
江戸文学者の田中優子氏によるきもの本には、日本でもアジアでも布が宝石のように大切にされ、親から子に伝わるものだったこと、そして今でもアジアにはそのような習慣をもち続けている人々がいて、布との暮らし、布の生命を味わうという想いがつまっている。
江戸の「布」が実はアジアからのもので、江戸好みの布が現在もアジアで発見できることや、父親の袴から作った帯や、若い時のきものを自分とおなじように老いさせていく方法。
着物を着始めたときに「買わない」ことを決めた著者の工夫も、学者らしい布の歴史や時代を辿る文章も興味深く、コラムは、着物の手入れ方法などの日常的知識もためになる。著者のコーディネートも、他ではあまり見られないセンスで刺激を受けた。読みどころも、見どころも盛りだくさんな一冊。
★★★★
【目 次】
一月 「謡初」(うたいぞめ)ー宝尽くしの父の帯
二月 「雨水」(うすい)ーアジアの風
三月 「貝寄風」(かいよせ)ーひとめぼれ
四月 「花曇り」(はなぐもり)ー桜の生命をまとう
五月 「立夏の空」ー江戸からインドへ
六月 「紫陽花」(あじさい)ーきりりと締まる母の帯
七月 「白南風」(しらはえ)ー沖縄の布の手触り
八月 「盆の月」ーそれを破って秋の雷
九月 「白露」(はくろ)ーアジアの星
十月 「秋の蝶」ー老いるということ
十一月 「小春」ー木綿のぬくもり、縞の粋
十二月 「一陽来復」(いちようらいふく)ー福は丸く
【コラム】
・着こなしについて/衿のこと
・着物をなでる・たたむ
・着こなしについて
・色のコーディネート
・自慢?の小物
・雨の日
・夏の着物
・下着
・着物の手入れ
・着物の手入れ/衿
・髪・化粧・飾り
・人にしてもらう、してあげる
☆参考サイト→
遊女asome___________________________
【MARCデータベース】
江戸文学者らしく、キリリとした好みで選んだ小粋な着物や帯の柄。聞くも楽しい蘊蓄や思わぬ発見が飛び出す着物読本。2004年1月から12月まで『なごみ』に連載したものをまとめる。淡交社 (2005/04)