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和訳 “Unbreakable”

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さて、いよいよ、アンブレイカブル の和訳です。

なんていっても、今頃?って思われそうだったり、一番の難問だったビギーのラップは、すでに「You Can't Stop the Reign」で訳し終えていて、




それ以外の部分は、特に迷うところもないので、和訳の前に、マイケルがすでに年も前に亡くなっていたビギーの既発曲のラップを使ったのは、なぜなのか? について、「マイケルとヒップホップ」では書ききれなかったことを補足したいと思います。


* * (補足はここから)* * 


ヒップホップのアーティストたちに、もっとも人気がある映画は『スカーフェイス(Scarface)』だと言われています。


アル・パチーノ主演のこの映画は、キューバの刑務所を出て、アメリカにやってきた主人公のトニー・モンタナが、コカインの密売でのしあがろうとする物語で、危険を冒しても成功を手に入れたいストリートのプレイヤーにとって「バイブル」とも言われ、


◎[参考記事]人生で成り上がりたいなら「スカーフェイス」を見ろ!!


ビギーのラップに登場する、コロンビア人のエピソードや、また、黄色のクーペも、まだ成功する前にトニーが乗っていた車を思わせるのですが、


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ラッパーたちだけではなく、マイケルもこの映画にこだわっていたんですね。


1983年に、アル・パチーノがトニー・モンタナを演じた『スカーフェイス』は、元々、マイケルもお手本にしていた伝説的な大富豪ハワード・ヒューズが、アルカポネをモデルにした映画を作ろうと、ハワード・ホークスに監督を依頼して制作されたもの(原題は同じ、邦題は『暗黒街の顔役』)のリメイクで、


主人公を演じていた、ポール・ムニは、マイケルが尊敬し、親友でもあったマーロン・ブランドが最も尊敬する俳優であり、Billie Jeanや、You Rock My World のショートフィルムに引用された『ゴッドファーザー』も、この映画から大きな影響を受けていて、マイケルはまだ幼いブランケットにさえこの映画を見せていたほどです。


You Rock My World のショートフィルムには、Unbreakable で映像化しようとしたアイデアが少し形を変えて組み込まれているに違いないと、私は思っているのですが、『スカーフェイス』は、彼が “心を揺さぶられた(You Rock My World)” ものであり、マイケルが考える「不屈の精神(Unbreakable)」のために引用されているんですね。



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「World Is Yours(世界は君のもの)」は、『スカーフェイス』に何度も登場する言葉なんですが、


シャックとビギーの「You Can't Stop the Reign」は、トニー・モンタナが悲劇的な結末を迎えるのとは異なり、成功はしたけど、彼のような失敗はぜずに、俺たちの世界を維持し続ける、という曲ですが、


マイケルの Unbreakable は、本当の成功や、強さとは、「決して負けないこと」である、という言葉だけでなく、時流に対して気が利いていて、韻を踏んだ「言葉」だけで勝負したがるラッパーたちに、もっと「音」そのもので勝負しろ!といわんばかりの、音の “奇襲攻撃” であり、


「スリラー」で、人種やジャンルを越えた地点から、より高い壁を突破しようという、マイケル自身の音とリズムによる「声明」でした。


そして、実は『スカーフェイス』へのこだわりは、彼自身の「顔」にも関係があって・・・


というのも、1992年、デイリーミラー紙は、マイケルの整形手術を揶揄するかのように、彼の顔のアップを一面にし、「Scarface(傷だらけの顔)」という見出しを付けていたからです。


マイケルはこれに抗議し、その写真の使用禁止と謝罪文の掲載を勝ち取りましたが、もともと整形手術を行った事実はオープンにしていますし、そうやって変えた顔に関して一度も後悔することなく、ここまで何度もひどい中傷にあっても負けなかった、という思いもあったでしょう


You Rock My World のショートフィルムのルックスは、当時、多くのファンを失望させましたが、歌詞にもあったように、その後、彼は余裕で這い上がり(I’m steady laughin’ while surfacing)、昔のファンが戻っただけでなく、大勢の新たなファンを増やし、今もなお KING Of POP の座を明け渡してはいません。


エリオット・ネスのチーム「アンタッチャブル」は、アル・カポネを刑務所に送り込みましたが、トム・スネドンは、結局、マイケルに手出しは出来ず、アンタッチャブルだったのは、やっぱり、マイケルの方でした(you can’t touch me ‘cause I’m untouchable)


(マーティン・バシールのドキュメンタリ番組などで、マイケルへの少年性的虐待疑惑は再度持ち上がるのは、ここから数年後のことですが、私はこのアルバム以降の彼の発言や動向が記録された海外本の翻訳などから、疑惑の再燃の半分ぐらいは、マイケルが「トム・スネドンをけしかけた」からだと思っています。)


そう、マイケルは「Unbreakable」のミュージックビデオは創れませんでしたが、その後の人生すべてを賭けて、Unbreakable」を演じたんです。


「あなたの天下は終わらない(You Can't Stop the Reign)」


「世界はあなたのもの(World Is Yours)」


そんな風に、マイケルに言いたくなる気持ちが抑えきれなくなったところで、


Unbreakable」をもう一度じっくり聴いてみてください。






"Unbreakable"


[1st VERSE]

Now I’m just wondering why you think

That you can get to me with anything

Seems like you’d know by now

When and how I get down

And with all that I’ve been through

I’m still around


僕は不思議でならないんだよね

君が僕をどうにかできると思っているなんて

もう分かってもいい頃だろう

どんなに落ち込むようなことも

僕はすべてを経験して

いまだに生き延びてるんだ


Don’t you ever make no mistake

Baby, I got what it takes(I've got )

And there’s no way you’ll ever get me(get to me)

Now why can’t you see(Why can't)

That you’ll never ever hurt me

‘Cause I won’t let it be

See, I’m too much for you, baby


君は間違ってばかりだよね

ベイビィ、君とは持ってるモノがちがうんだよ

僕にたどり着こうなんて、君には無理さ

君に僕を傷つけることなんかできない

どうしてわからないのかな

僕はそんな手には乗らない

ね、僕は君の手には負えないんだよ


[CHORUS]

You can’t believe it

You can’t conceive it

And you can’t touch me

‘Cause I’m untouchable

And I know you hate it

And you can’t take it

You’ll never break me

‘Cause I’m unbreakable


君は信じられないし、

納得できないだろうけど

僕には手出しはできないよ

僕は君には手の届かない相手だからね

君が僕を嫌っているのは知ってるけど

君にはなにもできない

僕を壊すことなんか絶対に

だって、僕は不死身だから


[2nd VERSE]

Now you can’t stop me even though you think

That if you block me, you’ve done your thing

And when you bury me underneath all your pain

I’m steady laughin’ while surfacing


君がなにをしたところで僕は止められないよ

君があれこれと僕を妨害したり

あらゆる苦痛を与えて、僕を沈めようとしても

僕は余裕で笑いながら、這い上がる


Don’t you ever make no mistake

Baby, I’ve got what it takes

And there’s no way you’ll ever get me

(You can’t do it, baby)

Why can’t you see that you’ll never ever hurt me

‘Cause I won’t let it be

See I’m too much for you, baby

(I’m too much for ya, baby)


君は間違ってばかりだよね

僕からなにかを取ろうとしても

君は僕にたどり着くことはできない

(君にはどうすることもできないよ、ベイビー)

君に僕を傷つけることなんかできないよ

どうしてわからないのかな

僕はそんな手には乗らない

君には手に負えない相手なのさ

(手に負えないのさベイビー)


[CHORUS]

You can’t believe it

You can’t conceive it

And you can’t touch me

‘Cause I’m untouchable

And I know you hate it

And you can’t take it

You’ll never break me

(you can’t break me)

‘Cause I’m unbreakable


君は信じられないし、

納得できないだろうけど

僕に手出しはできないよ

僕は君には手の届かない相手だからね

君が僕を嫌っているのは知ってるけど

君にはなにもできない

僕を壊すことなんか絶対に

(君には僕を壊せない)

だって、僕は不屈だから


You can’t believe it

(I’m unbreakable)

You can’t conceive it

And you can’t touch me

(you can’t touch me)

‘Cause I’m untouchable

(just watch me, baby)

And I know you hate it

(come on now)

And you can’t take it

You’ll never break me

You can’t stand it, babe, ’cause I’m unbreakable


君は信じられないし

(僕が不死身だってこと)

納得できないだろうけど

僕に手出しはできないよ

(君に手出しはできない)

僕は君には手の届かない相手だからね

だって、僕は不屈だから

(ただ見てればいいのさ、ベイビー)

君が僕を嫌っているのは知ってるけど

(come on now)

君にはなにもできない

僕を壊すことなんか絶対にできないし

君には耐えられないよ

だって、僕は不屈だから


[BRIDGE]

You can try to stop me

But it won’t do a thing

No matter what you do

I’m still gonna be here

Through all your lies and silly games

I still remain the same(I'm a still remain the same)

I’m unbreakable


僕を止めようとしたって、上手くいかないよ

君が何をしたところで、僕はまだここにいる

君が嘘をつき、愚かなゲームを続けても

僕は変わらない

僕は不屈だから


RAP(Notorious Big)

A lime to a lemon with my DC women(*5)(*6)

Bringin’ in ten G minimums to condos with elevators in ’em

Vehicles with televisions in ’em

Watch they entourage turn yours to just mirages

Disappearing acts, strictly nines and MACS(*7)

Killers be serial, Copperfield material

My dreams is vivid

Work hard to live it

Any place I visit I got land there

How can players stand there and say I sound like them?

Hello! Push wigs back and push six coupes that’s yellow(*8)

Plus clips that expand from hand to elbow(*9)

Spray up your Day’s Inn, any hotel you in

Crack baggin’ sick of braggin’ how my mink be draggin’

Desert ease street sweeper inside the Beemer wagon

I rely on Bed-Stuy to shut it down if I die(*10)

Put that on my diamond bezel

You’re messin’ with the devil

What? what? what? what


レモンからライムまで、(*5)

俺が支配してるD.Cの女たちにたんまり稼いでもらう(*6)

エレベーター付きのコンドミニアムや、

テレビ付きの車に運ぶのさ

見てろよ、俺の仲間はおまえが持ってるものを幻に変える

殺し屋は次々と、消すのに使うのは、9's か、MAC(*7)

デヴィッド・カッパーフィールドが手品で消すようなものさ

俺の夢ははっきりしてるし、必死にやってる

どこへ行こうが、そこが俺のシマ

そこらにいる奴が、俺みたいに出来るだって?

よぉし、頭数をそろえたら、6台の黄色のクーペに押し込んで、(*8)

肘から手まで伸びるやつを装着して(*9)

デイズインだろうが、どこのホテルだろうが、

ぶっ放してやるよ

ミンクのコートが引きずるほど長いだとか、

バカな自慢ばっかりしてるけど

乾ききった楽園の通りを、BMWワゴンの中から掃除してやる

俺が死ぬときは、ベッドスタイの連中にカタをつけてもらうぜ(*10)

俺のダイヤ付きの指輪に刻んでおこうか、

「お前は悪魔を相手にしてる」ってな。

どうよ?


[CHORUS]

You can’t believe it

You can’t conceive it

And you can’t touch me

‘Cause I’m untouchable

And I know you hate it

And you can’t take it

You’ll never break me

‘Cause I’m unbreakable


君は信じられないし、

納得できないだろうけど

僕に手出しはできないよ

僕は君には手の届かない相手だからね

君が僕を嫌っているのは知ってるけど

君には何もできない

僕を壊すなんて絶対に無理

だって、僕は不屈だから


You can’t believe it

You can’t conceive it

And you can’t touch me

‘Cause I’m untouchable

And I know you hate it

(why’d you do it?)

And you can’t take it

(just why’d you do it?)

You’ll never break me

You can’t fix me

You can’t stand of me

You can’t stand it, babe, ’cause I’m unbreakable


君は信じられないし、

納得できないだろうけど

僕に手出しはできないよ

僕は君には手の届かない相手だからね

君が僕を嫌っているのは知ってるけど

(そんなことしてどうするの?)

君には何もできない

(まったく、なぜそんなことがしたいのか?)

君は僕を壊せないし、

僕を矯正することも

僕と同じ立場に立つこともできないし

君には耐えられないよ

だって、僕は不死身だから


(訳:yomodalite)


☆訳註は(ビギーのラップ部分のみ)こちらをご覧ください。

http://nikkidoku.exblog.jp/27982381/



この曲を作った当時や、その後のマイケルのギリギリの不屈の精神に思いをめぐらせていると、ピーターパン(トリックスター!!)の作者である、J.M.バリが「勇気とは何なのか?」について語ったときのことを思い出します。



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by yomodalite | 2017-07-26 00:00 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(2)
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(7)の続き・・・


マイケルの数少ない音楽について語ったものの中でも、もっとも語られていないヒップホップとの関わりや、影響について色々見てみたところで、最終回の今回は、Unbreakable のビギーのラップの元曲「You Can't Stop the Reign」について。


マイケルが、亡くなったビギーの5年も前のラップを使ったのはなぜなのか?その理由を知るために、まずは、この曲の和訳から始めたいと思ったのですが、


マイケルは、自分は知らなかったんだけど、たまたま、ロドニーが見つけてきて・・みたいなニュアンスで語っていましたが(→ ⑥)


シャックの歌詞を読んでみると、むしろ、Unbreakable は、この曲にインスパイアされたというか、アンサーソング的な意味合いで創られたのでは?と思える内容で、もともとシャックの第3ヴァースには、「俺は無敵で抜け目のない男(invincible, smooth individual)なんていう表現もあるのですが、マイケルのUnbreakable にも、「you can’t stop me、 you block me・・」という、シャックのラップと同じような表現が・・

ただ、1996年にリリースされたこの曲は、今のラップミュージックよりもずっと、ありがちなR&Bですし、Unbreakableとは印象がまったく違っています。


下記の英詞は、CD歌詞を転載したかったんですが、何度か聞いて確認したところ、日本版のCD歌詞には正しくない箇所が多くて・・聞き取りや、ネット上にある歌詞とも照らし合わせて修正しました。


とにかくスラングばかりなので、和訳にはずいぶん苦労しましたが、ニュアンスが伝わるような意訳に徹して、なんとかやってみたので、もっと正解に近い訳がわかるという方は教えてくださいませ。






You Can't Stop the Reign

オレの天下は止められない


[Verse 1: Shaquille O'Neal]

You can't stop it, block it, when I drop it

Anytime I go rhyme for rhyme on a topic

Ain't even fit to step into Shaq's arena

I looked inside your mind and I see your shook demeanor

In your eyes why are you surprised

No matter how you try not fly its' elliuqahs(*1)

The new edition this is the end of your last night(*2)

In the daytime you couldn't see me with a flashlight

I crash flights on sight of my enemies

I'm coming through and then

I bomb your whole facility (→vicinity?)

Why the act of faken jacks, you're not a friend of me

I peeped your card, you're not as hard as you pretend to be

Who wanna spark it, with the chocolate macadamian

Head clean to the cranium you know the name

Shaq aim to maintain

Money on the brain, can't stop the reign


オレが言葉を吐くとき、

おまえは止めることも、ブロックすることも出来ない

どんな話題も、オレが次々と韻を繰り出せば

おまえは「シャックのアリーナ」に立ち入ることさえ無理

おまえの心の中を覗いたら、ビビってる姿が見えたぜ

おまえの目は、なぜそんなに驚いてるんだ

おまえがどんなにやってみたところで、

「elliuqahs」みたいには飛べないし(*1)

ニュー・エディションが終わったように、今夜がおまえの最期さ(*2)

昼間は懐中電灯を使ったって、オレを見ることはできないけど

オレがちょっと通っただけで

おまえの周辺すべてを爆破してやる

イカサマするなんて、オレの友だちじゃない

おまえの手口はお見通しさ

思ったよりも、たいしたことないね

マカダミアンチョコみたいな女たちと盛り上がりたいだろ

頭の中をスッキリさせてさ

シャックはいつもいい状態

お金のことがきっちり頭に入ってるし、

オレの天下は止められない


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)

When it starts to fall

There's no one else to blame

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない


[Verse 2: Notorious B.I.G.]

I speak deep with killers about million dollar figures

Blessen niggas with acc's legend and vigors,

cream lizards, cream coochies,

I do my duty as long as they fly as me,

and high as me

Success of my circle, try to break it will hurt you

Ain't no getting out that


俺は100万ドル稼ぐようなやつらについて

殺し屋たちとじっくり話す

伝説みたいな力を身に付けたイケてる黒人たち

極上のチ☆コに、極上のマ☆コたちさ

彼らがオレを高く買ってくれるなら、オレもその期待に応えるけど

オレらの成功をジャマするやつは放っておかない

痛い目にあわせてやる


I doubt that we want the exotic erotic ladies

Not them toxic ladies that burn a lot

I learned a lot from junkies to ruffians,

from being tied up by colombians cause

8 grams was missin' listen, had to change

my position from wanting to be large

To head nigga in charge my garage

call it celo, 4,5,6 honies by the mixes(*3)

If it ain't broke don't fix it

Smoke out with Biggie Tarantino

Size like a sumo

Frank White numero uno(*4)


ヤク中で盛り上がってる女じゃなくて

エキゾティックでエロい女がいいなんて嘘だね

オレは、ジャンキーやゴロツキから多くを教わった

コロンビア人が8グラムのドラッグを失くして

酷い目にあったからね

オレはビッグになりたい

自分のガレージを仕切るトップのニガーに

いちかばちかの博打、4、5、6の目がそろえば勝ちさ(*3)

壊れてなけりゃ、直す必要はない

ビギー・タランティーノが煙に巻いてやる

スモウレスラー並みにデカいフランク・ホワイトがナンバー1さ(*4)


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign no)

When it starts to fall (When it starts to fall)

There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない


[Verse 3 - Shaquille O'Neal]

7'0" towerin inferno, invincible, smooth individual

Who wants to test it foreign or domestic

No matter where you're from I not the one

you want to mess with

Original willie style, living lavish

Private jets to let my shortie shop in Paris

I'm not the average, I'm far from the norm

It's daddy long, hitting you strong,

keepin' you on


おれは7フィート以上あるタワーリング・インフェルノ

無敵で、抜け目のない男

国内でも、海外でも勝負するつもり

どこから来ようと、オレには関係ない

オレ独自のスタイルで、贅沢三昧に暮らすのさ

プライヴェートジェットでパリまで行って

カノジョに買い物させてやる

オレは並の男じゃない、桁外れなんだ

あしながおじさんもするし、おまえをひっぱたくこともあるけど、

おまえを見捨てたりしない


[The Notorious B.I.G.]

A lime to a lemon with my DC women(*5)(*6)

Bringin’ in ten G minimums to condos with elevators in ’em

Vehicles with televisions in ’em

Watch they entourage turn yours to just mirages

Disappearing acts, strictly nines and MACS(*7)

Killers be serial, Copperfield material

My dreams is vivid

Work hard to live it

Any place I visit I got land there

How can players stand there and say I sound like them?

Hello! Push wigs back and push six coupes that’s yellow(*8)

Plus clips that expand from hand to elbow(*9)

Spray up your Day’s Inn, any hotel you in

Crack baggin’ sick of braggin’ how my mink be draggin’

Desert ease street sweeper inside the Beemer wagon

I rely on Bed-Stuy to shut it down if I die(*10)

Put that on my diamond bezel

You’re messin’ with the devil

What? what? what? what


レモンからライムまで、(*5)

俺が支配してるD.Cの女たちにたんまり稼いでもらう(*6)

エレベーター付きのコンドミニアムや、

テレビ付きの車に運ぶのさ

見てろよ、俺の仲間はおまえが持ってるものを幻に変える

殺し屋は次々と、消すのに使うのは、9's か、MAC(*7)

デヴィッド・カッパーフィールドが手品で消すようなものさ

俺の夢ははっきりしてるし、必死にやってる

どこへ行こうが、そこが俺のシマ

そこらにいる奴が、俺みたいに出来るだって?

よおし、頭数をそろえたら、6台の黄色のクーペに押し込んで、(*8)

肘から手まで伸びるやつを装着して(*9)

デイズインだろうが、どこのホテルだろうが、

ぶっ放してやるよ

ミンクのコートが引きずるほど長いだとか、

バカな自慢ばっかりしてるけど

乾ききった楽園の通りを、BMWワゴンの中から掃除してやる

俺が死ぬときは、ベッドスタイの連中にカタをつけてもらうぜ(*10)

俺のダイヤ付きの指輪に刻んでおこうか、

「お前は悪魔を相手にしてる」ってな。

どうよ?


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)

When it starts to fall (When it starts to fall)

There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない・・(繰り返し)


(訳:yomodalite)


(*1)elliuqahs / Shaquilleの逆読み・・・シャキールは自分のことを二面性のある人間だと言う。「企業人で、ハンサムで話し方もさわやか、スーツを着て人当たりも良いシャキールと、2回タイトルをとったスーパーアスリートのシャックがいる」と。「二人は同じ人間だけど、クラークケントとスーパーマンのように、昼間はシャキールで、夜はシャック」また、ネメシスのような存在の邪悪な双子がいるのだとも言う。彼が Elliuqahs Laeno(Shaquille O’Neal の逆読み)と呼ぶ人物だ。「立場上おれがそいつのようにふるまうことは許されない。やつは普通の金持ちの男がやるだろうことをやる。パーティして、ぶらぶらして、悪い言葉を使ってね。徹夜しては翌日練習、ちっとも集中してない。そういうやつだよ。でもね、彼はもういない。おれはやつを消したんだ」。(ニューヨーカー誌より)

(*2)The new edition / ニューエディションは、ジャクソン5の後、最も成功した超人気黒人アイドルグループ。ソロでも大成功したボビー・ブラウンが脱退後も、メンバーの入れ替えをしながら活動を続けていますが、80年代~90年代前半のアイドルグループというイメージが強い。

(*3)celo / サイコロ三つを振るシンプルな博打で、4,5,6の目が出るのが最強らしい。ただ、honies の意味は曖昧になってます。

(*4)Frank White / フランク・ホワイトは、映画「King of New York」でクリストファー・ウォーケンが演じた役で、奪ったものをニューヨークの貧困層に再分配する義賊。ビギーは、自分のことをKing of New York や、Black Frank Whiteと称していた。

(*5)シャックの[Verse 1]冒頭の「I go rhyme for rhyme」とリズムを揃えている。レモンのスラングは数多くありますが、全体の内容から、lime も lemonもドラッグを指しているような感じ。

(*6)my D.C. women / CeCe womenという表記も多いのですが、CD歌詞では「my D.C. women」で、実際の発音でも「DC.」だと思います。ブルックリンのディーラーにとって、ワシントンD.C.はドラッグが高く売れる「シマ」なんですね。

(*7)9's はこんな感じで、

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MACは、こんな感じの銃だと思います。

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(*8)wigs はカツラではないと思います。複数でない wig でも「頭」というような意味で、そこから派生した「エロい意味」もあったり、wig pushed back! なら、ボッコボコにするという意味もあるのですが、ここでは「頭数」という訳にしました。


(*9)Plus clips that expand from hand to elbow

タクシードライバーにも出てきた、袖から伸びて出てくるやつのこと??

https://www.youtube.com/watch?v=GdCkpgj8BLU

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* *(注釈終了) * *



シャックには、2Badのラッパーに起用される前、マイケルが買おうとしてた家を、先に買ってしまった。なんてエピソードもありましたよね!


◎シャキール・オニール、MJとの出会いを語る



次回はようやくUnbreakable」の和訳ですw


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by yomodalite | 2017-07-24 00:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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セルゲイ・ポルーニンのドキュメンタリー。
予告を見たときから待ち遠しくて、上映日まですごく長く待たされた気がしたけど、ようやく観ることができた映画は期待以上!素晴らしいダンスシーンの数々は、あと2、3時間見ていたいと思うぐらいで、彼の内面に迫った部分もとても興味深いものでした。

8歳の少年の頃からの映像が使われていて、ウクライナの貧しい地区に生まれたポルーニンの家族の物語が語られていきます。それは、これほどの成功を納めた後に見ても切ないもので、ダンスの才能に期待した家族は、彼の授業料を捻出するために総出で働き、海外に出稼ぎに行くことを余儀なくされたことで、全員が離れ離れになってしまう。

ただダンスが好きだった少年は、次第に家族のため、というプレッシャーに縛られながらも、より高い目標に向かって、人並み以上の努力を重ね、英国ロイヤルバレエに入団後史上最年少の19歳でプリンシパルになり、ヌレエフの再来と呼ばれるようになる。


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まだ20代前半のポルーニンが踊る前に、鎮痛剤や、心臓の薬など、数多くの薬を飲んでいるシーンがあって、血のにじむような努力をしたあとの、痛みの激しさが伝わる場面に、ついマイケルのことを思い出してしまう。

彼の隣りに並ぶことができる人を僕は知らない。
マイケル・ジャクソンの真似をするなんて不可能だ

バリシニコフはそう言っていた。

ルドルフ・ヌレエフとミハイル・バリシニコフは、共に、ロシアが生んだ20世紀を代表するダンサーだけど、10歳ほど年下のバリシニコフが、ヌレエフ以上にマイケルを絶賛していたのは、ポルーニンも束縛されていると感じた、バレエダンサーがもっていない自由を、マイケルがもっているように感じたからなのかも。

バリシニコフは、マイケルの痛みも、それに耐えた精神力についても、よくわかっていたのだとは思うけど・・・。

◎参考記事「ヌレエフとバリシニコフ」

引退作品として、「Take Me to Church」の映像を発表したポルーニンは、その後もまだ、ダンサーであり続けているのだけど、彼の苦悩や痛みを感じることのなく、この才能を享受できるなんて、観客はなんて幸せなんだろう。

映画で使われる音楽にも興味しんしんだったけど、最初にかかったのは、なんとブラックサバス!でも、たしかに、ポルーニンのタトゥーってそっち系が多いかも。



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by yomodalite | 2017-07-20 00:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(2)
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みなさま、連休中はいかがお過ごしでしたか?
私は、フォレストローンに行ったMJフレンドとカフェで女子会をしました。

* * *

命日やお墓が苦手な私は、今までフォレストローンにそんなに興味がなかったのですが、☆日に向けて、旅立つことになった友人が、私たちのメッセージも持っていってもらえることになって・・・

ちょっぴりお花が少なくなっているような気もする8年目のその場所を、少しでも華やかにするお手伝いには協力したかったので、マイケルをお花や星でよりキラキラさせたような写真に、メッセージを入れたものや、マイケルに捧げた詩を色紙に書いたものなどを託しました。


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2017年のフォレストローンでは、
「PYT」がよくかかっていたそうです。


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この壁画は、Graff Labっていうところで、
地元の人が自由に落書きしてるスペースなんだけど、
去年のTHIS IS ITに続き、
今年もマイケルが登場。
「眼」だけでわかる有名人なんて他にいないよね?


* * *


こちらは私たちのメッセージ!


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We know you always with us. のメッセージは、
kumaさんから。


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Your songs always encourage us,
in Past, Present and Future.
のメッセージは、moulinさんから。


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childspiritsさんからの色紙に書かれているのは、
MJも好きなワーズワースの「The Rainbow」という詩。

The Rainbow

My heart leaps up when I behold
A rainbow in the sky:
So was it when my life began;
So is it now I am a man;
So be it when I shall grow old,
Or let me die!
The Child is father of the Man;
And I could wish my days to be
Bound each to each by natural piety.


空に虹を見つけたとき
私の心は躍る
幼いときもそうだったし
大人になった今も同じだ
年老いたときもそうでありたい
でなければ生きる意味がない
子供は大人の父だ
私の一日一日が
自然への敬いとともにありますように

(この詩は「My Heart Leaps Up」という題でも知られています)


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各国のファンによる祭壇の写真もたくさん見せてもらったあとは、カシオトラックについて、確信をもっている人の自信はいったいどこから生じたものなのかという疑問について、多角的に検証したりw、2009年以降のエステートの仕事への評価などなど、主にネット上に多くみられる意見とは異なる見解で大いに共感し、

また、ブラダンの視聴回数ではめったに負けない自信がある私も、降参しそうになるほどの「ブラダン好き」の彼女と私は、共にナイン・インチ・ネイルズ好きだったことが判明したりする、1日でした。

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by yomodalite | 2017-07-18 07:00 | MJ系ひとりごと | Trackback | Comments(0)
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マイケルの「Unbreakable」に使われた、ビギーのラップは、もともとNBAの大スター、シャキール・オニールの「You Can't Stop the Reign」という曲に使われていたものだったのですが、


これは1996年のビルボードのR&B/Hip-Hopチャートで、最高位54位という中ヒット曲で、前年の1995年にリリースされた『HIStory』で、マイケルは「2Bad」では、シャキール・オニール(シャック)と、そして、「This Time Around」では、ノトーリアスB.I.G.(ビギー)のラップを使っていて、


その2人が、それぞれ「俺の天下は止められない」みたいなことをラップしあう曲が、「You Can't Stop the Reign」なんですね。


ちなみに、「2Bad」は「Bad Part 2」のような内容をもった作品で、ジョー・ボーゲルの『コンプリート・ワークス』では、


いかにもストリート風の生意気な雰囲気をもつこの曲は、(ヒップホップの大半がそうであるように)非常に挑発的だ。しかし同時に、「必ず立ち直る」という宣言の曲でもある(蹴られ続けても、僕は立ち続ける)、曲の冒頭に流れるのは、Run-D.M.C の「King Of Rock」のサンプリング音。「King Of Rock」は音楽業界が白人によって牛耳られていることへの反抗心を示した歌だ。この曲を使うというのは、同業の先駆者に敬意を払いつつ、この歌の政治的意図を明確にするための巧みな “技” だ。


とあるのですが、「King Of Rock」の歌詞には、「スリラー」や「バッド」が登場します。






I'm the king of rock, there is none higher

俺はロックの王様、俺以上のやつはここにはいない


They called us and said we're gettin iller

There's no one chiller

It's not Michael Jackson and this is not Thriller

As one def rapper, I know I can hang

みんな俺たちのこと、さらにヤバくなったって言っている

これほどのチラー(ゾクっとするヤツ)はいないって

マイケル・ジャクソンじゃないから、スリラーじゃないよ

イケてるラッパーとして、俺はいられるんだ


Now we're the baddest of the bad, the coolest of the cool

I'm DMC, I rock and roll. I'm DJ Run, I rock and rule

俺たちは、ワルの中のワル(Bad)で、クールの中のクール

俺はDMCで、ロックン・ロールしてる

俺はDJ RUNで、ロックがルールさ・・・


「King Of Rock」を聞いたマイケルは、Run-D.M.Cが言いたいことに共感しつつも、こう思ったんじゃないでしょうか。


「どこが王様やねん。お前らの王国なんか、ちっちゃ過ぎて話にならんわ。それと、ワル中のワルっていうのは、そないなもんやない。ホンマのBADっちゅうんは・・・」


というわけでw、


ホンモノの王様であるマイケルは、マジで残念なやつと、本当にクールな “ワル” を「2bad」で表現します!





What do you want from me?

What do you want from me?

Tired of you haunting me, yeah yeah

You're aiming just for me

You are disgustin' me

You got blood lust for me

But too bad, too bad

僕から何を奪いたい?何が欲しいんだ?

お前らの標的にされるのはうんざりだよ

いつも僕だけを狙っていて、反吐がでる

お前らは、僕の血に飢えているんだ

でも残念だね、そうはいかないよ


Hell all up in Hollywood

Sayin' that you got it good

Creepin' from a dusty hole

Tales of what somebody told

ハリウッドはもう何もかもが終わってる

お前らは「善」だとか言ってるけど

薄汚たない穴から出てきた

誰かが仕組んだつくり話さ



で、マイケルに「ちょっと言うたって」と言われて出てきたシャックは、


Life's about a dream

人生は夢のようなもの

I'm really undefeated when MJ is on my team, theme

でも、マイケルが俺の仲間のときは、絶対に負けることはない。


というラップを披露するんですね。


また、「This Time Around」は、「今度こそ、やられたりしない」という内容の曲で、


ビギーは、スターダムの苦悩を抱えるようになったことで、マイケルの苦悩を共感するようになり俺のダチのマイクもそうしてるんだ)、シャックもビギーもそれぞれ、マイケルを「極上の仲間」として表現するラップを披露しています。


ところが、そんな二人も、自分の王様ぶりを見せつけようとイキがって「You Can't Stop the Reign」(オレの天下は止められない)をリリース。


それを聞いたマイケルは、またもやこう思ったにちがいありませんw。


「お前ら、ちょっと目を離したすきに、チマチマした王国を作りやがって。何回言わなあかんねん?ええか、王様はひとりやねん!アリーナだとか、NYだとか、そんなん「世界」やあらへん。ホンマの「世界」や「王様」ちゅうのはな・・・」


ということを表現するために作られたのが「Unbreakable」なんだという説明は、また次回w。




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by yomodalite | 2017-07-16 16:06 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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(5)の続き・・・

しばらく間があきましたが、マイケルとヒップホップについて、目一杯寄り道をしながら考察するシリーズ。

『Bad』から『HIStory』期までの音楽業界にヒップホップが与えた影響や、時代背景をひととおり見たところで、今回は、ようやくマイケルが2度もラップを使ったノトーリアスB.I.G(別名ビギー・スモールス)について。

* * *

マイケルが、はじめてビギーのラップを使った「This Time Aound」(『HIStory』収録)について語っているインタビューは見当たらず、「Unbreakable」(『Invincible』収録)に、ビギーのラップを使うことになった理由については、

それは僕のアイデアではなくて、このアルバムの作曲家でプロデューサーでもあるロドニー・ジャーキンスのものだったんだ。 僕がこの曲にラップを入れようと思っていたら、「ピッタリなのがある、ビギーのだ」ってロドニーが言ってね。それで、彼のラップを取り入れることになって、この曲は完成したんだ。(→ 2002年VIBEインタビュー)

と、答えているのみ。

VIBE誌は、ヒップホップの雑誌ですから、ビギーについてもっと聞きたかったと思うのですが、マイケル側でこれ以上の質問を許可しなかったのでしょう。でも、毎回うんざりする整形や皮膚の色、少年虐待疑惑などとは違って、このアルバムの中で、マイケル自身が最も強くシングルカットを望んだ曲に関する話題であり、

ヒップホップの東西対立抗争の中で、撃たれて亡くなったビギーのラップを取り入れた理由について、いくらインタビュー嫌いのマイケルでも、もう少し言葉があっても・・と思うのは私だけではないでしょう?

しかも、マイケルは、ロドニー・ジャーキンスが「ぴったりなのがある」と奨めてきた、とプロデューサーのせいにしていますが、これはマイケルの癖でw・・・すでに銃撃で亡くなっていたビギーのラップを、I’m unbreakable(僕は不死身)だという曲で使うなんて、マイケル自身にしか決められないことです。

ラップは、黒人のCNNと言われるように、ヒップホップのアーティストたちは、実際に起こったことを音楽に取り入れることが得意ですし、期待もされていて、評論家のような人々が、音楽を語るための材料になったり、アーティスト自身が大いに語ることで、宣伝にもなるのですが、ビギーが亡くなったのは1997年3月で、『Invincible』が発売された2001年10月よりも、4年以上も前のこと。

何度も延期になった『Invincible』の発売ですが、何ひとつリップサーヴィスをしないマイケルのことを考えると、SONYが「Unbreakable」をファーストシングルにしなかったことを責めることは、わたしには出来ないのですが、どうして、マイケルは、2度もラップを使ったビギーについて何も語っていないのでしょう?

私は、とりあえずビギーの魅力に触れたくて、彼が遺した2枚のアルバムを、歌詞を見ながら何度も聴いて思ったのですが、ここまでマイケルが基準にし、達成もしてきたレベルを考えると、現在でも多大なリスペクトを受けているビギーでさえも、少し「足らない」と感じるところがあったんだと思うんです。



album "Ready To Die" より


両親ともにブラック・パンサー党のメンバーという出自に、主演俳優になれるほどのカリスマ性、加えて、ヒップホップ史上、最高のプロデューサーと言われるドクター・ドレがプロデュースしたヒット曲をもつ2パックの楽曲の完成度と比較すると、

幼い頃に、父親が蒸発し、保育園で働く母によって育てられ、犯罪とクラックが蔓延するブルックリン(ベッドスタイ地区)で成長し、ドラッグディーラーになったビギーには、貧しく、ハンサムでもないという、多くの普通の黒人に訴える普遍性に、素晴らしいラップスキルが共存するという幸運があっても、マイケルが考える「素晴らしい音楽」には、ほんの少し足らなかったのではないか、と。



album "Life After Death"より


上記と同じインタビューの中で、マイケルはこうも語っていました。

VIBE:現在のR&Bの状況をどう思いますか?

MJ:僕は音楽をカテゴリで分けたりしない。音楽は音楽だよ。R&Bがロックンロールという言葉に変わっただけ。ファッツ・ドミノや、リトル・リチャード、チャック・ベリーなんかが、ずっとやってきたことと同じさ。区別してどうするの?素晴らしい音楽は、素晴らしい。それが現実さ、そうでしょう?

ヒップホップが流行した時期、黒人たちは「黒人」にしかわからない世界を表現しようとし、音楽業界はこれまで以上に、音楽をカテゴリで分類し、音楽ファンも自分の好きな音楽を、分類されたカテゴリから選んで聴くようにになっていました。

KING OF POPであるマイケルは、テディ・ライリーの才能を「ニュージャックスイング」からすくい上げたように、自分がラップや、ヒップホップに関わることで、黒人という枠を飛び越え、カテゴリに埋没しない、時流にのった言葉以上の意味と、音を創造しようとしていたんじゃないでしょうか。


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(3)では、N.W.A.以降のラップミュージックは、それぞれ自分がいる場所を語るという考え方があるにもかかわらず、基本的に「西海岸」の住人だったマイケルが、「東海岸」のアーティストとばかり仕事をしているのはなぜなのか?と書きましたが、



音楽的には、ヒップホップを嫌っていたプリンスは「My Name Is PRINCE」のように、「自分語り」が得意なアーティストですが、マイケルは「自分語り」をほとんどしないアーティストですよね。

何事も「原点から探求する」ことが好きなマイケルは、ヒップホップ発祥の地であるハーレム(東海岸)により興味があり、また、デスロウ・レコーズ(西海岸)のアーティストと関わるには、代表のシュグナイトが怖すぎたw。ということも多少はあったのかもしれませんが(笑)、

プリンスのミネアポリス出身という「アイデンティティ」とは異なり、マイケルにとって、インディアナ州ゲイリーで生まれたことは意味があることではなく、そういったすべての「境界」と関係なく、誰もが素晴らしいと感じる音楽を創ることが、彼の「アイデンティティ」だったと思います。

マイケルはこれまで、ポール・マッカートニーのような伝説的なアーティストをはじめ、フレディ・マーキュリーや、プリンス、マドンナといったライヴァル関係ともいえるアーティストと直接対決するようなコラボレーションも考えてきましたが、

ラップについては、新しい時代感覚を取り入れることで、世代や、音楽のジャンルにもこだわらない「いい音楽」が作りたかった、ことと、今をときめくラッパーに「自分のやり方」を見せたかったのではないかと思うんですね。

マイケルは、ビギーのラップのスキルを使って、自分ならこうする、という音楽を創りたかったのではないでしょうか。



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by yomodalite | 2017-07-10 07:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)

物理学者が整理したこと

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前書『物理学者が解き明かす重大事件の真相』は、誰もが知っている重大事件を通して、物理学の世界を垣間見られるという試みが新鮮で、とても面白い本だったのですが、

本書は、タイトルからはまったく想像のできない内容で・・・

第1章 なぜ日本人は哲学がわからないのか
「哲学」とはアリストテレス哲学のことである
・プラトンとアリストテレス
・哲学を信じて虐殺された女哲学者ヒュパティア
・哲学者とはアリストテレス哲学を信奉する人たちという意味である
・『薔薇の名前』にでてくるアリストテレス哲学
・現代につながるアリストテレスの哲学

第2章 星占いの科学
なぜ日本人は星占いが大好きなのか
・現代の星占い
・四神(朱雀、玄武、青竜、白虎)とは四方にある星座のことである
・西暦150年に完成していた中国天文学
・木星の動きからつくられた十二支
・北極星の移動に見る中国と日本の政治思想
・陰陽師が行っていた星占いとは何だったのか

第3章 歴史の謎を天文学から明らかにする
女王卑弥呼とは誰だったのか?
・日本に伝わる妙見信仰
・西播磨の大避神社が示す北斗七星と北極星
・昔の北極星の位置にある大倉山山頂
・歴史から大避神社が星の位置にある理由を探る
・二十四節気が明らかにする日本の古代史
・日本に入ってきた道教
・女王卑弥呼の正体
・道教国家・日本

第4章 金融工学とはどういう学問か
なぜ儲けることができるのか
・金融工学という錬金術
・金融工学の想定外、ファットテイル(fat tail)
・経済物理(econophysics)が予言した2014年1月の株式市場の暴落
・20世紀は数学が世界を席巻していた時代である

第5章 現代物理学は本当に正しいのか?
副島隆彦氏との対談
・物理学とはどのような分野に分かれるのか?
・現代物理学は正しいのか 
・エルンスト・マッハの科学哲学
・科学とは思考を節約するためにある
・文科系の人間は「一定の条件において」を認めない

第6章 STAP事件の真実
なぜ小保方晴子著『あの日』は陰謀論と呼ばれたか
・業績を奪われ激怒していたハーバード大学バカンティ教授
・STAP事件に関する異常な世論誘導
・再現実験での丹羽仁史副チームリーダーの実験データ
・STAP特許はまだ生きている
・STAP細胞関連でファンドを獲得しているバカンティ教授
・故笹井芳樹氏の見た夢

第7章 AIとは何か
経験は知恵に勝る
・プロ棋士と互角の戦いをする将棋プログラム『ボナンザ』
・将棋プログラムの強さは「特徴ベクトル」によって決まる
・プロ棋士の指手をまねる
・「特徴ベクトル」を自分で見つける最近のAI
・脳の機能に似ている深層学習

第8章 なぜ日本人は論理的な文章が書けないのか
論理とはことばとことばの連結である
・論理的な文章とはどういうものか
・パラグラフ・ライティング
・実際の文章例
・文章に必要な要素① flow(流れ)
・テーマの糸
・文章に必要な要素② clarity(明快さ)
・プレゼンテーション(パワーポイント)への応用
・現代日本語は英語の文章作法を基礎としている


厚さ12ミリほどのコンパクトな外観からは、これらすべてが納められているとはとても思えないのですが、どの章も、最近の新書ならそれぞれ1冊にできるような内容で、タイトルには「整理法」とありますが、読者に整理の仕方を教えてくれるというよりは、物理学者である著者の整理された脳内が垣間見れるという感じ。

第1章の哲学から、古代史や天文学、金融工学を経て、第5章の現代物理学までは、門外漢には、とっつきにくい内容ですが、

第6章の小保方晴子氏とSTAP細胞事件では、ニュースやメディアとどう付き合うべきなのか? AI(人工知能)は、教育をどう変えるのか? など、大学で、教養教育について議論する機会が多いという著者の話には、義務教育に携わる方々にも興味深いと思われる内容が多く、

第8章の「論理的な文章が書けない」という問題は、人工知能によって、高度な自動翻訳が可能になったとき、英語教育の充実よりももっと重要な問題のように感じられました。

そんな盛りだくさんの本書ですが、下記は夏休みに行ってみたい場所についてのメモ。

北極星、北斗七星を崇める民間の信仰は「妙見信仰」とよばれている。(…)妙見信仰と「聖徳太子」には、強い繋がりがあって、聖徳太子が持っていたとされる七星剣は、四天王寺にあり、妙見信仰のもっとも古い菩薩像は、よみうりランド内の妙見堂にあるが、この菩薩像は、聖徳太子の若いときの像ではないか。聖徳太子の時代は、北斗七星が崇拝されていて、吉野裕子という在野の民俗学者は、伊勢神宮の天皇の儀式である神嘗祭が執り行われる日付と時刻は、北斗七星の動きと関連していると、『隠された神々』という本の中で明らかにしている。

しかし、高松塚古墳が完成した天武、持統天皇の頃には、北斗七星よりも、天皇を表す北極星の方が重要になったと考えられる。

西播磨一帯には、大避神社という神社が点在し、赤穂浪士で有名な赤穂市から、上部町、相性市にかけて、8神社、その他名前が少し違う大酒神社や、地図に載ってない大避神社までいれると、20ぐらいが点在し、一番有名な神社が、赤穂市の坂越にある大避神社。ここには、生島という島があって、そこには聖徳太子のブレーンとして有名な秦河勝の墓がある。また、この神社は日本ユダヤ同祖論でも有名で、「大避」というのは、ダビデを意味している・・・

「第5章」から、前書に引き続き、ビッグバンを信じないマイケルのためにw。

副島:ヨーロッパの近代法学では、裁判官はまるで実験を実験室(法廷)でやるように、「真実を発見する」という理屈になっている。すべての主観や思い込みを排除していくんですよ。有罪であることの証明作業(証拠から真実を組み立てる)以外の可能性をすべて排除する。しかし、そのとき学問というのは恐ろしい学問犯罪というのを起こす可能性がいつもある。ただひたすら理論の美しさ(これが数学的証明)みたいなところを突き詰める人は、自分たちの欠点を見ようとはしない。そのことの恐ろしさが色々と現代にあらわれているという気がします。数学的に証明された。ゆえに実在している。ゆえに宇宙はこのように成り立っていて、ゆえにビッグバン理論は正しい、という逆の形の証明をこの人たちはしている。このとき、マッハが主張した、実在としての素朴な証明は行っていない、ということでいいですか。

下條:はい。

副島:(…)falsifiability、日本では反証可能性と訳しますが、これはトーマス・クーンという人が言い出したことで、クーンは、ユダヤ人の科学史学者で、ヨーロッパの理科系の学者をアメリカに招聘する係りで、クーンは、ある事実を覆そうとして行われたある実験によって、反対証明が行われなかったらば、その事実やあるいは理論はサイエンスとして正しいのだ、という考えをしたというふうに理解されている。しかし、falsifiabilityという検証のテストストーンはどうもおかしい。トーマス・クーンとカール・ポパーの「科学哲学」は調べなおさなくてはならない。理科系の学者は、自己限定を徹底的にやって、ある極めて限定された世界に予め逃げ込んで置いてから、そこでの証明作業で無矛盾であれば、それで証明されたという行動をとるが、すでに始めのところから、ずるいんじゃないかと私は考えているんです。

関連図書・・・


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by yomodalite | 2017-07-07 22:54 | 読書メモ | Trackback | Comments(0)
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ここ数ヶ月の間で読んだ「イイ本」について。

言語学者や物理学者によるチームが、宇宙から来た謎の知的生命体の真意を探ろうとする、映画『メッセージ』(原題:Arrival)。



ドゥニ・ビルヌーヴ監督の映像はすごく魅力的だったけど、ロシアや中国を悪者にしようとするハリウッド・ストーリーではない、原作本を読んでみたら・・

理解
ゼロで割る
あなたの人生の物語
72文字
人類科学の進化
地獄とは神の不在なり
顔の美醜について ー ドキュメンタリー

という8編の短編集で、どれも緻密で繊細で、何度でも読み返したくなる作品ばかり。



最愛の子ども

松浦 理英子/文藝春秋



主人公は、私立高校に通う女子高生3人で、「ファミリー」と呼ばれる、彼女たちの疑似家族的な関係では、パパ、ママ、王子様という配役があって、特に華やかでもなく、おとなしい薬井空穂が「王子様」役。
空穂が初めて注目を浴びたのは、学校帰りに行ったカラオケで、マイケル・ジャクソンが13歳のときのソロデビュー曲「ガット・トゥー・ビー・ゼア」を歌ったときだった・・・

という、松浦理英子氏の小説を久しぶりに読むことになったのは、今村夏子氏の新作が呼び水になったみたい。


星の子

今村夏子/朝日新聞出版



娘の虚弱体質をきっかけで、宗教にはまっていく家族・・

よくある話なんだけど、やっぱり今村氏の文章に惹きこまれてしまう。

そして、最後は、

毎日ニュースを見ている人の中には、もうその名前に飽きたっていう人も多そうな「トランプ」なんだけど、20冊以上は彼に関する本を読んでる私が、幅広い思想信条の人におすすめできるのは、

トランプ現象とアメリカ保守思想

会田 弘継/左右社



反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―(新潮選書)

森本 あんり/新潮社



上記の2冊。これは、松岡正剛氏の受け売りなんだけど、反知性主義にしても、アメリカの保守主義についても、類書とは一線を画す、本物の学識をもった著者が書いたという内容でした。


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by yomodalite | 2017-07-04 08:00 | 読書メモ | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite