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映画『君の名は。』

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現在、興行収入130億円突破という大ヒット中の映画。

実際、公開からすでに1ヶ月以上経っているのに、一番大きな会場が、平日昼間に満席になるほどの人気ぶり。

私の人生の中で、そういった映画にハマったことはほとんどなく、また、公開に合わせて新海監督の過去作品を特集したテレビも見たんだけど、光や影が美しく表現された映像には惹かれたものの、女の子のキャラが・・・

アニメ作家になるような人に、女性がリアルじゃないなんて言いたくはないし、理想の異性を作ろうとするのは表現者の本能だと思うけど、これが理想だとしたら、あまりにも・・と言いたくなってしまうほど、宮崎駿がいう「声優さんの女の子の声は媚びた声が気持ち悪い、売春婦みたい」という見本のような声としぐさに、冒頭で根を上げてしまった。

そんなわけなので、期待していたというよりは、若い子に人気だという作品を勉強のために見てみましょう、みたいな気分だったのだけど、色んな意味で予想外に素敵な作品でした。

『シン・ゴジラ』は、日本人が日本人をリアルに描くということに初めて成功した、日本人にしか意味のない傑作だったけど、『君の名は。』は、世界中で失われてしまった恋愛映画を、アニメによって奇跡的に復活させたことで、世界中でウケるような気がする。

キムタク主演の恋愛ドラマがアジア中で長く愛されたように、冬のソナタが韓流に興味のないオジさんにさえ届いたように、そして、村上春樹の作品を待つファンが世界中にいるように、世界で評価されるというよりは、世界で愛されるような、そんな映画のように感じられました。

普段アニメ映画を見ない人にもオススメ!


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by yomodalite | 2016-10-06 06:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

映画『ソウルパワー』

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1974年、“キンシャサの奇跡”と言われたモハメド・アリ対ジョージ・フォアマンの対戦の前には、アフリカ系ミュージシャンたちの “ブラック・ウッドストック” とも言える『ザイール'74』と題された音楽祭が行われていた。

差別を乗り越え、成功をおさめた米国のアフリカ系ミュージシャンと、解放運動を戦ったアフリカン・ミュージシャンが共に同じステージに立った歴史的なコンサートのことは、JBに興味をもったときから、いつか見てみたいと思っていたのですが、ドキュメント映画公開や、モハメド・アリへの追悼企画も重なって、今回ようやく見ることができました。

この映画は、『モハメド・アリかけがえのない日々』(1997年アカデミー賞ドキュメンタリ部門受賞作)の編集をしていたジェフリー・レヴィ=ヒントが、1974年のコンサートフィルムが撮影されていたことを知って、2009年に編集し直したもので、最初からドキュメント映画として撮影されたものではない。

最初、私はこの映画を1974年という時代に巻き起こった「ブラックパワー」の一端をとらえた映画だと思っていたのだけど、残されたフィルムを2009年に編集した監督の意図はそうではないようで・・・

映画が始まるとすぐ、少し前に見た『ミスター・ダイナマイト』のときよりも、だいぶグッチ裕三っぽくなったJBが現れるのだけど、股割ステップを含む短いステージシーンが終わってしまうと、しばらくJBの姿は見られなくなり、キンシャサの街や、コンサート会場が建設されていく様子、米国の黒人ミュージシャンたちが、自らのルーツだと感じているアフリカでコンサートを行うことを、故郷への帰還だと感じて高揚しているところや、対戦前のアリのアジテーションなどが淡々と移し出されていく。

時折現れるほんの小さな瞬間から、1974年当時、JBがモハメド・アリと同様か、それ以上に人々から尊敬され、愛され、ソウル界や、黒人だけでなく、白人からも「ゴッドファーザー」のように慕われていたことが伝わるシーンがあり、また、彼が想像していたよりもずっと小柄な人だったことにも気づいた。

