カテゴリ:映画・マンガ・TV( 135 )

f0134963_17100365.jpg


サービスデーの水曜日に『ゴンドラ』という映画を観た。
ちなみに、先週の水曜日には『T2 トレインスポッティング』も観たのだけど、そちらは、下記のリンク先に書いてある感想とほとんど一緒だったので、ここには書かなかった。


2週間前からひいている風邪がなかなか治らなくて、この日も咳と鼻水に苦しめられていた上に、雨まで降っていて、出かけるまではかなり迷ったのだけど、今日出かけなかったら、もう観られないかもしれないという思いと、未だに旅行気分が抜けない大阪でまだ行ったことがなかった「九条」という街にも行ってみたくて、ギリギリの時間になって、ようやく重い腰をあげて、家を出た。

『ゴンドラ』は1988年の作品で、今回はリヴァイバル上映。伊藤智生監督には、AV監督としてTOHJIROという名前もあって、私がこの作品を観たかったのも、そのAV作品に衝撃を受け、森下くるみさんのような人が長くAVの世界で活躍されたのも、この監督の磁力によるものなんじゃないかと思っていたから。


映画は、新宿高層ビルの映像から始まる。そのビルの上空から下を見下ろしている窓清掃の青年と、小学校の水泳の授業中、プールサイドで生理が始まってしまう少女との出会いは、少女が飼っていた文鳥のケガから。

大方の想像とは違い、この映画の「少女」はまったく性的には描かれておらず、監督は、少女を「自分」と同じように捉えているようで、青年と少女の関係には、性差や年の差さえも感じられない。

決して特別な女の子ではない主人公の少女が、周囲と迎合できずにいるのは「孤独を知って」しまったから。そして、田舎から上京した普通の青年と共通しているのは、「起きているときも夢を見られる」ということ。少女は、音叉を魔法の杖のように使い、青年は窓を拭いているとき下の世界に海を見ると言う。

そして、自立した女であろうとする母から愛情を感じられない少女は、家を出て、青年と旅に出ることに・・・

映画には、都会の上空や夕暮れ、青年の故郷の青く澄み切った空も、それぞれに美しい「空」が幾度か登場したのだけど、エンディングは、その中でも一番美しい「空」だった。


f0134963_17253022.jpg



f0134963_17151199.jpg

シネ・ヌーヴォの写真は、スマホの消音機能付きのカメラで撮ったせいか、酷いピンボケ・・


f0134963_17282559.jpg

サントラ(1500円)にも惹かれたけど、今回はめったに買わないパンフ(読みどころが多くて丁寧な作りで500円)を購入。谷川俊太郎や切通理作氏の感想にうなづいたり、TOHJIRO監督が、かつて、私が東京で一番好きだった場所、あの六本木WAVEのオープニングビデオを監督されていたことを知る。


f0134963_17314565.jpg



迷ったけどやっぱり来て良かった。


f0134963_17384204.jpg


劇場を出ると、雨も上がっていた。
こういう映画を上映してくれるミニシアターがある場所には、独特の雰囲気を漂わせている街が多い。大阪のミニシアターは、十三(じゅうそう)の第七藝術劇場にしか行ったことがなかったので、シアターだけでなく、九条という街にも興味しんしんだったのだけど、上映中必死でガマンしていたこともあって、早く家に帰って目一杯うがいしたり、ティッシュを抱え込んでベッドでしばらく休みたいという気持ちが先立ち、あまり九条を楽しめなかった。

ただ、映画を見て私も旅をした気分になったせいなのか、なんだか、九条は大阪ではないみたいだった。ミニシアター系で働いている人は、どの街でもその街を代表する感じではないということもあるけど、劇場に行くまでに通ったナインモール九条、大阪には多いアーケード付きの商店街なんだけど、標語が標準語で書かれていて・・・

f0134963_17402428.jpg

「待った!スピードの出し過ぎ」は、大阪では「スピードを出し過ぎたら、アカン!」と書くのが “普通” なんだよねw

とにかく、、、

『T2 トレインスポッティング』は、前作を見た人しか見なくて良くて、前作を見た人も別に見なくてもいいけど、TOHJIRO監督のAVにお世話になったことがある人は、絶対にこの映画も観るべき!

でもって、別にお世話になってないというこのブログを見てくれている大半の女子は、公式サイトなどの情報を読んでじっくりと判断してねw

リヴァイバル上映に対する監督の思い・・
東京では4月28日まで 5月1日の夜にスペシャル最終上映があるようです。
他の地域の上映は、今後拡大中


[PR]
by yomodalite | 2017-04-27 18:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
f0134963_11103051.jpg



キャストは全員黒人で、主人公はゲイらしい・・そんな前情報から、黒人+LGBTというマイノリティを掛け合わせた、ポリコレ色の強い映画?という危惧もあったのだけど、全然そうじゃなかった。

ドラッグ・ディーラー、シングルマザー、治安の悪い地域・・・永年、黒人アーティストを通じて語られてきた世界が、初めてリアルに、しかも「社会的」という目線ではなく描かれた傑作。

