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秘密のファイル CIAの対日工作(上下)/春名幹男

秘密のファイル〈上〉―CIAの対日工作 (新潮文庫)

春名 幹男/新潮社



秘密のファイル〈下〉―CIAの対日工作 (新潮文庫)

春名 幹男/新潮社

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初版は2000年共同通信社。

著者は、米国公立文書館で十万ページを超える秘密文書に目を通し、数万ページをコピー、連載時は在日米大使館で毎回翻訳され、米政府内に配布されていた。

昨今、アメリカの対日工作に対して大勢の人が知るようになりましたが、現在読んでも重要な本です。

下記は内容メモ

初代CIA東京支局長であったポール・チャールズ・ブルームと、彼に執事として雇われた成松孝安の奇妙な出会いについて紹介。ブルームは自宅で毎月著名人を集めた夕食会「火曜会」を開催、中でも、

・笠新太郎(朝日新聞論説主幹)
・松本重治(国際文化会館理事長)
・松方三郎(共同通信社専務理事)
・浦松佐美太郎(評論家)
・東畑精一(農業経済学)
・蝋山政道(政治学)
・前田多門(元文相)
・佐島敬愛(信越化学取締役)

の8人の常連については、「8人のサムライ」と呼んでいた。

1953年に、火曜会は解散され、成松はブルーム邸を"円満退社"したが、退職金を現金で与える代わりに、スパゲティ屋の資本金を集めてもらった。店の名前もブルームが考えたその店は、後に全国展開し、日本のスパゲティ料理店の草分けとして有名になる"壁の穴"である。

東西冷戦から1990年代までのCIAの対日工作として、秘密工作部門の大物で、葉山の住人の一人だったデズモンド・フィッツジェラルドが、「チャイナ・ミッション」と呼ばれる秘密工作、すなわち、「中国人を、横須賀、厚木、茅ヶ崎の秘密の施設で訓練する」という対中工作を指揮していた。

ベトナム戦争に対して、日本の市民運動の原型として成長した「ベトナムに平和を!市民連合」(べ平連)が、表面の市民グループと別に、非公然の地下組織、「反戦脱走米兵援助日本技術委員会」(JATEC)という二重構造でできていたこと、JASTECの脱走米兵逃亡ルートをつぶすために、米情報機関からスパイとして偽逃亡兵が紛れ込んだこと等。

政界工作に関しては、GHQの参謀第二部(G2、情報)民間情報局内に、吉田茂追放の論議があったこと、米情報機関と吉田らの"暗闘"が展開されたであろうこと、吉田が「アメリカ政府要人らに対しては、意図的に、毒のない好人物を演じ」ていたこと(中には「彼はどう見ても精力的で野心的な政治家ではなく、温和でのんきそうな地方名士といった感じを与えます」という印象を記している者もいる)等。

安保騒動では、自民党が「全学連と戦う学生グループの創設に努力したが、不十分な資金しかなく、負けてしまいそう」であるとして、右翼や体育会系学生らを動員する資金をCIAが調達したといわれていることや、60年安保を機に、「日本では政治家と右翼とやくざの関係がぐっと近くなった」・・・・など。

【上巻目次】
序章 コリングウッド
第1章 日米開戦への道
第2章 祖国との決別
第3章 CIA対日工作の源流
第4章 反共への急カーブ
第5章 日本の黒い霧
第6章 日本改造

【下巻目次】
第7章 反共工作基地
第8章 政界工作
第9章 情報戦争のいま
_____________

[上巻内容「BOOK」データベース]アメリカ—CIAは、日本に対して何をしてきたのか。戦前・戦中の情報戦、占領期のキャノン機関、児玉誉士夫、笹川良一の活動など、昭和史の転換点には、つねにアメリカの情報工作があった。米国立公文書館に眠っていた膨大な機密書類の発掘とその分析、そして関係者多数の証言から、アメリカによる対日工作の実態を浮かび上がらせる。歴史上の疑問と疑惑に答える日米関係裏面史。

[下巻内容「BOOK」データベース]アメリカ—CIAの対日工作は、GHQの占領体制後も絶え間なく続いた。東西冷戦により、CIAは日本での反共工作を活発化させ、吉田茂、岸信介、佐藤栄作など、歴代の首相に対する政界工作を行う。60年安保、沖縄返還、そして現在の北朝鮮問題まで、日米外交の裏面に隠れた工作の数々が明らかにされる。情報工作という視点から、日米関係の真相と深層に光をあてた迫真の調査報道。



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by yomodalite | 2007-03-31 20:11 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

職業欄はエスパー/森達也

職業欄はエスパー (角川文庫)

森 達也/角川書店




著者は「信じるか、信じないか」というベクトルで論じることを避け、取材者の超常的な能力を描くことで、結果として、超能力者として生きる困難、異端者としての姿を浮かび上がらせた。

【BOOKデータベース】スプーン曲げの清田益章、UFOを呼ぶ秋山真人、ダウジングの堤裕司。かつては一世を風靡し、「超能力者であること」を職業に選んだ彼らは今、どんな日常を送っているのだろう。三人に興味を抱いて、八年間にわたって取材を続けた著者が数々の不可思議な現象をまのあたりにしながら、「超能力」という迷宮にさまよい、彼らの孤独をすくいとろうとした異色の超現実ノンフィクション。


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by yomodalite | 2007-03-31 12:27 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ユダヤ人とは誰かー第13支族・カザール王国の謎/アーサー・ケストラー

ユダヤ人とは誰か―第十三支族・カザール王国の謎

宇野 正美,アーサー ケストラー,Arthur Koestler/三交社




アシュケナージのユダヤ人(カザールorハザール系)の動向を解明した本。現在ユダヤ人は大きく2種類あるいは3種類ある。と著者は言う。 

ひとつは「スファラディ」。ユダヤ人として、旧約聖書にアブラハム、イサク、ヤコブの子孫として歴史に登場する「モーセの民」。スペインを意味するヘブライ語「スファラッド」を語源とする。

彼らは数度にわたるディアスポラ(離散)にあって、1492年までは主としてイベリア半島に定住していたが、イスパニアでカトリックの力が強くなると(いわゆるレコンキスタ)主要部族は北アフリカ、オランダ、フランス南部に移動し、キリスト教徒と融合しながら生き延びた。

この“隠れユダヤ人”たちが「マラーノ」で、スピノザや、レンブラントはポルトガル系のマラーノ。

もうひとつが「アシュケナージ」。ユダヤ人として、東ヨーロッパで多数のコミュニティをつくっていたが、ロシアのポグロムやドイツのホロコーストで迫害され、西ヨーロッパあるいはアメリカに移住した。

アシュケナージは、ドイツを意味するヘブライ語の「アシュケナズ」から派生した呼称で、アシュケナージとは、トルコ系遊牧民のカザール人がユダヤ教に改宗した者。彼らはやがて東欧に移動し、ドイツ語を改竄して「イディッシュ語」をつくった。

いま、世界中のユダヤ人は1500万人ほどいると言われていますが、そのうちの約90パーセントはアシュケナージだといわれる。

「さまよえるユダヤ人」は、現在世界の大多数を占めるユダヤ人ではなかった。

という大胆な「仮説」ですが、現在も、世界中で支持されている論考のようです。

____________

[BOOKデータベース]1500万ユダヤ人の9割を占める東欧系ユダヤ人は『聖書』の民、セム系・ユダヤ人ではなかった。『ホロン革命』のケストラーが自らのルーツを探り、世界のタブー=ユダヤ人問題に挑戦。
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by yomodalite | 2007-03-30 23:07 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

世田谷一家殺人事件−侵入者たちの告白/斉藤寅

世田谷一家殺人事件―侵入者たちの告白

斉藤 寅/草思社



内容は、クリミナル・グループ、アジア系留学生というキーワードの紹介のみ。単行本としての魅力は乏しい。

__________

[出版社/著者からの内容紹介]2000年12月30日、宮澤みきおさん一家4人が世田谷区内の自宅で殺害された「世田谷一家殺人事件」。現場には指紋を含め有力な物証が数多く残されていたにもかかわらず、いまだ解決していない。

自宅にいて、突然、凶悪な事件に巻き込まれた宮澤さん一家。著者を取材に駆りたてたのは、犯人を絶対に許せないという強烈な思いである。事件を追い続けた彼がたどりついたのは、まさに戦慄すべき事実だった──。

情報は錯綜し、警察の捜査も迷走を繰り返す。しかし、現場捜査官がもらしたあるキーワードをきっかけに、事件の探索は意外な展開を見せはじめる。じつはこの事件には、当時だれも想像できなかった新しい形態の犯罪集団が関与していたのだ。

犯人の真の目的は何だったのか?警察の威信をかけた捜査はなぜ失敗したのか?
そして、宮澤さん一家はなぜターゲットにされたのか?

事件の背後に拡がる日本社会の闇を浮き彫りにする瞠目の事件ノンフィクションである。
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by yomodalite | 2007-03-30 14:29 | 裁判・法律・犯罪 | Trackback | Comments(0)

日米開戦の真実−大川周明著「米英東亜侵略史」を読み解く/佐藤優

日米開戦の真実 (小学館文庫)

佐藤 優/小学館




この本のジャケットにより、ようやく大川周明の名前と顔が認識出来た。佐藤氏の著書としては、最も自論全開の印象で、タイトルには読み解くとあるが、私には読み取れなかった。内容についての判断は今はできない。

★(判定不能)
__________

【出版社/著者からの内容紹介】『国家の罠』著者、佐藤優氏が「幻の第一級資料」を解読する歴史考証本。1941年の真珠湾攻撃直後、大川周明博士は「対米英開戦の理由」をNHKラジオで連日講演し、翌月に刊行された速記録『米英東亜侵略史』はベストセラーとなった。「外務省のラスプーチン」と呼ばれ、異能の外交官として高い評価を受ける佐藤氏が、当時の日本の情報分析力、大川博士の思想と人物、戦争に突入していく国家の凄み、国民の昂揚を読み解く。「東京裁判開廷60周年」という節目の年に、著作権所有者の許可を得て『米英東亜侵略史』を全文掲載した本書は、日本人の歴史認識が近隣諸国に問われる近年、国民的論議を深める上で大いに資するところがあると期待される。


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by yomodalite | 2007-03-30 14:06 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

宇城憲治師に学ぶ心技体の鍛え方/小林信也

文庫 宇城憲治師に学ぶ心技体の鍛え方 (草思社文庫)

小林信也,宇城憲治/草思社




「古伝空手の発想ー身体で感じ、身体脳で生きる」の小林信也氏の宇城師範本第二弾。内容は、タイトルの印象とは異なり、実際に武道家でない人には、こちらの方がイイかも。

もう若くないと思うようになった、日本の未来が心配だ、介護が疲れる、楽器が上達しない、生徒が話を聞いてくれない、子供が不登校、麻原尊師に帰依している、俺はアニマル浜口だ・・そんなあなたに。

最高峰の武術家にして最先端エレクトロニクスの技術者、経営家でもある宇城師は、精神論は語らない。以下宇城師の言葉より抜粋。

「科学とは、普遍性、客観性、再現性があること」
「正しいかどうか、科学的かどうかは、検証すればわかります」
「信じていいのは、歴史に裏打ちされた基準」
「ライオンは筋トレをしない。敵を襲う前にストレッチはしない」
「西洋では、距離は一定だと考えます。しかし日本には<間>という発想がある。距離は一定でも、<間>が変わる。そこに日本人の深さが本来はあるんです」
「箸を取る動作にも<型>がある」
「守礼の気迫」(礼を守ることによる気迫)
「頭脳より<身体脳>」
「身体のスイッチを切らない」
「内面のエンジンを回し続ける」
「呼吸力は一生、伸び続ける」
_____________

【出版社 / 著者からの内容紹介】姿勢、型、呼吸、そして内面からの“気”——常識をくつがえす武術の発想。いま最も注目される沖縄古伝空手の達人が説く興味深い伝統的身体論。

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by yomodalite | 2007-03-29 23:37 | スポーツ | Trackback | Comments(0)

何用あって月世界へ — 山本夏彦名言集/植田康夫(選)

何用あって月世界へ―山本夏彦名言集 (文春文庫)

山本 夏彦/文藝春秋




夏彦翁の名言を使った秀逸なタイトルの本著は、山本氏のコラムのファンで何冊も本を持っている人が、インデックスに使うのに便利な本。ビギナーは、各々一冊で読む方が楽しめます。

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[出版社/著者からの内容紹介]パラパラとめくるだけで至福の時間を味わえる
過去のコラム集から植田康夫が九百余句を選出。巻末には「なつひこ はやわかり かるた」を収録。ファンなら絶対入手しておきたい
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by yomodalite | 2007-03-29 19:02 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

白夜行/東野圭吾

白夜行 (集英社文庫)

東野 圭吾/集英社




同名ドラマと、続編ともいえる『幻夜』読了後に読んだせいか、雪穂と亮司の特異な愛の物語よりも、雪穂を主人公にした特異なミステリーという印象を受けました。血も、暗黒街もなく、物語の発端では、主人公二人が小学生という舞台設定、主役の内面を

描かないにも関わらず、決して少なくない登場人物にも無駄がない緻密な構成は、再再読に堪える傑作です。

「あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、あたしには十分だった。」(雪穂のセリフ

下記は、http://from1985.pekori.to/keigotaku/review/byakuya1.html 参考

1973(昭和48)年10月、近鉄布施駅近くの廃墟ビルで、質屋の店主、桐原洋介が殺害された。足取り捜査の結果、質店の顧客である西本文代に嫌疑が掛けられるが、アリバイが成立する。捜査の手は、文代と親しくしていた雑貨商・洋介の妻・質店の使用人にも及ぶ。中でも、雑貨商の容疑は極めて濃厚なものであったが、渦中に事故死を遂げた。

翌年、事件が迷宮入りの様相を呈し始めた頃に、容疑者の1人であった文代も一酸化炭素中毒で亡くなる。現場の状況は自殺の可能性を伺わせたが、特定には至らなかった。

被害者の息子である亮司と、文代の娘、雪穂は、共に、幼くして親を失うと言う逆境の中で、それぞれの人生を歩み始める。深い愛憎が織り成す複雑な人間模様、度重なる不可解な事件、息詰まる日々の繰り返しであった19年後の世界に、彼らの瞳は何を捉えていただろうか?

暗い目をした寡黙な少年、桐原亮司と、際立った美貌で周囲を魅了し続ける少女、西本雪穂—、主人公2人の成長と変遷の系譜が、緻密な構成と巧みな筆致で描かれる長編傑作ミステリ。

西本(唐沢・高宮・篠塚)雪穂/桐原洋介刺殺事件時は小学5年生
桐原亮司/桐原洋介刺殺事件時は小学5年生

笹垣潤三/大阪府警捜査一課の刑事、笹垣克子/笹垣潤三の妻、塚班長/大阪府警捜査一課勤務、松野秀臣教授/大阪府監察医、古賀刑事/大阪府警捜査一課勤務、小林刑事/大阪府警捜査一課勤務、桐原洋介/質店「きりはら」の店主・亮司の父親、桐原弥生子/亮司の母親、松浦勇/質店「きりはら」の店長、西本文代/雪穂の母親・うどん屋「きく屋」の店員、木下弓枝/西本文代のアリバイ証人、寺崎忠夫/雑貨商(店名は「アゲハ商事」)・「きく屋」の常連客、田川敏夫/不動産業・西本母娘が入居する「吉田ハイツ」を管理、唐沢礼子/雪穂の継母・雪穂の実父の縁者、秋吉雄一/桐原亮司の中学(大江中学)時代の同級生・カメラを趣味にしている、菊池文彦/桐原亮司の中学時代の同級生・弟は桐原洋介刺殺事件の第一発見者、牟田俊之/桐原亮司の中学時代の同級生・素行不良で知られる、熊沢教諭 :大江中学の理科教師、川島江利子/唐沢雪穂の中学(清華学園中等部)時代からの友人、藤村都子/唐沢雪穂の中学時代の同級生、園村友彦/桐原亮司の高校(集文館高校)時代の同級生、村下/桐原亮司の高校(集文館高校)時代の友人、園村房子/園村友彦の母親、西口奈美江/大都銀行昭和支店勤務の行員、中道正晴 :北大阪大学工学部の学生・雪穂の家庭教師、篠塚一成 :永明大学経済学部出身・在学中はソシアルダンス部の部長・父親は大手製薬会社、篠塚薬品の重役(伯父が社長)、倉橋香苗/清華女子大のソシアルダンス部に所属、榎本宏/西口奈美江の愛人・ヤクザ、高宮誠/永明大学経済学部出身・在学中はソシアルダンス部の副部長・東西電装東京本社勤務・雪穂の一回目の結婚相手 、高宮頼子/高宮誠の母親、高宮仁一郎/高宮誠の祖父、高宮文子/高宮誠の祖母、三沢千都留/東西電装の派遣社員、中島弘恵/「パソコンショップ MUGEN」の従業員・園村友彦の恋人、金城/榎本宏の知人・パソコンゲームの違法コピーで生計を立てている、成田/東西電装東京本社特許ライセンス部の係長、今枝直巳/探偵事務所を経営、安西徹/ソフトウェア開発会社「メモリックス」の経営者・元プログラマ、篠塚康晴/篠塚薬品の常務取締役・篠塚一成の従兄・雪穂の再婚相手、篠塚総輔/篠塚薬品の社長・康晴の父親、菅原絵里/専門学校生・居酒屋でアルバイトをしている、元岡邦子/精華女子学園出身・インテリアコーディネーター、益田均/大手調査会社勤務、栗原典子/薬剤師・帝都大学付属病院に勤務、藤井保/結婚相談所を介して知り合った栗原典子の交際相手、浜本夏美/雪穂の部下、広田淳子/雪穂の部下、篠塚美佳/篠塚康晴の娘
__________

【メタローグ】 前作「秘密」で、温かくて切ない物語を紡いだ東野圭吾が、今回は読む者の心を冷え冷えと切なくさせる。 1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。物語の主人公は、質屋の息子と女の娘だ。当時小学生だった二人が成長し、社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。当然ミステリーだから謎が隠されているわけだが、真相は途中で暗示されてしまう。しかし謎の存在などどうでもよくなるほどのスケールの大きさが読後に残る。(石飛徳樹) (解説・馳 星周)

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by yomodalite | 2007-03-29 11:40 | 文学 | Trackback | Comments(1)

下山事件ー最後の証言/柴田哲孝

下山事件完全版―最後の証言 (祥伝社文庫 し 8-3)

柴田 哲孝/祥伝社

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森達也『下山事件(シモヤマ・ケース)』にもの足らなさを感じ、決定版という評判に本書を読みました。

事件の真相と自らの家族の物語が絡み合い読みごたえがあります。

実行犯など、事件の直接的な真相はこれで間違いないのでしょう。これまで数えきれない取材者を生んだ事件ですが、この決定版が生まれる背景の、斎藤茂男、森達也、諸永裕司、そして身内である柴田哲孝の間の取材者同士の様々な物語も、下山事件をめぐる人間物語として興味深い。

☆☆☆☆
____________

【BOOKデータベースより】「あの事件をやったのはね、もしかしたら、兄さんかもしれない…」祖父の二三回忌の席で、大叔母が呟いた一言がすべての発端だった。昭和二四年(一九四九)七月五日、初代国鉄総裁の下山定則が三越本店で失踪。翌六日未明、足立区五反野の常磐線上で轢死体となって発見された。戦後史最大のミステリー「下山事件」である。陸軍の特務機関員だった祖父は、戦中戦後、「亜細亜産業」に在籍していた。かねてからGHQのキャノン機関との関係が噂されていた謎の組織である。祖父は何者だったのか。そして亜細亜産業とは。親族、さらに組織の総帥へのインタビューを通し、初めて明らかになる事件の真相。 祥伝社 (2005/07)、祥伝社文庫(2007/07)

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by yomodalite | 2007-03-28 20:24 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

満漢全席/南條竹則

満漢全席―中華料理小説 (集英社文庫)

南條 竹則/集英社

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英国文学翻訳者という経歴が禍いしてか、文章のシズル感に乏しいのですけど「満漢全席」の資料としては貴重。

下記は、そのメニューの内容

◎『○宋宮廷御宴/満漢全席・菜単』
綉花高装四果塁・僊乾果子叉袋児・雕花蜜煎一行・雕切果蔬造形・一品焼?奉献・悦目精美賞点(祭壇に並べられていた、スイカの種、落花生、カシューナッツ、杏仁、味付けされた杏子や棗、オリーブ、やまもも、らしい)

◎「迎賓四抓果」
・砂糖黍、梨、バナナ、林檎、金橘、ライチ、龍眼〜釈迦頭(松毬か仏様の頭のような鱗状のまる丸い果実で、中にドロッとした甘い濃厚な味の果肉。燕の窩入りシロップをかけてもらえる。蟹や海老の入った小ロンポウ。各種蒸餃子
◎「猫耳朶」(薄味のスープに米粒ほどのニョッキに似たもの)
◎「桂花鮮栗羹」(金木犀の香りをつけた栗の汁粉)
◎「珍珠火鍋」(しゃぶしゃぶ)

(薄青い南宋風の砕磁器に盛られた大皿料理)
◎「望海相邀 ぼうかいそうよう」(フカヒレ、海鼠、鮑、海老、貝柱、魚の浮袋などの他に厚さ2センチ程の雑煮の餅のようなもの<沙魚という魚の皮>
◎「蟹醸橙」(オレンジをくりぬいて蟹の卵と肉を詰め、酒と黒酢の上に置いて蒸し上げたもの)
◎「魚脳羹」(淡水魚の脳みそのあつもの)
◎「鮮蝦駝蹄膾」(駱駝の足の煮込みに、大ぶりの川海老のむき身が添えてある。動物園の檻の前に立ったときの臭気で、皆一口以上食べられない)
◎「炙小骨頭」(スペアリブ)
◎「東坡鹿肉」(鹿の胸肉を甘辛く煮込んだ)「東坡鳩膾」(同じく鳩を使用)
◎「武林○鴨」(家鴨の煮物)
◎「決明兜子」(すきとおった片栗の衣の中に、海老と魚片、金華火腿、香菜などが包まれている)
◎「牛尾狸」(蟹の卵入りあつものと、しょうゆで煮込んだ骨付き肉と包子)
(ここで午後2時半〜5時まで休憩)

卓上には、はみうり、オレンジ、スターフルーツ、文旦などの水菓子が並べられている。

◎「雪花蛤士蟆」(くず湯のような点心)
◎鶴と松を象った冷盆(卵の白身、家鴨の肉とキュウリ、小海老、トマト、ブロッコリー、薫製魚、白菜の酢漬け、豆いも、卵巻き、家鴨の舌などの8種のおつまみ

晩の部の献立/2コース
<豪門八大菜>
◎踏雪探梅(熊の手。豚足のよりも歯ごたえがあり、野獣の匂いがする)
◎曲院風荷(フカヒレの姿煮)
◎阮○環碧(駱駝のこぶとスッポンの脚)
◎白玉蔵珍(三角形の薄片状の豆腐。表面に香菜、蟹の卵がのせてある)
◎鹿鳴幽谷(鹿の尾と家鴨の舌の醤油煮込みを水墨画のように盛りつけてある)
◎玉龍行空(桂魚のクリームソース和え)
◎亀鶴同春(十年生きた泥亀と山鳥のスープ。薬膳風)

中休み(点心・江南春色/粉でこしらえた餅で白鳥が創られている)

<後半のコース>
◎「海底潜龍」(もずくのような髪菜)
◎「明月相照」(燕の窩のスープ)
◎「麒麟送子」(四不像の鼻の周囲に白い魚団子が並んでいる)
◎「青竹水暖」(竹の蒸したのを青竹の形に並べて竹の節にあたる部分に金華火腿がはさんである)
◎「春江水暖」(皿に薄紫の寒天を敷き、その上に水辺の葦のごとくならべてあるのは、へちまをくりぬいて筒状にし、飛龍鳥の肉を詰めて蒸したもの)
◎2点の点心「彩蝶恋花」「菊黄蟹肥」(蟹肉をつかった点心。極旨らしい)
◎「芙蓉出水」(白身魚のスープ)
◎「○人指路」(鹿のペニスに当帰、霊芝、人参などが入っている薬膳スープ)

宴は、夜の11時頃終了した模様。
____________

[BOOKデータベース]変調社主催の文学賞賞金500万円をあてに、究極の中華料理ツアーを企画する南蝶氏だがム豪華絢爛、抱腹絶倒の世界が織り成す「東瀛の客」、麺なしでは生きられないメンクイの丘君が、美女にゆかりの麺の霊に取り憑かれる「麺妖」、豚足の食べっぷりを白髯の老人に見込まれたなんでふ氏が遭遇する奇妙な世界「猪脚精」、他に「華夏第一楼」「老酒の瓶」「餃子地獄」「画中餅」など、いずれも現実と幻想の世界があやしく交錯する、食通と呑んべえ必読の中華料理小説。
※第5回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作家が描く傑作中華料理小説。全7編

[著者紹介]
南條竹則/東大大学院修士課程を修了。電気通信大学、学習院大学で教鞭と執るかたわら、英国幻想小説を中心に精力的な翻訳活動を続けている。平成5年日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。賞金で「酒仙」ツアーを催し、杭州で幻の宮廷料理「満漢全席」の大宴を開き、本書を執筆する。
主な翻訳書/アーサー・マッケン「輝く金字塔」、共訳書にマリオ・ブラーツ「肉体と死と悪魔」「イギリス幻想小説傑作集」など。

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by yomodalite | 2007-03-28 16:26 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite