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援助貴族は貧困に巣喰う/グレアム・ハンコック

援助貴族は貧困に巣喰う

グレアム ハンコック/朝日新聞



こちらのサイトで紹介されていた箴言

「大いなる悪をなす者はまず、自分が大いなる善をしていると、自分自身を納得させる必要がある」

インドのガンジーの言葉だそうです。で、この箴言にぴったりの著作が本書。ズバリ内容がわかるタイトル。著者が1995年出版の『神々の指紋』で、世界的なベストセラー作家になる前の1989年に出版されています。『神々の指紋』は未読なので、トンデモ本なのかどうかは判断できませんが、こちらは間違いなく真っ当な本です。なんせ朝日新聞社刊ですから(笑)

著者は「タイムズ」「サンデー・タイムズ」「インデペンデント」「ガーディアン」などイギリスを代表する高級紙でジャーナリストとしてのキャリアを積み、1970年代にNGOの援助スタッフとして現場経験もあり、1984〜85年のエチオピア飢饉のときには現場で緊急援助活動にたずさわり人道的活動で表彰もされている。

翻訳者の武藤一羊はアジア太平洋資料センター代表。巻末の『「援助の思想」をどう超えるか』には、神田浩史(ODA調査研究会)、松井やより(朝日新聞社編集委員)村井吉敬(ODA調査研究会コーディネーター)(※( )内はすべて刊行当時)による、本著ではあまり取り上げられていない日本のODAの実体に関しての座談会も収録。

ここに書かれてある援助の実態は、現在でもまったく変わっていないと思う。(酷くなっているかも)なんせ、一応ソマリアとか、エチオピアという国への援助だったのが、今や全部まとめて「アフリカ支援」。たしかに、ブッシュが、アフリカを国名と思っても仕方のない報道ばかりですし、

それでもアフリカだけでは足らないらしく、地球を救おう(巣喰おう)なんて、援助貴族はますます拡大する一方ですけど、飢餓難民は一向に減らない。

絶版本ですけど、お子さまにボランティアになりたい。国連で働きたいなどと言われたら古本屋か図書館で本著を探して一読をお薦めされてはいかがでしょう。

援助された国がいかにボロボロになっていったかが、少し解ります。

◎「関心空間」ー 第三世界の鉄則として、「プロジェクトが外国の資金でまかなわれていれば、そのプロジェクトは、外国人が設計し、外国市場で購買された外国の設備を使って、外国人によって実施されている、という法則」があると述べる。そして、援助の受益者は誰か?と問いかけるのだ....

◎「コラム国連」ー 国連への批判と結論の錯綜は日本に限ったものではありません。例えば、グレアム・ハンコック氏は「援助貴族は貧困に巣食う」(朝日新聞社)で先進国の援助政策を批判しますが、その国連批判ではヘリテージ財団の資料を多く引用しています。これは米国の右派のシンクタンクで、レーガン政権の国連敵視姿勢に大きな影響を与えました....

________________

【BOOKデータベース】北の国民がつぎ込む膨大な税金と善意の寄付が、援助ビジネスのエリートたちの手で南の人々をますます貧困に陥れる、恐るべきメカニズム。朝日新聞 (1992/03)



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by yomodalite | 2009-01-30 12:06 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

Dの複合(新潮文庫)/松本清張

Dの複合 (新潮文庫)

松本 清張/新潮社



『黒い画集』のあとに何を読もうか迷いましたが、夥しい量のTVドラマなどで、なるべくネタに見覚えがなさそうな作品ということで本著を選びました。タイトルの意味はちょうど半分ほど読み進むと登場します。北緯35度、東経135度の英訳 North Latitude 35 degrees East Longitude135 degrees 4つの「d」が重なり合っているから「Dの複合」(中略)それに緯度・経度は地球をたてとよこにそれぞれ2つに割っているから、そのかたちからしてもD形の組み合わせになっている

と、作中の作家によって説明されるのですが、北緯35度、東経135度でなくても「D」は4つ。重なり合っているというのも(?)なんですが、ストーリーには様々な「複合」があり清張作品の中では特に謎解きの面白さが味わえる作品ではないでしょうか。

島田荘司のデビューが、松本清張の流行により衰退していた「本格ミステリ」の復興の先駆けになったという知識などから(私はお二人ともリアルタイムに読んでいませんが)清張には「ミステリ」の印象があまりなく両者は対極の存在と思っていたのですけど、「Dの複合」には、島田作品の手触りとかなり近い感触があって、宮部みゆきだけでなく、松本清張の影響の大きさというか巨人ぶりをあらためて実感。

本著の検索をしていて不思議だったのですけど、清張ファンの人はネタばれに関して気にしない方が多いようなので、未読の方はお気をつけくださいませ。

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【BOOKデータベース】作家の伊瀬忠隆は雑誌の依頼を受けて「僻地に伝説をさぐる旅」の連載を始めた。第一回浦島伝説の取材地丹後半島いらい、彼の赴くところ常に不可解な謎や奇怪な事件が絶えない。そして突然の連載打切り。この企画の背後に潜む隠された意図の存在に気づいたとき、伊瀬は既に事件の渦中に巻き込まれていた。古代史、民俗説話と現代の事件を結ぶ雄大な構想から生れた本格的長編推理小説。新潮社:改版版 (1973年、光文社1968/12初版)



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by yomodalite | 2009-01-29 12:34 | 文学 | Trackback | Comments(0)

ぐっとくる題名(中公新書ラクレ)/ブルボン小林

増補版 - ぐっとくる題名 (中公文庫)

ブルボン小林/中央公論新社




本名の長嶋有名義による「猛スピードで母は」で126回芥川賞も受賞されているコラムニストの本。

『ゲゲゲの鬼太郎』など誰もが知っている有名なタイトルばかりでなく、ロジック、マインド、現場編にそれぞれタイトルの付け方により22種類に分けられた愛すべきタイトル達の中には、初めて聞くものも多く読書欲が刺激された。パフィーの「これが私の生きる道」がまさかそんな理由だったとは。。。とか(笑)なかなか読ませるコラムです。

それと読了後、穂村弘氏と枡野浩一氏の本がすごく読みたくなりました。

【目次】

第1章 ロジック篇
・助詞の使い方—「ゲゲゲの鬼太郎」「無能の人」「僕が泣く」
・韻とリズム—「ヤング島耕作」「勝訴ストリップ」「噂の刑事トミーとマツ」
・ 言葉と言葉の距離(二物衝撃)—「天才えりちゃん金魚を食べた」「部屋とYシャツと私」他

第2章 マインド篇
・先入観から逸脱する—「淋しいのはお前だけじゃな」「サーキットの娘」
・日本語+カタカナの題名—「少年ケニヤ」「三人ガリデブ」
・いいかけでやめてみる—「光ってみえるもの、あれは」「飼い犬が手を噛むので」他

第3章 現場篇
・実用書の題名が決まるまで
・小説・コラムの題名が決まるまで)
__________________________

【出版社/著者からの内容紹介】『ゲゲゲの鬼太郎』が、文法的に正しい『ゲゲゲな鬼太郎』だったら、ここまで印象に残ったか?(助詞の使い方)『課長島耕作』の安定に比べ『取締役島耕作』の落着かなさは、「音」に理由がある!(韻とリズム)ツァラトストラが「こう言った」ではなく、「かく語りき」だったからこその豊かさとは?(古めかしい言い方で)『部屋とYシャツと私』で意図的に隠されている事柄とは?(言葉と言葉の距離)等々、著者が「ぐっときた」55の名タイトルを例に、心に残る理由を考察する。第3章には、本名の長嶋有名義の作品のタイトル付けに関する裏話も収録。中央公論新社 (2006/09)



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by yomodalite | 2009-01-27 19:42 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

20世紀破天荒セレブ—ありえないほど楽しい女の人生カタログ/平山亜佐子

20世紀破天荒セレブ―ありえないほど楽しい女の人生カタログ

平山 亜佐子/国書刊行会




マスコミの異常さについてはもう指摘し始めるとキリがないのだけど、どうしてこんなにも毎日石川遼の顔を観なくてはいけないのでしょう。

金髪にアロハだったマンガ家の考える「品位」とは何なのか。

婦女子が横綱にダメ出しするのは「伝統」なのか。。。

まあそれはおいといて、\(・・\)(/・・)/

こんな時代には、とんでもなく元気な女子に「勇気」をもらいたいですよね?
。。。/(-_-)ヽ

著者はエディトリアル・デザイナーで、ジャケット・本文ともに自装。流石女性ファッション雑誌の編集デザイン経験があるだけに、文章だけでなくまとめかたが上手いです。最初に「チャートでわかるあなたのセレブタイプ」とか、他の国書刊行会の著書とは一味も二味も違うデザイン計画は著者自装以外では不可能だったでしょう。

ニンフ、ミューズ、カリスマと3種類に分けられた破天荒な女たちのカタログには、パメラ・デ・パレス、原阿佐緒、田村俊子、ディアーヌ・ドゥリアーズ、佐々木カ子ヨなど、今まで存在すら知らなかった女子が多数。女性ファッション雑誌風でありながら、それらの「セレブ」感とは、これまた一味も二味も違う著者の企みも素敵すぎます!!!

◎「Journal」(著者のブログ)

【目 次】
恋が生きがいの女たちーニンフ編
・ベル・エポックに君臨した真珠—リアーヌ・ド・プージィ
・同性を惑わすあくなき誘惑者—ナタリー・クリフォード・バーネイ
・ハリウッドの蠱惑的な傍観者—ルイズ・ブルックス
・自らグループになったグルーピーーパメラ・デ・パレス
・浮世に漂う「童女」の歌人ー原阿佐緒
・放埒な人生を謳歌する「女作者」ー田村俊子
・ひらめきだけで生きる妖婦ー宮田文子
・「死なない気がする」自由な鵜ー宇野千代
★ニンフを知るための読書案内

霊感を与える女たちーミューズ編
・束縛を嫌う行動派ミューズ—ナンシー・キュナード
・タブーをあざ笑うフラッパー—ゼルダ・フィッツジェラルド
・モンパルナスに咲いた可憐な花—キキ
・無邪気なユースクエイカーーイーディ
・七変化する空飛ぶボヘミアンーディアーヌ・ドゥリアーズ
・変貌自在の天性のモデルー佐々木カ子ヨ(カネヨ)
★ミューズを知るための読書案内

伝説をつくった女たちーカリスマ編
・仕事が生きがいのマドモワゼル—ココ・シャネル
・限界を信じない舞踊革命家—イサドラ・ダンカン
・写真に愛された情熱の美神—リー・ミラー
・動乱の世に踊る悲運の王女ー川島芳子
・命がけで突っ走る可愛い「悪魔」ー岡田嘉子
・わが道をすすむダンプ型トップレディーー大屋政子
★カリスマを知るための読書案内

「セレブ覆面座談会」
「20世紀破天荒年表」
あとがきにかえて
__________

【本の紹介】美貌、財力、才能、度胸、女力で怒涛の20世紀を生き抜いた「規格外」の女たちの破天荒人生カタログ。国書刊行会(2008/05/20)



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by yomodalite | 2009-01-26 13:27 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

なぜ安アパートに住んでポルシェに乗るのか (ペーパーバックス)/辰巳 渚

なぜ安アパートに住んでポルシェに乗るのか (ペーパーバックス)

辰巳 渚/光文社




前日の日記で、めずらしく有意義なネタ出しした我が家のダーリンなんですが、昨晩どうしようもない「負け組」だということがハッキリしてしまいました。

どうも図書館に行くと返却直後の本のコーナーから、中身も見ずにテキトーに本を選んで来る癖があるんですね(家ではこれを“ハイエナ”と言っています)。

バイキングでもどうしても“カレー”を避けることができないタイプで、取捨選択においては、もはや「弱者」としか言いようがないのですけど、そんな彼が選んできた本の中でも、これはないだろうと小1時間は問いつめたくなったのが本著。

著者はマーケッター。

職場でマーケッターというような人を見ていて、彼らに一般消費者の動向を探ったり、行動を先導していけるような感性がないことは良く知っているので、まず、私はこの手の本には興味ないんですが(言い訳長っ)、とりあえず、ペラペラとページをめくってしまったわけですよ(泣)

目次には、「どうせがっかりすると思いながらも「続編」を観てしまいますか」、「通販番組や通販カタログを見てついほしくなって、買ってから後悔することがありますか」など、多くの人が「あるある」と言いたくなるような質問形式の見出しが並んでいるのですが、

中身を読むと「それで?」と言いたくなるような内容ばかり。もちろん、こういった手法は虚業家にはよくあることで(というかそれのみ)、“続編を観ること”よりも想像どおりで、むしろ安心するぐらいなんですが、想像を絶していたのはその文体!

