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児玉清さんが、雑誌『すばる』に2002年〜2005年まで連載されていたエッセイ。2005年に出版されていて、文庫も出版されているのですが、写真は、児玉さんが描かれた絵が見やすい単行本の方にしました。私は、NHK「週刊ブックレヴュー」の児玉さんが好きでした。というか、それ以外の児玉さんのことは全然知らなくて、映画やTVドラマも知らないし、永年放送されていたクイズ番組も見たことがなかった。

それに「週刊ブックレヴュー」の児玉さんが好きだったと言っても、児玉さんが好きな作家や作品もそんなに読んでいないし「週刊ブックレヴュー」を見ていた頃、私は今ほど本も読んでいなかった。いい本がいっぱいあっても、そんなに読むなんて無理だと思っていたり、それは今もそう思うけど、ただ、今の方がちょっぴり「読まなきゃ」と思う気持ちが強くなってきたのだ。

本書には、本の話はほとんどなくて、児玉さんの映画デヴューから、下積み時代、様々な作品を通して出会った人々の思い出、そして最愛の娘さんのことが語られている。

下積み生活も、反抗的な態度も、児玉さんの上品なイメージからは想像できないようなエピソードが多くて「負ける」という言葉もなんだか相応しくないのだけど「あとがき」で、書名の由来をこう語られています。

僕の俳優の道は、いつももやもやとした敗北感といったものに包まれていた。勝った!!やったぁ!!という気持ちになったことがなく、終われば絶えず苦渋のみが残るばかりだ。(中略)そこで心に期するようになったのが「負けるのは、美しく」ということであった。どうせ勝利感を得られないのなら、また明確な勝利を望むべくもないのなら、いっそ、せめて美しく負けるのを心懸けたら、どうなのか、そう考えたとき、はじめて心に平和が訪れた思いがしたのだ。

東宝ニューフェイスに合格するような上品な二枚目でスマートな児玉さんだから「負けても美しい」のかもしれなくて、それは真似のしようがないのだけど、でも、わたしも自分が「負け続けてきた」と思ったとき、本を読もうと思いはじめて、そのせいで、ちょっぴり共通点があるように思えるのかもしれない。

本書に登場する人々は、名前も知らない人がほとんどでしたが、各エッセイの冒頭には、様々な本から、数行の英語が記されていました。下記に、児玉さんの「切り絵」作品と一緒にメモしておきます。

『ダヴィンチ・コード』以外、すべて未読だったけど、いつか「会える日」のために。

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母とパンツ

The fact is that we need the insights of the mystyc every bit as much as we need the insishts of the scientist. Mankind is diminished when either is missing.

Michael Crichton 「TRAVELS」


博多の雑魚

Strange how life often swings on small things.
             
Jack Hjggins「MIDNIGHT RUNNER」


雑魚と雑兵

Bad things come in threes.

Nelson DeMille「UP COUNTRY」


予言者は百万の味方

Astrology was simply one of the ways 9 coped with the fear 9 felt after
my husband almost died.

Nancy Reagan 「MY TURN」


ボーイ役とアウトロー新人

They were seduced …… by his extraordinary personal charm and humor.

Edmund Morris 「DUTCH : A Memoir of Ronald Reagan」


“でく”も“できる”も猫杓子

The most momentous thing in human life is the art winning the soul to good or evil. ---- Pythagoras

Tom Clancy 「RED RABBIT」


恥を乗り越えてこそ

What you see is what you see.

Tom Clancy「TRAVELS」


忘れられ◎過去

A place where ancient secrets rose to the surface.

Dan Brown 「THE DA VINCI CODE」

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一瞬がショウダウン

Courage is not the absence of fear or despair,
but the strength to conquer them.


Danielle Steel 「THE KISS」


くり出せなかったパンチ

Wayne was not born Wayne. He had to be invented.

Garry wills 「JOHN WAYNE'S AMERICA」


サムライロケは腰くだけ

Good looks are not what's gonna get you places.

Jackie Collins「DEADLY EMBRACE」


ドーラン恥ずかし、プールは欲しし

A man's character is his fate. --- Heraclitus
性格は運命だ ー ヘラクレイトス


刹那の仏心

She treated a job like a job……, I didn't treated it as a job.
I treated it like it was my life.


Michael Connelly 「CHASING THE DIME」


無邪気だけが残った

Unfortunately life being as uncertain as usual.

Jack Higgins 「BAD COMPANY」


是非なき孤独

Take care that old age does not wrinkle your spirit even more than your face.

Michael de Montaigne


三度あることは六度ある

The mountain itself is indifferent ---- an immutable fact that we would do well to learn from.

Jamling Tenzing Norgay with Broughton Coburn
「TOUCHING MY FATHER'S SOUL」


「まさか」のま、さかさま

You learned how to survive. Or you didn't.

Tom Clancy with General Carl Striner (Ret.) and Tony Koltz
「SHADOW WARRIORS」

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見エザル神ノ手

Who can see into the future? ---- 諺集より


はまらぬ役に、はまるツボ

All things return to the One. What does the One return to ? ----- Zen koan

Greg Iles 「THE FOOTPRINTS OF GOD」


コマ切れに困った

Do not feel absolutely certain of anything.

Bertrand Russel


ヘンシン、豪傑仮面!

Things never turn out the way you think they will.

Michael Crichton 「PREY」


宙を見ていた

That was the beauty and difficulty of the relationship.

Michael Connelly「THE NARROWS」


ラストスピリット

Never say you are walking on the last road.

---- Song of the Jewish Resistance World War Ⅱ


誰がために鐘は鳴る

All men have secrets. ---- The Smiths, “What Difference Does It Make ?”

Ian Rankin 「RESURRECTION MEN」


落下の沙汰も神次第

We should take care not to make the intellect our God. ---- Albert Einstein

Greg Iles 「THE FOOTPRINT OF GOD」


まるで月面宙返り

It's a very shout trip. While alive, Live.

Malcolm Forbes


封印した青春

My experience with the short story form goes back to the distant past.

Jeffery Deaver「TWISTED」


お帰りなさい、わが家へ

The theme of the Athens Olympics is “Welcome Home”


苦しいときの玉箒

Discover day-to-day excitement.

Charles Baudelaire

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千九百九十九年十二月二十四日

Unhappiness has a habit of being passed around ……

Margaret Atwood


パラシュートなしのサバイバル

A woman is like a teabag. You never know haw strong she is until she is in
hot water


Eleanor Roosevelt


天国(ハレクラニ)の館を前にして

Whoever saves one life, saves a world entire. ---- Talmud

Danielle Steel 「ECHOES」


すべて焼滅した

Believe those who are seeking the truth. Doubt those who find it.

Andre Gide


霊感と正義感

Close your eyes and you can still see the smile.

Harlan Coben 「THE FINAL DETAIL」


北酒場

There is no end of things in the heart.

Michael Connelly 「LOST LIGHT」


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[出版社 / 著者からの内容紹介]おだやかな微笑みのむこうに、このような人生が!俳優・児玉清が、母の死がきっかけで入った映画界、忘れ得ぬ監督や俳優たち、結婚、その後転身したテレビ界のこと、大好きな本、そして愛娘の闘病から死まで…。初の回想記。

[BOOKデータベース]就職活動の一環としてなりゆきで受けた東宝映画のニューフェイス試験で、遅刻した上に水着を忘れ、パンツ姿で面接したが見事合格したこと。生来の天邪鬼が顔を出し、天下の黒澤明監督にたてついてしまった新人のころ。大スター三船敏郎をはじめとする数々の名優との思い出。運命の出会いと結婚、そして36歳という若さで逝った最愛の娘。読む人の心を静かにそっと揺さぶる感動のエッセイ。



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by yomodalite | 2013-01-31 11:47 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

ブッダは歩むブッダは語る―ほんとうの釈尊の姿そして宗教のあり方を問う

友岡 雅弥/第三文明社



この本は「こちらのコメント欄」でお勧めされて読みました。
Mさんありがとうーーー!!! とても素敵な本でした。

著者は、大阪大学文学部卒業後、同大大学院博士課程修了(インド哲学専攻)され、1991年にはインドと日本の国交回復40周年を記念した公式行事で講演も行なっている方。

最初、著者が、ブッダに挑戦しようと考えたのは、フーコーの『言葉と物』『知の考古学』を読んでからでした。と書かれているのを見て嫌な予感がしたんです。

そのあとすぐにデリダの名前も登場して、仏教を語るのに、フランス現代思想を多用し、複雑でもないことを、あえて複雑に、ムツカしい言葉や、外国語で、ごまかしつつ、フワフワしたようなことを、ダラダラと書いてあるか、もしくは、最新の物理学から、仏教はスゴい!とか、、そんな、よくありがちな本かと。

でも、この続きを読んでみたら、全然そうではありませんでした。

はじめに。から、省略して引用します。

ウォルター・ベンヤミンは、友に宛てた手紙の中で、こう述べています。

真っ暗な闇の中を歩み通す時、助けになるものは、橋でも翼でもなく、友の足音である

友とは暗闇の中ですがりつく対象ではありません。携帯で呼び出すと、飛んでくるだけの人ではありません。もちろん、友はそういうこともしてくれます。でも、それだけでは「都合の良い人」であっても友ではありません。

友も歩いているのです。私のように歩いているのです。その存在を想うだけで、その足音だけで、私は1人で歩けるのです。姿が見えなくてもよいのです。離れていてもよいのです。私にとって、仏教という宗教は、このベンヤミンの言葉における「友」のニュアンスに近いものがあります。

真っ暗な道を歩く、しかも1人で歩く。その時、友の足音を聞き取れる人は、勇気を持って前に進むことができるでしょう。仏教がもたらす人生への確信というものはこういうものであると思います。

仏教は信じているだけで、ひとりでに暗闇が明るくなったり、自分が歩かなくても自動的に目的地まで連れて行ってくれることを望む「魔法」の類いではありません。真っ暗な闇を、1人ではないという確信をいだきながら、1人で歩み通す人をつくる信仰なのです。

この本の目的は、1人歩む人をつくろうとした1人の「独りあゆむ人」
ゴータマ・ブッダの姿をできるだけリアルに描くことにあります。


(引用終了)

本書は、これまで、仏教に対して、何らかの疑問を抱いていた方には、
特にとても魅力的で、納得する箇所が多い本だと思います。

去年の冬頃から、ジョン・レノンが、ブッダや仏教をどう考えていたか。について、探ったり、想像していて、少しづつ、私もブッダの姿を想像するようになり、イエスや、ブッダや、モーセといった人々は、全員「反逆者」として登場し、遺された者とその集団は、徐々に体制的になっていく。という歴史には例外がないこともよくわかってきました。

誰もが共感しそうなエピソードや、感情から説明しようとして、仏教とも、ブッダとも、何の関係もない話をする「仏教者」や「スピリチュアル業界の人」は大勢います。語っている人自身が魅力的なのだとは思いますが、友岡氏のように、ブッダの実際の姿にこだわり、親切に書いてくれている本は少ないと思います。

下記は、本書から「グッとくる言葉」を紹介します。(一部要約しています)
これらの言葉が、どのように説明されているかは、本書をぜひお読みください。


(引用開始)

仏教がきわめて現実批判的な、そして神秘性を徹底して排除した宗教であることを示そうと思いました。(P.2)


ブッダは、現状認識を曇らせる甘い幻想を排除します。私たちと幻想との蜜月関係は存在しません。幻想の破壊者としてのゴータマ・ブッダにできるだけ迫りたいというのも、この本の目的です。(P.7)


他者への「冷たいまなざし」が「権力」の特徴です(P.8 )


「痛み」を感じることなく、誰かを「悪」と決めつける。「痛み」を感じることなく、自分のやっていることを「善」と思う。これこそ、もっとも避けなければならない態度でしょう。(P.18)


アナキン・スカイウォーカーのあまりに澄んだ目に、ダース・べーダの心が宿るのです。

空虚な明るさ、単純なプラス思考がどれほど精神をむしばむかは、ここ数年、各種の「自己啓発セミナー」が心に与える悪影響についての研究や調査が発表されてきたので、それにつれて少し理解されるようになってきました。

この「多幸の罠」に抵抗するのは、今世紀最大の神学者の1人であり、ナチスと戦ったパウル・ティリッヒの名著『生きる勇気』で示唆したあの姿勢ーーそう、「にもかかわらず(trotz)」です。(P.25)


落語の中で僧侶は、大抵、辛辣な批判の対象、笑いの対象になっています。徳川幕府体制の走狗となり、幕府権力にまつろわぬ人々を、寺院の人別帳から外すなどして、排除した仏教諸勢力は、庶民のあからさまな嘲笑の対象となっていたのです。(P.35)


ブッダが解決しようとした根本問題とは何か。ブッダが治そうとした「重い病」とは何か。それは、病者とその周囲の人たちとの、相互不信なのです。(P.49)


ブッダのなそうとしていたことは、当時の社会にあった「慣習」や「常識」に対する挑戦であったということが分かります。いや、それだけではなく、「当時の社会」に対してだけではなく、慣習や常識、「みんながしているから」「昔からの習わしだから」と、自らの行為を常に不問に付す態度や人間の精神の堕落に対する挑戦であったということが分かります。(P.81)


少し考えれば、少し実証的になれば、虚構だとわかるはずのものなのに、しかし、考えさせずに、感情に訴える。感情に訴えるが故に、一見それは、分かりやすく見え、多くの支持を得るのです。(P.116)


直接的暴力とは、力であり武器、兵器です。しかし、間接的暴力、組織的暴力、社会的暴力とは、物事の複雑性を見ることを嫌がり、すべて単純に善・悪などに分けて、人なり物事なりを、「悪」や「敵」としてレッテルを貼り、「一件落着」させようとする態度をいうのでしょう。

智慧とは、単純化しないこと、常に排除されがちな「他者」「少数者」を思考の視野に入れ続けることであると思うのです。(P.117)


智慧とは「魔力に抗する力」なのです。「神通力」「魔法の力」とは何でしょうか?それは、物事をあっけなく片付ける力です。

精神分析学者のエーリッヒ・フロムは、人間のもつ「負の性向」として、魔術的性向を挙げていました。魔術はパッと鳩が出ます。パッと人が消えます。そのように、魔術的性向の人は、ある人に少し優しくされただけで、その人が全面的に「いい人だ」「イケてる」と思い、その同じ人にちょっとキツく言われただけで「ヤなやつ」と評価が極端から極端にブレるのです。(P.118)


(智慧とは)とにかく安易に、“魔術的に”、結論を出さず、いつも自分の出した結論を相対化し、さらに実相に迫ってゆく「精神の良心的な態度」をいうのです。智慧とはあくまで多様へと開かれ、単純化という暴力に抗する力なのです。(P.120)

(ブッダの言葉から)

世界はすべて輪廻的存在にすぎず、うつろい行く。私は自身(アートマン)の定まるところはないかと、求めさすらったが、自分の立場に誰もが固執していて、そうでない人などいなかった。それぞれが自分の立場を究極だ、と言っては、対立し反目し合っている。私は絶望的になった。その時私は、すべての人々の心に「見がたき1本の矢」が突き刺さっているのを見た!

その矢の勢いの慣性によって、人々は輪廻的な生存へと飛ばされるのだ。この矢させ抜いてしまえば、輪廻的生存となることはない。輪廻の激流に飲み込まれることもない。

私は思う。人を輪廻に引きずり込む激流は(輪廻を厭いながらも)いつまでも輪廻のなかに留まろうとする深層の欲望である。押し寄せる波々は、その時々の衝動的欲望である。激流に漂う漂流物は、妄執の対象物である。

過去に囚われるな。未来に対しても、なにかを妄執しないようにせよ。この今においても、儚き輪廻的存在に執着し、呪縛されることのないようにせよ。そうすれば「安住する者」として、行動することができる。

物や事柄について「これは私のものだ」という自己中心的な執着の存在しない人は、この現実世界に生きながらも、老いることはない。そのような聖者は、自分と他者を比べて、自分が優れているとか、劣っているとか、同程度であるとか、煩うことはない。

(以上、ブッダの言葉 P.126)

これがブッダの宗教的体験であるとすれば、それは、いわゆる神秘的な「悟り」のようなものではなく「生きる姿勢」のようなものであることになります。そう、「悟り」ではなく「目覚め」です。「安住する者」として、行動することができる。のです。

現実との関わりを断ち、静かな山野に交わり、悟りの座に安住するのではないのです。それは精神を眠らせる行為です。ブッダは目覚めて、歩き出すのです。(P.127)


今まで問わなかったことを問い続けることが、「思想」なのです。

今、この国は、今まで信じて疑わなかった「大企業の信頼性」とか「一億層中流意識」とか、「無限に続く経済成長」とかが、非常に壊れやすいものであることが判明した反動として、「J回帰」現象を起こしています。「日本国民の神話的歴史」などへ統合し、回帰させようとする動きが顕著です。しかし、それは精神の停滞そのものなのです。

今まで問題でなかったものが問題になった時に、他の「問題なきもの」に逃走するのではなく、問い続けることが精神の働きなのです。(P.128)


人は「恐怖の影」を自分ではなく、他人の上に見ようとします。他人は例え老人であり、病人であり、また例えば外国人であり、「自虐史観論者」です。そして、自虐(自分の中に矢を見ること)に耐えられず、加虐に走るのです。しかし、ブッダはそれに耐え、自分の中に他者が他者として、生きることを可能にしたのです。(P.133)


「無神論」という言葉が、例えばヨーロッパではどのような戦いの中で、勝ちとられてきた言葉かーー自称「無神論者」の人たちは理解しているのでしょうか。「神」の権威を振りかざす王や権力者の間で行なわれた戦いの熾烈さを、想起しているのでしょうか。おそらく「真の無神論者」がもっとも嫌悪するのが、年中行事として形骸化した祭式でしょう。それこそが、権力者が作り上げた「虚構の共同体の維持装置」なのですから。

「初詣は宗教じゃない。みんながやっている習慣なんだ」しっかり神だのみをしている事実を覆い隠すように「仮称無神論者」は言います。この習慣というのが曲者なのです。「習慣」とは、フーコーが「権力のまなざし」として感じ、ベンヤミンが「勝者の歴史」と見抜いたものに通じるのです。そして、まさに仏教が疑問を投げかけた、サンカーラそのものなのです。(P.151ー152)


プンナカという弟子の「何故、世間では儀式が行なわれるのですか」という質問に、ブッダはこう答えました。

人々が儀式を行うのは「今の自分」執着しているからである。老いなど「今の自分」と異なるものに不安と嫌悪を抱くから儀式を行うのである(『スッタ・ニパータ』、V)

「今の自分」は「今の社会の仕組み」「今の世間の常識」に複雑に呪縛されています。「今の自分」「今の境遇」の延長に対する欲望は「今の社会の存続」を何の疑いもなく、受け入れることになるのです。(P.152)


ブッダの臨終がせまってきたとき、「世間にはさまざまな哲学者、聖人がいます。そのうち、真理を誰が知り、誰が知らないのか」と、スパッタという男が訊ねたのです。これが死を前にした人に対する態度でしょうか。疑問のための疑問、偽りの求道、虚構の希求!ブッダの解答は簡潔で鋭いものでした。

「私は29(一説には19)歳で、聖なるものを希求して家を出た。以来、50年あまり、私は道理と真理の道を歩んできた」

私の人生を見よ、というのです。目の前の私の姿を見よ、と言うのです。偽りの希求をするスパッタに対して、最高の解答です。(P.159ー160)


ブッダは「何か」と言う言葉で表される実体的、固定的なもの“を”知ったのではなく、その固定的なもの“から”離れたのです。「何か」という固定的、実体的なものは「悟るべき対象」ではなく、そこから「離れるべき呪縛」「目覚めるべき夢」なのです。(P.165)


立場や意見はそれに固執してしまえば、固定的なドグマ(教義)になってしまうのです。「悟り」もそうです。固定的、実体的であるゆえに「悟り」も一種のドグマ(教義)に過ぎないのです。

では、ブッダは何の立場も意見ももたないのか?その時その時、最大限に何をすべきかを、考え抜いた人がブッダです。ただ、ブッダはその自分の考えすらも常に越えよう、突破しようとしたのです。(P.166)


永遠に今の自分から目覚め続け、今の自分を突破しつづけたブッダーーしかし、ブッダの死後の仏教の歴史は、ブッダに「悟り」を押しつけたのです。

弟子たちは、ブッダの思想を、法数という、いわゆる12因縁などの数で整理してゆきました。この時に生きられるべき宗教が、学ばれるべき学問になってしまったのです。

常に整理やまとめを逸脱していくのが、真実でしょう。しかし、整理もまとめも、他者に伝えていったりする時には必要であることも事実です。要はまとめきれないものへの目配せがあるかどうかなのです。(P.168)


ブッダは「人々が理解しない場合は徒労となり、悩みとなる」とも考えました。当時、多くの宗教者は、林の中で、ヨーガの瞑想を行なって、悟りを得たのです。しかし、ブッダの心は止まらず「揺れ」ました。その揺れは、先に述べた「他者へのまなざし」の故です。心が揺れては瞑想になりません。ここからが他の宗教家との「異なり」です。

ブッダの思想の特徴は「立場」を永遠に突破するところにあります。一つの立場に固執することから、常に飛躍するところにあります。「悟り」もひとつの立場です。「瞑想」もひとつの立場です。永遠の脱出者ブッダは、心地よき悟りから脱出しようとするのです。「心地よさ」はくせ者です。「心地よさ」は立場を構築してしまったことへの表れです。安らかな繭の中で、快適な惰眠を貪るのです。(P.174ー175)


固定化、実体化した「悟り」こそ、ブッダが批判し、否定したものです。(P.179)

(引用終了)


本書からメモした言葉は、まだいっぱいあって、特に「業報輪廻思想(カルマ)」についての内容は、また別の記事で紹介できればと思います。

さて、

このところ、世界中の神々について考えてる時間が長くて、
それで、わかったことなんですけど、、

私は、これまで「Rock & Roll」と言われると、なんか、自分の聴いてきた「Rock」ではないというか、特に日本人ロッカーの「ロケンロール」とか「シェケナ・ベイビィ」wとか、さっぱりわからないわ、恥ずいわで、苦手だったんですけど、

やっぱり、本書からも「& Roll」ってところが、すごく大事だってことがわかりました。

そんな気分でいるせいか、最近、毎日のように、何度も何度も聴いてしまう曲を最後に。

みんな行くよぉーーーーーーーーー!

♪feelin Comes... Feelin' Come... Feelin' Come To Me…

とり憑いた悪魔でも、天使でも、Baby Wanna Rock'n Rollーーーーー

絡みつくような鎖なんて捨てちまえっ!♫




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by yomodalite | 2013-01-29 09:28 | 宗教・哲学・思想 | Trackback | Comments(0)
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大好きなR・ケリーが、デヴィッド・リッツと本を出す!というニュースを聞いたのは、どれぐらい前だったでしょう。

すっごく読みたかったものの、マーヴィン本の印象からリッツが書いた本を英語で読むなんて、私には無理だなぁって思っていたところ、押野素子さんの記事に「英語は平易で読みやすいので、臆することなく挑戦してほしい」という紹介が!

☆R. Kellyの自伝『Soulacoaster』の序章を訳してみた

それでもう、英語本の方をポチする寸前だったんだけど、でも、その頃、まだ他の本(英語)も読み終わってなかったし、やっぱり、もう少し後の方が、Kindle版も安くなるよねって思っていた矢先、驚いたことに翻訳本が出版された!

出版不況にもまして、音楽不況でもあり、
ケルズの自伝の翻訳本なんて、絶対に出ないと思っていたのに… 嬉しいっ(感謝)!


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さらに「帯」の背の部分にも、グッとくる言葉が。。

R&Bに「R」の名を刻み込んだ男

本のデザインも英語本より素敵だし、コピーにも「LOVE」を感じるぅ!

しかも、ソフトカバーで、厚みが3センチぐらいある本なのに軽くて読みやすいし、
ケルズのカッコいい写真wも満載なのだ!


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この写真、前にも見たことがあったんだけど、、


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パンツの柄がこうなってたとは、、この本で初めて知りました!


☆下記は、本書から、省略して引用。

「これって、子作りがしたくなる音楽よね!」
「あんたたちはテディ・ペンダーグラスやマーヴィン・ゲイを聴いて出来たのよ」


俺もファンが子作りしたくなるようなアルバムを作りたいと思った。ただ、子作りしたくなるだけでなく、誰かを好きになったり、愛の契りを交わしたり、結婚したくなるような音楽が書きたかった。音楽で世界の人口を増やしたい。「12プレイ」という曲は、そのための第一歩だった。






『12プレイ』は、セックスや官能的な快楽を前面に出し、あらゆるタブーを破った記録的なアルバムとして知られているかもしれないが、このアルバムの中で俺にとって一番意味があるのは「セイディ」なんだ。ママは俺の「セイディ」であり、ママは俺のすべてだった。






ケルズがソングライターとして、
大勢のスターに曲を提供したときのこともたくさん語られています。


チャーリー・ウィルソンか?俺は聞き返した。
あのギャップ・バンドのチャーリー・ウィルソンか?」






チャーリー、侮辱するつもりはないんですが、今の若い世代の多くは、あなたのことをよく知らない。新しいファンに向けて自己紹介するつもりで歌ってくれますか?






考えるだけ無駄だよ、ロブ(ケリーのこと)。絶対起こりっこない。セリーヌ・ディオンは清潔なイメージのあるカナダの白人だ。フッド上がりの黒人男性と彼女が共演するのを向こうの事務所が受け入れると思うか?






アイズレー兄弟はスタジオを後にした。家族に不幸があってアーニーが落ち込んでいるのはよくわかった。悲しみを忘れるために、何か気分が明るくなることをしたかったんだろう。けれど、俺に対する態度はぶしつけだったし、怒りがこもっていた。彼が立ち去ってくれて良かったと思った。なぜなら、そういう負の感情は感染性があるから。

感染性(コンティジャス)ー という単語が頭に浮かんだ。






でも、ぼくは「ライフ」って曲の方が好きなんだ。マックスウェルは考えを変えなかった。もし彼が歌いたくないなら、俺が歌うつもりだった。

マックスウェルが歌った「フォーチュネイト」は見事1位を獲得し、1999年最大のヒットのひとつとなり、俺にビルボードアウォードと、ソウルトレイン・アウォードに加え、グラミーへのノミネーションをもたらした。






ホイットニー・ヒューストンのカムバックアルバムの制作に参加しないかとクライブ・デイヴィスに声をかけられたのもこの頃だ。俺はアルバムに2曲提供し、そのうちのひとつ「アイ・ルック・トゥー・ユー」はファースト・シングルとなって見事1位に輝いた。






自身のこれまでのアルバムについても、色々語ってます。

『アンタイトルド』は、2009年12月にリリースされ、ビルボード200で。初登場4位にランクインした、セクシーなアルバムだ。クインシー・ジョーンズがバリー・ホワイト、エル・デバージ、アル・B・シュア、ジェイムズ・イングラムをフィーチャーして「ザ・シークレット・ガーデン」でやっていたことと同じようなことを俺は考えたんだ。

青々と茂る美しい庭のような音楽が俺にも作ることができるだろうかという、ひとつのチャレンジさ。『アンタイトルド』はまだ発掘されていない宝石だ。






ケルズのスタジオアルバムはすべて聴いてるけど、私は『アンタイトルド』が一番好き!

このアルバムを酷評してるひとがいることが、マジ信じらんないっ!何度「Echo」で癒され「Pregnant」で身ごもりそうになり「Be My #2」だなんて、7番目でも、8番目でもいいわ。と思ったことか。。“Echo” の「激安PV」が消されてしまって、本当に残念!

好きの度合いでは、MJと比較することはできないけど、、
「抱かれたい男」だったら、絶対ケリーに1票入れるわ。

さて、、

女手ひとつで育ててくれた母への思い、少年時代の哀しい恋の結末、
難読症で、文字がほとんど読めずに過ごした学生時代を支えてくれた恩師、
バスケへの愛、結婚、離婚、子供たちとのこと、ジェイ・Zとの確執、成功の落とし穴… 


そんなケルズのピュアな感性が全開の本書に、

マイケル話は控えようかなと思ったのですが、、
やっぱり、ほんの少しだけ。


(要約して引用しています)

ジャネット・ジャクソンの『ジャネット』が大ヒットしている頃、「Anytime Anyplace」のリミックスを頼まれ、そのリミックスも大ヒットし、これ以上の満足はないと思っていた矢先、とんでもない転機が訪れた。マイケル・ジャクソン様のご登場だ。



ジャネットあんまり聴いてなくて、気づかなかったんだけど、このPVに登場する若い男、「You Rock My Would」の指パッチンの男かな。。



このあと「第2幕」には、MJについて語られている部分が19ページあります。
そちらは、ぜひ本書でお読みいただきたのですが、


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☆8フィートって、2メートル40センチだからねw

☆MJがベタ褒めしたという「病み付きボディ(Your Body's Callin)」のリミックス





最後の言葉だけ、こちらにも書いておきます。

2009年末に、ステージに俺が登場して、
マイケルの死を聞いた時に頭に浮かんだ歌詞を観客に歌った。

さよならなんて言うな
そんな必要はない
ずっと一緒にいるから、俺にさよならなんて言うな
さよならなんて言うな、涙も流すな
俺はまだここにいるよ
ろうそくに炎を灯して祈りを捧げよう
勝利の声を上げよう、愛はまだここにあるから



☆米国では、85レヴューで5つ星!

◎[Amazon]SOULACOASTERソウラコースター
◎[米国Amazon]Soulacoaster : The Diary of Me


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☆ケルズの「I Believe」+MJ映像




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by yomodalite | 2013-01-28 08:54 | 現代文化・音楽・訳詞 | Trackback | Comments(0)
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ヘンリー・ワーズワース・ロングフェローの「こどもの時間」は、ネヴァーランドの記念品であるレターセットに印刷されていた詩です。

ロングフェローは、ダンテの「神曲」を米国で初めて翻訳し、最も愛された詩人とも言われていて、彼の名前に因んで名付けられた学校も多く存在し、「クリスマスの鐘」という詩は、クリスマス・キャロル「I Heard the Bells on Christmas Day」の元にもなっているそうです。


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ネヴァーランドに訪れた人々に、マイケルがどんな言葉を贈りたかったのか。
それを知りたくて、訳してみました。

気になる点は、遠慮なくご指摘くださいませ。



The Children's Hour
BY Henry Wadsworth Longfellow

こどもの時間

Between the dark and the daylight,
When the night is beginning to lower,
Comes a pause in the day's occupations,
That is known as the Children's Hour.

闇と光のあいだで、
夜がだんだんと降りてきて
その日の仕事が終わろうとするとき
それを「こどもの時間」というのだ

I hear in the chamber above me
The patter of little feet,
The sound of a door that is opened,
And voices soft and sweet.

上の階からは、
パタパタという小さな足音が聞こえ
ドアが開く音と、かわいらしい声がして

From my study I see in the lamplight,
Descending the broad hall stair,
Grave Alice, and laughing Allegra,
And Edith with golden hair.

書斎のランプから見えるのは
ホールへの階段を下る
お固いアリスと、お茶目なアレグラ
そして金髪のエディス

A whisper, and then a silence:
Yet I know by their merry eyes
They are plotting and planning together
To take me by surprise.

ささやき声がしたあと、静かになった
だが、彼女たちの楽しそうな目でわかってしまう
きっと何か企んでいて
わたしを驚かせようとしているのだ

A sudden rush from the stairway,
A sudden raid from the hall!
By three doors left unguarded
They enter my castle wall!

あわただしく階段から駆け降りて
広間から突然の攻撃!
無防備だった3つの扉から、
彼女たちは、わたしの城壁に侵入する

They climb up into my turret
O'er the arms and back of my chair;
If I try to escape, they surround me;
They seem to be everywhere.

彼女たちは、私の城の小塔によじ登り
椅子のひじ掛けや、背もたれを飛び越え
逃げようとする私を、至るところから取り囲み

They almost devour me with kisses,
Their arms about me entwine,
Till I think of the Bishop of Bingen
In his Mouse-Tower on the Rhine!

腕をしっかりと絡めて
むさぼるようにキスしてきたり
わたしは、まるで、ライン川に佇むネズミの塔の
ビンゲン司教のようだ(*)

Do you think, O blue-eyed banditti,
Because you have scaled the wall,
Such an old mustache as I am
Is not a match for you all!

青い眼をした山賊どもめ!
君たちが、私の城壁によじ登ったせいで、
ここが、私のように古い口ひげをたくわえた者に
相応しくなくなってしまったじゃないか!

I have you fast in my fortress,
And will not let you depart,
But put you down into the dungeon
In the round-tower of my heart.

すばやく私の要塞に閉じ込めて
もう外には出さないぞ
私の心の塔の地下牢に
押し込んでやる

And there will I keep you forever,
Yes, forever and a day,
Till the walls shall crumble to ruin,
And moulder in dust away!

そして、君たちをここに閉じ込めよう
そう、塔の壁が崩れて、塵になるその日まで
永遠にね!

Poetry Foundation「The Children's Hour」

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ネズミの塔(Mauseturm)


*ネズミの塔(Mauseturm)13世紀にマインツ(=ビンゲン)大司教の命令で、見張り及び関税塔として建てられた。ある年、 大飢饉となり飢えで困った住民達は食べ物を分けてくれるよう、この大司教に直訴したが、大司教は承諾するふりをして住民を納屋に集め、火をつけ、納屋ごと燃やしてしまった。ところが、燃え尽きた灰の中から何千何万というネズミが現れ、危険を感じて「塔」に隠れた大司教を追いつめ、ついには食い殺してしまったという話が残っている。

ネズミの塔の名前の由来には、関税塔(マウト・トゥルム)を、ネズミ塔(マウス・トゥルム)ともじったことから、その名がついたという説もある。


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☆クリックすると拡大します!

病気や障害をもつこどもたちのために、特別に教育されたスタッフを揃え、キリンや象までいる動物園と、ジェットコースターがある遊園地を、無料で運営するだけで考えられないのに、隅々まで行き届いた人的サービスだけでなく、スタッフのユニフォームや、バッジ、さらに、記念品まで、本当に美しくきめ細やかに創られているよね。。

◎ネヴァーランドに関連した写真がいっぱい見られます(全15ページ)



ロングフェローの「クリスマスの鐘」
を基にしたクリスマス・キャロル




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by yomodalite | 2013-01-26 09:00 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(0)
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MJといえば、私は「ライオン」のことばかり気にしていたのですが、「Thriller 25 The Book」では、ウィリアム・ブレイクの “The Tyger”という詩が引用されています。

☆続きを読む!!!
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by yomodalite | 2013-01-25 08:53 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(5)
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1987年 Bad Tour 日本公演の最中に、海外のメディアに向けて書かれた言葉。

この言葉は、以前読んだときも虚偽報道へのものなのに、とても冷静で思慮深い文章だと思ったのですが、今回あらためて読んでみて、これは、マスコミに対してであっても、彼らだけに向けた文章じゃないんだなぁと思い、ますます深すぎるぅーーと思いました。


SOURCE http://michaeljacksonrememberedwithlove.com

Michael's handwritten note, published in People Magazine
12 October 1987


When Michael went on the BAD World Tour in 1987, he agreed to answer one question from PEOPLE magazine journalist Todd Gold. Todd asked Michael what misconceptions the public had of him.

1987年、マイケルがバッドツアーを行っていたとき、彼はピープル誌のジャーナリスト、トッド・ゴールドからの質問に答えることに同意し、トッドは大衆がマイケルに対してどんな誤解をしているかについて、彼に尋ねました。

Michael Jackson gave this written reply :

マイケルの返信

“Like the old Indian proverb says, Do not judge a man until you’ve walked two moons in his moccasins. Most people don’t know me, that is why they write such things in which most is not true. I cry very, very often because it hurts, and I worry about the children, all my children all over the world, I live for them. If a man could say nothing against a character but what he can prove, history could not be written. Animals strike not from malice, but because they want to live, it is the same with those who criticize, they desire our blood, not our pain. But still I must achieve. I must seek Truth in all things. I must endure for the power I was sent forth, for the world, for the children. But have mercy, for I’ve been bleeding a long time now. MJ.“

古くからあるインディアンの諺に

「その人のモカシンを履いて、ふたつの月を歩くまでは、人を判断してはならない」というものがあります。

多くの人々は僕を知りません。それで、真実からかけ離れたことを書くのです。

ぼくは、そういった記事だけでなく、子供たちのことで心を痛めよく泣きます。世界中の子供たちのために、ぼくは生きているからです。

もし、人が自分で証明できない人に対して何も言えないとしたら、歴史が書かれることはなかったでしょう。

動物は、悪意から襲うのではありません。それは生きるためです。

あらゆる批判をする人々も、彼らと同じく、生きるためでしょう。

彼らが欲しいのは、ぼくたちの血であって、痛みではない。

しかし、ぼくはまだ何も成し遂げてはいないし、あらゆることの中に真実を求めていかねばならない。

ぼくは、自分が授かった力を、世界と子供たちに使うために耐えていきます。

でも、神の慈悲が与えられんことを。

ぼくはもう長い間、血を流し続けています。

ーーーMJ



(引用終了)

two moons(*)以前これを引用したときは「月まで2往復」にしていました。このことわざは、米国で一般的によく知られているもののようなんですが、この和訳の正解はむずかしいですね。「充分すぎるほど長い間」というような意味は間違ってないと思いますが、

two moonsを「2ヶ月」というのは、なんだか短過ぎて、現代の裁判期間とあまり変わらないような気がしますし、その日にちの数え方は、欧米人が使うカレンダーのもので、インディアンのものではない。

ちなみに、MJの親友マーロン・ブランドが娘の名前にもした、Cheyenne族には「Two Moons」というインディアンがいて、映画にもなっている有名人のようです。ただ、その映画は見ていないので、なんともいえないのですが・・

two moonsは、2ヶ月ではなく、「ふたつの月」の方がいいと思うんですよね。

月に行って帰ってくることなら、米ソは一応やったことになってるし、ひとつの月になら何度も行ったことになってる。

でも、人の靴を履いて、月まで行ったからと言って、人が人を間違って判断しない。なんてことにはなりそうになくて、今、現在も人は間違ってばかりいる。

インディアンは、2ヶ月なんていう西欧の暦は使っていなかったし、彼らの世界では、月はひとつじゃない。

だから、インディアンの賢者は、

その人のモカシン(靴)を履いて、2つの月を歩いてみなくては人を判断してはいけない。と、言ったんじゃないかと。


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シャイエン族の勇士「Two Moons」にも聞いてみたいですけどね。

日本語訳に関して、その他の気になる点も遠慮なくご指摘くださいませ。


☆なんだか、素敵そうな本!
◎Walk Two Moons by Sharon Creech

☆上記の翻訳本はこちら(こちらでもふたつの月と訳されていました)
◎[Amazon]『めぐりめぐる月』シャロン・クリーチ


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[追記]下記のコメント欄の経緯により、MJが、ボズウェル著『サミュエル・ジョンソン伝』を読んでいたことが判明!

シェイクスピア研究家で、英国人なら誰でも知っていると言われるサミュエル・ジョンソンの名言の中から、moulinさんが、この記事に相応しい言葉を見つけてくれました。

God himself, sir, doesn't propose to judge man until the end of his days.
神様ですら、この世の終わりがくるまでは、人間を裁こうとはなさらないのだ


kumaさんからも「Study the great of your field and become Greater」に繋がる、こんな名言を紹介していただきました。

To love one that is great, is almost to be great one's self.
偉大なものを愛すると言うことは、自分自身も偉大なものになると言うことに近い。


MJが学んでいたものを見ていくと、いつも「素晴らしいもの」に出会えるので、本を読んだり、いろいろ調べたりすることが、だんだん苦ではなくなってくる。という経験を、私は3年ぐらいずっとしています。

原文は発見していませんが、これも、ジョンソンの名言から

彼の死を悲しんではならない。彼のようなすばらしい奴と出会えたことを喜ばなくてはならない。

☆『サミュエル・ジョンソン伝』についての参考記事



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by yomodalite | 2013-01-23 08:07 | ☆マイケルの言葉 | Trackback | Comments(13)
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マイケルの元顧問弁護士ボブ・サンガーの話には、直接、書名は出て来ないものの、
読書好きの方なら、色々と想像できる内容になっています。

何度か引用している内容ですが、こちらに記録しておくことにしました。

英文は、こちらの「Michael's Love For Reading In General」から。
和訳は、こちらの「とてもとても素晴らしいブログ」から転載しています。

Michael’s lawyer, Bob Sanger :

And the third thing was that Michael was extremely well-read.