ようやくコンサートが始まると、期待以上に音が良く、今実際にフェスに行って聞くよりもずっと「生の音」のように感じられ、これまで名前ぐらいしかわからなかった70年代のアーティストや、まったく知らなかったアフリカンミュージシャンたちが身近に感じられる。

B・Bキングが、ギターを弾く人だってことさえ知らなかったけど、彼の指から奏でられる音にグッと来たり、ダニー“ビッグ・ブラック”レイのコンガや、ミリアム・マケバの「クリック・ソング」に魅了され、楽屋でアフリカの女性アーティストたちと仲良くじゃれあっている往年の女性ディスコグループというイメージしかなかったシスター・スレッジがまだすごく幼くて、こんなムサい男たちの中で大丈夫なの?と心配になったり・・

そんな感じで、すっかりどこかの夏フェスに行ったような気分で見ていた画面に、ついにJBが登場すると、私だけでなく、会場の雰囲気が一気にヒートアップする。みんな素晴らしかったのに、やっぱりパワーが全然ちがうのだ。

ようやく登場したJBのステージシーンもあまり長くはないけど、曲が終わると、JBはその曲と同じぐらいシビれることを言って、エンディング・ロールが始まる。バックステージの彼の姿が映し出され、彼はもうこれで本当に最後という感じで、頭を下げたりするけど、エンドロールがすべて終わった後、再度JBからグッとくるメッセージがあるので、最後まで見逃さないようにね。

これは、彼のメッセージで始まり、彼のメッセージで終わる映画なのだ。

『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』でも、『ミスター・ダイナマイト』でも、JBがメンバーにずいぶんと厳しかったことが描かれていたけど、この映画では、何気ないシーンに、彼の優しさや繊細さが伝わってきて、もっと好きになった。

今まで、プリンスのパフォーマンスがJB直系だとは思っていたけど、プリンスの小柄で中性的な容姿は、ソウル界のゴッドファーザーとはだいぶ異なると思っていた。でも、JBもまた小柄な人で、「パープルレイン』以前のプリンスは、ファッションも音楽も想像以上にJBの姿を追っていたように感じられた。

また、JBとは正反対ともいえる声のマイケルが、色々と苦心して、キャリアの最後まで、JBの音楽に近づく努力をしていたんじゃないかと思ってしまったのは、私が、MJの「アンブレイカブル」へのこだわりについてばかり、考えているせいかな。

でも、ショウビズ界一と言われた自分以上によく働いたふたりのことを、JBはすごく可愛く思っていたと思う。彼がメンバーに厳しかったのは、自分より全然働いていないと感じていたからだと思うから。

通常の劇場公開は終了していますが・・


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by yomodalite | 2016-08-03 06:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン [DVD]



ブログアップするのが遅くなっちゃいましたが、『AMY エイミー』 を観た日に、こちらも観に行ったんです。1日で2本の映画を観るなんて、めったにしないことなんですが、『エイミー』同様、こちらも大勢の証言者が登場するドキュメンタリでありながら、どちらも製作者も上から目線の物語を避け、アーティストへのリスペクトが伝わる作品になっていて、行った甲斐がありました。

ちょうど1年前に公開された『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』は、JBの人生を圧縮して、2時間の物語にしたもので、チャドウィック・ボーズマンの熱演によって、若くてカッコイイJBを見事に現代に蘇らせた素晴らしい音楽映画でした。

それで、実を言うと、カラーの2時間映画で、JBの音楽を堪能するには、チャドウィックの方がイケメンだから良いかなぁなんて思っちゃってたんですけど、浅はかでした。やっぱ、本物のJBの方が、めちゃくちゃカッコいいっ!ダイナマイト感ハンパない!

両作とも、ミック・ジャガーのプロデュースで、こちらはドキュメンタリなので、『最高の魂を持つ男』よりも音楽を楽しめるシーンが少ないのではないかと思っていたんですが、この映画でも、JBの音楽や、素晴らしいショーを捉えたシーンがたくさんあって、当時の観客が熱狂する場面で、白人のティーエイジャーの女の子がたくさん映っていたり、あの伝説になっている、ステージに観客が押し寄せたときに、JBが警察の力を借りずに、みんなを制する場面とか、モハメド・アリと同様に、JBが音楽界だけでなく、時代のリーダーだったことがよくわかります。

『最高の魂を持つ男』では、バンドメンバーで親友のボビーバードとの物語が中心でしたが、『ミスターダイナマイト』では、ボビーバードや、後にプリンスと共演することになるメイシオ・パーカーなど脱退メンバーが実際に語っていて、その後の新生バンドの中心メンバーであるブーツィー・コリンズの証言も面白い。

MJのハーレムスピーチや追悼式、オバマ大統領の誕生にも大きな影響を与えたアル・シャープトン師によって語られる、60年代、70年代の政治の季節、ブラックパワーを牽引するアクターでもあったJB自身の「パワー」との違い。

そして、あのMJとプリンスが飛び入り参加するシーンも映し出されるのですが、あのときプリンスが、MJよりも緊張していたのは、プリンスの方が、大方の人々に実際の後継者と目されていたことが大きかったのではないかと改めて思ったり・・・

これから、どちらかの映画を見てみようという方には、『ミスターダイナマイト』の方がオススメかな。


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大阪・テアトル梅田に設置されていた、JB神社



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二礼はなんか違うような気がしたので
「大阪締め」でお参りしておきました!




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by yomodalite | 2016-07-28 11:47 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(2)

映画『AMY エイミー』

AMY エイミー [DVD]

エイミー・ワインハウス,ミッチ・ワインハウス,マーク・ロンソン,トニー・ベネット




映画は、十代の頃に友人たちと過ごすエイミーのプライヴェート映像で始まる。
友人たちとのパーティーで、ほんの少しだけ聴ける歌声は、やっぱり当時から光っていて、そこからラストシーンまで、エイミーはほとんどの画面に映っている。

授賞式や、レコーディング、インタヴュー、コンサート風景など彼女のアーティストとしての歴史の一場面以上に、プライヴェート映像が豊富で、幼なじみや、デビュー当時からのマネージャー、ミュージック・ビデオの撮影アシスタントで薬物依存症の夫ブレイク、父親・・・彼女を知る人物も大勢登場するけど、コメントは断片的で、監督は、エイミーの若すぎる死について、彼らに語らせることを避けている。

ブレイクを見ていると、なぜこんな男と、彼にさえ会わなければ・・と思ってしまうのだけど、

デュエットもしたトニー・ベネットが、彼女のことを、エラ・フィッツジェラルドや、ビリー・ホリディに匹敵するようなシンガーだったと褒めていたり、クエストラブが、音楽オタクである自分に、彼女が次々にジャズアルバムを送ってくることを語っている場面をみているうちに、ブレイクのことも、彼女がジャズシンガーとして選んだ相手だったのだと、納得してしまった。

ジャズもブルースも、それは音楽ジャンルの名前なんかじゃない。
それは、魂のあり方や、生き方のことで、ブレイクは避けられない運命の相手だったのだと思う。

デビュー後、彼女は、「私を知れば世間はわかるはずよ。私には音楽しかないって」と言っていた。でも、映画の冒頭では、歌は趣味であって、仕事になるとは思っていなかったという彼女の声も収録されている。彼女が有名になることに強い不安を感じていたことも、よく描かれているのだけど、それは、ただ純粋に歌が好きだった女の子が、世間に翻弄されてしまった、ということではなく、エイミー自身がこの結末に対して、正確に予想できたからだと私には思えた。

私が最初に彼女を知ったとき、すでに彼女は、大きなビーハイブヘアで、チープなコミック・テイストのタトゥーと、細すぎる足のハイヒールが痛々しい、あの姿だったのだけど、

その後、デビューして間もない頃の映像を見たことがあって、まだビーハイブヘアじゃない彼女は、大学でジャーナリズムを学んでいるような明るく聡明な雰囲気で、あまりのギャップに驚いたことがあった。そこにはドラッグの影響しか考えられず、なぜ、すでに多くのアーティストが失敗してきた道に今更・・・という思いがあったのだけど、今はもうそうは思わない。

健康な肉体より、魂が腐っているという状態はわかりにくい・・

エイミー・ワインハウスが好きな人も嫌いな人もどちらでもない人にもオススメ!


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by yomodalite | 2016-07-21 10:41 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(7)
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ロフトプラスワンウエスト『あかんやつら』文庫化記念トークイベントに行く。

数日前、ツイッターのタイムラインで、このトークショーのことを知って、腰の重い私にしてはめずらしいほど素早くチケット購入ボタンを押してしまったのは、『天才 勝新太郎』で、忘れ去られようとしていることを発掘し、蘇らせてくれたことへの感謝から、会場に隙間があるのなら、私ひとり分は埋めさせていただきます。みたいな気分だったんだけど、


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『あかんやつら』はまだ読んでいる最中だわ、これまでに見た時代劇も、このブログに書いたものがすべてという寒い状況で、千葉真一氏の出演作品にいたっては、『仁義なき戦い』と『KILLBILL』しかちゃんと見ていないだなんて、あの会場で私しかいなかったと思う。

客席は8割が男性で39歳の春日氏よりも若い人が多いという印象。千葉真一が『影の軍団』のテーマ曲で登場すると、全員こぶしを突き上げる感じの「オォーーー」という歓声が響き、壇上に上がった千葉氏がジン・トニックを注文されると、またもや、「オォーーー」みたいな・・・春日氏のトークショーは二夜連続で、前日の杉作J太郎氏の回も来たという人も6割以上もいたようで、とにかく熱気がスゴい。

春日氏の声を聞くのは今回が初めてだったのですが、物書きとは思えない美声で、トークショーのホストとしてもゲストとしてもとても素敵だったのですが、。トークショーは博識で、MCも上手い春日氏がリードする形ではなく、千葉真一の独壇場でした。

それは、最近見た『アナザーストーリーズ 仁義なき戦い』(NHK)でも発揮されていましたが、番組で話されたことを、編集された放送と同じぐらい淀みないだけでなく、さらに肉付けして話されたり、ひとつの質問に対して倍以上の答えが返ってくるだけでなく、もっとずっと深いところまで熱く語られる。

役者としての話だけでもスゴいのに、JACを創り、そこで何人もの人にアクションを教えただけでなく、撮影技術を発明したことや、今構想中の映画の話まで、とにかく話題が尽きなくて、全然作品を見ていない私にも情景が目に浮かぶぐらい、上手に観客に説明することが出来るなんて、本当に驚愕のひとこと。

トークショーの内容を自分のメモとして少しだけ・・

・緒形拳がキライ(彼はアクションを人任せにするから)
・成田三樹夫の肉体は素晴らしい(彼はアクションを人任せにしない)
・時代劇の中で本当に「峰打ち」が出来るのは若山富三郎だけ(暴れん坊将軍がやってるのは峰打ちじゃない)
・影の軍団で共演した樹木希林がすごかった
・東映の撮影所で役者をやめさせられそうになったとき、高倉健が救ってくれた
・今の若手俳優でいいと思うのは?「イイのいるかな?」
・共演してみたい俳優は?「ブラッド・ピット。彼はなにをやってもいいと思えるほど魅力がある。大好き!」
・ブルース・リーに約束して会いに行ったら、飛行機が着陸したとき、彼はもう亡くなっていた。
・時代劇に出ていても、千葉真一が現代的に見えるのはなぜか?「深作監督に教わったことだけど、映画はリズムとリアリズムが大事。シーンはテンポなんだ」

そのほか、今企画中の映画として、米国のサラリーマンも読んでいる「五輪の書」、柳生十兵衛やくノ一がCIAの手先となって活躍する映画のこと、カムイ伝や、沖縄のこと・・

また、タランティーノのことは、めちゃめちゃ頭が良くてクレイジーだと語られていましたが、それと同じぐらい千葉真一も頭が良くてクレイジーなのは、3時間を超えても尽きることのない話の中で、何度も「オールナイト」を口にされていたことで充分すぎるほど納得(77歳なのに)!

とにかくもっと作品を観なくちゃ。まずは『日本暗殺秘録』かな。あと『柳生十兵衛あばれ旅』、『柳生一族の陰謀』と『新幹線爆破』と『影の軍団』と・・・

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by yomodalite | 2016-06-23 11:44 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
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久しぶりの「座頭市」。そういえば、プリンスも、勝新に座頭市としてビデオ出演のオファーをしていたとか・・・

1974年から始まったTVシリーズとしては一番古い『座頭市物語』では、勝新が監督した回は6本あるのですが、今回紹介する『心中あいや節』は、その6本目の作品で、当時自分の付き人だった松平健をデビューさせた作品。

映像と音、その両方を先鋭的に追及した勝新ですが、三味線に関しては、彼自身が名手ということもあるので、瞽女を主役にした監督作品は特に見逃せないんですよね!

* * *

はなれ瞽女おさわ(浅丘ルリ子)は、手引き役の若い娘(吉沢京子)と二人で雪国を旅する道中で、市に出会う。

三味線と歌で諸国を遍歴する盲目の女芸人を瞽女(ごぜ)といい、彼女たちにとって恋はタブーであり、掟を破った瞽女は仲間はずれにされ、“はなれ瞽女”となる。おさわが、“はなれ瞽女”になったのは、彼女たちを仕切る瞽女宿の息子・佐八(松平健)が、彼女を見初めてしまったから。


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妻子を捨てて、おさわの後を追う佐八を連れ戻すため、父である瞽女宿の主人(加藤嘉)は、おさわ殺しを、生首の加平次(石橋蓮司)に依頼する・・・


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白く透き通る女の肌と、零れ落ちる涙、
人の心の純粋さと、邪悪さが、雪と風と涙と氷柱になって、刀が舞う。



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白い雪に赤い血というコントラストはよく使われているけど、この作品では「透明感」をもっとも重視していて、「赤」が意識的に使われていない。



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それと同じく、自ら汚れを背負っていると感じている座頭市自身もこの作品では一歩引いた存在になっていて、そういったところも勝新自身が監督でなければ、できなかった作品でしょう。



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そんな勝新の映像へのこだわり具合からか、このあとの「新・座頭市」シリーズの傑作『折れた杖』の原点と感じられる部分もありますが、ここで心中できなかった女を描いたともいえる『雪の別れ路』の習作という方が近いかな。



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このシリーズは、毎回の豪華キャストに加え、音楽を冨田勲が担当していて、座頭市のJehovah(唯一神)とも言える「おてんとさん」が主題歌になっている。

1966年『交響詩 ジャングル大帝』、1969年から『新日本紀行』のテーマ音楽を担当していた冨田勲は、1974年、シンセサイザー音楽作品としてのデビュー・アルバム『月の光』を制作して、初めてグラミー賞にノミネートされ、コッポラも『地獄の黙示録』(1979年公開)で音楽を依頼しようとしている頃、勝新も初のTVシリーズの座頭市の音楽を冨田勲に依頼していたんですね。

『心中あいや節』では、「おてんとさん」は流れず、勝新自身の音のセンスが際立つ作品なんですが・・・



おてんとさん(作曲:冨田勲)




歌詞「おてんとさん」(作詞 麻里あさみ)




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by yomodalite | 2016-06-20 12:02 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

FAKE ディレクターズ・カット版 [DVD]




『A』も『A2』も、忘れられないぐらい面白い作品だっただけに、森監督が佐村河内氏を撮ると聞いて、公開をずっと楽しみにしていました。


大阪は東京よりも1週間も初上映が遅いうえに、上映館はアングラなんていう言葉を久しぶりに思い出してしまいそうな「第七藝術劇場」というシアター。


今どきの映画館と違って、席つきチケットをネット予約することも出来ず、チケットを買うときに「整理券」を渡されて、順番に入場するというシステムにちょっぴりイライラしつつも、やっぱりワクワクの方が勝っているという感じで、窓口までたどり着くと、森監督のトークショー付きの12:25からの上映は、11時の段階で、すでに「立ち見」。


立ち見で映画を見るなんて無理なお年ごろなので、14:45からのチケットを購入すると、整理番号は60番台で、食事をして劇場に戻って番号順に並んでいると、あまり広くないロビーには、ナインティナインの岡村氏もいた。彼がどのあたりの席で見たのかはわからないけど、トークショーのないこの回も、立ち見の人が30人ぐらいはいたと思う。


第七藝術劇場は、想像していたよりもずっと小綺麗な映画館で、椅子の座り心地も良く、スクリーンがよく見えるだけでなく、最近のシアターと違って、映画に没頭できる「暗やみ」もありがたかった。


一切の予告編もなく、唐突に『FAKE』が始まると、私を含めて多くの観客が笑った箇所が5、6個あって、衝撃はラストシーンだけではなかった。


上映後の森監督の「舞台挨拶」を曖昧な記憶から少しだけ紹介すると、


監督は、ようやく15年ぶりに映画に帰ってきたこと、映画だけでなく、映像が好きなんだけど、それ以上に映画館が好きだ。でも、人が入っていない映画館は好きではない、つまり、来てくれる人が好きなのだ、と。映画館では、周りの人のちょっとした息遣いを感じながら、映画を見ることになる。この暗やみの中で、ぜひ、佐村河内氏を見て欲しい。


といった感じのことを語り、少ない残り時間の中、進行役が2人だけ観客からの質問に答えましょうと言うと、若い女性がすぐに手を挙げ、「この映画について、本に書かれますか?」と質問。監督が、「この映画については絶対に本にしない」と答えると、


次に手を挙げたのも20代ぐらいの女性で、東京から来た熱心な森監督ファンらしく、冒頭で、監督からは、多くを学んでいると言い、「人を信用すること」と、「困っている人に手を差し伸べること」について質問した。


監督は「たぶん、質問したいことと、言っていることが少し違ってしまっているように思うけど・・」と優しい言葉をかけ、自分は人を信用する方だ、と答えていた。


年代は様々なものの、男性客が多かった場内で、臆せず質問したのが二人とも若くて普通に可愛い女性だったことが、嬉しくもあり、残念でもあるような・・舞台挨拶の終了後、監督のサインを求めてパンフを購入する列も長く続いていた。


映画を見るとき、映画館で見るか、DVD発売まで待つか、迷う人は多いと思う。大きなスクリーンに相応しいかということを考えると、ドキュメンタリー映画はDVDでいいかと思う人も多いと思うけど、


この映画は、映画館で見た方がいい。


話題として古くならないうちに、というわけではなく、


何が真実で、何が虚偽なのかがわかるというわけでもなく、


佐村河内氏を見るのも、佐村河内氏の音楽を聴くのも、映画館の方がずっといいと思うから。


自分がどう思うか、それだけを確かめに観に行って欲しい、必見の映画。


猫が好きな人には特におすすめ!




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by yomodalite | 2016-06-12 18:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
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映画の宣伝文には、園子温監督が本当に作りたかった初めての映画・・ なんて書いてあって、他の監督ならそんなこともあるかもしれないけど、数多くの自主映画を一般公開し、多くの斬新な意欲作でここまで成功をおさめた園監督に、そのコピーはないんじゃないかと思いつつ、いつものように、極少ない情報だけで観にいったのだけど、

映画が始まるとすぐに「撮影協力」という画面になり、そこには浪江町など、福島県のいくつかの町の名前が・・・園監督の、原発事故後の福島を描いた『希望の国』という映画も印象に残る素敵な映画だったけど、この映画にも福島が関係しているの?・・という疑問は、タイトルロールの直前になって、少しだけ理由がわかる。

モノクロ映像だけでなく、水道の蛇口などへのクロースアップを多用した映像から、大好きな『イレイザー・ヘッド』を思い出したけど、それはデヴィッド・リンチ風の美学というわけではなく、主人公の女性が暮らす昭和の雰囲気が漂う狭い部屋の実体は、最近見た『ルーム』よりも衝撃的。

上映前の劇場予告では、『エクスマキナ』が紹介されていて、そちらはまだ見ていない映画ではあるけど、日本に住む私たちにとっては、『ひそひそ星』の方を見るべきでは、と思う。

パワフルで饒舌というイメージがある園子温作品ですが、これは詩的で、とても静かでありながら、狂おしいほどの感覚を呼び覚ます映画。必見です!


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終映後、同日上映で、『園子温という生きもの』も観た。

こういったドキュメントが映画館で上映されるということからも、園子温の人気ぶりがうかがえますが、実際に、誰が撮っても面白くならないわけがないという水準はクリアしてます。『ひそひそ星』のメイキングという内容も多いのですが、映画を見る前に観ても、特にネタバレということはないので、時間が戻せるなら、『ひそひそ星』の詩的な印象をより心に留めて帰りたかった。

でも、これも「今」観ておくべき映像だったことは間違いなかったと思う。




2本の映画の上映前には、菅田将暉と池松壮亮が主演する映画『セトウツミ』の予告編を2種類観て、両方とも笑いました。今ノリに乗ってる菅田将暉ですが、会話だけで、ここまで笑わせてくれるなんて、流石、大阪出身で、ダウンタウンを「この世で一番逢いたい人」「下手したら泣く」(「ダウンタウンなう」でついに面会。本当に泣いていた)「浜田さんにツッコまれて、松本さんにボケられたら死んでもいいです」というだけあって、タイミングとか、めちゃくちゃ勉強してることがよぉーーくわかって、ますます大好きになってしまいました。




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by yomodalite | 2016-05-26 11:59 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

ルーム [DVD]

ブリー・ラーソン,ジェイコブ・トレンブレイ,ジョアン・アレン,ウィリアム・H・メイシー



「ぼく、5さいだよ」ある朝、目覚めたばかりのジャックはそう言うと、いつものように、椅子や洗面台やトイレに「あいさつ」する。母とふたりで住んでいる「部屋」は、キッチンシンクのすぐ横にむき出しのバスタブが置いてあるような狭い部屋。

ふたりは外に出ることなく、小さな天窓がひとつあるだけの「部屋」で一日中過ごしていたが、5歳になったジャックに、ママは、その部屋の秘密を打ち明ける。部屋とテレビの世界しか知らなかったジャックは混乱し、不安に陥るが、ついに「脱出」の日はやってきて・・・


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閉じ込められていた母と、部屋の世界しか知らなかったジャック、
ふたりにそれぞれ始まる新しい生活。

母を演じる女優の自然な演技も魅力的だけど(ブリー・ラーソン、この作品でアカデミー賞主演女優賞受賞)、子役(ジェイコブ・トレンブレイ)の演技は「絶品」で、子供の目線で、映画を見ることになって、ずっとドキドキしっ放しでした。

ジャック:世界にはたくさん「場所」がありすぎるよ。全ての「場所」に対してバターみたいに時間を少しずつ薄く振り分けないといけないから、時間が少なくなるんだ。

◎『ルーム』予告編


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by yomodalite | 2016-05-12 06:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

リップヴァンウィンクルの花嫁 [DVD]

黒木華,綾野剛,Cocco/ポニーキャニオン



久しぶりの岩井俊二監督の映画。長編実写映画としては12年ぶりだからか、公開前の広告期間の長いこと長いこと・・・いつになったら観られるのっ!とヤキモキしていた私は、始まったら始まったで、最初のレディースデーまで待って観に行くレベルの岩井監督ファンなんですが・・・

事前に情報を知りたくない私は、主演が黒木華だという以外は、なにも知らなかったのですが、前日、ダーリンに、明日『リップヴァンウィンクルの花嫁』を見に行くって言ったら、

「『野獣死すべし』って映画見たことある? その映画で松田優作が、リップヴァンウィンクルの話をする場面が、すごく怖くてさ・・・」

調べてみると、それはこんな場面・・・




(松田優作が演じる伊達が、刑事の室田日出男に言うセリフ)「リップヴァンウィンクルの話って知ってます?いい名前でしょ?リップヴァンウィンクル、彼ね、山に狩りに行ったんですよ。山へ狩りに・・そこでね、小人にあったんですよ。なんていう名前の小人だったかは忘れましたがね、ずいぶん昔の話だから、とにかくその小人に会って、ウィンクルは、お酒をご馳走になったんですよ。そのお酒があまりにも美味しくて、どんどん酔ってしまったんです。そして夢を見たんです。眠りに落ちて、夢を見たんです・・
『リップヴァンウィンクル』は、アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングが書いたアメリカ版の「浦島太郎」で、主人公のリップヴァンウィンクルが戻ってきてみると、友人も妻もみんな居なくなっていた、というお話。時代遅れ、とか、眠ってばかりいる人、という意味があるそうで・・・

ちなみに、この本はマイケルの書棚にもあった本で、映画を観る直前に読み返していて『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、この主人公に置いて行かれた「妻」の話なのかな?

と想像していたんですが、上映中はそんなこともすっかり忘れ、主人公がLINEのようなサイトを使いだすと、ニックネームの、クラムボンや、カムパネルラに幻惑されて、ああ、そーゆー話になるのか・・と思い、それで、実際にそーゆー話になったあと、「リップヴァンウィンクル」が登場して、Coccoがちょっぴり歌い、ちょっぴり踊り・・そして、ああ、そー来る、そうだよね、岩井監督だもんね・・・なんて観ていると、やっぱりそーゆー展開になって、岩井監督らしいわ・・なんて観ていると、最後は、あ、そーゆー風に終わるんだ。みたいな。ってどんな「みたいな」か、さっぱりわからないと思いますがww

とにかく、岩井監督ファンにとっては、ある意味予想通りであり、公式サイトで使用されているメンデルスゾーン以外も、誰でも聞いたことがある同じようなテンポのクラシックの名曲が全編通して流れる中、不思議と飽きることなく、次から次へと岩井ワールドに嵌められていくあっという間の3時間(上映後に見た情報サイトで3時間だったことを知って驚きました)。

春の眠さと、鼻炎薬の両方で眠い私を、なぜか目覚めさせる映画でした。

主演は黒木華さんとありますが、綾野剛さんも同じぐらいの存在感で、数多くの出演作の中でも、この映画の綾野剛がサイコーと思う人も多そう。かつてもっとも泣いた(周囲が引くほどの嗚咽レベルでw)映画が『笑の大学』だという私の涙腺は乾いたままでしたが、上映後の館内にはすすり泣きする方もチラホラ・・・それと、エンドロールで「アレっ」と思ったのだけど、森下くるみさんは、どこで出演されていたのかな・・・次回は、そこに気をつけて見なくちゃ・・

この映画への評価:クラゲが好きな人にお薦めしたい映画



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by yomodalite | 2016-03-31 12:03 | 映画・マンガ・TV | Trackback(1) | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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