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ペルソナ — 三島由紀夫伝/猪瀬直樹

ペルソナ―三島由紀夫伝 (文春文庫)

猪瀬 直樹/文藝春秋



3部作の中の『ピカレスク』は、期待に叶う作品ではありませんでしたが、こちらは、ノンフィクション作家が、芸術的評価に踏み込んであれこれ言っている部分を気にしなければ興味深い本です。

著者の出世作『ミカドの肖像』と同様、三島の祖父からの一族の歴史は、この本で初めて詳しく知ることが出来ました。

※鹿島茂の解説を下記に引用。

(前文略)〜「三島由紀夫の評伝である本書は、割腹自殺を大団円に置いた『近代日本と官僚制』という題の大河小説と見てよい。主人公は大蔵事務次官平岡公威(三島由紀夫の本名)および父の農林水産局長平岡梓と祖父の樺太庁長官平岡定太郎。三代にわたる高級官僚の家系である。だが祖父は疑獄、父は無能、息子は文学によって結局、官僚機構の落伍者となる。」

つまり、本書は、いかに三島由紀夫の内面に秘密に光が当てられていようと、全体としてのベクトルは、平岡家三代を巻き込んで展開していく「近代日本と官僚制」という外部に向かっている。平岡家三代をミクロで捉えることによって、「近代日本と官僚制」というマクロを浮かび上がらせることをねらった大河小説なのである。いずれにしろ、文芸批評という閉じられたサーキットに内向していくベクトルでなく、文明批評という外側へと開かれていくベクトルを感じ取ることが大切なのである。

こうした外側へ向かうベクトルを支えるのが、この「大河小説」の脇を固める副主人公たち、すなわち、主人公たちと途中まではコースを同じくしながら、途中から枝分かれした運命の道を歩むことになる分身的人物である。平岡家一代目の祖父定太郎には、「平民宰相」原敬、二台目梓には「昭和の妖怪」岸信介、三代目公威には元大蔵事務次官、長岡寛が配される。挫折した官僚一族である平岡家三代の「私」に対して、これら功なり名を遂げた副主人公三人は「公」を代表している。

(中略)だが、なぜ、原敬暗殺が大河小説の発端に選ばれたのか? 原に暗殺の計画ありと警告した人間がいて、それが三島由紀夫の祖父平岡定太郎だったからである。

(中略)平岡定太郎は、政友会総裁原敬の懐刀の1人で、原敬に取り立てられ樺太庁長官という重責を担っていた人物だが、その平岡定太郎がどういう経路で原敬の暗殺計画を知ったのか? ここに大きな謎が生まれる。この謎がストーリーを駆動させる力を持つ。

(中略)「原敬と平岡定太郎の関係は、象徴的な意味を帯びている。ここに『政』と『官』の今日にまで通底するすべてがある。だから掘り下げるのだ。

(中略)平岡は原の野心のために樺太へ向かわせられた。原の野心とは何か。小沢一郎の『普通の国』ではないが、『普通の権力』をつくろうという野心である。では普通の権力とはなにか。(中略)地縁、血縁を清算すれば、冷たく乾いた合理的なシステムが生まれる。ひとつが政党である。もうひとつは、近代的な官僚機構である。
この二つをすりあわせひとつのシステムに練り上げようとする革命を、原は目指した。政党は選挙に勝って議会で多数を占めなければならない。選挙に勝つためにはおカネが要る。」

(中略)平岡定太郎はこの期待によく応えようとするが、度重なる政変によって、志を果たせず、政友会の利権のために陰の部分を担うようになる。そこから、冒頭の暗殺計画の通報となるのである。

しかし、これだけだったら、日本近代史の裏面史の記述にすぎない。本書が明治大正昭和を結ぶ「大河小説」となるのは、この裏面史が突如、『仮面の告白』の「祖父が植民地の長官時代に起こった疑獄事件で・・・・・・・」という祖父のことがたった一か所記述された箇所を媒体にして、作家三島由紀夫の内面の秘密へと接続される瞬間からである。

すなわち、著者は、そこに、三島由紀夫が明治の官僚である平岡定太郎にまつわる記憶を封印しようとする意志を読み取り、これが三島由紀夫の割腹自殺に至る軌跡の原点であると見る。いいかえれば、これまでヒステリー気味の祖母夏子によって「幽閉されていた」幼年時代を探ることで、解明されたと見なされた三島由紀夫の無意識の構造に、封じ込められているという第二の仮説を持ち出すのである。

(中略)「山県有朋や伊藤博文が明治政府の骨格をつくったとすれば、原敬は第二世代のリーダーで対章時代を昭和時代を築くはずだった。
主役は農商務省で廊下トンビばかりしていてロクに仕事をしない消極的ニヒリストの梓ではなく、農商務省同期入省(大正9年)の岸信介だった」

だが、それにしても、平岡梓の陰画として、なぜここで岸信介が登場するのか? それは、岸信介が革新官僚として満州国で練り上げた統制経済的国家体制、つまり日本的官僚制が、戦中というよりもむしろ戦後の昭和30年代になって急速に威力を発揮しはじめ、三島の描いたのとは異なる日本のイメージを作り出してしまうからである。

(中略)私は個人的には、昭和30年代初頭の『小説家の休暇』に描かれた頃の自信にあふれた三島がもっとも好きだが、この自信がX嬢との肉体的恋愛によって支えられたものだとは初めて知った。これは三島由紀夫という人間をある程度理解している者にとっては十分に説得的な説である。そして、その回復された自信をもとにして書かれたのが『金閣寺』であるというのも納得がいく。

(中略)日常性、これこそが、三島由紀夫の最大の敵であった。なぜなら、かつて敗戦で息の根をとめられたかに見えた日本の官僚制あg、岸信介の政界復帰と統制経済の焼き直しである「生産力倍増十か年計画」によって蘇り、凡庸な日常性をひっさげて巨大な壁のように立ちはだかってきたからである。三島由紀夫はこの壁を『鏡子の家』の中で描くことで打ち破れると確信していた。

(中略)『鏡子の家』は無惨な失敗作と評価され、三島由紀夫の戦略は根本から狂うことになる。(中略)そのあげく、三島は、思いもかけなかったジョーカーのようなマクロすなわち天皇を取り出して、この日常性(官僚制)という最強のマクロに待ったをかけようとする。
「こうして官僚たちが設計してきて、これからも設計しつづけるだろう終りなき日常へ、一気に零を掛けることの出来る切り札、それが天皇、というあらためての発見ではなかったか」

平岡家三代というミクロと官僚制というマクロがフィードバックしあって見事な読み物にしあがった大河小説「近代日本と官僚制、あるいは三島由紀夫」は、今日もなお増殖を続けてやまない官僚制という日常性へ、著者自身が渾身の力を込めて投げ付けた抵抗の書でもあるのだ。(鹿島茂)
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【BOOKデータベース】官途を辿った祖父と父にならい、若き日の三島由紀夫は大蔵省に勤めた。文壇への転身から衝撃的な割腹自殺に至るその後の人生を通じて、官僚一家の濃密な「血」は陰に陽に顔を覗かせる。『仮面の告白』に語られた「祖父の疑獄事件」とは何か?綿密な取材を通じて、天才作家の隠された素顔に迫る傑作評伝。 (文藝春秋 1999/11 ※単行本1995/11)

【出版社/著者からの内容紹介】 樺太庁長官にまでなりながら、その後躓いて不遇の晩年を過ごした祖父と、祖父の利権の残る農商務省に入りながら、仕事に打ち込むことのなかった父。本書はまず三島由紀夫を生んだ平岡家の系譜を丹念にたどり、「近代」と官僚の関わりを明らかにしていく。さらに、大蔵省をわずか9か月で辞め、文壇に転身した三島由紀夫の作品にも一族の中に色濃く流れる官僚の血が顔を覗かせると指摘、衝撃的な割腹自殺までの道程を、独自の着眼点で検証する。単なる作家論でもないし、学術書でもない。ある事実から仮説を立て、その仮説を証明する事実を丹念に蒐集する。つまり細部はすべて事実から成り立っているが、大きな仮説を楽しむための文学である。

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by yomodalite | 2007-09-30 23:15 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

三遊亭円朝の遺言/藤浦敦

三遊亭円朝の遺言

藤浦 敦/新人物往来社

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「円朝」に興味が湧いてきて、初めて読んだ本。

円朝が語ったことを、藤浦氏が、書きおこし編集した本だと思っていましたが大間違いでした。著者は三遊派宗家の三代目なんですね。(落語家でもないのに、宗家とか、代々受け継いでいるとかよくわからないのですが...)で、そういう自分が言うのだから、これは円朝の遺言だと言うてはるようです。第1章の「円朝秘話」のみ、弟子や、著者の祖父や父へ語り残していることが書かれてあるのですが、同じく第1章の次項「学ぶべきではない志ん生」からは、いきなり著者の持論全開で、円朝の遺言というタイトルにやっぱり違和感を感じてしまう。

第2章からは、談志、小さん、小朝との対談、ベテラン、新人問わない落語家への愛が感じられる批評には、現在でも読むべき点が充分ありました。なんとか、CDなどで今でも聞ける噺家の話題が多いので、落語初心者にも為になりそう。「三遊派宗家」(三代目)という肩書きや、『三遊亭円朝の遺言』というタイトルでなかったら、もっとすんなり読めたのにと、読書中ずっと思っていましたが、円朝の縁がなければ、やはりこの本とは出会えなかったでしょう。

【著者が褒めた落語家と演目】
・三遊亭円楽/「八百屋小町」「浜野矩随(はまののりゆき)」「薮入り」
 「中村仲蔵」〜など人情噺◎
・古今亭志ん朝/「愛宕山」「三枚起請(さんまいぎしょう)」「大工しらべ」
 「芝浜」「黄金餅」
・立川談志/「三軒茶屋」「二階ぞめき」「め組の喧嘩」「小猿七之輔」
 「小金餅」「野ざらし」「文七元結」「明烏」
・鈴々舎馬風/◎自作「会長への道」「紙入れ」「五人廻し」「品川心中」
 「お茶汲み」「元犬」〜イキな話◎
・月の家円鏡/「寝床」
・柳家小さん/◎「うどんや」「大工しらべ」「三軒長屋」「うんつく」
 「こんにゃく問答」「富八(御慶)」「傘碁」「富久」「宿屋の富」
  夏の噺〜「二十四孝」「夏どろ」「あくび指南」「猫久」(おかみさんが絶品)
 「大山詣り」「酢豆腐」「麻のれん」「蚊いくさ」「佃祭」「青菜」
・三遊亭円歌/「授業中」「浪曲社長」「錦のけさ」「強飯の女郎買い」「女郎の手紙」
・三遊亭円丈/「雪とん」
・春風亭小朝/「お血脈」「うなぎの幇間」「扇の的」
 ◎「豊志賀の死」(「真景累ヶ淵」内)「夜桜」「片棒」「文七元結」
・春風亭柳朝(小朝の師匠)/「大工しらべ」「火焔太鼓」
・橘屋二三蔵/「活人形」「文七元結」「らくだ」◎「うなぎの幇間」
・立川談十朗/「こんにゃく問答」「禁酒番屋」
・三笑亭可楽/◎「鰻の幇間」「らくだ」〜愚痴の芸◎
・林家彦六/「牡丹灯籠」「真景累ヶ淵」「戸田の渡し・お紺ごろし」
 〜道具入り怪談噺◎
・柳家小三治/「猿後家」「茶の湯」「味噌蔵」「大山詣り」「猫の災難」
 「粗忽の釘」「小言念仏」「味噌蔵」「厩火事」
・春風亭柳昇/「日照権」「海外旅行」「結婚式」
・春風亭柳好/◎「野ざらし」「うなぎの幇間」「浮世風呂」「薮入り」
 「羽織のあそび」「五人廻し」「棒だら」「がまの油」
・桂文治/◎「夜桜」(夜桜の文治)「大工調べ」「大山詣り」〜江戸前気取りが◎
・立川藤志楼(高田文夫)/◎「野ざらし」「居残り佐平治」
・桂文字助/中央区の落語家「ためし酒」
・立川談四楼/「コタツ」
・入船亭扇橋/◎「つる」「へっついの幽霊」「宿屋の富」
・立川談春/「黄金の大黒」「三人旅」「巌流島」「道潅」「寄合酒」
・立川志らく/「堀の内」「火焔太鼓」「大工しらべ」「死神」「粗忽の釘」
・橘家円蔵(月の家円鏡)/「たいこ腹」「寝床」

☆円朝作近世の傑作「人情噺文七元結(ぶんしちもつとい)」〜談志、林家正蔵が◎
江戸っ子には二通りの良さがある。長兵衛と近江屋卯兵衛は共に典型的な江戸っ子気質で、モデルはともに藤浦周吉。

☆フジテレビ「落語のピン」立川談志、小朝の深夜落語テレビ(1993)
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【内 容】落語三遊派宗家であり円朝の名跡をもつ著者が、落語界・落語ファンにおくるメッセージ。柳家小さん・立川談志・春風亭小朝の三氏が対談で特別参加。

1/三遊派宗家の口上―「三遊亭円朝の遺言」
2/立川談志師匠との対談―「常識に挑み、極める落語芸」
3/三遊派宗家のメッセージ(1)「噺家へおくるひと言」
4/柳家小さん師匠との対談―「小さん、若き日の思い出」
5/三遊派宗家のメッセージ(2)「噺家へおくるふた言」
6/春風亭小朝師匠との対談―「どこへ行く、落語界」


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by yomodalite | 2007-09-26 14:43 | お笑い・落語 | Trackback | Comments(0)

本業 — タレント本50冊・怒涛の誉め殺し! /水道橋博士

本業 (文春文庫)

水道橋博士/文藝春秋



ルポルタージュ、インタビュー、プロデュース、文章力、これら全ての高い能力はもちろん、芸人としての「華」力だけに頼らない、地道な販促活動も含めて、水道橋博士の「至芸」が堪能できます。立ち読みも含め、この中で出会ったことがあるのは、小林よしのりと、松本人志の2冊のみ、存在すら知らなかったり、むしろ遠避けたいと思うような本も多いにも関わらず、なぜか全部読みたくなってくる。

光源氏のみならず、ジャニーズ全般に無関心だったけど、今後の諸星からは目が離せないし、『おこりんぼ さびしんぼ』はなんとしても手に入れなければ!と決意させられてしまう困った本です。

【目 次】
矢沢永吉/『アー・ユー・ハッピー?』
いかりや長介/『だめだこりゃ いかりや長介自伝』
長島一茂/『三流』
小林よしのり/『新・ゴーマニズム宣言』
吉田豪/『男気万字固め』
山城新伍/『おこりんぼ・さびしんぼ』
飯島愛/『プラトニック・セックス』
えなりかずき/『えなりかずきの しっかりしろ!』
田代まさし/『マーシーの超法則』
ミスター高橋/『流血の魔術 最強の演技』
松本人志/『シネマ坊主』
ゾマホン・ルフィン/『ゾマホンの本』
杉田かおる/『すれっからし』
大槻ケンヂ/『リンダリンダ ラバーソウル』
近田春夫/『考えるヒット』
みうらじゅん、伊集院光/『D・T』
ゴージャス松野/『千代本三台目』
荻野目恵子/『女優の夜』
向井亜紀/『16週』
なべやかん/『鉄腕なべやかんの筋肉の達人』
アニータ/『わたしはアニータ』
田原総一郎、田原節子/『私たちの愛』
ボブ・サップ/『サップだす』
山田かな子/『せんせい』
サンプラザ中野/『株本』
高倉健/『旅の途中で』
Oka-Chang/『アイロニー』
佐野眞一/『東電OL殺人事件』
高橋がなり、つんく/『てっぺん』
哀川翔/『翔、曰く』
関口房朗/『金持学』
野中広務/『老兵は死なず』
加賀まりこ/『とんがって本気』
大竹まこと/『結論、思い出だけを抱いて死ぬのだ』
杉本彩/『オーガズム・ライフ』
ガッツ石松/『最驚!ガッツ伝説』
角田信朗/『悔しかったらやってみぃ!!』
諸星和己/『くそ長〜いプロフィール』
堀江貴文/『プロ野球買います!ボクが500億円稼げたワケ』
島田紳助/『いつも風を感じて』
《ブレークタイム》 「出版界にもの申す!」
《ボーナストラック》
大槻ケンヂ/『のほほん雑記帳(のおと)』
Q.B.B/『中学生日記』
百瀬博教/『プライドの怪人』
岩井志麻子/『東京のオカヤマ人』
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【MARCデータベース】タレント本の世界から、タレントの生き様、成功の法則、そして虚像と実像に鋭く切り込む。前代未聞のタレントによるタレント本だけを書評したタレント本! 『日経エンタテインメント!』連載等に加筆・修正を行ったもの。 ロッキング・オン (2005/08)


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by yomodalite | 2007-09-25 13:47 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

日本男児/赤瀬川原平

日本男児 (文春新書)

赤瀬川 原平/文藝春秋



ハイレッドセンターをリスペクトし、トマソンを同時代に経験した世代なんですが、久しぶりに読んだこの著作は少々ショックでした(つまらなさにおいて)。

しばしば「素人」の見方には、時に鋭い視点がありますが、赤瀬川氏のような方が真似をしてはいけなかった。
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【内容】固い頭をやわらかくする!目からウロコが落ちるように、頭のウロコも落としてみよう!すると世界がこんなにも違って見えてくる。究極の日本男児の世界二十七篇登場!

【目次】男が合理化された;子供を奉公に出す、夜型生活のころ、主義と人生、頭を警戒すること、今日も不快だタバコが不味い、左翼マインドコントロール、揺れ動くビール、女子中高生の短かすぎるスカート、何でもアリに近づく世の中〔ほか〕

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by yomodalite | 2007-09-24 22:05 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

お笑い男の星座/浅草キッド

お笑い男の星座

浅草キッド/文藝春秋



お笑い 男の星座―芸能私闘編 (文春文庫)

浅草キッド/文藝春秋



先に『お笑い男の星座2』を読み浅草キッド(水道橋博士)の文章にはまった後、こちらを読みました。「この男は実在する!」と思わず太書きで言ってしまいたくなる感じや、作品の完成度は続編の方が高いものの、面白さは充分!

【目次】
序章/猪木イズム
第一章/バッタ屋稼業((城南電気宮路社長)
第二章 芸能界最強決定戦 和田アキ子vs.YOSHIKI
第三/ラスト・マッチ(前田日明)
第四章/たけしと洋七
第五章/ロールス・ロイス戦争(城南電気宮路社長vs大塚美容外科石井院長)
第六章/爆笑問題問題
第七章/知ってるつもり!?ジャイアント馬場
第八章/さそり座の男(美川憲一)
第九章/岸部のアルバム(岸部四郎)
第十章/泣いたターザン(ターザン山本)
第十一章/ホモじゃない!水野晴郎
第十二章/幻の右 ガッツ石松
第十三章/四角いジャングル(小川直也、橋本真也、桜庭和志)
第十四章/四百戦無敗の男(ヒクソン・グレイシーvs船木誠勝)
第十五章/たけしイズム
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【BOOKデータベース】宮路社長、特攻す!坂本一世が警官相手に大立ち回り!和田アキ子の拳固が!YOSHIKIが大酒を食らう!出た、恐怖のカレリンズ・リフト!ターザン山本が泣く!水野晴郎「ホモ」じゃない!ガッツ石松の「幻の右」が!小川直也か桜庭和志か?ヒクソン・グレイシーに挑むのは!格闘技界&芸能界を股にかけて展開する凄絶なファイトの数々!「一体だれが強いのか?」の疑問に答える、抱腹絶倒活字漫才。


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by yomodalite | 2007-09-21 13:24 | お笑い・落語 | Trackback | Comments(0)

この国が忘れていた正義/中嶋博行

この国が忘れていた正義 (文春新書)

中嶋 博行/文藝春秋



「NBOnline 日刊新書レヴュー」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070830/133599/

(前文略)
中嶋のアイデアはふたつ。冷戦崩壊後、税金を無駄に使うだけの無用の役所と成りはてた公安調査庁を、加害者から賠償金を取り立てる「公設取立人」へと改組すること。それから、こちらがメインだが、刑務所を民営化すること。

本書が提言する、刑務所の民営化は、犯罪者を立ち直らせるといった「神の仕事」から完全に手を引き、「人(として当然)の仕事」を始めることである。刑務作業に資本主義的原理を導入して、その利益を被害者にまわすのだ。

刑務所のグローバル化というか、新自由主義的刑務所の確立というか。刑務作業は犯罪者の更生が目的であるため、精神修養を眼目とする伝統工芸的手作業などに偏りがちで生産性がいちじるしく低い。それを民間に委託し、まともな現代的工場へと生まれ変わらせ、中国や東南アジアに対抗しうる生産の基盤として市場に組み込んでしまおうというプランである。給料から天引きしてきっちり賠償させようというわけだ。

■タテマエを捨てれば見えてくる可能性

おそらく、旧人権派の目には許しがたい「人権侵害」にうつるはずだ。(中略)しかし、刑務所労働はもともと「懲役刑」の一環なのである。(中略)みずからが踏みにじった被害者の生命や財産を償うために週六十時間働かせることに過剰反応するのは、旧人権派がいかに犯罪被害者の救済に冷淡かをあらわしている。

本書の提言部分にかんしては、犯罪者の更生という夢(というかタテマエ)さえ放棄すればこんなやり方もありうるんだぜ、と可能性を示したものと読まれるべきだろう(民営刑務所は今年、第1号が登場したが、やはり更生支援を目的としており、中嶋の考えるものとは違っている)。そのうえで、疑問に感じたところを最後に。

刑務所民営化もアメリカに範が取られているのだが、失敗だったことを中嶋は認めている。囚人への虐待や脱走などが次々発覚し窮地に立たされているというのだ。わが国でも同様の問題が発生してくることが予想されるが、それに対し、中嶋は回避案を示していない。いくら加害者は二の次だといっても、虐待や脱獄はさすがにまずいだろう。

それから、過剰収容の傾向があるとはいえ、服役者は高齢者やハンディキャッパーなど社会的弱者ばかりでまともな労働力としてカウントするのはむずかしいと訴えたリポートもある(浜井浩一、芹沢一也『犯罪不安社会』光文社新書)。こうした現状をふまえたうえでのアイデアなのかどうか、そのへんもちょっと気になった。 (文/栗原裕一郎)
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【MARCデータベース】日本は加害者に甘すぎるー。犯罪者「福祉」予算2200億円! 凶悪犯の人権、いじめっ子の教育権が優遇される「犯罪者福祉型社会」を排し、日本が正義を取り戻すための「ウルトラ処罰社会モデル」の導入を提唱する。 文芸春秋 (2007/07)

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by yomodalite | 2007-09-20 10:07 | 裁判・法律・犯罪 | Trackback | Comments(0)

創造の狂気 ウォルト・ディズニー/ニール・ガブラー

創造の狂気 ウォルト・ディズニー

ニール・ガブラー/ダイヤモンド社



『ウォルトディズニー』 、『闇の王子ディズニー』など、興味を持ちつつ未読。もしかして、これが決定版という期待と、あとがきのホイチョイプロダクションに釣られてこちらを読了しましたが、やっぱり前記2作を読んだ方が良かったかな。

といっても厚さにめげず最後まで読まされる偉人伝にはまちがいありません。

文中、ウォルトのスタジオ内での評判の良さを描いた場面の数ページ後に、スタッフの裏切りや、ストライキ勃発など不可解な印象があり、ディズニー社や、親族取材の弊害かと思われたのですが、あとがきでのホイチョイ馬場氏の中に、その答えの一端がありました。

下記は、本書『創造の狂気』ではなく、ボブ・トマス著『ウォルト・ディズニー』と、マーク・エリオット著『闇の王子ディズニー』の参考記事。

「副島隆彦の学問道場」
http://www.snsi-j.jp/boyaki/diary.cgi?no=1&past=92

(前文略)〜「プロパガンダ」と聞いて私が思い浮かんだのは、世耕弘成(せこうひろしげ)議員でも、ナチス宣伝相ゲッベルスでもない。ウォルト・ディズニーである。そう、あのディズニーアニメーションの製作者、ディズニーランドの創設者である、ウォルト・ディズニーである。ウォルト・ディズニーといえば、大抵のひとは平和な子供の夢の世界しか思い浮かばないだろう。企業経営者などの現実的な方々であれば、大企業ディズニー社を創始した経営者という捉え方をするかもしれない。

しかし、実際のディズニー氏はそれよりもっと「政治的」なのである。具体的には、政府の意を汲んで戦時プロパガンダに進んで参画し、労働組合運動を弾圧しようとした反共主義者であり、ハリウッドの赤狩りに協力し、FBI長官フーヴァーのもとでスパイとして働いたという経歴をもっている人物である。

そして、だからこそ今日のディズニー社のような巨大メディア帝国を築き上げることが出来たのである。ただ子供のような夢を追い続けているだけでは社会的に成功できるはずはないのだ。この事実は、ディズニーの評価を上げることはあっても下げることはないだろう。

ディズニーの伝記
ウォルト・ディズニーの伝記で代表的なものはボブ・トマス著『ウォルト・ディズニー』である。原題は『WALT DISNEY: An American Original』であり、1976年に刊行された。講談社より1995年に翻訳が出ている。

この伝記は非常に「正統的」な伝記である。貧しい生まれのディズニーが苦労して映画会社を立ち上げ、せっかくの成功も詐欺にあって苦労が続き、そして最後には成功するという、いかにも典型的なサクセスストーリーに包まれた伝記である。子供の夢の世界の製作者としてディズニーを見るひとならば(それが世間一般の大多数なのだが)、この伝記は十分にその需要に答えてくれるだろう。そのためか、翻訳版には「日本図書館協会選定図書」の指定がある。
一方で、その裏版ともいうべき、ディズニーの負の側面を暴いた伝記も存在する。マーク・エリオット著『闇の王子ディズニー』である。原題は『WALT DISNEY Hollywood's Dark Prince』であり、1993年に刊行された。草思社より1994年に翻訳が上下巻構成で出ている。

この『闇の王子』、ダーク・プリンスというタイトルの伝記は、著者まえがきにあるように、正伝であるボブ・トマス『ウォルト・ディズニー』に挑戦することを意図して書かれている。正伝の『ウォルト』が取りあげなかった箇所を中心にして書かれた伝記である。20世紀映画史の裏面史としても資料的価値のある文献である。

以上の2冊を読み比べてみて、はじめてウォルト・ディズニーという人物の本当の姿が浮かびあがってくるのである。以下で引用する際には正伝ボブ・トマス著『ウォルト・ディズニー』を『ウォルト』、異伝マーク・エリオット著『闇の王子ディズニー』を『闇の王子』と省略して記載する。

ストライキと南米旅行
ディズニーの「裏側」ともいえる活動を、政府側で手引きをした人物こそがFBI長官のエドガー・フーヴァーである。さらに、フーヴァーの背後にいる人物こそ、ネルソン・ロックフェラーなのである。

このことが露見するのは、ディズニー社がとりあえず軌道に乗ったあとの、従業員のストライキ騒動の場面からである。『ウォルト・デイズニー』より引用する。

(引用開始)
1941年のストライキは、ウォルトに大きな影響を与えた。それは、政治とか従業員に対する彼の姿勢に影を落とすことになり、ウォルトをますます保守、反共へと追いやった。また、ディズニー・スタジオを従業員の楽園にしようという計画にも彼は幻滅を感じた。従業員は出勤時と退社時にタイムカードを押さなければならなくなり、昔、スタジオの初期に制作スタッフが経験したような、自由で親密なウォルトとの交流は、もう永久に戻ってこなかった。(p. 192)
(引用終了)

トマスの『ウォルト・ディズニー』に記載されているこのような文章を読むと、なぜウォルトに対して従業員が歯向かったのか理解できない。正伝ではつねにウォルトは善玉だからだ。しかし、従業員がやむに已まれずストライキに突入したのはよほどの理由があるだろう。

単純に考えれば、ディズニー社での労働環境が悪かったのだろう。今でも変わらないらしいが、アニメーターという職業は「労働集約的」な職業である。絵を書くというのは機械化、自動化しずらい作業であり、手作業である。そのため、人海戦術が必要となる。利益を上げるためには、人件費を抑えなければならない。

しかし、ここで述べたいのは労働環境のことではない。悪化するストライキの状況から逃れるため、ウォルトは「親善と映画制作を兼ねた」南米旅行に出かけるのである。『ウォルト・デイズニー』より引用する。

(引用開始)
ところで、南米旅行の話をもってきたのは、国務省米州局の調整役ネルソン・ロックフェラーの下で働く映画部の部長ジョン・ホイットニーであった。彼は、ディズニーがスタッフとともに南米を訪れ、アメリカ文化の芸術的側面を紹介してくれれば、中南米諸国に対する政府の善隣政策が功を奏すると説明した。そしてそれは緊急を要する、とホイットニーは言った。南米にはドイツ系やイタリア系の移民が多く、枢軸国に同調する空気がかなり濃厚であった。1941年半ばの時点においてアメリカ合衆国はまだ参戦こそしていなかったが、連合国を支持しており、ナチやファシズムの影響が西欧諸国に広がることを恐れていた。(p. 193)
(引用終了)

ここで、ネルソン・ロックフェラーが登場する。そして、政治的理由によりウォルトにミッションが課されたことが読み取れる。善隣政策とは、今でいえば宣伝を多用したいわゆる軍事力(ハード・パワー)に対抗する意味での「ソフト・パワー」による外交であろう。第一次大戦と第二次対戦の戦間期に、南米においてこのような植民地の駆け引きがあったことはあまり知られていない。『闇の王子(下)』にはさらに詳述されている。

ネルソン・ロックフェラーは戦時中、ローズヴェルト大統領のアシスタントを務めた
1935年から1972年までの長きにわたりFBI長官として君臨したエドガー・フーバー

(引用開始)
南アメリカへの「親善」旅行を考えついたのは、一般には国務省米州調整局の映画部長ジョン・ジェイ・ホイットニーだということになっているが、じつはロイ(引用者注:ウォルトの兄、ディズニー社の財務担当)の発案によるもので、彼がJ・エドガー・フーヴァーに、その実現に手を貸してくれるよう頼んだのである。

ローズヴェルト大統領は南アメリカでのナチス・ドイツの影響力増大に対する懸念から、国務省に新設された米州調整局のポストにネルソン・ロックフェラーを任命した。ロックフェラーは以前、ダリル・F・ザナックとオーソン・ウェルズの映画プロジェクトのスポンサーとなったこともあり、ロイの要請を受けたフーヴァーはローズヴェルトに、ディズニーもプログラムに参加させるべきだと提案した。ローズヴェルトはこの提案をロックフェラーに伝え、彼がディズニーに南米へ旅行に行かないかともちかけた。(p. 32)
(引用終了)

この南米への「プロパガンダ旅行」は、ロックフェラーの、そしてフーヴァーFBI長官によるウォルトへの指図であった。ウォルトとフーヴァーはこの時点ですでに顔見知りであったのである。では、このまったく生まれも業界も異なるふたりはどのように知り合っていたのだろうか。

ディズニーとフーヴァー
伝記作者マーク・エリオットは以下のように述べている。ディズニーがFBIのスパイであったというのは今でもスキャンダルであろう。『闇の王子(上)』より引用する。

(引用開始)
あまり知られていないことだが、ウォルト・ディズニーは1940年、39歳のときに、アメリカ政府の国内諜報部員になったのである。彼の任務は、FBI(米連邦捜査局)から政治的破壊活動をもくろんでいると疑いをもたれたハリウッドの俳優、作家、プロデューサー、監督、技術者、労組活動家の動向について報告することだった。ディズニーはFBIエージェントという自分の任務を、愛国的義務であるばかりか、気高い道徳的務めと見なしていた。彼はスパイ活動にも、かつての映画づくりと同じように、異常なまでに真剣に打ち込んだ。(p. 15)
(引用終了)

ウォルトとフーヴァーの関係は、互いに利用しあう関係である。フーヴァーはウォルトが第一次大戦でフランスへ従軍した際に、徴兵書類を偽造したのを知っていた。ウォルトは、自分の両親は実は本当の両親ではないのではないかと疑っており、その調査をフーヴァーに依頼していた。『闇の王子(上)』より引用する。

(引用開始)
フーヴァーは、彼に対して無条件に忠誠心を表す兵士として、一番小さくて力も弱かった独立系スタジオの盟主、ウォルト・ディズニーをあえて選んだ。それも当然と言えば当然だった。フーヴァーは、まだFBIの下っ端だった1918年に、第一次大戦の徴兵忌避者の追及作業に加わっている。同じころ、17歳のウォルト・ディズニーは、初めてFBIの目にとまっている。徴兵を逃れようとしたからではない。ディズニーがまだ未成年であるにもかかわらず陸軍に入ろうとして、両親の同意を得たかのように書類に署名を偽造し、見破られたためである。(p. 18)

フーヴァーはディズニーに、アメリカの将来を安泰にするのに手を貸してくれれば、FBIはその見返りに、彼の過去をいくらでも追跡調査しようともちかけたのだ。それはディズニーにとって断りきれない申し出だった。(p. 19) (引用終了)

こうしてディズニーはフーヴァーと関係するのである。また、このときのストライキに対処するため、ディズニーはマフィアとも手を組んでいた。マーロン・ブランド主演の名画「波止場」(ウォーターフロント Waterfront)は組合運動を描いた映画である。当時の政府は反共防止活動として、労働者のストライキを弾圧した。その尖兵となったのがマフィアである。つまり政府とマフィアは癒着していたのだ。

戦争プロパガンダ映画
第二次大戦に向けてアメリカの参戦が決定的となると、国家は戦争一色となる。ディズニー社も例外ではなかった。『ウォルト』より引用する。

(引用開始)
アメリカが参戦に踏みきると、連邦政府からも映画制作の注文がどっと流れ込んだ。海軍からは『航空母艦の着艦信号』を、農務省からは『食糧が戦争を勝利に導く』を、そして陸軍からは航空機識別官を対象とする教材映画を依頼された。さらにディズニー・スタジオは、ナチスに動員される若者を描いた『死への教育』、免疫注射を呼びかける『侵略に備える防衛対策』なども制作した。(p. 196)
(引用終了)

これだけならば、戦時下の映画会社としては致しかたないのだろう。事実、他の映画会社もまた同じような戦時協力映画を制作している。しかし、ディズニー映画がプロパガンダたるゆえんは次の箇所である。ここでは『闇の王子』よりも正伝である『ウォルト』の方がかえって率直に描いてしまっている。

(引用開始)
1942年12月、ウォルトのもとに、財務省の役人であるジョン・サリバンから電話があった。財務長官のヘンリー・モーゲンソーが緊急の特別プロジェクトの件で相談があるという。(中略)この仕事は戦時公債の販売キャンペーンだろうと、ウォルトは予想をたてていた。が、モーゲンソーのオフィスに着いてみると、その予想は見事にはずれた。

「実は、所得税の納税義務を国民に売り込む仕事に、君の力を貸してほしいのだ」
モーゲンソーは、こうきりだしたのである。ウォルトは当惑した。

「ちょっと待ってくださいよ。こちらは財務省でしょう。合衆国の政府でしょう。国民に納税義務を売りこむですって?税を払わなければ、監獄にでもぶち込むまでのことじゃありませんか」
そばにいた国税庁長官のガイ・ヘルバリングが口を開いた。

「そこが私の困っている点なんですよ。新しい税法でいくと、来年は1500万人の新規納税者が出てくる。だが彼らが納税義務を怠ったからといって、1500万人を起訴するなんて、とてもじゃないができるわけがない。そこでだ。税とは何であるか、戦争に勝つために税金がどんな役割を果たすのか、彼らにわからせなくちゃならないんですよ」(中略)

「国民の気持ちとして、公債を買えば、それが戦争の資金になると考える。ところが、公債はどうやって返済するのか ― 税金によってじゃないですか。税金不払いの国民を起訴するというのが我々の目的ではない。納税が愛国的な行為だということをわかってもらって、国民に積極的になってもらいたいんですよ」(p. 199)
(引用終了)

財務省の要請を受けて、ディズニーは自社の人気キャラクターであるドナルドダックを使って、分かりやすくて面白い納税を説明する『新しい精神』(The Spirit of 43 )という映画を作った。その結果は大成功であった。(実際の映画は、 こちら から観ることが出来る)この映画では、「Taxes to bury the Axis(税金(タックシズ)を払って枢軸国(アクイシズ)のやつらをを葬り去る)」というスローガンを掲げた。さらに、『闇の王子』から引用する。

(引用開始)
財務省の統計によれば、この映画は結局、6000万人の国民の目に触れ、一方、ギャラップ世論調査は、納税対象者のうちの実に37パーセントが、『新しい精神』を見て税を納める決心をしたと発表した。(p. 201)
(引用終了)

このように、ディズニーは政府の納税プロパガンダに全面的に協力して成果を収めた。さらに、戦後はハリウッドの「赤狩り」に対して協力をしている。晩年のディズニーの成功は、戦時および戦後の政府への協力が陰に陽に作用していると推測することはあながち間違いではないだろう。

メディアとプロパガンダ
ディズニーはこのあと、テレビに大々的に進出して大成功を収めることになる。晩年には遊園地、「ディズニーランド」の建設が行なわれ、ディズニー社の重要な収入源となった。

ディズニーの死後、一族による内紛があった後に、モルガンやラザール・フレールなどの投資会社、あのウォーレン・バフェットなどの投資家が現われて、経営を一族から取り上げたあとに、投資家の利益を代弁する経営者が現われる。それがパラマウントから招かれた当時30代のマイケル・アイズナー(Michael Eisner)であり、20年以上に渡ってディズニー社を支配した(2005年に辞任、現在のCEOであるのは、ネットワークテレビ局のABCとディズニーの合併を実現させた、ABC出身のボブ・アイガーという人物)。ディズニー死後のディズニー社の遍歴については、早稲田大学教授の有馬哲夫の『ディズニー千年王国の始まり』(NTT出版)が詳しい。

ディズニーの元CEO、マイケル・アイズナー
ディズニーはメディアにおいて常に新しい可能性を引き出し、それを娯楽として利益を上げる一方で、政府機関に仕えてきた。メディアというのは手段あるいは道具であるから、娯楽として使用できるとともに、プロパガンダとしても使用できてしまうということが、ディズニーの生涯を見ると分かるのである。

とくにキャラクターを使用したプロパガンダについては、アニメが全盛の現在の日本においては他人事ではないだろう。娯楽として楽しんでいるアニメがいつのまにか政府機関のプロパガンダになっているかもしれないのだ。すべてのメディアには気をつけないといけない。

以上
吉田(Y2J)筆
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【作品紹介】 【ロサンゼルス・タイムズ出版賞・伝記部門大賞(2006年度)】創造の天才か、闇の王子か−。ディズニー社の全面協力を得ながら、同社の検閲を受けずに出版されたウォルト・ディズニー伝の決定版。過度に美化や否定をせず、ディズニーの業績の偉大さと人間としての弱さを冷静に描く。


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by yomodalite | 2007-09-19 20:07 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策[1]/J.J. ミアシャイマー , スティーヴン・ウォルト

国際政治学の2トップによる、世界的な話題書。

反ユダヤではないことを、これでもかと強調し、イスラエル・ロビーの圧力の実例が示されている。ユダヤ陰謀本とは、まったく異なるアプローチ。第二部の刊行はまだですが、これから世界にどんな影響があるか興味深いところ。

下記、「JANJAN」より引用

露見したイスラエル・ロビー 2007/09/16
ワシントンIPS=コーディ・アハビ、9月6日

ハーバード大学のジョン・J・ミアシャイマーとシカゴ大学のステファン・ウォルトがロンドン・レビュー・オブ・ブックス2006年3月号に発表した論文「イスラエル・ロビー」は、学術書としては珍しい大反響を呼んだ。しかし、ネオコン、ユダヤ教徒、反対派学者、評論家、そしてアメリカ・イスラエル共同問題委員会(AIPAC)といったワシントンのロビイスト団体が、米国の中東政策を形作り、ワシントンにおける公開討議を妨げているとの主張が、厳しい批判/攻撃の的となった。

自らも同問題に関与しているコラムニストのクリストファー・ヒチェンズは、同論文の信憑性を批判。また、名誉棄損防止同盟は、ユダヤの力/支配というデマを取り上げ、反ユダヤ分析を行う古典的陰謀と批判。猛烈な反対キャンペーンが展開された。

ミアシャイマー/ウォルト両氏は、その後同論文を基に「イスラエルのロビー活動と米外交政策」と題された355ページの本を出版。米国のイスラエル支援には、外交的にも軍事的にも戦略的意味、モラル的理由も存在しないと主張している。

両氏はまた、イスラエル・ロビー団体の強い影響力により、米国の政治議論は、自国の長期的安全保障を損なわせる方向に向かっていると批判。更に、ロビー団体の活動は、時にイスラエル政府の政策/利益に反する自己本位なもので、イスラエルの右派リクード党に近い個人、組織で構成されていると主張している。

ロビー団体の境界線は曖昧で、両氏によれば、学者、シンクタンク、政治活動委員会、ネオコン、ユダヤキリスト教団体などもイデオロギー的にこれら団体を支えているという。

ロビー団体とその支援者は、イスラエル批判を抑えるため所謂「いじめ戦略」を取っており、2人の著者も、反ユダヤの汚名を着せられた。ロビー団体はまた、カーター大統領の「パレスチナ:アパルトヘイトではなく平和を」という著作に対しても反ユダヤのレッテルを貼り、同氏をナチ親派と糾弾している。(引用終了)

第1部 : アメリカ、イスラエル、そしてロビー

第一章/アメリカという大恩人
イスラエルへの経済援助/際立つ軍事支援/外交面からの擁護と戦時の支援/結論

第二章/イスラエルは戦略上の資産?か負債?か?
ソ連という熊を封じる手助けをする/冷戦から9・11へ/テロとの戦いのパートナー?という新しい論拠/ならず者国家?に立ち向かう/疑わしい同盟国/結論

第三章/道義的根拠も消えてゆく
弱きを助ける/民主国家の同朋を援助する/過去の犯罪に対する償い/善玉イスラエル?対悪玉アラブ?/キャンプ・デービッドの神話/イスラエル支援は神の御意志に適う/米国民は何を求めているか?/結論

第四章/〈イスラエル・ロビー〉とは何か?
〈イスラエル・ロビー〉を定義する/米国のユダヤ人社会の役割/多様な組織と異議へのきまりごと/右傾化する〈イスラエル・ロビー〉/ネオコン派の役割/キリスト教シオニスト/〈イスラエル・ロビー〉の力の源/大きくはない石油ロビーの影響力/二重の忠誠心?という問題/結論

第五章/政策形成を誘導する
アメリカ合衆国議会を牛耳る/親イスラエルの合衆国大統領を誕生させる/政権を〈イスラエル・ロビー〉側に引き止める/結論

第六章/社会的風潮を支配する
メディアは一つのメッセージしか発信しない/一方向からしか考えないシンクタンク/学界、教育界を見張る〈イスラエル・ロビー〉/不快な戦術/新しい反ユダヤ主義/大きな消音装置/結論


【目 次】 〈イスラエル・ロビー〉と米国の中東政策/〈イスラエル・ロビー〉の手口/なぜ〈イスラエル・ロビー〉を語ることがこれほど大変なのか/私たちはどのように主張を展開するか/この研究に使用した文献について/情報源について/結論

◎[Amazon]『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策1』

☆続編も出版されました!
◎『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策[2]』 
  
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【内容】『文明の衝突』のS・ハンチントンに並ぶ、世界最高の知性がタブーに挑む。ユダヤ陰謀説を超える議論の提起!!なぜアメリカはイラク戦争を始めたのか?、なぜ中東はいつまでも不安定なのか?、アメリカの外交政策を歪めてきたのは誰か?、タブーはどのようにしてつくられたのか?

【著者略歴】
ジョン・J.ミアシャイマー/1947年生まれ。シカゴ大学ウェンデル・ハリソン記念講座政治学教授(国際関係論)。米中衝突を予言し、「オフェンシヴ・リアリズム」理論を提唱。米国のイラク侵攻を非難して、ネオコン学者と対立する。

スティーヴン・M・ウォルト/1955年生まれ。ハーヴァード大学ジョン・F・ケネディ行政学大学院教授(国際関係論)。「脅威の均衡」理論を提唱。ミアシャイマーとともに、米国のイラク侵攻を非難して、ネオコン学者と対立する





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by yomodalite | 2007-09-17 14:17 | 政治・外交 | Trackback | Comments(1)

お笑い男の星座2/浅草キッド

お笑い 男の星座2

浅草キッド/文藝春秋



お笑い 男の星座2 私情最強編 (文春文庫)

浅草キッド/文藝春秋



「例えば自分が天国にいて、憎いやつが地獄にいるとしたら、 わざわざ天国を捨てて地獄にぶん殴りに行く!」。 これが猪木イズムだ。

そうだったのかw
笑いと涙と人生がこれほどてんこもりな本はめったにないです。

【目 次】
序章 一騎イズム
第1章/白色彗星・鈴木その子
第2章/自称最強!寺門ジモン
第3章/癒しの女王・飯島直子
第4章/変装免許証事件
第5章/江頭グラン・ブルー
最終章/『Dynamite!』に火をつけろ!
番外編/男のホモっ気・百瀬博教

『お笑い男の星座2』書評コーナー
http://www.asakusakid.com/seiza/seiza2.html
__________

【MARCデータベース】一騎イズム、鈴木その子から、変装免許証事件まで、ルポライター芸人・浅草キッドがお届けする抱腹絶倒活字漫才。格闘技界と芸能界の真実を伝えるエピソードがぎっしり。『テレビブロス』2001年~02年の連載に大幅加筆。


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by yomodalite | 2007-09-16 23:08 | お笑い・落語 | Trackback | Comments(0)

志の輔らくご ひとり大劇場 at 国立劇場大劇場(2007.913)

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3日間の国立劇場公演の最終楽。

大劇場での、毎日3時間に及ぶ公演で、志の輔師匠の声は、いつもより少し嗄れた感じがしましたが、本当に素晴らしい公演でした。初心者も、通人も唸らせてきた師匠ですけど、朝青龍〜安倍首相辞任、「美しい国」〜『24』発売、とジャストタイムリーな時事を盛り込んだ「枕」が、本ネタの中で、それぞれ「つかみ」以上の効果をあげていて感心しきり。

それにしても、最後の『政談月の鏡』には驚かされました。これまで、こんな話があるとは思っても見なかったような斬新な作品。場面が変わって、新しい登場人物がしゃべり出す度に鳥肌が立つ。

いずれの人物にも深い陰影と背景を感じさせる志の輔の演技力の凄さ、そしてこんな通好みの作品を演じるときも、満席のどんな客もおいてきぼりにしないサービス精神が、この大劇場ならではの演出に込められていました。

本当に凄すぎる!!!行って良かった〜〜〜〜・ ・ヾ(* ̄▽ ̄)ノ

「茜の とぉんと来ました」
http://d.hatena.ne.jp/turarayuki/20070914

【演 目】
・「バールのようなもの」
・「八五郎出世せず」 (別名「妾馬」めかうま)
・「政談月の鏡」(円朝作)





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by yomodalite | 2007-09-15 01:21 | お笑い・落語 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite