カテゴリ:エッセイ( 36 )

京都のチョコと森下くるみ

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今日のチョコは、ベルアメール「京都別邸」のプレミアムタブレット《苺》
土台は、京都産の抹茶チョコと、小豆フレーク入りビターチョコの2層仕立てで、その上に、福岡産あまおうのドライフルーツがびっしりトッピング!


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真珠やスワロフスキーをあしらった押し花のような・・・


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そんな女子の心をギュッとされちゃうようなチョコを食べた日の夜、明かりを消したベッドの中で、何度か目覚めて、それで、森下くるみさんの『虫食いの家(うち)』を読み出した。

この本は、Kindle Unlimitedの中からセレクトした、2冊目の森下くるみさんの本。Kindleの良い点のひとつは、例えば、飛行機の中とか、周囲が消灯していても、本が読めることなんだけど、本屋だったら出会えなかったような本が読めるのは、それよりもっといいところかもしれない。

昔、ビデオデッキが普及したのは、アダルトビデオのおかげだ。というのを聞いて「へぇーー」と思ったけど、女子がひとりでAVを見られるようになったのは、ネットのおかげだ。

私は、雨宮まみさんのような「こじらせ方」はしてないし、常に必要に迫られている男子とは目線もまったく違うし、極わずかしか見てないとは思うけど、でも、もし仮にすべてのAVを見たとしても、森下くるみさんの作品ほど感動できるAVはないんじゃないかな。


虫食いの家(うち) (Kindle Single)

森下 くるみ/null



Amazonの5つ星レヴューの中に、「例えば早く寝すぎて、夜中の変な時間に目が覚めちゃった時に。例えばちょっと遠出の電車移動とかの時に。例えば病院や役場で何かを待たされている時に。」ってあったけど、ホントそーゆー感じ。でも、読まなくても良かったものが、「本当は必要だったもの」ということは、人生にはたくさんあると思う。

くるみさんの透き通るような色白の肌は、雪国生まれを感じさせるものだったけど、秋田の家のことが書かれたこの本を読むと、『雪国』の駒子のことが頭に浮かんでくる。

タイプは違うけど、壇蜜さんや、森下くるみさんは、文学を目指して、小説家になるというタイプの「文才」ではないけど、そんな入り口から入らなかったことで、文学や言葉の命を守っているような気もする。

森下くるみさんの作品ほど感動できるAVはない。

出演したビデオだけでなく、引退後の文筆活動の両方でそれを証明できるなんて、やっぱり彼女しかいないんじゃないかな。

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by yomodalite | 2017-02-17 07:00 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

女と母性とチョコレート

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その日、告白した何人かの男の思い出が遠くになるにつれて、バレンタイン・チョコの甘さは忘れられなくなる・・・ような気がする今日この頃。

トリュフは半分に切って頂くので、大抵の場合は、ダーリンと半分こにするんだけど、購入後2時間以内にお召し上がりください。なんて書いてあったり、せっかく食後に薦めたのに、みかんの方がいいとか言われた場合は、翌朝、ひとり占めしてもいいルールになってて、今季のバレンタインチョコの中で、いち早く独占してしまったのが、

京都 牟尼庵のシャンパントリュフ(1個売り)

このトリュフは現場で作られていて、賞味期限は購入後2時間!
というわけで、撮影する間も無く、お口に直行しちゃったんだけど、1個525円もするのに、お口の中で、すぐに溶けちゃう感じで・・・あーーリピート買いしたい。

そして、そんなチョコタイムに読んでいたのは、中村うさぎさんの『壊れたおねえさんは好きですか?』

壊れたおねえさんは、好きですか? (文春文庫)

中村 うさぎ/文藝春秋

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男の堕落とは、父性の喪失である。・・・そして、この「堕落した父性」こそが、世でオヤジと呼ばれ蔑まれる男たちの特徴なのだ。では女の堕落とは何か。男の堕落が「父性の喪失」なら、女の堕落は、「母性の喪失」なのか。いや、私はそうは思わない。・・・過保護も、子供を傷つける虐待も、根っこの部分は同じである。それは、母性の喪失ではなく、「母性の濫用」なのだ。

男が父性を喪失する一方で、女が母性を過剰に濫用するのは、男にとって父性が自分のアイデンティティと折り合いがつきにくいモノであるのに対して、女にとっての母性は大いに居心地のいいアイデンティティだからである。

「父性」とは、男が生まれつき備えている属性ではなく、何かに打ち勝って獲得するもの。だからこそ、それは子供にルールや行動規範といった「社会的」な役割を教える存在となる。他方「母性」とは、多分に生得的な属性であり、それゆえ、子供に情愛や信頼といった「非言語的・観念的」な価値観を授ける。

何とも戦わず何にも打ち勝ってこなかった男は「父性」を持たずに年を取り、単なるオヤジに成り下がる。そして、女たちは、これまた「自己抑制」とか「客観的視座」といった社会的作法を父親から授けられないまま成長するものだから、自分の「母性」のコントロールが利かず、我欲も母性も一緒くたにして子供を支配し、夫である「父性」なき男(それは単なるガキである)まで、母性で抑圧し、結果的にあらゆる男たちを去勢する恐るべき存在となるのである。・・・

・・・なぜ、恋をすると「母性」が暴走するのか。それは恋愛というものがそもそも独占欲に基づいた感情であり、ほとんどの場合、我々が「愛」だと思っているモノは単なる「執着」に過ぎないからだ。・・・特に女の場合、恋を通して自己確認しょうとする傾向が非常に強いため、「相手への愛」はいともたやすく「我への執念」に変質し、相手も自分もヘトヘトになるくらい追い詰めるのである。

非言語的無意識の混沌の中では、母親は常に子供と一体であり、その一体感ゆえの愛着を「母性愛」と感じている。すなわち、母性とは、他者を自分と一体化させようとする恐るべき願望であり、「我への執着」に他ならないのである。(引用終了)

ふぅーーー、
女性の権利とか言ってる人たちに際限がないのは、そーゆーことなのかぁ。。

ところで、こちらは牟尼庵の「ティーセット」
ここの抹茶チョコは、私が食べた中ではNo.1の抹茶チョコかも!


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by yomodalite | 2017-02-07 11:58 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

食べる私/平松洋子

食べる私

平松 洋子/文藝春秋




雑誌「オール讀物」で3年間連載されていた「この人のいまの味」を単行本化。マイケルと同じ年に生まれた、ドゥマゴ文学賞を受賞したエッセイスト平松洋子氏による、各界の著名人の食についての対話が収められています。

著名人29人のラインナップは・・・

第1章
デーブ・スペクター(62)
林家正蔵(54)
ハルノ宵子(59)
黒田征太郎(77)
ヤン・ヨンヒ(52)
伊藤比呂美(61)

第2章
ギャル曽根(31)
美木良介(59)
土井善晴(59)
辻芳樹(52)
松井今朝子(63)

第3章
安藤優子(58)
ジェーン・スー(43)
渡部建(44)
光浦靖子(45)
堀江貴文(44)
大宮エリー(41)

第4章
高橋尚子(44)
吉田秀彦(47)
髙橋大輔(探検家・50)
田部井淳子(77)
山崎直子(46)
畑正憲(81)

第5章
小泉武夫(73)
服部文祥(47)
宇能鴻一郎(82)
篠田桃紅(103)
金子兜太(97)
樹木希林(73)

(カッコ内の数字はWikipediaで調べた生年を2016年から引いた数字)

食べ物との関係に濃厚な気配が感じられるひと。というのが人選の理由で、各省の括りの説明はなかったのだけど、あらためてラインナップを見てみると、

食べものへの関心のなさが際立つディブ・スペクター氏から始まる第1章は、グルメにも、手の込んだ家庭料理とも関係が薄そうな方々が多く、第2章は、食や料理を仕事にしている方々、第3章は、今のメディアで活躍している人々、第4章は、アスリートや探検家といった特殊な仕事につく人々の食、第5章は、登山家の服部文祥氏を除けば、高齢者の方ばかり。

あとがきに、「語り手の輪郭が立ち上がってくることに主眼を置いた」と書かれているように、対談という感じではなく、著者はそれぞれの人に語らせるという役を担っていて、「食べる私」の「私」は、平松洋子さんではなく、それぞれの人であり、読む人に、自分の中の「食べる私」のことも思い起こさせる。

語ってくれている人の中には、名前すら知らない人も多かったのだけど、なんとなく名前は知っていたけど、どんな人なのかはまったく知らなかった宇能鴻一郎氏の回は冒頭から色々と驚かされた。

(下記は省略・要約して引用)

油照りの昼下がりだった。横浜の、とある屋敷町の坂道をのぼっていくと蝉の亡骸がころんといくつも転がっている。夏も終わりだなと思いながら勾配をのぼりつめると、行き止まりに一軒の洋館があらわれた。宇能鴻一郎宅である。・・・

宇能鴻一郎の編み出した官能小説の文体は唯一無二。誰が読んでもすぐそれとわかるところに凄みがある。

「あたし、濡れるんです」

無防備で稚拙にみせながら、核心にずばりと踏み込む。

「課長さんたら、ひどいんです」

思わず膝を乗り出させ、しかし文体は硬質で無駄がない。だから読む者に隙を与えず、おのおのの想像力にすべてがゆだねられ、読む者はけっきょく自分で自分の官能を開かせられることになる。・・・宇能鴻一郎はそもそも日本古代史研究の徒だった。東大文化二類入学、文学修士、『鯨神』で芥川賞受賞・・・しかし、後年の「あたし、濡れるんです」とのギャップが作家としての像をしごく曖昧にした。・・・山本夏彦でさえ、こう書いている「宇能鴻一郎は名のみ高く、その姿を見た者がない唯一の文士である」

そして、日刊ゲンダイでの連載小説の最終回(2006年)から宇野氏は出版界からも消えていた

・・・邸の扉が開くと、そこは日常からみごとに切り離された異空間だった。静まり返ったエントランスホール正面に置かれたコンソールテーブルに、シルクハットとステッキ。左の空間に視線を移すと、外光が降り注ぐ小部屋の中心に燭台を配したおおきなテーブルがあり、フルセットの食器とカトラリーが数人分揃っているのが見てとれる。右に視線を運ぶと、虎がかっと口を開けて牙をむいた頭部つきの毛皮が床に敷き詰めてあり・・・

半世紀も秘書を務めているという老婦人にうながされて靴のまま廊下を進み、部屋の入り口に立つなり、息を飲んだ。そこは巨大なボールルーム・・・敷地600坪の邸宅とは聞いていたが、これほどまでに現実離れしているとは。しかし「序の口」という言葉の意味を思い知るのはこれからだった・・・

(引用終了)

このあと、燕尾服に身をかためた白髪長身の宇能氏があらわれて、ますます驚きの展開が続くと、、他の食に関する話などすべて忘れて、「今どき、殺人事件の推理なんかやってないで、宇能鴻一郎をモデルにドラマを創って・・織田君!」と思ってしまう私なのでしたw。



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by yomodalite | 2016-10-24 12:00 | エッセイ | Trackback | Comments(9)

レクイエムの名手 ー 菊地成孔追悼文集

レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集

菊地 成孔/亜紀書房

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この本は発売直後2015年の11月に買ったのだけど、最後まで読むのに時間がかかって、読んだあとも、なかなかブログアップ出来なかった。例のごとく、あの人のことで手一杯だったwというのもあるのだけど、この本をどう感じたかとか、どこをピックアップするかとか、そういったことのすべてがむずかしくて、他にも、すごく面白かったのにブログに書いていない本が、菊地氏の場合は特に多い。


以前、山口瞳氏が書かれた『追悼』を読んだときも、まったく知らなかった人の話で泣いてしまうことが多くて、それで本書のことも、少し身構えるような感じでページをめくったのだけど、一番最初の追悼である、「二つの訃報」には、菊地氏の父親と、かつて演奏した経験のある店のマスターの死、そして、次の「というわけで、今週は当欄お休みします」というタイトルの内容は、菊地氏が忙しく(そして喪中のため)ブログの更新ができない、という内容で、その次の「今日で君とお別れ」は、eMacとの「別れ」・・・


若干、気が抜けたというか、追悼って色々あるのね・・なんて思ったのもつかの間、その後はやっぱり、どんどんと人が亡くなっていく。追悼集だから、あたりまえなんだけど・・・


菊地氏にとって、身近な存在だった人と、遠くから影響を受けた人、忙しい日々の中で、様々な人が亡くなって、それに心を動かされながら、今日を過ごしている菊地氏の「生」が生々しく感じられることも・・・


本書に登場したのは、


マイケル・ブレッカーアリス・コルトレーン/植木等/清水俊彦/カール・ゴッチ/ミケランジェロ・アントニオーニ/イングマール・ベルイマン/テオ・マセロ/蒼井紅茶/ウガンダ・トラ/マイルス・デイヴィス/飯島愛/エリオ・グレイシー/忌野清志郎/マイケル・ジャクソン/三沢光晴/平岡正明/武田和命/ジョージ・ラッセル/加藤和彦/クロード・レヴィ=ストロース/浅川マキ/アレキサンダー・マックィーン/今野雄二/谷啓/キャプテン・ビーフハート/エリザベス・テイラー/団鬼六/ギル・スコット=ヘロン山本房江(仮)/ジョン・コルトレーン/ビリー・ホリデイ/レイ・ハラカミ/エイミー・ワインハウス/柳ジョージ/立川談志/川勝正幸/伊藤エミ/桜井センリ/コーリー・モンテース/大瀧詠一/井原高忠菊地潔藤村保夫中山康樹DEV LARGE菊地雅章/相倉久人



山口氏の本と同様、菊地氏の本にも知らない名前がいっぱい登場する(太字が知らなかったひと)、と思ったのだけど、あらためて追悼されている人を書き出してみたら、思ったよりも知っている人の方が断然多かった。追悼の主役以外でも知らない人がたくさんいて、それでそういう印象をもったのかな。


知ってると思ってた人だって、亡くなってみたら、全然ちがう感じで、出会えた。ということを毎日のように経験しているからか、常に身近にいる人以外の「死」は、その人に出会えなくなったわけではなく、これから出会える人、ということもあるのだと思う。


有名人の死に対して「R.I.P」だなんて言ってるのをみると、そんなこと言わなくたって “安らかに眠っている” に決まってるって、思ってしまうのだけど、ここには、それとは真逆の〈追悼〉がある。


本書のどこかをピックアップしておきたくて、色々迷ったのだけど、「クロード・レヴィ=ストロース逝去」っていう文章にしました。理由は、読めばすぐわかります(笑)



◎クロード・レヴィ=ストロース逝去


今、これを書いておりますのは16時55分。非常に美しいタ焼けが新宿を染めています。書いている間に、宵闇は夜へと変わるでしょう。ここ1週間ほどは、映画本の追い込みで、特に、最後に書いた「大日本人」と「しんぼる」への評に時間がかかり・・(中略)・・やっと書き終わったのが11月1日の早朝でした・・(中略)・・それからワタシは仮眠をとってからシャワーを浴び、「ああ。やっと終わったよ。終わった!」とロに出しながら街を歩き、先ず西武新宿の「PEPE」でミュグレーのエンジェルをまとめ買い、それから伊勢丹メンズ館に流れて、アレキサンダー・マックイーンのムートン襟のコートを注文し、靴を2足買い、・・(中略)・・そしてそのまま「映画本が書き終わったら、先ずこれをしよう」と決めていた事を実行しに、半ばフラフラしながらバルト9に向かいました。11時25分からのレイトショーでしたが、100人近い人々が集まっていました。

 

「THIS IS IT」についての詳しい感想は、次のトークショーで松尾さんと西寺さんと一緒に話しますが、とにかく冒頭から泣きっぱなしで崩落寸前になり、物凄い元気が出て笑い。という事を往復しながら、最後はどんどん落ち着いて来て、爽やかな中にもちょっとした重さが残る。といったコースでしたけれども、何れにせよ天才は重力を超える等当たり前(合気道の達人、修行を積んだヨーギ、西アフリカのヒーラーの如く、全く体重と、その移動を感じません)で、重力どころか、「時間」をもコントロール出来るのだと言う事を、嫌と言う程見せつけられました。登場する全員がインターロックし、トランスしているこの映画では、マイケル・ジャクソンが、時間を追い抜き、時間に追い技かせ、時には遡行さえし、常に時間を生み出し、いつでも自由に止められるという様が映し出され続け、ワタシが思ったのはむしろ「よく50まで生きたな」という事でした。ずっとチャーリー・パーカーを思い出していたからです。

 

我々ジャズメン全員が、個々人の程度差は兎も角、国語の様にしてパーカーのフレーズが血肉と化している、起きたら脳内にパーカーフレーズが鳴り、それが一日中続いている。という、パーカーの子等であるのと全く同様の事が、マイケルにも起こっています。パーカーもマイケルも、先生がいません。全く独学で(ジェームス・ブラウンやレスター・ヤングなど、素材はありましたが)全く新しい身体言語を生み出したのです。そして二人とも、派手に飛んだり、浮遊したりといった、ケバケバしいスペクタクルなしの、常に地に足がついている状態で、重力も時間も完全に超越している事を我々に知らせるのです。終了後には(小さく。ですが)拍手も起こっていました。この映画が最も素晴らしいのは、神域にあろうと、人間は人間だ。という当たり前の事を、雄弁に描いている事です。

 

 本を書き終え、目的も達成し、犬荷物と深い溜息を抱え、ワタシは部屋に帰って来ました。そしてレヴィ翁が亡くなった事を、フランスにいる友人からのメールによって知らされたのです。そのメールには「悲しいかな、京都のコンサートは良くなりそうだな」と書いてありました。ペペ・トルメント・アスカラールという楽団は、ワタシの幼少期に於ける「街と映画館」の記憶と、クロード・レヴィ=ストロースの著作から受けたイメージの集積とで出来ており、そして、その初期設定を更新したのが、最新作の『ニューヨーク・ヘルソニック・バレエ』なのです。ワタシが京都公演に「悲しき熱帯〈京都〉」というタイトルをつけたのは、初期設定の更新前と更新後の境界越えを京都で行おうという意図に依る物でした。

 

 アルチュセール、バルト、ドゥルーズ等の時とは全く別の感慨に囚われているのは、神域にある能楽師の舞いにも似た、MJの姿を観て帰って来た事も関係あるかもしれません。レヴィ翁を超える、長寿の知識人は今までもいませんでしたし、これからもいないでしょう。「天寿の全う」という言葉が、どんどん重みを増して行く昨今ですが、レヴィ翁の逝去ほど、この言葉が似つかかしい物はないでしょう。翁の魂はどの地域の、どの部族の空に向かって飛ぶのか。ワタシに出来る事は地に足をつけて演奏し、その魂の行方を心眼で追う事だけです。夜の帳が降りました。ごきげんよう。


(初出「PELISSE」2009年11月4日)


この本には、「マイケルの56回目の誕生日」に引用した記事も収録されていて、その記事のように、曲が手向けられている記事も多い。例えば、エイミー・ワインハウスには、レゲエヴァージョンのクリスマスアルバムから、ザ・シマロンズの「サイレント・ナイト」、ピーナッツの伊藤エミには、ニーナ・シモンの「アイ・ラブズ・ポーギー」が選曲されている。


それで、レヴィ=ストロースの死のBGMには、『THIS IS IT』の全体が流れていると思うと、レヴィ翁の本をもっとも読め、という啓示かも、と思ったり・・・。


でも、ミュージシャンが大勢登場するこの本の中で、曲名がタイトルになっているのは、「ビリー・ジーン」というマイケルだけなのだ。


ずっと不思議だった、あの日の記事のタイトルがどうして「ビリー・ジーン」だったのかは、この本を読了したあとも、やっぱりわからなかった。


◎[Amazon]レクイエムの名手/菊地成孔追悼文集




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by yomodalite | 2016-02-26 06:00 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

カワサキ・キッド /東山紀之

2009年から2010年に書かれたヒガシの自伝的エッセイを読もうと思ったのは、こちらのレヴューを見たから。

http://honz.jp/articles/-/41737

麻木氏が書かれているように、クールで、さわやかで、パーフェクトな立ち居振る舞いに一点の隙もないようなヒガシのイメージは、本書の冒頭から崩されるものの、新たに現れる別の顔に、一層惹きつけられていく。


僕は両足に大ヤケドをした。よほど衝撃が強かったのだろう。まだ1歳にならない、生後8ヶ月ぐらいのときの話なのに、いまもその痛みを肌がおぼえている。そのころ、僕の一家は、川崎駅近く、ソープランドが密集する界隈の、父方の祖父母の家で暮らしていた。


僕が役者としてバイブルのように思って繰り返し見ているのが、アレックス・ヘイリー原作の米国ドラマ「ルーツ」だ。



このブログでは、マイケルに言及されている場合、必ずメモするようにしているのですが、本書にはマイケルの名前がときどき登場するだけでなく、「マイケル・ジャクソンの衝撃」と、「マイケルの死」という見出しにマイケルの名前がはいったものもあります。

でも、本書からMJメモをするのは控えようと思う。マイケルのことが書いてある部分よりも、そうでない全体というか、カワサキ・キッドだという東山紀之のすべてに、日本の「マイケル・チルドレン」を感じるし、それよりも何よりも、しばしマイケルのことを忘れ、東山紀之の世界に浸っていたくなる本なので。

◎[Amazon]カワサキ・キッド(朝日文庫)東山紀之



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by yomodalite | 2015-09-04 00:00 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

「全部摘出」―私は貝になりたい〈VOL.2〉/高須基仁

全部摘出「ゼンテキ」―私は貝になりたい〈VOL.2〉

高須 基仁/展望社

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例のごとく、ダーリンが隣でこの本を読んでいて、しきりに、「へぇーーそうだったんだぁ」とかね、言ってくるわけですよ。たしかに下品そうに見えても、高須氏の本が面白いのは、『悪名正機』で、経験してますけど、今、それどころじゃないんだってば。。って何度も言ってたら、

「高須って、おもちゃ会社のトミーから外資系おもちゃ会社にヘッドハンティングされて、そこで作った “マイケル・ジャクソン人形” を三浦和義の “フルハムロード” に。。。

って、瞬殺の「キラーワード」をぶっ込まれて、、(泣)

表紙には『私は貝になりたい』のVo.2と、ありますが、高須氏の出版社である「モッツ出版」の書籍情報にはなく、なぜか別の出版社から発売されていて、


内容は月刊『サイゾー』に連載中の《高須基仁の「全摘」―お騒がせ男の"最初で最後の懺悔録"》の


2007年から、2014年の7年間がまとめられています。

7年も前の芸能・スポーツ記事ですし、冒頭には「熟女フーミン」とか「愛染恭子」とか、マジでどーでもいい名前が飛び込んできたものの、うっかり、細川ふみえの意外な姿を知ってしまったり、小池百合子の褒め方を学び、加護ちゃんではなく、加護ちゃんの母をどう脱がすかとか、華原朋美とか、小向美奈子とか、石原真理子とか、LiLiCoとか、相撲界のタブーとか、清原や、ジョニー大倉を応援することとか、ホントにどーでもいいことが盛りだくさんで(笑)、

鳥越俊太郎に怒り、橋本大阪市長とタイタンの関係や、2011年は国家によるいじめの年だったと総括し、三浦和義の自殺の本当の理由に触れ、領土問題や、原発問題を語りながら、同業者や関係者やその他諸々を名指しで批判しまくり、

柳美里や、ホリエモンや、大物右翼との対談などなど、

興味がないだけでなく、褒められている人の中には、キライな人がいて、批判されている人の中には、好きな人もいるのだけど、

高須氏が面白いから、結局ぜんぶ面白くて、

とても充実した「暇つぶし」ができました!


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by yomodalite | 2015-02-12 06:00 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

負けるのは美しく (集英社文庫) /児玉清

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児玉清さんが、雑誌『すばる』に2002年〜2005年まで連載されていたエッセイ。2005年に出版されていて、文庫も出版されているのですが、写真は、児玉さんが描かれた絵が見やすい単行本の方にしました。私は、NHK「週刊ブックレヴュー」の児玉さんが好きでした。というか、それ以外の児玉さんのことは全然知らなくて、映画やTVドラマも知らないし、永年放送されていたクイズ番組も見たことがなかった。

それに「週刊ブックレヴュー」の児玉さんが好きだったと言っても、児玉さんが好きな作家や作品もそんなに読んでいないし「週刊ブックレヴュー」を見ていた頃、私は今ほど本も読んでいなかった。いい本がいっぱいあっても、そんなに読むなんて無理だと思っていたり、それは今もそう思うけど、ただ、今の方がちょっぴり「読まなきゃ」と思う気持ちが強くなってきたのだ。

本書には、本の話はほとんどなくて、児玉さんの映画デヴューから、下積み時代、様々な作品を通して出会った人々の思い出、そして最愛の娘さんのことが語られている。

下積み生活も、反抗的な態度も、児玉さんの上品なイメージからは想像できないようなエピソードが多くて「負ける」という言葉もなんだか相応しくないのだけど「あとがき」で、書名の由来をこう語られています。

僕の俳優の道は、いつももやもやとした敗北感といったものに包まれていた。勝った!!やったぁ!!という気持ちになったことがなく、終われば絶えず苦渋のみが残るばかりだ。(中略)そこで心に期するようになったのが「負けるのは、美しく」ということであった。どうせ勝利感を得られないのなら、また明確な勝利を望むべくもないのなら、いっそ、せめて美しく負けるのを心懸けたら、どうなのか、そう考えたとき、はじめて心に平和が訪れた思いがしたのだ。

東宝ニューフェイスに合格するような上品な二枚目でスマートな児玉さんだから「負けても美しい」のかもしれなくて、それは真似のしようがないのだけど、でも、わたしも自分が「負け続けてきた」と思ったとき、本を読もうと思いはじめて、そのせいで、ちょっぴり共通点があるように思えるのかもしれない。

本書に登場する人々は、名前も知らない人がほとんどでしたが、各エッセイの冒頭には、様々な本から、数行の英語が記されていました。下記に、児玉さんの「切り絵」作品と一緒にメモしておきます。

『ダヴィンチ・コード』以外、すべて未読だったけど、いつか「会える日」のために。

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母とパンツ

The fact is that we need the insights of the mystyc every bit as much as we need the insishts of the scientist. Mankind is diminished when either is missing.

Michael Crichton 「TRAVELS」


博多の雑魚

Strange how life often swings on small things.
             
Jack Hjggins「MIDNIGHT RUNNER」


雑魚と雑兵

Bad things come in threes.

Nelson DeMille「UP COUNTRY」


予言者は百万の味方

Astrology was simply one of the ways 9 coped with the fear 9 felt after
my husband almost died.

Nancy Reagan 「MY TURN」


ボーイ役とアウトロー新人

They were seduced …… by his extraordinary personal charm and humor.

Edmund Morris 「DUTCH : A Memoir of Ronald Reagan」


“でく”も“できる”も猫杓子

The most momentous thing in human life is the art winning the soul to good or evil. ---- Pythagoras

Tom Clancy 「RED RABBIT」


恥を乗り越えてこそ

What you see is what you see.

Tom Clancy「TRAVELS」


忘れられ◎過去

A place where ancient secrets rose to the surface.

Dan Brown 「THE DA VINCI CODE」

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一瞬がショウダウン

Courage is not the absence of fear or despair,
but the strength to conquer them.


Danielle Steel 「THE KISS」


くり出せなかったパンチ

Wayne was not born Wayne. He had to be invented.

Garry wills 「JOHN WAYNE'S AMERICA」


サムライロケは腰くだけ

Good looks are not what's gonna get you places.

Jackie Collins「DEADLY EMBRACE」


ドーラン恥ずかし、プールは欲しし

A man's character is his fate. --- Heraclitus
性格は運命だ ー ヘラクレイトス


刹那の仏心

She treated a job like a job……, I didn't treated it as a job.
I treated it like it was my life.


Michael Connelly 「CHASING THE DIME」


無邪気だけが残った

Unfortunately life being as uncertain as usual.

Jack Higgins 「BAD COMPANY」


是非なき孤独

Take care that old age does not wrinkle your spirit even more than your face.

Michael de Montaigne


三度あることは六度ある

The mountain itself is indifferent ---- an immutable fact that we would do well to learn from.

Jamling Tenzing Norgay with Broughton Coburn
「TOUCHING MY FATHER'S SOUL」


「まさか」のま、さかさま

You learned how to survive. Or you didn't.

Tom Clancy with General Carl Striner (Ret.) and Tony Koltz
「SHADOW WARRIORS」

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見エザル神ノ手

Who can see into the future? ---- 諺集より


はまらぬ役に、はまるツボ

All things return to the One. What does the One return to ? ----- Zen koan

Greg Iles 「THE FOOTPRINTS OF GOD」


コマ切れに困った

Do not feel absolutely certain of anything.

Bertrand Russel


ヘンシン、豪傑仮面!

Things never turn out the way you think they will.

Michael Crichton 「PREY」


宙を見ていた

That was the beauty and difficulty of the relationship.

Michael Connelly「THE NARROWS」


ラストスピリット

Never say you are walking on the last road.

---- Song of the Jewish Resistance World War Ⅱ


誰がために鐘は鳴る

All men have secrets. ---- The Smiths, “What Difference Does It Make ?”

Ian Rankin 「RESURRECTION MEN」


落下の沙汰も神次第

We should take care not to make the intellect our God. ---- Albert Einstein

Greg Iles 「THE FOOTPRINT OF GOD」


まるで月面宙返り

It's a very shout trip. While alive, Live.

Malcolm Forbes


封印した青春

My experience with the short story form goes back to the distant past.

Jeffery Deaver「TWISTED」


お帰りなさい、わが家へ

The theme of the Athens Olympics is “Welcome Home”


苦しいときの玉箒

Discover day-to-day excitement.

Charles Baudelaire

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千九百九十九年十二月二十四日

Unhappiness has a habit of being passed around ……

Margaret Atwood


パラシュートなしのサバイバル

A woman is like a teabag. You never know haw strong she is until she is in
hot water


Eleanor Roosevelt


天国(ハレクラニ)の館を前にして

Whoever saves one life, saves a world entire. ---- Talmud

Danielle Steel 「ECHOES」


すべて焼滅した

Believe those who are seeking the truth. Doubt those who find it.

Andre Gide


霊感と正義感

Close your eyes and you can still see the smile.

Harlan Coben 「THE FINAL DETAIL」


北酒場

There is no end of things in the heart.

Michael Connelly 「LOST LIGHT」


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[出版社 / 著者からの内容紹介]おだやかな微笑みのむこうに、このような人生が!俳優・児玉清が、母の死がきっかけで入った映画界、忘れ得ぬ監督や俳優たち、結婚、その後転身したテレビ界のこと、大好きな本、そして愛娘の闘病から死まで…。初の回想記。

[BOOKデータベース]就職活動の一環としてなりゆきで受けた東宝映画のニューフェイス試験で、遅刻した上に水着を忘れ、パンツ姿で面接したが見事合格したこと。生来の天邪鬼が顔を出し、天下の黒澤明監督にたてついてしまった新人のころ。大スター三船敏郎をはじめとする数々の名優との思い出。運命の出会いと結婚、そして36歳という若さで逝った最愛の娘。読む人の心を静かにそっと揺さぶる感動のエッセイ。



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by yomodalite | 2013-01-31 11:47 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

藝人春秋/水道橋博士

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水道橋博士に教えてもらったことはとても多い。勝新に興味をもった最初のきっかけも博士だったような気がするし、その他、TVではわからなかった様々なタレントの魅力についても。。

それらの内容だけでなく、博士の文章自体にも魅了されていたうえに、読む前に絶賛コメントを目にする機会も多かったので、本書にはとても期待していました。

☆続きを読む!!!
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by yomodalite | 2013-01-04 10:05 | エッセイ | Trackback(1) | Comments(0)

妄想シャーマンタンク(角川文庫)/ゲッツ板谷

妄想シャーマンタンク (角川文庫)

ゲッツ 板谷/角川書店(角川グループパブリッシング)



以前、『BESTっス!』という、著者の5冊の珠玉短編集から特に笑える話を厳選したという本を読んでいたので、いくつかの話は読んだことがあったんですが、ゲッツ師匠のような天才の作品をベスト版で読むなんて、マイケル・ジャクソンをベスト盤で聴いて満足してしまうぐらい、もったいないことであり、

また、師匠のエッセイは、山本夏彦氏のコラムと同様、寄せては返す波の音のように、何度でも味わい、

常に心に「ゲッツ板谷」をもって、人生を歩んでいくべきだと、わたしは思うんです。

本書の「はじめに」(単行本)では、毎回のように登場していた「直舌のケイコ」というババアにまつわる話がひとつもないという、ショッキングなお知らせがあります。

しかし、その理由がわかる、ケイコ自身が書いた手紙が紹介され、ゲッツ、ケンちゃん、ハック、キョージュの(インチキフォー)の見開き写真から「1st STAGE」が幕を開けると、そこからは「難窟王キャーム(前編)」から始まる、永遠に腐ることのない、しぼりたて特濃エッセイがゴクゴクと、ノンストップで楽しめます。

すごく笑った後に、そういえば、この話は『BESTっス!』で前にも読んだことがあったかも。。と思ったことが何度かありました。

でも、いいものは何度読んでも面白いし、人は忘れることができるから、哀しみを乗り越えられるし、愚かなことも繰り返してしまうのだ。

やはり、常に心に「ゲッツ板谷」をもって、人生を歩んでいくべきだと、わたしは思う。

芸人としてではなく、著述業として「笑える」ことに、ここまで心血を注がれている方は、ゲッツ師匠以外には、見当たらないと思う。またすぐに別の本を読みたいと思うけど、いつも「ここぞというとき」にとっておきたいと思ったりもして、、

また、同じく『BESTっス!』に収められた短編集の『情熱チャンジャリータ』のチャンジャリータって何なんだろう?と思っていたのですが、本書の「3rd STAGE」には「決裂チャンジャリータ」という話がありました。チャンジャリータって、いったい。。

この謎は『情熱チャンジャリータ』を読めばわかるのかな?

◎[Amazon]妄想シャーマンタンク(角川文庫)

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BOOKデータベース/サイダーと洗剤を割って飲んで死にかけたバカ従弟・ボスボロット。熱帯魚とピラニアを同じ水槽で飼おうとして、大喧嘩する親父・ケンちゃんと弟・セージ。板谷家の怪人列伝は止まらない! ゲッツが何故不良になったか、今まで語られなかったエピソードも公開。書籍未収録の100本を超えるコラムの中から珠玉の作品を厳選!文庫版 “ボーナストラック” も収録!激笑必至の特濃エッセイ集。 文庫版 2012/1/25 (単行本 ダイヤモンド社 2005/10/28)



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by yomodalite | 2012-07-13 08:14 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

本日の水木サン―思わず心がゆるむ名言366日/水木しげる(著)大泉実成(編)

わたしは、水木しげる氏の作品を読んだこともなく、そのキャラクターにも、そんなに魅力を感じたことはなかったのですが、最近「妖怪」に、興味が湧いてきて、

ていうか、なんだか「妖怪」になれそうな気がしてきたんですよねw。

というのは、、

こどもと老人はどこか似ていて、年寄りは「こども」に還るなんて昔の人も言ってたと思うんですけど、こどもと老人に共通しているのは「妖怪ぽさ」なんじゃないかと。(妖怪という言葉にどろどろとした怨念とか、暗さを感じる人はとりあえず「妖精」と言い換えてもいいと思う)

私が自分の「神」のように考えている方も2歳児の知能を取得され、尚かつ自分は80歳ぐらいのような気がするとか言ってましたし、確かに、こどもでも妖怪の匂いがするのは、2歳児までで、老人も80歳を超えないと、妖怪になれないような気もします。

わたしは、取得することによって、そこから「自由」になれるという「取得」の仕方が好きなので、例えば、

スリムな体を維持するのに、永遠に「ダイエット」するとか、

美人に生まれたのに、ずっと美人でいなきゃならないとか、

いっぱい仕事をして、お金持ちになったのに「死ぬまで働き続ける」とか、

ガンと闘うとか、、

最終地点が「自由」に繋がってないような気がすることには、なんだか興味がもてなくて、、

今はアンチエイジングが「是」ですけど、、でも、若返ったって「2歳児」にはなれないでしょう。せいぜい、実年齢から10歳とか、20歳若く見えるだけだったら、いつまで立っても中途半端な「中年」領域に留まるだけでつまんないし、それだと、次の「ステージ」に行くことも嫌になっちゃう。

それで、いつまでも20代や30代が最高だったなんて思って過ごすより、未知なる「ババアの世界」の方がなんだか面白そうだし、そこには「妖怪」というキーワードが重要なんじゃないかと、最近思い始めたんですね。

とはいえ、ただ年を取ったからといって、なかなか「妖怪」にはなれないですよね。とりあえず最終目標の「妖怪」の前には「オモロいババア」の通過地点があるような気がするし「ボケ方」にも「コツ」があるんじゃないかと思っているんですが。。。

「水木サン」が、どんなことを言っているかというと。(下記の太字が本書から引用)

みんな子供のときは妖怪です。(6月29日)

あ、、やっぱり、そうですか。。

目に見えないものが、神から妖怪にいたるまで、どのようにつながってるか、目に見える形で、レンガのように積み重ねていかないとならんわけです(7月1日)

ふむぅ。。

ホピ(ネイティブ・アメリカン)にはあんた、妖怪が “千” いるというんですよ。私が調べたところでは、中国にも千前後の妖怪がいます。日本にも千五百という人もいるが、だいたい “千” でまとまります。私はねぇ、これは皆共通した同じ妖怪だと思ってるですよ。私はこの驚くべき大発見は、ノーベル賞に値する、と思ってるんです。(2月7日)


霊の世界というのは、どうも非常に広いようですよ。丹波(哲郎)さんと宜保(愛子)さんの霊界というのも微妙に違います。ですから人間の知恵で考えると難しいんです。そこで「妖怪人類学」が必要になってくるわけですよ。「残忍だ」「野蛮だ」といった人間の知識で評価する必要はないんです。インディオやアポリジニの考えた霊との接触の仕方を客観的に記述するばいいことですからね。静かに眺めることが肝心ですよ。(2月11日)



自然界は「弱肉強食」で「死」は日常茶飯事だしね。。


(アポリジニの楽器ディジャリドゥについて)
あれいいですよ。あれがいいんです。精霊が来ますよ。あれは霊界楽器です。あの音楽は霊界音楽に相当します。いやむしろこのために音楽というものがあったのに…。(2月13日)

☆Didgeridoo(ディジャリドゥ)初めて聴きました。
◎[動画]Didgeridoo - Jeremy Donovan, Aboriginal Artist
◎[動画]Australian Aboriginal Music: Song with Didgeridoo


「うそぶく」という言葉があるでしょう。その音は、精霊が好きな音なんですが、現在では、それがどんな音だかわからないわけです。ところが、澤口瑞穂という学者の書いた本によると、清朝時代まではそれがどんな音であるかわかっていたそうですよ。こういった音や、儀式に関する音は、日本ではもう死んでしまっているんです。わたしは「うそぶく」は口笛に近い音なんじゃないかと思っておりますが。。。(3月6日)


(水木さんの家に大量の本が送られてくるという話を受けて)
送られてきた本の八割は捨てるんです。家内は文句を言うですが「開いたら死んでしまうぞ」と言ってます。(3月14日)


(仮面を買いながら)
同じものはいらない。同じものはいらない。(呪文のように繰り返す)(5月18日)


わたしは幸せのことしか考えないからよかったのです。今の人々は、わざと幸せにならないように努力している(2月16日)


われわれはもともと “霊霊(かみがみ)の世界” からやってきたものであり、そして “霊霊の世界” に去ってゆく存在なのだ。(4月24日)


しないではいられないことをし続ける(5月16日)



最近、なんだか幸せな気がするのは、きっと。。。


(アポリジニに「人が死んだらどうなるか」と聞かれて)
無に入るのではなく、未知の状態に入る。それは、人が生まれて、一歳か二歳の頃の、生きていると気づく前の状態です。(7月17日)


水木せんせ、アポリジニにも教えてる。。。


水木サンが長年にわたって古今東西の奇人変人を研究した結果、彼らには幸福な人が多いことがわかりました。(8月8日)


妖怪というのはね、くだらんものを一生懸命見る努力をして、
見えないものを無理矢理見るということなんです。(10月17日)



やっぱり、努力は必要なのね、、でも、見えないものを見たがる人の中でも、宇宙人を見たがる人に多いような気がするんだけど、宇宙人って科学的にいるとか、科学的に証明される可能性があるでしょ?それに、どーゆーわけか、宇宙人を見たがる人って、集団で見たがるよね。なんかね、そこが「弱い」んじゃないかとw、、、最近の横尾忠則氏から、ちょっぴり思ってみたり。。。


(メキシコ在住の画家・竹田鎮三郎さんの秘蔵のドクロ像を見て)
なるほどこりゃ死の神様だ。見てるだけで死にそうになる。やすらぐねー。死んだらわざわざ迎えに来てくれるんだ。(12月3日)

◎竹田鎮三郎 A small gallery of engraving


水木 幸福観察学会はですね、結局のところ世界妖怪協会に昇華すると思ってます。幸福には自分自身の力以外のものが働きますから。目に見えないものの作用っていうのは大きいですよ。幸福になるためには妖怪が要るんです。

荒俣宏 幸福観察学会は発展的解消をして世界妖怪学会に吸収されるということですか。

水木 幸福の追求と妖怪はつながっているんです。



(引用終了)


だそうです(笑)。

366日、うるう年にも対応したこれらの「お言葉」は、1988年から2004年までのもので、編者で、水木原理主義者でもある大泉実成氏は、少年時代に「エホバの証人」の信者で『説得ーエホバの証人と輸血拒否事件』で講談社ノンフィクション賞を受賞された方。水木センセイの本はこれからもっと読まなきゃ。

◎本日の水木サン―思わず心がゆるむ名言366日(アマゾン)
◎[幻冬舎文庫]水木サンの迷言366日(アマゾン)




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by yomodalite | 2012-03-26 17:31 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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