カテゴリ:住宅・建築・インテリア( 3 )

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

坂口 恭平/河出書房新社



話題の新政府内閣総理大臣、坂口恭平氏の本を、まとめ読みした中から、
こちらは、2008年に出版されたもの。

隅田川沿いに建つ、いわゆる「ホームレス」の方の家と、そこに住む、個性的な “賢者たち” から、著者が学んだ数々の知恵から、建築家として、これからの家のことを深く考えた、とてもとても興味深い本。

いわゆるホームレスの人が、あまり近所におられないという方も多いと思うんですが、私は、10年以上都心に住んでいるので、彼らのことをすごく身近に感じているうえに、本書は特に、現在わたしが住んでいる「隅田川沿い」をフューチャーされているので、いつ、ご近所の方が登場するかとワクワクしながら読み始めました。

残念ながら、この本に登場する「家」は知らなかったのですが、でも、こちらに引っ越した当初、確かに、ご近所のホームレスの方々には、すごく興味を惹かれたんです。というのも、新宿、渋谷周辺の方々とは、何かが違っていて、、

まず、なんといっても、川の側に住むというのは、人としての本能に基づいたところがあるせいなのか、常に風通しがいいうえに、洗濯も出来そうな感じとか(実際は近くの公園でされていると思いますが)また、川の側に洗濯物が干してあるという光景も、なんだか清潔な印象で、

釣りをしている人も大勢いたり、ここは海に近い下流なので、貝を取っておられる方もいたりして(!)、しかも、コンビニが何件もあるどころか、銀座の素晴らしいお店の数々を考えると、これまでとはまったく違った印象で、とても幸せそうに見えたんです。

中でも、家から一番ご近所の方の「お宅」は、それはそれは立派で、どうして写真を撮っておかなかったのか、今になって残念でしかたないのですけど、本書に掲載されている家よりも、遥かに良さげだったというか、普通の1人住まいの家にある家電は、すべてあるような趣で、発電機から繋がっている電気製品も、ただ拾ってきたというだけではなく、確かな修理技術もあって… ということが、一目で理解できる感じだったんですよね。

そんなわけで、私は今は撤去されてしまった、あの「お宅」の住人の方が、本書の主人公の方なのでは?という期待や、あのとき、私も、あの人と会話しておけば良かったなぁという後悔を感じつつ、今まで、彼らに対して感じていた様々な疑問を、坂口氏が、私に代わってインタヴューしてくれているような気分で読みました。

海外旅行に行くと、お金を恵んで欲しいと、積極的に近づいて来られる方々の多さに驚きますが、日本では見たことがありませんし、お金が投げ入れられることを、じっと座って待っている方も、子供のときは見たことがあるような気もするのですが、もう何年も、そういった姿を拝見することはなく、

いったい、彼らは、どうやって生計をたてているんだろうという疑問は大きかったのですが、本書には、彼らの「お仕事」のこと、家を建て、また、それをすばやく撤収する方法、行政の彼らへの関わり方など、彼らについての様々なことがわかるだけでなく、

彼らから教えられる智慧には、本当に驚きました。

私たちの住まいに関しての提言や、日本の建築への疑問点、「不動産」の価値とは、
などなど、考えさせられることが盛りだくさん!

☆☆☆☆☆(満点)

目次
はじめに
第1章 総工費0円の家
第2章 0円生活の方法
第3章 ブルーの民家
第4章 建築しない建築
第5章 路上の家の調査
第6章 理想の家の探求

☆参考サイト
◎『TOKYO 0円ハウス 0円生活』に感動(幻想第一)
◎「ほぼ日」担当編集者は知っている。
◎堤幸彦監督が建築家・坂口恭平の『0円ハウス』をモノクロ映画化、主人公は路上生活者

☆単行本(レヴュー数の多いので)
◎[Amazon]TOKYO 0円ハウス0円生活

☆文庫
◎[Amazon]TOKYO 0円ハウス0円生活(河出文庫)

☆坂口恭平氏のサイト
◎「0円ハウス」
____________

内容紹介/世界の中で徹底的に生きのびるための技術を説いた著者渾身のデビュー作!
坂口恭平の思想の根幹は全てここにあるーー堤幸彦監督の映画『MY LIFE』原作。

「東京では1円もかけずに暮らすことができる」ーー
住まいは23区内、総工費0円、生活費0円。釘も電気も全てタダ!? 隅田川のブルーシートハウスに住む"都市の達人"鈴木さんに学ぶ、理想の家と生活とは?人間のサイズに心地良い未来の暮らしを提案する、新しいサバイバルの知恵がここに。



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by yomodalite | 2012-07-12 10:17 | 住宅・建築・インテリア | Trackback | Comments(0)

東京のどこに住むのが幸せか (セオリーブックス)

山崎 隆/講談社

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東京に暮らし始めてから20年余、今の地に落ち着くまでは、平均して2年ごとに引っ越しを繰り返し、住み着いた街は、周辺も含めて自転車でくまなく探索、どこに住むのが快適かという問題は、ずっと関心のあるテーマでした。

第1章/衰退する街と繁栄し続ける街の分岐点
第2章/歴史を知らないと東京の街はわからない
第3章/本当に資産価値が高い物件の見抜き方
第4章/東京7ブロック55エリア別「この街に住んで幸せか」


◎Aブロック:山手線南部の都心系住宅地
渋谷、恵比寿、目黒・五反田、広尾・麻布、原宿・表参道、赤坂・六本木、青山・乃木坂、三田、白金、高輪、市ヶ谷

◎Bブロック:山手線北部から隅田川流域
上野・池之端、浅草、押上、錦糸町・両国、池袋、護国寺・音羽、大塚・巣鴨、目白、駒込・田端、白山、北千住、王子、町屋

◎Cブロック:隅田川以南の臨海部
人形町・日本橋、月島・佃、門前仲町・深川、田町、大井町、大森、蒲田

◎Dブロック:東急線沿線
中目黒・代官山、三軒茶屋、武蔵小山、自由が丘、都立大学、二子玉川、久が原

◎Eブロック:小田急線・京王線沿線
代々木・新宿、代々木上原、笹塚、浜田山、千歳船橋、千歳烏山、調布、府中、町田

◎Fブロック 中央線・西武新宿線沿線
中野、荻窪、上石神井、三鷹・吉祥寺、立川、八王子

◎Gブロック:西武池袋線・東武東上線沿線
練馬、成増

本書は、住むだけではなく、どこに建てるのか?どこを買うのか?という不動産的価値を中心に書かれているのですが、新築物件の不動産的価値をこの本の情報から、見極めるのは難しいと思います。東京の場合、高級住宅地といっても、丘の上に隔離されているわけではなく、徒歩数分でホテル街と隣接している高級住宅地など、紙一重の部分が結構あります。

第4章のエリア分類で考えると、わたしの場合、Gブロックを除いてすべて住んだことがあります。(もう少し具体的にいうと、A、Eブロックの分譲マンションの売買と、Cブロックで分譲マンションの購入経験があり、現在はまた別のCブロックに住んでいます)

例えば、Aブロックの渋谷エリアの章タイトルは「都内屈指の高級住宅街が点在」。
いくつかの高級住宅地が点在できるほど「渋谷」は広いのですが、点在していることで、渋谷全体の価格が底上げされている可能性や、「谷」という地名、高速道路工事などにも気をつけないと、幸せには程遠く、「渋谷」をエリアという単位で把握すると、大きな失敗を招く恐れがあります。

また著者は、第2章で「明るい下町」が今狙い目として、下町を隅田川系と多摩川系に分けています。下町といえば、日本橋・京橋・芝・神田・下谷・浅草・深川・本所。。。の私にとって、多摩川系を下町とする著者が「歴史を知らない。。。」云々は( ̄~ ̄)ξと言う感じですが、前者をすでに街が固定化しすぎていて、今後変化が期待し難いが、後者は「明るい下町」として注目すべきで、戸越銀座や武蔵小山を代表に挙げているのは少し疑問ですね。もちろん現在でも戸越銀座や武蔵小山が住みやすい地域として人気があるのは納得なんですが、現在、隅田川エリアの下町には、その歴史的価値から、住人以外の人の流動が始まっていて、その流れは年々勢いが増しています。

むしろ、昭和期に起源をもつ多摩川系の下町は、東急などの鉄道会社の「野望」が安定した今、今後の変化はあまり期待できませんが、隅田川系の下町には「明るい未来」の可能性があり、そういったことは下町に限らず、昭和起源の「山の手」の価値の下落には、今後要注意だと思います。

また、中古マンション価格、賃料による「価格相場」ですが、賃料は別として、中古マンション価格は正に「部屋」というピンポイントになるので、実際の売買になるとエリア相場は信用できる値ではありません。むしろ高値安定エリアこそ、新築で購入した物件を売買の際は、損する可能性が高いともいえます。とにかく、土地が不動産である時代は終わったという認識で、新築のモデルルームに騙されないで、しばらく借りて住んでみて居心地の良い場所に永住するのが幸せの近道でしょう。

自分以外の意見を聞いてみるという意味で読む価値はありますが「住むことによる幸せ」は、不動産屋さんに聞いてもわかりません。

_____________

【内容紹介】損しない街、住みやすい街はどこなのか。都内55エリアを徹底検証!広尾、自由が丘、豊洲、武蔵小山……人気のあの街は、いま本当に「買い」か?気鋭の不動産コンサルタントが、街の成り立ちと資産性という視点から明らかにした、東京の「住んでいい街、ダメな街」完全公開! 講談社 (2007/11/10)



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by yomodalite | 2009-08-23 23:52 | 住宅・建築・インテリア | Trackback | Comments(0)
著者は雑誌『東京人』の副編集長。本著は東京建設業協会の会報誌『東建月報』に連載されたものをまとめたもの。

もう十年以上東京都心に住んでいるので、ここに登場する建築は思い出深く、日頃建築に抱いている疑問や興味と重なる点も多く大変楽しめた。解答を楽しむというより、「そうそう」「あるある」「へぇ〜」という感じで、著者と気が合うような気がしてしまう読書感。

ただ、疑問に対して明快な答えを求めている人には、解答としては不満に感じるかも。章タイトルには、すべて「謎」の文字、見出しにも全て「?」の文字。そういう読者の期待はもっともなのだけど、建築散歩の楽しみを伝えるという趣旨の連載原稿だったのでしょう。あとから、謎というタイトルを無理矢理つけたっぽい内容も多いのですが、現代建築の謎を50個表出されたことは、建築散歩ファンにとって、自分の興味の傾向を探るのにもイイのでは?

「とくとみぶろぐ」
http://tokutomimasaki.com/2008/08/tokyo50.html

【目 次】
第1章 技術に関する謎
・メンテナンスが大変な建築とは?
・巨大建築物はどうやって壊すのか?
・東京一の難工事現場はどこだ?
・最新建築のセキュリティはどうなっっているか?
・最近のビルはなぜあんなに乾燥するのか?
第2章 移動・輸送に関する謎
・ブランドショップのエレベーターはなぜ透明なのか?
・超高層ビルのエレベーターは本当に安全か?
・エスカレーターは遊びの空間に変わったのか?
・スロープのある建物が増えている理由は?
第3章 和風に関する謎
・外国人建築家は、なぜ勘違いした日本趣味建築をつくるのか?
・和風建築はどうしてお金がかかるのか?
・東京流料亭建築の特徴とは?
・東京のお風呂屋さんは今どうなっているか?
第4章 住居に関する謎
・木造一軒家は、いつまで都心に存在し続けられるか?
・東京における豪邸の条件とは?
・都心のマンションのCMに有名スターが出るワケとは?
・ヴィンテージ・マンションとはどんなもの?
第5章 流行に関する謎
・なぜ最近はガラス建築ばかりなのか?
・なぜあんな珍奇な名前がつけられたのか?
・なぜ冬の東京は、イルミネーションだらけなのか?
・外国人有名建築家の建物は、どうやってつくるの?
・美術館が次々に新築・改装されているのはなぜ?
・東京の最新オフィスビル事情とは?
・都心のキャンバスの“傾向と対策”とは?
・最近できた外資系ホテル建築はどうなっている?
第6章 再生・循環に関する謎
・銀行跡地の驚くべき使い道とは?
・建築の緑化はどうやって行われる?
・うまく再生された建築物とは?
・デパート、ホテルの建て替えはどうやって行う?
なぜ建築は壊されてしまうのか?
第7章 場所に関する謎
・高いところは値段も高い?
・ガード下の使い途でもっとも有効なのは?
・超高層ビルの屋上からは何が見える?
・ウォーターフロントにある、意表をつかれる建築物とは?
・なぜ、あのビルは目立つのか?
第8章 歴史に関する謎
・デジタル技術でどこまで復元可能か?
・建築の復元保存はどこが一番難しい?
・建築現場から遺跡や骨が出てきたらどうする?
・同潤会アパートがなぜ今人気なのか?
第9章 奇想に関する謎
・あれは建築なのか?
・ビルの狭間に残った「ちいさいおうち」の存在理由は?
・ペット建築って何?
・「連絡建築」は何のためにある?
・自然素材を使って何ができる?
・東京の建築における「奇想の系譜」とは?
第10章 建築用語に関する謎
・「コンペ」とは?
・「PFI」とは?
・『リート」「ファンド」とは?
・「空中権」「容積率」とは?
・「改正建築基準法」とは?


【出版社 / 著者からの内容紹介】ここ数年の東京の変化はめまぐるしい。再開発ブームで、見知らぬ建物がある日突如として現れる、などということも日常茶飯事だ。そうした建築物を見ていて、さまざまな疑問を抱く人も多いだろう。なぜガラスの建物ばかりなのか? 解体はどのように行うのか? 歴史的建物はどう保存するのか? 都市誌の編集者である著者が、その道の専門家を訪ね歩き、そんな疑問への「解答」を探し求めた。本書は、町歩きのための絶好のガイドブックである。 中央公論新社 (2008/07)





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by yomodalite | 2008-12-28 19:17 | 住宅・建築・インテリア | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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