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「3本の法則(漫画雑誌がヒットするには、3本の人気連載がなければいけない)」
「最近の単行本は20巻、30巻があたりまえとなっているが、
 物語性の増加につながっているのだろうか?」

という警告を出版社は真摯に受け止めてほしいと思います。
_____________

【MARKデータベース】少年マンガ誌、成功の影に「三本の法則」、文豪・中上健次の遺作はマンガだった!? 「サルでも描けるまんが教室」の著者が捨て身で語る爆笑エッセイ。オンライン書店bk1で連載した文章に補筆。 イーストプレス (2004/02)

【目 次】
はじめに マンガ・景気のいいハナシ
1 マンガ業界のハナシ
(マンガ原稿料の秘密;描き下しマンガの可能性ほか)
2 マンガ本のハナシ
(作家のすべては処女作にあり!『魔少年ビーティー』荒木飛呂彦;どんどん増える星の数、末は社長か会長か?『島耕作』シリーズ 弘兼憲史ほか)
3 マンガ作家のハナシ
(宮崎駿という奇跡;赤塚不二夫を語るほか)
4 サルまんのハナシ
(『サルまん』はこうして生まれた;特別付録 幻の第一回サルまん・ボツネーム(作・竹熊健太郎/画・相原コージ))





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by yomodalite | 2007-08-30 23:18 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
まえがきの予言者宣言をうさんくさく感じるか、頼もしく感じるかは、各読者の読書経験に依りますが、永く読んでいればいるほど、信頼されている経済本の読者がいる方は少ないと思います。

以下、主内容とメモφ( ̄— ̄ )

・「三角合併」は見せかけ
・中国は10年で500基ほどの原発をつくる(原発はエネルギーの鍵)
・円高ドル安への急転換
・資産防衛策として「金・ユーロ・人民元に資産を移せ」
・ロン・ポール米下院議員による演説論文『ドル覇権の終焉』の訳文掲載
・アメリカに強奪された郵貯350兆円の意外な行方
・日本は実は原油高に強い
・I-Sバランス(日本の個人貯蓄=米財政赤字)

【目 次】
第1章 2008年末からドルが大暴落しアメリカ帝国は衰退する
・2008年末にかけての為替、株の動向を予言する
・円キャリートレードは金融博打である
・いまのうちに黙って人民元を買え!
・ジェイ・ロックフェラーはアメリカのバブルを延命させて最後には奈落に突き落とす
・財政と金融の2つの政策をごっちゃにしてきた日本
・すでに金融統制経済は始まっている
・ドルは2008年末頃に暴落を始めやがて1ドル80円台の超円高が出現する
・ユーロの台頭でドル離れがますます進む
・アメリカの国力衰退に依って円安の日米秘密合意も壊れていく
・アメリカ住宅バブル崩壊が世界恐慌の引き金を引く
・バーナンキは米ドル紙幣を刷り散らして大不況突入を阻止する
・原油価格がさらに高騰すると米国内では非常に危険な状況に
・原油高騰は日本にとってはチャンスの到来
・これからのエネルギーの鍵を握るのは何と原子力発電
第2章 世界はこうしてドルに騙された
・ロン・ポール下院議員が予言する「ドル覇権の終演」
・「ドルによる世界支配」はやがて終焉する
・非兌換紙幣であるドルの刷り散らかしはアメリカのマネーの偽造
・“ドル外交”を“ドル覇権”へと変質させたアメリカ
・IMF体制は密かにロックフェラー石油通貨体制にすりかえられた
・金キャリー・トレードで痛めつけられたゴールド
・金取引に関するワシントン協定がゴールドにとどめを刺した
・あらゆる帝国は4代120年で衰退に向かう
第3章 かくてドル覇権は崩壊していく
・不換紙幣であるドルへの不満が世界に蔓延している
・36年続いた「修正IMF体制」はもうもたない
・ドルの没落を阻止するためならアメリカは何でもやる
・世界各地から湧き起こるドル信任を掘り崩す動き
・ネオコンによる「世界革命」は完全に失敗した
・国家通貨体制のいかさまをもう世界は我慢しない
・アメリカは強大な軍事力で脅してドルの価値を維持してきた
・アメリカはもうイスラエルを見放すつもり
・日本がアメリカに貢いだお金の半分はもう戻らない
第4章 日本はどこまでアメリカに毟られるのか
・アメリカの経済は日本から毎年30兆を徴収して維持されてきた
・日米間に金利をつけてアメリカに資金を還流させてきた
・日本の財政破綻で円安になるという大嘘
・ドルを支えてきたオイル・マネーとジャパンマネー
・日本の外貨建て資金への投資が今のドル高を支えるという矛盾
・日本の国債相場が急落すれば米国債相場は必然的に暴落する
・ダウは3年後に1万ドルを割り、その後8000ドル台にまで下がっていく
・ドルを売り払いたいアメリカ財界人たちの本音
第5章 アメリカが衰退し、中国が次の超大国になる
・アメリカは中国に北朝鮮問題を丸投げして、アジアから逃げ出した
・アメリカは東アジアへのへジェモニーを中国に引き渡す
・アメリカは次世代の中国指導者まで決めている
・人民元に投資せよ

【本の内容】
目先の円安と低金利に騙されるな。やがてドルは暴落し、円は1ドル=80円へ。そして、金融恐慌が世界を襲う。いまこそ資産を金・ユーロ・人民元に移せ。 徳間書店 (2007/8/3)



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by yomodalite | 2007-08-30 18:55 | ビジネス・経済・金融 | Trackback | Comments(0)

心にナイフをしのばせて

奥野 修司/文藝春秋



心にナイフをしのばせて (文春文庫)

奥野 修司/文藝春秋

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被害者家族の壮絶なその後の人生が、被害者の妹(みゆき)によって語られる。事件直後、進学、母の喫茶店開業、結婚・出産、父のガンによる死、店舗廃業、病院務め。。。。兄を失った家族の慟哭は止む事がなく、痛手を癒すことの難しさが痛切に伝わる。

一方で加害者は「更生」に成功していた。加害者が成功した生活を送っていると聞いて、多くの者が憤りを感じるのは、実際は、誰もそれを望んでいないからでしょう。とはいえ、望まれているとおり、加害者少年に同様の「不幸」を与えても、被害者遺族が満足することはできない。

加害者を憎むことすら出来なかった、と語る遺族の言葉は、被害者感情に安易にすり寄る大勢の他者とは、厳然と異なる。

表紙には、血が滴るナイフを持った少年の絵が描かれているが、「心にナイフをしのばせて」生きてきたのは、被害者の妹だった。

加害者にあった時のために。その時の「決着」のために。

【著者は語る】 一九六九年春、川崎にある男子高校で、一年生が同級生に殺されるという事件が発生した。被害者はめった刺しにされた上、首を切断されていた。神戸で「酒鬼薔薇」事件が起こる、二十八年前のことだ。本書は、犯人の少年Aのその後と、被害者遺族を襲った悲劇を丹念に追った、渾身のルポルタージュである。

「神戸の事件が起きたとき、あの事件そのものを取材しても何も分からないだろう、それより昔似たような事件が起きていたなら、そちらを調べた方が『酒鬼薔薇』少年に迫れるのではないかと考えたのが、この本を書くきっかけでした」

当初この作品は、少年Aのその後を追ったものとして雑誌に発表された。だが後に、著者は改めて、被害者の母親と妹への数年にわたるインタビューや取材を重ねることとなる。

「雑誌に発表した当時は、加害者の“更生”が問題になっていて、加害者を追跡して現在の姿を見定めるのが、ひとつの目的でした。加害者の更生というのは、一般的には社会復帰できたことを指します。だけどそれは加害者側の問題であって、加害者が起こした事件には表裏一体で被害者がいる。加害者の更生は、被害者との関係性の中で論じなければ意味がないのではないか、と思ったんです。そこで、この三十年間をどう生きてきたのかを含めて、被害者側の話を聞かせてもらうことにしました」

そこで語られた遺族の生活は、あまりにも辛い。人格障害を疑われるほど錯乱した母。悲しみを胸のうちに押し込み、必死で母を支えようとする父。壊れそうな家庭の中で、両親への反抗やリストカットでバランスをとろうとする妹。だがそもそも、こうした証言を得るのに著者は苦労する。母親は、あまりのショックに、事件後数年の記憶を失っていたのだ。

「こんな事態は想定していませんでした。しゃべりたくないか、隠しているんだろうと思って。しばらく経ってこれはヘンだと思い、妹さんを交えて話してみて初めて、記憶をなくしていることが判明したんです。遺族の受けた衝撃は推測していたけれど、何年にもわたって記憶を失ってしまうほどの衝撃というのは、想像がつかないですよ」

当事者すら失ってしまった記憶を補うため、著者は関係者を訪ねる。それには妹も同行するが、分裂病質と診断されたAのことを理解したいと精神病院に勤め、事件のことを知りたいと訴える妹の姿は、読み手にも衝撃を与える。

「遺族は今でも、生き方を左右されています。三十年という年月が経っても、癒されない。それほど犯罪被害者が受けた衝撃は凄まじいということを、私たちは知るべきでしょう」

Aは普通の職業に就けず、その日暮らしをしているのでは、と被害者の母親は気遣いさえ見せていた。だが現在、Aは弁護士となり、法律事務所を経営するほどの成功を収めている。被害者本人と家族への謝罪は、一度としてない。

「罪を犯した人間が更生できないと断じるのは問題があるけれど、被害者の意見も聞いたうえで更生しているかどうかを考えていかないと、この家族のように三十年も苦しみつづけることになってしまいます。それは国が責任を持つべきことだと、僕は思います。お金など物質的なことなのか、あるいは謝罪など精神的なものなのか、とにかく被害者がある程度納得したときに、初めて更生したといえるのではないでしょうか。被害者が直面する悲劇は、一回で充分です」

【週刊文春 2006年9月21日号より】

★「少年犯罪データベースドア」
★「Here There and Everywhere」
____________

【出版社/著者からの内容紹介】 1969年春、横浜の高校で悲惨な事件が起きた。入学して間もない男子生徒が、同級生に首を切り落とされ、殺害されたのだ。「28年前の酒鬼薔薇事件」である。
10年に及ぶ取材の結果、著者は驚くべき事実を発掘する。殺された少年の母は、事件から1年半をほとんど布団の中で過ごし、事件を含めたすべての記憶を失っていた。そして犯人はその後、大きな事務所を経営する弁護士になっていたのである。 これまでの少年犯罪ルポに一線を画する、新大宅賞作家の衝撃ノンフィクション。


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by yomodalite | 2007-08-30 18:24 | 裁判・法律・犯罪 | Trackback | Comments(0)
「アジア女性基金」の理事であった著者による「慰安婦問題」の総括本。
NGOや、メディアは、国家補償だけが唯一無二の被害者の意志であり、それなくして、「慰安婦問題」の解決はありえないとし、韓国の被害者支援団体は、被害者が基金の補償金を受け取ることを拒否するよう指導し、解決を遅らせた。

「慰安婦問題」は、元慰安婦への補償問題ではなくなり、高度な政治問題となる。

アジア女性基金の失敗を論じたメディアは多かったが、理事であった著者の苦闘の歴史は現実的で、いわゆる「左派」とは異なり、批判されることに慣れず、独善的になりやすいNGOの弱点をよく理解している。

◎下記は、呉 智英氏による「日刊新書レヴュー」より

慰安婦についての議論は、いくつもの論点といくつもの立場が錯綜している。

論点は、まず第一に、慰安婦の実態はどのようなものであったかであり、第二に、その慰安婦であった女性を我々はどう扱うかであり、最後に、海外からの慰安婦関連の日本批判にどう対応するかである。そして、論点ごとに論者の立場がちがっており、意見がちがっている。

本書は、元慰安婦への“償い金”であるアジア女性基金の理事を務めた政治学者による、その苦闘の記録である。当然、第2の論点が中心になり、立場としては元慰安婦救済ということになる。私とは考えが近いものもあり、ちがうものもあるが、報道などではわかりにくいこの種の活動、任務の困難さが細部にわたって記録され、非常に興味深い一冊となった。

私自身は慰安婦について、次のように考えている。
特別な存在ではない。しかし、救済するのは当然だ

慰安婦は基本的に娼婦である。本質において、現在のいわゆるフーゾク嬢などと変わらない。交戦国、敵国であった支那(「支那」は世界共通語であって差別語ではない。日本人に限って「支那」を禁ずることこそが差別である)やオランダ他の女性は別として、選挙権・被選挙権も順次認められていった同じ大日本帝国臣民たる朝鮮人の女性を性奴隷として強制連行するなどということは考えにくい。事実、そのような証拠は何一つない。

とはいうものの、現代とは圧倒的にちがう貧困と不十分な教育、そして同一国内における格差(内地と朝鮮地域)の上に、甘言や瞞着を以って娼婦を集めたのだから、昨今のコギャルや出会い系の援助交際とは同一視できない。

現在、健康上も経済的にも困っている元慰安婦が多いからには、これに救済の手を差し伸べるべきだろう。ただし、これを“償い”とするのには異論がないわけではないが。

ともあれ、現実的に困っている人がいれば、元娼婦であろうと病人であろうと失業者であろうと、救済に尽力して悪いはずがない。
最近、アメリカを含む外国からの理不尽な日本批判が出ている。マイク・ホンダ下院議員らが中心になって、日本に謝罪要求する決議が可決された。事実認識が誤っているだけでなく、背後に謀略的な動きもあるようだ。こういうものに対しては、元慰安婦救済とは別に、断固として反論すべきである。

こう考える私は、結果的に著者の行動に共感するところが多い。

著者は、本書でくり返し述べている。元慰安婦は高齢になり、病院にも満足に通えず、支えてくれる家族もなく、経済的にも困窮している。政治的イデオロギー論争は措いておいて、まず実際に、とりわけ金銭的に、彼女たちを救わなければならない、と。

原理主義者 対 現実主義者
ところが、民間からの醵金(きょきん)で始められたアジア女性基金は、日本の保守勢力よりも、イデオロギストの活動家たちに翻弄される。韓国内では、公式の国家賠償でなければ金を受け取るべきではないとする人たちが現に困窮している元慰安婦に圧力をかけ、日本国内でも、同様の人たちや一部のフェミニストたちが基金を欺瞞だと批判した。

こうした非現実的な批判を反批判しつつ、著者は多忙な本務の時間を割いて元慰安婦救済に奔走する。いわば、究極の理念のみを判断の基準にする原理主義者と対決しつつ、実(じつ)のある運動を進めようとする現実主義者が著者なのである。

NGO、NPOというと善玉と受け取ってしまう人たちや、単純な図式で一見わかりやすい世論を作りたがるマスコミへの批判も随所に見られる。これもまた実践を踏まえた見識である。 (文/呉 智英、企画・編集/須藤輝&連結社)

[目次]
第1章 「慰安婦」問題の衝撃
Ⅰ. メディア、NGO、日本政府
Ⅱ. 村山内閣とアジア女性基金の設立
第2章 アジア女性基金とメディア、NGOの反応
Ⅰ.  アジア女性基金の発足
Ⅱ. 5つの国・地域での償い
第3章 被害者の視点、被害者の利益
Ⅰ.  「慰安婦」問題の評価
Ⅱ.  被害者の願いとそれへの対応
第4章 アジア女性基金と日本政府の問題性
Ⅰ.  アジア女性基金の失敗
Ⅱ.  日本政府の対応と政策
第5章 償いとは何か―「失敗」を糧として
Ⅰ.  何が「失敗」をもたらしたのか 
Ⅱ.  法的責任論の誤謬
Ⅲ. 道義的責任のはたし方
Ⅳ. 総理のお詫びの手紙
Ⅴ.新しい公共性の担い手とは
終章 二一世紀の日本社会のあり方
Ⅰ.  中国、韓国とのつきあい方
Ⅱ. 日本社会の可能性
あとがき
「慰安婦」問題関連年表

《参考サイト》
◎「愛・読書博」
_________________________

[BOOKデータベースより]一九九〇年代以降「慰安婦」問題は、「歴史認識」の最大の争点となっている。政府は軍の関与を認め謝罪。市民と政府により被害者への償いを行う「アジア女性基金」がつくられた。だが、国家関与を否定する右派、国家賠償を要求する左派、メディアによる問題の政治化で償いは難航した。本書は、この問題に深く関わった当事者による「失敗」と「達成」の記録であり、その過程から考える新たな歴史構築の試みである。 中公新書 (2007/06)





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by yomodalite | 2007-08-26 22:07 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)
このシリーズはずっと飽きないだろうと思える、「御宿かわせみ」2作品目。短編ながら、興味深い事件の数々に、るいの女心が絡み合う、色気のある物語。江戸の住人になったような気分にさせられます。

↓「御宿かわせみの世界」より
http://www.ne.jp/asahi/on-yado/kawasemi/

「江戸の子守唄」
東吾は麻生源右衛門から七重との縁談をすすめられる。るいに気を使い東吾はしばらくかわせみから遠ざかる。 一方るいはかわせみに置き去りにされた子供の世話に夢中になり、東吾と会えない寂しさを埋めようとする。
「お役者松」
東吾はるいと出かけた縁日の境内で掏摸の仲間と間違えられ、財布を預けられる。
翌日お役者松と名乗る風変わりな掏摸が財布を取りにやってきた。
「迷子石」
江戸の町に連夜の辻斬りが出没する。東吾はその手口から刀の扱いになれたものの仕業と推理する。そしてとうとう八丁堀同心が犠牲となった。
「幼なじみ」
るいは植木屋の主人から職人の清太郎と娘のおいとの縁談について相談された。しかし、清太郎の幼なじみのおていが勤め先から三百両という金を持ち逃げするという事件が起こる。
「宵節句」
るいは琴の稽古に一緒に通った五井和代と再会する。その頃江戸の町に凶悪な押し込みが連続した。襲われた家の者はみな同じ鋭い突きで殺されていた。
「ほととぎす啼く」
かわせみが油を売ってもらっている山崎屋の主人彦兵衛に奇妙な出来事が続いた。そして、ある晩番頭の治助が殺された。
「七夕の客」
かわせみを開業して5年。毎年七夕の日に泊まり合わせる初老の女と若い男がいた。しかし今年は女がなかなかやってこない。
「王子の滝」
東吾がかわせみに色っぽい人妻おすずを連れてやってきた。るいが焼きもちをやいている間に、そのおすずが王子の滝で殺された。
「秋の七福神」
江戸の町に七福神詣でが流行りだした頃、凶悪な押し込み強盗が跳梁する。

______________

【内容】他人の関係でなくなってから幾月が流れたか。小さな宿「かわせみ」の女主人るいと、次男坊ながら親代々八丁堀与力の家に生まれた東吾。たがいの愛情をたしかめあい、絆を深めていくが、尋常に言えば縁組の成立するわけがなかった──。二人の忍ぶ恋を縦糸に、江戸下町の四季の風物を織り交ぜながら描かれる、人情味あふれる捕物帳。今日も「かわせみ」にはさまざまな人が泊まり、さまざまな事件がおこる。数度にわたりドラマ化された人気シリーズの新装版第二弾。





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by yomodalite | 2007-08-26 10:59 | 文学 | Trackback | Comments(0)
女主人るいが、頻繁に参詣していた鉄砲州神社の近所に住むようになって、御宿かわせみをじっくり読んでみたいと思っていました。

馴染み深い地名や、橋が登場して、近所散策が一段と楽しさを増しました。短編にも関わらず、江戸の風俗にからむ様々な事件に、るいと東吾の恋もしっかりと描いた本当によく出来た物語です。

↓「御宿かわせみの世界」より
http://www.ne.jp/asahi/on-yado/kawasemi/


「初春の客」
長崎から連れてこられた女と黒い犬。東吾と源三郎が金座・銀座役人の不正に立ち向かう、ご存じかわせみの第1話。ここでは庄司家は与力の家柄となっていた。
「花冷え」
東吾が深川の宴席で見た女は毎度かわせみに違う男とやってきた辰巳芸者だった。嘉助の娘の安産祈願のお札をもらいに水天宮にお参りしたるいに、「出来たのか?」東吾がたずねる。
「卯の花匂う」
東吾が狸穴で見かけた仲睦まじい初老の夫婦。かわせみに逗留している年若い武士と供の女中。仇討ちの絡んだ糸を東吾と源三郎が解きほぐす。
「秋の蛍」
大雨の夜、かわせみに宿を求めた父と娘。その夜から江戸の町に旅籠ばかりをねらう押し込みが出没する。東吾はかわせみの警護と称しておおっぴらにかわせみに泊まり込む。
「倉の中」
目医者に行った帰り、るいとお吉は首くくりの老女を助ける。だがその老女には自殺する理由がなかった。
「師走の客」
かわせみで預かった大百姓の娘おすがは夜中に寝ぼける癖があった。秋の代々木野で知り合った侍に一目惚れし、その侍を探しに江戸へ出て来たのだが。
「江戸は雪」
かわせみの泊まり客の五十両が紛失した。そして泊まり合わせた若い男はちょうど五十両持っていた。
「玉屋の紅」
佐原から江戸へ出てきた新婚夫婦のところへ芸者のおもんが怒鳴り込んで来た。やがてその夫とおもんが心中した。夫の漏らした「玉屋の紅」という言葉で新妻はすべてを悟る。

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【内容】江戸情緒をたたえた捕物帳でロングセラーとなった、人気シリーズの新装版の第一作。大川端にある小さな旅籠「かわせみ」。若き女主人るいは、元・同心の娘。都市を行きかう人びとがひと時のやすらぎを求めて投宿する。ときに、表沙汰にできない厄介ごとを胸に秘めて……。
誘拐、詐欺、敵討ちなど、大小さまざまの事件に巻きこまれながら、るいは恋人の神林東吾と協力し、解決の途をさぐってゆく。数度にわたりテレビドラマ化され、話題をとった人情譚。





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by yomodalite | 2007-08-21 15:06 | 文学 | Trackback | Comments(0)

日本のいちばん醜い日

鬼塚 英昭/成甲書房



『天皇のロザリオ』と同じく、膨大な資料の精査から書き上げられた力作。

前半は、バーガミニの『天皇の陰謀』を引用し、半藤一利の「日本のいちばん長い日」(大宅壮一との共著?)の嘘を暴くこと、

後半は、皇室と国際金融との関わりから、皇室の財産や、「天皇家の実像」が描かれている。バーガミニや、シーグレーブなど、主に海外の著作から、日本の研究者の著作の誤りや、怠慢を指摘し、刺激的な「真相」へ迫っている。

著者の主張をまとめると、

1)8.15宮城事件は偽装クーデターであり、首謀者は三笠宮で昭和天皇の名代であった。

☆青年将校による「偽装クーデター」を演出するのは、皇室をクーデターの被害者として演出し、効果的に陸軍抗戦派の志気をそぐという目的があった。

2)原爆はなぜ広島に落とされたか?→抗戦派の陸軍の第二総軍を壊滅状態に置くという狙いがあった

3)日本を戦争に駆り立てたのは、天皇一族や親英米派と言われた海軍高級軍人や外務省高級官僚と政治家。昭和19年初頭にはもう日本は終戦に向けて動いていたが、ずるずると戦争が長引いたのは天皇家の海外貯金が保全されることと、天皇一族の生命の保障を図っていたから。

☆明治天皇の入替えにより、被差別部落から皇室に入った一族には、財産への飽くなき欲望があった。

4)昭和天皇の父親は西園寺公の養子であり、大正天皇と同年代だった、西園寺八郎。秩父宮、高松宮、三笠宮は東久邇宮が父親。

☆病弱の大正天皇が何人も子供を授かったという話は信じがたい。貞明皇后は、昭和天皇を全く気にかけず、秩父宮を皇位につけるべく画策している。

☆友人Fの説として、昭和天皇は大室寅之祐という説も紹介。

5)天皇家への国際金融同盟の脅迫ー
2.26事件は、壬生の乱。大正天皇に子供が出来なかったので、貞明皇后に男をあてて、子供を産ませた。「皇室の秘め事」により、日本は太平洋戦争に誘い込まれ、敗北という結果となった。

後半は、刺激的な話題が多く、まとめづらいですが、大体こんな所。

半藤一利『日本のいちばん長い日』が物語に過ぎないことは至極納得する。どの時代あれ多くの人間は「真実」と共に生きる事ができない。「物語」によって生き「物語」によって死ぬのだ。

バーガミニが示唆したであろう「某中佐」は、三笠宮だと思われるが、クーデターの黒幕として、三笠宮が昭和天皇の名代という説には、特に納得させられる説明はない。海軍悪人説については、このとおりかもしれない。皇室およびヨハンセングループが、国際金融同盟と通じていたことも間違いないでしょう。

鬼塚氏は、そのことをもって天皇を告発する姿勢ですが、その怒りの激しさは戦後生まれの私にはどうにも理解できない。国際金融同盟に対して昭和天皇でなかったなら、戦争を避けられたというのなら、昭和天皇が愚鈍な王様だったという証明になるのですが。。。

鬼塚氏への不満は、明治維新から日露戦争、大東亜戦争が仕組まれていたことを示唆しつつも、最終的に天皇個人への呪詛へと向かっていくこと。文春や岩波系の文化人が「天皇教」の呪縛から逃れられないと鬼塚氏は言うが、確かに明治からの日本の戦争の歴史は「天皇制」と密接に関わっているが、天皇制でなかったなら、日本が「戦争の歴史」から免れていただろうか?

特攻隊の狂気は、イエスや、アラーの名の下に行われた狂気を上回るものだろうか? 戦後天皇を断罪していたなら、今の日本が抱える様々な問題を解決できていたであろうか? 

天皇責任の議論が出来ないことを嘆く日本人は多いが、神の否定の後には、徹底した資本主義と、グローバリズムしか残っていない。

また、天皇制への批判というよりは、やはり、昭和天皇個人への呪詛に満ちていて、制度というよりは「人物」批判のように感じられた。 

鬼塚氏の力作を戦後60年後に、読む事ができることができる幸せを感じつつ。

☆☆☆☆

☆「ジャパンハンドラーズと国際金融情報」

ここで、鬼塚氏の主張を私なりに咀嚼すると、広島に原爆を落としたのは、抗戦派の陸軍の第二総軍を壊滅状態に置くという狙いがあったという。また、同じく第一総軍は、本部を東京に持ち、この指揮官の中に第一二方面軍の田中静壱大将がいる。鬼塚氏は、田中大将の45年8月24日の「自決」の時刻が、「森大尉が斬られた同じ時刻」である「午後11時すぎ」という、蓮沼侍従武官長の死の直前の回想記を根拠に、半藤本が書く「森大尉殺害」の時刻は実際よりも2時間も遅れていた、つまり半藤は嘘をついていると書いたのである。(中略)

〜が、いろいろの記述を読んだ結果、要点として、鬼塚氏は、「半藤本には、塚本中佐の話や、阿南陸軍大臣が終戦の前日の14日から15日の間断続的に、皇族の一人である三笠宮と個人的に会って激しい議論をしていたことが書かれていない」、ということが言いたいのだと理解した。

そして、下級将校にすぎない畑中、椎崎らがなぜ自由に皇居に入り込めたのかという本質的な問題点を指摘する。確かに。これは鬼塚氏は、「皇族レベルの手引きがなければ出来ない話だ」というのである。(中略)

〜要するに天皇の身の保全はアメリカの戦争指導部によって保証されたわけだ。グルー大使とスティムソン陸軍長官が保証した、というのでいいだろう。マッカーサーが天皇の姿に感動したというのは、たぶんとってつけた話だろう。「身を守ってくれたアメリカの実行した東京裁判も、原爆もこれは容認せざるを得ない。下手に突くと、やぶ蛇が出る」と昭和天皇は考えたのではないか。だから、富田メモのような靖国宮司批判をやったのではないか、というのが今の私の勝手な考え。

ただ、鬼塚さんたちに言いたいのは、この宮中グループというか、ヨハンセンの功績というのもある、というところ。

グローバリストのヨハンセン・グループは、吉田茂を初めとして、国際金融資本グループの「実力」を明確に理解していた。だから、憲法九条によって、戦争に巻き込まれることを避ける、という決断をした。グローバルに「奴ら」の恐ろしさを本当に分かっていたからこそ、戦争放棄というウルトラCの憲法を逆用して、少なくとも軍事的には国際秩序に積極的にコミットしていくことを封じるとという「妙手」を可能にしたのだろう。経済的にはむしられているけれども。 (中略)

〜共同通信の報じた、皇室の隠し財産の記事、これは重要であるから、「佐賀新聞」のデータベースを使って調べて保存しておかなくては為らない。
結局、鬼塚氏もまた、中央銀行ネットワークであるBIS(国際決済銀行)に行き着いた。このBISは、戦時中も敵味方となく資金決済をしていた。だからこそ、アメリカのロックフェラー・スタンダードやロスチャイルドのシェルが、パナマ船籍という抜け道を使って、日本やナチスドイツに石油を輸出し続けた、という話になる。あるいは、赤十字の船という抜け道をつかったらしい。

【目 次】

《悲の章》
・かくて「神聖悲劇」の幕が上がった
・某中佐の行動の中に真実が見える
・三笠宮の終戦工作
・某中佐の行方を追う
・偽「クーデター」計画があった

《惨の章》
・森近衛師団長惨殺を諸作品に見る
・X少佐の行方を追う
・森師団長惨殺事件の周辺を洗う
・『天皇の陰謀』はどうして偽書とされたのか
・そこに、誰と誰がいたのか
・『さらば昭和の近衛兵』を読み解く
・近歩二第一大隊長の手記を読む

《空の章》
・『昭和天皇独白録』には真相が書かれていた
・森赳、死線をさまよう
・「神聖悲劇」が森赳を惨殺した
・失われた二時間を求めて
・何が起こり、時が失われたのか

《玉の章》
・玉音版はどこに消えたのか
・「玉音版事件」は国民にどのように伝えられたのか
・天子の変身、サムライの落日
・皇居前広場の奇々怪々

《秘の章》
・太平洋戦争はどうして起こったか
・皇室の「秘めごと」から歴史の闇を見る
・天皇ヒロヒトは南進策をとった
・鶴の一声、近くて遠し

《醜の章》
・原爆投下の謎に迫る
・広島にどうして原爆が落ちたのか
・かくて、鶴の一声が発せられた
・八月十五日、日本のいちばん醜い日
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【内容紹介】 1945年(昭和20年)8月14日から15日の二日間に発生した「8.15宮城事件」、世にいう「日本のいちばん長い日」—徹底抗戦を叫ぶ陸軍将校たちが昭和天皇の玉音盤奪取を謀って皇居を占拠したとされるクーデターで、森近衛師団長が惨殺される。この惨殺はなぜ決行されたのか?いつ、どこで殺害されたのか?遺体はどう処理されたのか?膨大な史料と格闘しながら真相を追っていくうちに著者は、この事件が巧妙なシナリオにのっとった偽装クーデターであることを発見した。この日本という国に、依然として残る巨大な「タブー」に敢然として挑戦する「危険な昭和史ノンフィクション」の登場(2007/8月)

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by yomodalite | 2007-08-10 16:33 | 天皇・皇室 | Trackback | Comments(0)

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実

草薙 厚子/講談社



第9章に書かれている少年の障害は「高汎性発達障害」。自閉症、アスペルガー障害などを含む、生まれつきの資質に基づく発達障害のこと。

著者に依れば、佐世保の小六の少女や、静岡で母親に毒物を投与した16歳の少女、実母を殺害し、少年院出所後すぐに見知らぬ姉妹を虐殺した山地悠紀夫もそうらしい。

著者は、この著作により法務省より謝罪勧告を受けたようですが、ひどい人権侵害が頻繁に行われているマスコミ取材や報道と比較して、はたして、それが公平といえるのかどうかはよくわからない。

「序章」より

本書はこの事件に関する奈良県警の約3000枚の供述調書を公開したものである。
著者は本書をためらいながらも出版した。

後押ししたのは非業の死を遂げた継母のご両親の「娘が存在した証を残してほしい。真実を伝えてほしい」 という言葉だったという。

本書では少年事件という事情から、登場人物の氏名はすべて匿名であるが、継母だけはご両親の許可を得て下の名前を実名で記してある。

彼女の名前は民香(みんか)という。

【J-Castニュース】 を下記に引用

奈良県で少年が自宅を放火した事件について綴った書籍の出版社と著者が、著しく少年のプライバシーを侵害したとして法務省から謝罪勧告を受けた。問題となった書籍は、この事件について少年の心理や家庭環境を警察の捜査資料に基づいて詳細に綴ったもの。その中ではマスコミの「事実誤認」報道を指摘するなど、社会的メッセージの強いものだった。

「警察の作成した供述調書が引用される」
問題となった書籍は2007年5月に 講談社 から出版された『僕はパパを殺すことに決めた』。元法務省東京少年鑑別法務教官でフリージャーナリストの草薙厚子さんが執筆した。06年6月に奈良県田原町で、少年が自宅を全焼させ妻子3人が死亡した事件を巡って、捜査資料や事件で死亡した少年の継母の両親への取材に基づき、詳細に事件の背景を追ったもの。

書籍の冒頭では奈良県警の「供述調書」を含む捜査資料をA4判用紙で約3,000枚収集したことが記されており、実際に本のなかでは「供述調書」と思われる文章が50箇所以上にわたって引用されている。

草薙さんは同書の冒頭で次のように述べている。
「本書を世に出すことに、批判の声もあるかもしれない。なぜなら、少年事件において警察の作成した供述調書が手に入ることは、いかなる取材をもってしても本来ありえないことだからだ。私自身ためらいもあった」

草薙さんは、「それでもあえて、供述調書に記された少年の肉声を公開することに決めた」理由として、(1)少年事件で審判が公開されず、少年の内面について何一つ確かな情報が報じられなかったこと、(2)膨大な報道のなかに多くの事実誤認があり、報道の間違いを正すことが使命だと感じたこと(3)事件で死亡した少年の継母の両親が「娘が存在した証を残してほしい」と草薙さんに語ったこと、を挙げている。ただし、手に入るはずのない「調書」の入手経路などは書籍の中でも触れられていない。

書籍では、少年が、放火に至った理由を「供述調書」の引用を交え、説明している。ワイドショーなどの報道で、事件の動機が「継母との確執」などと報じられたことを否定している。

「少年のプライバシー保護のために勧告に至った」
しかし、この書籍の出版直後から、草薙さんの懸念通りに、「供述調書」が多く引用されたことを法務省などが問題視。奈良家裁が07年6月に講談社と草薙さんに対し「少年審判の信頼を著しく損なう」などとする抗議文を送付したほか、法務省も人権侵犯事件として捜査に乗り出した。そして、 法務省 は2007年7月12日、講談社と草薙さんに対し、謝罪と被害拡大を防止するよう勧告した。
法務省人権擁護局調査救済課は J-CASTニュース に対し
「書籍のなかで、少年審判事件の記録、供述調書を引用しつつ、少年の生育歴や家庭環境などのプライバシーを詳細に記録したため、少年のプライバシー保護のために勧告に至った」

と説明する。また、この書籍をめぐっては同省同局に、少年の父親から「被害申告」があったという。

一方、講談社広報室は「今回の勧告については真摯に受け止めております。今後も少年法の精神を尊重しながら、社会的意義のある出版活動を続けていく所存です」とのコメントを発表。草薙さんも講談社を通じて、「今回の勧告につきましては、出版元である講談社と見解を一にしています」とのコメントを発表している。

J-CASTニュースは草薙さんが所属する事務所にも取材を試みたが、事務所側は「講談社と同じスタンスということなので、対応は講談社になる」としており、草薙さんは口を閉ざしたままだ。講談社はこの書籍の増版を中止することを検討するという。

【目 次】
序章 逮捕/焼け落ちた絆
第1章 計画/殺害カレンダー
第2章 離婚/学歴コンプレックス
第3章 神童/飛び級と算数オリンピック
第4章 家出/継母が打ち明けた苦悩
第5章 破綻/カンニング
第6章 決行/6月20日、保護者会当日
第7章 逃亡/ひたすら北へ
第8章 葛藤/娘を殺した「孫」との面会
第9章 鑑定/少年が抱えていた「障害」
終章 慕情/裁判所で流した涙
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【内容紹介】IQ136の天才少年はなぜ、自宅に火をつけたのか——。
2006年6月20日、奈良県で発生した事件は日本中を震撼させた。全国でも屈指の進学校・私立東大寺学園高校に通う16歳少年が自宅に火をつけ逃走、焼け跡からは少年の継母と異母弟妹の3人が遺体となって発見された。事件後、少年は中等少年院に送られたが、事件の真相は少年法の厚いベールに包まれていまだに明らかになっていない。

著者の草薙厚子氏は、独自に入手した3000枚の捜査資料をもとに、少年と家族の実態に迫る。 警察が作成した供述調書には、少年の振り絞るような肉声が残されていた。

僕はこれまでパパから受けた嫌なことを思い出しました。パパの厳しい監視の下で勉強させられ、怒鳴られたり殴られたり蹴られたり、本をぶつけられたりお茶をかけられたりしたことを。なんでパパからこんな暴力を受けなければならないんや。一生懸命勉強してるやないか。何か方法を考えてパパを殺そう。パパを殺して僕も家出しよう。自分の人生をやり直そう——。
僕はそう思うようになりました。(「第一章 計画/殺害カレンダー」より)

少年は4歳の時から、医師である父親にマンツーマンの勉強指導を受けていた。
指導はやがて鉄拳制裁とセットになり、少年は十年以上にわたって虐待に近い暴力を受け続けた。 少年はついに、父親殺害を決意する。中間テストの英語の点数が平均点に20点足りない——。

直接の引き金となったのは、ただそれだけのことだった。そして実際に犠牲になったのは、憎んでいた父親ではなく、罪のない継母と弟妹だった。
本書には、少年が父親を殺そうと決意してから家に火をつけるまで、みずからの心の動きを赤裸々に記した直筆の「殺害カレンダー」が掲載されている。

父親は少年が医師となることを強く望んでいた。医師となるためには良い大学に行かなければならない。 そのためには勉強を強要するのもやむをえない——。

そうしたひとりよがりの愛情が、いつしか少年を追い詰めていた。今回の事件は、「特殊な家庭の特異な出来事」と言えるのか。過熱する受験戦争の中、わが子を「所有物」だと思っているすべての親は、この父親の予備軍かもしれない。
本書はいま改めて、「家族のあり方」を世に問う一冊でもある。 (講談社 2007.5.21)

【著者紹介】草薙厚子(くさなぎ あつこ) /元法務省東京少年鑑別所法務教官。 地方局アナウンサーを経て、米通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門のアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリージャーナリストに転身し、少年事件を中心に週刊誌、月刊誌に多くの記事を発表している。講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。
著書に『少年A矯正2500日全記録』(文藝春秋)、『子どもが壊れる家』(文春新書)、『追跡!「佐世保小六女児同級生殺害事件」』(講談社)などがある。





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by yomodalite | 2007-08-10 11:25 | 裁判・法律・犯罪 | Trackback | Comments(0)

アイドルにっぽん

中森 明夫/新潮社



新人類三人組と呼ばれた、野々村文宏、田口賢司が消えた中、現在も衰えることのない中森氏の底力が伝わる書。

80年代、新人類、ニューアカ、ポストモダン、『ビックリハウス』、『宝島』「ヘンタイよいこ新聞」、戸川純。。。。

懐かしく愛おしいそれらに対して、中森氏は、当時よりも、ずっと貴重な存在になっている。

中森氏は、少女の魅力を捉えることにおいて、「写真」の素晴らしさを篠山紀信を通して語っているのですが、あの頃の小泉今日子のパワーも、オリーブの栗尾美恵子の煌めきも、写真にすら残すことは出来ないのだ。

中森氏の文章ほど、移りゆく時の悲しみを気付かせてくれるものはそうはないでしょう。

序章「アイドルにっぽん」宣言

アイドルとは何か。
その答えは、日本国憲法に書いてある。

第一章、第一条ーーー。
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

今、私はこの「象徴」を「アイドル」と読み替えてみたい。
天皇は、日本国のアイドルである。
つまり我が国は、天皇をアイドルとする芸能国家なのだ、と。逆に天皇を「アイドル」と読み換えたらどうなるか。その際、日本国民は「ファン」と読み換えられるだろう。
アイドルとは、ファンの統合の象徴であって、その地位は、ファンの総意に基づく。そう、主権はあくまでファンの側に存在するのだ。


【目 次】
序章 「アイドルにっぽん」宣言
第1章 ニュースなアイドルたち
第2章 八〇年代/アイドルの肖像
第3章 アイドル論を超えて
第4章 “美少女”たちの伝説
第5章 王子たちへの手紙
第6章 篠山紀信という迷宮
終章 三〇〇一年、「アイドルにっぽん」の旅
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【日販MARCより】美しい国から、かわいい国へ。アイドルは時代の象徴ではなく、時代がアイドルを模倣する。アイドルを読むこと、それはすなわち日本を読むことだ。著者25年分の論考集成、憂国のアイドル論。

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by yomodalite | 2007-08-10 09:34 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

ブラック・ダリアの真実〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

スティーヴ ホデル/早川書房



ブラック・ダリアの真実〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

スティーヴ ホデル/早川書房

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ブラックダリア事件にも、猟奇殺人にも、あまり興味はないのですが、マン・レイが事件に関わっている?というのを小耳にはさみ、慌てて読んでみました。

著者の主張は、著者の父とその友人が犯人であり、ブラック・ダリアは、単独事件ではなく、連続殺人事件であるということ。

有名事件には、自分が犯人であると主張する自白マニアが多くいるというのも、この本で初めて知りましたが、元LAPDの優秀な刑事である著者の主張には、疑わしいところは、あまり感じられない。

また、ピアノの天才にして、IQ186、15歳で、カリフォルニア工科大学進学、16歳で中退後は事件記者、コピーライター、ラジオのアナウンサー、文学雑誌の編集者、タクシー運転手などを経験後、30歳前にして医師の資格を得、外科、精神科の医者になった、ハンサムで、フランク・ロイド・ライト設計の家に住む、超人的な「父」のエピソードが非常に興味深い。

ブラック・ダリアの遺体が、マン・レイの影響による「ポーズ」をとらされていたことなど、文庫にしては、写真掲載が多く、読みごたえがあります。

『下山事件』と同様、家族の物語としても、相当な厚みがありました。

【上巻目次】
ビルトモア・ホテル
身元不明女性第一号(ジェーン・ドウ・ナンバーワン)
家族の死
墓場からの声
ドクター・ジョージ・ヒル・ホデル・ジュニア(1907〜1999年)
ジョージとドレーロ
ハリウッド・スキャンダル
流浪の民(ジプシー)
スービック・ベイ
キヨ
ダリアを知る人びと
LAPDと報道機関 共同捜査の行方
LAPDとマスコミ アヴェンジャーからの手紙
“レッド・リップスティック”殺人事件
タマール、ジョー・バレット、そしてダンカン・ホデル
フレッド・セクストン“第二の容疑者”
LAPDの秘密とマルキ・ド・サド
エリザベス・ショート“失踪の一週間”
決定的な関連性 マン・レイの思紋
再訪「フランクリン・ハウス」
腕時計、校正用紙、FBIファイル、声
筆跡分析
 
【下巻目次】
1940年代にLAで起きたその他の女性殺害事件
ブームハウワーとスパングラー誘拐殺人事件
ストーカー部長刑事、LAPD組織犯罪課、闇の堕胎組織
ジョージ・ホデル 暗黒街とのつながり—“ヒンキー”
ダリアゲート 二重の隠蔽工作
大陪審
ダリア神話
ダリア調査、2001〜2002年
忘れられた被害者たち、1940年代推論(プロバブル)
忘れられた被害者たち、1950年代推論(プロバブル)
ジョージ・ホデル・エリザベス・ショート 復元された時系列
地方検事事務所へ私の事件を提訴

http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/murder/text/blackdahlia.html
http://yuki19762.seesaa.net/article/25855197.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%BA%8B%E4%BB%B6
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【上巻内容】1947年1月15日午前10時半、ロスアンジェルスの空き地で一体の他殺死体が発見された。 駆けつけた警官や新聞記者は異様な光景に眼を疑う。 「何てこった、この女は真っ二つに切断されているぞ!」大規模な捜査にもかかわらず、ついに真相は明らかにされないまま迷宮入り。 そして事件は伝説となった。 被害者エリザベス・ショートの愛称「ブラック・ダリア」とともに—それから半世紀、事件の真相がここに明らかにされる。

【下巻内容】父が遺した写真をきっかけに、元LAPDの敏腕刑事である著者は事件の真相に迫る。時の流れとともに忘れられた事実、知られざる証言が次々と発掘された。 それらが導く結論—ブラック・ダリア殺害事件は、実は1940年代から50年代にかけてロスアンジェルス地域で発生した連続殺人のひとつだった。 しかも真相が闇に消えたのには恐るべき秘密があった…伝説の迷宮入り事件を追及し、ベストセラーとなった犯罪実話の白眉。  早川書房 (2006/09)

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by yomodalite | 2007-08-08 10:51 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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