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一色一生/志村ふくみ

本書は1982年(29年前)に出版され、これまでに何度も再版を重ねている名著。

著者は、染や織の世界で第一人者といわれ1990年に人間国宝にもなられた方ですけど、そんな肩書きをまったく知らないで本書を手に取ったとしても、著者の凄さは、1ページ目から伝わると思います。

でも、去年の秋頃から、少しづつ読んでいたのですが、実はまだ読了してません。著者の文章は、その織物と同様か、それ以上とも言えるほど魅力的で、染色や織物についての専門的なことも「苦」に感じることはないのですけど、、

本当にタイトルどおり「色」に一生を賭けている生き様に圧倒されて、自分の中にどう取り込めばいいのか、わからないという感じでしょうか。

「心が洗われる」という体験が、ときに「ひりひり」と痛みを感じるように、何度も「無理」って叫びそうになるのを堪えていたのですが、やっぱり、一旦「リタイア」することにしました。

著者は61歳でルドルフ・シュタイナーの人智学に出会ってから、62歳でゲーテの『色彩学』シュタイナーの『色彩の本質』に関する研究を始め、66歳で人智学による染色研究所「都機工房」を作り、70歳で、もうひとつの名著『織と文』を刊行されています。

ゲーテの『色彩学』から、再チャレンジしてみようかなぁと思ってみるけど、やっぱり、当分「無理」かもしれない。。。

わたしが大学生の頃は、今よりは「教養」が重要視されていたけど、それが壊されて行った時代でもあって、わたしも、本が好きなわりには「教養」が嫌いだった。でも、このところ、結局、筋を通した生き方にも、信念にも「古典」が重要なんだなってことが身に沁みてばかり。。。

下記は本書の冒頭「色と糸と織と」から引用

花は紅、柳は緑といわれるほど色を代表する植物の緑と花の色が染まらないということは、色即是空をそのまま物語っているように思われます。

植物の命の先端は、もうこの世以外のものにふれつつあり、それ故に美しく、厳粛でさえあります。

ノヴァーリスは次のように語っています。

 すべてのみえるものは、みえないものにさわっている。
 きこえるものは、きこえないものにさわっている。
 感じられるものは感じられないものにさわっている。
 おそらく、考えられるものは、考えられないものにさわっているだろう。

本当のものは、みえるものの奥にあって、物や形にとどめておくことの出来ない領域のもの、海や空の青さもまたそういう聖域のものなのでしょう。この地球上に最も広大な領域を占める青と緑を直接に染め出すことが出来ないとしたら、自然のどこに、その色を染め出すことの出来るものがひそんでいるのでしょう。(引用終了)



美しいものに出会いたいひとに
☆☆☆☆☆

◎『一色一生』講談社文芸文庫
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[出版社/著者からの内容紹介]染織家志村ふくみ、数十年、さまざまな植物の花、実、葉、幹、根を染めてきた。それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映し出されているのではないか。それは、人と言葉と表現行為と、根本的に共通する。芸術と人生と自然の原点に佇んで思いめぐらす。深い思索とわがいのちの焔を、詩的に細やかに語るエッセイ集。

[BOOK」データベース]
植物の花、樹皮、実、根等から染液を作り糸を染める植物染料。百の植物があれば百の色が生れ、季節や産地、媒染の方法が異なればもっと多くの色が生れる。自然界の恵みの色に惹かれ、望みの色を生みだすためには一生をかけても悔いはないという、染織作家の様様な人や色との出会いを語ったエッセイ集。大仏次郎賞受賞 講談社 (1993/12/24)、求龍堂; 新装改訂版版 (2005/01)






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by yomodalite | 2011-01-19 12:01 | きもの | Trackback | Comments(0)

写真集 美智子さまのお着物/朝日新聞社編

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今日言うべきことかと思いますが、もう2月!!

着物は着ているのですが、昨年と代り映えしてないうえに、相変わらず季節感もなし。小物ひとつに至るまで、新たに購入した品もないのは、たまたま、気に入ったものがなかったせい。。。多分。。。

でも、そんな、地味な着物生活にも、
素晴らしく感動を与えてくれたのが本書です!
まったくコーディネートの参考にできる気がしませんが

ただ、ただ、うっとり。。。

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内容紹介には、上手に和服を着こなすための知恵を、木村孝氏と渡辺みどり氏が書いているとありますが、ただもう、うっとりするばかりで、そちらはさっぱり読んでいません。とても解説できる美しさとは、思えないので。。。

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【内容紹介】ご成婚発表の直後の振り袖姿から、7月のカナダ訪問での着こなしまで、皇后美智子さまのエレガントな着物姿を朝日新聞の秘蔵写真で見せる。107点の写真で浮かび上がるのは、娘から妻、そして母へと歩んだ美智子さまの年月。雅子さま、紀子さま、黒田清子さんへ引き継がれた帯やお着物などのエピソードや上手に和服を着こなすための知恵を木村孝氏と渡辺みどり氏が解説。読んでも見ても楽しい一冊。




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by yomodalite | 2010-02-06 17:44 | 天皇・皇室 | Trackback | Comments(0)

きものを纏う美/節子・クロソフスカ・ド・ローラ

きものを纏う美

節子・クロソフスカ・ド・ローラ/扶桑社




6月に買った本ですが、めずらしくゆっくり読書してようやく読了しました。冒頭に40pものカラーページがまず眼を楽しませてくれます。

着物の色々な決まり事を知りたいビギナーより、自分なりに普段から着物を楽しみたいと思っている中級者にオススメ。いつもどおり、節子氏ならではの美しい着物コーディネート。今回は特に帯揚げと帯締めに注目させられました。黒地の子猫柄の帯揚げや、ふっくらと帯上で一文字になる結び方も、日本の帯締めを真中で結んで2色使いにしたり、かなり太めの帯締めも、全部真似したくなります。

他にも、臙脂のきものに合わせて、ほとんど黒に近い濃い茶色の地に鴇色の観世水模様の襦袢という組み合わせや、インドのサリー用の生地で作った紗袷、普段は薄い木綿地で手作りした筒袖レースの半襦袢を愛用されていること、気に入った品々を何度も作り替えたり、直したりという本物のエコ生活の知恵なども盛りだくさん。

節子氏の本にはめずらしく(?)お気に入りのお店の紹介もあり、着物好きなら必ず楽しめる内容だと思います。
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[BOOKデータベース]和の“文化”を、美しく纏ってみませんか。—日本人女性の憧れ・節子が綴る“春夏秋冬”たおやかな着こなし。 扶桑社 (2009/6/4)


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by yomodalite | 2009-07-23 22:06 | きもの | Trackback | Comments(0)

グラン・シャレ 夢の刻/節子・クロソフスカ・ド・ローラ

グラン・シャレ夢の刻

節子・クロソフスカ・ド ローラ/世界文化社



グラン・シャレの庭でくつろぐ節子氏の美しいお姿が表紙になっていますが、扉を開けば、他では観られないような美しい着物を、小物まで完璧なコーディネートで着こなす節子氏が、山荘の見事な内部や自然を背景に薔薇のような笑顔に彩られた写真が一杯。

かつて文豪ヴィクトル・ユゴーが愛したスイスの歴史的山荘「グラン・シャレ」。1977年から、画家バルテュスとともに移住した節子氏のグラン・シャレ生活は、雑誌『家庭画報』『和楽』などに連載されていたことからも想像できるように、腕のいいカメラマンによる写真が満載で2500円はたいへんリーズナブル。

スイスの山に囲まれた自然豊かな環境で、乗馬を楽しみ、庭の花の手入れや、毎日のティータイム、わたしたち庶民には味わえないような優雅な生活ではありますが、その生活の豊かさは、世界各国から集められた品々からだけでなく、お茶やジャム、鉛筆立て、レターペーパーケース、書誌の袋、娘のための絵草紙、指人形にまで、手のこんだ手作り品に溢れていて、日本のきものに見られる、ものを大事に使う精神にも感動させられます。

名家に生まれ、若くして成功した画家で貴族の夫と結婚し、何不自由ない美人の生活には、通常あまり興味を持たないのですが、日経新聞「わたしの履歴書」にありがちな、どうしても「自慢」してしまうという文章が見当たらないのは、やっぱり「人徳」としか言いようがないです。心の贅肉が感じられない本当に美しい方です。

着物が好きで、うっとりしたい人は是非。

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【BOOKデータベース】“上の郷”(ペイ・ダン・オー)と呼ばれる山あいの村ロシニエールにはスイスで最も大きな木造建築物グラン・シャレがあります。そこは“二十世紀最後の巨匠”といわれた画家バルテュスの終の住処となりました。夫亡き後も、節子夫人は自然をこよなく愛し、和の心を慈しみ西洋と東洋の美しい融合の暮らしを続けています。バルテュスと過ごしたその宝石のような時間、“夢の刻”を綴った珠玉のエッセイ集。

【MARCデータベース】20世紀最後の巨匠バルテュス夫人のフォトエッセイ。巨匠バルテュスと愛しんだ和の心、そしてスイス山荘で紡ぐ日々の暮らしを綴る。『家庭画報』連載をまとめる。 世界文化社 (2005/05)



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by yomodalite | 2009-06-25 13:28 | きもの | Trackback | Comments(0)

きものでわくわく/大橋歩

図書館でお目当ての本がなかったのに加え、活字中毒者にありがちな活字ぎれの症状が。。。『きもの〜』と書いてある本なら、どれでもイイ!そんな状態で手に取りましたって、ホント著者に失礼だなぁ〜。

大橋歩コレクションは大体10冊ほどあるみたいで、本書以外も『ゆかたでわくわく』など、きもの関連本が3冊ほどあるようです。流石は平凡パンチ創刊号(1964)の表紙からずっと売れっ子イラストレーターだった著者。現在は69歳ですが、こちらは2005年に出版されているもの。

新書の左右を1センチほど拡げたぐらいのサイズで厚さは8ミリほど。これで1200円高!という印象ですが、カラーページが多いからなんですね。

日本の雑誌文化が一番華開いた時代に永く活躍されているクリエーターのきもの生活に興味があったのですが、どこをとっても初心者向けのキモノ本の平均値で、しかも情報に関しては、「私が着物を時々買っている、センスのよい着物を置いている呉服屋さんに。。。。」など、お店の名前は一切出てこないし、コーディネート写真にも、店情報も、着物の名前もなし。大橋さんの感性はあまり表現されていませんが、腕力は感じられます。

マナーやルールに関する話も、ごく一般的なものを踏襲されていて、大橋さん独自の工夫とかアイデアなどもなく、記憶に残る点が見当たりません。

大橋歩さんのファンの人はこれで楽しめるのでしょうか?

★★☆
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【出版社 / 著者からの内容紹介】着物のおしゃれを楽しむための本です。着物を自分らしく着るためのアドバイスが満載。着物はどうやって手に入れるの、値段は、コーディネートは。それ以外にも柔らかい着物/夏の着物/帯で着る/着物の小物と下着など、役立つ情報がいっぱいです。マガジンハウス (2005/7/14)





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by yomodalite | 2009-06-25 10:43 | きもの | Trackback | Comments(0)

宇野千代きもの手帖ーお洒落しゃれても/宇野千代

宇野千代きもの手帖―お洒落しゃれても

宇野 千代/二見書房




おしゃれ大好き人間で、着物デザイナーでもある宇野千代氏。

本書は、氏の着物人生を、自ら創刊した、雑誌『スタイル』創刊時から現在(出版当時)までを網羅した本。着物の流行の話、様々なアイデア・工夫を生き生きと楽しげに語られていて、最後まで飽きずに読ませられるのですが、最終章の結びで、

「今年、私は97歳を迎えますが、こんな齢になっても、なお、きものを作ることが愉しいのです。自分の作ったきものどの一つを見ても、これは私にも着られる、と、そう思うのですから呆れたものではありませんか。」

本書は2004年に出版されていて、宇野氏が、高齢でありながら、つい最近までたいへんお元気で活躍されていたことも知っておりますが、それでも最後にこの文章を読んで驚かずにはいられませんでした。

茶道や着付け、老舗呉服店などの業界人には、様々なマナーやルールを、客に守らせることが仕事かのように振舞っている人が多いですよね。そんな伝統など、20〜30年にも満たず、自分の先生に教わっただけの、ほとんど業界の都合でしかないようなことばかりなのに、本当にエラそーに押し付けようとする人が多くて困ります。

巷のキモノ本にも、そのようなマナーとルールばっかりの本が溢れていて、著者と同様のセンスを学ぶことがポイントである本が多いのですが、本書は、著者のセンスやアイデアに興味がなくても、自分の中で色々アイデアが拡がるというか、キモノを着ることが益々愉しく感じられる本です。
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【出版社/著者からの内容紹介】小説家として活躍をしながら、精力的にきもののデザインを手がけ、ファッション雑誌「スタイル」「きもの読本」を刊行。さらに銀座に「きものの店」を出店と、生涯を「きもの」と関わり、そして「きもの」と生きた宇野千代の「きもの」「おしゃれ」にまつわる随筆集です。日本のファッション誌の先駆けとも言える「スタイル」誌、「きもの読本」の貴重な資料もふんだんに収録。 二見書房 (2004/10)



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by yomodalite | 2009-06-20 12:26 | きもの | Trackback | Comments(0)

池田重子流きものコーディネート 夏のおしゃれ/池田重子

池田重子流きものコーディネート 夏のおしゃれ

池田 重子/実業之日本社




『冬のおしゃれ』『春のおしゃれ』に続いての出版。 『日本のおしゃれ』展のカタログも全冊もっているので、ここまで購入を我慢していたのですが、5月とは思えない暑い日に書店で立ち見してしまったら、暑さを忘れるほどの清涼感溢れる美しいコーディネートに、つい惹き込まれて、うっかり買ってしまいました。


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3990円は確かにお高いのですが、コレクション級のきものがコーディネート解説つきで、美しいエディトリアルデザイン。

細部のアップ写真や歳時記版というのも観やすいので、『日本のおしゃれ』展カタログを持っていない方なら、即買いの一品です。これに、履物も合わせてくれていたらもっと最高だったんですけど・・・



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【内容紹介】きもののおしゃれは自由で知的で芸術的。明治・大正・昭和初期の和装美を、日本を代表するきものデザイナー「池田重子」がきもの絵巻で伝える待望の日本の歳時記——「夏編」

池田重子が魅せるきもの美学。きものや帯、小物のそれぞれがきもの姿でみごとに物語性を紡ぎ出し、いっそう美しいオーラを放つ池田重子コレクション。本書は「日本のおしゃれ展」で圧倒的な人気を誇るコレクションの中から、未公開数点を含む夏の装い70点と小物を厳選した、夏のおしゃれの決定版。「冬のおしゃれ」 「春のおしゃれ」に続く、待望の夏編。シンプルで優美なコーディネートテクニックを現代のきもののおしゃれに生かしていただきたい。夏のきもの姿の美しさを堪能できる一冊です。
実業之日本社 (2009/4/28)



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by yomodalite | 2009-05-24 15:48 | きもの | Trackback | Comments(0)

きもの春夏秋冬/山下悦子

きもの春夏秋冬

山下 悦子/平凡社



こちらは、信頼する女装家 三橋順子氏の「順子の好きな着物エッセイ」での紹介により読んでみました。

著者は1929年生で大塚末子きもの学院院長秘書を経て独立し、きもの教室や裏千家茶道教室を主催しているきもの研究家。フェミニズムの人とは別人です。

今のきものの衰退の元凶ともいえる、着付け教室と茶道教室を両方主催してきた著者の着物への想いが詰まった一冊。

著者が75歳のときに出版されたものですが、読了後に2004年出版と気づいてちょっと驚くほどクラシックな本です。

巷の大手着付け教室や、呉服屋の見識の無さなどを批判的に書いている部分があるのですけど、着付け教室が、着物の権威者として「お洒落」の審査員化していることの野暮に関して、自らには思い当たるところがないようで「結婚式に黒喪服で」の新聞への抗議など、どっちもどっちというか。。

女の衣服や靴に対しての思いは、今も昔もというところはありますけど、特に着物となると、その執念は暗く深みが増していくところがあります。

深すぎて「お洒落」じゃなくなっていった「きもの」、もてなしの心や遊びがすっかりなくなってしまった女たちばかりの「茶道」...著者には「道」はあっても「楽」が感じられない。「道楽」じゃなくなると、なぜか「反知性」の世界になっていくようです。

本書に流れる怨念のような感性をスルーして読まれることをお奨めします。

【内容メモ】

着手は乙姫さま
浅草鳥越の呉服屋で目に留まったきもの。披露宴の受付用と納得し、高額に目をつむり手に入れたそれは、玉糸紬の白地に深い藍の小紋。一幅に四つ並んでくり返される逆波の間隔は三寸。小さい貝、波間の建物は竜宮城、仔細に見てみれば逆巻く波と見えたのは玉手箱の煙だった。機知に溢れた小紋柄に、披露宴に向かないとは思いもしなかった。

数十年たって、京都の高名な染織家から「波に竜宮城の柄は、着手は乙姫さまという意味がある」と教えられた。。。

お召が好き
上野池之端にある有名な帯締めの店「道明」で、「お召し料でいらっしゃいますか」と訊ねられても驚いてはいけない。お召し物はきものの敬語だが、「お召」といえばお召縮緬の略称。縮緬の横しぼに対し、縦にしぼが感じられる。お召の筆頭は西陣お召。中級と言われた桐生お召は絶えたようだ。縞お召、絣お召、縫い取りお召、マジョリカお召。。。様々なお召の流行があった。

桜の帯留め
梅が終わると桜の帯留めを身につける。横3センチの楕円形、黒に金の桜がにぶく光る肥後象嵌(ひごぞうがん)。肥後象嵌は、近江から鍛治師を迎えて武具を作らせたのが始まり。

目貫は刀の柄の両側、握るところに一対つく縦2センチ、横6センチほどの金具で菊花などをかたどり装飾性が高い。

笄は先端は耳かきの形で、古く「髪掻き」の言葉。実際に乱れた髪をなで整える役目もしたが、江戸時代の女性の髪飾りになり、武士の笄は、斬り落とした敵の首の耳からさし通して首実検に使われた。

小柄は文字通り小刀で、握る部分が刀身の鞘に添ってあらわれている金工の意匠は笄と揃いで、これを合わせて三所物を称する。

時を経て、目貫は、小柄や笄を切って帯留めになった。柄頭は、頭部に紐穴があり刀の柄、握る部分がすべらぬように紐を巻くための始まりで、通した平打ちの紐幅は三分。これを帯留にと考えたのは、芸者であるというのは、著者の推理。

矢絣
矢絣はどうしても白地に紫、それもお召でなければならない。母が遺してくれた矢絣の銘仙は平織りの銘仙の紫の浅さと鼠地の色目が心にぴたりとこなかった。(〜この後更新予定)

☆参考サイト
「日本刀各部の名称」
「ウィキペディア日本刀」
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【出版社/著者からの内容紹介】忘れられて久しいきものに関する知識やしきたり、今と昔の比較など実用性も加味しながら、着付け教室の生徒との交流や四季折り折りの情緒豊かなエピソード

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by yomodalite | 2009-04-20 23:28 | きもの | Trackback | Comments(0)

きもの自在/鶴見和子

きもの自在

鶴見 和子/晶文社



きもの自在 (ちくま文庫)

鶴見 和子,藤本 和子/筑摩書房




最近こちらのブログでは、ちっとも着物をあれこれしてませんが、脳内では様々な悩みやアイデアが渦巻いております。そういうアイデアというか、思いつきというか、実験というか、、、も、お披露目にはちと早いし、便利そうなグッズも、購入品も、お店情報も、紹介するほどではないと思う今日この頃。

本書を読むきっかけになったのは、『女装と日本人』の著者で、女装家の三橋順子氏の「着物大好き」というサイトの「順子の好きな着物エッセイ」で紹介されていたから。三橋氏とは、好きな着物のセンスがそんなに近いとは思いませんが、自らを性同一性障害ではなく性別越境者とする「女装」は、自分の中の未知の女を発見する旅をされているようで共感しています。

私も将来的に着物で日常をすべて過ごすようになりたいものの、まだまだ着物コスプレの日々は続くでしょう。着物に関するバックグラウンドが全くなく、新しい着物を出来るだけ買いたくないものの、着物遺産はあまりにも少なく、女子ばかりのお稽古道の中での、着物にまつわる知識や習慣にも、あまり影響を受けたくないものが多く、お金も使いたくない。そんな自分が参考にしたい着物本となると、なかなか巡り逢えません。

「順子の好きな着物エッセイ」で紹介されている本は、未読のものもあり、全部読んでみたいと思います。

さて、本書の著者、鶴見和子氏は、元東工大教授。ヴァッサー大学で哲学修士号、ブリティッシュ・コロンビア大学で助教授をつとめた後、プリンストン大学で社会学博士号取得。柳田國男や南方熊楠の研究で知られ、弟は鶴見俊輔、祖父は後藤新平、父は元厚生大臣というエスタブリッシュな家庭に育ち、幼い頃から着物に囲まれ、亡くなるまで日常を着物で過ごされています。

その育ちから想像どうり着物遺産に恵まれ、うらやましい限りなのですけど、本書は1993年出版で著者は75歳。それまでの着倒した着物を順々に作り替えて、最後まで「布」として愛していく生き方や、アジアの布を着物や帯に仕立てていく技、そして、着物を美しく着るのに一番大事なのは着る人の「姿勢」で、それには、何かしら伝統芸能を学ぶことだ。という結論。

何かしらの伝統芸能を何にして、どこで学ぶか、、、何年も迷っている課題にまた突き当たってしまいましたけど、決して嫌に感じなかったのは、やはり本書に真の魂があったからでしょう。

アジアの布から着物へという試みに関してが、一番興味のあったところなんですけど、帯以外は実例が見られなかったのは残念。サリーに輸入羽二重を裏打ちしたものが一番見たかったんですけどね。今、裏打ちなしで、サリーを夏のキモノとして、単衣で仕立てて、優れもののポリ襦袢(ウェルキー♪)で、着られないものか、実験してみたくてウズウズしてます。

著者が贔屓にしていた銀座「増多屋」は、すでにありませんが(ですよね?)、道明の組紐、祇園の「ない藤」の履物はあこがれのお店ですね。ワードロープすべて、こちらで揃えることはできませんが、「ない藤」の前つぼは、前緒がぴんと垂直に立つことの美しさだと思っていたのですけど、この前つぼにより親指との間が開かず、細身の足になるんだそうです。

私より遥かに細い足幅の人に言われて、自分のガサツな足元にシュンとしてしまいました。


女鍼灸師のつぶやき
http://blog.livedoor.jp/miki00011/archives/51173418.html
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【MARCデータベース】インドのサリーや中国の刺繍布をきものや帯に仕立て、異文化の豊かな出会いを楽しみ、すりきれたきものは帯や羽織、袋物に…著者のきもの術は自由自在。のびやかで気持ちのいい"きもの暮らし"を提案する。晶文社 (1993/12)

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by yomodalite | 2009-04-13 14:42 | きもの | Trackback | Comments(0)

きもの草子/田中優子

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江戸文学者の田中優子氏によるきもの本には、日本でもアジアでも布が宝石のように大切にされ、親から子に伝わるものだったこと、そして今でもアジアにはそのような習慣をもち続けている人々がいて、布との暮らし、布の生命を味わうという想いがつまっている。

江戸の「布」が、実はアジアからのもので、江戸好みの布が現在もアジアで発見できること、父親の袴から作った帯や、若い時のきものを、自分とおなじように老いさせていく方法など。

着物を着始めたときに「買わない」ことを決めた著者の工夫も、学者らしい布の歴史や時代を辿る文章も興味深く、コラムは、着物の手入れ方法などの日常的知識もためになる。著者のコーディネートも、他ではあまり見られないセンスで刺激を受けた。

読みどころも、見どころも、盛りだくさんな一冊。

【目 次】
一月 「謡初」(うたいぞめ)ー宝尽くしの父の帯
二月 「雨水」(うすい)ーアジアの風
三月 「貝寄風」(かいよせ)ーひとめぼれ
四月 「花曇り」(はなぐもり)ー桜の生命をまとう
五月 「立夏の空」ー江戸からインドへ
六月 「紫陽花」(あじさい)ーきりりと締まる母の帯
七月 「白南風」(しらはえ)ー沖縄の布の手触り
八月 「盆の月」ーそれを破って秋の雷
九月 「白露」(はくろ)ーアジアの星
十月 「秋の蝶」ー老いるということ
十一月 「小春」ー木綿のぬくもり、縞の粋
十二月 「一陽来復」(いちようらいふく)ー福は丸く

【コラム】
・着こなしについて/衿のこと
・着物をなでる・たたむ
・着こなしについて
・色のコーディネート
・自慢?の小物
・雨の日
・夏の着物
・下着
・着物の手入れ
・着物の手入れ/衿
・髪・化粧・飾り
・人にしてもらう、してあげる

◎[参考サイト]遊女 あそめ
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[MARCデータベース]江戸文学者らしく、キリリとした好みで選んだ小粋な着物や帯の柄。聞くも楽しい蘊蓄や思わぬ発見が飛び出す着物読本。2004年1月から12月まで『なごみ』に連載したものをまとめる。淡交社 (2005/04)



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by yomodalite | 2008-11-28 09:31 | きもの | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite