<   2008年 03月 ( 13 )   > この月の画像一覧

談志絶倒 昭和落語家伝

立川談志/大和書房




総勢26名の名落語家が数多くの写真と共に語られています。昭和落語家といっても昭和生まれは少ないようで、高座での生き生きとした表情と、日常での着物姿のかっこよさ、とにかく魅力的な日本の男の顔がたまらない。

本来二枚目である円生の高座での様々な表情と、日常での素顔の色っぽさ。粋でいなせな三木助、お洒落な文楽、そのまんま長屋の住人の翁家さん馬、知的な色気がたまらない二枚目右女助、煙草盆が絵になる正蔵(彦六)、円歌の高座での無邪気な陽気さと対照的な日常での知的な表情、

田島氏が最も惚れていた文治の写真は、高座の写真はありませんが、江戸風の長〜い顔で、志ん生の怖くない怪物顔や、小さんの清潔で変な顔も....

中でも最も印象に残ったのは、金原亭馬生。田島謹之助氏の写真の中でも数多く残っているそうで、写真家が惚れているのがよく判る出来になっています。年をとってからの印象しかありませんでしたが、若い時の姿が素晴らしくよくて、まさに「江戸前」を体現しているという感じは、本来志ん朝より才能があったのではとさえ思われた。

写真で見る落語家はそれぞれ魅力的ですが、例のごとく、談志の毒舌によって散々な評価がされている場合も多い。しかし「顔」の魅力では談志に勝っているように見えるのは、その頃の「日本」の魅力のせいかもしれません。

【目 次】
六代目三遊亭円生
三代目春風亭柳好
三代目桂三木助
八代目桂文楽
六代目春風亭柳橋
桂小文治
五代目古今亭今輔
八代目三笑亭可楽
四代目三遊亭円馬
四代目三遊亭円遊
二代目桂枝太郎
七代目春風亭小柳枝
昔々亭桃太郎
林家三平
十代目金原亭馬生
三代目柳家小せん(後の二代目古今亭甚語楼)
七代目橘家円蔵
九代目翁家さん馬
三遊亭百生
二代目桂右女助(後の六代目三升家小勝)
八代目春風亭柳枝
八代目林家正蔵(後の林家彦六)
二代目三遊亭円歌
八代目桂文治
五代目古今亭志ん生
五代目柳家小さん

◎「ブック・ジャパン」
◎「切られお富!」
____________

【本の内容】八世桂文治に惚れ、人形町の寄席から高座を狙い、あげくは自宅に押しかけ、文治の素顔を、そして文楽、志ん生、三木助、小さん、馬生…と追いかけた二千枚の貴重なフィルム。この写真集では、当時の落語界の幹部、または理事といった野暮な呼称の“真打ち”を載せ、語った。


[PR]
by yomodalite | 2008-03-29 00:25 | お笑い・落語 | Trackback | Comments(0)

クラシックでわかる世界史 時代を生きた作曲家、歴史を変えた名曲

西原 稔/アルテスパブリッシング




タイトルどおり、クラシック音楽を通して歴史を学べる良書。本文の下に註釈や図版もたっぷり、手軽なサイズにして豊富で濃い内容。ハードカバーでないのもいいですね。新しい出版社であるアルテスパブリッシングのサイトには今後も期待出来そうな出版企画が並んでいます。

ただ、著書詳細に、装幀者の名前を入れるのは非常にめずらしいことですが、冴えないデザインが多くて残念(音楽系ってホントにデザインがわからない人が多い)。今後ぜひ改善して欲しいですね。

【目 次】
第1章 宗教改革と宗教戦争の時代[1550-1650]
──バロック時代前期の音楽と社会
第2章 花開く宮廷文化と絶対王政[1650-1730]
──バロック時代後期の音楽と社会
第3章 バッハの作品に隠された世界史
第4章 揺らぐ宮廷支配[1730-1790]
──前古典派・古典派の音楽と社会
第5章 モーツァルトの作品に隠された世界史
第6章 フランス革命からヴィーン体制へ[1790-1830]
──初期ロマン派の時代の国際関係
第7章 ベートーヴェンの作品に隠された世界史
第8章 1830年七月革命と音楽
──新ロマン主義の音楽と社会
第9章 ヴィーン体制の終焉
──1848年三月革命と音楽
第10章 ユダヤ人都市ベルリン
──プロイセンの移民政策と音楽
第11章 ヨーロッパ再編の時代[1850-1890]
──帝国主義の時代の音楽
第12章 黄昏ゆくヨーロッパ[1890-1914]
第13章 第一次世界大戦と音楽[1914-1920]
──ヨーロッパ近代の終焉

(前文略)本書が対象としている時代は一五五〇年から一九二〇年までである。すなわちプロテスタント・ルター派の登場によって、ヨーロッパ大陸に宗教と国家の新しい枠組の基盤があたえられた一六世紀中頃から、第一次世界大戦終結によって、一九世紀近代が終焉をむかえた時期までということになる。一般的な音楽史書によくある中世やルネサンスから現代までの通史ではなく、あえてこの時代枠に限定したのは、ヨーロッパ近代が形成され、そしてその価値観が解体するまでのひとつの大きな流れのなかで、音楽とヨーロッパの歴史をとらえるためである。また、時代区分は音楽史のそれを土台にして、そこに世界史のできごとを重ねあわせている。(以上、本書「はじめに」より)
___________

【出版社からの内容紹介】ルターの宗教改革から第一次世界大戦終結まで。激動のヨーロッパを生き抜いた作曲家たちは
時代の真実を音楽に刻み込んでいった──

名曲が生まれるとき、歴史は動く。
ヴィヴァルディは皇帝に協奏曲と〈機密情報〉を提供した?
ベートーヴェンのパトロン遍歴と国際政治力学の関係は?
ロッシーニは独立義勇軍からケチ呼ばわりされてイタリアを捨てた?
宗教改革から第一次世界大戦まで、音楽史でいえばバロック前期から後期ロマン派までの時代の音楽を、各時代における政治力学、王侯貴族間の人間関係、国家の経済状況、革命や戦争などの大事件といった外的要因からみることによって、
現代に残された数々の名曲に秘められた真実の歴史を読み解く。
アルテスパブリッシング (2007/10/24)

[PR]
by yomodalite | 2008-03-28 22:42 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

戦争はなぜ必要か

トマス バーネット/講談社インターナショナル




「非対称戦争」という流行語を生み、911以降のペンタゴンで最も良く読まれた本らしい。原題はThe Pentagon's New Map(War and Peace in the Twenty-first Century)。

本書での「戦争」とは、限定的で普遍的な命題でのそれではなく、反グローバリズムに対する戦争は必要と言う主張のようです。学問的というより、業界人(軍隊とか軍事産業界)向けのような語り口と、しつこい繰り返し、自己中心的で尊大なリヴァイアサン思想に嫌気がさすものの、敵を知るという大いなる志をもっている方にはぜひ読んで頂きたいと思う。

参考記事「株式日記と経済展望」
___________

[出版社/著者からの内容紹介]戦争は“文明の衝突”を、むしろ回避させる!敵はイスラムではなく“断絶”——世界が二つに分断され、それが人類に不幸と危険をもたらしている今、真に戦うべき相手は“断絶”をさらに深めようとする一団だ。全米No.1ストラテジストによるこの革命的な地政戦略の書が、21世紀の戦争と平和のルールを克明に描く。

[PR]
by yomodalite | 2008-03-28 22:07 | 戦争・軍隊 | Trackback | Comments(0)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

武田 邦彦/洋泉社




出版後、様々な反論が試みられているようですが、この本のパワーを上回るような反論はあまり見られない。ただ、「変動する古紙の価格」(図表4−2 86〜88年)、「公的リサイクル後の古紙価格の下落」(図表4−3 90〜02年)、環境問題へのデータではありませんが、「各国の殺人発生率」(図表5−6 90〜97年)等の資料の古さが気になりました。

また著者の言いたいことはわかるものの、「10年前より安全な国でなくなったと答えた人の割合」(図表5−7)などは、いつの、どこの資料なのか、まったくわからないし、「高校生の倫理観」(図表5−8)は、日本青少年研究所、ポケベル等通信媒体調査(96年)とあるが、96年に中国の高校生にポケベル等の通信媒体の利用者は一般的だった?など、疑問に思う部分も多かった。

◎『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』のウソ
http://www.news.janjan.jp/culture/0707/0707018158/1.php

【目 次】
第1章/資源7倍、ごみ7倍になるリサイクル
ペットボトルのリサイクルで環境を汚している、
分別回収した方がごみが増える?
我々はリサイクルのためにどのくらいのお金を取られているのか
本当はゴミを分けても資源にならない
ゴミ袋を特定する必要はまったくない …
第2章/ダイオキシンはいかにして猛毒に仕立て上げられたか
ダイオキシンは本当に猛毒なのか?
つくられたダイオキシン騒動
焼き鳥屋のオヤジさんはダイオキシンを浴び続けているはずなのに健康である…
第3章/地球温暖化で頻発する故意の誤報
地球温暖化騒ぎの元になったそもそもの仮想記事とは
南極大陸の気温はむしろ低下していた
日本はロシアから二酸化炭素の排出権を2兆円で買うのか…
第4章/チリ紙交換屋は街からなぜいなくなったのか
紙のリサイクルに対する先入観と誤解
森林資源破壊の元凶にされてしまった紙
環境運動が日本の火災を増加させた?…
第5章/環境問題を弄ぶ人たち
「環境トラウマ」に陥った日本人
本当の環境問題の一つは石油の枯渇
石油が枯渇すれば地球温暖化は自動的に解消する…

_____________

【内容「MARC」データベースより】資源7倍、ごみ7倍になるリサイクル、猛毒に仕立て上げられたダイオキシン、地球温暖化を防げない京都議定書。環境問題は人をだましやすい! 「故意の誤報」を明らかにする、安易なリサイクル推進運動に警鐘を鳴らす書。 洋泉社 (2007/02)

[PR]
by yomodalite | 2008-03-26 22:15 | 科学・環境問題 | Trackback | Comments(1)

大江戸歌舞伎はこんなもの (ちくま文庫)

橋本 治/筑摩書房




現在の歌舞伎の解説書ではなく、歌舞伎を通して、江戸の世界観の解説を試みた本。江戸に興味がある人には大変価値のある内容。

【目 次】
歌舞伎の定式
江戸歌舞伎の専門用語
江戸歌舞伎と曽我兄弟
東と西と
江戸の時制―時代世話
歌舞伎の時代錯誤と時代世話
顔見世狂言とは何か
顔見世狂言の定式
江戸歌舞伎と“世界”
江戸歌舞伎の反逆者達
江戸のウーマンリブ
江戸の予定調和
______________

[BOOKデータベース]著者が30年間惚れ続けている大江戸歌舞伎。誰も見たことのない100年以上前の歌舞伎とはどんなものだったのか?歌舞伎の定式、専門用語とは?“時代”と“世話”とは?顔見世狂言とは?などなど、江戸の歌舞伎の構造を徹底解説。人気狂言『兵根元曽我』はなぜ何ヶ月も何ヶ月もロングランしたのか??粋でイナセでスタイリッシュな江戸歌舞伎の世界へようこそ。 筑摩書房 (2001/10 文庫2006/01)

[PR]
by yomodalite | 2008-03-24 13:22 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)
序盤はいつもの調子というか、些か退屈に読み進んだが“「広がること」を考える”の章あたりから俄然面白くなった。特に“この「自分の生まれた国」の文化”の章での「日本」解説は出色!

以下省略して抜粋

「批評軸のねじれ」
いるものと、いらないもの、完成度は高いがいらないもの、完成度の高さを発見するのはそれが必要だから。批評の基軸に従って成り立つようなものが、社会の構成要素として必要だからである。

「行き詰まりの研究」
教養体系は新しい知性を生まなくてはならない。そして自身の生み出した新しい知性が真実「新しい知性」であるかどうかを検証する能力を持たなくてはならない。

「批評軸の乱立」
論理は人を従わせるものではなく、「人を納得させるもの」である。論理は「従わせる」をもっぱらにするような「枠組」ではないが、人はいつしか「枠組」こそ論理だと思うようになる。なぜかというと人は「ある枠組の中だけで成り立つ整合性」によって生活を成り立たせているからである。

「批評とマーケティング」
「つまる」か「つまらない」かの調査側の判断を棚上げにしない限り、「そのものの市場」を調査することなんかできない。その一点でマーケティングは批評に似てしまう。
…その会社の「好調」を実現させた商品が「欠陥を隠し持つ商品」だったらどうなるか?欠陥があることは会社内で理解されているが、克服している余裕がなく見切り発車で市場に送り出され、消費者がその欠陥に気づかず大好評だったら、会社はそのうち欠陥を解消して、という気持ちが薄れていく。欠陥を知るものは「いつかダメになる」と将来を危惧するが、会社からはその「批評」は忌避される。「社会はいつも未完成で、その社会に住む人達はたやすくその未完成を忘れる」である。「未完成」を認めると「完成」を前提として享受出来ていた既得の権益を手放さなくてはならないから、「批評」は嫌われる。嫌われても批評の本来性は本来性としてある。

「いらないかもしれない職業」
今の日本では「そう考えたらいいのか」というその後の方向性を問わない知識や情報ばかりが氾濫しているような気がする。「そう考えたらいいのか」を問われない受けては「主体性を放棄した」と言われても仕方がないような存在だと思う。そういう受け手をレクチャーするのはとても悲しい職業のように思われる。

「よかった」と思うこと
末木文美士(すえきふみひこ)『日本仏教史ー思想としてのアプローチ』という本の文庫版の解説を書き始めて困った。聖徳太子と仏教の伝来から始まるこの本に「近代以後の日本仏教」がない。「それでどうなるの?」がない。それで僭越を承知して「“明治以降の仏教”という部分がない」と書いてしまった。おそらく「日本仏教史」を名乗るどの本にも「明治以降の日本仏教」に関して「なぜ?」を抱えた高校生を納得させるような記述はないのだろうと思った。「そこがおそらく、今の日本人にとっての最大の問題だ」と思ってしまった。末木文美士さんの『近代日本の思想・再考Ⅰ 明治思想家編』と『同Ⅱ 近代日本と仏教』(トランスビュー刊)のタイトルを見てリクエストに応えてもらったとわかった。1の『明治思想家論』の序章は「なぜ明治以降の日本の仏教は“日本仏教史”というものの枠組の外にあったのか?」というトリッキーな謎解きから始まる。

「俗の豊穣」
日本の仏教というのは、江戸時代に大衆化して広まっていくー「信仰」ではなくて、「仏教的な論理」が。日本の格言とかことわざには、へんなひねりの入ったものが多い。そういうひねりの論理はみんな仏教から来ているもんだと思っている。だから日本人の知性ーしかも大衆的な知性のへんてこりんさは、大衆化して定着した仏教論理によるものだろうと勝手に考えているのである。…「日本の俗ってとんでもなくレベルが高いぞ」と思って、「そんな高度な俗が存在することこそが、日本の謎だよな」とも思うのである。

「つっこまない文化」
私がびっくりしたのは、明治の初めの儒学者が「なぜ?なぜ?としつこく繰り返す思考法は仏教のもので、儒学者のものではない」ということを、いとも当たり前に理解していた、そのことである。「そうか、仏教はツッコミ思想だが、儒教はツッコミじゃないんだ」と思って、「なるほど、儒教は“怪力乱神を語らず”で、仏教は“一切、空”だもんな」と納得してしまった。…「日本の通俗理解はすごいな」と思い、「なるほど、それで儒教社会の日本は“なぜ?”というラディカルな問いを突きつけられると、困惑して無視してしまうのか」ということも、どうでもよくなってしまった。…私は兼好法師を「するどいツッコミの人」とは思わない。「常識的であることを身上とする随筆者」だと思う。8歳の兼好法師は無理をして父親にしつこいツッコミを入れていたわけではない。ただ「不思議だなあ、よくわかんないなぁ」という思いだけで質問を繰り返していて、それが自然だったから、その自然さを肯定されて、兼好法師は「ラディカルなツッコミ型思想家」にならず、「穏健で等身大の随筆者」になったのだろうと思う。途中で答えられなくなってしまう兼好の父は「そんなことを考えるな」とも言わない。ある程度まで息子の問いに答えられ、あるところで止まる。鎌倉時代の終わりには既に「そういう父親がいる現実」はあった。そういう父親に守られ育てられたから出家しても兼好はラディカルな思想家にはならなかった。誰も彼の問いを拒絶しないからだ。「考えてもいいんだ」という事実は、思考の自由を生む。と同時に「答えられなくてもいいんだ」という事実は、確定された現実の外側へ出なければならないという強迫観念を生まないーだから穏健になる。「8歳になる困った息子」を愛する父を見ていると、「それが日本だったな」という気もする。

「始まりのない文化」
『古事記』の始まりは「天地創造説」でもあるが『古事記』に「人類創造」はない。いつのまにか人は存在してしまっていて、その点で『古事記』は「支配者の正統性を訴える神話」でもあるけれど、私は『古事記』を「人が神を創造した神話」だと思う。…つまり「もう人類は存在している」を前提にした『古事記』は、「始まり」を生み出さない神話なのである。
 
「既に始まっていた文化」
「一体、日本人てなんなんだ? そもそも、日本人のその始まりはどうだったんだ?」と考古学的な事実ではなくて、「考え方」の始まり」を辿っていったら、私はここに行き着いた。つまり「自然に囲まれて、我々はもう生きて生活している」のである。その始めが、こんなにも確固としている。「それ以上前」に遡る必要はない。「天地の始まり」を求めて、しかし太古の日本人は「我々は始める。我々は、我々がもう生活をしていることを前提として、そこで重要なものはなにかを発見する」ということをしている。それが私にとっての、日本神話の始まりで、「太古の日本人が考えた“自分たちの始まり”」である。
八百万と言われるほどの多数の神々を登場させていて、日本の神話は、いとも明確に「現実的」なのである。明確に現実的であるそのことが、神々しくて感動的なのである。「日本人は、物を考えるその始めにおいて、かくも具体的に明確だったのか」と思って、私は安心してしまったのである。

______________

【出版社 / 著者からの内容紹介】いま日本を代表する「知識人」となった著者の、もっとも重要なエッセンスが凝縮された一冊。9・11、イラク戦争、北朝鮮問題といったトピックを素材に、教養、批評、文化など、いま私たちがものを考えるためのヒントが、ぎっしり詰まった好著。
【内容「BOOK」データベースより】
この国のあり方を少し考えた。どうにもならない構造を抱えてしまった大学、企業、そして日本という社会。この行きづまりの状況において、私たちが生きて行くためのヒントを、著者自らの立っている場所から提示する本格的なエッセイ集。 朝日新聞社 (2005/6/16)

【目 次】
この厄介な「自分」
この「作家」という職業
この不思議な「距離感」
「雑」と教養
「貫くもの」を考える
「広がること」を考える

・批評の台
・批評軸のねじれ
・機械の苦悩
・行き詰まりの研究
・批評軸の乱立
・受け手の責任
この悲しい「マーケット」
・そういう「批評の不在」
・世界感の差
・批評とマーケティング
・いらないかもしれない職業
・バッシングと批評
・「本」というもの
・「よかった」と思うこと
この「自分の生まれた国」の文化
・俗の豊穣
・つっこまない文化
・始まりのない文化
・既に始まっていた文化
・物語の土壌





[PR]
by yomodalite | 2008-03-21 17:18 | 評論・インタヴュー | Trackback(1) | Comments(0)

「三島由紀夫」とはなにものだったのか (新潮文庫)

橋本 治/新潮社




久しぶりに橋本治の本が読みたくなって、まずは三島由紀夫への格闘が刺激的な本著を選びました。『金閣寺』、『豊穣の海』、『仮面の告白』といった作品の謎、三島と戦後、女、母、恋、人間三島由紀夫の解剖のメスは鋭く全身へと及んでいる。

個人的に「杉村春子」とは何者だったのかが気になっていたので、補遺は興味深く、またあとがきで、橋本氏が東大在学中三島が死に、東大全共闘との討論の翌年の入学生から東大生の印象が激変したというエピソードが興味深い。三島由紀夫と戦後へのヒントが満ちあふれている本。

【目 次】

・アポロ像神話
・スターーあるいは、三島由紀夫が生きていた時代
・私と三島由紀夫
第1章/『豊饒の海』論
・二人の三島由紀夫―檜俊輔と南悠一
・『金閣寺』の二人
・『暁の寺』のジン・ジャンーあるいは「書き割り」としての他者
・『荒馬』の飯沼勳ーその他者の不在
・阿頼耶識
・天動説
第2章/同性愛を書かない作家
・松枝清顕の接吻
・同性愛を書かない作家
・「仮面」の詮索
・『仮面の告白』ーその断層
・それはいかなる「欲望」か
・暴君の欲望
・彼はなぜ恋を殺すのか
・たとえば、『春の雪』の飯沼茂之
・近江はなぜ消えたか
第3章/「女」という方法
・三島由紀夫の「戦後」
・囚われの人
・女は拒絶する
・復讐
・行方不明の女性像
・母の位相
・やさしい子供
・誰がサド侯爵夫人か?
・禁じられない欲望
・母との訣別
・サディズムとの訣別
・出発
終章/「男」という彷徨
・不在の後
・認識が「死ね」と言う
・二つの選択肢
・超法規的なものーあるいは、祖母という「偉大」
・忘れられた序章
・松本清張を拒絶する三島由紀夫ーあるいは、私有される現実
・その人の名は「三島由紀夫」
補遺/三島劇のヒロイン達
・『喜びの琴』事件
・杉村春子から水谷八重子へ
・恋すべき処女ー六世中村歌右衛門
あとがき
____________

【BOOKデータベースより】“同性愛”を書いた作家ではなく、“同性愛”を書かなかった作家。恋ではなく、「恋の不可能」にしか欲望を機能させることが出来ない人—。諸作品の驚嘆すべき精緻な読み込みから浮かび上がる、天才作家への新しい視点。「私の中で、三島由紀夫はとうの昔に終わっている」と語って憚らない著者が、「それなのになぜ、私は三島が気になるのか?」と自問を重ね綴る。小林秀雄賞受賞作。 新潮社 (2002/01)

[PR]
by yomodalite | 2008-03-19 16:40 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

米本 昌平,ぬで島 次郎,松原 洋子,市野川 容孝/講談社




各国の優生学の歴史と特徴、現在の状況がおおまかにわかります。終章では、優生学がゲノム解読遺伝学に変化し、テーラーメイド医療や、遺伝子診断がサービス産業化している現状を問題視している

この本の情報ではありませんが、
eugenics (優生学) → genetics (遺伝学)
eugenicist (優生学者) → genetic determinist (遺伝子決定論者)
という名称変更が行われたようです。

【目次】
第1章 イギリスからアメリカへ—優生学の起源
なぜ自由の国アメリカで優生学は広まったか・・・・
第2章 ドイツ—優生学はナチズムか?
ワイマール共和国と優生学・・・・
第3章 北欧—福祉国家と優生学
ドイツに先立つデンマークの断種法・・・・
第4章 フランス—家庭医の優生学
なぜフランスでは強権的優生政策が採られなかったか・・・・
第5章 日本—戦後の優生保護法という名の断種法
1970年代の「優生」・・・・
終章 生命科学の世紀はどこへ向かうのか


◎[参考記事]YAMDAS Project
http://www.yamdas.org/bmm/books/yusei.html
_____________

【内容「BOOK」データベースより】優生学はナチズムか。戦後日本の優生政策の内実とは。優生思想の歴史を再検討し、遺伝子技術時代の視座を示す。 講談社 (2000/07)

[PR]
by yomodalite | 2008-03-17 17:26 | 科学・環境問題 | Trackback | Comments(0)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 (Yosensha Paperbacks)

武田 邦彦/洋泉社




話題のベストセラーの続編。本編より先に「2」を読みました。

内容は大きく、

・京都議定書のトリック。日本にとって最悪の不平等条約。
・地球温暖化の間違い
・ゴア氏と、IPCCの理屈はまったく違う
・バイオ燃料は世界の格差を拡大させる
・意味のないリサイクル
・プラスチックを消却しても害はない(ダイオキシンの嘘)
・生ゴミだけでは消却のカロリーが足らない
・レジ袋削減とエコバッグ推奨運動は大間違い!
「今後100年間で地球の平均気温は6.4℃も上昇?」 「まず、ありえない!」
など。。。

燃えるゴミの中に、小さいビニールを入れても良いことをしたと思えるようになります。
エコバッグや、マイ箸を持ち歩く前に一読すべき本。東大卒で、名古屋大学大学院や、芝浦工業大学の教授を歴任した著者の本が洋泉社からしか出せなかったというところは地球以上に日本の危機かも。
__________

【内容「MARC」データベースより】京都議定書の持つ政治性とそのカラクリ、リサイクル問題に対する反論、環境省の内実、危機をあおりがちなメディア・バイアスの問題…。「エコ常識のウソ」を明らかにし、環境問題の本質を捉えるための視点を提供する。


[PR]
by yomodalite | 2008-03-14 18:47 | 科学・環境問題 | Trackback(1) | Comments(5)

西鶴という鬼才―新書で入門 (新潮新書)

浅沼 璞/新潮社




以前原文を読もうとして歯が立たなかった西鶴が「新書で入門」に登場ということで、さっそく読んでみました。残念ながら、西鶴にはもともと資料が少ないので、西鶴の伝記としては不満が残るものの、残された句を通して、俳人でもある著者が読み解く手法により、当時の世相の一端が垣間みれる。

第1章 金銭を知る—経済小説家の眼;
第2章 性愛を描く—ポルノ小説家の表現;
第3章 芸道を究める—タレント作家の演技;
第4章 奇想を生かす—エンタメ作家の技巧;
第5章 人生を探る—西鶴の謎;
文学に描かれた虚像と実像—あとがきにかえて

■ジャパンハンドラーズと国際金融情報
http://amesei.exblog.jp/7309814
______________

【BOOKデータベースより】一日で二万句を詠み、十年で三十作の小説を著した元禄の鬼才・井原西鶴。醒めた眼で金銭を語り、男と女の交情をあますところなく描く。芸能記者にして自らも芸人、そしてエンタメ作家として人気を博した。評伝的史料は極めて少なく、実在さえ疑われることもあるけれど、芥川や太宰をはじめ数多くの作家と読者を今も魅了しつづける。仕事と人生を「鬼のような心」で全うした謎多きマルチタレントの実像に迫る。新潮社 (2008/02)

[PR]
by yomodalite | 2008-03-14 18:28 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite