<   2017年 08月 ( 5 )   > この月の画像一覧

f0134963_18102507.jpg



今年出版された『ケンジントン公園のピーター・パン』の新訳を読みました。
これは、バリが初めてピーターパンを登場させた小説『小さな白い鳥』から、ピーターが登場する部分だけを抜粋して出版された作品なんですが、海賊フックと戦ったりする前の話で、ピーターがまだ赤ちゃんのときの話なんですね。


新訳の光文社文庫のあとがきには「小さな白い鳥』に関しても詳しく書かれているのですが、ここでは、訳者による「パン」についての解説を紹介します。

(省略・要約・抜粋して引用)

「パンとはどんな神様なのでしょうか」
19世紀に広く愛用sれたランプリエールの『ギリシャ・ローマ辞典』で「パン」の項目を引くと・・

パンは羊飼い、狩人、そして田舎のすべての住人の神であり、ローマ神話のファウヌスとしばしば同一視されました。その血統については、ヘルメス神とドリュオペー(ニンフが棗の木から花を摘んだために、木になってしまう女性)の息子だとか、ゼウスとカリストー(ゼウスに愛され、女神ヘーラーに嫉妬され、熊に変えられてしまった乙女)の息子だとか、諸説あり、

また、その名前の「パン」は、ギリシャ語で「すべて」の意味(由来は諸説あり)で、姿形は、頭に小さな一本のツノが生え、肌の色は赤みを帯び、鼻は平らで、脚、腿、尻尾は山羊といったもの。

古代エジプトでは、八柱の偉大な神の一人として崇拝され、その像は山羊の姿をしていましたが、パンは、豊穣の象徴であり、エジプト人は彼を万物の原理と見なし、

ローマ時代のティペリウス皇帝は「大神パンは死せり」という声を聞き、また、パンは田舎に住む人々を怖がらせたことで、人が言われのない恐怖に取り憑かれるとき、これを「パンの恐怖」と言うようになり、これが「パニック」という言葉になった・・・

パンの性質は、みなさんが知っているピーター・パンには、ほとんど見られませんが、本書のピーターには、それがまだ残っています。

その一つが「葦笛」であり、もう一つが「山羊」です。

日本人がかつて中国の学問や文化をお手本にしたように、ヨーロッパ人にとってギリシア・ローマの文芸は敬愛する古典であり、ヨーロッパの文学や絵画にもしばしば登場し、パンの神に関しては、19世紀後半から20世紀にかけて、象徴派や耽美派の美術が盛んになると、キリスト教のアンチテーゼとしての異教世界や、産業文明に対する自然を象徴するものとして、また人間の欲望の解放の象徴として、新たな脚光を浴びたようです。

たとえば、デンマークの作家イェンス・ペーター・ヤコブセンに「アラベスク」という詩があり、イギリスの作曲家フレデリック・ディーリアスは、この詩を歌詞とした声楽曲「アラベスク」を書きました。

また、牧神をテーマにした詩で有名なのは、フランスの詩人、ステファン・マラルメの「牧神の午後」。作曲家のドビュッシーは、この詩に霊感を受け、「牧神の午後への前奏曲」をつくり、ドヴュッシーと並び称されるフランスの巨匠ラヴェルが作曲したバレエ「ダフニスとクロエ」は1912年にディアギレフバレエ団によって初演され、ニンフとパンの神に対する牧人たちの素朴な信仰が描かれています。

一方、世紀末のドイツ、ベルリンでは1895年に芸術雑誌「パン」が刊行。「パンの会」も結成され、イギリスでは、1894年にアーサー・マッケンが『パンの大神』という短編集を発表。これは、パンを魔界の象徴として用い、この神の恐ろしさを強調した作品でしたが、ケネス・グレアムの小説「The Wind in the Willows」に登場するパンは、美しい歌声で、主人公を行方不明になった息子がいる場所へと呼び寄せます。

こういった例ほど有名ではありませんが、モーリス・ヒューレットという詩人が発表した戯曲『パンと若い羊飼い』の冒頭には、「少年よ、少年よ、汝は永遠に少年なりや Boy, boy, wilt thou be a boy for ever?」と書かれていて、まるで大人にならないピーターパンの出現を予告しているかのようです。

バリーがこの作品に影響されたかどうかはわかりませんが、研究家のアンドリュー・バーキンは、バリーはこの戯曲を知っていただろうと、指摘しています。

(引用終了)
ちなみに、研究家のアンドリュー・バーキンの本は、マイケルも読んでいた本です!

バリが空想した「ネヴァーランド」は、マイケルによって何年も実在することになり、その庭には、ピーター・パンの像だけでなく、ヘルメス像が建てられていました。(HIStoryツアーのオープニング映像にも登場。→リンク)また、ドヴュッシーは、マイケルのお気に入りの作曲家であり、ディアギレフバレエ団で「牧神の午後」の振り付けとダンスの両方をこなしたニジンスキーは、マイケルのパイセンで・・・。


f0134963_18242735.jpg


光文社文庫飯の解説は、抜粋した部分以外も、ピーター・パンの創造者で、その最大のモデルでもあったバリー自身や、作品に大きな影響を与えた母親についても、よくまとめられているのですが、キャプテンWの存在が消えてしまっている本編の方は、マイケルのいないネヴァーランドのように寂しく感じられ・・

私的には、こちらの訳本の方をオススメします(しかもお値段も安いw)


[PR]
by yomodalite | 2017-08-19 00:00 | ☆マイケルの愛読書 | Trackback | Comments(0)
f0134963_23331508.jpg



こちらは、南船場のランドマークとも言われる、オーガニックビル。
これまでなぜかチャンスに恵まれなかったのだけど、今回は休日ランチで行ったカフェの近くだったことでようやく撮影に成功。



f0134963_23355719.jpg


わたしが、大阪いいなぁ、と思う理由のひとつは、素敵な建築が多いことなんだけど、このビルも強烈なインパクトを与えながら、周囲から浮くこともなく、地域を底上げするパワーが落ちていないところが素敵!



f0134963_23391597.jpg



f0134963_23592009.jpg

(エレベーターホール)
奥のオレンジの2つの物体は
意外と座り心地のいい椅子



f0134963_00002155.jpg



f0134963_00003698.jpg



f0134963_00020660.jpg



何度か目にしていたビルだったんだけど、

今日初めて、イタリアのデザイナー、ガエタノ・ペッシェ(Gaetano Pesce)という人のデザインだったこととか、
フロントを入ったところにあった説明で、

「あらゆる生命体は、一つ一つの異なる細胞が有機的に結びつき、互いが合理的に作用しあい、成長し、そして進化しています。この生命の完成された構造とシステムを取り入れたのが、有機生命体ビル・・・ORGANIC-BUILなのです。ビルの外壁には、様々な大きさのパネルと132個のポット(植木鉢)を付け、その鉢の中には、世界各国から集められた50種余りの植木が植えてあります。これは「垂直の庭園」(古代メソポタミア文明の7大建築の一つバーチカルガーデン ”縦庭” )として都市の中に自然を創ろうとしたものです。小倉屋山本の企業理念の中の一つに[自然と健康]があり、[緑と建築と人間が共存する]というビルコンセプトにも合致したことにより、1993年に誕生しました」

という、ビルコンセプトを知り、

数年前に行っていた美容室で、やたらと「オーガニック」のヘアカラーを薦められたせいで(カラーリング剤がオーガニックだからって、髪や頭皮の健康にはなんの関係もないじゃんw)、オーガニックという言葉が嫌いになってた私も、このビルのネーミングには好感を持ち、

居住者が窓から植物に水をやっているんじゃなくて、建築当初からコンピューターで自動的に水やりができるシステムになっていることとか、

また、ビルオーナーは「小倉屋山本」という昆布屋さん(このビル内に本社がある)ということにも、なんだか感激したりしたんだけど、
でも、古代メソポタミア文明のバーチカルガーデンって何のこと?って思ったんですが、コメントで判明。「バビロンの空中庭園」のことだったんですね!(みっちさん、ありがとうございました!)

[PR]
by yomodalite | 2017-08-14 00:07 | 日常と写真 | Trackback | Comments(5)
f0134963_23173950.jpg



ツイン・ピークス The Return 見たさに、久しぶりにWOWOWと契約。
字幕版で見ているので、吹替え版よりも5日遅れになってしまうことが不満大なんだけど、リンチに激ヨワな私には、やっぱり毎週楽しみで仕方ないし、なんだかんだ、それ以外の放送も見ちゃうし、本作に登場したCHROMATICSや、これまでのリンチワールドに欠かせない音楽も振り返って聴いてしまうとか、読書よりも、音楽や映像鑑賞の方がずっと長くなっている毎日。





ツイン・ピークス The Return2話に登場した
Chromatics




旧作の最終話で「Sycamore Trees」を歌った
Jimmy Scott の「Nothing Compares 2 U」
プリンスともシニード・オコナーとも全然違うよね!



あと、全然期待してなかったけど、WOWOWで放送されてたので観てみたら意外と良かった、最近の映画は『偉大なるマルグリット』。


絶望的な音痴を本人だけが知らない・・・そんなオペラ好きの男爵夫人の話なんだけど、同じようなストーリーで、メリル・ストリープが主演の映画があったのでは?と調べてみたら、その映画は『マダム・フローレンス!夢見るふたり』でした。

ヨーロッパでヒットした映画を、ハリウッドがリメイクすることはよくありますが、どちらも実在したニューヨーク社交界の音痴歌手、フローレンス・フォスター・ジェンキンスをモデルにしていて、先に上映されたのは、『偉大なるマルグリット』のようですが、ストーリー的には、ニューヨークの話を、フランスに置き換えていて、事実に沿っているのは、『マダム・フローレンス』の方らしい(見てないけど)。


ただ、メリルが受け付けられなくなった私は(あのスピーチからね)、『マダム・フローレンス』はまったく興味が持てなくて、『偉大なるマルグリット』も、ルイ・マグリットの伝記映画と勘違いして録画してしまったので、冒頭ちょっとだけ見て消そうと思っていたら、1920年代のパリの様子や、貴族の館から醸し出される雰囲気や調度品、細かいところまで素敵な衣装とか、素晴らしいクラシックカーとか、もう次々に美しいものが登場して、うっかり最後まで見てしまいました。


f0134963_23281464.jpg


f0134963_23282965.jpg

マルグリットを演じていたカトリーヌ・フロは、裕福な男爵夫人なのに、どこか庶民的で、最初はそんなに魅力を感じなかったものの、少女らしさが失われていない純真な演技に徐々に惹きこまれ、どんどん可愛らしく見えてきて、なんとなく伊丹十三監督の作品における宮本信子のことを思い出したり、監督のグザヴィエ・ジャノリの他の作品も見てみたくなったり・・。

参考記事・・・

実際のフローレンスの歌声も
癖になって何曲も聴いちゃいました
デヴィッド・ボウイが
ベスト25アルバムに選んだ理由もわかるかもw


[PR]
by yomodalite | 2017-08-08 00:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
f0134963_23105069.jpg



同じ世界観の中で複数の作品を展開させて、本来作品の異なるキャラクターが共演したり、ストーリーがリンクし合ったりする映画企画を「ユニバース」と言って、米映画で大流行していますが、

ユニバーサル・スタジオがスタートさせた、往年のクラシック・モンスターホラー映画を現代版にリブートするという「ダーク・ユニバース(Dark Universe)」の第1作目が『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』(原題The Mummy)。

エジプト、ファラオ、十字軍、死者の書、宝剣・・など、マイケルが好きそうな要素がいっぱい詰まっているうえに、「Hollywood Tonight」のMVにも登場した超魅力的なダンサー、ソフィア・ブテラも出演!


プテラが演じているのは、ファラオの息子に女王の座を奪われた謎の王女で、生きたままミイラにされた彼女が蘇って・・・というのも、なんだかマイケルのツタンカーメン好きに通じてそう。

聖書の民は、ミトコンドリア・イブが黒人だという説が有力であっても、世界文明の源流であるエジプト人が、アフリカ系だとは絶対に認めたがらないのですが、マイケルがツタンカーメンにすごく興味があったのも、聖書以前の歴史に興味があったからで・・・

と、まあ、そんなことばっかり想像して、大量のネズミが登場するシーンでも、映画『BEN』を思い出すというMJ中毒症状を抱えながら鑑賞していたんですが、映画の展開がさっぱり「母」に行かなくて・・・「The Mummy」ってタイトルは何だったんだろうと帰ってきてから調べてみたら、

マミー(Mummy)って、ミイラのことなんですね。

米国でミイラとママが同じ呼び方をされている(スペルも同じ)理由については、色々調べてみても、納得がいかなかったのですが、映画自体は普通にスリラーとして楽しめるというか、トム・クルーズと、ラッセル・クロウがつまらない脚本の映画に出演するわけがない。という保険がギリギリ効いていたという感じw

でも、せっかくユニバースなのに、この脚本だとソフィア・ブテラは今作限りっぽくて残念!


f0134963_23135773.jpg



f0134963_23143459.jpg



f0134963_23150348.jpg




[PR]
by yomodalite | 2017-08-03 00:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(4)
f0134963_17163744.jpg



ようやく『カラマーゾフの妹』を読了。
これは、高野史緒氏が、ドストエフスキーの急逝によって実現しなかった続編に挑戦されたものなんですが、想像以上に「ドストエフスキー感」があって、すごく楽しめました。

亀山郁夫氏の『「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する』という本に刺激をうけて書かれた本作は、あとがきで、亀山氏が「全部をもっていかれるような恐怖を味わった」と言わしめるほどの見事な出来栄えで、

本編が未読の人にも楽しめるような工夫も多く、またネタバレしたところで、面白さが半減する作品でもないので、こちらを先に読む方が、あの超長編に対してのハードルが低くなったり、

またもう一度読んでみようという人には、まるでドストエフスキーが読みやすく、面白くなったような気がするかも。

スメルジャコフも、ミーチャも、イワンも、登場人物のキャラはより内面が深く表現されているように感じましたが、あの「天使的」なアリョーシャが、最終的にどうなるのか、高野氏が出した答えは、実際にドストエフスキーが、続編として描きたかった方向に近いように、私には思えました。
f0134963_17100147.jpg



でもって、こちらは、なんだかハイジにも似た「ゆりあん」が、一周回ってちょうどイイ感じのケルTを着てたので、テレビ画面をパシャッと。



f0134963_17111899.jpg


調べてみたら、別の番組でも着ちゃうぐらい「お気に入り」みたい。

っとにかわいいんだからぁ113.png


[PR]
by yomodalite | 2017-08-01 00:00 | 読書メモ | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite