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驕れる白人と闘うための日本近代史/松原久子

驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫)

松原 久子/文藝春秋

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1989年にミュンヘンで出版され、2005年8月に日本で出版された本。著者は日本人ですが、これをドイツ語で書くことに専心し、日本語版は、田中敏の翻訳による。

下記は、「Let's Blow! 」より引用・・・・・

この人、ドイツで、ドイツ語で小説、戯曲、短編、評論を執筆してたらしい
で、ドイツの全国テレビで毎週五カ国の代表が出演して行われる討論番組に、彼女がレギュラーとして出演してた時のこと

そのときのテーマは、案の定「過去の克服‐日本とドイツ」
相変わらずドイツ人は、日本軍がアジア諸国で犯したという「蛮行」をホロコーストと一緒くたにするわ、イギリス人は代表は捕虜虐待を、アメリカ人は生体実験とか南京事件を持ち出すとかして日本を攻撃非難した

こっからが、松原さんの偉いところ。彼女は1人でそいつらの批判を真っ向から受けて立って、ドイツ代表には、 ホロコーストは民族絶滅を目的としたドイツの政策であって、戦争とは全く無関係の殺戮であること、そういう発想そのものが日本人の思惟方法の中には存在しないって反論

イギリス代表には、 イギリス人による日本人捕虜虐待、アメリカ代表には100以上の日本の都市に対する無差別爆撃を指摘した。 で、その後がすごい

番組終了後 「テレビ局からケルン駅に出てハンブルク行きを待っていると人ごみの中から中年の女性が近づいてきた (中略) 彼女は私の前に立ち、『我々のテレビで我々の悪口を言う者にはこれだ。日本へ帰れ』と言うなり私の顔にぴしゃりと平手打ちをくらわし、さっさと消えていった」(雑誌「正論」平成十三年一月号より)

日本で「日本」のいいこと言う人はいくらでもいるけど、彼女みたいに、まわり全部が外人で、討論相手も全部欧米人・・・なんてなかで袋叩きに遭いながら反論して・・・番組終わってから、平手打ちをくらうほど自国を、この日本を弁明した人がいるか?

(中略)

なんで日本人は「日本の弁明」をしないのか 西洋崇拝?西洋人の歴史観に洗脳<汚染されてる? 語学力がないのか? それとも言挙げしないって美学かな

それじゃ、ダメだよ・・・黙ってたら、認めたことにされちまう、外国では

松原さんはね、「傷ついて、傷ついて、悔し涙を流して」(本人談)日本の弁明してくれてる、変なサヨク言うところの、ことさらに美点を強調した「修正史観」じゃなくていい、日本民族の優越性を主張しなくてもいい、まともな「事実」を海外に知らしめてくれたら、もうそれだけでいい

この話、後日談があるんだって。それで、ドイツ人をちくっと見直した

松原さん、次のテレビ出演のとき、平手打ちされたことを番組のはじめに話して「ドイツには今もって言論の自由がないから身を守るため沈黙する」 と宣言したらしい

そしたら、放送中視聴者からの電話がいっぱいかかってきて・・・花束がお見舞いとしてたくさん送られてきたんだって

その中に、こんなカードが入ってた 「あなたの言うことは腹立たしい。でも本当だから仕方ない」 訳者の田中敏さんによると、松原さん曰く「この本は、どうしても彼らに言わぬば我慢できないという『激怒』と『使命感』 に燃えて書き上げた」

田中さんはそれについて「深いところで東西の対決を試みる日本人だけが自己正当化の渦のなかに巻き込まれ、毅然とした日本人だけが彼らから冷酷な扱いを受けるのである」と言ってる

松原さんが「出版にこぎつけるまでの闘いで、一度に十歳くらい歳をとった」っていう本

(引用終了)

だそうです。
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【出版社 / 著者からの内容紹介】 近代史を見れば、白人が野蛮だったのは明らかだ!
欧米人の優越意識を覆すためにドイツで刊行され、あまりにもはっきりと「日本の優越」を展開したため、大きな物議をかもした書

【BOOKデータベースより】 欧米においては、自分たちの歴史こそ世界史であり、自分たちの生き方にこそ文明の名にもっとも相応しく、地球上のあらゆる民族は欧米文明の恩恵に浴することによって後進性から救われたと教えられてきた。だから彼らの潜在意識の奥深くには、確固たる優越感が入り込んでいる。これに対し、著者は、江戸期の鎖国日本は経済的社会的にみごとなまでのバランスのとれた「小宇宙」社会を形成しており、人間と自然の共生に心を砕いていたと史実を示す。それは同時代ヨーロッパの、すべてを侵略征服せんとする拡張謳歌精神とは正反対だと指摘する。ヨーロッパの世界侵略は、その「小宇宙」を壊したのであり、それを「文明開化」と解釈するのは大間違いだと言う。この、ヨーロッパのほうが野蛮だった、とういう主張は、ドイツで大きな物議をかもしたが、同時に今や、世界人口の急増と資源の枯渇を前にして、欧米でも「小宇宙」日本の共生思想に目覚め始めている。欧米人の優越意識を覆すためにドイツ語で刊行された書を、今度は日本人の劣等感を打ち破るために、邦訳出版する。大航海時代の到来以後、全世界を発見、征服した「偉業」に対する欧米人たちの誇りを根底から覆す書。

■松原久子/京都市出身。1958年国際キリスト教大学卒業後、米国ペンシルヴェニア州立大学院舞台芸術科にて修士号取得。同時に日本演劇史を講ず。西独ゲッティンゲン大学院にてヨーロッパ文化史専攻。1970年日欧比較文化史において博士号取得。週間新聞 DIE ZEIT にコラムを持ち、西独国営テレビの番組で日欧文化論を展開。ドイツペンクラブ会員。ドイツ語による著書多数(小説、戯曲、短編、評論)。1987年より米カリフォルニア州に移住。スタンフォード大学フーヴァー研究所特別研究員を経て、現在著作に専念。 [主要著書]『日本の知恵 ヨーロッパの知恵』(三笠書房)、『和魂の時代』(三笠書房)その他、ドイツ語による著作(一部は世界8カ国で翻訳出版)多数。

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by yomodalite | 2007-05-28 20:07 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

外交敗戦—130億ドルは砂に消えた/手嶋龍一

1993年に発売された『1991年日本の敗北』の文庫化。大蔵省、外務省の二元外交の弊を実際の証言者への緻密な取材により描かれています。登場人物がよく描かれていて、橋本元首相と、ブレイディ、育ちの良い二人の会談など、どのような雰囲気だったのかよく理解出来ます。この後、大蔵省は解体され、現在自衛隊はイラクに派遣され、憲法は改正されようとしている。

___________

【内容紹介】それは、大蔵省、外務省の暗闘が招いた結果に他ならなかった—。湾岸戦争終結後、クウェート政府が発表した感謝国リストに“JAPAN”は存在しなかった。130億ドルもの国家予算を投じ多国籍軍を支援しながら、ニッポンを迎えたのは、世界の冷笑だった。戦略なき経済大国の「外交敗戦」を、『ウルトラ・ダラー』の著者が圧倒的な情報力で描ききる。

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by yomodalite | 2007-05-23 12:51 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

昭和の三傑—憲法九条は「救国のトリック」だった/堤堯

昭和の三傑―憲法九条は「救国のトリック」だった (集英社文庫)

堤 堯/集英社

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以前から気になっていた本を、憲法改正議論の中ようやく読了しました。

以下のサイトより引用

吉田茂と幣原喜重郎が、アメリカのダレスの再軍備要求をうっちゃって「憲法九条」による、アメリカの「日本永久占領」を受け入れる選択をしたというのは、 堤暁氏の『昭和の三傑』(集英社) が発刊されていらい、もはや定説になっている。

名著『現代の戦略』 を書いた永井陽之助氏は、これを「吉田ドクトリン」と名付けて、軍需ケインズ主義に日本が傾斜することを戒めた。
日本の戦後の繁栄は吉田茂の重要な決断に基づいていた。この決断によって、日本はベトナム戦争という闘われる必要の全くなかったアメリカの暴走した国家戦略に追従することを免れ、軍需景気だけを享受することができたのである。

この世から戦争を無くすことはできないにしても、余分な戦闘にわが国は関わらないことはできる。この問題は宮澤喜一が昔、「モラリティのない日本」という問題意識で提示した問題でもある。(注2)宮澤元首相は、モラリティのない日本をやや批判しておられた。だから、私は国連決議があれば派兵には原則としては賛成である。ここでモラリティは確保できる。今のアメリカはモラリティだけの外交、しかもそのモラリティがイスラエルの安全保障を守るための隠れ蓑になっており、これもまた問題なのである。

しかし、「日米同盟に基づく派兵はできないとという風に口で言わなくても制度としてそうなっている」今の制度が実に素晴らしいと思う。しかも、憲法押しつけの責任はアメリカ側にある。
だから、今の憲法を変える必要はないのである。

つまりこういう事だ、

わが国は国際協調の名の下で「一国平和主義」を掲げるべきなのである。

(注) 吉田茂の発言は次の通りとされる。

(引用開始)

…だが、壇上の夏目晴雄学校長の口をついて出た言葉は僕の予想とは似ても似つかないものだった。

(校長は)「その上で、防大の生みの親である吉田茂元首相が諸君の先輩にこう言われたことがあります」と前置きして、防大OBの間で長年にわたり語り継がれてきたその言葉を紹介した。

…『「君たちは自衛隊在職中決して国民から感謝されたり歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。

しかし、自衛隊が国民から感謝され、ちやほやされる事態とは外国から攻撃されて国家存亡のときとか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。言葉をかえれば、 君たちが日陰者であるときの方が、国民や日本は幸せなのだ。耐えてもらいたい。」

……諸君の先輩は、この言葉に心を打たれ、自らを励まし、逆風をはねのけながら、ひそやかな誇りを持ち、報われることの少ない自衛官としての道を歩んだのであります。』

杉山隆男「兵士に聞け」新潮文庫、pp57-58。
(引用終わり)

(注2)この問題については田原総一朗との宮澤氏の対談を参照。

(引用はじめ)

「実は私は、外務大臣のときに次官以下の幹部の諸君に宿題を出したのですよ。まず、こう問いました。日本は憲法によって戦争の放棄を宣言し、どこの国とも仲良くするということを外交方針にしていると、私は考えているのだが、間違いはないか、とね。げんに、憲法の前文に『諸国民の公正と信義に信頼して……』と書いてあるのですよ。みんな、間違いない、その通りだと答えました。そこで私は言ったのです。もしも、どこの国とも仲良くするということを、実際に行うとこれは大変にモラリティの無い外交にならざるを得ない、とね。そうでしょ」

-わかりません。どうして、です?

「どこの国とも仲良くすると言うことは、たとえ、どんなひどい、不正や非人間的な事が行われていても、その国に対して、制裁行動は起こさないで仲良くするということでしょう。これはモラリティの無い外交ではないですか」

宮沢氏がイランやソ連の行動を指しているのだろう、とは、容易に推察できた。

-非人間的なことが行われていれば、やはり、それに抗議すべきじゃないのですか。

「抗議してやめてくれれば良いのですが、もしも改めなかったらどうするのです」

宮沢喜一氏は、逆に問うた。

「口先でいうくらいじゃ抗議にもならない。まるで効果はない。といって、日本は武力行使はダメ、威圧もダメ、十字軍を出すこともできない。一体、どうすればよいのです」

どうすればよいのか、と、私は宮沢氏の言葉をそのまま口にするしかなかった。

「結局、日本はモラリティのない外交しかできない。また、国民も本心ではそれを望んでいるのではないですか。 一切の価値判断をしない外交。しかし、これは、ごまかし外交でしてね。価値判断と言えば損得勘定だけでしょうな。価値判断がないのだから、何も言えない。言うべき事がない。ただ、頭を叩かれれば引っ込める。世界の空気を眺めて大勢に従う。日本はこれまでそれでやってきたのですよ。念のために言っておきますが、日本の外交、いかにあるべきか、という宿題の解答は外務省の諸君からいまに到るももらってません」 (文藝春秋1980年3月号 「ソ連は怖くないですか」宮沢喜一/聞き手 田原総一郎 から)

(引用終わり)
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【BOOKデータベース】 未曽有の敗戦処理に当たった三代の宰相は、智略の限りを尽くして占領軍アメリカに立ち向かった。憲法九条の発案者はいまだに定まらない。天皇制存続とバーターに押しつけられたとする「定説」を覆し、ビックリ条項に秘めた「救国の経略」を明らかにする。

【MARCデータベース】「憲法第九条」は日本製だった。日本国民が「アメリカの手駒」となることを防ぐための当時の歴代首相の「知恵」とは? 鈴木貫太郎、幣原喜重郎、吉田茂をキーマンに、戦後を総括する歴史ノンフィクション。

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by yomodalite | 2007-05-12 22:48 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

日本数奇/松岡正剛

日本数寄

松岡 正剛/春秋社

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日本数奇 (ちくま学芸文庫)

松岡 正剛/筑摩書房

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単行本を読むのは『ルナティックス』以来。

本書を読んで思ったのは、同じテーマを繰り返すことによる熟成が氏の文章には見られない気がします。かつての『遊』や「千夜千冊」は面白いのですけど、単行本での傑作にはまだお目にかかっていないような。。。

☆追記:名著ありました!!(謝)

氏の個性として、渋沢龍彦の「高丘親王航海記」のような完成には至らない人なのかな。

[目次]

1.日本の意匠(吉右衛門の梅;桜と時代 ほか)
2.神仏のいる場所(中心の移動;説明の庭 ほか)
3.数寄と作文(主客の遊び;茶数寄茶振舞 ほか)
4.江戸の人工知能(和算と条理学;江戸の人工知能 ほか)
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【内容】ときにまっすぐに核心を射抜き、ときにキワに寄りながら、日本の歴史からさまざまな趣向(数奇)の系譜を見出し、縦横無尽にそのつながりを辿る。
梅に桜、唐草や咋鳥といった文様や意匠の系譜、曲舞に能楽、祭りの神興、神社の空間、仏壇のしつらえ、さまざまな名物、利休に織部、茶の湯の文化の仕掛け人たち、はては和算に人口知能…著者の博識に身を委ね、歴史と現在を大胆に横断しながら見えてくる、無常迅速、日本のダンディズムの歴史。

[MARCデータベースより]いま、日本は漠然としすぎている。何かが発揮されないまま、すっかり沈殿したままになっている。歴史と現在が大胆に交錯しないからである-。日本文化史にひそむ話題を取り上げ、その行間の一端に今日につながる隙間を透く。


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by yomodalite | 2007-05-10 18:16 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

小泉官邸秘録/飯島勲

小泉官邸秘録 総理とは何か (文春文庫)

飯島 勲/文藝春秋

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秘録とありますが、内容は前書「代議士秘書—永田町、笑っちゃうけどホントの話」に比べて赤裸裸度は大幅に減じています。身もふたもないような自慢話が続き、最後まで読み通すのがとても辛い。小泉劇場が好きで、暇な方向き。
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【MARCデータベース】米国同時多発テロ、北朝鮮外交、郵政民営化など様々な難局に官邸はどのように対応したか。小泉内閣で主席総理秘書官を務めた著者が初めて明かす、決断と改革の真実。政策決定の舞台裏を、内部者ならではの視点から克明に描く。
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by yomodalite | 2007-05-09 21:39 | 政治・外交 | Trackback | Comments(0)

ユダヤ・キリスト教世界支配のカラクリーニーチェは見抜いていた/ベンジャミン・フルフォード, 適菜収

ニーチェは見抜いていた ユダヤ・キリスト教「世界支配」のカラクリ

ベンジャミン フルフォード,適菜 収/徳間書店

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フルフォード、適菜氏の対談+コラム。内容はユダヤの世界支配ではなく、一神教の問題点がほとんど。目次にコラムが含まれておらず、本文に挿入されるスタイルが読みにくく、対談では、ユダヤ差別に関して慎重であるにも関わらず、凡庸な陰謀論タイトルが気になります。

適菜氏のニーチェ本に関しては、この本で初めて知りました。

【目次】
第1章 世界を壊しゆくユダヤ・キリスト教の超支配をいかに終わらせるか!?
第2章 一神教の神の座に神に入れ代わって鎮座する「民主主義」「近代理性」の正体
第3章 キリスト教の「羊の群れ=人間牧場」管理システム
第4章 キリスト教に虐げられたユダヤ教の復讐―それが世界を動かす原理に化けた!?
第5章 ユダヤ・キリスト・イスラムの唯一神教に我々はどう対処すればいいのか!?
第6章 巨大宗教の限界と終焉!宇宙/神との繋がりは、一人一人の能力にまかせた方が自然でいい!!
第7章 神を待つな、頼るな、仰ぎ見るな!! この世界は人間の手でしか天国にならない!!
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【出版社/著者からの内容紹介】 「神様は一つには納まりきれない」が持論のベンジャミンとユダヤ・キリスト一神教への舌鋒鋭い批判が本質の哲学者、ニーチェ研究者が激論! 資料としてアメリカ元副大統領アル・ゴアのスピーチ原稿を収録。 徳間書店 (2007/02)


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by yomodalite | 2007-05-04 22:35 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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