日本語のゆくえ/吉本隆明

日本語のゆくえ (知恵の森文庫 t よ 4-3)

吉本隆明/光文社



帯には、今の若い人たちの詩は「無」だ。と大きく書かれている。

本著は、東工大で「芸術言語論」として講義したものを編集したもの。著者の主著である『言語にとって美とは何か』(1965)、『共同幻想論』(1968)の内容を、学生向けに話し言葉で語られていてわかりやすい。

中学生の終わり頃に、背伸びして読んだというよりは、眺めただけだった上記2冊が自分が生まれる前に出版されていたものだということに、あらためて驚きました。

オウムへの言説などや、時代の移り変わりに常にコメントを求められてきた吉本氏ですが、90年後半以降は、流石にパワーが落ちたと思っていて、

「よせやぃ。」http://nikkidoku.exblog.jp/6694823
私の「戦争論」http://nikkidoku.exblog.jp/6773152

上記2作で、もういいかなぁ〜とすら思った吉本氏だったけど、やっぱり氏は類いまれなる「先生」だったことに、ようやく気がつきました。

「なぜ、こういう詩を書くのかということがわからない」
「どうして朝日新聞の第一面にそういう記事が載るのかということがわからない」


依然として、吉本隆明は、現代人すべてに「ダメ出し」ができる唯一の人だと思う。

★★★★☆

kumiko日記
http://kumiko.sgy3.com/blog/2008/10/post_1207.html

momo's blog
http://www.momoti.com/blog2/2008/02/post_143.php
_____________

【出版社/著者からの内容紹介】日本語における芸術的価値とは何か。現在著者が最も関心を集中している課題を、母校・東工大で「芸術言語論」講義として発表。神話時代の歌謡から近代の小説までを題材に論じ、最後に「いまの若い人たちの詩」を読む。そこで現代に感じたものは"塗りつぶされたような「無」"と"わからなさ"であった。『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』を経て展開する、著者の最新文芸批評。光文社 (2008/01)

【目 次】
第一章 芸術言語論の入口
  芸術言語論までの道のり
  表現転移論のポイント
  『源氏物語』を読む
  『言語にとって美とはなにか』のモチーフ
  場面転換と「喩」
  西欧詩との等価性について
  等価性をめざす詩人たちの苦闘
  古典につながる立原道造の詩
  立原道造と「歌枕」
  芸術の世界性
  日本人の尻尾について
  小説における「話体」と「文学体」
  芸術の価値は「自己表出」にある
  「第二芸術論」をめぐって

第二章 芸術的価値の問題
  価値論とはなにか
  芸術言語の価値について
  思想家・三浦つとむ
  マルクスの自然科学
  三浦つとむの言語論の特徴について
  言語空間の構造化
  『三四郎』を読む
  『彼岸過迄』をめぐって
  『銀河鉄道の夜』と「世界視線」
  視線の交換について
  島尾敏雄作品における体験と変容
  幻想空間の意味
  経済的価値と芸術的価値の分岐点
  茂吉短歌の到達点

第三章 共同幻想論のゆくえ
  国家とはなにか
  「人間」を捨象した「政治と文学」論
  『共同幻想論』の契機
  『共同幻想論』の骨格
  遠野の特異性
  「天つ罪」と「国つ罪」
  語り部の役割
  日本の特性
  『共同幻想論』のゆくえ
  昭和天皇の短歌をめぐって
  いざというとき何をするか
  「個」を抜いた芸術はありえない

第四章 神話と歌謡
  神話と朝廷
  天皇制はどこへゆくか
  神話時代の天皇
  天皇の起原
  神武東征はあったか
  統治の原型について
  神話と歌謡
  国学が騒ぎ立てた日本人の自意識
  天皇制と芸術性
  神話に転用された詩歌
  古典を読む二重性
  天皇制と女性の役割
  天皇陵の調査を望む
  片歌から短歌へ
  俳句における主観と客観

第五章 若い詩人たちの詩
  若手詩人の詩は「神話」に使えない
  「無」に塗りつぶされた詩
  水無田気流『音速平和』をめぐって
  渡辺玄英『火曜日になったら戦争に行く』について
  この「無」をどう読むのか
  「自然」を失った現代詩の脱出口はどこにあるのか
  なぜ詩のなかで思考しないのか
  現代のわからなさ


[PR]
トラックバックURL : http://nikkidoku.exblog.jp/tb/9805710
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by yomodalite | 2008-12-02 13:03 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite