昭和天皇(岩波新書)/原武史

昭和天皇 (岩波新書)

原 武史/岩波書店

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『滝山コミューン1974』の原武史氏に、昭和天皇についての著書があることに気づいて読んでみました。

本著の前の『大正天皇』 (朝日選書) という著作も評判になっていたようですが、天皇に関して2冊も上梓されていたんですね。しかもそのままズバリのタイトル・・・

序章は「1986年の新嘗祭」。昭和天皇が出席した主な宮中祭祀が挙げられていて、現在でも一年に30回前後の宮中祭祀に天皇は出席されているが、著者は昭和天皇が最晩年まで新嘗祭にこだわり続けたところに、昭和天皇という人物を読み解くひとつの重要な鍵があると著わしている。

著者は、皇太子時代は熱心でなかった祭祀を優先するようになったのは、貞明皇后の影響と、若い頃からの生物学研究が祭祀に対する考え方を改めさせ、戦争によりその傾向を強め、戦況が悪化した45年になっても祭祀を続けたが、天皇が固執したのは「三種の神器」を死守することであって、国民の命を救うことは二の次であった。としている。

若い頃から熱心であった生物学研究を軍部から批判されていたことや、貞明皇后に関しては『英国機密ファイルの昭和天皇』より仔細な記述があり興味深かいものの、全体的に、新書のボリュームで昭和天皇を描くには無理があるのと、

天皇の熱心な祈りに対して、国民の命を救うのは二の次というような批判が幾度かされているが、「1人の命は、地球より重い」といった総理に近いというか、私には天皇の言葉である「そういう文学的な言葉のアヤについては云々」の方により誠実さを感じました。

三島由紀夫の宮中三殿見学や、いろいろ盛りだくさんな内容なんですが、ときどきとってつけたような批判が小柄で(この著者に言っても無理だけどw)、大上段に構えたタイトルにはふさわしくない。

帯コピーにある「お壕の内側」へ、著者らしい“オタク的感性”で迫ってくれた方が
書籍として価値があったと思う。
__________

【BOOKデータベース】 新嘗祭、神武天皇祭など頻繁に行われる宮中祭祀に熱心に出席「神」への祈りを重ねた昭和天皇。従来ほとんど直視されなかった聖域での儀礼とその意味に、各種史料によって光を当て、皇族間の確執をも視野に入れつつ、その生涯を描き直す。激動の戦前・戦中から戦後の最晩年まで、天皇は一体なぜ、また何を拝み続けたのか—。 岩波書店 (2008/01)

【著者略歴「BOOK著者紹介情報】
原 武史/1962年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社、東京社会部記者として昭和天皇の最晩年を取材。東京大学大学院博士課程中退。東京大学社会科学研究所助手、山梨学院大学助教授を経て、明治学院大学教授。専攻は日本政治思想史。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(講談社選書メチエ、サントリー学芸賞受賞)、『大正天皇』(朝日選書、毎日出版文化賞受賞)などがある


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by yomodalite | 2008-12-13 23:30 | 天皇・皇室 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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