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書き出し「世界文学全集」[1]の続き

本書は、世界文学全集などでよく目にする作品の、書き出し部分だけ新訳を作って並べてみた」という本なのですが、「書き出し部分」は1、2ページなので、続きが読みたいと思うよりも前に終わってしまうことも多くて、ちょっぴり残念な部分も。。

でも、既読本の場合は、柴田訳と比較してみたくなりますよね。

本書には昨年ハマりまくってたポーの作品が3作も収録されていて、それも、あの『ユリイカ』が選ばれていたので、既読本の八木敏雄訳と比較してみることにしました。


He who from the top of AEtna casts his eyes leisurely around, is affected chiefly by the extent and diversity of the scene. Only by a rapid whirling on his heel could he hope to comprehend the panorama in the sublimity of its oneness. But as, on the summit of AEtna, no man has thought of whirling on his heel, so no man has ever taken into his brain the full uniqueness of the prospect; and so, again, whatever considerations lie involved in this uniqueness, have as yet no practical existence for mankind.


エトナ山の頂から悠然と下界を見やる者は、その眺めの広がりと多様性に主として思いが行く。踵を軸にしてすばやく回転でもしない限り、パノラマをその全体性の崇高さにおいて把握することは望めない。けれども、エトナの頂きにおいて踵を軸に回転しようと思った者はまだ誰もいないから、その眺望の無二性を十分に脳に取り込んだ者は誰もいない。したがって、さらに、この無二性をめぐっていかなる問題が隠れているにせよ、それらはまだ、人類にとって現実に存在してはいない。(柴田元幸・訳)

柴田氏は「oneness」を「全体性」「uniqueness」を「無二性」と訳されていますね。

エトナの山頂で漠然とあたりを見わたす者は、主としてその眺望の広がりと多様性に心うばわれる。踵でくるりと一回転してみないかぎり、その荘厳なパノラマを純然たる全一(ワンネス)としてとらえることはできない。ところが、これまでエトナの山頂でそのような旋回をこころみようとした者がいなかったので、その展望の完全な全体(ユニークネス)を頭に刻印した者はいなかった。したがってまた、その全体のなかにいかなる考察にあたいする知見がひそんでいようと、それは人類にとって、事実上、これまで存在しなかったも同然なのである。(八木敏雄・訳)

八木氏は「oneness」を「全一(ワンネス)」、「full uniqueness」を「完全な全体(ユニークネス)」にされていて、私もこれ以外ないと思ってたんですけど、、、

「oneness」は「全体性」か。。。

全一とか、ワンネスって、特殊というか、スピリチュアル業界用語みたいだからでしょうか?(苦笑)

で、このあと、individuality を、柴田氏は「不可分性」、八木氏の訳では、「全体性(インディデュアリティ)」となっていて、八木氏は「GOD」を意識して宇宙を考えていることがよくわかるのですけど、、



英米詩では、これまた、ハマっていたウィリアム・ブレイクの「The Marriage of Heaven and Hell」も、原文と照らし合わせて読んだり...

とにかく、海外古典のテキストは、今は簡単に探せるので、
いろいろ、勉強になりますねっ!





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by yomodalite | 2014-02-28 09:28 | 文学 | Trackback | Comments(10)
先日、あの池袋本店をも凌ぐ国内最大の売り場面積を誇る梅田の丸善・ジュンク堂に行ったら、柴田元幸・責任編集の文芸誌「MONKEY」がおしゃれにディスプレイされてて、

それで、ハッとしたんです。

最近、私の読書にオサレ感がないのは「柴田元幸」が足らなかったからではないかと。

本書は、世界文学全集などでよく目にする作品の、書き出し部分だけ新訳を作って並べてみた」という本で、修行だと思って読んでた古典も「柴田元幸」で読めば。という期待が膨らみます。

「まえがき」では、

既訳に喧嘩を売るつもりはまったくない。この作品は既訳がよくないから新訳が出るべきである、とかいったメッセージはいっさい込めていない。あんまり強く否定すると、かえって実はそういう意図があるんじゃないかと勘ぐられそうだが、ほんとうにそういう意図は、ない。

などと言い訳されていますが、絶対「どーよ」みたいな感じで
リリースされたとしか思えません(あくまでも勘ぐらせていただきますw)!

で、、その素敵なラインナップはこちら!

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「重訳」で読む編には、英語以外の原著の「英訳本」から柴田氏が翻訳されたもので、
「源氏物語」は1929年〜2001年の3パターンが紹介されています。

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下記は、辻原登氏の『東京大学で世界文学を学ぶ』を読んでから気になっていた『ドン・キホーテ』の「書き出し」から、

私がますます気になってしまった箇所を抜粋(太字部分)。

・・・・文章は明晰、言葉遣いにも趣向が凝らされ、真珠よりも貴重と彼には思え、とりわけ愛の告白や恋文はそう感じられて、次のような文章にしばしば出会ったりしたーーー

「わが理性(リーズン)が向かうところの非理性(アンリーズン)の理由(リーズン)は私の理性(リーズン)をかくも弱めてしまうので、私は正当な(リーズン)をもってあなたの美しさを嘆くのです」。あるいはまたーーー

「高き天は汝の神々しさ星々でもって神々しく高め、汝を汝の偉大さに相応(ディザーブ)の価値(ディザート)に相応(ディザーブ)の身とするのです」


こちらは「児童文学」と「怪奇幻想」ラインナップ!

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なんだか、最近、うっかり「魂」を感じてしまっていた方々の名前や、
ハマりまくってた、ポーも登場!

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詩篇で選ばれていたのが『ユリイカ』だったことに興奮してしまったので、

本書について、もう少し続けます!





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by yomodalite | 2014-02-27 08:38 | 文学 | Trackback | Comments(0)
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淀屋橋から1筋違いの「肥後橋」のほとりにある山内ビルは、
昭和30年に法律特許事務所として建てられたもので、
1階には大人気のオーガニックレストラン「里山カフェ」があります。



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私が行ったのは平日の4時頃だったのですが、そんな時間でも食事客が絶えなくて
しかも、ヘルシーとか、オーガニックなどのキーワードに弱い女性客だけでなく、
男性客も目立っていたので、日常のお食事処として常連客も多いのかも。



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魅惑的なランチメニューに心惹かれつつも
シフォンケーキとカフェオレを注文。


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「ジンジャーハニー・シフォン」という名前だったかな。

縞模様に見えるところに、シフォンがしっとりするぐらい蜂蜜がかかってるんだけど、
甘過ぎなくて、ジンジャーも調度いい感じで、美味しいっ!



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でね、、

飲食店の店内写真を撮るときは
人が写らないよう遠慮がちにしてるつもりだったんだけど、
この日は、うっかりしてて、この奥の席にいた素敵な紳士に

「おらぁ、写真撮るなやぁ」みたいな感じで叱られてしまいました。

席を立って近くに来られて叱られたので、一瞬怖かったものの
なんか「カッコイイ」んだなぁ。

どうしてカッコイイと思ったのか

ものすごく説明しづらいんだけど。。


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こちらは、お店を出たあと最初に目に入った自転車。

赤と黄色の配色バランスが絶妙。
サドルカバーのタータンチェックも素敵だけど
このボディの配色でハンドルグリップに
グレーを選ぶとはーー!(感歎)


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一見クドいと思える「てんとう虫」のベルもすごく似合ってる!



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by yomodalite | 2014-02-25 08:19 | 日常と写真 | Trackback | Comments(4)
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綿業会館は、芝川ビルと同じく、北浜・淀屋橋周辺にあるビルなんですが、こちらは綿製品が世界を席巻した当時の栄華にちなんで「船場エリア」と言った方がいいのかも。。

大阪市内は東京よりも街の区分が小さいのですが、船場は江戸時代から大阪の中心地。船場ブランドを大事にしたい人は今も多いようで、町名を飛び越えて、船場と呼ばれる地域は広く、ちなみに、前回紹介した芝川ビルは「北船場」、綿業会館は「南船場」というそうです。


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船場は、大阪でよくいうキタとミナミの中間。綿業会館の周囲も繊維業界だけでなく、薬の神、交易の神が祀られた少彦名神社、緒方洪庵の適塾や、古い薬問屋も面影を留めていて、それらの和風建築と、近代的なオフィスビル郡との融合が、東京の追手町や丸の内とは異なる魅力的な雰囲気を醸し出しています。


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綿業会館は、戦前の日本外交の舞台でもあった日本綿業倶楽部の施設として、あのリットン調査団も来館したという歴史的な建物。



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見学は月1回のみで予約制なので、今回は玄関まで。



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美しい建物が多いこの地域でも特に、綿業会館がある三休橋筋は、オペラ・ドメーヌ(現在修復中)や、浪速教会などがあり、ガス灯を再現するなど、船場のまちなみ修景の中心になっている通りのようです。

*浪花教会の写真はこちら!






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by yomodalite | 2014-02-23 10:43 | 日常と写真 | Trackback | Comments(0)
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浅田真央の笑顔です!



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インタヴュアー:この4年間挑戦してきたこと、出来ましたね、
オリンピックの舞台で。

麻央:はい。出来ました。

Michelle Kwan ‏@MichelleWKwan
Mao Asada - made me cry.... a performance that we will all remember forever!

西寺郷太 ‏@Gota_NonaReeves
途中から、泣いた!

うさ ‏@_mqumi
アメリカのテレビがあくまで冷静を保ちつつ、真央ちゃんを絶賛してた。「彼女は優勝できないかもしれない。それでも、昨日の悲劇を乗り越えて記憶に残る素晴らしい演技を見せてくれた。だから私たちはフィギュアスケートを見るんだ」

深夜にSPをみたときは
本当に哀しかった。
バンクーバーのときもそうだったけど、
ファンもコーチも協会も
どうして彼女に何もしてあげられないんだろう
という思いでいっぱいになって
彼女の不調はすべて「日本」のせいのような気がして
彼女の演技の出来映えだけで、こんなに哀しくなるのも
私たちが「日本人」ゆえなのかとも思った。

そして今日、今度は彼女の笑顔を見て泣いた人が大勢いると思う。
メダルが決まった瞬間までTVで観ていて
バンクーバーのときと同じく、
彼女の選択に間違いはなかったと思った。

もし、彼女がSPを成功させていたら....
この大会はとてつもなく荒れていたでしょう。
そんなことも含めて、
彼女が日本を救ってくれたような気さえしました。

◎[参考記事]ソチ五輪フィギュアスケート女子FSについて

☆浅田選手は日本の誇りだけど.... 恥ずかしい日本人が増えているのはなぜだろう
◎フィギュアスケート女子シングル技術解説:某漫画にツッコミ

☆私はキム・ヨナを浅田選手のライヴァルに相応しい稀有な選手だと思いますが....
◎[バンクーバーのときの参考記事]浅田真央が戦ってきたもの

☆とにかく全文を読もう....
◎森喜朗 元総理・東京五輪組織委員会会長の発言 書き起し


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by yomodalite | 2014-02-21 09:44 | スポーツ | Trackback | Comments(10)
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素敵なレトロビルが多い大阪の中でも、

特に素敵な建物が密集している淀屋橋・北浜エリア。

芝川ビルは、古代中南米の雰囲気が漂うデザインが素敵で、

個性的なオーナーによるオシャレなお店もいっぱい。



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1階にある、英国人John Broadhust さんによる英国菓子店

「Broadhust」のチョコレートショップ「TIKAL by Cacao en Masse」



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英国のチョコレートと聞くと、イマイチな感じがしたんだけど、

英国のお店の海外店舗ではなく、イギリス人のパティシエが大阪で創ったお店で、

今のところ大阪にしかない。という点に惹かれて、

今年の本命チョコ(ダーリン用ってことね)は、ここで購入。



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カカオの産地別にいろいろな種類のチョコがあって…

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チョコ好きな人におすすめ!


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南の島バヌアツ産のシングルビーンズチョコレート…

マダガスカル産51%酸味とベリーの香り、

アーモンドの香りのお酒とフィヤンティーヌの2層… とか、

9個選んでお箱に入れて3200円ぐらい。

(上記はバレンタインチョコが美味しかったので、

再訪して自分用wに買ったもの)


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上階にも、いろいろ素敵なお店があって、、


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雰囲気のいいバーや、レストランもあって、
地下にはカフェもあるんだけど、


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カフェはカウンター席しかないし、
写真撮影禁止で、マスターは愛想ないし(大阪基準)
私が行ったときに混んでてクロックムッシュがなかなか出てこないと嫌なので、
絶対に行かないように(笑)!






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by yomodalite | 2014-02-19 23:09 | 日常と写真 | Trackback | Comments(6)
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高橋大輔のオリンピックが終わりました。




☆続きを見る!!!
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by yomodalite | 2014-02-16 11:03 | スポーツ | Trackback | Comments(7)
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名スピーチとして名高い、J.M.バリの「Courage(勇気)」の翻訳を紹介します。
日本語訳はこれが初めてだと思います。

バリは、英国・スコットランドの作家で、マイケル・ジャクソンが心から演じたいと願い、こどもたちに暗記するほど読め。と言っていた「ピーターパン」の作者です。

その物語に登場する「ネヴァーランド」は、現代では「マイケル・ジャクソンの家」として有名になり、MJのネヴァーランドの門には、“DIEU ET MON DROIT”「神と我が権利」や、”Honi soit qui mal y pense” 「邪推する者は侮蔑されんことを」(*)という言葉もそのままに、英国の紋章が掲げられていました

MJの人生は「ネヴァーランド」を現実化するために大金を稼ぎ、そして、その夢のために誤解を受け、大きな犠牲をはらったともいえるのではないでしょうか。

わたしはこどもの頃『ピーターパン』を読んだこともなく、彼が、疑惑の渦中に「60ミニッツ」に出演し、「おとぎ話」の重要性や、こどもの心について語り、番組出演時の奇妙なメイクとはまるで違う、夢見る少年を演じている『Childhood』のヴィデオが流れたときも、冷ややかな目で見ていました。

彼の少年虐待について、疑ったことはなかったものの、当時、社会の厳しさの真っただ中にいた私は「おとぎ話」を、心のよりどころにすることは出来なくて、MJは、ますます私たちとは違う世界に行ってしまったと感じていたのです。

正直にいえば、今も『Childhood』のヴィデオを見て涙することはないのですが、ただ、「おとぎ話」を繋いできた文学者たちの系譜には、まったく違った思いをもつようになりました。

そのきっかけを作ってくれたのが、J.M.バリです。

『小さな白い鳥』を読んで以来、私はバリに夢中になったのですが、バリ作品で今読めるのは『ピーターパン』ぐらい…

そんな中、『ロストボーイズ』や、芹生一氏訳の『ピーターパンとウェンディ』(石井桃子訳に不満だった方は是非!)で、バリの有名なスピーチ「Courage(勇気)」のことを知りました。

ネットで探し出したものを見ながら、時間をかければ、自分にも訳すことが。。というような無謀な努力をしなかった自分を、今は褒めてあげたいと思います。それは、私にはめずらしく賢明な判断だったと思うのですが、これを読まれた方は、もっとそう思われるでしょう。

バリの精神を日本語にしていただくのに相応しい方にお願いすることができました!

語学に興味がある方は、ぜひ、原文と照らし合わせて読んでみてください。

原文は、直訳ではまったく意味がわからないぐらいの上級レベルの英語なので、はじめて、これを日本語で読んだときは、わたしは魔法を見たように感動しましたが、より行間を読むために、そこから半年以上の時間を費やしました。このブログでも何度もお世話になった「If you must die, die well」のみっちさんに助けていただけなかったら、途中で挫折していたかもしれません。

日本の若い人にも読んでもらいたい。

というのが、私と訳者に共通する思いでした。そのためには、伝える側が深く理解していなければ。と考え、少しずつ調べているうちに、当初、感動した地点から、少し遠くまで思いを馳せられるようにはなったものの、

現代に生きる、日本を愛する若者に、これを伝えるにはどうすればいいのか悩み、

調べられないことや、理解しきれないことで、迷ったことも何度もあったのですが、私たちができる精一杯のレベルということで納得することにしました。ページによっては、幾分「注釈」が多いと感じるかもしれませんが、何度か読まれるうちに、

バリの「勇気」とは、どのようなものなのか、
より深く理解するために、少しは役立てることもあると思います。

第一次世界大戦は、1914年~1918年。
バリがこのスピーチをしたのは、終戦から4年後の1922年です。

1930年に書かれた『小さな白い鳥』の序文でも、彼は「ブロードウェイを通るにしても、左右どちらの歩道の肩を持つと思われても困るので、危険は承知の上で道の真ん中を歩かせた」というほど、中立に慎重だったバリは、

このスピーチでは「若者に戦う勇気を持て」と煽動しています。

バリは何のために戦えと言ったのでしょう?


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スピーチには、現代の日本人にはなじみの薄い、英国、スコットランドゆかりの人物が多く登場しますが、彼らは、近代の日本人が熱心に学んだ人々です。

私たちの先人が、欧米の文化に接して、何を学び、何に悩んだか、現代の日本人は、もう一度振り返るべきなのではないかと思います。

英国史における、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの関係についても、わたしたちはなかなか理解することができませんが、中国、韓国・朝鮮と日本の問題と近い部分も多く感じられます。明治以前より、日本の上層は「英国」の影響を色濃く受けてきていますが、今に至るまで、「英国」にはなれず、中国にその地位を奪われつつある今は、特にそう思えてなりません。

また、バリが語っている数々の戦いの中には、第一次世界大戦だけでなく、宗教対立という部分もあります。

世界の戦争において、わたしたちが一番理解しにくいのは「宗教」に絡んだ部分ではないでしょうか。現代日本で知識人を自認している人の多くも、「一神教」は、世界で起きている対立の原因であり、平和の妨げになっているというような意見を口にします。

しかしながら、「一神教」を理解しなければ、世界に「思想」を語ることも、世界からの批判をかわすこともできません。

バリのスピーチには、宗教、国、民族、郷土愛、母校愛、友情、愛する者の死…といった、わたしたちの「戦う理由」になるようなことが、すべて詰め込まれていて、それらの犠牲になったり、勇気を発起して散っていった人々の魂、ひとつひとつに語りかけているようです。

わたしたちは、近隣諸国への謝罪が足らないという批判を何度もされていることに、うんざりしていますが、国のために犠牲になったわたしたちの先祖の無念さや、未来に託してくれたこと。。そんな魂の声を本当に聞いているといえるでしょうか。

その他、何度読んでも、読み返すたびに、新たに、バリの思いに気づき、歴史に遺る文学者の深さに少しだけ触れられたような体験を味わいました。

長くなりましたが、最後に、マイケルファンの方に付け加えると、わたしは、MJは、バリがここで語っているさまざまなことに忠実だったように思います。

ですが、スピーチの名手としても有名だったバリは、この歴史に遺るスピーチを「堂々と」行ったのではなかったようです。

(スピーチ読了後「訳者あとがき」をお読みくださいませ)

MJも「Courage」という詩を書いたときはステージに上がることに勇気はいらなかった。でも、『THIS IS IT』のとき、彼は不安を隠しきれなかった。

ヴィクトリーツアーの頃のMJは、まるで、ミケランジェロの「ダビデ像」のように見えましたが、『THIS IS IT』を成功させようとしていたMJは、ミケランジェロが晩年まで創り続けながらも未完に終わった「ロンダニーニのピエタ」のイエスのように、雄々しさとは違っていた。


歴史をふりかえってみれば、偉人の「勇気」というものは、常にそういうものではなかったでしょうか。





(*)「思い邪なる者に災いあれ」の訳が多いですが、下記サイトの訳を使用させていただきました。

スピーチに関連している文学者とMJの関係について

シェイクスピア
MJが映画を撮っていくことの芸術的価値について彼が抱いている想いに畏怖の念を抱き、彼がどれほどのことを教えてくれたか説明できない。と語った、反抗する若者像を初めて演じ、後のロックスターの源流でもあるマーロン・ブランドは、MJと同年代の俳優、ジョニー・デップに、シェイクスピアを演じることの重要性について、強く語っていました。欧米で映画や物語を創造するひとにとっては当然ですが、もちろんMJの書棚リストにも。


サミュエル・ジョンソン
バッドツアー中、メディアに宛てて書かれた手紙の中には、ジョンソン博士の言葉が引用されていました。
If a man could say nothing against a character but what he can prove, his story could not be written.


ロバート・バーンズ
マイケルの友人で、30周年記念コンサートのプロデューサーでもあったデイビッド・ゲストは、MJはバーンズの大ファンで、彼の詩に曲を書いたと語っています。


ウィリアム・アーネスト・ヘンリー
アーネスト・ヘンリーの有名な詩「インヴィクタス」は、MJが尊敬し親交があった、ネルソン・マンデラの獄中を支えた詩としてよく知られています。


ライマン・フランク・ボーム
オズの魔法使いの作者。MJは自作の詩にも引用し、そのリメイク作ともいえる『ウィズ』はMJの初映画出演作。

スティーヴンソン
『ジキル博士とハイド氏』『宝島』で有名なスティーヴンソンは、フロイト研究者にして、冒険物語の愛好者である、MJの「先輩」といえるかも。。

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by yomodalite | 2014-02-13 15:13 | ☆マイケルの愛読書 | Trackback | Comments(2)
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連日オリンピック選手たちの戦いが続いています。

世界の頂点に立つような演技をするためには、数多くの試練を乗り越えることが必要で、大勢の支援者から応援を受けていても、日々の練習は自分との戦いですし、長く選手生活を続ける中には、自分だけで決断しなくていけないことも。。。

それらすべてに「勇気」を感じる人が多く、彼らから「勇気」をもらったと感じる人も少なくないようですが、「勇気」という言葉を、スポーツを通じて聞くことが多くなったのは、比較的最近のことのように思います。

そんな意味もこめて(?)

今日は、私たちの隊長の「勇気」を紹介します。

マイケル・ジャクソンが1992年に出版した『Dancing the Dream』に
収められた「Courage」の和訳です。

日本で出版された翻訳本とは解釈が異なる点がありますので、ご注意くださいませ。


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Courage 「勇気」
Written By Michael Jackson


It's curious what takes courage and what doesn't. When I step out on stage in front of thousands of people, I don't feel that I'm being brave. It can take much more courage to express true feelings to one person.

人がどんなときに勇気を必要とするかは、興味深いものです。ぼくは、何千人もの観客を前にステージに立つことには勇気を必要としないけど、ひとりの人間に、自分の心情を打ちあけるのはとても勇気を必要とする。

When I think of courage, I think of the Cowardly Lion in The Wizard of Oz. He was always running away from danger. He often cried and shook with fear. But he was also sharing his real feelings with those he loved, even though he didn't always like those feelings.

勇気について考えるとき、ぼくが思い出すのは『オズの魔法使い』に登場する臆病なライオンのこと。彼はいつも危険から逃げまわっていて、大きな声で吠えながらも恐怖に怯えていた。でも、彼は自分が親しみを感じた人たちには、本当のきもちを隠さなかった。自分が恥ずかしいと思う部分も含めてね。

That takes real courage, the courage to be intimate. Expressing your feelings is not the same as falling apart in front of someone else, it's being accepting and true to your heart, whatever it may say.

誰かと親密になろうとすることこそ、本当に勇気がいることなんだ。自分の感情をあらわすというのは、誰かの前で、乱れてみたりすることではなく、どんなことであっても、自分の本当の心を受け入れて、それを正直に話すこと。

When you have the courage to be intimate, you know who you are, and you're willing to let others see that. It's scary, because you feel so vulnerable, so open to rejection. But without self-acceptance, the other kind of courage, the kind heroes show in movies, seems hollow.

誰かと親密になろうとする勇気をもてば、人は自分がどういう人間なのかがわかり、それを表すこともできる。それは怖いことだ。自分が他人に弱みをさらしても、受け入れてもらえないことだってある。でも、自分で自分を認められなければ、映画の中のヒーローが見せるような勇気でさえ、空しく思えてしまう。

In spite of the risks, the courage to be honest and intimate opens the way to self-discovery. It offers what we all want, the promise of love.

危険はあっても、正直に自分の心を開く勇気は、自分を発見する道を開く。それが、誰もが望んでいる確かな愛へと導いてくれるんだ。

(訳:yomodalite)

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◎[Amazon]『Dancing the Dream』Michael Jackson


マイケルの「勇気」は、誰もが何度も経験する場面において、重要なことを指し示していると思います。

ただ、冒頭で、彼は、何千人もの観客が待つステージに上がることに勇気はいらない。と答えていますが、

完璧を求め、毎日毎日、幾度も練習を重ねてきた、オリンピックの選手たちでさえ、演技の前に緊張してしまうという場面を、わたしたちは何度も見ています。

それなのに、MJがそんなことに勇気はいらない。と答えているのは、彼が、自分の到達点を賞賛されるようなステージを行うという以上の、もっと高い地点においていたからではないでしょうか。

たしかに、理想の自分を創り上げることに、誰よりも一生懸命だった彼にとって、他人に心を開いて見せるのは、ステージよりも難しいことだったのかもしれません。

でも、彼はそれを乗り越えたから、こうして言葉にできた。だから、これは、私たちに届けたいメッセージで、彼自身は、このあともずっと「勇気」について考えていたと思うんです。

なぜなら、プライベートでさえ、オリジナルの「戦闘服」を着ていることが多かったMJは、多くの素晴らしいアーティストの張りつめたような日常よりも、

もっとすべての時間をつかって、戦っていたはずですから。

このあと、彼が「勇気」を学んだと思われる文章を紹介したいと思います。



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by yomodalite | 2014-02-11 11:25 | ☆Dancing the Dream | Trackback | Comments(0)

☆Michael Jackson's THE TRIAL

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by yomodalite | 2014-02-05 11:09 | ☆マイケルジャクソン裁判 | Trackback | Comments(3)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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