カテゴリ:映画・マンガ・TV( 130 )

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『薔薇の葬列』から2年後の作品。美術、撮影ともに『薔薇の葬列』と同じスタッフによるもの。

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by yomodalite | 2008-12-27 23:24 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

K-20 怪人二十面相・伝 通常版 [DVD]

金城 武,松 たか子,仲村トオル,國村隼,高島礼子/VAP,INC(VAP)(D)

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新宿厚生年金会館での試写会。第二次大戦がなかった昭和前期のもうひとつの日本の風景や、ニコラ・テスラ、江戸川乱歩の世界を『ALWYS三丁目の夕日』のスタッフが制作する絵作りが興味があって観に行きました。なるべく映画は事前に情報をチェックしない主義なので、仲村トオルが明智小五郎とわかったときはがっかり。。

明智小五郎にはもっと陰影のある二枚目でないと、、、仲村トオルでは単純過ぎるというか。。。毎回同じ演技で、下手なまんまで定着している印象。しかし、がっかり気分は、サーカスの花形を演じる金城武が登場すると一変。この人は逆の意味で変わらなさが凄い。デヴュー当時の人のイイ笑顔はそのまま、画面を華やかにするオーラは益々輝きを増していて驚く。

20面相のコスチュームなど、前半は『Vフォー・ヴェンデッタ』を思い出し、中盤から『バットマン』の最初から『ダークナイト』まで振り返りながら観ていた。アメリカヒーロー映画の最終版『ダークナイト』の後では、いつもの日本のアニメ風ストーリーが更にお子ちゃまっぽく見えるのだけど、あまりにも多くの命が軽く扱われているにも関わらず、ジョーカーという最大の敵の命を直接奪うことだけは躊躇するバットマンのような「病」が全く感じられない金城武に魅了された。

こういう能天気を信じさせてこそ「スター」。演技など学ばなくて「スター」という人を抜擢しなければ「ヒーロー」は描けないということもあるかもね。みなさんも、金城武に癒されてください。

★★★☆(作品としての評価はむずかしい。。。)
____________

【監督・脚本】 
佐藤嗣麻子

【概 要】
江戸川乱歩の小説の登場人物・怪人二十面相の真相に迫った北村想の小説の実写化作品。VFXプロダクションには白組が参加し、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』のスタッフが主に制作に携わる。

【キャスト】
遠藤平吉:金城武
羽柴葉子:松たか子
明智小五郎:仲村トオル
国村隼
高島礼子
鹿賀丈史
要潤


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by yomodalite | 2008-12-12 22:43 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
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1988年の『ドグラマグラ』は、難解な長編小説を凝縮した作品で、脚本、配役、美術、撮影すべてが見事だったので、監督の松本俊夫にはすごく興味を抱いたものの、なかなか他の作品を観る機会がありませんでした。


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by yomodalite | 2008-12-05 18:32 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(1)

バカボンのパパはなぜ天才なのか?

斎藤 孝/小学館



バカボンのパパだけでなく、68作品の有名マンガから人生を学べる本。斉藤氏がこんなにマンガ好きだったとはと驚きでした。40ン年間、溜めに溜めた濃いエキスを炸裂させ、自身のベスト本と断言。下記もくじに知っている作品がいくつかあったら、本著は読んでみる価値大。

テーマ別に《仕事》《自分》《恋愛》《人間関係》《家庭》の5種類に分類し、名作を人生に有効に活用させるヒントが盛り沢山。著者は我が子の教育にも「マンガ虎の穴」を開設し鍛えているようで、本著の内容も、キワモノ企画ではない真剣なものです。

『ナニワ金融道』から「恋愛」を学べる著者の「学習力」の凄さにも脱帽。

【目 次】
・ゴルゴ13が「超一流」なのはなぜか《仕事》/『ゴルゴ13』
・バカボンのパパはなぜ「天才」なのか?《仕事・自分》/『天才バカボン』
・無気力に活を入れる「バカの力」とは?《仕事・自分》/『空手バカ一代』
・これぞ史上最強の「伝言力」だ!!《仕事》/『ワイルド7』
・お蝶夫人に学ぶ「プライド」の保ち方」《仕事・自分》/『エースをねらえ』
・SEXを強くするのは「意識の高速回転」だった!《恋愛》/『東京大学物語』
・「ウンコ座り」で会議革命?!《仕事》/『ビーパップ・ハイスクール』
・こんな「自己暗示術」ってアリ?《仕事・自分》/『柔道部物語』
・こまわり君は「プレゼンの達人」だった?!《仕事・人間関係》/『がきデカ』
・チエちゃんはなぜ「ダメ男」と付き合えるのか?《仕事・家庭》/『じゃりんこチエ』
・「引き継ぎ力」が常勝チームに変えた《仕事》/『キャプテン』
・肚をくくれば短所も「化ける」?!《自分》/『寄席芸人伝』
・尻の穴を見せられる「コンビ力」って?!《人間関係・家庭》/『サンクチュアリ』
・「唯我独尊系」人間との上手な付き合い方《仕事・自分》/『Heaven?』
・「ヴィジョン力」が部下を動かす《仕事》/『ジパング』
・シマリス君に教わる「トリオの教育力」《自分》/『ぼのぼの』
・「今の自分」に疑問をもったらアトムを熟読せよ《自分》/『鉄腕アトム』
・不良を更正させたパワフルな「引用力」とは?《仕事・自分》/『ROOKIES』
・なぜ「デビルマン」でなければならなかったのか《自分》/『デビルマン』
・矢吹丈の「ベストパフォーマンス」は紀ちゃんとの初デートだった!《恋愛》/『あしたのジョー』
・イサオ流「優しさ」でオンナを錯覚させろ《恋愛・家庭》/『自虐の詩』
・前野少年は、日本一の「企画力」を持つ《仕事》/『行け!稲中卓球部』
・「はぐらかしの技」が人を惹きつける《恋愛》/『めぞん一刻』
・本宮マンガの魅力は「裸」にあり《仕事・恋愛》/『俺の空』
・最強の「モチベーションの作り方」とは?《仕事・恋愛》/『 F 』
・どん底からだってはい上がれる「退行の技」 《仕事》/『無能の人』
・勝ちたいならば「神経戦で先手必勝」?!《仕事》/『月下の棋士』
・明訓高校はなぜ常勝チームだったのか?《仕事・恋愛》/『ドカベン』
・ねずみ男はなぜ「交渉名人」なのか?《仕事・恋愛》/『ゲゲゲの鬼太郎』
・70のバアさんをもとりこにする「愛想力」《恋愛・人間関係》/『浮浪雲』
・ビリビリする「身体感覚」を取り戻せ!《仕事・家庭》/『花男』
・人生を逆転させる「どん底笑い」《自分・人間関係》/『ぼくんち』
・「言質」を取られる怖さを知れ《仕事・恋愛》/『ナニワ金融道』
・若手に怯えはじめたら、「同じ土俵」で競え《仕事・家庭》/『がんばれ元気』
・ダメ部下でも活かせる「コーチング」の技《仕事・恋愛・家庭》/『天才柳沢教授の生活』
・酒を飲みたくなったら「瞬間寄生」せよ?!《仕事・人間関係》/『寄生獣』
・存在感の薄さを解消する「ヒット&アウェイ」《自分・人間関係》/『魁!!クロマティ高校』
・若作りするより「老け顔」で生きろ?!《自分》/『「坊ちゃん」の時代』
・「出し惜しみしない女」をものにせよ?!《恋愛》/『お天気お姉さん』
・ビル・ゲイツに匹敵する「作戦力」とは?《仕事》/『ルパン三世』
・タッちゃんはなぜ美女から「モテる」のか?《恋愛》/『タッチ』
・「高学年意識」がチーム力をアップさせる《仕事》/『漂流教室』
・鼻つまみ者を活用する「パッケージ化」とは?《仕事・人間関係》/『かりあげクン』
・「安いプライド」は脱ぎ捨て、現実に生きろ!!《仕事・自分》/『編集王』
・「嫌いな奴」から技を盗め!《仕事》/『バビル2世』
・プレッシャーに克つ「肚」の据え方とは《自分》/『バカボンド』
・人の役に立ちたいなら「哀しみ」を背負え《仕事・自分》/『北斗の拳』
・会社で生き抜くなら「35歳以上OL」と上手く付き合え《仕事・人間関係》/『OL進化論』
・家族の自立・再生を促す「解散宣言」《家庭》/『ありがとう』
・「ウンチく力」は海原雄山に学べ!《仕事》/『美味しんぼ』
・人生を下半身で失敗しない「もっこり力」とは?《自分・恋愛》/『シティハンター』
・「チーム仕事」を成功させるには?《仕事》/『サイボーグ009』
・「怒り」によって自分をモードチェンジせよ《仕事・自分》/『ドラゴンボール』
・なぜ両津勘吉は「パワフル」なのか?《自分・家庭》/『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
・家族間の会話を増やすには「趣味の押しつけ」だ《家庭》/『釣りキチ三平』
・ビジネス抜きの「友だち」の作り方《人間関係》/『BANANA FISH』
・デキの悪いパートナーこそ「起死回生の武器」になる《仕事》/『子連れ狼』
・器を大きくしたいなら「男の世界に一時退却」しろ!《仕事・自分》/『龍ーRONー』
・アストロ球団はなぜ「エスカレート」するのか?《自分》/『アストロ球団』
・「妄想力」は墜落をもハッピーに変える《自分》/『じみへん』
・他人をコントロールする「一喝芸」《仕事》/『賭博黙示録 カイジ』
・「気品」を身につければ退職も怖くない《恋愛・人間関係》/『ベルサイユのばら』
・「制御不能」上司の上手な見分け方《仕事》/『AKIRA』
・本物になるには「フェイク力」を磨け!《仕事・自分》/『ギャラリーフェイク』
・宇宙戦艦ヤマトはなぜ「色褪せない」のか?《仕事・自分》/『宇宙戦艦ヤマト』
・忍者の「連活」は不眠症に効く!《仕事・自分》/『サスケ』
・大人の男は「単独者」として生きる《自分・人間関係》/『巨人の星』
・「失言力」が人生の強度を上げる《仕事・自分》/『ドラえもん』
________________

【出版社/著者からの内容紹介】マンガから人生を生き抜く知恵を学べ!
『週刊ポスト』誌上で好評連載された『マンガ流! 大人の作法』がついに単行本化! 独自の教育メソッドで知られる齋藤孝氏は、無類のマンガ好きとしても有名なだけにマンガの登場人物たちの奇想天外な処世術に着目。「ゴルゴ13が超一流なのはなぜか」「お蝶夫人はどのようにプライドを守ったのか」「ねずみ男はなぜ交渉名人なのか」など、数多の難問に挑み、現代社会を生き抜く知恵を抽出した。本書には「段取り力」「コメント力」「要約力」「質問力」「あこがれ力」「コミュニケーション力」「文脈力」ほか、様々な"エッセンス"が凝縮されている。仕事に家族に恋愛に自分に行き詰まったとき、本書を手繰れば、瑞々しい発想が浮かび、元気が湧き出ること請け合いだ。

お暇なら読んでね
http://ameblo.jp/kanmani/entry-10010325170.html

「 きょういく ユースフル!」
http://plaza.rakuten.co.jp/kyouikuuseful/diary/200612120000あ

「まこっちゃんの好奇心倶楽部」
http://makotchan-i0223.at.webry.info/200605/article_4.html



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by yomodalite | 2008-09-21 17:05 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

宮崎アニメは、なぜ当たる スピルバーグを超えた理由 (朝日新書)

斉藤 守彦/朝日新聞出版




著者の斉藤守彦氏は、1961年生まれで、映画業界紙『東京通信』記者を経て、現在はフリーの映画アナリスト。1988年以降の宮崎アニメが出た年ごとにスピルバーグ映画と興行成績を中心に比較している。

宮崎駿の作品解説や読み解きはなく、鈴木敏夫を中心としたジブリの興業戦略に光をあて、宮崎アニメが流行ることにより、映画界がどのように変わっていったか、という点が面白い。ヒット映画の代名詞だったスピルバーグ映画と比較することにより、宮崎アニメが、一部のマニアから、日本の映画業界の中心になっていく過程がわかる。

「宮崎アニメ」がなぜ受けたか?への解答は直接的ではないが、いくつかのヒントは提示されている。そのひとつは、宮崎アニメが、最初から洋画を上映する劇場での公開をねらっていた。というもの。今ではシネコンがあたりまえになっているが、数年前までは、デートが出来そうなキレイな映画館は、ほぼ洋画をやっていた。宮崎アニメの洋画劇場への進出が、ひいては、シネコンという劇場改革につながり、邦画の興行成績が洋画を上回るという原因のひとつとなったという点は今まで気がつかなかった。

下記は『千と千尋の神隠し』に対して感想をのべているスピルバーグのインタヴュー。まったく別の道を歩んだ日本とアメリカの映画界だが、スピルバーグの子供の反応が世界共通であることが興味深い。(『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』公開時)

■「映画ドットコム」ディカプリオ、スピルバーグインタヴュー
http://eiga.com/movie/1031/special/2

――お三方に今年度のベストムービーを選んでいただきたいのですが。
スピルバーグ:「わたしは発言を控えさせてもらうよ。いまは賞レースの真っ最中で、うかつにコメントすると、あとでいろいろまずいことになってしまう。立場的にいろいろあってね(笑)」
――なるほど(笑)
ディカプリオ:「ぼくは平気だから言わせてもらうけど、自分が参加させてもらった2本の映画(『ギャング・オブ・ニューヨーク』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』)を無視すれば、『千と千尋の神隠し』がベストだと思う。ぼくがいままで見たどの世界とも違ったオリジナルな世界観で、2時間の上映中、ファンタジーのなかに完璧に浸ることができた。あの映画には日本的な要素が多分にあるんだろうけど、同時にそれだけじゃないものも見て取れて、別の惑星かなんかで作られた映画を観ているような気分だったよ」
――監督は「千と千尋の神隠し」をご覧になりましたか?
スピルバーグ:「もちろん大好きな作品だよ。実はレオからずっと勧められていて、2週間ほどまえに、家族と一緒に観たんだ。幼い連中は怖がったけれど、終わったとたんにもう1回観たいって言い出して。わたしが特に気に入ったキャラクターは、空腹のゴーストだ。お面をかぶった」
――あ、カオナシですね。
スピルバーグ:「そうそう。本当に素晴らしい作品で、映画の中盤になるころには、アニメーションを観ていることを忘れ、卓越したおとぎ話に入り込んでいた。素晴らしく、天才的な作品だと思う」

書評:『宮崎アニメはなぜ当たる』ジブリ映画興行の秘密を探る本
http://animeanime.jp/goods/archives/2008/09/post_27.html
______________

【BOOKデータベースより】現在の日本映画の興行収入の一位から三位まですべてを占める宮崎アニメ。映画を宣伝する三つの方法、アドバタイジング・パブリッシング・プロモーションに注目し、宮崎アニメが牽引してきた、この二十年間の日本映画界をひもとく。朝日新聞出版 (2008/7/11)

【目 次】
1988ゴールデン・ウィーク―「となりのトトロ」「火垂るの墓」/「太陽の帝国」;
1989夏―「魔女の宅急便」/「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」;
1992夏―「紅の豚」/「フック」;
1997夏―「もののけ姫」/「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」;
2001夏―「千と千尋の神隠し」/「A.I.」;
2005正月―「ハウルの動く城」/「ターミナル」;
2008夏―「崖の上のポニョ」/「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」



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by yomodalite | 2008-09-11 17:49 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
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残酷さに加え超人的な人間ばかり登場する近年のアメリカ映画には辟易としているのだけど、「バットマン」には思い入れもあり、下記の竹熊健太郎氏のブログ評により、うっかり観てしまいました。

で、結果から言うと「最高傑作」という評価には賛成です。しかし、それゆえの「うんざり感」も相当というか。憎めない感じだけど、ナンギなところも多かったTVシリーズの頃の「バットマン」と、この『ダークナイト』のバットマンの差は、リアルに昔と今のアメリカ人の印象と重なります。

(↓若干ネタバレ要注意。以下青文字 竹熊氏のブログより引用)

俺は近年、ここまで評論しやすい映画を見たことがないです。とにかくテーマがはっきりしていて、ひとつのテーマに沿って全体が一分の隙もなく構成されている。本当に隙がないんですよ。そのテーマというのは、言葉にすれば「善悪の相対性」という、日本のヒーロー物でもよく使われるものです。

と竹熊氏は評しています。確かにしつこいと思えるほどの「善悪」の判断が求められるシーンの連続があり、そこではメトロン星人とモロボシダンがちゃぶ台を挟んで会話した時のような、危険が回避され、時間がそこだけ止まっているような異次元空間(思想空間)ではありません。

観客にとって、一瞬の判断で生死が決まってしまうリアルな瞬間瞬間に、常に「善悪」を問われることによって、それは「問い」としては機能せず、敵の「悪」のイメージを増大させることに寄与してはいないでしょうか。それは、この映画に限らず、『24』や、アメリカの映画やTVの多くに見られるものです。果たしてバットマンの超人としての苦悩は、大ヒット中だというアメリカの大勢の観客が共有できるものなんでしょうか。

メトロン星人とモロボシダンは、ちゃぶ台という一般人の「日常」に降りて来ましたが、バットマンも、ジョーカーも、あり得ないほどの強大な「力」の頂点で闘い続け、ゴッサムシティに甚大な被害を与え、市民全てを敵にまわしますが、快楽殺人の権化ともいえる、まったく同情の余地のないジョーカーに、ようやく訪れた絶体絶命の瞬間も、バットマンはジョーカーを殺さず助けてしまう。

この場面は、今までのバットマンは人殺しをしない、という「お約束」とはまったく異なる「異常」な判断で、衝撃的です。無法者だけど、正義の味方という「闇のヒーロー」の系譜から逸脱した、正にアメリカの病そのものを体現しているような「異常」さ。

『ダークナイト』のような「スーパー・ヒーローの自己言及映画」が出て、しかも当のアメリカで空前のヒットを飛ばしているということは、いよいよ何かの時代の変わり目にさしかかっているような気がします。

今が時代の変わり目であることは間違いなく、それが特にアメリカ発信であることもたしかではあるけれど、これは、

ベトナム戦争が泥沼になってきた60年代末から70年代前半にかけては、『俺たちに明日はない』とか『イージー・ライダー』なんかの「アンチ・ヒーロー」を描いたアメリカン・ニューシネマ・・・

とは違い「イラク戦争」批判になっているのでしょうか。「敵」の中にある悪を膨らませることに飽きずに、超人としての自分も増大させている『ダークナイト』は、『戦争における「人殺し」の心理学』で言及されていた「脱感作」や「条件づけ」という洗脳の範疇からは、はみ出していないように思える。

メトロン星人とモロボシダンのちゃぶ台会談を実現できるのは、ゴシックな異空間であるゴッサムシティを創造したティム・バートンだけど、ワーナーのお偉方は、まだまだ戦争で金儲けしたい人々なんじゃないでしょうか。

え〜〜っと。この書き方では『俺たちに明日はない』とか『イージー・ライダー』を肯定してるみたいですが....でも、この映画の正義漢の検事ハービー・デントは、ロバート・レッドフォードを意識したキャラなので、彼の「反転」は皮肉が効いてます。更に彼の反転は市民には伏せておこうというのも痛烈。

そして、相変わらず、常識的な善人役には黒人が配置されていて(船中での黒人囚人やモーガン・フリーマンの扱い・・次期大統領はやっぱりオバマなんですねw)

レイチェルは益々ブサイクになっていて、ノーラン、相当喰えない奴のようですが、、

これは、敵もヒーローも際限なく「超人化」していくアメリカ映画の「最後の作品」を目指しているのか?

ジョーカー役のヒース・レジャーは亡くなり、バットマン役のクリスチャン・ベールは、母親と姉に対する暴力で逮捕というドメスティックな問題を露にしました。アメリカという新天地で別の仮面を手にしたいというハリウッド・ドリームもその澱みをもう隠しきれず、光と闇の「光」にすら輝きを失ったと、大勢のアメリカの観客は認識したのか? 

「ダークヒーロー」ですらない、こんな暗い映画が記録的な大ヒットし、日本では、このところ洋画の観客数の落ち込みが激しく、『崖の上のポニョ』が大ヒットしている。世界を知れば知るほど、島国なのは、日本だけではないとわかる。

◎「たけくまメモ」
◎「超映画批評」


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by yomodalite | 2008-09-04 00:46 | 映画・マンガ・TV | Trackback(1) | Comments(0)
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宮崎駿作品が、それほど好きではないので、今まで映画館で観たことはなかったのですが、

・最後の作品
・主題歌を先に作り、それにあわせてとにかく子供向けに創った。
・初めての「水」の表現。
・全部手描き。。。

などが気になり、今回はスクリーンで観ることにしました。

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by yomodalite | 2008-08-13 20:42 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
消えたマンガ家は全3冊あり、その後「消えたマンガ家・アッパー系」と「消えたマンガ家・ダウナー系」は、新潮社OH!文庫にも納められています。

【目 次】
第1章/天才マンガ家・ちばあきお—イノセントとマス・プロダクト
第2章/伝説のマンガ家・徳南晴一郎—人間時計はどこに!?
第3章/人気マンガ家・冨樫義博—幽・遊・白書の終わり方
第4章/孤独のマンガ家・山田花子—嘆きの天使は永遠に
第5章/ラスト・ロング・インタビュー—鴨川つばめ

【アッパー系の巻】
◎ギャグマンガでネーム見せるバカがいるか ー とりいかずよしロング・インタビュー
◎早すぎた肉弾マンガ家の失踪ーふくしま政美(前編)
◎ふくしまを巡る関係者の証言ーふくしま/政美(後編)
◎少女マンガ家は、なぜ教祖になってしまうのか? ー 神さまファンフラブ山本鈴美香と"神山会"。美内すずえ、黒田みのる
◎人間時計はどこに!?ー伝説のマンガ家・徳南晴一郎
◎三人の鬼太郎作家ー竹内寛行
◎消えたマンガ家外伝ー鳥山明はエホバの証人だった!?

【ダウナー系の巻】
◎イノセントとマス・プロダクトー天才マンガ家・ちばあきお
◎嘆きの天使は永遠にー孤独のマンガ家・山田花子
◎鴨川つばめラスト・ロング・インタビュー
◎病める天才劇画家ー安部慎一
◎異色メルヘンマンガ家ー中本繁
◎『幽☆遊☆白書』の終わり方ー人気マンガ家・冨樫義博
◎夢幻の少女マンガ家ー内田善美
◎消えたマンガ家外伝ーねこぢる曼荼羅を探して

参考サイト http://www.asahi-net.or.jp/~wf9r-tngc/mangaka.html

◎消えたマンガ家(アマゾン)
◎消えたマンガ家ーダウナー系の巻(新潮OH!文庫)
◎消えたマンガ家ーアッパー系の巻(新潮OH!文庫)
_______________

【MARCデータベース】画力もあり、ストーリーもうまい、力量のあるマンガ家が、ふと気がつくといなくなっている。富樫義博、山田花子、ちばあきおらの跡を追い、「消えたマンガ家」の裏にある、マンガ雑誌の苛酷な現実を暴く。太田出版 (1996/08)






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by yomodalite | 2007-12-16 00:10 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

創造の狂気 ウォルト・ディズニー

ニール・ガブラー/ダイヤモンド社



『ウォルトディズニー』 、『闇の王子ディズニー』など、興味を持ちつつ未読。もしかして、これが決定版という期待と、あとがきのホイチョイプロダクションに釣られてこちらを読了しましたが、やっぱり前記2作を読んだ方が良かったかな。

といっても厚さにめげず最後まで読まされる偉人伝にはまちがいありません。

文中、ウォルトのスタジオ内での評判の良さを描いた場面の数ページ後に、スタッフの裏切りや、ストライキ勃発など不可解な印象があり、ディズニー社や、親族取材の弊害かと思われたのですが、あとがきでのホイチョイ馬場氏の中に、その答えの一端がありました。

下記は、本書『創造の狂気』ではなく、ボブ・トマス著『ウォルト・ディズニー』と、マーク・エリオット著『闇の王子ディズニー』の参考記事。

「副島隆彦の学問道場」
http://www.snsi-j.jp/boyaki/diary.cgi?no=1&past=92

(前文略)〜「プロパガンダ」と聞いて私が思い浮かんだのは、世耕弘成(せこうひろしげ)議員でも、ナチス宣伝相ゲッベルスでもない。ウォルト・ディズニーである。そう、あのディズニーアニメーションの製作者、ディズニーランドの創設者である、ウォルト・ディズニーである。ウォルト・ディズニーといえば、大抵のひとは平和な子供の夢の世界しか思い浮かばないだろう。企業経営者などの現実的な方々であれば、大企業ディズニー社を創始した経営者という捉え方をするかもしれない。

しかし、実際のディズニー氏はそれよりもっと「政治的」なのである。具体的には、政府の意を汲んで戦時プロパガンダに進んで参画し、労働組合運動を弾圧しようとした反共主義者であり、ハリウッドの赤狩りに協力し、FBI長官フーヴァーのもとでスパイとして働いたという経歴をもっている人物である。

そして、だからこそ今日のディズニー社のような巨大メディア帝国を築き上げることが出来たのである。ただ子供のような夢を追い続けているだけでは社会的に成功できるはずはないのだ。この事実は、ディズニーの評価を上げることはあっても下げることはないだろう。

ディズニーの伝記
ウォルト・ディズニーの伝記で代表的なものはボブ・トマス著『ウォルト・ディズニー』である。原題は『WALT DISNEY: An American Original』であり、1976年に刊行された。講談社より1995年に翻訳が出ている。

この伝記は非常に「正統的」な伝記である。貧しい生まれのディズニーが苦労して映画会社を立ち上げ、せっかくの成功も詐欺にあって苦労が続き、そして最後には成功するという、いかにも典型的なサクセスストーリーに包まれた伝記である。子供の夢の世界の製作者としてディズニーを見るひとならば(それが世間一般の大多数なのだが)、この伝記は十分にその需要に答えてくれるだろう。そのためか、翻訳版には「日本図書館協会選定図書」の指定がある。
一方で、その裏版ともいうべき、ディズニーの負の側面を暴いた伝記も存在する。マーク・エリオット著『闇の王子ディズニー』である。原題は『WALT DISNEY Hollywood's Dark Prince』であり、1993年に刊行された。草思社より1994年に翻訳が上下巻構成で出ている。

この『闇の王子』、ダーク・プリンスというタイトルの伝記は、著者まえがきにあるように、正伝であるボブ・トマス『ウォルト・ディズニー』に挑戦することを意図して書かれている。正伝の『ウォルト』が取りあげなかった箇所を中心にして書かれた伝記である。20世紀映画史の裏面史としても資料的価値のある文献である。

以上の2冊を読み比べてみて、はじめてウォルト・ディズニーという人物の本当の姿が浮かびあがってくるのである。以下で引用する際には正伝ボブ・トマス著『ウォルト・ディズニー』を『ウォルト』、異伝マーク・エリオット著『闇の王子ディズニー』を『闇の王子』と省略して記載する。

ストライキと南米旅行
ディズニーの「裏側」ともいえる活動を、政府側で手引きをした人物こそがFBI長官のエドガー・フーヴァーである。さらに、フーヴァーの背後にいる人物こそ、ネルソン・ロックフェラーなのである。

このことが露見するのは、ディズニー社がとりあえず軌道に乗ったあとの、従業員のストライキ騒動の場面からである。『ウォルト・デイズニー』より引用する。

(引用開始)
1941年のストライキは、ウォルトに大きな影響を与えた。それは、政治とか従業員に対する彼の姿勢に影を落とすことになり、ウォルトをますます保守、反共へと追いやった。また、ディズニー・スタジオを従業員の楽園にしようという計画にも彼は幻滅を感じた。従業員は出勤時と退社時にタイムカードを押さなければならなくなり、昔、スタジオの初期に制作スタッフが経験したような、自由で親密なウォルトとの交流は、もう永久に戻ってこなかった。(p. 192)
(引用終了)

トマスの『ウォルト・ディズニー』に記載されているこのような文章を読むと、なぜウォルトに対して従業員が歯向かったのか理解できない。正伝ではつねにウォルトは善玉だからだ。しかし、従業員がやむに已まれずストライキに突入したのはよほどの理由があるだろう。

単純に考えれば、ディズニー社での労働環境が悪かったのだろう。今でも変わらないらしいが、アニメーターという職業は「労働集約的」な職業である。絵を書くというのは機械化、自動化しずらい作業であり、手作業である。そのため、人海戦術が必要となる。利益を上げるためには、人件費を抑えなければならない。

しかし、ここで述べたいのは労働環境のことではない。悪化するストライキの状況から逃れるため、ウォルトは「親善と映画制作を兼ねた」南米旅行に出かけるのである。『ウォルト・デイズニー』より引用する。

(引用開始)
ところで、南米旅行の話をもってきたのは、国務省米州局の調整役ネルソン・ロックフェラーの下で働く映画部の部長ジョン・ホイットニーであった。彼は、ディズニーがスタッフとともに南米を訪れ、アメリカ文化の芸術的側面を紹介してくれれば、中南米諸国に対する政府の善隣政策が功を奏すると説明した。そしてそれは緊急を要する、とホイットニーは言った。南米にはドイツ系やイタリア系の移民が多く、枢軸国に同調する空気がかなり濃厚であった。1941年半ばの時点においてアメリカ合衆国はまだ参戦こそしていなかったが、連合国を支持しており、ナチやファシズムの影響が西欧諸国に広がることを恐れていた。(p. 193)
(引用終了)

ここで、ネルソン・ロックフェラーが登場する。そして、政治的理由によりウォルトにミッションが課されたことが読み取れる。善隣政策とは、今でいえば宣伝を多用したいわゆる軍事力(ハード・パワー)に対抗する意味での「ソフト・パワー」による外交であろう。第一次大戦と第二次対戦の戦間期に、南米においてこのような植民地の駆け引きがあったことはあまり知られていない。『闇の王子(下)』にはさらに詳述されている。

ネルソン・ロックフェラーは戦時中、ローズヴェルト大統領のアシスタントを務めた
1935年から1972年までの長きにわたりFBI長官として君臨したエドガー・フーバー

(引用開始)
南アメリカへの「親善」旅行を考えついたのは、一般には国務省米州調整局の映画部長ジョン・ジェイ・ホイットニーだということになっているが、じつはロイ(引用者注:ウォルトの兄、ディズニー社の財務担当)の発案によるもので、彼がJ・エドガー・フーヴァーに、その実現に手を貸してくれるよう頼んだのである。

ローズヴェルト大統領は南アメリカでのナチス・ドイツの影響力増大に対する懸念から、国務省に新設された米州調整局のポストにネルソン・ロックフェラーを任命した。ロックフェラーは以前、ダリル・F・ザナックとオーソン・ウェルズの映画プロジェクトのスポンサーとなったこともあり、ロイの要請を受けたフーヴァーはローズヴェルトに、ディズニーもプログラムに参加させるべきだと提案した。ローズヴェルトはこの提案をロックフェラーに伝え、彼がディズニーに南米へ旅行に行かないかともちかけた。(p. 32)
(引用終了)

この南米への「プロパガンダ旅行」は、ロックフェラーの、そしてフーヴァーFBI長官によるウォルトへの指図であった。ウォルトとフーヴァーはこの時点ですでに顔見知りであったのである。では、このまったく生まれも業界も異なるふたりはどのように知り合っていたのだろうか。

ディズニーとフーヴァー
伝記作者マーク・エリオットは以下のように述べている。ディズニーがFBIのスパイであったというのは今でもスキャンダルであろう。『闇の王子(上)』より引用する。

(引用開始)
あまり知られていないことだが、ウォルト・ディズニーは1940年、39歳のときに、アメリカ政府の国内諜報部員になったのである。彼の任務は、FBI(米連邦捜査局)から政治的破壊活動をもくろんでいると疑いをもたれたハリウッドの俳優、作家、プロデューサー、監督、技術者、労組活動家の動向について報告することだった。ディズニーはFBIエージェントという自分の任務を、愛国的義務であるばかりか、気高い道徳的務めと見なしていた。彼はスパイ活動にも、かつての映画づくりと同じように、異常なまでに真剣に打ち込んだ。(p. 15)
(引用終了)

ウォルトとフーヴァーの関係は、互いに利用しあう関係である。フーヴァーはウォルトが第一次大戦でフランスへ従軍した際に、徴兵書類を偽造したのを知っていた。ウォルトは、自分の両親は実は本当の両親ではないのではないかと疑っており、その調査をフーヴァーに依頼していた。『闇の王子(上)』より引用する。

(引用開始)
フーヴァーは、彼に対して無条件に忠誠心を表す兵士として、一番小さくて力も弱かった独立系スタジオの盟主、ウォルト・ディズニーをあえて選んだ。それも当然と言えば当然だった。フーヴァーは、まだFBIの下っ端だった1918年に、第一次大戦の徴兵忌避者の追及作業に加わっている。同じころ、17歳のウォルト・ディズニーは、初めてFBIの目にとまっている。徴兵を逃れようとしたからではない。ディズニーがまだ未成年であるにもかかわらず陸軍に入ろうとして、両親の同意を得たかのように書類に署名を偽造し、見破られたためである。(p. 18)

フーヴァーはディズニーに、アメリカの将来を安泰にするのに手を貸してくれれば、FBIはその見返りに、彼の過去をいくらでも追跡調査しようともちかけたのだ。それはディズニーにとって断りきれない申し出だった。(p. 19) (引用終了)

こうしてディズニーはフーヴァーと関係するのである。また、このときのストライキに対処するため、ディズニーはマフィアとも手を組んでいた。マーロン・ブランド主演の名画「波止場」(ウォーターフロント Waterfront)は組合運動を描いた映画である。当時の政府は反共防止活動として、労働者のストライキを弾圧した。その尖兵となったのがマフィアである。つまり政府とマフィアは癒着していたのだ。

戦争プロパガンダ映画
第二次大戦に向けてアメリカの参戦が決定的となると、国家は戦争一色となる。ディズニー社も例外ではなかった。『ウォルト』より引用する。

(引用開始)
アメリカが参戦に踏みきると、連邦政府からも映画制作の注文がどっと流れ込んだ。海軍からは『航空母艦の着艦信号』を、農務省からは『食糧が戦争を勝利に導く』を、そして陸軍からは航空機識別官を対象とする教材映画を依頼された。さらにディズニー・スタジオは、ナチスに動員される若者を描いた『死への教育』、免疫注射を呼びかける『侵略に備える防衛対策』なども制作した。(p. 196)
(引用終了)

これだけならば、戦時下の映画会社としては致しかたないのだろう。事実、他の映画会社もまた同じような戦時協力映画を制作している。しかし、ディズニー映画がプロパガンダたるゆえんは次の箇所である。ここでは『闇の王子』よりも正伝である『ウォルト』の方がかえって率直に描いてしまっている。

(引用開始)
1942年12月、ウォルトのもとに、財務省の役人であるジョン・サリバンから電話があった。財務長官のヘンリー・モーゲンソーが緊急の特別プロジェクトの件で相談があるという。(中略)この仕事は戦時公債の販売キャンペーンだろうと、ウォルトは予想をたてていた。が、モーゲンソーのオフィスに着いてみると、その予想は見事にはずれた。

「実は、所得税の納税義務を国民に売り込む仕事に、君の力を貸してほしいのだ」
モーゲンソーは、こうきりだしたのである。ウォルトは当惑した。

「ちょっと待ってくださいよ。こちらは財務省でしょう。合衆国の政府でしょう。国民に納税義務を売りこむですって?税を払わなければ、監獄にでもぶち込むまでのことじゃありませんか」
そばにいた国税庁長官のガイ・ヘルバリングが口を開いた。

「そこが私の困っている点なんですよ。新しい税法でいくと、来年は1500万人の新規納税者が出てくる。だが彼らが納税義務を怠ったからといって、1500万人を起訴するなんて、とてもじゃないができるわけがない。そこでだ。税とは何であるか、戦争に勝つために税金がどんな役割を果たすのか、彼らにわからせなくちゃならないんですよ」(中略)

「国民の気持ちとして、公債を買えば、それが戦争の資金になると考える。ところが、公債はどうやって返済するのか ― 税金によってじゃないですか。税金不払いの国民を起訴するというのが我々の目的ではない。納税が愛国的な行為だということをわかってもらって、国民に積極的になってもらいたいんですよ」(p. 199)
(引用終了)

財務省の要請を受けて、ディズニーは自社の人気キャラクターであるドナルドダックを使って、分かりやすくて面白い納税を説明する『新しい精神』(The Spirit of 43 )という映画を作った。その結果は大成功であった。(実際の映画は、 こちら から観ることが出来る)この映画では、「Taxes to bury the Axis(税金(タックシズ)を払って枢軸国(アクイシズ)のやつらをを葬り去る)」というスローガンを掲げた。さらに、『闇の王子』から引用する。

(引用開始)
財務省の統計によれば、この映画は結局、6000万人の国民の目に触れ、一方、ギャラップ世論調査は、納税対象者のうちの実に37パーセントが、『新しい精神』を見て税を納める決心をしたと発表した。(p. 201)
(引用終了)

このように、ディズニーは政府の納税プロパガンダに全面的に協力して成果を収めた。さらに、戦後はハリウッドの「赤狩り」に対して協力をしている。晩年のディズニーの成功は、戦時および戦後の政府への協力が陰に陽に作用していると推測することはあながち間違いではないだろう。

メディアとプロパガンダ
ディズニーはこのあと、テレビに大々的に進出して大成功を収めることになる。晩年には遊園地、「ディズニーランド」の建設が行なわれ、ディズニー社の重要な収入源となった。

ディズニーの死後、一族による内紛があった後に、モルガンやラザール・フレールなどの投資会社、あのウォーレン・バフェットなどの投資家が現われて、経営を一族から取り上げたあとに、投資家の利益を代弁する経営者が現われる。それがパラマウントから招かれた当時30代のマイケル・アイズナー(Michael Eisner)であり、20年以上に渡ってディズニー社を支配した(2005年に辞任、現在のCEOであるのは、ネットワークテレビ局のABCとディズニーの合併を実現させた、ABC出身のボブ・アイガーという人物)。ディズニー死後のディズニー社の遍歴については、早稲田大学教授の有馬哲夫の『ディズニー千年王国の始まり』(NTT出版)が詳しい。

ディズニーの元CEO、マイケル・アイズナー
ディズニーはメディアにおいて常に新しい可能性を引き出し、それを娯楽として利益を上げる一方で、政府機関に仕えてきた。メディアというのは手段あるいは道具であるから、娯楽として使用できるとともに、プロパガンダとしても使用できてしまうということが、ディズニーの生涯を見ると分かるのである。

とくにキャラクターを使用したプロパガンダについては、アニメが全盛の現在の日本においては他人事ではないだろう。娯楽として楽しんでいるアニメがいつのまにか政府機関のプロパガンダになっているかもしれないのだ。すべてのメディアには気をつけないといけない。

以上
吉田(Y2J)筆
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【作品紹介】 【ロサンゼルス・タイムズ出版賞・伝記部門大賞(2006年度)】創造の天才か、闇の王子か−。ディズニー社の全面協力を得ながら、同社の検閲を受けずに出版されたウォルト・ディズニー伝の決定版。過度に美化や否定をせず、ディズニーの業績の偉大さと人間としての弱さを冷静に描く。


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by yomodalite | 2007-09-19 20:07 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)
「3本の法則(漫画雑誌がヒットするには、3本の人気連載がなければいけない)」
「最近の単行本は20巻、30巻があたりまえとなっているが、
 物語性の増加につながっているのだろうか?」

という警告を出版社は真摯に受け止めてほしいと思います。
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【MARKデータベース】少年マンガ誌、成功の影に「三本の法則」、文豪・中上健次の遺作はマンガだった!? 「サルでも描けるまんが教室」の著者が捨て身で語る爆笑エッセイ。オンライン書店bk1で連載した文章に補筆。 イーストプレス (2004/02)

【目 次】
はじめに マンガ・景気のいいハナシ
1 マンガ業界のハナシ
(マンガ原稿料の秘密;描き下しマンガの可能性ほか)
2 マンガ本のハナシ
(作家のすべては処女作にあり!『魔少年ビーティー』荒木飛呂彦;どんどん増える星の数、末は社長か会長か?『島耕作』シリーズ 弘兼憲史ほか)
3 マンガ作家のハナシ
(宮崎駿という奇跡;赤塚不二夫を語るほか)
4 サルまんのハナシ
(『サルまん』はこうして生まれた;特別付録 幻の第一回サルまん・ボツネーム(作・竹熊健太郎/画・相原コージ))





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by yomodalite | 2007-08-30 23:18 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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