カテゴリ:MJ考察系( 75 )

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(7)の続き・・・


マイケルの数少ない音楽について語ったものの中でも、もっとも語られていないヒップホップとの関わりや、影響について色々見てみたところで、最終回の今回は、Unbreakable のビギーのラップの元曲「You Can't Stop the Reign」について。


マイケルが、亡くなったビギーの5年も前のラップを使ったのはなぜなのか?その理由を知るために、まずは、この曲の和訳から始めたいと思ったのですが、


マイケルは、自分は知らなかったんだけど、たまたま、ロドニーが見つけてきて・・みたいなニュアンスで語っていましたが(→ ⑥)


シャックの歌詞を読んでみると、むしろ、Unbreakable は、この曲にインスパイアされたというか、アンサーソング的な意味合いで創られたのでは?と思える内容で、もともとシャックの第3ヴァースには、「俺は無敵で抜け目のない男(invincible, smooth individual)なんていう表現もあるのですが、マイケルのUnbreakable にも、「you can’t stop me、 you block me・・」という、シャックのラップと同じような表現が・・

ただ、1996年にリリースされたこの曲は、今のラップミュージックよりもずっと、ありがちなR&Bですし、Unbreakableとは印象がまったく違っています。


下記の英詞は、CD歌詞を転載したかったんですが、何度か聞いて確認したところ、日本版のCD歌詞には正しくない箇所が多くて・・聞き取りや、ネット上にある歌詞とも照らし合わせて修正しました。


とにかくスラングばかりなので、和訳にはずいぶん苦労しましたが、ニュアンスが伝わるような意訳に徹して、なんとかやってみたので、もっと正解に近い訳がわかるという方は教えてくださいませ。






You Can't Stop the Reign

オレの天下は止められない


[Verse 1: Shaquille O'Neal]

You can't stop it, block it, when I drop it

Anytime I go rhyme for rhyme on a topic

Ain't even fit to step into Shaq's arena

I looked inside your mind and I see your shook demeanor

In your eyes why are you surprised

No matter how you try not fly its' elliuqahs(*1)

The new edition this is the end of your last night(*2)

In the daytime you couldn't see me with a flashlight

I crash flights on sight of my enemies

I'm coming through and then

I bomb your whole facility (→vicinity?)

Why the act of faken jacks, you're not a friend of me

I peeped your card, you're not as hard as you pretend to be

Who wanna spark it, with the chocolate macadamian

Head clean to the cranium you know the name

Shaq aim to maintain

Money on the brain, can't stop the reign


オレが言葉を吐くとき、

おまえは止めることも、ブロックすることも出来ない

どんな話題も、オレが次々と韻を繰り出せば

おまえは「シャックのアリーナ」に立ち入ることさえ無理

おまえの心の中を覗いたら、ビビってる姿が見えたぜ

おまえの目は、なぜそんなに驚いてるんだ

おまえがどんなにやってみたところで、

「elliuqahs」みたいには飛べないし(*1)

ニュー・エディションが終わったように、今夜がおまえの最期さ(*2)

昼間は懐中電灯を使ったって、オレを見ることはできないけど

オレがちょっと通っただけで

おまえの周辺すべてを爆破してやる

イカサマするなんて、オレの友だちじゃない

おまえの手口はお見通しさ

思ったよりも、たいしたことないね

マカダミアンチョコみたいな女たちと盛り上がりたいだろ

頭の中をスッキリさせてさ

シャックはいつもいい状態

お金のことがきっちり頭に入ってるし、

オレの天下は止められない


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)

When it starts to fall

There's no one else to blame

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない


[Verse 2: Notorious B.I.G.]

I speak deep with killers about million dollar figures

Blessen niggas with acc's legend and vigors,

cream lizards, cream coochies,

I do my duty as long as they fly as me,

and high as me

Success of my circle, try to break it will hurt you

Ain't no getting out that


俺は100万ドル稼ぐようなやつらについて

殺し屋たちとじっくり話す

伝説みたいな力を身に付けたイケてる黒人たち

極上のチ☆コに、極上のマ☆コたちさ

彼らがオレを高く買ってくれるなら、オレもその期待に応えるけど

オレらの成功をジャマするやつは放っておかない

痛い目にあわせてやる


I doubt that we want the exotic erotic ladies

Not them toxic ladies that burn a lot

I learned a lot from junkies to ruffians,

from being tied up by colombians cause

8 grams was missin' listen, had to change

my position from wanting to be large

To head nigga in charge my garage

call it celo, 4,5,6 honies by the mixes(*3)

If it ain't broke don't fix it

Smoke out with Biggie Tarantino

Size like a sumo

Frank White numero uno(*4)


ヤク中で盛り上がってる女じゃなくて

エキゾティックでエロい女がいいなんて嘘だね

オレは、ジャンキーやゴロツキから多くを教わった

コロンビア人が8グラムのドラッグを失くして

酷い目にあったからね

オレはビッグになりたい

自分のガレージを仕切るトップのニガーに

いちかばちかの博打、4、5、6の目がそろえば勝ちさ(*3)

壊れてなけりゃ、直す必要はない

ビギー・タランティーノが煙に巻いてやる

スモウレスラー並みにデカいフランク・ホワイトがナンバー1さ(*4)


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign no)

When it starts to fall (When it starts to fall)

There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない


[Verse 3 - Shaquille O'Neal]

7'0" towerin inferno, invincible, smooth individual

Who wants to test it foreign or domestic

No matter where you're from I not the one

you want to mess with

Original willie style, living lavish

Private jets to let my shortie shop in Paris

I'm not the average, I'm far from the norm

It's daddy long, hitting you strong,

keepin' you on


おれは7フィート以上あるタワーリング・インフェルノ

無敵で、抜け目のない男

国内でも、海外でも勝負するつもり

どこから来ようと、オレには関係ない

オレ独自のスタイルで、贅沢三昧に暮らすのさ

プライヴェートジェットでパリまで行って

カノジョに買い物させてやる

オレは並の男じゃない、桁外れなんだ

あしながおじさんもするし、おまえをひっぱたくこともあるけど、

おまえを見捨てたりしない


[The Notorious B.I.G.]

A lime to a lemon with my DC women(*5)(*6)

Bringin’ in ten G minimums to condos with elevators in ’em

Vehicles with televisions in ’em

Watch they entourage turn yours to just mirages

Disappearing acts, strictly nines and MACS(*7)

Killers be serial, Copperfield material

My dreams is vivid

Work hard to live it

Any place I visit I got land there

How can players stand there and say I sound like them?

Hello! Push wigs back and push six coupes that’s yellow(*8)

Plus clips that expand from hand to elbow(*9)

Spray up your Day’s Inn, any hotel you in

Crack baggin’ sick of braggin’ how my mink be draggin’

Desert ease street sweeper inside the Beemer wagon

I rely on Bed-Stuy to shut it down if I die(*10)

Put that on my diamond bezel

You’re messin’ with the devil

What? what? what? what


レモンからライムまで、(*5)

俺が支配してるD.Cの女たちにたんまり稼いでもらう(*6)

エレベーター付きのコンドミニアムや、

テレビ付きの車に運ぶのさ

見てろよ、俺の仲間はおまえが持ってるものを幻に変える

殺し屋は次々と、消すのに使うのは、9's か、MAC(*7)

デヴィッド・カッパーフィールドが手品で消すようなものさ

俺の夢ははっきりしてるし、必死にやってる

どこへ行こうが、そこが俺のシマ

そこらにいる奴が、俺みたいに出来るだって?

よおし、頭数をそろえたら、6台の黄色のクーペに押し込んで、(*8)

肘から手まで伸びるやつを装着して(*9)

デイズインだろうが、どこのホテルだろうが、

ぶっ放してやるよ

ミンクのコートが引きずるほど長いだとか、

バカな自慢ばっかりしてるけど

乾ききった楽園の通りを、BMWワゴンの中から掃除してやる

俺が死ぬときは、ベッドスタイの連中にカタをつけてもらうぜ(*10)

俺のダイヤ付きの指輪に刻んでおこうか、

「お前は悪魔を相手にしてる」ってな。

どうよ?


[Chorus]

You can't stop the reign (You can't stop the reign, no)

When it starts to fall (When it starts to fall)

There's no one else to blame (Ain't no one else to blame)

You can't unlock that door


おまえにはできない、俺の天下を終わらせようなんて、無理

落ち始めたって

誰も責められないし

ここから出て行くこともできない・・(繰り返し)


(訳:yomodalite)


(*1)elliuqahs / Shaquilleの逆読み・・・シャキールは自分のことを二面性のある人間だと言う。「企業人で、ハンサムで話し方もさわやか、スーツを着て人当たりも良いシャキールと、2回タイトルをとったスーパーアスリートのシャックがいる」と。「二人は同じ人間だけど、クラークケントとスーパーマンのように、昼間はシャキールで、夜はシャック」また、ネメシスのような存在の邪悪な双子がいるのだとも言う。彼が Elliuqahs Laeno(Shaquille O’Neal の逆読み)と呼ぶ人物だ。「立場上おれがそいつのようにふるまうことは許されない。やつは普通の金持ちの男がやるだろうことをやる。パーティして、ぶらぶらして、悪い言葉を使ってね。徹夜しては翌日練習、ちっとも集中してない。そういうやつだよ。でもね、彼はもういない。おれはやつを消したんだ」。(ニューヨーカー誌より)

(*2)The new edition / ニューエディションは、ジャクソン5の後、最も成功した超人気黒人アイドルグループ。ソロでも大成功したボビー・ブラウンが脱退後も、メンバーの入れ替えをしながら活動を続けていますが、80年代~90年代前半のアイドルグループというイメージが強い。

(*3)celo / サイコロ三つを振るシンプルな博打で、4,5,6の目が出るのが最強らしい。ただ、honies の意味は曖昧になってます。

(*4)Frank White / フランク・ホワイトは、映画「King of New York」でクリストファー・ウォーケンが演じた役で、奪ったものをニューヨークの貧困層に再分配する義賊。ビギーは、自分のことをKing of New York や、Black Frank Whiteと称していた。

(*5)シャックの[Verse 1]冒頭の「I go rhyme for rhyme」とリズムを揃えている。レモンのスラングは数多くありますが、全体の内容から、lime も lemonもドラッグを指しているような感じ。

(*6)my D.C. women / CeCe womenという表記も多いのですが、CD歌詞では「my D.C. women」で、実際の発音でも「DC.」だと思います。ブルックリンのディーラーにとって、ワシントンD.C.はドラッグが高く売れる「シマ」なんですね。

(*7)9's はこんな感じで、

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MACは、こんな感じの銃だと思います。

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(*8)wigs はカツラではないと思います。複数でない wig でも「頭」というような意味で、そこから派生した「エロい意味」もあったり、wig pushed back! なら、ボッコボコにするという意味もあるのですが、ここでは「頭数」という訳にしました。


(*9)Plus clips that expand from hand to elbow

タクシードライバーにも出てきた、袖から伸びて出てくるやつのこと??

https://www.youtube.com/watch?v=GdCkpgj8BLU

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* *(注釈終了) * *



シャックには、2Badのラッパーに起用される前、マイケルが買おうとしてた家を、先に買ってしまった。なんてエピソードもありましたよね!


◎シャキール・オニール、MJとの出会いを語る



次回はようやくUnbreakable」の和訳ですw


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by yomodalite | 2017-07-24 00:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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マイケルの「Unbreakable」に使われた、ビギーのラップは、もともとNBAの大スター、シャキール・オニールの「You Can't Stop the Reign」という曲に使われていたものだったのですが、


これは1996年のビルボードのR&B/Hip-Hopチャートで、最高位54位という中ヒット曲で、前年の1995年にリリースされた『HIStory』で、マイケルは「2Bad」では、シャキール・オニール(シャック)と、そして、「This Time Around」では、ノトーリアスB.I.G.(ビギー)のラップを使っていて、


その2人が、それぞれ「俺の天下は止められない」みたいなことをラップしあう曲が、「You Can't Stop the Reign」なんですね。


ちなみに、「2Bad」は「Bad Part 2」のような内容をもった作品で、ジョー・ボーゲルの『コンプリート・ワークス』では、


いかにもストリート風の生意気な雰囲気をもつこの曲は、(ヒップホップの大半がそうであるように)非常に挑発的だ。しかし同時に、「必ず立ち直る」という宣言の曲でもある(蹴られ続けても、僕は立ち続ける)、曲の冒頭に流れるのは、Run-D.M.C の「King Of Rock」のサンプリング音。「King Of Rock」は音楽業界が白人によって牛耳られていることへの反抗心を示した歌だ。この曲を使うというのは、同業の先駆者に敬意を払いつつ、この歌の政治的意図を明確にするための巧みな “技” だ。


とあるのですが、「King Of Rock」の歌詞には、「スリラー」や「バッド」が登場します。






I'm the king of rock, there is none higher

俺はロックの王様、俺以上のやつはここにはいない


They called us and said we're gettin iller

There's no one chiller

It's not Michael Jackson and this is not Thriller

As one def rapper, I know I can hang

みんな俺たちのこと、さらにヤバくなったって言っている

これほどのチラー(ゾクっとするヤツ)はいないって

マイケル・ジャクソンじゃないから、スリラーじゃないよ

イケてるラッパーとして、俺はいられるんだ


Now we're the baddest of the bad, the coolest of the cool

I'm DMC, I rock and roll. I'm DJ Run, I rock and rule

俺たちは、ワルの中のワル(Bad)で、クールの中のクール

俺はDMCで、ロックン・ロールしてる

俺はDJ RUNで、ロックがルールさ・・・


「King Of Rock」を聞いたマイケルは、Run-D.M.Cが言いたいことに共感しつつも、こう思ったんじゃないでしょうか。


「どこが王様やねん。お前らの王国なんか、ちっちゃ過ぎて話にならんわ。それと、ワル中のワルっていうのは、そないなもんやない。ホンマのBADっちゅうんは・・・」


というわけでw、


ホンモノの王様であるマイケルは、マジで残念なやつと、本当にクールな “ワル” を「2bad」で表現します!





What do you want from me?

What do you want from me?

Tired of you haunting me, yeah yeah

You're aiming just for me

You are disgustin' me

You got blood lust for me

But too bad, too bad

僕から何を奪いたい?何が欲しいんだ?

お前らの標的にされるのはうんざりだよ

いつも僕だけを狙っていて、反吐がでる

お前らは、僕の血に飢えているんだ

でも残念だね、そうはいかないよ


Hell all up in Hollywood

Sayin' that you got it good

Creepin' from a dusty hole

Tales of what somebody told

ハリウッドはもう何もかもが終わってる

お前らは「善」だとか言ってるけど

薄汚たない穴から出てきた

誰かが仕組んだつくり話さ



で、マイケルに「ちょっと言うたって」と言われて出てきたシャックは、


Life's about a dream

人生は夢のようなもの

I'm really undefeated when MJ is on my team, theme

でも、マイケルが俺の仲間のときは、絶対に負けることはない。


というラップを披露するんですね。


また、「This Time Around」は、「今度こそ、やられたりしない」という内容の曲で、


ビギーは、スターダムの苦悩を抱えるようになったことで、マイケルの苦悩を共感するようになり俺のダチのマイクもそうしてるんだ)、シャックもビギーもそれぞれ、マイケルを「極上の仲間」として表現するラップを披露しています。


ところが、そんな二人も、自分の王様ぶりを見せつけようとイキがって「You Can't Stop the Reign」(オレの天下は止められない)をリリース。


それを聞いたマイケルは、またもやこう思ったにちがいありませんw。


「お前ら、ちょっと目を離したすきに、チマチマした王国を作りやがって。何回言わなあかんねん?ええか、王様はひとりやねん!アリーナだとか、NYだとか、そんなん「世界」やあらへん。ホンマの「世界」や「王様」ちゅうのはな・・・」


ということを表現するために作られたのが「Unbreakable」なんだという説明は、また次回w。




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by yomodalite | 2017-07-16 16:06 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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(5)の続き・・・

しばらく間があきましたが、マイケルとヒップホップについて、目一杯寄り道をしながら考察するシリーズ。

『Bad』から『HIStory』期までの音楽業界にヒップホップが与えた影響や、時代背景をひととおり見たところで、今回は、ようやくマイケルが2度もラップを使ったノトーリアスB.I.G(別名ビギー・スモールス)について。

* * *

マイケルが、はじめてビギーのラップを使った「This Time Aound」(『HIStory』収録)について語っているインタビューは見当たらず、「Unbreakable」(『Invincible』収録)に、ビギーのラップを使うことになった理由については、

それは僕のアイデアではなくて、このアルバムの作曲家でプロデューサーでもあるロドニー・ジャーキンスのものだったんだ。 僕がこの曲にラップを入れようと思っていたら、「ピッタリなのがある、ビギーのだ」ってロドニーが言ってね。それで、彼のラップを取り入れることになって、この曲は完成したんだ。(→ 2002年VIBEインタビュー)

と、答えているのみ。

VIBE誌は、ヒップホップの雑誌ですから、ビギーについてもっと聞きたかったと思うのですが、マイケル側でこれ以上の質問を許可しなかったのでしょう。でも、毎回うんざりする整形や皮膚の色、少年虐待疑惑などとは違って、このアルバムの中で、マイケル自身が最も強くシングルカットを望んだ曲に関する話題であり、

ヒップホップの東西対立抗争の中で、撃たれて亡くなったビギーのラップを取り入れた理由について、いくらインタビュー嫌いのマイケルでも、もう少し言葉があっても・・と思うのは私だけではないでしょう?

しかも、マイケルは、ロドニー・ジャーキンスが「ぴったりなのがある」と奨めてきた、とプロデューサーのせいにしていますが、これはマイケルの癖でw・・・すでに銃撃で亡くなっていたビギーのラップを、I’m unbreakable(僕は不死身)だという曲で使うなんて、マイケル自身にしか決められないことです。

ラップは、黒人のCNNと言われるように、ヒップホップのアーティストたちは、実際に起こったことを音楽に取り入れることが得意ですし、期待もされていて、評論家のような人々が、音楽を語るための材料になったり、アーティスト自身が大いに語ることで、宣伝にもなるのですが、ビギーが亡くなったのは1997年3月で、『Invincible』が発売された2001年10月よりも、4年以上も前のこと。

何度も延期になった『Invincible』の発売ですが、何ひとつリップサーヴィスをしないマイケルのことを考えると、SONYが「Unbreakable」をファーストシングルにしなかったことを責めることは、わたしには出来ないのですが、どうして、マイケルは、2度もラップを使ったビギーについて何も語っていないのでしょう?

私は、とりあえずビギーの魅力に触れたくて、彼が遺した2枚のアルバムを、歌詞を見ながら何度も聴いて思ったのですが、ここまでマイケルが基準にし、達成もしてきたレベルを考えると、現在でも多大なリスペクトを受けているビギーでさえも、少し「足らない」と感じるところがあったんだと思うんです。



album "Ready To Die" より


両親ともにブラック・パンサー党のメンバーという出自に、主演俳優になれるほどのカリスマ性、加えて、ヒップホップ史上、最高のプロデューサーと言われるドクター・ドレがプロデュースしたヒット曲をもつ2パックの楽曲の完成度と比較すると、

幼い頃に、父親が蒸発し、保育園で働く母によって育てられ、犯罪とクラックが蔓延するブルックリン(ベッドスタイ地区)で成長し、ドラッグディーラーになったビギーには、貧しく、ハンサムでもないという、多くの普通の黒人に訴える普遍性に、素晴らしいラップスキルが共存するという幸運があっても、マイケルが考える「素晴らしい音楽」には、ほんの少し足らなかったのではないか、と。



album "Life After Death"より


上記と同じインタビューの中で、マイケルはこうも語っていました。

VIBE:現在のR&Bの状況をどう思いますか?

MJ:僕は音楽をカテゴリで分けたりしない。音楽は音楽だよ。R&Bがロックンロールという言葉に変わっただけ。ファッツ・ドミノや、リトル・リチャード、チャック・ベリーなんかが、ずっとやってきたことと同じさ。区別してどうするの?素晴らしい音楽は、素晴らしい。それが現実さ、そうでしょう?

ヒップホップが流行した時期、黒人たちは「黒人」にしかわからない世界を表現しようとし、音楽業界はこれまで以上に、音楽をカテゴリで分類し、音楽ファンも自分の好きな音楽を、分類されたカテゴリから選んで聴くようにになっていました。

KING OF POPであるマイケルは、テディ・ライリーの才能を「ニュージャックスイング」からすくい上げたように、自分がラップや、ヒップホップに関わることで、黒人という枠を飛び越え、カテゴリに埋没しない、時流にのった言葉以上の意味と、音を創造しようとしていたんじゃないでしょうか。


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(3)では、N.W.A.以降のラップミュージックは、それぞれ自分がいる場所を語るという考え方があるにもかかわらず、基本的に「西海岸」の住人だったマイケルが、「東海岸」のアーティストとばかり仕事をしているのはなぜなのか?と書きましたが、



音楽的には、ヒップホップを嫌っていたプリンスは「My Name Is PRINCE」のように、「自分語り」が得意なアーティストですが、マイケルは「自分語り」をほとんどしないアーティストですよね。

何事も「原点から探求する」ことが好きなマイケルは、ヒップホップ発祥の地であるハーレム(東海岸)により興味があり、また、デスロウ・レコーズ(西海岸)のアーティストと関わるには、代表のシュグナイトが怖すぎたw。ということも多少はあったのかもしれませんが(笑)、

プリンスのミネアポリス出身という「アイデンティティ」とは異なり、マイケルにとって、インディアナ州ゲイリーで生まれたことは意味があることではなく、そういったすべての「境界」と関係なく、誰もが素晴らしいと感じる音楽を創ることが、彼の「アイデンティティ」だったと思います。

マイケルはこれまで、ポール・マッカートニーのような伝説的なアーティストをはじめ、フレディ・マーキュリーや、プリンス、マドンナといったライヴァル関係ともいえるアーティストと直接対決するようなコラボレーションも考えてきましたが、

ラップについては、新しい時代感覚を取り入れることで、世代や、音楽のジャンルにもこだわらない「いい音楽」が作りたかった、ことと、今をときめくラッパーに「自分のやり方」を見せたかったのではないかと思うんですね。

マイケルは、ビギーのラップのスキルを使って、自分ならこうする、という音楽を創りたかったのではないでしょうか。



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by yomodalite | 2017-07-10 07:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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6月2日にした私たちの会話を、長々とお聞かせしちゃいましたが、今回で最後です。

写真は引き続き「Searching For Neverland」から。

A:akimさん Y:yomodalite

A:マイケルの場合は、『Off The Wall』で、自分が思ってるほど評価されなかったってことも大きかったんじゃないかな?グラミー賞ではほとんど無視されて、ローリングストーン誌でも黒人は表紙にしませんとか・・そういうことではなく、確固たる実績というか、売上チャートには、一人一人が実際に買ってくれたっていう、一番「嘘」がないっていうね。


Y:お金出して買ったっていうのはね・・。最近では、「ファンです。Youtubeで毎日見てます!」なんて言っちゃうような「ファン」もいるけど、実際に「買った」っていうこと以上の「本当」ってないもんね。それはぜったいに嘘じゃないから。


A:もし、『Off The Wall』で、マイケルが思っていたとおりの反応だったら、「Thriller」は違ったものになってたかもしれないよね。


Y:そうだね、人間にとって怒りのエネルギーが、やっぱり一番強いと思うし、マイケルも、本当に成功の階段を登ったときのエネルギーはやっぱり「怒り」だったと思うんだよね。フレッド・アステアが、マイケルを見て、「君は怒れるダンサーだ」って言ってたけど、本物の一流の人が持っているスゴい力っていうのは、大体「怒り」に属していて、それを、すべて「表現」に変えられる情熱をもっている人が天才なのかもしれないんだけど、マイケルがもっていた怒りのひとつである「黒人」っていう部分は、彼の場合、幸か不幸か、そうではなくなってしまって・・・


A:「肌の色」だけじゃなく、マイケルの場合、自分と同じような「黒人」がまったくいなかったってこともあるよね。世界には色々な「黒人」がいるのに、アメリカの「黒人」には、他の国以上に、ステロタイプが求められてるし、マイケルが、自分が黒人だということに誇りをもっているのは確実だけど、みんなの描く「黒人」アーティスト像とは一味もふた味も違っていたからね。超越してたよね、本当にいろいろなことを。


Y:それでも、肌が黒いときは、その壁をぶち破ってやるという気持ち(Off The Wall)があったと思うんだけど、破った壁の向こうに新たに現れた「壁」は、マイケルには見えていても、世間の人には、わかりにくかったんじゃないかな。



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Y:でも、あらためて『Off The Wall』というタイトルは、新生マイケルのソロアルバム第一弾にふさわしかったと思うなぁ。テーマがあって音楽があるんじゃないんだって、マイケルはどこかのインタヴューで言ってたんだけど、今は、よく「マイケルのメッセージ」って言うでしょう。でも、曲やインタヴューや、色んな和訳をしてきて、つくづく思うけど、マイケルって本当はそんなメッセージがあるわけじゃないんだよね。メッセージがあるかないかで言ったら、プリンスの方がマイケルよりも断然あるよね?


A:プリンスの方が全然ある!マイケルはメッセージみたいなの、むしろ全然ない。私もそう思う!ありそうな歌詞はあるんだけどね・・


Y:ありそうなのは、マイケルが書いた詩じゃなかったり、むしろ、マイケルは、そういう言葉を慎重に避けてるって感じがすごくするんだよね。


A:皆無とは思わないんだけど、例えば、「We Are The World」とか、「Heal The World」だよね。


Y:そうそう、ああいう曲は、まさに「メッセージ」なんだよね。マイケルもそのふたつの曲を作れて良かったって言ってるから、彼にとっての「メッセージ」は、そこに尽きると思うんだけど、さらに、そういったメッセージを繰り返したり、平和活動みたいなのが、自分のアイデンティティになってしまうと、音楽の神も、愛もそこから逃げ出してしまう、みたいな感覚を持っていたんじゃないかな。あの「Love」という詩のように。




Y:「We Are The World」は80年代を代表する曲だけど、人々がそういったことを信じられなくなって、傷ついた90年代に生まれたのが、「Heal The World」だったんだよね。でも、結果的にこのふたつは、今もっとも裏切られたメッセージだと言えるんじゃない?

このあと、先進国は多様性が重要なテーマになっていったけど、アメリカにしろ、EUにしろ、その多様性社会のルールは、グローバリスト陣営にいるほんの数人が決めることになって、そのルールに従わない国は民主国家ではないから、そんな国のリーダーは独裁者だと認定され、独裁者を倒すための軍事的行動は、どんなに犠牲が出ても正しいこととされる。

世界がひとつになる、というよりは、富を独占し、ほんの数人で法律を決めていくような「ひとつの世界」への道がずっと進行していて、そこに不満をもった人たちが、民主的な選挙によって「No!」を言おうとしても、今度は「ポピュリズム」だなんて批判されちゃう(苦笑)。



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Y:マイケルが、こうしよう、ああしよう、とか、自分はこうだ、とかほとんど言うことなく、色々誤解されたことへの弁解や、あらゆるところで、言葉が少なかったのは、そういった言葉の欺瞞に敏感で、言葉に縛られるのが嫌だったからじゃないかな。


A:特に歌詞に関してはどう捉えられてもいいみたいなね。


Y:うん、言葉は、人の心を縛るし、宗教でもあって、願いと方法論は掛け違うことが多いよね。日本人とちがって、欧米人の世界観は、善と悪が常に戦っている世界の中で、自分は「善い行い」をしたいと思ってる人がすごく多くて、そこが「アイデンティティ」に強く結び付く。

日本で一番多くに支持されてきたのは、「人に迷惑をかけない」とか、「人に優しくしたい」ってことだと思うんだけど、「善い行い」っていうのは、人に迷惑をかけても存在する。だから、アメリカのヒーロー映画は、人の車を破壊するなんてなんとも思わないどころか、犠牲者が出たって全然平気(苦笑)。

欧米的な「知性」の多くは、実はなにが「善」かということが重要だから、マイノリティが「善」ってことになると、マジョリティは「悪」になって、どんなに攻撃しても大丈夫になっちゃう。だから、ちょっぴり流行った「反知性主義」も、知性の行き過ぎに対する「理性」でもあって、マイケルの「子供に学べ」や、「いたずら好き」も、知性へのアンチテーゼのように思えるときもあるんだけど、自分が「善」だと思っている人は、自分と異なる人を「悪」だと思って攻撃しちゃう。



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Y:昔は、自分が「善」だと信じている人は、「教会」に従ってた人たちなんだけど、現代では、これが「知性」です、と言われていることを信じている人たちなんだよね。それで、今やっかいなことになっているのは、「自由や多様性を重んじる」って言葉さえ唱えていれば、そうしてるつもりになっちゃってたけど、実際はそうじゃなかったってことなんじゃないかな?

彼らは、意見が異なる人に暴力を振るっても「善い行い」だと思ってるし、「悪」と激しく戦うのは普通のことだから、Heal The Worldの方が「デンジャラス」なんだよね。


マイケルには、常に困っている人に優しくしたいっていう気持ちの純粋さをすごく感じるんだけど、今のセレブたちは、言葉やタトゥーにしても、やたらとメッセージをもちたがるんだけど、それは目標も着地点もわかりやすくて、結局、彼ら自身のアイデンティティの一部でしかないように見えちゃう。

彼らは、メディアが推奨する「正しさ」や、認められた「知性」に準じることに熱心で、地球を守るには、二酸化炭素が「絶対悪」だって思い込んでたり、実際に困っている部分の極一部にしか目が行かないみたい。国内に住んでいる恵まれない子供ではなく、わざわざ海外から連れてきた子供を養育して、肌の色の違う家族をもつことも、「アンデンティティ」のためっていうか。



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番組のイベントに登場したスザンヌ・パッセ(左)とナビ


Y:マイケルのテーマを、あえて求めるとしたら、彼の場合、常に自分を超えることに、最後までこだわっていたってことで、マイケルが越えようとした「壁」は、ギリギリのところまで実際に行ってみて、そこで初めて、目の前に立ち上がってくる、そういった「未知なるもの」への興味っていうか・・・


そういう姿勢だったから、マイケルの言葉に裏切られることがあっても、マイケル自身から「信頼」や「愛」が消えなかったんじゃないかな、とも思うんだけど・・。


A:さすが深いわ(笑) あたしはHeal the world, save the children、まぁこの二つが大きな柱だと思ってたのだけど、彼から感じるメッセージがあるとすれば、日本人としては皮膚感覚で感じることが難しいけど、とにかくloveにつきるなぁとは思う。

今年も25日が来て、マイケルのメッセージを大切にとか、マイケルの意思を継ぐとか、そういう声を聞くことが多くなって、また私が耐えられない季節になった、とか思っちゃうんだけどさ(笑)

Y:メッセージって、そんなつもりはなくても、ときどき「愛」とか「詩」とか「音楽」を殺しちゃうことがあるからね(笑)


(おしゃべり終了)


6月に、長々とした私たちのおしゃべりにおつきあいいただき、ありがとうございました!



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マイケルに扮する前のナビ


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by yomodalite | 2017-06-27 10:21 | MJ考察系 | Trackback | Comments(3)
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akimさんとのおしゃべりの続き・・・ 


25日の前に、逃げるように終わろうwと思っていたおしゃべりですが、いろいろあって遅くなっちゃいました。それと、現地時刻をふまえ、『パープル・レイン DELUXE-EXPANDED EDITION』の解禁は、やっぱり明日以降にします。


写真は引き続き「Searching For Neverland」から。


A:akimさん Y:yomodalite


Y:マイケルの痛み止め治療については、他にもっといい治療方法があったっていう人もいるけど、実際にはないと思うんだよね。マイケルはものすごくドラッグ嫌いだったから、薬物中毒なんてありえない。っていう人もいるけど、鎮痛剤中毒はそういうのとは違うし、精神的な意味で、薬に頼ったっていう風に捉えてる人も大勢いるみたいだけど、別にそんなことがなくたって、ただ、肉体の痛みを取るために、鎮痛薬の中毒にかかってしまう人が、アメリカでは本当に多いし、亡くなってる人もすごく多い。

コカインとか、ヘロインとか、アルコール中毒とか、そういったリハビリ施設はいっぱいあって、代用で処方される薬もあるけど、痛み止めに関しては、むしろ、そこから違法ドラッグに移行するしかなくて、最近マリファナを解禁する地域が多いのだって、そういったことから来ているわけじゃない・・・


A:ハイになるためのドラッグと、痛みをとるための薬はまったく違うよね。


Y:マイケルもプリンスも、本当にドラッグ嫌いだったし、強い精神力をもった人だったけど、そんな人であっても耐えられない、そして、痛みのせいで仕事が出来ないっていう、究極の選択が「処方薬依存」につながってるのに、普通の「薬物中毒」と同じように扱われるのも、ホント頭にくるよね。


A:マイケルにとっては、自分にとっては、それが正義っていうか、そっちの方が「正しいこと」で、それがなければ、きちんとした判断や、生活ができなかったわけだから、必須のものだったし、医者が処方して出すものなんだからっていう考えが強かったと思うのよね・・。


Y:家族がそれを心配して、いろいろ口出ししたくなる気持ちもすごくわかるけど、マイケルは自分で相当考えた結果だから・・・。


A:カシオ本に出てくるフォーシュキアン先生っているじゃない。できるだけ、少しづつ、強い薬の依存から抜け出そうみたいな、痛みには対処するけど、できるだけ自然に・・っていうさ。でも、ああいった治療法は、何にもない時期なら、少しは改善できたかもしれないけどね・・・


Y:それで痛みがなくなるわけじゃないもんね。


A:うんうん。ドラッグ依存と違って実際の痛みは現にあるわけだしね。それに、なにもストレスがないときならまだしも、それなりに公の場所に出て行ったり、THIS IS ITのリハーサルが始まって、ただでさえ眠れないところに、精神的なプレッシャーものしかかって、肉体的に「休む」ってことを仕事を受けた責任からもしなくちゃならないわけだからね。


Y:痛み治療に関して、いい方法があります。なんて言う人はいっぱいいるけど、みんな、あるようなフリして、結局本人に我慢をしいるだけで、あともう少しそのまま治療を続けてくれれば・・なんて言いわけするんだよね。でも、あんなに永年のあいだ続いてる鎮痛剤依存に対する治療法なんて、実際ないから。

痛みを消す薬については、どんな難病や、不老不死の薬よりも、大勢の人から求められてる医療だと思うけど、全然ない。し

かも、製薬会社は強いから、そういう中毒になりやすい薬の処方に対しての規制もなかなかできないし、そんなことより、タバコの健康への悪影響を新たに「発見」する方が重要なんだよね。毎日熱心にそんな報道をする一番の理由が、人々の健康のためなわけがないと思うけど(笑)



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A:話は少し変わるけど、あのカヴァリの話で思ったんだけど(→ビルとジェイボンと衣装について)、マイケルが「白い靴下、もうやだ」みたいな話を聞いて、あのTHIS IS ITのときのコスチューム・デザイナー、ザルディだっけ。

カレン・フェイは、いつもどおりマイケル・ブッシュにすべきだったみたいに言ってたけど、マイケルは、ビリージーンやスリラーぐらいは、同じでもいいかって思ったかもしれないけど、あとは全部変えたいって思ってても不思議じゃないよね。

ザルディは、トラヴィスが連れてきたデザイナーで、カレン・フェイは、マイケルは本当はブッシュにお願いしたかったのに、オルテガ陣営がマイケルのことを全然わかってなかったみたいに言ってたけど、そんなことないんじゃないかって思うんだよね。そこは、マイケルのいつもの悪い癖でさ(笑)、ブッシュには、「やっぱり君の作ってくれるものが一番だよ」とか言ってても、ザルディの前では、「こんなのが前から着てみたかったんだ」とか、言ってたんじゃない?


Y:絶対そうだと思う(笑)マイケルは、彼らの前でお世辞をいってるわけじゃなく、本心でそう言ってるんだと思うんだよね。


A:だから、マイケルはこっちのファンには、リハーサルが自分の思うようにいかない、とか、いろんな愚痴とか言ってたと思うけど、トラヴィスにアイデアを出して、色々なことを前向きにやっていこうと言ってたのも本当で、音楽ディレクターのベアデンに言ってたことも本音だし、夜になって、ぐったり疲れて、出待ちのファンに話したことも・・とにかく全部本当だと思うんだよね。


Y:うんうん、ホントそうだよね。それで家に帰ってきて、子供たちの前で泣いてたり、愚痴言ったりしたことも、全部「本当」だよね。


A:そうそう、それでまた、その夜、オルテガに電話して、「アイデアの続きなんだけど・・」って言ってたのも「本当」だと思うんだよね。ぜーーんぶ「本当」で、全部マイケルなんだよね。


Y:だよねーー!だからね、どんなに子供たちが、リアルなマイケルパパをずっと見ていたとしても、リアルなダディと、リアルな「マイケル・ジャクソン」は違うからね。そういうのは、マイケル自身の中でもあって、それが、「THIS IS IT」を子供たちに見せたいっていうことにも繋がったんじゃないかな。マイケルじゃなくたって、人間て、「本音」だからといって、全部「本心」じゃないからね。言ったら、すっきりして、逆に反省したり、そういうのも全部ひっくるめて「本当」じゃない?


A:そう思う。なんたって海より深く空より広いマイケル・ジャクソンだよ(笑)。一つのイメージで語ること自体が無理なんだよ。大体さ、自分にだって自分のことわからないことって、いっぱいあるしね。


Y:そうそう、マイケルが矛盾してるっていう以上に、普通の人の方がもっと矛盾しているんだけど、自分で気づいてる人が少ないだけなんだよ。

少し前に、浅田真央が引退したときも、その少し前までは、まだ、がんばります、って言ってた矢先だったけど、一流になればなるほど、ギリギリのところでやってるわけで、本当に紙一重の判断だから・・・。

普通の人だって、色んな気持ちが同居してるものなんだけど、そんなことを言い出したら、収拾つかないとか、全部出来るわけないと思うから、なにがいいか「選択」して、自分はこっちなんだって、自分にとって破綻が少なそうな方を、無自覚に正しいと信じ込むんだよね。でも、マイケルにとっては、それは「正直」なことじゃないっていうか、そっちの方が、自分に「嘘」をつくことで、自分に才能を与えてくれた神に申し訳ないんじゃないかとか思っちゃうんじゃない?


A:うん、そうだね。彼にしたら当時抱えていた問題は理不尽な災難の結果でもある。だから、名声も、財力も取り返したい。でも、出来るかなっていう不安もある、でも、やっぱりやりたい・・・やるからには完璧にしたい・・


Y:そういうの、すべてが「本当」だよね。私ね、マイケルが、チャートにこだわることとか、ギネスブックが大好きだとか、あんな天才がそんなことにこだわるなんて、って昔は思ってたんだけど、浅田真央にしても、高橋大輔にしても、あんなにスケートやダンスの方から愛されているような人でも、すごく「競技会」にこだわってて、そこで1位になれなくなったら、もうスケート人生にそれほど未練がないというか・・

彼らのような人にこそ、競技会で燃え尽きるんじゃなくて、アイスショーで、自分の思う通りのスケートで永く魅了してもらいたいって思うんだけど、勝ち負けなんか関係なく見ていたいって思う人ほど、むしろ、競いあうっていう厳しさの方に、純粋さを感じてるっていうか、自分の表現なんてことより、そっちの方をずっと愛してるっていうのを最近感じて・・。マイケルも、そんなところもあったんだろうなぁって。



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あとね、「どうして僕をほっといてくれないんだ?」は、ビルとジェイボンの本のPart2のタイトルでもあるんだけど、マイケルって、本気で「ほっといてくれ(Leave Me Alone)」なんて、全然思ってなかったよね?あの絶妙な変装とか(笑)?


A:思ってない、思ってない(笑) マイケルの変装はばれるべくしてばれてるんだもん(笑)


ビルがフルフェイスのメットやライダースジャケット用意してベガスの通りを歩かせて、マイケルがすごく喜んで「こんな風に誰にも気づかれないで歩きたかったんだ」って言ったって、あるじゃない?多分その時は本当にうれしかったと思うんだけど、何回もそれやったら、いずれシールド上げるよあの人(笑) 

何かの変装の時に自分のカールした髪の毛を2、3本わざと見せるようにして、その時そばにいた人が「その毛隠したら?」って言ったら「だってそれだと僕だってわからないじゃない?」って言ったっていう有名な話があるじゃない(笑)。

本の中でビルに言った、「どうして僕をほっといてくれないんだ?」は、どっちかというと、自分の言うことや、やることをゆがめて報道するメディアや、自分にあれこれ指図したり、説教したり、自分の意図に反することを提案してくる輩たちに対しての苛立ちの言葉だと思うわ。ファンや群衆にはほっとかれたくなかったのよ(笑)




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by yomodalite | 2017-06-26 11:24 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)

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akimさんとのおしゃべりの続き・・・


写真は引き続き「Searching For Neverland」から。


A:akimさん Y:yomodalite


A:まだ公開前の部分だけど、このあと、ビルとジェイボンの本の中で、ショッピングモールに行く話があって、モールの関係者に「マイケル・ジャクソンが行く」っていうと、大変なことになるので、誰かって聞かれたとき、「プリンスです」って答えたら、全然どうってことなかったみたいな話があったよね。


Y:あの話は面白いよね(笑)


A:プリンスが人気ないっていうんじゃなくて、プリンスに対して人はマイケルのように突進したりしないっていうことがね。マイケルは、プリンスの場合は、みんな彼に対して一定のリスペクトがあって、うらやましいっていうきもちもあるんだけど、一方で、自分への熱狂のようなものは、プリンスにはないっていう自負もあってw・・たしかに、熱烈なファンでも、なんとなくプリンスに対しては、彼をもみくちゃにするなんて出来ないっていう雰囲気があるっていうか、実際されてるところも見たことがないよね。


Y:プリンスは、マイケルみたいにたくさんセキュリテイ連れてないし、ペイズリーパークの外で、よくチャリンコに乗ってたり、コンサート終わってから、すぐまた別会場でパーティーやるとか、マイケルと違って、わりと身近に見られるっていうイメージもあるからかな?


A:うーん、前にプリンスファンのブログを読んだことがあって、彼女曰く、ファンだからこそプリンスに対して「きゃープリンス! I love you!」なんて軽々しく言えないって書いてあったのね。なんていうか独特のオーラがあって・・。なんかわかるような気もするんだよね(笑) そういうのメディア側も理解してて、プリンスに対しては確かにあんまり変な、どーでもいい質問したら出て行かれて二度と答えてもらえないんじゃないかっていうのがあって、あんまり失礼な態度をとらないっていうか。

マイケルは「I love you more」ってお約束を返してくれるから、ファンもエキサイトしやすい(笑)。ファンの熱狂は彼にとって嬉しいものだったろうし、慣れっこだったろうけど、プリンスと比べたら、メディアの彼に対する軽々しい扱いはね・・・。そこはマイケルにとっては、本当に納得できない部分だったと思うんだけどね。2008年にマイケルがレコーディング中にウィル・アイ・アムに、「どうして人は僕のことを、プリンスのような本格的なソングライターだと思ってくれないんだろう」って言ったらしいんだけど※、すごくそれが忘れられないの。切なくて(笑) まぁ、でもプリンスの場合は、小さいから、もみくちゃにされたら、本当にめちゃくちゃにされちゃいそうだしね。


◎関連記事 別館akim「PrinceとMichael 神の寵愛を受けたふたり


Y:小さいってことで、思い出したんだけど、マイケルと会った人の印象って、大小の印象がすごく幅広くない? 日本のテレビ番組で、マイケルがいつも使ってたキャピタルホテルの人が、マイケルの手は、女性のように小さくて、とか言ってて、他にも手が小さくて女性のようだったって言ってる人が多いように思うんだけど、実際マイケルの手は、手形とか見ても、全然小さくないじゃない。

身長190センチ以上で、体重100キロ以上がゴロゴロいるようなアメリカ人の印象だったら、マイケルが小さくてっていうのも、わからないでもないけど、日本人の平均的な体型と比べたら、別に小さくないのに、「女性のように手が小さい」って感じちゃうのは不思議だよね。

ビルやジェイボンも、触ると折れるんじゃないかとか言ってるんだけど、でも、例えば、身長185センチのR・ケリーは、「少なくとも8フィート(2m40㎝!)はあるように見えた」って言ってるし(笑)、巨漢のラッパー、ノトーリアスB.I.G.は、マイケルと会ったとき、自分が子供の頃からどんなにファンだったか、モジモジと身を縮ませるように答えてたり、少年隊の東くんも自分よりも身長高かったって言ってるよね。


A:マイケルの場合は、身長うんぬんよりも、声の印象なんじゃない?あれが、か細い印象に繋がるみたいね・・・「Smap×Smap」のときも、小さい声でしゃべってたよね。


Y:そう、あれも地声じゃなくて、ちょっとでも声を出さないように、声を大事にするために、あんな風にしゃべってたんだって今は知ってるけど、「Smap×Smap」のときは・・あれをリアルタイムで見てた頃は、ホントなんて言っていいか、わかんなかったもんね。これで終わっちゃうの、もう帰っちゃうの、ホント、どうしちゃったのかなって・・






A:今から考えると、貴重な瞬間だったけど・・・


Y:うん。サングラスなしだったの、ジャパンMTVアワードのときだけだったもんね。高視聴率の地上波番組で、サングラス外してくれて、スマップと会話してくれてたらね。少なくとも日本では誤解が解けてたかなぁ・・

今はMTVアワードの動画も見られるし、あのとき私たちが抱いた不安とか、あんまり理解されないと思うけど、「Smap×Smap」も、高額ファンパーティも、マイケル愛が100%の人の前でも、子供たちがいる養護施設でも、一切サングラスを外さなかったっていうのは、当時はものすごく不安を掻き立てられたんだよね。






でも、マイケルの後半生は、メディアが作り上げた疑惑によって、ことごとく妨害されたって思うファンは多いし、誤解されたことを弁解したいという気持ちも強いんだけど、メディアによって散々おかしな話を掻き立てられた、ある意味マイケルの先達とも言えるハワード・ヒューズのことを、マイケルは、自分と同じ「被害者」としてではなく、大きな仕掛けをした「自分の先生」だって言ってたのを読んだときは衝撃的だったなぁ(*)

Bad期にP.T.バーナムをお手本にしたことは、よく知られていることだけど、その発言をしたのは、2000年頃のことだからね。


不潔恐怖とか、隠遁生活とか、ヒューズの噂は、マイケルの「フェイク・ニュース」に流用されてるものが多いんだけど、レオナルド・ディカプリオが、ハワード・ヒューズを演じた映画『アビエイター』では、ハンサムで、超大金持ちの実業家でありながら、世界記録をもつパイロットで、映画監督としても成功した、まさにアメリカンヒーローといえるヒューズが、次第に精神に異常をきたして、人々から隔離した生活をするようになったことを、少年の心をもつ繊細な「被害者」として描いていて・・そんなところも、マイケルに同情した人々の感情と似てるんだけど、でも、マイケルのヒューズの捉え方は全然そうじゃなくて、むしろ、ヒューズ自身がそういったことも「仕掛けた」んだと。マイケルには色々な誤解を解こうという意思はなかったみたいなんだよね。




A:うん、そんな気がする。THIS IS IT に至るまでは、本当にやりたくなかったんだろうし、子供のためのクラシックを作ったりとか、創作意欲は常にあったけど・・



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Y:クラシックといえば、THIS IS ITと同時期に、クラシックのアルバムを作ってたことも、あんなにスケジュール的に大変だって本人も思ってた時期に、どうして平行してやろうとするのかなって思ったんだけど・・




A:創作をすること自体は、やりたいことで、やっても苦にならないんだろうね。


Y:ビルとジェイボンの本にも、ブラッド・サンバーグを呼んで、創作活動してたことについて、そんな風に書いてあったね。


A:ブラッド・サンバーグとは、裁判の前にいったん別れたんだけど、帰国後、またやることになったんだよね。あと、ラベル・スミスもよく家に来てたんだね・・・それと、ジェイボンが、子供の頃、ネバーランドに招待されてたっていうことを証言してくれたのもよかったよね。


Y:バーニー先生の息子の学校も招待されてたけど、地域も経済格差もありそうなジェイボンも招待されてたんだから、ホントにたくさんの子供たちを招待してたってことだよね。しかも、ただ、見学するんじゃなくて、あの遊具を全部使わせてたり、身体の不自由な子供たちも乗れるように、係のひとに特別な指導も受けさせていたり、動物もたくさんいるから、飼育する人も大勢必要だし・・・


A:乗り物だけじゃなく、食べ物とか何もかも無料だからね。


Y:そんな施設を10年以上もずっと運営するなんて、もう想像もできないような巨額のお金を投じてるよね・・にも関わらず、こういったことすべてを無視して、マイケル個人の浪費癖と、少年への異常な性癖が目的だったみたいな話にしちゃうんだからね・・。メディアってホント怖いわ。


あの裁判のとき、ファンが熱心に応援したかもしれないけど、これだけ永年尽くしてきた地元で、マイケルが起訴されることへの反対運動が起こったとか、全然聞かないもんね。マイケルにしてみたら、これだけ地元に貢献してきたのに、って気持ちはすごくあったと思うよね。裁判のときに、メゼロウが陪審員として選ばれた地元の人たちは信頼できる人たちだと感じたとか、マイケル裁判に使われた税金は究極の無駄遣いだって感じてた人も大勢いたとは思うんだけど、今のトランプに対する報道もそうだけど、この当時から、マスメディアでは決められた方向にはっきりと誘導するように、報道するようになったって感じ。


ネバーランドに子供を招待することは、1993年の疑惑以降もずっと続けられてきていて、バーニー先生の病院にマイケルが来たのは2001年だけど、その頃学校に行ってたバーニー先生の子供たちなんかも、ネバーランドに招待されることを、すごく楽しみにしてたわけだし、そういった「おとぎ話」のように夢のあることを、一部の大人たちが疑ったことで、ぶち壊されたり、これ以上ないってぐらい泥を塗られたっていうのは、本当に悔しいし、無実になったあとも、謝罪もなければ、反転するような報道もなかったってことで、私の中では、メディアへの信頼が完全になくなったなぁ。


A:わかる。あたしも本当にそこんところは納得いかないもん。そういう意味で、この本もファン以外の人が読んでナンボだよねって思うよね。読んでほしいよ本当に。それと、まだ観てないから、どういう出来なのかまだわかんないんだけど、マイケルのインパーソネーターとして有名なナビが主演した番組、どこに焦点をあてて作られたのか、知りたいよね。ビルとジェイボンはTwitterで、感想聞かせてねって言ってるし、この本を元に製作されたんだよね。ナビは、グラサンかけて、遠目にみるとマイケルにすごく似てるからね。



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ナビとビル役の俳優


Y:そうそう、近づいちゃうとね、マイケルに似せようっていうのは、もう絶対に無理なんだけど、ナビは、パフォーマンスだけじゃなく、普段の動き方とか仕草とかも、すごく研究してるって感じだもんね。


A:予告編で見たんだけど、グレイスが子供たちを抱っこしてて、そこにいたマイケルを演じてたナビを見たときは、すっごく似てるなぁって思った、流石ナビだって。


Y:グレイスと言えば、今まで乳母と言うだけじゃなく、高い教養があって、子供たちの教育係としても素晴らしい人なんだとは思っていたけど、マイケルは、彼女のこと「ナニー(乳母)」じゃなくて、「ガバネス(住み込みの女性家庭教師)って呼んでて、相当な額を支払ってたみたい。



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(右)グレイス(左)番組でグレイス役のひと


ただ、グレイスは「住み込み」じゃなくて、ボディガードたちもみんな知ってるような超セレブが住んでる高級マンション(Turnberry Tower)に、レイモン・ベインよりも前に住んでたっていうのは、ちょっとびっくりしたかも。


一番小さな部屋でも、2つはバスルームがあるっぽい。

http://www.turnberrytowers.com/amenities/


A:私も、住み込みかと思ってたけど、通いだったんだなって・・でも、マイケルも通いにしたかったんだろうね。カシオ本にもあったけど、子供たちにとって、自分以上の存在になって欲しくないっていうかね。でも、マイケルが亡くなったあとも、グレイスがしばらく居たのは、子供たちにとっては良かったよね。マイケルがいなくなって、グレイスまでいなくなったら、子供たちにとって、大変すぎるもんね。


Y:一回いなくなったけど、キャサママが、呼び寄せたんだったんだよね。


A:今、彼女がどうしてるのかは知らないけど、でも、とにかく、マイケルの元で働くっていうのは大変なことだよね。複雑っていうか、私は、従業員であろうが、なんであろうが、マイケルの側にいたら保たなかったような気がするな。絶対ある日クビになるパターン(笑)


Y:私もーー!。今まで、午前二時とか、三時に「平気で」電話かけてきてたのにぃーって泣いてる自分が見える(笑)


A:バーニー先生の場合は、「バーニーもう寝てた?」とか、「ちょっと話を聞いてくれる?」みたいな感じだったから、まだしようがないなって感じだけど、ちょっとでもビジネスに絡んでたら、午前二時とか、三時に、「あれはどうなったの?」とか、「これはどうなの?」とか、普通に言われるわけだからね。


Y:で、なんか気に入らないことがあってクビになったら、アメリカでは突然クビになるって普通みたいだけど、そりゃ、まだ支払ってもらってないお金があるとか、怒鳴り込んでくる人がいるのも、わからないでもないよね、・・・そういえば、バーニー先生には、帰国後連絡してないんだよね。あれだけ親しく付き合ってたのに。


A:あーーーーー。


Y:わたしね、やっぱり、マイケルって人と別れるのが好きなんだと思うんだよね。なんていうかな、変化し続けていたいっていう気持ちが強いっていうか、同じ人とずっと付き合っていたら、もうそこで「終わってしまう」みたいな感覚があるんじゃない。次々といろんなところに行っても、結局、マイケルって誰とでも仲良くなれるしね。


だから、ビルとジェイボンが、マイケルには友達といえるような人はいなかった、とか言ってたけど、この時期、マイケルは、子供の服を洗濯したり、ご飯も作ってるし、「家庭」のことをこれだけやってて、ことごとく断ってはいるものの、仕事関係のミーティングもいっぱいあったわけだから、いわゆる普通のひとが必要としてる「友人」みたいなのって、必要なかったと思うんだよね。天から与えられたような仕事をしている人って、マイケルほどの天才じゃなくたって、みんなそんな感じだし、ことさら、それが「孤独」ってこともなかったと思うんだよね。


A:そうだね、私はバーニー先生の場合は、医者ってことが大きかったと思うんだよね。


Y:うん、私もそう思う。


A:単にあのひとが、そのへんの雑貨屋さんだとか・・・アンティークショップを営んでいたとしてもね、とにかく普通のひとだったら、どうだったろうって思うよね。


Y:それと、自分の子供たちにとって、ちょうどいいぐらいの年齢の息子がいたってこともあったんじゃない。それで、アンテイークの家具なんかの趣味があって、なおかつ、医者だった、と。この3つが揃っていたことが大きくて、中でも、医者っていうのは、すごく重要だったと思うなぁ。


A:バーニー先生は、あの本の中では全然書いてないけど、マイケルに処方してたのは事実だしね。

__________


(*)MJ:ハワード・ヒューズは自分の所有するホテルの最上階にいるって、みんなが言ってた。そのフロアにずっといて下りてこない。暗がりの中、部屋の隅っこのベッドにいて、爪や髪をこんなに長く伸ばして、点滴に繫がれてるってね。

そんな風に、脳はおかしな考えを色々かき集めて、とんでもない話しを作り上げる。僕はそういうのが大好きだから、ハワード・ヒューズのことも大好きなんだ。彼は大きな仕掛けをしたからね。僕にとって、彼はある意味、先生なのかもしれない。

こんなことを話すのは、初めてなんだけど、ハワードのことが大好きなんだ。彼は天才だよ。人を操る術っていうか、彼はみんなが興味を持ってしまう方法を知っていて、P. T. バーナムもそういったことが得意だった。(『MJ Tapes』より)




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by yomodalite | 2017-06-22 08:59 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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akimさんとのおしゃべりの続き・・・


写真は引き続き「Searching For Neverland」から、Naviの熱演シーンを。


A:akimさん Y:yomodalite


A:マイケルの子供たちへの教育についてなんだけど、彼は体罰は嫌いかもしれないけど、父親の教育の厳しさみたいなものは、すごく受け継いでいるよね。


◎[参考記事]別館akim 優しい、けど厳しい、でもやっぱり優しい


大人が話しているときに、子供たちが、子供らしく振舞うというか、無邪気に騒いだりすることを、マイケルは絶対に許さなかったっていうか、ジャーメインが書いた本にもかいてあったけど、大人が入ってきたら、そのとき何をやっていても、すぐに立ち上がって挨拶するとか、なにかしてもらったときなんかも、プリーズとサンキューを忘れないとか、とにかく、マイケルは子供だからしかたないっていう言い訳は許さないんだよね。



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子供に対して「なんとかでちゅよ」みたいな言い方もしないし、大人に話をするように、子供に話すっていうのは、カシオが書いた本にも書かれてたけど、そういった部分は、子供たちにとって、メンタル的に厳しかったと思うよね。


Y:そうだね。マイケルが子供たちに絵本を読んでいるビデオがあったけど、こんなちっちゃい子にわかる話じゃないうえに、読み方も速すぎるよね(笑)


◎[参考記事]別館akim マイケルの読み聞かせ






A:一種のスピード・ラーニングなんじゃない?(笑)


Y:速く読む方が頭に入るとか(笑)


A:で、読み終わったら、パーンて閉じちゃう(笑)


Y:うん、ちょっとびっくりしたよね。子供目線のところがまったくないっていうか・・ふつうの親って、子供の成長時に、自分も子供時代に戻って、楽しもうとするところがあるじゃない。で、それを人一倍やっているのが、マイケルだって思われてたし、彼自身もネバーランドを作ったことを、そういう風に公的に説明してた。でも、マイケルは、自分が子供の頃、すごく大人だったっていう記憶もあって、むしろ、自分の子供に対しては、子供らしく扱うっていうことが出来ないのかな。



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本の表記には今のところないけど、

パリスちゃん、キティ好きだったのかな?



A:マイケルが亡くなったあと、子供たちが、オプラの番組に出演したとき、「お父さんのしつけはすごく厳しかった」って言ってて、ブランケットも、プリンスは上手くやってたけど、僕は・・って言ってたよね(*)


だから、体罰はないけど、パパはすごく厳しくて、必ずパパに、いいって言ってもらえるようにしなくちゃならなかったっていうのは、あったみたいだね。子供にとって、ジョーのような体罰が厳しいのか、マイケルが子供たちに課していたような精神的なプレッシャーが強い教育が厳しいのか、っていうのは、どっちもどっちだよね。

ジョーのような方法だと、ジョーが見てるところだけおとなしくしていられることもできるし、ジョーがいないところで、みんなで悪口をいうこともできるけど、マイケルの子供たちのように、ダディが全てみたいな環境で、ダディに「君たちにはがっかりしたよ」なんてことを言われたら、精神的にすごくキツイよね。本人たちは意識してなくても。


Y:子供には、学校と家というふたつの環境があって、学校でツライことがあっても、家はあたたかいと思える環境だったり、家でツラいことがあっても、学校ではみんなと平等でいわれる、とか、そーゆーのないからね、彼らには。マイケルパパしかしないし、ママいないし・・・


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A:マイケルの都合で、楽しみにしていたお出かけなんかもなくなるとかね・・子供にとっては、たしかに厳しいというか、そうとうなプレッシャーはあった感じはするよね。だから、マイケルが亡くなったことで、そういったたがが外れたり、他人から色んなことを言われるとか、そういった過酷な状況を、今は少し抜け出しつつあるのかもしれないけど、40歳ぐらいになって、振り返るとまた違った感想なんだろうと思うけど、10代、20代ではね・・。


Y:自分ことを考えても、10代、20代の頃の自分なんて、今の自分とは「別人」ってところあるからね。


A:体罰だって、トラウマになるけど、大好きなお父さんに嫌われたくないっていうプレッシャーだって、「Scream」じゃないど・・・子供たちはパパが大好きだからそれをマイナスとは思ってないだろうけどね。でも、マイケルはそういうプレッシャーを子供たちに課しているなんて思ってもいなかったんじゃないかな。


Y:まぁ、わかってはいないことはないんだろうけど、どうしようもないしね。自分の子供は大変だっていうのは、マイケルはすごくわかってて、そこは、彼自身にとってもすごくプレッシャーだったと思うし・・。それと、自分はそんなに長生きしないっていう自覚も、どこかで、マイケルにはあったのかな。


A:かもしれないね。


Y:そういうこともあって、子供たちへの教育をすごく焦ってたって感じはするよね。早く大人にしなくちゃいけないみたいな・・だから、あんなに子供好きで、現代の子供たちが、早く大人にさせられることを嘆いていたりしてても、ねぇ。


A:そこはもう本当にマイケル・ジャクソンの子供だからというのに尽きるよね。できるだけ子供の心を持って無邪気でいてほしいけど、「マイケル・ジャクソンの子供」が無邪気に「あれが欲しい、それはいや」だなんて言ったら、どんな風に噂が広がるか、普通の子供ならほほえましくても、彼らの場合はいつでもマイケル・ジャクソンというフィルターを通して見られちゃうでしょ?そりゃキビしいよね圧倒的に。

マイケルの子供だっていうことが、どういうことか、一番よくわかってる彼にすればさ、きちんと礼儀をわきまえて、誰に対してもやさしくできるようにしつけることは、彼の中では優先順位一位の最重要課題だったんだと思うんだよね。そこは一見矛盾してるようでも、無邪気と分別を天秤にしたら、「ジャクソンの子供」は無邪気だけにかまけてられないっていうか。


Y:あと、ビルとジェイボンの本の中で、子供たちは、マイケルが「普通のひと」じゃないってこともわかってた。っていう表現もあったよね。子供たちは、自分の父親が「マイケル・ジャクソン」だって知らなかった、っていう話もあったじゃない。でも、やっぱりそうじゃなかったんだね。ファンの人があれだけ、「わぁーーっ」と来るんだもんね。やっぱり、お父さんは、どこか違うって思うよね。


A:マイケル・ジャクソンっていう人が、どれだけ音楽界に功績を残したかっていうことはわかってなくてもね・・

__________


(*)プリンスは上手くやってたけど・・



2010年11月、キャサリン、ジョーと共に3人が初めてインタビューを受けた。

オプラ:彼はどんなパパだった?しつけに厳しい人だった?あなた達はうまくやり過ごせたかしら?

パリス:厳しかったです。

ブランケット:おにいちゃんはいろんなことをうまくやり過ごしたよ。(プリンスを指して)

オプラ:おにいちゃんはうまくやってたのね?あなたもうまくやれたの?

ブランケット:あー、うーん

スクリプト:https://vindicatemj.wordpress.com/




(14:42~)3歳ぐらいのプリンスに、

ビデオの操作や撮影も教えようとするマイケルパパ




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by yomodalite | 2017-06-21 07:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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akimさんとのおしゃべりの続き・・・


写真は「Searching For Neverland」と、番組のプレミアムイベントのもの。


A:akimさん Y:yomodalite


Y:デンジャラスツアーを中断した後、ヒストリー期のマルセル・マルローとの「HBOスペシャル・ワンナイト・オンリー」の中止とか、2000年以降、シュムリーの本にも、ビルとジェイボンの本にも、マイケルが色々な仕事を断りまくってたことが書いてあったけど、打ち合わせが進んでいても、最終的にすべて断ってしまった仕事がすごく多かったみたいね。


マイケルが、デンジャラス・ツアーをアメリカでやらなかった理由は、子供の時から国内ではやり尽くしてて、他の世界でやってみたくてしようがなかったってこともあるけど、もうひとつは、喉にしても、ダンスをする肉体にしても、すごくキツかったってことも大きかったような気がするんだけど・・


喉に関しては、普段から小さな声でしゃべるとか、すごく気を使ってたけど、それでも、すごく小さい頃から酷使していて、レコード会社は、声変わりする前にたくさん録音しておきたいし、声変わりしてからも、以前の高音を出し続けなくてはならない上に、ダンスしながら歌わなくちゃならない。しかも、マイケル自身が、両方とも完璧を求めてて、そうでなくては、マイケル・ジャクソンじゃないっていう、マイケル自身の「マイケル像」もあるし・・。


A:たしかにそうかもね。2001年の30周年コンサートのときって、体調も悪かったみたいだけど、相当歌はキツかったっぽいもんね。


Y:うん・・あれよりもずっと前からキツかったんじゃないかな。英米は「口パク」に厳しいし・・ただでさえ、自分に厳しい環境で、これ以上消耗したくない、もっと別の世界のひとに、自分を初めてみるひとに見てもらいたいし、自分ももっと世界を見て回りたい。


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A:ヒストリーツアーはわかるんだよね。ほら、They Don't Care About Usで、プリズン描写の是非問題でSFは放送されないとか、ユダヤ人のいわゆるJew me, Kike me問題とかで、勝手に意味を取り違えられて、それに対して謝罪を求められたりとか、本当にこの国ではマイケルの意図がなーんにも伝わらないっていうの?「そうじゃないんだってば。なんでそうなるんだよ」って言いたかっただろうし、この上ツアーなんかしたら、よけい攻撃されるっていうか、とにかくすっきりした気持ちで国内ツアー頑張るぞっていうには問題がありすぎたという気がするんだよね。


Y:ただ、その手の問題で放送中止になるのも、謝罪を求められるのも、よくあることで、マイケルもエッジの効いた表現がしたかったわけだから、想定外ということはなかったんじゃない? 前回のデンジャラスツアーをやらなかったのなら、よけいにヒストリーツアーはやるべきで、やった方がイメージ回復になったと思うんだよね。やっぱりエンターティナーとして、この人は素晴らしいひとなんだって、大勢の人が再確認できるから。


最近ブログで、玉置浩二がデンジャラスツアーのときの衣装を着てたっていうの紹介したんだけど、彼も、数年前までずいぶん「奇行」のことなんかで叩かれてたじゃない。でも今それをかなり払拭できたのは、やっぱり彼の歌の力だったでしょう。やっぱアーティストは、自分本来の仕事で対抗するのが一番いいと思うんだけど、マイケルが、それをやらなかったのは、「ライブ」で今まで以上のものを出すっていうことに、特に「喉」に関しては、彼自身そうとう不安だったというか、すごく神経質になってて・・


バッドツアー以降、マイケルが生歌で歌うのって、例えばジャクソン5メドレーとか、オープニングの「Jam」とか、いわゆる歌唱力を聴かせる歌じゃないもんね。


A:歌唱力を聴かせるっていうと、たとえばどんな・・・

Y:たとえば、「You Are Not Alone」とか、

A:私は「I' ll Be There」は歌唱力を聴かせてると思うんだけど・・

Y:でも、あれがヒットしたときは、子供の頃だから、レコードとは違うよね。レコーディングとの差がわかるようなのが、嫌だったりして。


A:ああーー、レコードとの差がないようにしたいと。ベアデンとのからみのシーンでもレコードと同じでなくちゃって言ってたよね。


Y:あのシーン大好き!でも、あのとき、ベアデンにはレコードと同じでなくちゃって言ってたくせに、結局マイケル「もっとゆっくり」とか言い出して(笑)、「You gotta let it simmer「ベッドからはいでる感じ」・・とか、Just bathe in the moonlight. 「月光に浸る感じ」とか、なんだかんだ、レコードと違ってること求めてたよね(笑)。それで、THIS IS IT の「Way You Make Me Feel」は、これまでとはまた一味ちがう素敵な感じに仕上がって・・。だから、あれは、「君が勝手に変えないで(すべては僕が決めるんだから)」っていうことかもしれなんだけど(笑)


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A:たしかにね。でも、THIS IS ITのときは、歌う気だったんじゃない?ベアデンとか、オルテガが、全部歌わなくたってって言っても、「いやいや、絶対歌う」って、マイケルは言ってたらしいし。実際はどこまで生歌でいくつもりだったかはわからないけど。仮にやっぱり無理かもなって思う瞬間があっても、THIS IS ITのスタッフは、マイケルが完璧なステージにするためのそういう努力を厭わない人で、現に完璧だったということを、フィルムに残してあげたい、みたいな気持ちが強くあったんだと思うけど・・・どうなのかなぁ。


Y:バッドツアーや、Bad期のグラミー賞のときの「Man in the Mirror」のパフォーマンスはスゴかったけど、


30th Annual Grammy Awards





Dangerous期の大統領就任パーティーのときの「Gone To Soon」は、すごく素敵なんだけど、マイケルに期待されてる圧倒的なレベルとか、何十年も維持され続けた「KING OF POP」の称号を考えると、やっぱり「歌だけ」だと少しものたりないというか、これ以降、マイケルの生声で「うわぁーー!」ってなったことなくて、彼も避けてきたように思うのね。


Clinton Gala 1992


「Gone To Soon」は1:05~



他のアーティストは生演奏をするだけだけど、マイケルは自分のライブの一個一個を「伝説」として遺るものじゃなきゃって考えてたと思うんだよね。THIS IS ITでは、フィルムがマイケルの絶対条件だったけど・・リハーサルであっても、瞬間、瞬間の素晴らしさをなんとか記録できないかっていうのは、マイケルの中に強くあったんじゃないかな。

A:This Is It では、一瞬だけどアカペラで「Speachless」を歌う場面があるよね? あれは、ほんの一瞬なのに「うわぁ」ってなったよね。


Y:うん!もう一瞬なのに絶対に忘れられない瞬間!!だから、ビルやジェイボンが、マイケルの歌っているのを聞いて、すごく感動していたり、THIS IS ITのリハーサルでも、素晴らしい瞬間がいっぱいあったと思うんだけど、歌も踊りもあるステージで、それを何日もっていうのはね・・それで、フィルムにすごくこだわってたんじゃないかな。


私ね、マイケルの地声みたいなのを聞いてると、このひとはレコーディングのときに、100%以上の力でやっているんだなって思うんだよね。完璧とかじゃなくて、それ以上っていうか・・・


声とか、肉体的な部分だけでなく、マイケルが「無理だ」って思うのは、他のアーティストとは基準がちがってて、彼は、子供アイドルではなくなったことで味わった挫折もあって、もう二度と以前の方が良かったなんて言われたくなかったんじゃないかな。


常に自分の過去と比べられるっていうのは、ポール・マッカートニーもそうだったと思うけど、彼の場合は、自分が挑戦したいことを優先して、完成度には、あんまりこだわらなかった。でも、マイケルは常に「最高!」しか求めなかったから・・。


マイケルのツアーは、リハーサルどおりを重要視してて、それは彼の「完璧主義」からきてると思うんだけど、でも、そういった「完成度」は、ツアーごとに終わっていて、彼は繰り返すことにも慎重だった。


「一回性」っていうのは、音楽でもなんでもアートにとって重要なことだけど、長く活躍しているアーティストにとっては、むずかしいことだよね。ファンからいつも求められることを拒否しないといけないから。


A:一番しんどいときに、一番完璧を目指そうとしたっていうのはね・・・目指すこと自体は、マイケルらしいとは思うけど・・でも、最終的には断れなかったよね。このツアーは。いろんな意味で。


Y:断れなかったともいえるけど、やりたかったっていうのも本当だと思うんだよね。コンサート自体じゃなくても、リハーサルであっても、瞬間、瞬間の素晴らしさをなんとか記録できないかっていうのは、マイケルの中にもあったんじゃない。リハーサルからフィルムを入れるっていうのは、彼の希望だったんだから。

『THIS IS IT』で、50歳のマイケル・ジャクソンという「未知の世界」を垣間見た経験は、めちゃくちゃ素晴らしいパフォーマーを見たっていう感動とはまったく次元が違ってて、こんな風に何年経っても、その感動について考えさせられちゃうのは、肉体的にどうしても衰えていく部分と、それでも、前進していくことが出来る「何か」とか、「どこか」っていうのを、マイケルは普通の天才とはまったく違うレベルでずっと求めてきたからじゃないかな・・きっと永遠にそこまでしかわからないような気はするけど。


A:ダンスに関しても、2002年の赤い手袋の「Dangerous」が、最後だったよね・・。








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by yomodalite | 2017-06-20 07:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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akimさんとのおしゃべりの続き・・・


引き続き、写真は「Searching For Neverland」からです。


A:akimさん Y:yomodalite


A:マイケルとメディアの問題も、ファミリーのことも、マイケルが自分の神秘性を守るという行動が、ファン以外から見ると、やりすぎたっていう部分はあったんじゃないかな。


Y:うん、、ファミリーがマイケルに関わりたかったのに、マイケルが拒絶した理由は、薬物の問題とか、自分の健康状態について指図をうけたくなかったってことと、一緒に仕事をしたくなかったからだと思うんだけど、それは、家族が嫌いだっていうのとは少し違ってて、


前回も言ったけど、ファミリーや、側近、マイケルとビジネスを話し合った大勢の人たちが、彼のために「やるべきだ」と思ったことを、マイケルが「やらなかった」のは、彼にしかわからない特別な戦略ゆえのことで、


実際、マイケルの後半生で、問題ばかりが大きくなった理由は、マイケルがエンターテイメントの仕事をまったくしなかったことも大きな要因なんだよね。


昔から、芸能ニュースっていうのは、ないこと、ないこと組み合わせて、自由に作っていいってことになってるんだけど、コンサートの情報とか、レコード・リリースとか、ときどきホントの情報もあるから、アーティスト側にとっても、持ちつ持たれつの関係なんだけど・・


マイケルの場合「Bad」以降、『Dangerous』から国内ツアーを一切やらなかったからね。


A:そうだよね。


Y:’93年の疑惑も、デンジャラスツアーの最中で、アメリカを離れていたときだったけど、国内のツアーをやっていたら、事前に抑えられていたり、発覚後のメディアの盛り上げ方も少しは違ってたと思うんだよね。国内のプロモーターがいれば、ツアーの宣伝のためにポジティブな情報をメディアに供給できるし、チケットだけでなく、訪れる街も潤うから、あちこち色んなコントロールが効くんだけど、それがなくなっちゃったから・・。


少年に対する性的虐待っていうのは、現代アメリカでは、殺人よりも「悪魔化」されてるから、いったん疑われたら、無実を完璧に証明するのはすごく困難で、メディアはいくらでも「ニュース」に出来ちゃう。


A:『HIStory』から、アメリカ公演がないのはまだわかるけど、『Dangerous』から国内ツアーがなかったっていうのはホント信じられない。北米だけでも回ってればよかったのにね。なんでデンジャラスツアーをやらなかったのかが、ホントわからない。


’91年の11月に『Dangerous』が発売されて、’92年の6月から「デンジャラス・ツアー」が始まって、93年の2月がオプラの番組で、その年の8月に性的虐待疑惑が持ち上がって、11月のメキシコシティでツアーは打ち切りになっちゃうんだけど、もっと前に米国で出来たはずだし、一回でもやっていればね・・。


Y:マイケルの人気は「Bad」から陰りを帯びてきた、なんて書かれてることがあって、びっくりすることもよくあるんだけど・・


A:あれね、なんか陰りの基準が違うよね。


Y:マイケルの曲の中でももっとも言及が多いと言われる「Black Or White」も、皮膚病のことや、ネバーランドがマイケル個人の遊園地というだけでなく、病気の子供たちのための場所だったことが紹介され、歴代最高視聴率だった「オプラショー」も、「Heal The World」の合唱が感動的で、試合よりも高視聴率だった「スーパーボウル」も、クリントン大統領の就任記念パーティーで、大統領にも影響を与えるぐらいだった、それこそ全盛期だったと言ってもいいぐらいの『Dangerous』期が、このあと踏みにじられることになったのは、


わかりやすい理由としては、「’93年の疑惑」だと思うけど、その疑惑を大きくしたのは、『Dangerous』というアルバムにも原因があったと思うのね。


「人種問題」(Black Or White)は、はアメリカの統治や、分断政治に欠かせないし、人々に勝手に結集(Jam)されたら困るし、戦争嫌悪や世界平和(Heal The World)は、アメリカという国にとって、本当に危険(デンジャラス)だったんじゃない? 


なんせ、アメリカは、それから10年後の2001年の同時多発テロ事件(通称911)でも、「イマジン」を放送禁止にしちゃう国で、実際に、ジョン・レノンもマイケルもFBIから監視されてたけど、『Dangerous』が発売された’91年は、イラクを空爆して湾岸戦争が始まった年だったんだよね。


「’93年の疑惑」なんて、ちょっと調べれば、簡単にマイケルの無実が証明された案件なのに、デンジャラスツアーを国内でやらなかったこともあって、マイケルのスタッフは、当時、米国メディアに影響力をもたない人たちになっていたし、


2004年に再度蒸し返されたときは、人気のないブッシュ大統領の再選がスムーズに進むように、マスメディアとしては、大統領選挙以上の話題として、ちょうど良かったというか、今流行りの「忖度」?(笑)



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それと、マイケルはメディア嫌いにもかかわらず、ミュージックビデオという流通商品を創って、テレビの音楽放送も、ラジオの音楽番組も席巻してたでしょう。それで、自分たちが「発信者」だって思ってるマスメディアに嫌われたってところもあると思うのね。そういう意味でも「’93年の疑惑」は、メディア全体が「マイケル・バッシング」へのハンドルを切るのに都合のいい材料になったというか・・有名番組のホストって、この人が登場したら、必ず眉をひそめるような表情をするとか、態度ひとつとっても、みんな決められてる感じがするしね。


A:わかる~、プライムタイムのダイアン・ソーヤとかねー。私が印象に残ってるのは、2006年にマイケルがMTVアワードで来日したとき、どこかの放送局が密着取材してて、MTVだったかな。マイケルがビックカメラかなんかで買い物したときに、周辺の人だかりにインタヴューしてたんだけど、そのとき8割ぐらいが「マイケル迷惑ですよね」みたいな否定的な言葉ばっかりひろっててね。「お騒がせマイケル・ジャクソン」みたいなイメージばっかりなんだよね。でも、そういった否定的な言葉をマイクに向かって言ってた人たちだって、ひとまとめにして、マイケルの前に出したら、「うわぁーーー!マイコー!」っていう歓声になるんだよね。人のムードのようなものって、一瞬にして変わるし、マイケルは常にそういう人たちに晒されてきたんだよね。


Y:路上を騒がすようなことは、マイケルに限らず、誰であっても絶対に「良くないこと」こととして報道するっていうのはメディアの絶対ルールだからね。路上インタヴューでは、忌憚のない意見を求めてるなんてことはなくて、計画的に「街の声」を拾う。東京ではほとんど「銀座」か「新橋」でインタビューするけど、大阪では、絶対に「天神橋商店街」とか「京橋」で、面白そうなことを言いそうな人に声をかけるw。東京が銀座や新橋だったら、大阪でも中之島や北新地でサラリーマンに聞けばいいのにって、いつも思うんだけど、大阪のテレビ局では、スーツ着てる人には「絶対に声をかけるな」っていう鉄のルールがあるよね(笑)。


とにかく、どちらにしろ最初から狙い通りの人にマイクを向けて、プラン通りの「言葉」を取るからね。





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by yomodalite | 2017-06-19 07:00 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)
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akimさんとのおしゃべりの続き・・・

ビルとジェイボンの本を元にした番組「Michael Jackson:Searching For Neverland」が放映されましたね。


◎エステートが声明、LifetimeとNetflixのプロジェクトは許可していない


ランディとマイケルの衝撃的なエピソードは、そこでも取り上げられたみたいで・・

写真は、番組でマイケルを演じた、ナビの熱演や、研究熱心がわかるようなものを、話の内容とは関係なく選んでます。


A:akimさん Y:yomodalite


Y:ところで、どうしてランディって、あんなにマイケルから嫌われたんだと思う?マイケルとランディのあそこまでの確執ってなんだと思う?


A:わかんない。全然わかんないけど、彼がメゼロウを連れてきたのは間違いないし、裁判のときは確実に信頼してたんだと思うんだよね。裁判の間はね。カシオ本でも、ランディがやってきたのは裁判のときだって・・・


Y:この本で描かれてるような、マイケルがこれほどまでに家族と会わない、会いたくないっていうような描写を読むと、ジャクソンファミリーはどれだけ酷いんだって思う人もいるかもしれないけど、それは違うと思うんだよね。


A:ちがう、ちがう、私もそれは全然違うと思う。


Y:マイケルがメディアでとりあげられるような問題にしても、裁判にしても、マイケルだけの問題ではなくて、家族にとってもすごく重要な問題じゃない。彼らがマイケルを助けたいっていうのは、絶対に嘘じゃないし、間違いないんだけど、自分たちの問題でもあるから、自分の言葉として語りたいのは、マイケルを利用するもしないも、当然の要求だしね。


A:そりゃそうだよね。特にジャーメインなんかそうだよね。


Y:だよね(笑)。で、ランディは特に裁判に多く関わったから、それについて語りたいことがいっぱいあったと思うんだよね。だけど、マイケルはそれについて100%「No!」だったんじゃない、きっと。それで多分、ランディ的にはいろいろ進んでたことが、すべて「Out!」になっちゃったんじゃないかな。「MJJ Source」とか、マイケルから発信するメディアとして、ランディを中心に発足したのに、すぐ終わっちゃったもんね。



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マイケルはウェブサイトの出来に不満だったってこともあるのかもしれないけど、出来不出来っていう以前に、マイケルは、ランディが発信したかったことをすべて止めちゃったんだと思うのね。そこでふたりの間に確執が生まれ、ランディには借金が残ったんだと思うんだけど。


A:私もそう思う。そういうお金のトラブルが起こったのは間違いないんじゃない。


Y:あの頃のサイト構築は、今と違ってもっと金がかかったし、特にマイケルが満足するようなものってことになると、余計に凝った作りになって・・。それだけでもランディは大分持ち出してたんじゃないかと思うんだよね。


A:基本、マイケルって、人にやんや言われるのが嫌な人だから、誰かと組むと、自分の判断に従ってもらわないと嫌っていうか。家族には尚さらそういう気持ちが強いしね。


Y:どう考えても、ジャクソン・ファミリーって、他の芸能人や、有名人の家族に比べれば、みんな性格もよくて、ちゃんとしてる家族だと思うんだよね。こんなにたくさん兄弟いて、これほど全員優秀っていうのも、両親の教育がよっぽどしっかりしてたからだとも思うんだけど、マイケルの拒絶のしかたを見ちゃうと、悪くいう人がいっぱいいるのが可哀想になっちゃうんだよね。でも、実際のところ、ファミリーが悪いっていうよりは、やっぱりマイケルの方が「変わってる」んだよねw。


ファミリーや、側近たちや、その他、マイケルとビジネスを話し合った大勢の人たちが、彼のためにも「やるべきだ」と思ったようなことを、どんなにリスクを抱えても、マイケルが「やらなかった」のは、彼にしかわからない特別な戦略だったんだと思うんだよね。(←後述)


A:パフォーマンスじゃなくても、ファミリーでなにかしようっていうの、リアリティショーとか、まぁ、そういった話題作りにしても・・とにかくマイケルは頑なに断ってた・・


Y:ファミリーは、現代の他のアーティストがあたりまえにやっているようなことを、ほんの少しだけマイケルにもやって欲しい、それが「変人扱い」されていることを払拭することにもなるのに、マイケルはどうして、そこまで嫌がるんだろうって思うファミリーの気持ちは、すごくわかる気がする。


A:でも、マイケルは、母親以外のいうことはホントに聞きたくなかったみたいだよね。


Y:お母さんは、自分の考えをしっかりもっている人かもしれないけど、指図をするひとじゃないもんね。結局、マイケルは、整形のことにしろ、宗教からの脱会に関しても、母親のいうことを聞いてないし・・・


A:あのお母さんは、マイケルが強く言ったら、自分の意見をそれ以上言おうとはしないんだよね。でも、兄弟たちは、どうしても納得しないから、それで会いたくなかったのかな。



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番組のプレミア・イベントでのナビ


Y:マイケルはジャネットが一番仲がいいっていう話が好きなファンが多いけど「Scream」で共演したあと、ジャネットと、特にふたりで話をした形跡はないみたいだよね。逆に「やっかいな姉」として、少年への疑惑を大きくしたことでも、ファンから恨まれてたラトーヤに関しては、それなりに良好な関係が続いていて、ここでも、他の兄弟たちとは、行動を共にしてなくて、彼女とだけは別ルートがあったぽいよね。


ラトーヤは、マイケル本の出版とか、マイケル絡みの商売もしてるから、避けられてもいいような気もするんだけど、この姉に関しては、マイケルは妙に甘いっていうか、不思議なんだよね。バーニー先生の本で、ラトーヤに会ったとき、すごく綺麗だったって褒められたときも、きれいなだけじゃなく「彼女はいいひとなんだ」って言ってたしね(2001年~2005年の会話)



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A:毒にも薬にもなりそうにない、リビーやジャッキーと距離をおく理由もわからないんだけど、何を言われても、自分をダシにして、っていう風にしか捉えられなかったのかな・・


Y:不思議だよね。リビーに関しては、名前が出てくることさえないよね。あんなに綺麗で、優しそうで、貞淑な妻であり母でもあり、しかも、年齢的にマイケルたち兄弟のお母さん役もやってたはずなのにね・・


A:ジャッキーに関しては、今回の本の中でボディガードたちも、すごく紳士で、挨拶もしっかりしてて、とか言ってて、、シルク・ド・ソレイユの『イモータル』の現場に行ったときも、弟のためにこんなにしてくれて、、って泣いたりしてて、弟はシルクが大好きだったし、みんなホントにありがとう。って言ってるのをイモータルの特番で見たときも、この人はホントにいいひとで、1ミリもマイケルをダシになんて考えたこともないのに、マイケルから十把一絡げに避けられてかわいそうって思ったよ(笑)


レイモンと新しい弁護士(グレッグ・クロス)に対してマイケルは、「父さんに来てもらって蹴り飛ばしてもらいたいよ」って言ってたじゃない? やっぱり、マイケルがそうとう複雑なひとだからね。ジョーパパに関しては、かつては、キャサリンママに対する不誠実とか、気に入らないところはいっぱいあったかもしれないけど、後半はそうでもなかったというか・・


Y:うん。ビルやジェイボンが、ジョーパパを見て、「こいつがマイケルを叩いていた奴か」なんて、言われてるのを見ると、すごくかわいそうになっちゃうんだよね。マイケルはなんでもよく出来たし、ジャクソン5の中で、一番年下でありながら、家族の生活を支える「大黒柱」として、仕事の量も責任も多いのに、それを全部こなしていたわけだから、自分が怒られることに納得がいかないし、頭がいいから、力でねじ伏せられるのが、すごく嫌だったと思うけど、男兄弟が5人もいたらねぇ・・足が不自由で、物静かなお母さんの負担を考えても、お父さんが厳しくしてないと、周囲の環境に染まって、苦しい今の生活から抜け出せないし・・。


A:当時の、1950年代とか、60年代のしつけってことを考えれば、父親の強烈なリーダーシップが重要だって考えるのは、当然だしね。マイケルは、繊細なうえに優秀だったから、父親に対して、不満が大きかったと思うけど、同じことをされていても、ジャーメインやマーロンはあんまりそうは感じてないもんね。


Y:ムチの折檻って、今は信じられないって人が多いと思うけど、エホバの証人では、正式に認められているしつけ方法だし、学校の教室に、児童の教育に使う専用の「ムチ」があったのも、そんなに昔の話じゃないしね。


マイケルが、ジョーパパが会いに来たとき、あんなに拒否していたのに、ランディを説得するときだけは呼ぼうとしたのも面白いよね。ジョーパパも、あれだけ拒否されてて、呼ばれてもマイケルに会えるわけじゃなくて、ただ、ランディを説得するためだけなのに、飛んで来ちゃうっていうのも、なんか、不思議な信頼関係だよね。




ランディ登場のエピソード





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by yomodalite | 2017-06-16 08:03 | MJ考察系 | Trackback | Comments(2)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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