芸者論—神々に扮することを忘れた日本人/岩下尚史

芸者論―神々に扮することを忘れた日本人

岩下 尚史/雄山閣



芸者論―花柳界の記憶 (文春文庫)

岩下 尚史/文藝春秋




辰巳芸者のことを色々調べていて発見した本なんですが、想像以上の内容に感動とともに読了しました。2006年に出版された芸者関係の本にここまで優れたものがあったとは!

第一章、古代・中世編は、柳田邦男、折口信夫の民俗学による解明で始まりますが、戦後に到るまでの「芸者」を神格化したわけではなく、日本の移り変わりとともに変化して行った「芸者」の歴史には、関係者には耳の痛い話もかなり含まれている。

これほど詳細な芸者の歴史を語り、著者には、言わば「インサイダー」という立場もありながら、花街の狭い世界に拘泥することのないバランス感覚は稀で、日本文化論としても優れもの。

続編ともいえる、芸者論Ⅱ『名妓の資格』も読んでみたい。

辰巳芸者に関しても、興味深い内容がいくつかあったので、そちらはまた別に書きます。

☆☆☆☆☆(満点)

「今週の本棚」田中優子氏の書評
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2007/05/20070527ddm015070157000c.html

中日新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2006121003.html
______________

「日本の伝統芸能を支え続けた花柳界と芸者衆の心意気を
これほど明らかにした著作はあるまい。」      平岩弓枝 −帯より

【目 次】
序/都市の秘境と化した東京の花柳界 
第一章/神々の振舞いを演じるという記憶の系譜 
第二章/神婚秘儀の再生装置としての吉原 
第三章/町芸者の確立 
第四章/帝都の花(明治〜大正)        
第五章/菩薩を凌駕する迦陵頻伽 
第六章/名妓と不見転の分化 
第八章/東京の替り目 
結 び/宴の祭司と巫女

【出版社/著者からの内容紹介】
新人としては異例の第二十回和辻哲郎文化賞を受賞。古代から今日にいたる芸者の歴史的変容の姿を解き明かし、その歴史と現状を紹介しつつ都市文化の本質を探る。魅力的な挿話による注釈とともに、実際には全く知られていない東京の芸者や花柳界を都市文化の核と位置づける画期的日本文化論。雄山閣 (2006/10)

【著者経歴】
岩下尚史 (いわしたふみひさ)
國學院大學文学部卒業後、新橋演舞場株式会社入社。
企画室長として、社史『新橋と演舞場の七十年』を編纂。

劇場創設の母体である新橋花柳界主催「東をどり」の制作に携わり
明治生まれの錚々たる名妓たちに親しく接したことで、芸者の本質および一流の花柳界の実態を知る。幕末から平成にいたる新橋花柳界の調査研究を進めたが、
その折に採集した老妓たちによる回顧談のノートが、後に上梓することになる花街関係の著作の基礎資料となる。

現在は、東京の秘境とも言うべき一流地の花柳界の歴史と実情に精通する稀少な作家として、各新聞雑誌へコラムを寄稿する一方、演劇界および花柳界の中枢に身を置いた特異な経歴と、その興趣あふれる話術から講演の依頼も多く、出版および各メディアを通して、宴を中核とした日本文化の特長を分かりやすく紹介している。



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by yomodalite | 2008-11-04 11:01 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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