ボブ:三つ目は、マイケルは非常に広く深く書物に触れていたということです。

I didn’t know that.

知りませんでした

No. Few people did. In trial – and I knew Michael, but I got to know him a lot better at the trial. The judge was doing jury selection, and it was time for break. Judge Melville said, ‘Ladies and gentlemen, I want you to know that jury service is very, very important.’ He’s trying to convince people not to have stupid excuses to get out of jury service. All judges do this. He says, ‘The jury system is a very time-honored system. It’s been around for 200 years. We’re going to take a break and come back in 15 minutes.

ボブ:でしょうね。知っている人はほとんどいませんでした。 私はマイケルと古くからのつきあいですが、あの裁判の時に彼のことをずっと深い意味で知ることになりました。 裁判長が陪審の選定を行っていた時のことです。

休憩時間になり、メルヴェイユ裁判長はこう言いました。「みなさん、陪審の務めは非常に重要なものであるということをご理解下さい」裁判長は、皆がばかな言い逃れをして陪審の務めを逃げたりしないように働きかけていたのです。裁判官の誰もがやることですが。彼はこう言いました。

「陪審制度は、非常に歴史のある制度です。 200年ぐらいも前から続いてきた制度なのです。それでは休憩に入りますが、15分後にはお戻りください」


We stand up and the judge leaves, and Michael turns to me and says, “Bob, the jury system is much older than 200 years, isn’t it?’ I said, ‘Well, yeah, it goes back to the Greeks.’ He says, ‘Oh yeah, Socrates had a jury trial, didn’t he?’ I said, ‘Yeah, well, you know how it turned out for him.’ Michael says, ‘Yeah, he had to drink the hemlock.’ That’s just one little tidbit. We talked about psychology, Freud and Jung, Hawthorne, sociology, black history and sociology dealing with race issues. But he was very well read in the classics of psychology and history and literature.

ボブ:みんな立ち上がり、裁判長は退廷します。
するとマイケルはこちらを向いて言ったのです

マイケル「ボブ、陪審制度は200年どころではなく古い制度だよね?」
私「ええと、そうだね、古代ギリシャ時代からある」
マイケル「そうだよね、ソクラテスも陪審裁判を受けただろう?」
私「そうだ、ほら、どういう結果になったか知っているだろう?」
マイケル「ああ、毒ニンジンの毒薬を飲まなくてはならなくなったんだったね」

これは、ほんの一例です。

マイケルと私は、心理学、フロイトやユング、 ホーソン、社会学、黒人の歴史、人種問題を扱った社会学などについて色々話し合いましたが、彼は心理学の古典的著作や歴史や文学に驚くほど精通していました。

That’s fascinating.

すごいですね


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He loved to read. He had over 10,000 books at his house. And I know that because – and I hate to keep referring to the case, because I don’t want the case – the case should not define him. But one of the things that we learned – the DA went through his entire library and found, for instance, a German art book from 1930-something. And it turned out that the guy who was the artist behind the book had been prosecuted by the Nazis. Nobody knew that, but then the cops get up there and say, ‘We found this book with pictures of nude people in it.’ But it was art, with a lot of text. It was art. And they found some other things, a briefcase that didn’t belong to him that had some Playboys in it or something. But they went through the guy’s entire house, 10,000 books. And it caused us to do the same thing, and look at it.

ボブ:マイケルは心底読書好きでした。 自宅には10,000冊以上の書籍を持っていました。どうして知っているかというと、検察側が彼の書斎を徹底調査したからです。 事件のことにばかり触れるのは嫌なのですが... というのは、彼の人生はあの事件をもって語られるべきではないからです。

ですが、検察側は例えば、1930年代のドイツの画集などを探し出しました。これはナチスに迫害されたアーティストによるアートブックでした。でもそのことは誰も知らず、警察官たちは「ヌードの絵(写真)が入った本を見つけた」と騒いだのです。、、、 検察側はマイケルの家中をしらみつぶしにあたり、そこには10,000冊の本があったのです。弁護側も必然的に同じことをし、本を一冊一冊見ていったのです。


And there were places that he liked to sit, and you could see the books with his bookmarks in it, with notes and everything in it where he liked to sit and read. And I can tell you from talking to him that he had a very – especially for someone who was self-taught, as it were, and had his own reading list – he was very well-read. And I don’t want to say that I’m well-read, but I’ve certainly read a lot, let’s put it that way, and I enjoy philosophy and history and everything myself, and it was very nice to talk to him, because he was very intellectual, and he liked to talk about those things. But he didn’t flaunt it, and it was very seldom that he would initiate the conversation like that, but if you got into a conversation like that with him, he was there.

ボブ:マイケルが腰を落ち着けて本を読むお気に入りの場所がいくつかあり、彼が栞やメモなどをはさんだ本が何冊も置いてありました。色々話して分かったことですが、彼は本当に幅広く読書していました。独学で自分で書籍を選んでいた人とすればなおさらです。私は自分が博識だなどと言うつもりはありませんが、でも実際多くの本は読んできていますし、哲学、歴史、何でも読むのが好きですが、彼との会話は非常に楽しいものでした。

彼は極めて知的でしたし、そういったことを話すのも好きだったからです。もっとも彼は博識さをひけらかすことはありませんでしたし、自分からそういった会話を持ちだすこともめったにありませんでした。ですが、一旦そういう話題が出るといくらでも面白い会話ができる人間だったのです。


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Do you remember the last time you saw him, or talked to him?

彼に最後に会ったり話したりした時のことを?

The last time I talked to him was right after the trial, and then he moved out of the country. I had not seen him personally, in person – I talked to him on the phone – since them. Of course, I talked to people around him, because we still took care of matters for him. But the best I can say, and I don’t want to oversell my significance in his world, but I want to convey this side of him that people didn’t see. I just hate – every time I hear Jay Leno or somebody take a cheap shot – and Jay Leno I think is a very funny man – but every time they take a cheap shot I think, that really isn’t fair, because that’s not who he is. And few people had an opportunity to really experience the kindness of him and his family. And few people really had the opportunity the have these intellectual discussions about great thinkers and writers. Freud and Jung – go down the street and try and find five people who can talk about Freud and Jung.

ボブ:最後に話したのは裁判が終わってすぐのことでした。 その後彼は国外に居を移したのです。直接会ったのではなくて電話で話しました。 もちろん、マイケルのスタッフとはそれ以降も話すことがありました。 あの後も法的事項を任されていたからです。 マイケルに関わる自分の役割を過大に喧伝するつもりはありませんが、 みなさんがお分かりになっていなかったマイケルのこうした側面について、私はお伝えしたいと思っています。

ジェイ・レノのお笑いはうまいと思いますが、それでも彼や他の誰かが マイケルについて卑劣な攻撃をするのを聞くと、本当にアンフェアだと感じますし、遺憾に思います。 本当のマイケルとはかけ離れているからです。

マイケルやその家族の親切を実際に経験する機会に恵まれた人は、ほとんどいませんでした。そしてマイケルと向き合って、偉大な思想家や文筆家について、 知的な会話を楽しむ機会に恵まれた人も数えるほどしかいませんでした。 ちょっと通りに出て試してみてください。フロイトやユングについて、深い会話ができる人間が5人でも見つかるかどうか。


(引用終了)



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by yomodalite | 2013-01-22 08:48 | ☆マイケルの愛読書 | Trackback | Comments(2)
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フランク・カシオ著『マイ・フレンド・マイケル』には、読書があまり好きではない人や、青少年のために、誰にでもお勧めできるような本が多く紹介されています。


Frank Cascio, “My Friend Michael”

On weekends in the city, we often went to the movies or comic book stores, but what I remember most fondly about those visits was that Michael introduced me to the joys of books. I was dyslexic, and reading had always been tough for me, but when I complained that I didn’t like to read, he said, “Well, then you will be dumb and ignorant for the rest of your life. Frank, you can do anything you want in this world, but if you don’t have knowledge, you are nothing. If I gave you a million dollars right now, would you take it? Or would you want to have the knowledge of how to make that million on your own?” I knew the correct answer to this question. “I’ll take the knowledge.” “That’s right. Because with knowledge you can make the first million into two.”

ニューヨークで週末を過ごしたときはよく、映画を観たり漫画専門書店に行ったりした。僕の胸に一番の思い出として残っているのは、マイケルに本を読む楽しさを教えてもらったことだ。僕は識字障害で、本を読むのは苦手だった。だが、マイケルに本が嫌いだというと

「だったら一生無知で馬鹿のまま過ごすことになるよ。君はその気になればどんなことだって実現できる。でも、知識を身につけなければゼロだ。今、僕が100万ドルあげると言ったら受け取るかい? それとも、100万ドル稼ぐ方法を知りたい?」

僕には答えがわかっていた「稼ぐ方法」

「そうだ。それがわかっていれば、稼いだ100万ドルを、200万ドルに増やせるからね」

原文 http://rhythmofthetide.com/


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マイケルが僕に最初に読ませたのは、『積極的考え方の力ーポジティブ思考が人生を変える』(ノーマン・V・ピール著)という本だった。その本に書いてあることのは、マイケルが話していることと重なる部分があって、僕は惹き込まれた。そして、これがきっかけで、僕は本が読めるようになり、その後はマイケルお勧めの本を読んだり、マイケルが読んでいる本を覗き込んだりするようになった。

マイケルの甥っ子たちも本好きで、マイケルは書店でみんなに「なんでも好きな本を買ってあげるよ。君たちへの投資だ」と言っていた。僕たちは本を大量に買い込んではトランプタワーに戻り、本を広げて寝そべった。ペンとノートも用意していた。僕たちはこれを「トレーニング」と呼んだ。お互いに「トレーニングの時間だ」と声をかけて、思い思いの場所で何時間も読書にふけるのだ。

マイケルは本を愛する方法も教えてくれた。新しい本を買ったら、四隅にキスをすることを教えてもらい、それが習慣になった。面白い本を読み終えたとき、マイケルが手を叩いて笑い、本にキスしていたことは忘れられない。(P96~97)


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自分の可能性を最大限に追求する姿勢も、マイケルから教わった。同じ目線に立って、真摯に向き合ってくれるマイケルの教えを、僕は素直に受け入れた。学校では、僕は決していい生徒ではなく、ぼんやり夢想にふけることも多かった。そんな僕にマイケルは、学校以外でも学べる場所はいくらでもあると教えてくれた。世界の偉人には、エジソンやアインシュタインのように学校での成績がよくなかった人もいるんだ、何かの道を極めたければ、独学で知識を身につければいい ー マイケルは僕のすることを無条件に応援し、信じてくれた。(P49〜50)


「マインドマップを作るよ」

マイケルのそばでこども時代を送るということは、彼独特の哲学を身につけることを意味している。その日教えてくれたマインドマップとは、心をとらえた場所や人、気に入ったものや、実現したいものの写真を、ノートに切り貼りしていく、というものだ。用意するのは、写真がいっぱい載った雑誌、新品のノートに、糊とハサミ。道具を買い揃えると、僕たちは大型の豪華ツアーバスに乗り込んだ。

◎参考記事:すごい!マインドマップを集めてみた[NAVER まとめ]


マイケルは成功哲学を説いたお気に入りの本を、すでに何冊も僕に与えてくれていた。

『地上最強の商人』(オグ・マンディーノ著)『眠りながら成功する』(ジョセフ・マーフィー著)『理想の自分になれる法』(シャクティ・ガワイン著)といった類いの本を、本当にたくさんもらった。(P107〜108)


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マイケルが宿泊するビヴァリーヒルズ・ホテルのバンガローに2週間滞在していたときのこと。マイケルがよく瞑想しているのを知っていたので、僕もやってみたいと言うと、すぐに賛成してくれた。「君も絶対やるべきだよ。雑念を払って、考えを巡らせたり自分の好きなことを思い描いたりするんだ。瞑想は種を植えるにに似てる。心に種を植えれば、それが現実になるんだよ」

ホテルでは、マイケルのお抱え運転手のゲーリーが瞑想の指南役になってくれた(中略)ろうそくが立てられ、床にハンカチが敷かれた部屋で、言われるままに目を閉じ、深呼吸した。

スコットランドを走るバスの中で、マイケルと僕は一緒に瞑想を始めた。マイケルが時間を計って、ふたりで25分瞑想し、5分休んで締めくくった。それからというもの、1日1回は瞑想するのが僕たちの儀式になった。(P109〜110)



僕とマイケルはマインドマップを作り、瞑想して、心の働きや、自分たちが宇宙においてどのような存在なのかといったことを語り合った。あのとき作ったマインドマップを、僕は今でも持っている。僕はマイケルから教わった。志と自覚を持ち、自分を高めて行く人には、大きなチャンスが巡ってくるということを。

マイケルは目に見えるものひとつひとつが、どんなにかけがえのないものかを話してくれた。バスを停めて、日が沈むのを眺めたこともある。青々とした草がどこまでも広がり、美しい高木が視界を縁取っていた。

「ほら、あれを見て。ああいう景色を見れば、神様がいることが実感できるよ。こんな旅ができて、僕たちは幸せだ。みんなが毎日こういう眺めを目にしていれば、地球をもっと大切にするようになるんじゃないかな」マイケルは地球を心から愛していて、そのことを隠そうとはしなかった。

この旅の最中にマイケルの勧めで読んだ本の1冊に『かもめのジョナサン』がある。

ジョナサンは自分にただのカモメとして生きる以上の人生があることに気づいた。いま目の前にあるものがすべてではないと知ったのだ。マイケルは、このジョナサンのように生きたがっていた。みんなが無理だと思うところまで飛んで、誰も経験したことのない人生を歩む。

「君はジョナサンになりたい? それともふつうの鳥になりたいかい?」よくこう尋ねられたものだ。

マイケルはこんなことも言った。「集めた写真や言葉について、しっかり学ぶこと。鏡を見て、どんなことを実現したいか自分に言い聞かせるんだ。毎日やれば、現実になる」

「それだけでいいの?たったそれだけ?」

「考えや言葉だけじゃなく、全身にその思いがみなぎっていないとだめだよ。毎日、それを肌で感じて生活するんだ。心から信じられるようになるまでね」

「へぇ、すごい」僕は感動しまくっていた。「なるほどね。マイケルはそれを音楽でやってるんだ」

「そうだよ。まさにその通りさ。そのうち映画でも同じことをやりたいと思ってる」(P111〜112)


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こどもが体験するあらゆることに気を配ろうとするマイケルの姿勢は、デビーが妊娠したときから現れていた。名前も、生まれる前からプリンスにすると決めていた。ジャクソン家に伝わる名前だそうだ。マイケルはテープに「プリンス、お父さんだよ。愛してる。お父さんはプリンスが大好きだよ。ほんとうにいい子だね」と吹きこみ、

児童文学や『白鯨』『二都物語』といった名作の類いも音読して録音していた。そして夜、デビーがイヤホンをお腹に当てたり、スピーカーから流したりしてそれらのテープを赤ちゃんに聞かせ、マイケルの声に慣れさせていた。(P123〜124)


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by yomodalite | 2013-01-21 18:00 | ☆マイケルの愛読書 | Trackback | Comments(2)
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ジャーメインの著書『You Are Not Alone』から、マイケルが読書好きになったきっかけや、彼の生き方に読書がどのように影響したかについて。


But it was when we first laid eyes on her library that Michael started to become the voracious reader that he was. Rose [Fine] handled each book like a precious artifact, and she was always on at us to read, read, read – and Michael heeded this advice.

マイケルが貪欲な読者家になり始めたのは、ぼくたちが、彼女(少年時代の家庭教師、ローズ・ファイン先生)の図書館を最初に見たときからでした。ローズ先生は貴重品に触れるかのように各々の本を取り扱い、僕たちに多くを読み、マイケルは熱心にそのアドヴァイスを受けました。彼は、ボキャブラリーも、知識も、また、様々なテーマに対して理解を深めるように、いつも熱心に読書をしていました。

Few people know that my brother was a bookish nerd, always swotting up on some random subject to better his vocabulary, knowledge, or understanding of life. “I love reading. There is a wonderful world to be discovered in books,” he said. Michael’s early reading material concerned Fred Astaire or Elvis, or child stars Shirley Temple or Sammy Davis Junior. In later years, his reading extended from Steven Spielberg to Alfred Hitchcock, President Reagan to President Roosevelt, Malcolm X to Dr Martin Luther King, and Mussolini to Hitler.

ほとんど人々は弟が学究的なオタクであったということを知りませんが、本は、素晴らしい世界を発見するためにある。「ぼくは読書が大好き」彼はそう言っていました。

マイケルの読書は、フレッド・アステアやエルヴィスに関するものや、チャイルドスターだった、シャーリー・テンプルや、サミー・ディヴィス・ジュニアの本から始まり、その後は、スティーブン・スピルバーグや、ヒッチコック、レーガンや、ルーズベルト大統領、マルコムXや、キング牧師、ムッソリーニやヒトラーまで読んでいました。

I doubt many people would have given him credit for the general knowledge he amassed. Except Rose [Fine.] She always taught us that we can learn from the best by following history’s lessons; that it has left the footprints for us to follow. That is why Michael’s autobiography, Moonwalk, starts with a quote from Thomas Edison:

私は人々がマイケルに対して信じていることを疑います。ローズ先生は、歴史は、後に続くもののために遺されたもので、何を学ぶ上でもそれは重要だと教えてくれました。それで、マイケルの自伝「ムーンウォーク」も、トーマス・エディソンからの引用で始まっているのです。

“When I want to discover something, I begin by reading up everything that has been done along that line in the past – that’s what all these books in the library are for. I see what has been accomplished at great labor and expense in the past. I gather data of many thousands of experiments as a starting point, and then I make thousands more. “The three great essentials to achieve anything worth while are, first, hard work; second, stick-to-itiveness; third, common sense.”

何かを発見しようと思ったとき、
私は過去に為されてきたことを全部読み返すことから始める。
そのためにこそ、図書館に本はある。

私は過去に膨大なる労働量と出費によって成し遂げられた事柄を理解する。
出版点として何千ものデータを作っていく。
いずれにせよ、価値のあることをしようと思ったら、大切なことが3つある。


1、一生懸命やること
2、のめり込むこと

3、常識である

ー トーマス・エディソン

That quote still stands as the truest reflection of Michael’s approach to his own mastery, and they were the words he actually posted in gold letters to the cloth, coffee brown walls of his sound studio at Hayvenhurst.

この引用は、彼自身を反映し、マイケル自身の謎に近づくうえで信頼すべきものです。これらの言葉は、彼が実際に使用したヘイブンハーストのスタジオの茶色くなった壁に、布に金文字で掲示されていました。

SOURCE: Michael Jackson’s Library: Favorite Books
(Michael's Love For Reading In General)


☆和訳は、自伝の引用個所を除き、わたしのテキトー訳なので気になる点は遠慮なくご指摘くださいませ。


『You Are Not Alone』の和訳をされている「とてもとても素敵なブログ」に、
1990年、マイケルが胸痛で病院に運ばれたときの「読書エピソード」が語られています。

突然、病院に運ばれたときに枕元にあった本とは… 
そして、イスラム教についても。。本当にスゴい読書欲。。


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by yomodalite | 2013-01-21 17:04 | ☆マイケルの愛読書 | Trackback | Comments(0)

サンカーラ―この世の断片をたぐり寄せて

田口 ランディ/新潮社



久しぶりに小説を読もうという気分で手に取ったのですが、これは小説ではありませんでした。

著者の永年にわたる原発との関わりから著された『ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ : 原子力を受け入れた日本』では、原発について知りたいと思う、多くの一般の人々に、バランスのとれた知識と情報を。という主旨で書かれたものでしたが、

本書は、その内側というか、そこで書かれた著者の経験を、一冊の本としてまとめるための苦心、「反原発」の人々からの批判や、著者自身の原発に対しての揺れ動く気持ち、作家として、一個人として、それらすべてにバランスを保ってきた田口氏の深い苦悩が凝縮された本になっています。

また、描かれているのは震災に限らず、同居していた、夫の両親の介護や、彼らへの看取りのことから始まり、被災者だけでなく、他者への関わりについての悩み、そして、著者のデヴュー作『コンセント』から綴られている、兄の自死への思いなど、心にこびりついて、癒えることが想像できないような苦しみについても、繰り返し描かれていて、

著者がたぐり寄せた「この世の断片」は、非常に多彩で、感情を揺さぶられる断片が、次々に語られていく。

反原発の人の多くが「無知ゆえに」と無条件に信じていた、被災地に残る人々の様々な姿や、日本に長く暮らす、イタリア人ジャーナリストと同行して行ったイタリアでの体験、また、田口氏は、オウム真理教信者で、地下鉄サリン事件の実行犯でもある林泰男とも文通していて、この10年間で旅をしてきたのは、カンボジアの地雷原、アウシュビッツ、グラウンド・ゼロ、ベラルーシ、チェルノブイリ、キリング・フィールドなど暴力と関係のある場所。。

私は、昔観て、当時とても好きだった『ベルリン・天使の詩』を、もう一度観たくなり、ヴェンダース監督の新作『Pina / ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』を、本書で知り、その映画も、ピナ・バウシュのパフォーマンスのことも久しぶりに思い出して、やっぱり、とても観たくなった。(本書で、ピナの「あの振付け」という独特の振付けのことが思い浮かばなくて、自己嫌悪を感じるぐらい悔しかった)


☆3D映画だったなんて。。絶対映画館で観ておくべきだった。。本当に残念。
◎[公式サイト]『Pina / ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』


下記は、終章「サンカーラ」から、省略して引用。

震災後「ブッダについて書いてみたい」と思い立った。
もともと仏教には興味があった。自身、津波、そして原発事故。あまりに大きな災害が続き、新聞、テレビ、ネットで心の救済が叫ばれる。でも、私には災害でこころに傷を負った人たちに向けて差し出す言葉が立ち上がって来ない。なにを語ってよいのかすらわからなかったのだ。

心を救うというのはどういうことだろう。

考えるよりどころとなったのが、ブッダの教えであった。ところが、実際に災害に起こってみるとブッダの教えを救済として語る人はほとんどいない。その理由もわかる。いままさに家族を、家を、土地を失い、悲しみと絶望のなかで呆然としている人たちに対して、ブッダの教えはあまりに冷酷に思えるからだ。(中略)

サンカーラとは、この世の諸行を意味する。
私という意識の経験の蓄積、様々な印象を寄せ集めたモザイク…

(引用終了)


田口氏が冷酷だと思い、ジョン・レノンも厳しすぎると感じたブッダに関して、最近、私の中では、かなり独自なイメージが拡がってきていて、自分でも困惑していて、、著者が読んだと書いてある本も全部読んだわけではありませんが、ブッダ自身の言葉に一番近いと思われるものであっても、本人が書いたものではないし、、、もしかしたら、私たちは「悟り」という言葉に幻惑されてきたんじゃないか。と、最近よく思っていました。

ブッダは、弟子たちと違って、寺院の中で本を読んでいたのではなく、王子の世界から、奴隷状態に苦しむ人々の中に入っていき、それは「出家」という名の「駆け込み寺」とは違って、より現実を生きていくことで、苦行とは、特別な修行ではなく、生きていくことそのもので、

彼は、人々に厳しいことを言ったのではなく、たとえ飢え死にしそうでも、あきらめないで前に進めと自分に向けて言っていて、苦しい生活を送る人々に今の苦しみはいつかは終わり、輪廻によって永遠に苦しむことなどないと説き、彼らを「同志」として勇気づけ、

それまでの「ヴェーダ」の教えとは異なる、ブッダの考え方を知った人々が、それを見て「悟り」を感じたんじゃないかと。。

そんな風に勝手に思うようになっていました。

著者が問い、苦しんだ日々を経て、たどり着いた地点は、そんな私の勝手な解釈から遠いものではなく、今、特に苦しみを感じていない私には得るものがありましたが、

田口氏が深く悩まれたように、今、傷を負ったような人々に対して
有効な「答え」は、、ない。のかもしれません。

急いで「答え」を出すことを良しとし、簡単に「答え」が検索できるように思える世の中では、誰かが、答えを知っていると思いがちで、

でも、苦しみが「財産」に、苦しんだことが「人生への満足」に変わることが、ある。ということを、ほんの少しだけでも感じてくれれば…  自らの体験を通して表現された田口氏の試みは、

仏教を学んだ多くの人々よりも、
仏教書を読んで学んだわけではない、ブッダに近いかもしれない。と、私は感じました。

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by yomodalite | 2013-01-19 08:52 | 311関連 | Trackback | Comments(6)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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