マーケットとかプランナーと言えば、目新しい横文字を輸入して使用することが仕事の大半を占める職業ですしw、本著は横書きペーパーバック。横文字満載であたりまえなんですけど、どうもマーケット用語らしい使い方になっていないというか、

例えば、

私自身について言えば、椅子chair が悩みです。

・・・数年前ならためらいなく買った get it without hesitation くらい「好き」な椅子でも、今は買いません。

・・・今月は出費 expence が多くて赤字 deficit だからもう使えない、とか、「お金がない」money runs low という理由で買わない、ということはよくあることです(中略)

買うのをためらわせている「なにか」something with hesitation とは、なんなのでしょうか。


こんな文章が延々続きます!(驚)

で、こんなあからさまなページ稼ぎと、アメリカ帰りのイヤミのような著者はどんな奴なのか、と検索しましたところ、著者は女性で、しかも『「捨てる!」技術』など、家事関係でヒットを飛ばした人ではないですか!

捨てる!本を書きまくった彼女の現在のブログは「こんなものを買っちゃった日記」。。

「気をつけなはれや!」

それにしてもダーリン、5年も前のマーケット本を借りるとは・・(トホホ)
___________

【BOOKデータベース】 もやもやとして形をなそうとしない今どきの「買い物」「お金」の本質を知るには、日常、普通に買い物をしている人たちの声を具体的に聞いて、それらに答えを出していくのが一番の近道です。この本を読むことで、買い物の楽しさ、お金を使う喜びを再発見してください。ここで取りあげた事象は、マーケッターにとっても見逃せない消費の状況であるはずです。 光文社 (2004/3/24)



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by yomodalite | 2009-01-22 15:53 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

黒い画集 (新潮文庫)/松本清張

黒い画集 (新潮文庫)

松本 清張/新潮社



大みそかに、久しぶりに「紅白」を観ました。下品な番組という感想はもう何年も変わらないのだけど、『天城越え』の石川さゆりが素晴らしくて、これはやはり「紅白」という「舞台」がもつ格が相応しいとも思えるのだけど、番組全体としては、なるべく下品に演出するようにと、NHKは毎年「闇の勢力」から、脅されているんでしょうかww

『天城越え』はもう十年以上前から名曲だったはずだけど、年末に観たそれは、名曲として以上に「古典」として完成されていてさらに大輪の華を咲かせたようだった。イチローが、現在これを使用したのも、この完璧さが気に入ったのだろうと思う。

そんなことを思いつつ、私が録画した『天城越え』を何度も観ていたら、ダーリンから「清張に『天城越え』という作品があるんだよね」と、めずらしく(!)有意義な一言。

久しぶりに松本清張の作品を読んでみました。

本著は『天城越え』を含む7編による短編集。「天城越え」はその中では短い方なのだけど、どの作品も、描写がすばらしく、著者も書込むことにより筆が乗って来るという感じで惹き込まれるだけに、長い作品ほど満足度が高くなるので、読了後もっと続きが読みたいと思ってしまう。また、あらためて驚いたのは、全作品が自分が生まれる前に書かれたものだったこと。昭和33〜34年に書かれたものなのに、この現代性は驚嘆するしかありません。まだ東京オリンピックも始まっておらず、新幹線ひかりも走っていないなんて。

また近日中に、清張作品を読まずにはいられないと思う。


【目 次】
「遭難」
同じ会社の3人が鹿島槍の登山をするが、遭難して一人が死んでしまう。。。
「証言」
エリート銀行員は保身の為、殺人事件の偽証をする。。。
「天城越え」
少年は家出の途中、色っぽい女に出会い。。。
「寒流」
銀行支店長が上司である常務に愛人を奪われてしまう。。。
「凶器」
容疑者の家から凶器は発見できなかった。刑事は後日、凶器が何であったか気づいた。。
「紐」
島の神主が川べりで死体で発見された。被害者はある事業計画のため多額の借金を抱えていたが。。。
「坂道の家」
雑貨屋の店主が若いキャバレーの女性に手玉に取られてゆく。。。

【本の内容】
身の安全と出世を願う男の生活にさす暗い影。絶対に知られてはならない女関係。平凡な日常生活にひそむ深淵の恐ろしさを描く7編。新潮社: 改版版 (1971/10)



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by yomodalite | 2009-01-21 13:53 | 文学 | Trackback | Comments(0)

狂気の偽装/岩波 明

f0134963_10511838.jpg岩波明氏の著書は、『狂気という隣人』に続いて2冊目。

岩波氏は、センセーショナルな内容と、患者より分析したくなるユニークな個性、新たな病気を「発見」することが最重要で、およそ治療行為者と思えない多くの著名精神科医とは異なり、

手堅い治療者としてのパーソナリティーと、学者としての知性のバランスが程よい著名精神科医としては稀少な存在。本著は「心の病」の内側にいる人向けではなく、現代社会の問題を扱っている。
__________________________

【BOOKデータベース】現代に増殖を続ける自称「心の病」の患者たち。「うつ病」「アダルトチルドレン」「PTSD」「トラウマ」「摂食障害」…。果たしてそれは本当の病なのか?世に騙られる精神病の、偽りの仮面を剥ぐ。その真の姿を赤裸に描いた、精神医療最前線。新潮社 (2006/4/20)
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by yomodalite | 2009-01-21 10:52 | 精神・教育・自己啓発 | Trackback | Comments(0)

芸者と遊び—日本的サロン文化の盛衰 (学研新書)/田中優子

芸者と遊び―日本的サロン文化の盛衰 (学研新書)

田中 優子/学習研究社




辰巳芸者の粋とは? 

という謎から芸者関連の本の決定打を求めて、田中優子氏に辿り着きました。

そろそろ真打ちに登場してもらって、芸者の件にケリをつけたい(笑)と思ったのですけど、本著は第一部が「江戸の芸者とその歴史」、第二部の「明治の芸者 その栄華と終焉」という二部構成、分量的にも第一部の「江戸の芸者」はページ数半分弱なんですね

そんなわけで「辰巳芸者の謎」に関しては、また別に...

本著のはしがきは、次の文章ではじまります。

芸者についての本は、いまでも芸者自身の回想録を含めて種々出されている。しかし、芸者およびその住む世界、つまり花柳界の歴史については、必ずしもわかっているとは言えない。それも無理からぬ事情がある。というのも、芸者の生まれたのは江戸時代のことであるし、そうして生まれた江戸芸者の伝統は、その最も華やかな明治時代を経て、大正の初期に亡びてしまったのだ。その持つ意味はその頃を境に、大きく変化したものと思われる。

ここで、述べようとする「芸者の時代」とは、その亡びてしまった芸者についてである。


ふんふんナルホドと思った、そこの和風男! 和の嗜みに通じ「粋」をモットーとしているつもりの貴男はたぶんグローバリストか、着物をすっかりダメにした呉服業界の人で、いずれにしても江戸の粋とは真逆の人ではないでしょうか。本当に「江戸」が遠い遠い遥か彼方に行ってしまっていることを、よく解っていない粋人男の多いこと。。。。

江戸学の泰斗、田中優子氏にして「わからない」という江戸の芸者に、努々勝手な妄想を抱かず、日本的サロン文化がなぜ盛衰したかを考えつつ、熟読しましょう。

「踊り子」の女の歴史は、今日に至るまで、細々であっても途切れることなく続いていると思いますが、「粋な男」の歴史はいつ途絶えてしまったのか。新たに始まる気配も感じられないのは寂しい限り。

粋は意気で、それこそが「男気」なのに。。。

☆参考サイト → 遊女asome

【目次】
第1部 江戸の芸者とその歴史
・踊子から芸者へ
・深川芸者の発生と実像
・色を売ること売らないこと
・幕末の芸者たち

第2部 明治の芸者その栄華と終焉
・祗園と柳橋;雑魚寝のこと
・名妓たち
・水揚げのこと
・芸者遊びとは何か
・日本的サロン文化

【MARCデータベース】「芸者は伝統芸能だけを継承してきたのではない」 町のファッションリーダーであり、維新の志士や明治の文豪を魅了した、サロン文化の担い手、芸者の歴史を読み解く。 学研 (2007/06)



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by yomodalite | 2009-01-20 16:23 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

昭和天皇・マッカーサー会見(岩波現代文庫)/豊下楢彦

f0134963_1441371.jpg(2013.1.27追記)下記の本書の感想について振り返ってみて、自分のアホさ加減ばかりが目につくようになりました。また、コメント欄でも真摯なご意見をいただき、大変反省しております。

☆続きを読む!!!
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by yomodalite | 2009-01-20 14:05 | 天皇・皇室 | Trackback | Comments(3)

江戸の女の底力/氏家幹人

f0134963_13512869.jpg国立公文書館勤務で近世の著作多数の氏家氏の著作は今回が初めて。謎だらけの「大奥」の実態を数少ない文献から真実の一端を探った本著はドラマなどの印象とは一味異なる「大奥」の世界を垣間見せてくれる。著者の語り口も学者的なものでなく軽い話口調で読みやすい。(ただしオヤジ臭は強いかも?)
★★★☆

参考サイト→「放蕩娘の縞々ストッキング!」
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by yomodalite | 2009-01-19 13:52 | 歴史・風俗 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite