとき、彼への支持を表明しています。また、ジョンのマハリシへの感情は、今後のインタヴューも参考にしてください。

ヨーコ「マハリシに対する期待が大きすぎたのね」

ぼくは、いつもそうなんだ。人に対する期待が大き過ぎる。たとえば、いつも自分にとって母というものを期待していながら、結局は手に入らなかったというような、そういうことがいつもあるわけです。母とか両親とか。自分というものに関して、そのへんまではわかっているのです。

Q:ニューヨークへ来て、マハリシを弾劾する必要があると考えたのはいつのことですか?

マハリシを弾劾するとは?(中略)あれは、アップルの発表だったのです。(中略)本当のことがなにもわかっていないのにいろいろ喋りまくる、ということをみんなよくやりますが、今の私もそうなのかもしれません。

他の人たちは、私が言うことをそのまま受け止めるわけですけど、私は人から聞かれた色んなことに対して、ただ、答えていくだけで、ある部分は意味をなしているかもしれませんが、(中略)私が覚えているのは、アップルについて喋ったということだけです。

Q:ポールが「私はビートルズをやめる」と発表したときは…

私がそれをやりたかったのです。しかし、そのころは、ノーザンソングス(ディック・ジェームズとブライアン・エプスタインが取締役のビートルズの曲を管理する音楽出版社)とか、その他、いろいろな問題があって、難しいことがたくさんありました。

Q:ディック・ジェームズ(註2)が自分の持株を売ってしまっていた、とわかったときにはどんな気分でしたか?

彼は、ちょっとジョージ・マーティン(ビートルズの音楽プロデューサー)みたいなところがあり、ビートルズをつくりあげたのは自分だと思っているのですが、本当はそうではないのです。ディック・ジェームズの音楽とやらを聞いてみたいですね。ジョージ・マーティンの音楽というものも聞いてみたいです。そんなものが存在するなら。

ディック・ジェームズは、ビートルズをつくったのは自分だと言ったのです。実際は、私たちが彼らのような人間をなんとかしてあげていたのに、一般の人たちは、彼らによって私たちがつくられたのだと、錯覚しているのです。

Q:ディック・ジェームズが、どんなふうにあなたに喋ったのですか?

喋ったのではなく、リュー・グレード(註3)に売り込んだのです。私たちはそのことを新聞で読んだのだと思います。ビジネスマンという人たちは、人種が違うのだと、一般の人たちは考えているようですが、私たちが音楽を演奏するのとおなじように、ビジネスマンたちは、ビジネスをやるのです。

たとえばアレンですが、彼はとてもクリエイティブな男です。彼はいろんな状況をつくり出し、その状況がまた、彼らのような人たちが動き回るためのポジションをつくりだしていきます。ビジネスマンたちは、みんなこれをやります。私たちもまた、役割を演じたわけで、どちらの側も、役割を演じたのです。

Q:あなたは、どのようなことをやったのですか?

どんなふうに表現すればいいのでしょうか… 私は、人を操作したのです。リーダーはそういうことをやるのです。座り込んで色々考え、他の人たちとの関係の中で、自分に利益があるような状況をこしらえだすのです。要するに、すべては、そんなふうに単純で、私もまた人から操作されていて、アレン・クライン(註4)を、アップルに入れるために動かなければなりませんでした。ぼくも動いたし、君だって動いたのだ。

ヨーコ:あなたは本能的に行なったのよ。

それはやめてくれ、ヨーコ。それは言わないでくれ。要するに、操作なのだから。はっきり言うようにしよう。意図され計算されつくした操作によって、たとえばあるひとつの状況を、いかにして自分の望むようにもっていくか、ということなのだから。ちがうかな。そうだろう?

ヨーコ:つまり、あなたは、かなり本能的な人なのよ。

アレンだって本能的だし、ディック・ジェームズも、リュー・グレードだってそうだ。みんな本能的で、彼だってそうだろう。やはり、操作なんだ。操作したりされたりすることを恥ずかしがる必要はない。人を操作し、自分も人に操られているのだという事実を、いさぎよく認めることが大事なのだ。「同胞よ、神の恵みがありますように、ハレ・クリシュナ」などと言いながら、この世に既得権なんかありえないような顔をしていては、いけない。

ヨーコ:落ちるところまで落ちた、くだらない次元でアレンをつかまえてくるのではなく、あなたは、アップルのような話にアレンは飛びついてくる男だ、と本能的に見抜いたうえでアレンを手にいれてくる、という違いがあるのよ。

しかし、それは、問題の中心からはずれている。アップルやビートルズの周囲に、アレンが入ってこれるような状況をつくりだす、ということについて僕は話している。いま喋っていることの意味はそういうことなんだ。もし僕がそのような操作をしなかったら、アレンは入って来なかったに違いない。君のおこなった操作がなくても、やはりアレンは入って来なかっただろう。君だって、決定に参加したのだから。

Q:どのようにしてアレンを加えたのですか?

自分が欲しいと思っているものを手に入れるときと同じ、あなたが欲しいものを手に入れるときと同じです。要所要所に電話して自分が考えているとおりにすればいいのです。

Q:ポールの反応は、どうでした?

世の中にはいろんな人がいます。ディック・ジェームズのような人、デレク・タイラー(ビートルズの広報担当)みたいな人たち、ピーター・ブラウン(ビートルズのアシスタント)のような男たち、それに、ニール・アスピノール(ビートルズが設立した、アップルの代表)とか、みんな自分たちこそビートルズだと思っているのです。そういう連中は、糞でもくらえですよ。天才たちと一緒に10年、15年と仕事をしていると、そんな連中は、実は自分たちの方が天才なのだと思い始めるのです。


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Q:あなたは自分を天才だと思いますか?

ええ、天才というものがあるとすれば、私は天才です。

Q:そのことをはじめて意識したのは、いつですか?

私が12歳のときでした。自分は天才にちがいないと、いつも考えていたのですが、私が天才であることに誰も気がつかない。私は天才だろうか、それとも狂人だろうか、と私はよく考えたものです。天才とは一種の狂気で、私たちはみんなそうなのです。

詩をつくったり、絵を描いたりしながら、ビートルズが成功したり、あるいは私が有名になって、それで私がひとかどになったというのではなく、私はこれまでずっとこうだったのです。天才であることも苦痛です。ただ、単に苦痛です。

Q:ビートルズに繋がっている人たちに対しては、どう感じていますか?

彼らはビートルズの過去の夢の中で生きているのです。彼らはビートルズとはいったいどういうことだったのかということに関して、ひどくねじ曲がった見方をしているのです。

Q:自分たちの生活が、あなたの生活と、もはや解きほぐすことができないほどに、からみあっているのだ、と感じているでしょうね。

もし、そうだったら、もっと成長してそんな状態からは抜け出すべきですね。自分こそビートルズなのだと思い込んだまま生き続けるわけにはいかないのです。彼らの現在の状況は、だいたい、このあたりにとどまっているのです。わかっていないのですよ。つまり、このインタヴューが活字になって出て、いまの私の話が載っているのを読んだら、その人たちは、ジョンは少しおかしい、と思うのでしょうけど、とにかく、連中は、いまだに過去のなかに生きている、という状態なのです。

Q:あなたは、デレク・タイラーと、いっしょにトロントに行き「BED PEACE」もトロントで行なったのでしたね?

ええ、それも、いま私が言ったのと同じことなのです。つまり、当時はわたしも過去のなかに生きていました。そのときの状態をひきつづき維持しながら、私たちの生活のなかにヨーコを持ち込んでくることができるのではないかと、考えていたのです。しかし、現実には、私がビートルズと結婚したような状態になってしまうか、あるいは、ヨーコとそうなるかのどちらかをとらなくてはいけないようだったので、私はヨーコの方をとったのです。私の選択は間違っていませんでした。

Q:あなたが初めてヨーコを連れてきたとき他の人たちの反応はどうだったのですか?

みんな彼女を軽蔑していました。私とヨーコが一緒だったこの二年間、私たちに関するパブリシティのアップルでの扱い方、それに、私たちに対する人々の態度、すべてが私たちをパラノイド扱いする方向にむかっているのです。しかし、そういう人たちこそ、ビートルズが解散した本当の理由はヨーコだとかアレンだとか、考える馬鹿な人たちなのです。

___________

(註1)
☆こちらに、ジョンの “This Is It!” 発言について、少し書かれています
◎ヤノフの妻へのBBCインタヴュー(ジョンの父の妻・ポーリーン・レノンの記述など)

(註2)
ディック・ジェームズ/ビートルズがもっている経済的成功の可能性に最初に目を向けた人物。彼とビートルズとの間に設立された音楽出版社がノーザン・ソングスで、レノン&マッカートニーの全作品を管理し、ジェームズは株の50%近くをもっていた。レノン&マッカートニーの作品に生じる各種の版権を押さえているだけでも非常に儲かるため、ジェームズの持株を買いたいと言う話が各方面から常にジェームズのところへ持ち込まれていて、テレビ会社のATVが提示した価格に動かされたジェームズは、自分の持株をATVに売り、これによってATVはノーザン・ソングスの筆頭株主となり、事実上の乗っ取りが行なわれたことになった。

(註3)
リュー・グレード/英国のショービジネス界で有力なテレビ会社、ATVの経営者。

(註4)
アレン・クラインはジョンがスカウトした人材で、ビートルズの持株をディック・ジェームズが売った倍の価格でATVに売り、決着をつけた。

☆「ジョン・レノンPart 3」に続く

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by yomodalite | 2012-10-17 20:43 | マイケルと神について | Trackback | Comments(0)
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☆「藤永先生のメールから」の続き

チョプラの著書『クォンタム・ヒーリング』では、西洋の先端医学を学ぶために、インドを離れたものの、現代医療の限界から、インドの古代医学「アーユルヴェーダ」や、マハリシに惹かれていったことなどが書かれていて、私はアーユルヴェーダも、瞑想も、ヨガも、ホリスティック医療も好ましいものと感じていますし、製薬会社に支配された現代医療に対して頑張って欲しいとも思うのですが、

ただ、それらに「アートマン」や「ブラフマン」という考え方が必要とは思えず、むしろ、精神と肉体が一体化されていた方がいいのではないかと思ってしまったり、また、チョプラの素敵なところももっと紹介すべきではないか・・など、色々悩んだのですが、

ジョン・レノンに続けることにしました。

MJとエルヴィスという比較は、とても多く見られるのですが、ジョン・レノンは「マイケル・ジャクソンの時代」と言われる80年代の、その最初の年に亡くなった、60年代~70年代の最大のカリスマで、エルヴィスに強い影響を受けて、音楽を始めています。

◎[Wikipedia]ジョン・レノン

MJは、ジョン・レノンの言葉を、自伝の冒頭にも挙げているのですが、その内容は、

When the real music comes to me ー the music of the spheres, the music that surpasseth understanding ー that has nothing to do with me 'cause I'm just the channel. The only joy for me is for it to be given to me and transcribe it. Like a medium. Those moments are what I live for. ー John Lennon

本当の音楽が私のところにやってくる時 ー 
天空の音が、理解を凌駕した音が、やってくる時 ー 
私自身は単なる媒介にすぎないから、何も関係がないのだ。唯一の喜びといえば、私に与えられるそうした音を書き写すことだ。私は媒介でしかない。が、そうした瞬間のために私は生きている。 ー ジョン・レノン


という、他の多くのミュージシャンからも聞かれる言葉で、特にジョンらしい言葉とは言えないような・・

MJは、ジャクソンズから本格的にソロデヴューした当初から「僕たち黒人の音楽を盗み、作詞も作曲もしていないエルヴィス」に対しては、すぐにも超えられることを確信していたものの、エンターティナーを志し、少年時代から芸能界に育ったMJは、ジョンに対しては、尊敬とともに複雑なライヴァル心もあったのではないでしょうか。

でも、よく考えてみると「愛」や「平和」も、MJ以前は、ジョン・レノンが強く担っていた「イメージ」ですし、

同じく自伝の冒頭に掲げた言葉「何かを発見しようと思った時、私は過去に為されてきたことを全部読み返すことから始める」という言葉どおり、MJは、ジョンの遺した言葉や、経験や苦悩から、すごく学んできたことが、

彼の「神」について考えているうちに、どんどん強く感じられるようになりました。

下記は、ジョンの有名な曲「God」の和訳です。




“GOD”
Written By John Lennon

God is a concept
By which we measure our pain
I'll say it again
God is a concept
By which we measure our pain

神とは苦悩を測る観念に過ぎない
繰り返して言う
神とは苦悩を測る観念に過ぎない


I don't believe in magic

僕はマジックを信じない

I don't believe in I-Ching

僕は易占いを信じない

I don't believe in Bible

僕は聖書を信じない

I don't believe in tarot

僕はタロットを信じない

I don't believe in Hitler

僕はヒトラーを信じない

I don't believe in Jesus

僕はイエスを信じない

I don't believe in Kennedy

僕はケネディを信じない

I don't believe in Buddha

僕はブッダを信じない

I don't believe in mantra

僕はマントラを信じない

I don't believe in Gita

僕はバガヴァッド・ギーター(*1)を信じない

I don't believe in yoga

僕はヨガを信じない

I don't believe in kings

僕はキングのような人々を信じない

I don't believe in Elvis

僕はエルヴィス・プレスリーを信じない

I don't believe in Zimmerman

僕はボブ・ディラン(ズィマーマンはディランの本名)を信じない

I don't believe in Beatles

僕はビートルズを信じない


I just believe in me

僕はただ自分を信じる

Yoko and me
And that's reality

ヨーコと僕
そして、それが現実なんだ

The dream is over
What can I say?
The dream is over Yesterday

夢は終わった
何を言えばいいと言うんだろう?

昨日、夢は終わったんだ

I was the dream weaver
But now I'm reborn
I was the Walrus
But now I'm John

僕は夢を紡いできたけど

今、ようやく生まれかわったんだ

僕はウォルラス(*2)だったけど
今の僕はただのジョンなんだ

And so dear friends
You just have to carry on
The dream is over


親愛なる友よ

君もそうしていくしかない
夢は終わったんだ


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(*1)バガヴァッド・ギーター

(*2)ウォルラス/セイウチのこと。ウォルラスはビートルズの「I Am the Walrus」や、MJもカバーした「Come Together」にも登場した、空想世界でのジョンを表すキャラクター。


この詩を元にして、MJを語るとすれば、こんな感じでしょうか。

ぼくは、マジックが好きだ
ぼくは、聖書には信じられない部分がある
ぼくは、ヒトラーと対話したい
ぼくは、イエスを人間として目標にし
ぼくは、エルヴィス・プレスリーを超えて
ぼくは、ビートルズを買い
ぼくは、キングになった
ぼくは、世界中の人々は、すべて「神のこども」だと信じる

神は「審判」など行なわず、
世界に救済はなく、人は復活することも、生まれ変わることもない
だから、世界を変えるのではなく、自分を変えよう
自分が生きている時間が「現実」なんだ

夢は生きている間に見るもの
ぼくは、大勢のひとに夢を与えたい
それが、ぼくが、神から与えられた運命で、
それが、マイケル・ジャクソンなんだ

親愛なるすべての人々へ
君も、君に与えられた運命を全うするために
今の自分を変えるんだ
夢は生きている間に見るものだから


☆「ジョン・レノンPart 2」に続く

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by yomodalite | 2012-10-06 11:52 | マイケルと神について | Trackback | Comments(24)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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