最初から最後まで目が離せないほど美しい光と色、そして音楽。

映画が終わって、スクリーンから出ると、漂ってくるキャラメルポップコーンの香りが、いつも以上に甘くて香ばしくて、切なかった。

派手な映像はないけど、この「光」は、劇場で浴びた方がいい
私はこの一作で、映像作家バリー・ジェンキンスの大ファンになりました。
この予告編では、映画の素晴らしさが全然伝えきれてないと思う。

[PR]
by yomodalite | 2017-04-07 06:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback(1) | Comments(0)
f0134963_22544069.jpg


イギリス北東部ニューカッスルで大工として働くダニエル・ブレイク。心臓病のダニエルは、医者から仕事を止められ、国からの援助を受けようとしたが、複雑な制度に阻まれ、援助が受けられない。そこには、ロンドンのアパートを追い出され、2人の子どもをもつシングルマザーのケイティもいて、彼女を助けたことから、絆を深めていくダニエル。しかし、ダニエルもケイティも、厳しい現実によって、ますます追い詰められ・・・

2016年のカンヌ国際映画祭で、2度目のパルムドールを受賞した、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督の作品を見るのは初めてだったのですが、ふと読んだインタヴュー記事から興味を持ちました。

ケン・ローチ「真のポリティカルコレクトネスとは自由市場に楯突かないこと。私たちを殺しつつある自由市場について指摘するのは『政治的に正しくない』のです」
長年真面目に働き、しっかり税金も払い、妻の介護もしてきた人が、病気になったとき、政府から援助を受けることもできない。そして、そんな困難な状況であっても他人への優しさを失わないダニエルや、ケイティ、その子どもたちも、本当に俳優が演じているということを忘れてしまうぐらいリアリティがあって、強く惹きこまれる。

ただ、監督の言葉にあるような、イギリスの社会状況については描かれていいないせいか、役人の態度についても致し方ないと感じる部分も多かった。ベテラン大工のダニエルは、病気で仕事ができない間、ケイティのためにアパートの修理をしてあげたり、棚を作ってもいる。治療としては薬を飲むぐらいで、就職活動のためにたくさん歩いてもいるので、「求職中」という枠に入れられる判断が「不公平」かどうかはむずかしい。

知り合いに、心臓病の持病をもつ人がいて、一見すると健康そうで、ポジティブ思考の彼は、もっていた障害者手帳がもつ数々の高待遇について、周囲に明るく語っていたこともあって、口の悪い友人から「障害者サギ」などと言われるほど、周囲から羨ましがられてもいた。でも、そんな「特権」を行使しているように見えた彼も、結局若くして突然亡くなってしまった。彼が本当に「重い心臓病」だったことがわかったのは、葬儀でのことだった。

だから、ダニエルのような心臓病患者にとって、病気での申請を審査する係りが行う設問や、目視が不利なものになりがちだということはよくわかるし、ダニエルやケイティはとても身近に感じられるのだけど、社会批判としてはちょっぴりヨワいかな・・。



[PR]
by yomodalite | 2017-03-30 07:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
f0134963_16510205.jpg

これまで、韓国映画、ドキュメンタリー、青春映画、絶望シネマといったテーマで発刊されている「観ずに死ねるか ! 」シリーズの第5弾。

観ずに死ねるか! 傑作音楽シネマ88

宇多丸、尾崎世界観、オダギリジョー、能町みね子・・



音楽スピリッツに溢れた映画を、ライムスター宇多丸、尾崎世界観、オダギリジョー、能町みね子、湯川れい子、鮎川誠、近田春夫、みうらじゅん、大槻ケンヂ、九龍ジョー氏等、総勢70人が、それぞれの視点で語り尽くし、良質な紙質に印刷された全256ページのほとんどがカラーで、たったの2000円ポッキリ!

5つの章に分かれている各章の内容を一言で言うと、

第1章の「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」は名作音楽映画が多く、第2章の「Songs」は、曲が映画のテーマになっていて、第3章の「Legend」は音楽界の偉人たちの映画、第4章「Music Life」は文字通り音楽と人生がテーマになっていて、第5章「Passion」は、音楽系熱血青春モノといったところでしょうか。

書いている人と映画の組み合わせは、湯川れい子の『エルビス・オン・ステージ』や、ROLLYの『ロッキー・ホラー・ショー』のように意外性のないものはむしろ少なく・・・聞いたこともない映画や、耳にしたことのない音楽を、何やっている人だっけ?という方々が熱く語られていることが思った以上に多くて、死ぬまでにクリアできるか不安になってしまいましたw

とにかく、この本を見なかったら、興味を持つことがなかった映画や音楽のメモがいっぱい溜まってしまう本です。

ちなみに、マイケルの映画は第3章「Legend」に収録!

f0134963_16535044.jpg

第1章 ヤァ!ヤァ!ヤァ!
「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」告井延隆/ギタリスト
「エレキの若大将」 松崎まこと/映画活動家、放送作家
「星くず兄弟の伝説」白石晃士/映画監督
「私たちのハァハァ」大谷ノブ彦/芸人
「ブルース・ブラザース」鮎川誠/ミュージシャン
「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」三留まゆみ/映画イラストライター
「リンダ リンダ リンダ」板谷由夏/女優
「サタデー・ナイト・フィーバー」内田春菊/漫画家 、小説家
「青春デンデケデケデケ」モルモット吉田/映画評論家、ライター
「パイレーツ・ロック」ピーター・バラカン/ラジオDJ他
「WE ARE Perfume」掟ポルシェ/音楽家、アイドル評論家
「映画 けいおん!」サンキュータツオ/芸人)
「こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」三留まゆみ/映画イラストライター

第2章 Songs
「歌行燈」入江悠/映画監督
「晴れ姿 伊豆の佐太郎」根岸洋之/映画プロデューサー
「東京ナイト」高橋洋二/放送作家
「豊田道倫 映像集」 岩淵弘樹/映画監督
「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」松崎健夫/映画評論家
「ちびまる子ちゃん」松江哲明/ドキュメンタリー映画監督
「愛と誠」篠崎真紀/イラストレーター、ライター
「ライブテープ」「トーキョードリフター」「フラッシュバックメモリーズ 3D」成海璃子/女優
「ONCE ダブリンの街角で」大根仁/映像ディレクター
「フェーム」花くまゆうさく/漫画家
「ナッシュビル」高木壮太/ミュージシャン、戯作者
「はじまりのうた」松江哲明/ドキュメンタリー映画監督
「ロッキー・ホラー・ショー」ROLLY/エンターテイナー
「センチメンタル・アドベンチャー」根岸洋之/映画プロデューサー
「ナビィの恋」 佐々木俊尚/作家、ジャーナリスト
「バングラデシュのコンサート」みうらじゅん/イラストレーターなど

第3章 Legend
「5つの銅貨」立川志らく/落語家、映画監督
「処女ゲバゲバ」「ゆけゆけ二度目の処女」他 渚ようこ/歌手
「ラ★バンバ」森直人/映画ライター
「エルビス・オン・ステージ」湯川れい子/音楽評論家、作詞家
「永遠のモータウン」岩崎太整/作曲家
「タカダワタル的」「タカダワタル的ゼロ」佐野史郎/俳優
「Ray(レイ)」古泉智浩/漫画家
「ウッドストック 愛と平和と音楽の三日間」山本直樹/マンガ家
「ジャージー・ボーイズ」川本三郎/評論家
「シュガーマン 奇跡に愛された男」清水節/編集者、映画評論家
「バード」冨永昌敬/映画監督
「ワイルド・スタイル」宇多丸/ラッパー、ラジオパーソナリティ
「ムーンウォーカー」佐々木誠/映像ディレクター、映画監督
「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」辛酸なめ子/漫画家、コラムニスト
「アトムの足音が聞こえる」佐々木敦/批評家

第4章 Music Life
「右側に気をつけろ」樋口泰人/「爆音映画祭」主催人
「メタリカ:真実の瞬間」深町秋生/ミステリー作家
「あの頃ペニー・レインと」九龍ジョー/編集者、ライター
「光にふれる」中井圭/映画解説者
「色即ぜねれいしょん」内田春菊/漫画家、小説家
「あがた森魚 ややデラックス」森達也/作家、映画監督、明治大学特任教授
「DENKI GROOVE THE MOVIE?」塙宣之/芸人
「オーバー・ザ・ブルースカイ」真魚八重子/映画著述業
「ギター弾きの恋」佐々木誠/映像ディレクター、映画監督
「テネイシャスD」アサダアツシ/放送作家 、脚本家
「ドキュメント 灰野敬二」能町みね子/自称漫画家
「ワイルド・マン・ブルース」ケラリーノ・サンドロヴィッチ/劇作家、演出家、音楽家、映画監督
「ドリームガールズ」金子修介/映画監督
「嗚呼!おんなたち猥歌」樋口毅宏/作家
「祭爆 SAIBAKU」森世一/新宿ゴールデン街「談SINGシネマ」店主
「ラストコンサート」清水節/編集者、映画評論家
「ハイ・フィデリティ」伊賀大介/スタイリスト

第5章 Passion
「セッション」オダギリジョー/俳優
「ストレイト・アウタ・コンプトン」長谷川町蔵/ライター
「劇場版 どついたるねんライブ」九龍ジョー/編集者 、ライター
「ドラムライン」ファーストサマーウイカ/アーティスト
「THIS IS ENGLAND」鮫肌文殊/放送作家
「グミ・チョコレート・パイン」大槻ケンヂ/ロックミュージシャン、作家
「ファントム・オブ・パラダイス」近田春夫/ロックンローラー
「アメリカン・グラフィティ」渡辺大知/ミュージシャン
「SRサイタマノラッパー」シリーズ、「TOKYO TRIBE」磯部涼/音楽ライター
「ザ・コミットメンツ」山下敦弘/映画監督
「さらば青春の光」カンパニー松尾/AV監督
「タレンタイム」森岡龍/俳優、映画監督
「スクール・オブ・ロック」長谷川町蔵/ライター
「自分の事ばかりで情けなくなるよ」尾崎世界観/ミュージシャン
「自由と壁とヒップホップ」森達也/作家、映画監督 、明治大学特任教授
「ウォールフラワー」中井圭/映画解説者

◉特集
ボクが痺れたストーンズCINEMA …しゅりんぷ小林/漫画家
ボリウッドを観ずに死ねるか! …サラーム海上/音楽評論家、DJ、中東料理研究家
映画の中のボブ・ディラン …湯浅学/音楽評論家
今どきアイドル映画は<ドキュメンタリー的>な文脈で語られる …松崎健夫/映画評論家


[PR]
by yomodalite | 2017-03-10 06:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
f0134963_09595535.jpg


今まで、アカデミー賞の受賞作や、候補作だから観にいこうと思ったことはなくて、むしろ、どちらかと言えば、そーゆー映画が好みではなかったんだけど、

最近ようやく魅力がわかってきたミュージカルで、これまでのハリウッド映画へのオマージュに満ちていて、しかも、その中には『マルホランド・ドライブ』も含まれていたり、また、男女の恋愛を扱った映画でアカデミー賞の最有力と言われることも最近ではとてもめずらしいように思えて、公開されたら早めに観に行こうと思っていました。

鑑賞前にできるだけ情報を耳にしたくない方なんだけど、直前にアカデミー賞の発表があって、そこで前代未聞のハプニングが起こり、大本命と言われながら作品賞を取れなかったのは、「トランプ政権に対するハリウッドのメッセージ」だとか、前年度の「白すぎるオスカー」への批判だとか・・・

なんだかんだ不覚にも小耳に入ってしまったのだけど、

ヒロインを死から助けるストーリーや、男女入れ替わりとか、ストーリー的に目新しさのない『君の名は』が、予想以上の出来栄えだったような、そんな魅力が『ラ・ラ・ランド』にもあるんじゃないかと思って観に行ったんですね。

でも、見終わったあとの率直な感想を言うと、

古いジャズを偏愛するピアニストを、ライアン・ゴズリングが素敵に演じていて、最優秀女優賞向きの脚本としか言えないような役を、エマ・ストーンがしっかりとこなしていて、

人が簡単に殺されたり、痛めつけられるような残酷なこともなく、主人公が自分の都合や正義のために、人の車を簡単に盗んだり傷つけたりすることが多い昨今の映画の中では、この映画の車のシーンは画期的で見所がある映像に仕上がっているし、最近ではめずらしい男女の恋愛を軸にしていることも良かったんだけど、

恋愛にも、自分の行く道を決めるといった人生の甘さや辛さの中にも、どこか「魂」が入っていないというか、

古いジャズが好きな男も、昔の映画を見て女優に憧れた女も、監督の映画オタクを表現し、業界内でウケるためだけの存在で、昔の映画を知らない観客が、『ニューシネマパラダイス』を見て感動したり、子供がマイケルのショートフィルムから、昔のミュージカルを見るようになるとか、そういった作り手側の「愛」は感じられなかった。

それと「白い映画」なのかと思っていたら、そこも違ってた。

むしろ(人種的な)配慮が行き届いているというか、セバスチャン(ライアン・ゴズリングが演じているピアニスト)を雇うバンドのボーカルを、ジョン・レジェンドが演じていて、これは黒い映画でも白い映画でもなく、ジョン・レジェンドな映画だと思った。

彼の音楽を聴くといつも「いい曲のような雰囲気」だけはあるけど、そんなにいい曲でもなくて、黒人音楽のいいところが消え、かといって白人ぽいとも言えない、ただただ優等生ぽくて、このレベルで自分で「レジェンド」って言っちゃう?とか、いったい誰が聴いてるの?とか、長年こっそり思ってたんだけど、この映画を見たらとうとう言わずにはいられなくなってしまった。

ライアン・ゴズリングはピアノもダンスも素敵で、存在自体がエレガントだし、オーディションでみせる達者な演技が、選考者に見向きもされないなんていう自作自演に気分が乗らないところはあるものの、エマ・ストーンが実力派スターだということはすごくよくわかるし、

テンポが良くて、すべての音楽が良いミュージカルは希少で、この映画はそういった意味で高いレベルだと思うし、素敵な映像もいっぱいある。

でも、セバスチャンは、チャーリー・パーカーや、セロニアス・モンクのようなジャズが好きだと言いつつ、出てくるのはそれとは真逆の優等生ジョン・レジェンドで、物語もジョン・レジェンドのような仕上がりw

白いとか、黒いとかっていう評価の中には、ジョン・レジェンドのバンドから離れて、自分の好きな店を・・ってところを深読みしているものもあるように思うんだけど、そーゆーこと自体がもううんざりって感じがして、

私は、早く家に帰って、エイミー・ワインハウス聞きてぇーー!という気分になりました。

こちらは、観終わった方向け!

ラ・ラ・ランドのネタ元映像

[PR]
by yomodalite | 2017-03-02 10:26 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(2)
f0134963_22062830.jpg



人気作家のルイは、「もうすぐ死ぬ」ことを家族に伝えるために、12年ぶりに帰郷する。社交的な母、幼い頃に別れて、兄を覚えていない妹、弟が帰ってきたことが気に入らない兄とその妻。母が創る色とりどりの料理が並べられた食卓を囲んでも、家族の会話は噛み合うことなく・・・

ドラン作品はこれで4作目、今後は少しづつ商業的な方向に行くのかなぁと思っていたのだけど、これまでの作品の中で、一番反ハリウッド的というか、本当に会話だけ、家族ひとりひとりの微妙な表情だけで創られている。

特別なことはなにも起こらないけど、映画が終わりそうになると、それまでの息苦しいような緊張感が続く空間から解放されたくなくて、なぜかもう一度観たくなった。

いつも楽しみな音楽は、オープニングがCamilleで、エンディングがMoby。両方とも歌詞の意味から選んだみたい。







家族という言葉に暖かさを感じる人には、不向きな映画かもしれないけれど。

◎[宮台真司]究極の名作、グザヴィエ・ドラン『たかが世界の終わり』について


[PR]
by yomodalite | 2017-02-16 07:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback(1) | Comments(0)
f0134963_11350910.jpeg


日曜日、オリバー・ストーン監督の『スノーデン』を観にいった。


スノーデンの事件や、彼が告発したことについては知っていたけど、この映画では、リンゼイという彼女のことも描かれていて、事件後、彼女がスノーデンを追ってモスクワに渡っていたことに驚いた。


スノーデンは愛国者精神をもつ、ちょっと保守寄りなタイプ。でも、彼女のリンゼイはリベラルで、オバマ大統領誕生を喜び、写真やアートやダンスが大好き。共にアメリカを信じ、プーチンにも共産主義にも、シンパシーを感じることなどありえなかったふたりが、今はロシアで暮らしている。


アメリカでこの映画が公開になったのは、大統領選挙中。映画では、オバマ元大統領の責任についても触れられているけど、むしろ、オバマによって、ブッシュ時代よりもさらに大きくなってしまった大統領の権力をトランプに与えるなんて・・という不安が大きかったのだと思う。当時のストーン監督も反トランプだった。


それが、日本公開直前のインタビューで、「トランプ大統領もあながち悪くない」「トランプを良い方向にとらえよう」と語っているのは、トランプ大統領が、ここまでCIAの圧力に屈せず、就任後、その解体に着手している点がみられたからでしょう。


ストーン:「映画はスノーデン氏の証言に基づいてつくっています。彼が09年に横田基地内で勤務していた頃、スノーデン氏は、日本が米国の利益に背いて同盟国でなくなった場合に備えて、日本のインフラに悪意のあるソフトウェアを仕込んだ、とも述懐しています。これは戦争行為でしょう・・・

「ヒラリー・クリントン氏が勝っていれば危険だったと感じていました。彼女は本来の意味でのリベラルではないのです。米国による新世界秩序を欲し、そのためには他国の体制を変えるのがよいと信じていると思います。ロシアを敵視し、非常に攻撃的。彼女が大統領になっていたら世界中で戦争や爆撃が増え、軍事費の浪費に陥っていたでしょう。第3次大戦の可能性さえあったと考えます」

「そのリベラルと呼ばれてきた人たちが、ものすごい介入主義者と化しています。リベラルと言われるクリントン氏をみればわかります。民主党は中道右派となり、左派を真に代表していません」


→朝日新聞インタビュー


映画のスノーデンには、ストーン監督が考える「真のリベラル」の姿が投影されていると思う。そして、ちょっと意外なことに、これは、監督が考える「愛の映画」でもあるけど、ストーン監督が「本当のリベラル」ではないという、現在のリベラル女性に、果たしてこの「愛」が通じるだろうか。


スノーデンは自分が作ったシステムが、自分が想像もしなかったことに使われて疑問を感じ始めた。


日本で、民主的な選挙によって選ばれた民主党政権ができたと同時に、メディアから激しい批判にあい、叩き潰されたのが、2009年。スノーデンがスパイウェアを仕込んだ時期と、政権、メディア、大手企業がこれまでとは別次元で一体化した時期はちょうど重なっている。


原爆が生み出されたのは、ナチスの脅威だったはずなのに、すでに空爆で陥落寸前だった日本に落とされることになったように、テロリストと戦うために設計されたスパイソフトが、世界でもっともスムーズに使われているのも日本・・・ヨーロッパでは注目されたスノーデンの事件は、軍事を情報もすべてアメリカに牛耳られている日本では、特に話題になることもなく、過去3回廃案になった共謀罪も、もうすぐ制定されそうになっている。


彼らも、私たちも、「テロ防止のためならネット監視もやむを得ないのでは?」「悪いことしていないならネット監視されてもいいのでは?」という考えに強く反対をする理由はなく、米国では、主流派のリベラルが、私たちの味方である、オバマ大統領が、自分たちに不利になるような運用をするわけがない。という考えが上回った。


映画を観た当日、トランプ大統領が難民の受け入れを一時的に停止したことで、アメリカ各地の空港で大勢が入国を拒否され、反トランプの抗議活動が激しさを増したことがニュースになっていた。移民国家であるアメリカで、これに不安を感じている人が大勢いることが、とてもよくわかるニュースだった。


ストーン監督はどんな政権になろうとも変わることのない「軍産複合体」を敵だと感じているけど、現代のリベラルにとって、911から始まったイラク戦争への反省から支持を集めたヒラリーやオバマは、これまでの戦争とは違う、新たなリベラル十字軍であって、今までのものとは全く違う。ヒラリーや、オバマの失策を責めることは、ようやく退治した悪魔を蘇らせることになるのだと思っている。


ウーマンズ・マーチで、メディアで大きく取り上げられた人々と、イスラムの価値観はとてつもなく大きくかけ離れているし、イスラム教徒の国を破壊したアメリカが、イスラム教徒の権利を守るだなんて、本当に不思議な理論だけど、都市部を中心にした移民共同体にとって、Islam Ban(イスラム禁止)への反対は、強力なパワーをもつことでしょう。


「テロ防止のためならネット監視もやむを得ないのでは?」「悪いことしていないならネット監視されてもいいのでは?」という問いに反対することができなかったリベラルは、ストーン監督にとっては、「真のリベラル」ではなく、


ハリー・ポッターの作者で、トランプ批判を繰り返してきたJ.K.ローリングが言うような、


もしあなた方が単にその言動があなた方の気に障ったからというだけの理由で、あなた方の意見と反対の意見を持つ人の言論の自由を奪おうとするのなら、あなた方は既に全く同じ理由で他人を牢獄に入れ、拷問し殺すことを正当化するような専制的な暴君達と同じ側に立っているのです。・・・もし私の(トランプ氏の言動等によって生じた)不快感がトランプ氏の訪英を禁止にすることを正当化され得るのであれば、私にも(私の)フェミニズム、トランスジェンダーの人々の権利の為の戦いあるいは普通選挙によって不快な思いをしている人々に対して、あなた側は単に自分が不快な思いをしているというだけの理由でこれら(フェミニズムetc.)の主張を展開する運動家を抑圧してはなりませんと論ずる道徳的根拠は無いということになってしまいます。


という原則を重視する人がいない理由も、よくわかったような気がする。


f0134963_12160402.png


私には、メディア戦略によって、子供から、知識人やアーティストたちまで、ドイツを制圧したヒトラーと、巨大メディアから蛇蝎ように扱われているトランプが似ているようには思えず、どちらかといえば、カダフィや、アサドのような独裁者にみえるし、トランプ側にだけ、嘘ニュースがあったとも思わない。


選挙が終わっても、まだトランプ降ろしをあきらめず、トランプが失脚さえすれば、安泰だと思えるなんて、ユダヤ人がいなくなったら、ドイツ人はみんな幸せ。と同じじゃない?ナチだなんて「差別用語」を使うのは、すごくナチぽくない?って思ったけど、


そこには、スノーデンが悩んだ視点はまったく存在しない。


ヒラリーが言う「善」が負けたら、彼らが「ナチス」になってしまう。


負けた方が、「ナチス」になるのだ。


巨大メディアを味方にし、弱肉強食の世界で生き残った勝者たちに、声なき声を味方にしようとした独裁者が勝てるわけがないように思えてきた。


反トランプが勝利することで、世界の多様性も、日本文化が消えていく不安もより増したけど・・・






[PR]
by yomodalite | 2017-01-30 12:10 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
f0134963_11103745.jpg


遠藤周作の「沈黙」の映画化を、永年模索していたスコセッシ監督の映画がようやく完成したというので、期待して観に行きました。

トランプ大統領が誕生し、EUを離脱した英国のメイ首相も、「我々自身のイメージで世界を作り直そうと、独立国に介入する時代は終わった」(→記事リンク)というような発言をする時代に創られた「沈黙」には、今、本当に求められている欧米統治の歴史への自戒が込められているのでは・・・

そんな過大な期待をしていたせいでしょうか。ちょうどこの映画の公開にあわせて、CSで放送されていた、篠田正浩監督の『沈黙』(1971)も見ていたのですが、そちらとの出来栄えの差は圧倒的だと感じました。

ただ、見栄え以上の「差」はあまりなく、今、この作品を・・という意味においては、正直、がっかりしたというか、普通に原作どおりに作られた作品だと思いました。

俳優たちの演技は、ほとんどの場面を、英語で演技している日本の俳優陣も含めて、みな素晴らしいのですが、篠田作品と極端に違うのは、「井上さま(井上筑後守)」のキャスティング。

篠田作品では、アラン・レネ監督作品で主演も務めた、堂々たる二枚目俳優、岡田英次(ただし、篠田作品では「井上」は、あまり重要人物として描かれていない)なのですが、スコセッシ監督作品では、イッセイ尾形になっていて、彼の珍妙な演技によって、まさに、日本の「沼地」を象徴するような人物造形がなされています(その功績なのか、他の演技派俳優の中で、彼だけが、ロサンゼルス映画批評家協会賞で助演男優賞にノミネート!)。

彼が、『太陽』で昭和天皇を演じたときは、そうは思わなかったのに、今回の大名の演技には、うっかり、「反日俳優」という言葉が浮かんできて、そんな自分にも驚いてしまう・・・

公式サイトの予告編の最後には、長崎の遠藤周作文学館にある「沈黙の碑」の言葉、「人間がこんなに哀しいのに主よ、海があまりに碧いのです」が流れます。

これは小説にはない言葉で、遠藤周作が最後にたどり着いた、神への言葉のように思えるのですが、スコセッシの映画には、その視点は感じられず、日本の純粋な民への愛はあっても、民を虐める為政者を、常に海の向こうに求める気持ちは、相変わらずというか・・・

実際の映画の最後には、日本のクリスチャンへの言葉が流れます。

日本だけでなく、我々は「沼地」に敗北したのだ。という作品のように思えました。





[PR]
by yomodalite | 2017-01-27 12:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(5)
f0134963_16220532.jpg



イブの日は、京都ロームシアターで、ミュージカル『わたしは真悟』を観ました。
真鈴(まりん)役に高畑充希、悟(さとる)役に門脇 麦というキャスティングは申し分のないほどイメージ通り。でも、この作品がミュージカルになるなんて、いったいどんな仕上がりになるのか、まったく想像がつかなかったのだけど、幕が開いてすぐに東京タワーらしき塔が現れて、


f0134963_16012416.jpg


「333のテッペンカラトビウツレ」

という構成には速攻でがっかりしてしまいました。フランス人の演出家を起用したことで、楳図かずおの現代アート界での評価がもっと上がるきっかけになったり、コミック全体を通読すれば10時間ぐらいのストーリーを、140分に凝縮して現代に合わせる、とても困難ではあるものの、今度の指標となるような仕事に期待していたんですが、

概ね原作の筋通りの展開の中で、2016年作品としては必要のないバブル期の日本バッシングなどの設定を残すなど、演出のフィリップ・ドゥクフレは、これまでに培ってきた手法を使って、依頼された仕事をただこなしたという印象で、特にこの原作に思い入れがあるようには思えず・・


f0134963_15590878.jpg

日本マンガが幅広く読まれていると思っていたフランスですが、帰りの電車の中で読んだパンフに、「ホリプロさんが訳してくれた原作漫画を読んで大好きになり・・」と書いてあったので、演出家が自ら選んだ企画ではなく、フランス語版の『わたしは真悟』も販売されていないみたい。

ドゥクフレ氏は、有機物でも無機物でも、人間が表現することにチャレンジしている身体芸術の演出家なので、機械の意志や街の様子、自然現象などは表現できても、真鈴と悟という子供の世界の「愛」や「世界」には手を出せない。そんなことが冒頭すぐの東京タワーになったんですね、きっと。

でもよく考えたら、当時46歳でありながら、これほどまでに子供の感性で作品を創ってしまった楳図かずお氏が、あまりにも稀有なアーティストだったことと、80年代の日本の勢い、その両方が合わさった奇跡をヨーロッパ人が表現することを期待する方が無理だったのかも。

そんな感じで舞台の出来は期待通りではなかったものの、会場は、平安神宮や京都市美術館・府立図書館といった建物の近くで、改装されたばかりのロームシアターも素敵で、同時に開催されていた楳図かずお氏の複製原画展など、イベントとしては充分に楽しめました。


f0134963_16060820.jpg


f0134963_16062538.jpg


京都府立図書館&京都岡崎蔦屋書店による選書フェア『わたしは真悟』をもっと楽しむ24冊!というのも紹介されていたのですが、ロボット、SF関連の本が並ぶ中、『結婚式のメンバー』を見つけてちょっとびっくり!それは私のオススメで『わたしは真悟』を読んだ人が、私に薦めてくれた本でもあったから。


結婚式のメンバー (新潮文庫)

カーソン マッカラーズ/新潮社




大阪に帰る電車の中で、これは榊原郁恵から始まった『ピーターパン』ミュージカルの新機軸としてのホリプロの企画で、だから、ピーターパンを演じた高畑充希が主役なんだ、とか、マイケルは『わたしは真悟』読んでなかったのかなぁなどと、いつもながらの想像にふけりながら家に戻ると、大阪駅周辺もご近所もクリスマスでいつも以上に賑わってました。








f0134963_17500763.jpg














f0134963_18163969.jpg




f0134963_14451139.jpg









f0134963_18333657.jpg




f0134963_16260027.jpg

[PR]
by yomodalite | 2016-12-25 18:43 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
f0134963_23102264.jpg


原題は「The Childhood of a Leader」。ジャン=ポール・サルトルの「一指導者の幼年時代」という短編が元になっているらしく、第一次世界大戦後を舞台に架空の指導者の幼少期を描いた物語。

ハリウッドでは、ヒトラーとユダヤ人虐殺に関する映画が繰り返し作られていますが、ここ最近、ヨーロッパでヒトラーの映画が多いのは、反グローバリズムからナショナリズムが台頭しているということだけでなく、独裁者が大勢現れた20世紀をもう一度見直したいという気運があるような気がして、この映画が、イギリス、ハンガリー、フランス合作という点にも惹かれたんですね。

ただ、通常、鑑賞前はできるだけ情報をシャットアウトする私も、この映画の評判が良くないことは、なぜか小耳入ってきて、それを確かめに行ったという動機も少なからずありました。


結論から言えば、そういった評判は間違っていないと思いました。

予告編の情報、

・フランス語を教える美人家庭教師
・政府高官の父親は、子育てを母親にまかせっきり
・美しい母親は、子供の面倒を見ながら「本当は結婚なんてしたくなかった」
・少年は、自分が愛しているのかどうかわからず、教会の教えに反発する
・少年は、美人教師の胸を触って、怒られ、僕は悪い子なの?と問い返す
・両親から「あの子は善悪がわからない」と思われる
・少年:(母と一緒にいる男+父と家庭教師を見て)「ふたりで何してたの?」
・敬意を示せと、少年の部屋のドアをぶち破る父親
・反抗的な態度の息子に「あの子は私たちの手に負えない」
・少年:「神なんていない」「僕は間違っていない」

で、「独裁者の謎に迫る心理パズルミステリー」のパズルは出揃っていて、

これらの組み立てをミステリーというのは、プロットとしてショボいというか、それだけを売りにして、伏線を張ったせいで、驚愕のラストシーンというよりは、え、これで終わり?!という衝撃の方が勝ってしまったような。

一回見ただけの印象では、この映画が「深読み」できる内容かは疑問で、「映画IQが高い」とも言えないのでは?と感じましたが、

ただ、この監督が映画を作ろうとした動機は「深い」と感じました。

まず、始まってすぐに私が「深いなぁ」と思ったのは、少年の父親がアメリカ人で、終戦を迎えた1918年に、パリで行われるヴェルサイユ条約作成のために、アメリカからフランスに送り込まれた政府高官で、

妻で少年の母親は、ドイツ人でありながら、親の仕事で、アメリカやフランスで暮らした経験から3ヶ国語を話せる才女だということ。

1919年という舞台背景から、20世紀の独裁者たちを思い描きがちですが、この設定が、ムッソリーニやヒトラーと全然違うことで、監督が強く「アメリカ」を意識していることがわかりますし、

スターリン、ムッソリーニ、ヒトラーといった20世紀の独裁者たちは、みな貧しい家の生まれですが、上流階級でプレスコットという名前から思い出すのは、ブッシュでしょう。

そういった監督のアメリカへの意識の強さがわかると、母親がクリスチャンで、日々の祈りや、教会に行くことを重要視していても、家を守るとか、夫の仕事のサポートをするなど、妻や、母親といった旧来型の「女の仕事」がイヤで仕方がない様子など、現代アメリカのセレブ妻が、キリスト教ではなくリベラル教で、子供を教育し、移民の女性をメイドにしながら、女性の自由や自立を支持している姿とも重なって見えてきて、

現在、トランプ氏が大統領選を勝利したことによって、南北戦争や、ジャクソン大統領時代がクローズアップされていますが、そのジャクソンの次の民主党大統領が、主人公の父親が仕えるウィルソン大統領・・・

と、そんなことが、この家族を見ていると思い出されて、私は冒頭で、身を乗り出したんですが、そのあとの展開はラストの「ずっこけオチ(と言いたくなるネタに関してはキャスティングにヒントあり)」まで、伏線通りに進んで行ってしまって、ちょっと残念だったんですね。

見終わってすぐに思ったのは、主人公が、実在の人物でないのなら、第一次世界大戦や、ヴェルサイユ条約というはっきりとした年代はいらなかったのでは、ということ。

でも、これを近未来の話として映画化するのは、これがデヴュー作だという新人監督には、やっぱり厳しいのかな・・なんてことを考えつつ、帰宅して、公式サイトを見ていたら、

「Production Note」に、こんな監督の言葉がありました。

2006年の、ヴェルサイユ条約締結について書かれたマーガレット・マクミラン著『ピースメイカーズ・1919年パリ講和会議の群像』を読みました。当時イラクへの侵攻が始まって既に2年以上経過していたこともあり、読みながら今起きている状況と重ねずにはいられませんでした。・・ウッドロウ・ウィルソンの切実ながらも効力のなかった政治活動は。一世紀後でもアメリカの外交政策が一向に進化していないことを、この本は明確に綴ります。そして、両対戦間を経て、ムッソリーニとヒトラーが鋼鉄協約を締結することにより、ドイツとイタリアが軍事的また政治的につながって枢軸国が形成されるまでを読んでいると、現代においても結局同じ事が繰り返されているという思いに駆られました。・・・

ああ、やっぱりそうだったのかと納得。

それと、イギリス、ハンガリー、フランス合作で、キャスティングもヨーロッパの俳優だったのに、監督はアメリカ人だったんだぁ・・と、またまた納得。

音楽が恐怖を煽る雰囲気しかないとか、色々不満は感じたものの、アメリカ人監督がこういう映画を・・という新鮮な驚きもあったり。映画IQ(?)が高いことを自認される方は、試されてみては?


[PR]
by yomodalite | 2016-12-01 07:00 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite