カテゴリ:歴史・文化:美術( 48 )

怖い絵/中野京子

怖い絵 (角川文庫)

中野 京子/角川書店

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タイトルは本当は「怖い 絵」で、絵の前に一文字開いている、この「間」に闇が潜んでいるような・・・

2007年の出版ですが続刊も発売されているほど好評な本書には(著者のブログによれば「3」も準備中?)下記の20作品が収録されています。一見して怖い絵もあれば、この絵の一体どこが?という絵もあるのですが、著者の解説を聞いてびっくり!するかと思いきや、そうでもない作品も多いw 

20作品というのが少し多すぎるのかな。


1. ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
2. ティンレット「受胎告知」
3. ムンク「思春期」
4. クノップフ「見捨てられた街」
5. ブロンツィーノ「愛の寓意」
6. ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
7. ルドン「キュクロプス」
8. ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
9. ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
10. アルテミジア・ジェンティスレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
11. ホルバイン「ヘンリー八世像」
12. ベーコン「ベラスケス〈教皇インノケンティウス十世像〉による習作」
13. ホガース「グラハム家の子どもたち」
14. ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
15. グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
16. ジョルジョーネ「老婆の肖像」
17. レーピン「イワン雷帝とその息子」
18. コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
19. ジェリコー「メデュース号の筏」
20. ラ・トゥール「いかさま師」

この絵のどこが?という読者の期待に沿った「怖い絵」は、1、2、11、13。
一見して「怖い絵」は、9、10、14、15、16、17。
怖さに解説が欲しくなる絵は、3、4、5、6、7、8、12、18、19 がそうでしょうか。

それらの怖い解説はネタばらしになってしまうので遠慮しますが、
続刊も読んでみたいと思わされる本です。

「思いの儘の記」
http://www.page.sannet.ne.jp/rokano28/diary/diary48.htm

「Passion For The Future」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005184.html
__________

【内容紹介】凄惨・残酷・非情・無惨で……甘美。心の底からゾッとする、名画の見方、教えます。

読み終わった後、もう一度絵を観てください。ドガ描くプリマ・バレリーナが、ホガース描く幸せな家族の肖像画が、ブロンツィーノ描く『愛の寓意』が、一変します——名画にひそむ、心胆寒からしめる恐怖の物語。本書を読めば、絵画の見方が変わります。

■よりすぐりの名画20点をカラー図版で掲載
ティントレット『受胎告知』/ムンク『思春期』 /クノップフ『見捨てられた街』/ブリューゲル『絞首台の上のかささぎ』/ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』/ホルバイン『ヘンリー八世像』など、見れば見るほど怖くなる名作絵画20点。

【BOOKデータベース】一見幸せな家族『グラハム家の子どもたち』…けれど、この絵の完成後?スポットライトを浴びるドガの『踊り子』…じつは、この時代のバレリーナは?キューピッドのキスを受ける豊満な裸体『愛の寓意』…でもほんとは、このふたり?名画に塗り込められた恐怖の物語。心の底からゾッとする名画の見方、教えます。 朝日出版社 (2007/7/18)



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by yomodalite | 2009-05-17 20:43 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

江戸女の色と恋―若衆好み (学研グラフィックブックス)

田中 優子,白倉 敬彦/学習研究社




昨年のボストン美術館 浮世絵名品展」以来、浮世絵から探る江戸の実態から、興味が薄れることがないのですけど、中でも着物好きとしては、江戸のファッションの性倒錯ぶりには目を見張るものがありました。

春信の浮世絵に描かれた美少年は何者?、芸者がファッションも立ち居振る舞いも強い影響を受けた影間とは? などなど。。。

本書は、何故江戸ではこれほど「若衆」が人気があったのか?という疑問に答えてくれそうな期待で読みました。

図版たっぷりで1800円という安価なお値段。内容は想像以上に過激な春画ばかりなのですが、著者は田中優子氏と白倉敬彦氏という江戸風俗最強のコンビなので、厚さ10ミリ程度でも読みどころも見どころも満載。

「若衆」に関しては、あくまで江戸の女の感覚が中心なので、「粋」と共通感覚である男性中心美学の話がないのは、残念ですが、「若衆」を好んだ半分は、女であったという点は盲点でした。15、6歳の男子が振袖を着ているなど、今の感覚からすると驚きではあるのだけど、ファッションに男女の区別がなくなったのは、現在も同じこと。平和を貪った江戸の世は、思いのほか現代日本と似ているという感は益々深まった。
_____________

【MARCデータベース】美少年はなぜ江戸の女性たちを熱狂させたのか。女装した少年を抱く男装した女性、積極的な求愛。しかし江戸の女性たちが本当に若衆に求めたものは何だったのか? 江戸の女性の性愛を若衆を軸として読み解く。 学習研究社 (2003/03)



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by yomodalite | 2009-05-02 00:13 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

対論・異色昭和史 (PHP新書)

鶴見 俊輔 上坂 冬子/PHP研究所




上坂冬子氏が亡くなったというニュースを数日前に知り、読むべき著作を探していたら、鶴見俊輔氏との対談本が出版されたばかりだという。過日、姉である鶴見和子氏のきもの本に出会い、鶴見俊輔氏のことも思い出していたところだったこともあり、お二人の対談集には惹き付けられました。

異色とありますが、後藤新平の孫で、米内内閣の閣僚を父にもつ鶴見氏は、戦中、戦後の重大事件の内部情報を肌で知っている上に、上坂氏の率直な質問や物言いも加わり、他では聞けない内容が、二人の息のあった対話で進んでいくのが、気持ちいいほど面白い。

87歳の鶴見氏が、今でも天才少年のような若々しい知性を保っているのも驚くのだけど、79歳の上坂氏も少女のような率直さで、先輩の鶴見氏に切り込んでいて、まさか、この対談後まもなく亡くなったとは本当に信じられない。本書で、死後のことを語っている箇所もあるのだけど、まさに遺言どおりに清々しく、そして後に残るものへ、素晴らしい本を残されたことは、立派としか言いようがないです。

「戦時体制には爽やかさがあった」

思想信条が異なると思われていた二人はこのことを共感しあい、戦前真っ暗史観とは異なる昭和史を語り合う。数のうえで言えば「異論」かもしれませんが、戦後アノミーによって病に陥った大半の知識人の中で、健康な知性を持ち続けられたのが、ごく僅かだったというだけ。

上坂氏は“右”鶴見氏は“左”という枠組で語られるお二人ですが、最近のネトウヨ的勘違い保守や、子どもじみたヒステリーサヨクとは一線を画す内容で、めったにない大人どうしのさわやかで濃い内容の対談。

参考サイト↓
極東ブログ[書評]対論・異色昭和史
極東ブログ[書評]対論・異色昭和史 その2
鶴見俊輔の母
___________

【内容紹介】雑誌『思想の科学』への投稿がきっかけで交流が始まった二人。半世紀ぶりに再会し、語り合った昭和の記憶とは?
鶴見氏は、昭和三年の張作霖爆殺事件の号外を覚えているという。八歳年下の上坂氏が、戦前から戦後の体験談について、根堀り葉掘り質問をぶつける。「米国から帰国したのは愛国心かしら?」と問う上坂氏に、「断じて違う!」と烈火のごとく否定する鶴見氏。
一方で、「戦時体制にも爽やかさがあった」と吐露する上坂氏に対して、「私もそう感じた」と応える鶴見氏。やがて議論は、六〇年安保、べ平連、三島事件、靖国問題へ。六〇年安保のデモ行進に誘われた上坂氏は「後にも先にもデモに参加したのはあれが初めて」と。その後、ノンフィクション作家として自立してゆく。上坂氏の原点に、鶴見氏らとの交流があったというのは興味深い。
現在では護憲派、改憲派という立場を異にする二人だが、いまだからこそ訊ける、話せる逸話が尽きない。圧巻の一六五歳対論! PHP研究所 (2009/4/15)

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by yomodalite | 2009-04-26 22:40 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

カムイ伝講義/田中優子

カムイ伝講義 (ちくま文庫)

田中 優子/筑摩書房

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本書は、法政大学での講義と、小学館の『決定版 カムイ伝全集』の出版特別企画、ウェブ版「白土三平とカムイ伝の世界」に連載された「カムイ伝から見える日本」をもとに書き下ろされたもの。

昨年出版された田中優子氏の著作なので、早く読みたかったものの『カムイ伝』が未読のため躊躇していたのですが、読了後の結論から言えば『カムイ伝』が未読でも結構楽しめます。

田中氏は「江戸ゼミ」の講義に『カムイ伝』を使用したのは、江戸のビジュアル資料として、都市で消費されるメディアのみが注目されているが、都市住人以外の人々の生活を描いた資料としてはもの足らない。『カムイ伝』には、江戸の百姓、非差別民、漁師、武士など、村の人々の生活や生き方など、さまざまなテーマが描かれているからだと、説明している。

壮大なテーマをもち、未だ完結していない『カムイ伝』のサブテキストとしては、もちろんですが、江戸の身分制度と、現在の格差社会との違いは何かなど、江戸時代の日本に興味がある人には、惹かれるテーマが満載です。

★★★★☆

☆参考サイト↓
白土三平とカムイ伝の世界
松岡正剛「千夜千冊」カムイ伝/白土三平

【内容】
第1章 『カムイ伝』の空間と時間
舞台となっている日置藩に岸和田を想定し、リアルな空間としての城下町の成り立ち。

第2章 夙谷の住人たち
江戸時代の穢多非人の生活と実像。

第3章 綿花を育てる人々
江戸時代に初めて体験される「綿花栽培」を通してみる百姓の生活。高価な肥料を必要とする綿花栽培の導入と崩壊。

第4章 肥やす、そして循環する
排泄物を肥料とする、江戸時代の循環型社会。さまざまな肥料。肥料の情報化と商品化。都市生活と貨幣経済は、無駄で無意味なゴミを出す。

第5章 蚕やしない
蚕から布まで。絹の国産化。絹織物の高度な発達。養蚕と絹の拡大は、原日本人と大陸人の混血の拡大。生糸の隆盛に反して苦しい生活を強いられたことによりおこる生糸一揆は、厳しい専売制にも原因があった。

第6章 一揆の歴史と伝統
一揆とは「揆(みち)を一つにする」という漢語。百姓一揆のルール、一揆の原因、百姓一揆は近代労働争議の先頭を走っていた。

第7章 海に生きる人々
『カムイ伝』の漁のシーンの迫力。納屋集落。技能をもった漁師が全国を移動しながらその技法を伝え、流通が進み市場が拡大した。

第8章 山に生きる人々
エネルギー源であった山の管理体制(環境対策)。新田開発は環境破壊。発展と破壊が共存する世界。日本の森林はなぜ残ったのか。マタギ(狩猟専業者)の生活。サンカ(山部漂泊者)の生活。平和な鉱山町。

第9章 『カムイ伝』の子どもたち
子どもとは何か?。たくさんの親。生きる力とは何か。

第10章 『カムイ伝』の女たち
社会的性差の克服。娘組、嫁組、婆仲間。恋愛と結婚。女性の存在感。

第11章 『カムイ伝』が描く命
「命」とは何か。殺すことにも生かすことにも使える技術。島原・天草の乱。二つの外科手術。生態系。

第12章 武士とは何か
江戸時代の武士は矛盾そのもの。武士の生活の実態。武士は必要だったか?

おわりに いまもカムイはどこかに潜んでいる
現代日本人そのものが、この歴史のなかでいかなる存在なのか、考え込むようになるテーマにあふれている『カムイ伝』。総中流が達成された70、80年代よりも、現代は『カムイ伝』が身近に感じられる世界だ。
__________

【BOOKデータベース】コミック界の巨星・白土三平のライフワークが江戸学の新視点を得て、新たな輝きを放つ!「いまの日本はカムイの時代とちっとも変わっていない」競争原理主義が生み出した新たな格差・差別構造を前に立ちすくむ日本人へ—。江戸時代研究の第一人者が放つ、カムイ伝新解釈。 小学館 (2008/10)



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by yomodalite | 2009-04-15 15:30 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

山口組概論―最強組織はなぜ成立したのか (ちくま新書)

猪野 健治/筑摩書房



ある日、気がつくと隣に“やくざ”が住んでいた。ということはありませんか? 私はあるんです。

なんだかんだありまして、ひょんなことから、私は、その“やくざ”の事務所と思われる、隣の部屋でカルピスをごちそうになったり、そこで働く若者から暴対法への悩みを聞いたり。。。

部屋のど真ん中に屹立していた、どでかいレジスターから想像すると、そこは多分「テキヤ」系の組だったのではないかと思うのですけど、なんとなく今でも、ヤクザと聞くと当時ツッパリと呼ばれていた若者より遥かにさわやかさが溢れていた、あの悩める青年の顔を思い出してしまいます。

今から考えると、暴対法というのは山口組を一人勝ちさせるためだったんですね。
それと、あの振込め詐欺による収入って、一体どこに流れているんでしょうね。


本書はそういった「真実」には触れられていないものの、著者は松岡正剛氏により、日本のヤクザ研究の第一人者と称される猪野健治氏。

大衆週刊誌的ヤクザ・ドキュメントと違い「教養としてのヤクザ」を求める、
日本女子には必読の入門書です。

ヤクザと「侠」を知らずして、「日本」や「粋」を語るなかれ。

☆参考サイト
「松岡正剛の千夜千冊」(『やくざと日本人』/猪野健治)
「404 Blog Not Found」
_________________

【目 次】
序章 ヤクザとは何か
第1章 六代目体制の衝撃
第2章 山口組誕生と近代やくざ
第3章 三代目と全国制覇
第4章 カリスマなきあとの分裂抗争
第5章 バブルと暴対法の時代
第6章 山口組はどこへいくのか

【BOOKデータベース】やくざ人口八万人のうち、約半数が山口組系である。熾烈を極める警察の取締まりのなか組織は揺らぐことがない。そもそも、やくざはなぜ存在するのか?山口組とは何なのか?神戸の小さな組が最強軍団に成長した背景とは?山口組九〇年の歴史をたどることで日本社会の深層をえぐりだす。いま格差社会の波と暴対法下の重包囲網をまえに、山口組は少数精鋭化への道を歩み始めたともいわれている。巨大組織の歴史と現在、今後を展望する。




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by yomodalite | 2009-02-15 23:14 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

芸者と遊び―日本的サロン文化の盛衰 (学研新書)

田中 優子/学習研究社




辰巳芸者の粋とは? 

という謎から芸者関連の本の決定打を求めて、田中優子氏に辿り着きました。

そろそろ真打ちに登場してもらって、芸者の件にケリをつけたい(笑)と思ったのですけど、本著は第一部が「江戸の芸者とその歴史」、第二部の「明治の芸者 その栄華と終焉」という二部構成、分量的にも第一部の「江戸の芸者」はページ数半分弱なんですね

そんなわけで「辰巳芸者の謎」に関しては、また別に...

本著のはしがきは、次の文章ではじまります。

芸者についての本は、いまでも芸者自身の回想録を含めて種々出されている。しかし、芸者およびその住む世界、つまり花柳界の歴史については、必ずしもわかっているとは言えない。それも無理からぬ事情がある。というのも、芸者の生まれたのは江戸時代のことであるし、そうして生まれた江戸芸者の伝統は、その最も華やかな明治時代を経て、大正の初期に亡びてしまったのだ。その持つ意味はその頃を境に、大きく変化したものと思われる。

ここで、述べようとする「芸者の時代」とは、その亡びてしまった芸者についてである。


ふんふんナルホドと思った、そこの和風男! 和の嗜みに通じ「粋」をモットーとしているつもりの貴男はたぶんグローバリストか、着物をすっかりダメにした呉服業界の人で、いずれにしても江戸の粋とは真逆の人ではないでしょうか。本当に「江戸」が遠い遠い遥か彼方に行ってしまっていることを、よく解っていない粋人男の多いこと。。。。

江戸学の泰斗、田中優子氏にして「わからない」という江戸の芸者に、努々勝手な妄想を抱かず、日本的サロン文化がなぜ盛衰したかを考えつつ、熟読しましょう。

「踊り子」の女の歴史は、今日に至るまで、細々であっても途切れることなく続いていると思いますが、「粋な男」の歴史はいつ途絶えてしまったのか。新たに始まる気配も感じられないのは寂しい限り。

粋は意気で、それこそが「男気」なのに。。。

☆参考サイト → 遊女asome

【目次】
第1部 江戸の芸者とその歴史
・踊子から芸者へ
・深川芸者の発生と実像
・色を売ること売らないこと
・幕末の芸者たち

第2部 明治の芸者その栄華と終焉
・祗園と柳橋;雑魚寝のこと
・名妓たち
・水揚げのこと
・芸者遊びとは何か
・日本的サロン文化

【MARCデータベース】「芸者は伝統芸能だけを継承してきたのではない」 町のファッションリーダーであり、維新の志士や明治の文豪を魅了した、サロン文化の担い手、芸者の歴史を読み解く。 学研 (2007/06)



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by yomodalite | 2009-01-20 16:23 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)
f0134963_13512869.jpg国立公文書館勤務で近世の著作多数の氏家氏の著作は今回が初めて。謎だらけの「大奥」の実態を数少ない文献から真実の一端を探った本著はドラマなどの印象とは一味異なる「大奥」の世界を垣間見せてくれる。著者の語り口も学者的なものでなく軽い話口調で読みやすい。(ただしオヤジ臭は強いかも?)
★★★☆

参考サイト→「放蕩娘の縞々ストッキング!」
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by yomodalite | 2009-01-19 13:52 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

女装と日本人/三橋順子

女装と日本人 (講談社現代新書)

三橋 順子/講談社

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著者は自らも女装の実践者で国際日本文化研究センター共同研究員の三橋順子氏。

著者は大学在学中に自分の中にある「女性」を意識し始め、30歳のとき、婚約した女性のために「普通の男になろう」と決心するものの、心の中の女性人格を一度も世に出すことなく殺してしまうのは忍びないとの思いから、女装セット一式を通信販売で購入し一度だけの「女装」を試み、数日後その全てを廃棄する。しかしその後、数ヶ月に一度のペースで女装行為を繰り返すことになり、次第に女装世界へと本格的にのめり込んでいくことになる。

著者は序章で、自らを「性同一性障害」ではなく「性別越境者」(トランスジェンダー)と規定しています。キリスト教社会である西欧とは違い日本は性の入れ替わりを含む神話世界であったことなど、古代から現代まで、神話から歌舞伎町、歴史文献から現在のマニアックな雑誌、秘密クラブまで、日本の女装全史を振り返ることによって見えてくる日本文化史。これは面白い!

☆参考サイト→松岡正剛の千夜千冊
_________

【内容紹介】ヤマトタケルの神話、中世の女装稚児、歌舞伎の女形、江戸の陰間、現代のニューハーフ……。 なぜ私たちは性別を越えたものに心ときめくのか? “女装”を軸に日本文化史を読み直す。講談社 (2008/9/19)


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by yomodalite | 2008-12-24 18:45 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)
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本書の内容は、ダリの作品の75%が贋作で、しかも、その贋作製作に、ダリ自身が関わっていた!というスキャンダルなお話。

著者は、その贋作を多数売買し、詐欺により服役したダリ専門のディーラー。

カバー写真は、いかにもダリらしいという感じですが「贋作王」の表紙にふさわしくマダム・タッソーの蝋人形館のものです(原題は「DALI&I : The Surreal Story」)。

著者は22歳の頃、チーズ工場でチーズに穴を開けて過ごし、夜はロックバンドで歌を歌っていたが、ある日週刊誌の編集者からスカウトされ、「パノラマ」紙のハリウッド特派員に。それは銀幕のスター達とディナーをともにして語ったかに読めるインタビュー記事をでっちあげる仕事だった。

『刑事コジャック』のインタビューを捏造した翌週に、ダリについてあれこれ考え始めたのは、ダリがハリウッドスターに劣らず有名だったからに過ぎなかったが、ダリの号の売り上げは、他のハリウッドスターの売り上げをはるかに上回ったことから、彼は、人生最大の教訓を得る。

「ダリは売れる」

その頃国際投資クラブのMMCの社長が会いたいと言ってきた。彼は言った。
「きみに美術投資部門の責任者になって、わが社の最上層の顧客に、カネで買える最高の美術品を見つけてきてもらいたい」

「どうしてわたしが?私は美術のことなど何も知りません」

「サルバドール・ダリの知り合いじゃないか」「ハリウッドでインタビューしただろう?いやはや、あれは実にすばらしいインタビューだった」

このときわたしは、人生でふたつ目の教訓を得た。
社長も人の子。ぺてんにかかる。

ものすごく調子のイイ話です。しかし、この後著者は、ダリ専門のディーラーになり、莫大な富を得るものの、詐欺で服役し釈放後、そのダリの隣人となり、恋人のアナをダリの朗読人にし、その死のカウントダウンもチェックした。ウルトラ・バイオレット、アマンダ・リア、グレイス・ジョーンズ。。。懐かしい名前や、ダリの共犯者である、「青年ダリ」や、イシドロ・ベアの告白、最後まで飽きさせず、読ませる魅力があります。

油絵画家のダリが、この時代のニューヨークのアートシーンを生き抜くうえで、本著で贋作と言われているような行為に挑んだのはなんとなく理解できます。アートにあまり詳しくない人は、この本でダリを誤解してしまうかもしれませんが、その後現代美術界では手法がどんどん洗練され、草間弥生には、ウォーホルの「ファクトリー」すら必要なくなっている。

ダリとガラの奇行もよく知っているし、そんなに驚いたという点はないですが、ダリの最晩年の暮らしぶりは、本著で初めて知りました。ガラはダリより先に亡くなっているとだけ認識していましたが、亡くなる前にダリの元から去っていたことは知りませんでした。

わたしのアイドルだった、ポール・エリュアール、マックス・エルンスト、ダリという3人の天才のミューズになった極普通の容姿で、しかも恐ろしく評判の悪いガラに焦点をあてた本を読んでみたいとずっと思っているのですが、どういうわけか出版されませんね〜。

それから、なんと、アル・パチーノがダリ役で映画化されるようです。ちょっと観てみたいかも。

【目次】
第1部 マックダリ—フランチャイズ計画
第2部 ドル亡者—詐欺師ダリ
第3部 セニョール・ダリ—ダリだけが売れる最悪の事態

◎[参考記事]夢のもののふ
http://nearfuture8.blog45.fc2.com/blog-entry-171.html
____________

【あらすじ】20世紀美術界最大の奇才、サルバドール・ダリ。なんとその全作品の約75%は「贋作」だった! 

ダリ専門アートディーラー兼詐欺師で、晩年のダリの隣人であった著者が克明に綴る、知られざるサルバドール・ダリの波乱万丈の生涯。欲望と狂気とスキャンダル渦巻く美術界を描いた驚愕のノンフィクション! 22カ国語に翻訳された世界的ベストセラー、ついに日本上陸!アスペクト(2008/09)

【著者略歴】スタン・ラウリセンス/1946年、ベルギー生まれ。サルバドール・ダリ専門の美術ディーラーとして10年以上を過ごし、贋作を販売した罪で服役。その後、作家に転向して、2002年、『黒い雪』という犯罪小説でエルキュール・ポアロ賞を受賞。現在、アントワープとロンドンに居を構える

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by yomodalite | 2008-12-07 22:19 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

日本の歴代権力者 (幻冬舎新書)

小谷野 敦/幻冬舎




聖徳太子から小沢一郎まで歴代の権力者126人の解説。ウィキペディアに安心して掲載できるような内容で、各分量はウィキペディアの半分ぐらいでしょうか。あくまでレファレンス本なので、読書を楽しめるタイプの本ではないですね。著者に関して、どこかで読んだ記憶があったのだけど、

「刑法三九条は削除せよ!是か非か」「腐っても『文学』!?」の共著者で、「バカのための読書術 (ちくま新書)」の著者でした。

これまでの印象からは、あまり優れた研究者ではないかも...いう印象でしたが、著者紹介によれば『もてない男』、『童貞放浪記』などの著書があるようで益々ナンギな方という印象を深めつつ、パラパラと読んでみました。

著者の悪目立ち型の個性派?というキャラは、本書ではあまり発揮されておらず、

コラムは下記の17編。

・官位からみる力関係
・律令制度と「春宮太夫」
・天皇親政〜道鏡失脚から冬嗣の登場まで
・藤原氏以外の公卿
・左遷と流刑
・氏長者の始まり
・日本の女性名
・鎌倉幕府将軍の不思議
・諡号と院号
・東国政権
・名家の没落
・日本では前近代まで夫婦別姓
・御三家・御三卿
・実際には使われなかった「諱」(いみな)
・総理大臣の出身地
・首相になれなかった人たち
・派閥にみる力関係

最後に、「総括 天皇はローマ法王である」という章があり、なぜ天皇家は滅びなかったのか、という問題から、天皇のエンペラー訳が間違いで「宗教的権力」とするべきと論じておられます。
____________

【MARCデータベース】実は日本の歴史で天皇が最高権力だった例は少ない。No.1の座を形骸化させ己の野望を実現せしめた臣下臣籍らの肩書きと謀略を駆使した“成り上がり方”はいかなるものだったのか。「陰で権勢を揮う」権力構造を解明する。幻冬舎 (2008/09)



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by yomodalite | 2008-11-25 18:17 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite